2018年3月31日土曜日

Y先生の退職の日に。

http://www.homemate-research-high-
school.com/dtl/00000000000000
365049/imagelist/
前々任校で相方だったY先生が声帯を取る手術をされ、私がマレーシアに来る直前に見舞いに行った。ちょうど2年前のことである。Y先生とは同じ学年であるだけでなく、同じ3月それも20日以降に生まれている。(私がほんの何日か早い。)同年代で最も遅く還暦を迎えたわけだ。2年前は、現場復帰を目差しておられたが、前々任校にいた弟分のU先生も昨年4月に他校へ転勤してしまい、復帰できたのかわからないままだった。昨日、おそるおそるメールをしてみたら、昨年7月に現場復帰を果たされていた。機械を使っての音声で教鞭をとっておられたらしい。その技術については、入院先で聞かされていた。凄い精神力だ。実に嬉しい。

ところで、昨日は3月30日金曜日。年度末の最後の平日だった。Y先生のメールには、「本日付で退職いたしました。」とあった。私は、そんな日本的な暦も忘れていたのだった。私にとっては、スクールホリデーの1日でしかなかったのだ。まさに偶然だが、昨日メールして本当によかったと思う。

https://blogs.yahoo.co.jp/
tarou_naoki/29881548.html
Y先生と私は、休み時間になると、よく前々任校の校門を出て、タバコをふかしに行った。様々な校内の問題についても、多くを語る必要なかった。阿吽の呼吸だった。当時、私とY先生は教務の仕事をしていた。当時の校長、教頭、教務部長の三者は、よく意見が対立がして、入試の際は2人で間に入って調整していたのだった。結局私は、そういう調整はともかく、緻密な教務の仕事には不向きで、後に国際交流の仕事についたが、Y先生はそのまま教務に残り、やりたかった担任も出来ないままに教務部長の大役を何年も果たすことになった。

お互いそもそも生活指導畑で、私が前々任校の生指部長だった時、Y先生はO高校の生指部長だった。能力の高い人だったから、教務の仕事もこなせたのだと思うが、私はその後国際交流で好きなことをし、さらに前任校に転勤、最後の担任3年間をさせてもらえ、おまけに今はマレーシアでさらに好きな事をさせてもらっている。たが、Y先生はずっと前任校で重責を担っておられ、病に倒れられたのだ。ほんと申し訳なく思う。

メールには、退職までに現場復帰がかなったことに対しての喜びが感じられた。それまでが大変だったと思うし、現場復帰後も大変だったと思う。志の強さが、それを可能にしたに違いない。さすがY先生なのだ。サムライなのである。相方としては、心から敬服するしかない。メールでは、私が一時帰国する1年後に再会を誓った。あの頃のように、何も言わずとも阿吽でわかりあえるような気がする。

2018年3月30日金曜日

ジンバブエのその後

http://polandball.blog.fc2.com/blog-entry-117.html このコミックは傑作です
ムガベが大統領を追われて、ジンバブエはどうなるのか心配していたのだが、その後の状況が時事通信から報道されている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018033000740&g=int

とりあえずは、順調なようだ。それなりに新しい風を首都ハラレでは感じれるのだろう。物価も下がり、期待も大きいようだ。新大統領が犬猿の仲だった英国の要人とも会い、国際社会に打って出たのも、韓国やスウェーデンの投資家が視察に来ているというのも大きな進展だと思われる。
一方で、まだムガベが駄々をこねているようだが、忘れてはならないのは、記事にもあるように、ムガベはジンバブエを独立させ、白人を追い出した「建国の父」であることだ。このムガベに対する思いは、ハラレのような都市部ではなく、農村部に強い。

…ジンバブエから南アへの帰路、夜行バスの中でガーナ人が私に「ジンバブエはハラレを見たからと行ってもわからない。農村と都市は違う。(趣旨)」と言ったことを思い出す。都市では、白人が消えて一気に経済が悪化しハイパーインフレになりかけている頃(2004年夏)だった。したがって、白人に帰ってきて欲しいという声を聞いたが、農村部では、白人支配による農場で搾取され続けてきたという歴史がある。ジンバブエの白人追い出しについての書物も何冊か読んだが、かなり過激な手段に訴えている。それだけ恨みも大きいのだろう。したがって、これを発動したムガベの正義を信じている農村部に、新政権の新しい風がどう感じられるかは未知数だと私も思う。

…都市部と農村部の経済格差、意識のずれ、そういった様々な難題がジンバブエだけではなく、多くの途上国、いや先進国のアメリカでも起こっている。そんな分断の時代に我々は生きているのだと思わずにはおれない。

還暦シンドローム

還暦を迎えて、このところ認知症のような状況が続いている。先日は帰宅時に住処の階を間違えてひとつ上の階(以前住んでいた階)のボタンを押してしまったし、NSK(業務用ス-パー)の帰宅時、タクシーの運転手に、行き先を言おうとして「タマンデサ」が出てこなかった。ラインを見ていて、R君に「日本に着いたかあ?」と打ってしまった。本人はまだマレーシアにいるのに、先日のPBT来校時の文面を勘違いしたのだった。

まだ今のところ授業で、専門用語が出てこないとか、間違うとか、そんなことはないのだが、ちょっとヤバイのではないか?と思う。

還暦という年齢のラインは、政治家にとってはあまり問題にされない。某財務大臣がTPP11の件で、新聞に出ていないとか、ちゃんと調べもしないで妄想気味に語ったことが問題視されている。うーん。老害なのかもしれない。政治家にとっては正確な資料に基づいた発言が求められるが、この御仁は自分が最も偉いと思っているようで、虚言の罠にはまっていく。とすれば、人格に由来するモノで老害ではないのかもしれない。某国大統領の12点男にいたっては、老害どころか精神科医の診断書が本になったほどで、老害とは別物のようだが…。

ともあれ、私自身は健康に留意しつつ、常に妻の指摘に従っていこうと思う次第。

2018年3月29日木曜日

インド人街の上座部寺院

マレーシアには、日本語のフリーペーパーがいくつかあって、なかなか面白い。SENYUM(セニョーム)という月刊誌の今月号に「ブリックフィールズを歩こう」という特集があった。ブリックフィールズとは、KLセントラル駅周辺のインド人街のことである。
http://www.senyumpress.com/

ここに、スリランカ系の仏教寺院があると書いてあった。上座仏教の寺院は未だ見たことがない。スクールホリデーとはいえ予定がない。幸い天気も晴天ではない。では、と言うことで妻と行ってみた。650番のバスで1本である。バス通りから少し裏手に入ったところに寺院はあった。以前インド舞踊を見に行った場所のすぐ近くだった。入り口には蓮の花の噴水。(上記画像参照)
やはりカラフルな仏像であった。涅槃仏が本尊の横にもあったりして、意外な本堂だったし、ストゥーパ(釈迦の遺骨が納められているとされる塔)も当然ながらインド風。ちょうど居合わせたご婦人と娘さんが礼拝をしていた。道教のような礼拝形式であった。KLは多民族・多宗教の街であるが、上座部の寺院まであったとは驚きである。KL、実に奥が深いのである。

もしかしたら、ネパール系の寺院まであるかもしれない。マレーシアでは、英植民地時代の名残か、グルカ兵(ネパール人)以来の伝統で、法律で警備の仕事はマレー系とネパール系の仕事とされているようだ。この英植民地時代の名残は、インド人街の小学校でも生きていて、ここの小学生はみなネクタイをしていた。ケニアと同じである。こういう発見は、PBTのスクールホリデーが一般の学校とずれている故のものである。

その後、インド人街の店を覗いたり、バナナやジャックフルーツのフリッター(天ぷらですな。)を買って食べたりもした。妻の最大の目的であるインドの石けんも手に入れた。ほとんどジャランジャラン(散歩)のようなものだったが、曇天であったのが幸い。(KLでは、カンカン照りの晴天は外出に適していないのだった。)

