2019年4月3日水曜日

マレーシア連邦憲法を読む 8

KLの国立モスク
第11条は<宗教の自由>である。日本国憲法では第20条にあたるが、似て非なるところがある。それは、マレーシアはイスラム国家であることである。「(4)州法、およびクアラルンプルとラプアンの連邦区に関する場合の連邦法は、イスラム教を信仰する人々に対するいかなる宗教の教義、信仰の伝播をも管理もしくは規制することができる。(原文)」という条項である。要するにイスラム教徒に対して他の宗教からの布教・改宗を禁じているわけだ。また、(5)には宗教の自由は認めるが『公共の福祉』的見地から一般法に反する行為は認めないことも記されている。ターバンを巻いているシーク教徒がバイクを運転する際、ヘルメットを被っているのを私はこの3年間見たことはないのだが、規制しようと思えば(カナダのように)できるのだと解釈できる。

第12条は<教育に関する権利>である。日本国憲法では第26条にあたるが、およそ内容は違う。国民の権利といういうよりは、宗教・人種などの差別は行わないという法の下の平等を謳っている。しかし(2)で「(前略)連邦や州がイスラム教の諸機関を設立・維持し、もしくは設立・維持を支援すること、あるいはイスラム教教育機関を供与支援し、かつその目的に必要な費用を負担することは、合法とする。」とある。つまり、国教たるイスラム教は別格だということである。また、日本国憲法にある『教育を受けさせる義務』については、「(4)(前略)18歳以下のものの宗教はその両親あるいは後見人が定める。」とあるだけで、これも宗教の規定に近い。

第13条は<財産権>である。日本国憲法では第29条にあたり、大きくは違わない。

第14条から第31条までは、第3部<市民権>である。単一民族国家で、しかも植民地からの独立という歴史をもたない日本国憲法には規定がない。この憲法ではかなり詳細な規定がなされているが、割愛する。

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