2023年10月31日火曜日

我が青春、我が白秋とともに

広報ひらかたが、昨日郵便受けに入っていたので、なんとなく見ていたら大発見をした。なんと、上田正樹と有山じゅんじのライブが11月12日に、枚方公園青少年センターで開催されるとのこと。50年来のファンである我が夫婦としては、地元だし、なんとしても駆けつけねばならない。昨夜早速メールし、今朝返信の電話でチケットも予約できた。

予約が無事終わって、妻と話していたら、我が高校では放送部が彼らのデビューアルバムである「ぼちぼち行こか」の中の「大阪へ出てきてから」を毎日昼休みに流していたよね、と言っていた。たしかにそうだった。変な学校である。(笑)いや、近くの普通科2番手の府立S高校でも、友人が見せてくれた修学旅行の歌集に、同じアルバムの「俺の借金全部でなんぼや」が載っていた。実際、バス車中でアカペラで歌えたかどうかは不明。(昭和の時代は、こういうバス内でみんなで歌う歌集などをつくっていたものだ。)

おそらく、我が生涯で、最も多くライブにいったのは、上田正樹だと思う。かの「悲しい色やね」がヒットして、黒柳徹子が司会のベストテンという番組が生中継した大阪・バナナホールに私もいた。T商業高校の我がクラスの掲示板に、その時のポスターを貼っていた記憶がある。ホントまだ若かった頃だ。我が青春とともに彼らはある。

おそらく小さなホールだし、バンドを引き連れての、R&Bやソウルではないだろう。もう70歳を超えているはずだし。こっちも白髪になっているし、キー坊(上田正樹のこと)もこのところ毛糸の帽子を被っている。…我が白秋とともに彼らはある。

2023年10月29日日曜日

葛根湯の季節(柿仕事Ⅲ)


体の抵抗力は、言うまでもなく非常に重要である。花粉症もひどいのだが、特にこのところ寒暖の差が激しくなっているので、風邪を引かないように気をつけている。葛根湯は、風邪薬というよりは予防薬という感じである。鼻炎に対しては、四国以来、市販品ではないディレグラという強い薬を愛用している。この2つの薬を1日ごとに服用している日々である。(ディアグラは、強すぎるので毎日飲むとよくないらしい。)

というわけで、今日も柿仕事。第3弾である。ベランダにはかなりの数が並んだ。妻によると、132個の柿が吊るされている。この三分の一くらいは、私の猫の手である。(笑)

カナダ&モントリオールの話題

https://ameblo.jp/miyukaze/entry-12394081558.html
You Tubeの「しげ旅」はモントリオールに入った。モントリオールとくれば、3つの事柄が思い浮かぶ。

1つ目は、1970年(私が中1の時である)の大阪万博の1つ前のモントリオール万博。この頃は、万博に興味津々で、アビタ67(上記画像参照)という建築物の印象が強い。万博閉幕後アパートとなった。この時期、私は建築に非情に興味をいだいていて、建築関係の雑誌(扶養社の新しい住まいの設計とか)を夜店の古本屋(実に”昭和”を感じる)で買っては夢を膨らませていたのだ。このアビタ67には大いに刺激を受けた。なんとカッコいい建築物かと今も思う。もし、モントリオールに行っていたら、なによりもまずここに駆けつけていただろう。しげ旅では、元万博会場として、川向うの遠景だけしかなかったが…。うーん残念。

2つ目は、オゾン層破壊を防ぐためのフロンガス規制を決めたモントリオール議定書である。これは、環境問題におけるちょっとした受験スキルである。(笑)少し調べたけれど、モントリオールのどこで採択されたかは不明。ちなみに、この議定書に関係する事務局は、ケニア・ナイロビにある国連環境計画(UNEP)らしい。私が、JICAのケニア研修旅行で、水虫治療のため、皆とともに行けなかった国連施設である。

3つ目は、M高校英語科担任時代の教え子の留学先であることだ。神戸市外大の出身で、英語とフランス語が両方学べるということで、モントリオールに留学した。ここで、メキシコ人の男性と知り合い、現在はチワワ在住。結局、英語・フランス語だけではなく、スペイン語も堪能となった。今はヤンママになっているが、Facebookの写真を見ると、面影は高校時代そのままである。(笑)