インド植民地のからくり

https://www.youtube.com/watch?v=YhXaCMF32ck
インドが植民地だった頃、香辛料などの原材料を輸出してイギリス相手に多額の貿易黒字を計上していた。その輸出代金は自国通貨のルピーではなく、ポンドを使って決済されていた。金本位制であるから、金に交換することは可能だったが、イギリスは金に交換しても金利がつかないのでポンド運用が得だと説得した。ルピーの為替レートはポンドに固定されているため、イギリスはインドでいくら赤字を出しても、ルピーが切り上がることもなく高い輸入コストも負担せずにすんだ。インドが輸出で稼いだポンドの預け先は、もっぱらイギリス国内の銀行に貸しおかれ、それは金融市場でイギリス経済のために活用された。銀行預金の口座名がインド人になっただけで、しかも貯まる一方である。

輸入でイギリスの国内生産が代替されてその分生産が減ったとしても、赤字によって流入するポンドは銀行の積極的な貸し出しを可能にし、赤字分以上の預金、すなわり購買力をつくりサービス産業を拡大することになる。イギリス経済はこれでさらに加速する。

一方、インドではルピー預金の黒字分に見合うポンド資産の取得に使われた。そのため国合いで使われるルピーは少なく、インド経済はルピー不足から次第に資金が逼迫し、デフレ要因になった。

このインドを日本に、イギリスをアメリカに置き換えると、現在の日米関係がわかる。日本は、輸出代金をドルにしている。したがって、日本の貿易黒字はアメリカに握られ、しかも莫大なアメリカ国債を買わされている。(プラザ合意当時の大蔵省の指示で、いまでも保険会社などが莫大に保有している。)こうして見ると、マレーシアが輸出代金の75%をリンギに替えること為替政策をとっているのは極めて賢明な措置であることがわかる。

12点男が貿易赤字を主張するのは、笑止千万。経常収支云々も笑止千万。金本位も伴わない変動相場制下の基軸通貨・ドルの優位は、金本位制下の固定相場制のインドとイギリスの関係以上に強力である。輸出で外貨を稼ぐことを国の生存基盤に据えてきた日本は、円高をこれまでのトラウマによって、極めて怖れている。アメリカは自由に円高を演出できる。故に日本政府はアメリカの言うなりになっているわけだ。これでは51番目の州どころか、金融植民地である。

昨日のエントリーの最後で述べた極論は、「黒字亡国」(三國陽夫著・文春文庫)から導かれている。いずれ詳しくエントリーしたい。

2018年3月28日水曜日

激動する東アジアを憂う

http://blog.livedoor.jp/pacco303/archives/59548809.html
北の黒電話さんが、独裁体制を固めた習おじさんの元に走ったようだ。儒教世界では、面子が重要である。もし習おじさんと会わないまま、12点男と直接会談したら、習おじさんの面子は丸つぶれである。しかも、もし12点男が牙を向いてきたら、中国がどう動くか、国境でどんな動きをするかで、北の(自分の)命運が決まる。最大の懸念であっただろう。どんな言質を習おじさんからとったかはわからないが、12点男と会うために必要な儀式であったと思われる。一方、12点男は、中国と貿易戦争をすると、プロレス的に吠えている。敵なのか、味方なのか。全く読めない。一方で、国務長官の首をすげかえ、強硬派を任命した。ロジックもくそもない。まさに、米朝、地獄八景亡者の戯れである。意外に冷静なのは習おじさんで、懐の深いところを見せている。米朝を手玉に取っている感もある。本気で貿易戦争に立ち向かう気もなさそうだし、12点男が、実際の戦争を仕掛けても、動くかどうかわからない。いくつものカードを得た感じだ。まだまだ評するには早いが…。

日本では、このままいくと今の政権はもたないだろう。レイムダックになった政権は、何をやってもダメだ。いくら初めてヒロシマに来てくれたといっても、12点男の最大の敵・オバマ氏と寿司屋に行って盛り上がっても、国益にはなるまい。夫婦共々にほんと軽率である。

とはいえ、私はもうこの辺で、12点男と切れてもいいのではないか、と思っている。少なくとも12点男のアメリカとは…。どこへ連れて行かれるかわからない。鉄鋼とアルミで、日本をもターゲットにしているらしい。実は、たまりに貯まった日本所有の米国債を売ってしまえば、日米の縁は切れる。さらに日本の輸出入代金をドル建てから円建てにすれば、さらにいい。この2つの肉を切らして骨を断つ政策を実行すれば、アメリカ経済は崩壊する。ただし、日本は狂気の円高になり、アメリカのドルは暴落し、貿易戦争もクソもなくなるだろう。まあ世界経済もいっしょに崩壊するだろうが…。ついついそんな夢想さえしてしまうのであった。

2018年3月27日火曜日

SDGsをレゴで考える。

以前からエントリーしようとしていた記事がある。朝日新聞とNTTドコモのワークショップである。SDGsを学び、「自分らしく生きられる社会」をレゴで表現し考えていくというワークショップだ。
http://www.asahi.com/ad/forones/page03.html?cid=all_topics

SDGsは、MDGsと異なり先進国も含めた全ての国における問題を取り扱っている。誰一人取り残さないという理念は、極めて理想主義的だが、正義であると私は思う。
このワークショップでは、アイスブレーキングで、誰よりも高いタワーをつくる。ところが、同じパーツを用いても同じモノはない。個性とは人との違いではなく、みんなと同じ自分(同じパーツで高いタワーをつくる)と、みんなと違う自分(同じモノはない)があって、「自分らしさに繋がる」というわけである。
なんらかの障がいのある人は今、25人に1人おられるそうだ。自分らしさを発揮できない人に活力を、それが社会の活力に繋がるのではと、今NTTドコモは考えているらしい。で、その自分らしさを発揮できない人と自分の間にあるモノをレゴでつくる、というのがワークショップの中心らしい。考えるだけでなく感じるというのがアドバイス。出来た作品をもとにグループ間でシェアするわけだ。今日の画像は、参加した大学生がつくったモノ。それぞれの制作意図は割愛がするが、実に面白い。
…最後は、NTTのプロジェクトと結びついていくのだけれど、レゴを使ったワークショップには大きな興味を抱いた次第。レゴは、様々な色とカタチのブロックがあり、個性的な作品を作れる。気に入らなければすぐに作り直せるところも、ワークショップには適していると思う。

2018年3月26日月曜日

久しぶりに「深夜特急」再読。

スクールホリデーである。今日は久しぶりにゆっくりと休息を取っている。土曜・日曜と出かけていた(と、言ってもいつもの如くミッドバレーとブキッビンタンであるが…。)ので、還暦のオジイチャンは無理をしないのだ。(笑)今日は、久しぶりに沢木耕太郎の深夜特急を再読したので、そのエントリー。例の日本人会の無人古本コーナーで第2巻のマレー半島編があったので手に入れて再読した。やはり、沢木耕太郎の深夜特急はいい。私が中年パックパッカーというか、リーマンパッカー(サラリーマンのバックパッカー)を志したのも、この本の影響が強い。

マレー半島の部分だけ再読してみたら、バンコクから普通列車で南下し、沢木耕太郎はペナンで沈没したことを再認識した。妙な売春宿である。ここの女性達、ヒモさん、日本人の客、そして変な日本語を話す中華系のオーナーとの邂逅が綴られている。さてさて、実際のところ、ペナン島のどの辺になるのだろうと思いをめぐらせることができるのは、マレーシア在住の贅沢のような気がした。その後、KLを経て、マラッカへ。KLは沢木耕太郎にとってあまり面白い土地ではなかったようだ。誰かの本で読んだが、首都はあまり面白くないらしい。(もちろん例外もあるだろうが…。)マラッカでは、夕陽を見るために走る沢木耕太郎の姿に感銘を受けた。今はマラッカは開発が進み、海岸に気軽に行けない。この旅の時とはだいぶ様子が異なる。思えば、かなり以前の旅行記である。時の流れを感じることも事実だ。

ところで、沢木耕太郎の旅は、私がお手本にしたように「人」を見に行く旅だ。現地の人との邂逅が旅の全てのような気がする。もちろん、私も見たいところに行くが、「人」との出会いが大きなスパイスの役割を持っていると思う。観光地をバックに記念写真を撮りまくるような旅はしない。これは深夜特急を愛読書だと思っている私が、沢木耕太郎的な視野を自分にあえて課してきたような気がする。

久しぶりに、深夜特急を読んで、改めて感じ入った次第。

2018年3月25日日曜日

KLで「桜餅」を探す。

ピグライフの仮想空間では桜餅が食べれます。
昨日エントリーしたのだが、無性に「桜餅」が食べたい。KLにはないものか?ちょうどブキッビンタンに行く用事があって、LOT10(有名なモールである)で純日本風のとろろ蕎麦を食べた後、伊勢丹(日本の百貨店でLOT10にある)に行った。すると、食品サンプルに「桜餅」がある店を発見した。さすがは伊勢丹である。源吉兆庵という和菓子屋さんのの支店のようだ。だが、サンプルにはあっても実物がない。店のスタッフに聞くと、すぐそばのパビリオン店にはあるとのこと。で、疲れた足を引きずって、さらに巨大モールであるパビリオンへ。さんざん迷いながらも、L2にあるMinamoto Kichoanにたどりついたのだった。
ついに「桜餅」をKLで発見したのだった。見た目は、鮮やかな桜色をしているわけではないが、桜の葉に包まれた「桜餅」であった。ちなみに値段はRM8であった。
帰って食べてみたが、色はともかく、間違いなく桜餅である。十分満足したのだった。KLは、日本が大好きな街で、車をはじめとして日本製品も日本食もあふれている。が、さすがに桜餅となるとどうか?と思ったが探せばあることがわかった。これで、とにかく来年の春まで1年間は我慢できそうだ。

2018年3月24日土曜日

PBTの話(25) 11月一時帰国変更

https://tabinaka.co.jp/magazine/articles/6991
マレーシアに来て、一時帰国はEJU直後の11月のスクールホリデーと決めていた。しかし、担任をしていると、11月は進路指導面で意外に忙しく、2週間もスクールホリデーがあって担任不在はちょっと不具合が多いと昨年は感じた。2年連続して担任をすることとなったので、一時帰国を来年の3月下旬に変えることにした。

F38の諸君には、11月に会おう、といっていたけれど、3月に変更ということになったわけだ。また前任校や前々任校、F36のOB・OGにも同時に告知したいと思う。うーん、丸二年桜も見ていないし、桜餅も食べていない。日本へ帰る最大の目的は、みんなの顔を見ることだが、是非「桜餅」を食べたいと思っている。

11月のEJU本番に向けて、これからまた頑張るわけだが、妻と相談して、一時帰国の代わりにちょっとだけ旅行に行こうかということになった。私の第一希望はオーストラリアのパースである。マレーシアとは全くの別世界だし、日本からはすこぶる遠いが、KLからならその半分くらいで着く。地中海性気候で南半球のパースなら、春だしこちらよりは涼しい。(日本の11月は涼しいと言うより寒い。笑)しかもインド洋を見ることができる。これまで、太平洋・大西洋・地中海は海岸から眺めたことがあるが、インド洋を是非海岸から見たいと思う。(きっと同じだと思うが…。)まだまだどうなるかわからないが、準備を進めるつもりだ。こういう自分たちへのご褒美を設定することも人生では重要かな、といよいよ還暦になったオジイチャンは思う次第。

還暦

還暦の日、KLIAにて
この3日間、エントリーが出来なかった。21・22日は、F38の国費生の日本への出発を見送りにKLIAに2日連続で行ってきた。帰宅がPM10:30を超え、とてもエントリーできる状況になかった故である。昨日は、PBTをやめて帰国するF先生と我が夫婦のささやかなお別れ会を自宅で行っていた関係で、これまた12:00を超えてしまった。(3人でかなり盛り上がったのだ。)と、いうわけである。いや、最大の理由は、この間に私が還暦を迎えた、ということかもしれない。

還暦などと言うと、遙かに遠い話だと思っていた。赤いちゃんちゃんこ(これは道教の影響である。)を着てお祝いする云々…。自分にその時がくるなどというのは、全く想像だにしてこなかったのだが、ついにその時が来たのである。全く嬉しくない。(笑)このところの体力の低下は著しい。先の空港行きの際、S校長と話していて、やはり還暦を超えると、さらに健康面での不安が増すとのこと。社長に人間ドック行きを命じられた話をされていて、私などは全くの医者嫌いで、人間ドックなど、10年以上行っていない。というか、大阪市の教員時代の強制的かつ無料の、この1回だけである。これまで、一度も入院するような大病を患わずにすんできた。もちろん、糖尿病を始め、不安はあるのだが…。若い学生諸君に常に囲まれているのが、最大の健康の秘訣かもしれない。

ふと、日本にいる同年の友人の顔を思い浮かべる。彼らの多くもまた一時的にせよリタイアする時である。人それぞれ、還暦を大きな区切りとしているはずだ。私はマレーシアにあって、還暦の波を最小限に押さえているのかもしれない。

2018年3月20日火曜日

PBTの話(24) S先生最後の授業

S先生が帰国されるのを受けて、F40Aの最後の授業が4限目にあった。ふと、最後の授業の写真を撮って差し上げようと思ったのだった。いつ頃突入するのがいいか、難しいところである。あと15分というところで、第3教室をノックをしたのだった。

幸い、S先生も非常に喜んで頂けた。私自身が、今まで望外の喜びを代々の生徒や学生諸君から頂いてきた。実は、そのお返しという意味合いがある。
教師は、そんなに給料が高いわけでもない。カネの為に職業を選ぶとしたら教師はありえない。私は生徒・学生こそが私の財産であると思っている。初めての担任の時、結婚式の翌日に、大いに祝って貰った。23歳の青年教師だった頃だ。妻とそろいのTシャツを贈られ、ネーム刺繍までして貰っていた。今は聞くことも出来ないが、カセットテープに当時の2年4組の生徒諸君の声が入っている。以来、卒業や進級の際には本当にいい目をさせてもらってきた。苦労もするけれど、それらの信頼に裏打ちされた体験こそが私の財産である。S先生はベテランの先生であるし、これまでも同様の経験をされてきたと思うが、それでも、私はカメラを持って突入したい、と思ったのだ。

マレーシアの学生達は、日本同様、こういう人情の機微をわきまえている。それが嬉しいし、異国の地で頑張れる基盤ともなっている。
S先生、お元気で。後は私がF40Aを引き受けます。東京に進学する生徒が出てきたら、お世話をよろしくお願いいたします。

2018年3月19日月曜日

PBTの話(23) F38卒業文集

日本人会の「詩吟と剣舞」の発表会に、我がPBTの学生が参加した。私の4限目のF40Aの授業が両断されて、変なカタチになったので、一気に進路指導をすることにした。前々から作っていたF40A専用の進路指導マニュアルを使って、である。前半は、志望する学部・学科について。後半は、進路の流れと様々なポイントについて。F38で起こった様々なトラブルを念頭に話をした。と、いうのも、初級以降のF40Aの担任をされていたS先生が明日最終日で、PBTを去られる。私の授業のある4限を前にして、3限の内に担任のチェンジを伝えておられたからだ。あえて、一気に受験クラスに転換を計った。歴史分野の授業を両断されるよりは、はるかに効果的であると思うのだ。(笑)

で、今日の本題。ついにF38の卒業文集が到着した。今日の画像はF38Aのオープニングページ。少しだけ、制作中にこのイラストを見せて貰ったのだが、なかなかのものだったので、完成を心待ちにしていた。書いてくれたI君やZ君に感謝である。男子は全部誰だか解るのだけれど、女子は難しい。(笑)一人ひとりの文章を読んで大笑いした。やはり、良いクラスだったなあと改めて思う。そして、明後日からまた新しいクラスを、F38以上のクラスに、との想いが沸々と湧いてくるのだった。