モントリーオールの次は、首都のオタワかなと思っていたら、トロントまで行くみたいだ。オタワは、カナダの首都であるが、たしかに国会議事堂以外見るべきものもなさそうだ。私が教育委員会の研修旅行で訪れたのは、ハロウィン真っ最中。ブラブラ歩きをしていて、アイスホッケーの練習を自宅前でしていた現地の高校生と交流できたりして印象はとてもいい。カナダ人は、ホント、おとなしいアメリカ人(カナダ人はこの文章化にはきっと怒るだろうと思う。大体アメリカ人と言われるのが最も恥辱らしい。)という感じなのだが、最近、カナダという国家的には揺れ動く国際情勢の中で、あまり良い印象がない。

カナダには、WWⅡ時のウクライナのネオナチ組が多く移住していて、以前から反ロシア活動を支援していた。今回のウクライナ紛争にも陰で一役買っている。また、10月には、バンクーバーで、シーク教の指導者が暗殺された。インド国内でシーク教徒の独立を指導する人物だったが、インド政府はテロリストとして手配しており、カナダのトルドー首相は、この暗殺はインド政府によるものという見方を示したことで、インド政府は反発、互いに批判しあい、外交官をそれぞれ国外追放するような関係になっている。なんか、カナダの国民性とは異質の展開で、国家としては、だいぶイメージが悪化しているわけだ。

2023年10月28日土曜日

イスラエルの地上戦 考

https://www.afpbb.com/articles/-/2304409
イスラエルが、ガザに対して、日時は伏せたうえで本格的な地上戦を行うと公式発表した。これはかなり無謀だと言わざるを得ない。様々な情報を元に考察すると、そういう結論になる。

まず、ガザの地下通路の問題。ベトナム戦争時のように縦横に張り巡らされた地下通路に、ハマスの司令部や兵器工場や弾薬庫などが存在しており、通常の空爆でこれらの破壊は不可能。アメリカ軍の貫通爆弾・バンカーバスターなら最大60mまで攻撃可能だが、かなりの高額な爆弾であり、これをアメリカ軍が供与するだろうか。イスラエル空軍のF15には、搭載可能なようなだが…。

情報によると、アメリカ軍のミサイルや爆弾の在庫は、ウクライナに供与しすぎて、かなり数的に厳しいようだ。WWⅡやベトナム戦争時と違い、こういう高性能兵器はそう簡単に増産できないと思われる。2つの空母打撃群とともに運んでいるようだが、国際世論の中、イスラエルに供与できるだろうが、何よりその数は無尽蔵ではない。

アメリカという国は、戦争になると一つにまとまりやすい特徴がある。平時でも星条旗が国内に溢れていて、日本とは噴泥の差がある。多民族の移民国家故に、国家・国民という意識が濃い。だが、今回のハマスとイスラエルの戦争は、毛色が違う。アメリカ本土が攻撃されたわけではない。ハワイやNYCが攻撃されたわけではなく、先日エントリーしたように、国務省内でも反対意見が出ており、多民族国家の民族的な軋轢も生じていくだろう。大統領府や議員は、ユダヤロビーに動かされるだろうが、一般人は、情報過多の中、様々な意見が生じるだろうし、なかなか団結できないのではないか。しかも、インフレと財政難、米国債の価値の低下など経済問題が大きな足かせになっている。アメリカ人は、税の使い道について極めて敏感である。これは、日本のような企業側主体の天引きの納税システムではなく、全て自己責任で納税処理するからである。自分が出した税金がどのように使われているか、アメリカ人は敏感である。莫大な戦費を必要とする今回のイスラエル支援、行きは良い良い、帰りは怖いになりそうな気がする。