2018年3月18日日曜日

太陽の塔の内部復活

https://blog.goo.ne.jp/pegasus_es2004/e/f9eeecc074dd2b67d4f8bad9a9941165
大阪万博は、1970年。ちょうど私が中学1年生の時である。(ちなみに東京オリンピックは1964年。小学1年生。日本の戦後史で、節目節目の年代であるといえよう。)大阪・ローカルの人間として、一応10回万博には行った。最初は母親と夕方からの入場券で、モノレールで行ったことを記憶している。その時の、夕闇迫る三菱未来館の青い輝きは生涯忘れられない。夢の空間であった。(三菱未来館はいつも満員で長者の列故に、アメリカ館とともに、結局最後まで入れず終いだった。)

ところで、太陽の塔の内部が再現され、近々入場できるようになるらしい。入場制限があるらしく、今から人気なんだとか。実は私は、太陽の塔の内部には入った記憶がある。生命の木の残像もある。岡本太郎は、やはり凄いのである。好きか?と聞かれたら、うーんとしか爆発できないけれど…。(注:岡本太郎の名言は、「芸術は爆発だ!」である。)

万博の展示館は、外国の者も日本企業のものも、すべてパビリオンと呼ばれており、会期が終わるとつぶされる運命にあった。今は鉄鋼館だけが残っているはずだ。ソユーズが展示されていたソ連館も、大好きだった日立館(当時としては画期的なフライトシミュレーターがあって、父親と行って着陸を担当した。)も、360度の映像を見せてくれたみどり館も、今はもうない。お祭り広場もなくなり、(当時はお祭り広場の屋根から顔を出していたのだが)裸になった太陽の塔だけが当時の遺跡のようなカタチで残されていた。

大阪に行ったら、みんなUSJに行くそうだ。私のお薦めは、万博公園内の国立民俗学博物館。(レプリカも多いけれど、日本の博物館の中では五指に入ると思われる。)太陽の塔内部が見れるのなら、旧鉄鋼館の万博の展示とともに、大阪でしか見れないモノとして、お勧めだと思う。そう、サクラの季節が最高だと思う。万博公園は、大阪のサクラの名所の1つである。

2018年3月17日土曜日

PBTの話(22)インターンシップ

先週から、日本の国立S大学から、インターンシップで3人の女子学生がPBTに来てくれていた。K君が行く大学で、しかも同じ学部である。いろいろとお世話になるはずなので、アポイントメントを取った。すでに、K君は住む場所もわかっているし、「近くだ!」とかなり盛り上がったのだった。その後、私が職員室に引いた後も授業のことなども、いろいろレクチャーしてくれたようだ。こちらとしてもありがたい。

彼女たちは、マネジメントのお手伝いと言うことで、ジョホールバルに出張した。シンガポールにも行き、KLの他の企業も見学したようだ。3人の内1人はPBT(というよりIBTだが…)の卒業生で、昔暮らした国費生の寮に3人で生活しながら通っていた。
私には、(日本にいた頃の)教育実習生を見るような感じだ。いろいろ聞くと、やはりマレーシアは料理が美味しく安いとのこと。またフルーツが最高に美味しいとのこと。たしかに最大の印象はそこだよなあ。(笑)

昨日は、在校生に、日本のこと、大学のことなどを伝える授業をしてもらった。(今日の画像)なかなか上手い。内容も面白かったし、学生も興味深く聞いていたのだった。たまたま、カメラを持っていなかったので、スマホで写真を撮った。うーん。やはり画像が…。日本で私の元にくるのを待っているG1Xm2を早く手に取りたいもんだ。

いずれにせよ、2週間ご苦労様。貴重な体験をされたことと思う。K君をよろしく。そのK君も来週には渡日する。

マカロニほうれん荘 最終回

妻が突然、「マカロニほうれん荘」の最終回について語り出した。以前から気になっていたらしい。何故主人公のきんどーさんと歳ちゃんは、ハナを垂らした「馬の助」と共に去っていくのか?沖田や熊先生といった主要登場人物ではなく、「馬の助」なのか?というわけだ。

で、調べてみた。マカロニほうれん荘は、少年チャンピオンで連載されていたギャグマンガで、70年代後半に一世を風靡した。単行本で我々は読んだのだが、ジョジョの奇妙な冒険同様、最初の違和感を超えると、見事にハマる漫画である。歳ちゃんは、七味唐辛子という作家であることが、最終回の前にばれてしまい、周囲からそれまでと180度変わって尊敬のまなざしで見られてしまう。それが苦痛で街を出ることを思案していた。同時に「馬の助」という変なキャラが選挙に出て、きんどーさんは応援しているのだが、歳ちゃんの変化を読み取り、道連れで街を出ることを決め、おそらく軽い気持ちで、落選した「馬の助」にも声をかけるのである。
たしかに、もう一人の主人公沖田君はこの2人とは異なるまともな人物であるし、熊先生も家庭がある。共に行くのは反対に不自然である。キャラの被る「馬の助」なら自然である、と私は思う。
https://twitter.com/hayakawa2600/status/908670326627692546
ちなみに作者の鴨川つばめ氏は、この連載中、執筆料が安く、暖房もない部屋で執筆していたらしい。ヒットはしたが、プレッシャーも大きく心身共に疲れ、何度も終了を打診し、やっと認められての最終回だったようだ。なにか、このもの悲しい結末は鴨川つばめ氏の無念が表現されているように感じた次第。「ギャグ漫画家の才能は神様が一生の中で、一本だけくれた鰹節のようなもの」との鴨川つばめ氏の言、なかなか深い。同年代の彼のご健勝を祈るのみである。

2018年3月16日金曜日

タンタルとリチウムのお話

http://10mtv.jp/pc/column/article
.php?column_article_id=284
この1年で最も高騰した金属はタンタルらしい。タンタルというのは、携帯電話などのコンデンサーなどに使われるレアメタルで、私も国際理解教育のワークショップで知っている。その主要産地が内戦が続くコンゴ民主共和国、それとルワンダあたりで、いわゆる紛争鉱物である。この紛争鉱物については、そのレント(利益)がテロ組織を助長するという意味で使われてきたが、WEB記事ではその欺瞞を暴いている。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12206

この記事では、タンタルの精錬には中国が深く関わっていることも記されているが、一方で、先月27日に、日本の企業がドイツ企業からタンタルの高純度製品化事業を買い取ったとのニュース。なかなか日本企業も頑張っているようだ。
アカタマ塩湖
http://www.tabinodaiziten.com/South_America/superb-view-of-chile/atacama-desert2.html
次にリチウムの話。EV(電気自動車)の製造コストの半分がリチウム電池らしい。記事の筆者はEVが地球を壊すと警告している。このリチウム、2種類の方法で得られるそうだ。文系の私としては実に興味深い。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12132
そのひとつが塩湖かん水である。かん水とは要するに海水(のような湖水)のことらしい。チリのアタカマ湖(きっと砂漠が近くにあるはずだ。)は、多くのリチウム成分を含んでいて、これを濃縮して製造するようだ。まあ、海水から塩を取り出すような感じだが、極めて高度な技術(ボイラーや電力を使うようである。)で濃縮し、結晶化するという記事を発見した。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/swsj/66/1/66_8/_pdf
http://mric.jogmec.go.jp/kouenkai_index/2009/briefing_090730_6.pdf

で、このリチウム、塩湖から取り出すわけだが、チリのアタカマ湖、ボリビアの有名なウユニ湖やアルゼンチンの南米三国(ABC)の国境沿いに100近く存在している。PDFを読んだだけで大変な作業だと想像がつく。ましてこのあたりは高度4000m超のアンデス山中にある。中国でもこのかん水からリチウムを取るべく開発が進んでいるらしいが、チベット高原であるらしい。うーん、厳しい。

もう一つの方法は、スポジュメンという鉱石(最もリチウムを含有している鉱石)からとれるらしい。(他にも含む鉱石もあるがこの鉱石が最も一般的だとのこと)これを硫酸と反応させて、ソーダ灰によって炭酸リチウムを抽出し、この炭酸リチウムを遠心分離器にかけたり、熱水で洗浄したり、乾燥機で水分を飛ばしたりして製品化するのだという。このスポジュメン鉱石からリチウムを作っているのは、現在ではノースカロライナ州くらいらしい。鉱業は基本的にビジネスとして成り立つか否かが命である。コストが高くてもいいのなら、多くの場所で開発が進むだろうが、なかなかそうはいかない。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shigentosozai1953/100/1152/100_1152_115/_pdf

リチウムを作るのは、どちらの方法もかなり大変そうだ。しかもエネルギーを莫大に使うことがよくわかった。石油を使用しないEVのリチウム電池の生産は、莫大な石油と二次エネルギーとしての電力を消費するわけだ。しかも、EVの需要がいくら増大しても、リチウム電池の供給はおいそれと追いつかないこともよくわかった次第。これなら、たしかに筆者が言うようにガソリン車を走らせる方が、極めてマシだと思われる。

…このエントリーは、国際資源学部に行くM君と、2人のPBTの先輩OB・OGに贈りたい。面白い学問ではないか。しかもこれらのビジネスに携わるというのも…。

2018年3月15日木曜日

12点男、お前がクビだ。

http://www.scmp.com/comment/insight-opinion/article/2117112/during-his-asia-trip-can-trump-assuage-doubts-about-americas
国務長官が解任された。前々から12点男(2月21日付ブログ参照)と意見が合わなかったという。反対に12点男のイエスマンで、まともな人間は存在するのだろうか?と思う。行政府の重要人事もままならないのに、これまで、何人の側近を解任したのだろう。ある報道によれば、司法長官を始めまだまだ解任されそうな側近がいるそうだ。米国がそういうトップを選んでしまい、苦しむのは結構。自業自得といものだ。幸い、アメリカにはジェファーソン以来の三権分立システムとジョン・ロックの抵抗権という概念がある。しかも表現の自由が確固としている。自分たちで、早くクビにしてくれ、としか言いようがない。

問題は、12点男が東アジアの命運まで握っていることだ。国務長官をクビにしつつ、文書ではなく韓国の外交官の口頭報告を受けて首脳会談を決断したのだという。これは正気の沙汰ではない。首脳会談で決裂し、戦争だと叫ぶ魂胆かもしれない。精神構造はヒトラー以下の異常さである。現状況では、そう推測するのが妥当であると思われる。米朝地獄八景の亡者(3月11日付ブログ参照)は、権力欲の虜になった2人をさすが、まだ北の方が理性的にすら見えてしまう。

12点男、お前こそクビだ!さて、誰が言い出すのだろう。共和党の重鎮か?ロシアがらみの司法当局か?ペンシルバニア州の補欠選挙の有権者か?それとも抵抗権を再認識した民主党主導の州政府か?

2018年3月14日水曜日

PBTの話(21)TOEIC受験

https://www.iae-ryugaku.net/column/toeic-test/
今日、F40Aの担任のS先生と話をしていて、男子学生の3人組がTOEICの受験を検討しているらしいことが解った。私費留学生入試では、多くの大学がTOEFLを使っている。確かに入試要項などを見ていると、TOEICでの出願が可能な大学もあった。で、調べてみたのだった。TOEICのHPにこの試験を採用している大学を検索できるページがあって、とりあえず国公立大学について入試で使っている大学を見てみた。入試に使っていると言っても、AO入試なども多いので、私費留学生入試に使われているところを、手書きでピックアップした。およそ30大学くらいはあったと思う。ただし、旧帝大は北大のみヒットした。意外に公立大学が多かった。これにTOEFLも使わないという大学をプラスすると、感覚的にはおよそ6割というところか。TOEFLだけ使用するという大学も多いし、さすがにTOEICだけ使う、という大学は、ないかもしれない。

したがって、少し料金は高いがTOEFLで受験する方がいいのではないかというのが私の結論。選択肢が拡がることは、やはり重要だと思う。たまたま放課後、彼らと会ったので少し話をした。なかなか志望先なども明確で、志を強く感じた。これからが楽しみである。

2018年3月13日火曜日

政治主導のやり過ぎが問題だ

http://tisen.jp/dia/
2003/20030602.html
日本の政界が揺れているようだ。米朝の地獄八景亡者戯という大自然災害が危惧されている時に、何をやっているのか、と思うが、財務省の問題は、人ひとり死んでいる。自分では首相の後ろ盾だと信じ込んでいる大臣の責任は重すぎる。即刻辞任するのが憲政の常道だと思われる。

この問題の根は、民主党政権時代の遺産にあると誰かが書いていたが私もそう思う。政治主導を進め官僚政治を打破するという命題は、それなりに正しい。それまでの自民党長期政権下では、官僚が日本の進路を決めていたフシがある。事務次官等会議という首相官邸の大食堂で行われていた会議こそが、閣議などという形式の会議より力を持っていた。せいぜい族議員が官僚に切り込んで調整を図っていた時代だ。それに大鉈をふり、事務次官等会議は無くなった。しかしながら、無力で経験不足な民主党政権が去ると、自民党はこの政治主導システムをさらに強化した。表向きは派手ではないけれど、官僚の弱点を見事に突いている。それは「人事権」を各省庁から奪ったことだ。民主党政権の無能さにやる気を失っていた官僚から、あっという間に「人事権」を奪ってしまった。官僚が最も重視すること、それは出世である。事務次官レースに生き残れるのは、まさにエリート中のエリート、一握りである。しかも天下りを批判され、かなり追い詰められていたのであろうと思われる。

安倍政権は、これを完全に利用したわけだ。自らの将来を官邸に握られては、官僚はいかに賢く、力があっても無力化されてしまう。間違ったことでも従うことになる。その結果が今回の事件である。一方で、官邸は金融政策まで握っている。日銀総裁の人事権を握り、その続投がその証拠である。一向にリフレにならないのに、続投。あきらかな官邸の暴走である。

何事にも加減というのがある。安倍政権のやっていることは、全権委任法とまではいかないまでも、日本政治の中核である官僚組織を完全に手中に収めている。やり過ぎたのなら、責任を取るべきだ。反省し、さらに政治主導の方法論を再考すべきだと思う。日本の官邸がやっていることは、自らの権力を誇示するだけで、行政官を任命できないまま機能麻痺に陥っている12点男と五十歩百歩である。

マスコミや野党は、この事件の本質を見抜く必要があると思う。私自身、妙に偉そうに言っているが、ことは重大だ。人ひとり死んでいるのである。この責任は重い、重すぎる。だからこそ、あえて言う。財務大臣は辞任せよ。首相も自分の軽口の責任を取るべきだ。12点男の軽口をゆるせるアメリカ国民のように、日本国民は、おおらかではない。

2018年3月12日月曜日

未解のアフリカ

面白そうなアフリカ本が出ている。「未解のアフリカ:欺瞞のヨーロッパ史観」という単行本である。なにかの紹介記事で読んだのだが、面白そうではある。
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b341348.html

ただ、目次等を読んでみると、少しばかり入門書すぎるのかもしれないと思う。2003年、初めてケニアに行って以来、アフリカを勉強し始めて15年になる。タイトルは極めて魅力的なのだが、果たして…私の望む内容かはわからない。妻が5月に一時帰国するのでアマゾンで注文すべきか否か、悩んでいるところである。ちょっとばかし、定価は張る。古本をRM1(約30円弱)で手に入れている私としては…。まあ、11月に自分が帰国して実際に手に取ってから判断しようかとも思っている次第。

2018年3月11日日曜日

3.11 あの震災から7年

https://www.zakzak.co.jp/
entertainment/ent
-news/news/20150320/
enn1503201204011-n1.htm
3.11である。東北を襲った震災から7年目となる。日本人の特性の一つは、過去を忘れることを得意とすることあると思う。良いことも悪いことも、他の民族に比べ、いとも簡単に水に流す。無常観もあるかもしれない。だからこそ、新しいものを受け入れることが出来、前進できるともいえるのだが…。

たが、この震災の傷は大きいし、未だ苦しんでいる方も多い。未だに福島県の移住者への心ない対応のニュースが時折聞かれる。時が解決するものもあるし、ないものも当然あると思う。震災対策は決して終わっていない。とはいえこの震災は、阪神大震災ともども「防災学」という財産を日本に提供した。我がPBTの学生の中にも「防災学」を学びたいという者もいる。おそらく、日本は世界でもまれな学問を発達させてきているようだ。過去に学び、未来に活かす貴重な経験を日本は積んできた。この経験を世界に発信することは、極めて重要な役割の1つだと思う。

震災では、世界中の多くの国から義援金が集まった。実にありがたいことである。特に台湾の人々の恩義は忘れてはならないし、先の台湾の地震の際に日本がいち早く駆けつけたのは、同じに日本人として当たり前のことだが嬉しい。こういう地道な繋がりこそが国際関係でも重要だと思う。

ところで今、日本の危機意識は、米朝の地獄八景亡者戯に向いていることは確かで、85%の人々が不安を感じているそうだ。これは相手が人知の及ばない「自然」ではない。だが、ある意味でフツウの感覚が及ばないトコロにあるような感覚がある。政治的にどう対処すればいいのか、私もわからない。51番目の州として、人種差別主義者の12点の男に期待するしかないのか?今回の米朝の会談についても様々な報道を見ると、かなり瓢箪から駒のような感じだ。感性だけで決めたような軽薄さが透けて見える。相手はその上手を行く人間のようで、まさに地獄八景亡者戯。人知のおよばない自然災害のような感覚を持っている。

防災学の基本は、事前に安全を確保するための政策創造と地域・各人のスタンスの構築である。すなわち政策はもちろんだが、各人の意識の問題が最重要だといってよい。私などは、平和を国是としてきた日本人の意識を実存的に高めることが何より重要な気がする。そのうえで、政府の動きを監視し、是は是、否は否と声を上げるしかない、と思うのだが…。

2018年3月10日土曜日

PBTの話(20)歴史分野PP3

授業がない、ということはなかなか辛いものがある。今週は定期試験で貴重な週1の授業がぶっとんだ。というわけで、ひたすらパワーポイント教材をつくっていて、歴史分野は冷戦の終焉まで作ってしまった。(笑)日本にいたときもそうだが、3年生の授業だけを担当すると、3学期はどうしてもこうなるので、結局アフリカ開発経済学の資料やオリジナルゲームの作成に取り組んでいたので、同じような状況である。
いよいよ、来週からは、歴史分野・準備教育編(EJUのシラバス外の中世~近世の概説)を講じるのだけれど、このPPの画面に合わせて、まずは簡易的なプリントを作成してみた。歴史編は、視覚に訴えることが有効だ。それでいこうと思っている。後にテキストに合わせて補足説明を入れて再学習するという方向性が定まってきた。歴史分野はPP中心で行くが、政治・経済分野は、テキストとプリント中心。PPはあくまで補助的に使うつもりである。

今日はそのうち、第一次世界大戦とそれにかかわる経済分野を説明するPPを少しエントリーしようと思う。世界大恐慌と、ケインズの理論を示した部分である。
今回は、WEBの検索を駆使して、関係人物の写真やイラスト、ポーランドボールで表す国々を探し出しては、編集してきた。楽しいけれど、かなり疲れる趣味、いや教材研究である。昨年教えたF38の学生なら、私の説明までイメージ出来ると思う。ちょっと拡大して見て欲しいな。

2018年3月9日金曜日

650番バスの蜘蛛爺々

タイトルで検索したら釜爺登場
http://faithrm.blog.so-
net.ne.jp/archive/20100609
朝の通勤バスの話である。かれこれ2年閑も同じ時間帯(といっても日によって差が激しいのだが…。)のタマンデサを一周して、ミッドバレー・KLセントラル経由のパサセニ行きの650番に乗り続けていると、バス友というか顔なじみがたくさんできた。

だいたい朝の挨拶をすることが多い。どの人が先の停留所で降りるかも知っていたりするので、バス停一つくらいは立っていることもある。最も早くバス友になったのはインド系の紳士である。席をゆずることを美学だと考えているようなナイスガイなのだが、最近腰を痛めているようで元気がない。心配している。
2ヶ月くらい前だろうか、タマンデサの一番奥にある停留所から乗ってくる中華系のオジイサンがいる。一度バスがバウンドして倒れ、危うく怪我をするところだった。乗客みんなが心配したのだが、なんとか無事だった。そのオジイサンとも毎回挨拶を必ず交わす。いつも笑顔で気持ちのいい人である。私が心配していたのをよく覚えてくれていたようで、イス席に向かう階段では手をかすときもある。

ところで、変な常連乗客もいる。それが今日のエントリーのタイトル「蜘蛛爺々」である。いつも野球帽を被っている中華系の老人だ。イス席の一番前の通路側が蜘蛛爺々のお気に入り。横の空席に女性を迎え入れることを生き甲斐にしているようだ。若い男性が座ろうとして蜘蛛爺々が拒否してしたシーンを2・3度見たことがある。最近はわざわざ身体ごと、横を向いてさあどうぞという感じで、女性客を迎え入れている。ところが、多くの顔なじみ客は、この蜘蛛爺々の魂胆がわかっていて、避けている。(笑)先日、この席に少し太った男性が座ろうとした。意外に蜘蛛爺々はすんなりと座らせた。意外だった。どういう心境の変化だったのだろう。

という感じで、私は案外朝のバス通勤を楽しんでいるのだった。マン・ウォッチングはなかなか楽しい。

2018年3月8日木曜日

内田樹「平成が終わる」

内田先生のブログに「平成が終わる」と題された2つの文章が載っている。いつもながら、その視点のキレに感動する。是非とも全ての教え子諸君に読んで欲しいと思う。

特に(2)の文章の中にある「国家主権をカネで買い戻す」という国家戦略が、バブル崩壊によって不可能になり、致命的な傷を日本人に残したという主張は、凄いと思う。日本の戦後史を振り返ると、吉田茂以来「対米従属を通じての対米自立」で有ることは確かだ。沖縄返還までの道筋はまさにそうである。

内田先生の言われる、その後の経済発展の中で、日本人は経済力で宗主国を圧倒し、晴れて主権国家に立ち戻るという物語を自ら夢想したというのはどうか。私は半分そうであると思うが、半分は見事にアメリカに載せられ国富を吸い取られたとも思う。
それは、「マネー敗戦」(吉川元忠著/文春新書・平成10年発行)という本(これもまた日本人会の無人古本コーナーでRM1で手に入れたもの。笑)に詳しい。レーガン政権下で、強いアメリカ・強いドルを求めたアメリカの貿易赤字と財政赤字は惨憺たるものだったが、それを支えたのは、大蔵省(現財務省)主導で米国債を買いあさった機関投資家である、と。(引用がかなりの長文になるので、超簡単に言うとこうなる。)莫大な国富を日本はアメリカを支えるために(結果的に)投げ捨てたのだ。ニクソンのドルショック以来、基軸通貨である米ドルは金本位の兌換を停止した。変動相場制に移行した後も、ドルの価値は米政府(具体的にはFRB)が握っている。まさに打ち出の小槌で、いかに貿易赤字が出ようと、経常収支は黒に変えることが可能なのだ。今や、アメリカは財とサービスだけではなく金融による国富の方が大きい。

内田先生の言われる現在の日本が、対米従属そのものが自己目的化し、抑制を失って暴走し始めたというのは、そういうドルによる構造的暴力下にある現実を我々が日本人が知ってしまったからだと思う。私が日本を51番目の州と時折嘲笑せざるを得ないのは、アホノミクスやあの12点の男の言うがママに北朝鮮政策に乗っているだけではない。もっと根本的なトコロだと思う。私は第9条をカタチだけ改正したところで自立できるとは到底思わない。

今回の鉄鋼とアルミの関税の話もそうだ。貿易収支云々のマクロ経済的な話に見えて、実はペンシルベニア州の補選のためだという、見事にミクロ経済的な話だった。それに全世界が魚棹させられている。誰がどう考えても、デメリットが大きすぎる。EUもかなり頭に来ているし、そもそもの標的である中国も先鋭化している。ここにきてカナダとメキシコ、あるいは日本は除外などと言う噂も出ているが、なんとも馬鹿げた経済戦略だ。こんな話にホイホイと乗せられているようでは…。まさに内田先生の言われるとおりであると私は思うのだ。
http://blog.tatsuru.com/2018/03/07_0630.php

2018年3月7日水曜日

ブルーノート

今朝の通勤バスは30分以上待たされた。そんなにあることではないのだが、意外に読書にのめり込んでいたお陰で不愉快ではなかったのだった。昨日、日本人会の無人古本コーナーで「黒人ブルースの現代」(三井徹/音楽の友社・1977年発行)を手に入れた(もちろんRM1で手に入れた。)ので読んでいたのだった。第一章では、ブルースとは何であるか?といった命題が出てくる。かなり哲学的で面白かったのだが、それはまたいずれエントリーするとして、第二章に『ブルーノート』について書かれてあった。

『ブルーノート』というと、ジャズの生演奏を聴ける店というイメージなのだが、なんのことはない、ブルース(ジャズやロックにも)のハーモニーで、ミとシがずれていることらしい。五線譜にいろいろ書かれていた。音楽理論は中学以来である。(笑)

YouTubeでこのブルーノートについて教えてくれるものがあったので見てみたら、このブルーノートのメロディーで、ディープ・パープルの”Smoke on the Water”や、ゲゲゲの鬼太郎は構成されているのだった。すこぶる納得したのであった。面白い。
https://www.youtube.com/watch?v=8jq7_X1KZDE

ブルースもジャズもロックも私は大好き。もちろん源流にあるアフリカ音楽も大好きである。

2018年3月6日火曜日

祝イチロー マリナーズ復帰

https://seidentest.com/ichiro-mariners/
私には、これといったプロスポーツの贔屓のチームはない(大阪人であるが、阪神ファンでもガンバ大阪のファンでもない。)のだが、イチローだけは別だ。武士道精神を遺憾なく発揮するイチローの大ファンである。このところ、MLBのFA市場が停滞していて、イチローが現役でいられるのかどうか、やきもきしていた。日本に復帰してもらうより、イチローにはMLBで最後まで頑張って欲しいと思う。

そのイチローが、シアトルに帰るという報道が一斉に流れた。私は、マリナーズのユニフォームがイチローには最も似合うと思っている。どうやら、チームの外野手が怪我やらでマリナーズもなかなか大変らしい。開幕からは先発できそうだ。そもまま先発組でシーズンを終えて欲しいと願っている。ところで、契約はメジャーだが、1年だとか。イチローほどのレジェンドであってもなかなか厳しい。

全く話は飛ぶのだが、こういう契約が1年とかいう雇用関係の中で私は今まで生きてこなかった。(大学卒業と同時に教諭になり、講師の経験がないので)公立高校の教諭にはこういう雇用形態はなかったのである。PBTは一応2年契約である。
ところで、マレーシアで知り合った大学関係者の日本人の皆さんは、1年契約もしくは半年契約の方もおられる。学者の世界は極めてシビアである。まさにプロフェッショナル。研究成果を挙げ、論文も発表し、予算も獲得しなければ、居場所がなくなるという、恐ろしい生存競争の中で生きておられる。私の2年契約など、かなりヌルイものである。私も、こちらに来て公立高校時とは違う感覚を徐々に身につけてきたように思う。だが、やはり同じ教育現場である。学生の志を全うさせることに全力を挙げるが、自分の成果を挙げようなどとはは決して思っていない。本当は、もっとシビアでなければならないのだろうけれど…。

話を戻そう。イチローのマリナーズ復帰、心から嬉しく思う。イチローには、このチャンスを見事に活かして欲しい。

PBTの話(19)TAXの話+α

https://www.med-pass.net/
F38理系の学生が、医学部に合格したそうで、今日の職員室は大いに盛り上がったのだった。物理と化学で受験できたそうだ。もちろん生物も入学後追いつかなければなるまいが、とにもかくにも凄い快挙である。医学部は、私費留学生にとっては極めて難関、というか日本人学生と入試上では全く変わらない。おめでとう。でもこれからがさらに大変だと思う。頑張って欲しいな。

とことで、今日の本題はTAXの話である。3月に突入して、税金の確定申告をしなければならない。昨年は見事にデジタルデバイドして、M先生に税務署に2回も連れて行っていただき、向こうの職員さんに手取り足取りしてもらい、なんとかなった。今日、パスポートやVISA関係の仕事をしていいる事務のIさん(マレー系の女性である。)が、突然私のTAXのピンナンバーを聞いてきた。もちろん通訳なしでは会話は不可能。T先生が間に入ってくれた。実はPCに入るピンナンバーを手帳に記録してあったのだが、全くだめだった。そこで、新しいピンナンバーを再登録しようと、いろいろ教えてくれた。その登録は私のGmailで行うらしい。ところで学校のPCには私用のGmailを入れていない。スマホしかない。この小さな画面での入力はついにできなかった。どうしても打ち間違うのである。Iさんは、今だけPCでGmailに入るよう言ってきた。ほんの数分だけGmailにアクセスして、無事入力。新しいピンナンバーを手に入れた。この作業は、私のパスポートのナンバーが新しくなったので、TAX申請の方も新しい設定が必要だったらしい。(反対に設定し直さないと永遠にTAXの申請ができないらしい。)IさんとT先生のおかげでなんとかなったのだった。

それにしても、マレーシアでは、英語とITの操作が必須である。日本よりはるかに大変である。しかし、なんとかIさんのお陰で乗り切れそうである。近々事務所のみなさんにケーキかなんか買ってこようと思う。

2018年3月5日月曜日

月夜の蟹

http://diet-kakumei-jiten.com
/wp-content/uploads/
2016/12/image04.png
「安野光雅の異端審問」(朝日文庫)という本の中に、「月夜の蟹」は本当にまずいのかという章がある。蟹は月夜をおそれ、エサをあさらないので、やせて身が細く美味しくないという俗説らしい。一方で、内容がない、頭がからっぽの人をさすそうだ。今朝、バスの中で読んでいて、恥ずかしながら、日本語の中に、こういう慣用句があるのだということを初めて知った。

今日も「月夜の蟹」は、鉄とアルミに関わる中間選挙の票をあさろうとしているが、結局そのために欧州と貿易戦争的な応酬をするはめになっている。EUがハーレーやリーバイスに関税を掛けるなら、ことらはドイツ車にかけるという。月夜の蟹は、ドイツ車や日本車など自国で多くのが外国車が生産されていることを知らない。
http://www.afpbb.com/articles/-/3166011?cx_recommend=cx_popular

一方で、『農業超大国 アメリカの戦略-TPPで問われる「食糧安保」』(石井勇人/新潮社2013年)を読んでいたら、冒頭に習近平が副主席としてアメリカ・アイオワ州を訪れた時の話が出てきた。21年ぶりの訪問だという。地方の政治家として汗をかいていたころ、同州を訪れ、農業技術や政策を学んでいたのだという。次の中国指導者として多くのビジネスマンを従えて凱旋。ホームステイ先を再訪し、「ここは第二の故郷」と発言し、大豆や飼料作物の買い付けを行ったという。米中は、世界の農業大国である、相互発展をするのが当然と言いつつ、小麦やトウモロコシには目もくれず(中国は自給が可能・食の安全保障は既に確立している。)、先を見越して、食肉需要のために飼料を大量に手に入れたのだという。大国の指導者というのは、そういう先を見通すことが必要だ。「月夜の蟹」とは、悲しいほどに質が違う。

2018年3月4日日曜日

朝日 京大・大山先生の記事

https://www.asahi.com/articles/ASL267HX0L26PLZB01Q.html
朝日新聞のWEB版に、京大の大山修一先生の記事が出ていた。大山先生は、京大のアフリカ地域研究の先生方の中でも私が最も好きな先生のお一人だ。大山先生の取り組みについては、これまでもエントリーしてきた。

ニジェールのサヘル地域で、都市ゴミを荒れ地に放置してみるというかなり変わったフィールドワークをされている。たまたまゴミを捨てた現地の人がいて、そこに草が生えて驚いたという在来知からこの話はスタートしている。その理由を探ると、シロアリだった。ゴミにシロアリがやってきて、そのシロアリのお陰で荒れ地が地力をもち、やがては農耕地に変えるという、すごいプロジェクトなのである。

単に新しいカタチの砂漠化対策、農村開発というのではなく、土壌が一般的に悪く、一方で都市化が顕著なアフリカという地で、極めて有効な環境システムの構築に繋がるかもしれないという話である。
https://www.asahi.com/articles/ASL267HX0L26PLZB01Q.html

朝日新聞との関わりはあまりない私なのだが、こういう大山先生の重要な取り組みを朝日新聞が紹介したことの意義は大きい。何も多額のインフラ支援を行うことだけがが、アフリカの開発に有効だというわけではないと私は思う。大山先生のような在来知を活かした取り組みこそが、今最も求められていると私は思っている。

大山先生、さらなるフィールドワークの成功をお祈りいたします。
(大山先生の業績などは以下の京大アフリカ地域研究資料センターで)
https://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/member/oyama.html

現在の軍事力ランキング

https://www.youtube.com/watch?v=xZam5xuePH8 このアニメーションは凄い。
Global Firepowerというところ(どこのどんな組織・シンクタンクなのかは不明)が軍事力のランキングを発表したようだ。50以上の要素(動員兵力・所有武器の査定・地理条件・兵站能力・利用可能な天然資源などと、核保有やNATOなどの集団的自営権)を総合的に評価した軍事力指数だということだ。
https://www.businessinsider.jp/post-162818

予想通りの結果ではある。上位6ヶ国は核保有国である。この指数は少ない方が軍事力が高いと判断されている。1.アメリカ(0.0587)2.ロシア(0.0929)3.中国(0.0945)4.インド(0.1593)5.フランス(0.1914)6.イギリス(0.2131)である。
次に7位日本(0.2137)、トルコ(0.2491)、ドイツ(0.2609)、エジプト(0.2676)、イタリア(0.2694)、韓国(0.2741)、パキスタン(0.3287)、インドネシア(0.3347)、イスラエル(0.3276)、ベトナム(0.3587)、ブラジル(0.3654)、台湾(0.3765)、ポーランド(0.3831)、タイ(0.3892)、イラン(0.3933)、オーストラリア(0.4072)、北朝鮮(0.4218)、サウジ(0.4302)、アルジェリア(0.4366)。これで25位まで。それ以下の国は、下記のHPで調べる必要があった。
https://www.globalfirepower.com/countries-listing.asp

26位・カナダ(0.4381)、スペイン(0.4806)、ギリシア(0.4981)、スウェーデン(0.5641)、ウクライナ(0.5664)。31位・ミャンマー(0.5991)、チェコ(0.6161)、マレーシア(0.6423)、メキシコ(0.6601)、アルゼンチン(0.6847)、36位ノルウェー(0.7098)、スイス(0.7098)、オランダ(0.7119)、ペルー(0.7163)、コロンビア(0.7281)41位・エチオピア(0.7443)、ルーマニア(0.7473)、ナイジェリア(0.7511)、シリア(0.7603)、ベネズエラ(0.7641)46位南ア(0.7864)…

…下位をのランキング国を見ていて、意外なことにブルキナファソの資料はなかった。おいおい。(昨日の今日だけに気になるところだが…。)サブ=サハラ・アフリカでは、エチオピアがトップの41位である。(シリアより軍事力があるわけだ。)ケニアは77位(1.3739)ジンバブエは81位(1.5119)。
…イラクも59位(0.9087)で意外に低い。リビアも73位(1.2096)でこの2ヶ国は一気に軍事力が落ちたといえるだろう。
…面白いのは、ニュージーランドの102位(2.0991)。先進国でありながら、オーストラリアと組んで自らの軍事力をほとんど必要としないところは流石だ。もう一つ流石なのは、最下位・133位のブータン(6.9806)。いいねえ。
…アジアでは、トルコとインドネシアが意外に軍事力が高いことに驚く。マレーシアは33位だが、経済力に見合った軍事力を維持しているようだ。かつてマラッカを襲ったオランダより今は軍事力を持っているというのは面白い。他方、ミャンマーはGDP に見合う軍事力に減らす方が周囲を安心させるだろうということもわかる。

…このランキング、信憑性がどこまであるのかは大いに疑問だが、世界を見る上でひとつの目安になると思いエントリーしてみた。

2018年3月3日土曜日

乱世になってきたという予感

http://countryballs.net/news/funny_usa_dreams/2014-05-25-614
先日から、乱世になっているような感覚が生まれたのだが、ここ数日の米・中・露の動きを見ていると、まさに乱世だといえるかもしれない。

米の12点男は、鉄鋼とアルミに関税をかけると脅している。ターゲットは中国らしいが、「貿易戦争」という極めて稚拙な語彙を使って勝利するとほざいている。国益を追求するのは、国政をあずかる全ての政治家の本分だと思うが、USスチールを救い、中間選挙対策であることは見えている。その反動は株価を始め、全世界に波及している。EUなどは鋭く反発しているし、国内からも馬鹿な経済政策だという批判が吹き出している。
1929年の世界恐慌で、各国が保護貿易に走った故に第二次世界大戦が起こった。この反省をもとに、戦後、パクス・ブリタニカからパクス・アメリカ-ナに変化した。アメリカはモンロー主義を脱し、国際協調を第一義とした。経済的には基軸通貨・ドルと自由貿易が旗印だった。しかしもうすでにそんなアメリカは存在しない。G0どころか、わがままな世界のお荷物である。そんな危険な国が、金本位にしばられない基軸通貨・ドルを自由に操れるという事実が恐ろしい。

中国では、習氏が任期を延ばし、王朝化しようとしている。これはこれで、極めて危険な状況だと私は思う。よく授業でヨーロッパの社会類型で、自由な個人と不自由な共同体の二重構造を示すが、中国は、科挙以来、これが逆さまなのだ。トップに君臨する中南海こそ不自由な共同体なのである。支配される側は自由な個人であるのが中国の特徴である。すなわち、民衆は常に自由に動く。人民解放軍もしかり。それだけ中国は内戦の可能性が高い。そもそも一つの国として見るのが無理がある。そんな中国を長期政権が支配すると、いつかほころびが出る、と私は思う。
グローバル化した現代では、中国の危機は、アジアの危機であり、世界経済崩壊の危機でもある。経済格差をどうにかしないと、中国の民衆は立ち上がるだろう。その時人民解放軍もどう動くか不確かだ。極めて危険だと私は思う。

ここにきて、プーチン氏が新しいロシアの核戦略を示して見せた。エネルギー大国として地位を確立すると共に、強いロシアの皇帝を演じて見せているようである。シリアでの成果をもとに再選をめざしているようだが、米国が米国だけに、いらぬ力の入れようであると私などは思う。国内でのプーチン批判も以前より強いようだ。

各国とも国益を追求するのは結構。当然の話ではある。ただし、国際協調を常に念頭に置かねば取り返しがつかなくなることを歴史は教えている。ドイツ皇帝のヴィルヘルム2世は、均衡外交の同盟関係を築いたビスマルクを失脚させ、3B政策を取る。権力を握った者は前任者との差異をことさら強調したいらしい。12点男の反オバマ政策のようなものだが、そこに自己保身や慢心や自己顕示欲といった煩悩が強く内在している場合、およそ成功した例は少ない。

比較的理性的に対応しているのがEUであるようだ。日本はアメリカのポチ化がかなり強まっていて、心配でならない。
…この乱世を乗り越える人材は、果たして出てくるのだろうか。