イスラエル 戦車博物館にて
イスラエル国内も一枚岩ではない。シオニストばかりではないのである。徴兵されない超正統派は、非シオニズムであるし、実際に死ぬ可能性が高いのは若い世俗派である。彼らは、反ユダヤ主義に立ち向かう世界観を教育で叩き込まれているとはいえ、死ぬのはいやだと考えているはずだ。士気が高いとはいえないと私などは思う。実際、イスラエルの陸軍は、メルカバという世界有数の戦車を保持している。このメルカバ、イスラエル行で戦車博物館で上に乗ったこともあるが、人命優先の装甲になっている。人口がそんなに多い訳では無いイスラエルで兵士の命を守ることは重要だからである。もし、今回の地上戦で多くの人命が失われたら、ソマリア内戦でのモガディシュの戦闘時にアメリカのママが、なぜアメリカの兵士が死ななければならいのと叫んだように、イスラエルのママが叫ぶことになるかもしれない。

最大の懸念の一つに、ガザの地上戦に集中した場合、レバノンのヒズボラが、手薄になった北方から攻撃してくる可能性が極めて高いということがある。いくら強いと言われるイスラエル軍であっても、南北両面の地上戦は圧倒的に不利である。しかも、空軍はまだしも、陸軍は戦車の性能はいいとはいえ、歩兵はそんなに強くないと言われている。地上戦を仕掛けられたら、かなりヤバいのである。アメリカ軍は海兵隊も連れてきているが、そうなれば北部に海兵隊を置くかもしれない。

そんな展開になれば、さらにこの戦争は拡大するだろう。とはいえ、シオニストで強硬派のネタニヤフは、ユダヤの威信をかけて、何が何でもハマスをガザから追い出そうとするだろう。多くの人命が、その威信のために「供物」となるわけだ。国連では、この戦いを止めようとしているが、もう遅きに失している。平和学では、仲裁は初期に失敗した場合、次の機会はおたがいに疲れるまで待たねばならないとしている。どうか私の考察が見事にはずれますように。シャローム。

花粉症の季節(柿仕事Ⅱ)

引き続き、(渋柿の皮を向き、吊るす)柿仕事第2日目。学園では文化祭当日なのだが、今年は花粉症が酷く、行くのを断念した。柿をむいていてもティッシュが離せない。秋の花粉症は、春以上に苦しい。

ところで、妻と、柿を剥くときのバックミュージックは、加川良の”アウトオブマインド”、昔の関西フォークがよく合うのである。

2023年10月27日金曜日

干し柿の季節(柿仕事)

昨年は、自家製の干し柿をずいぶん楽しんだ。今年も、ということで、京都・八幡市の「旬の駅」で、渋柿を大量購入してきた。今日は、まず柿仕事・初戦ということで、皮を剥く。普段家事など全くしない私も包丁を持って小さめの柿を剥く。妻のほうが3倍以上早いのだが、猫の手となって頑張った。(笑)

この後、荷造り用のロープに枝を絡ませて、ベランダに吊り下げた。意外にこの作業も面白い。味合うのはだいぶ先だと思うが、今から楽しみである。

Wall Drug Store

https://www.walldrug.com/about-us
R80沿いの"IOWA 80"のことを昨日エントリーした。アメリカのフリーウェイは、東西が偶数、南北が奇数になっており、インターステート(州間高速道路)は、それぞれ南と西が数が少ない5の倍数になっている。昨日のアイオワを走るR80は東西の道で、わりと北にあるインターステートだ、というのが、数字だけでわかるようになっている。

今日のタイトルになっている”Wall Drug Store”は、R80の北にあるR90沿いにある店だ。サウスダコタ州ウォールという小さな街にある巨大なお土産屋である。サウスダコタ州の州都ラピッドシティから、R90を東に走っていくと、道端に次々と看板が出てくる。(笑)他に看板などない田舎なので目立つし、期待が高まっていく。

ウォールは、バッドランズ国立公園の観光拠点である。このバッドランズは、映画”ダンス オブ ウルブス”のロケ地として有名で、他にも”アルマゲドン”でも使われていたらしい。展望台で、知り合ったハーレーダヴィッドソンのナイスガイがメーン州(アメリカの最も北東の州)から来たというので驚いた。君はどこから?と聞かれ日本だと言ったら、「君のほうが遥かに遠いではないか」と笑われたのを記憶している。

ところで、このWall Drug Store、元は薬局だったのだが、売り場面積を拡大していったのはいいが、ドンキーホーテを古びた感じにしたコンセプトが分からない店だった。期待の割に、やはり田舎臭が漂う店だった。(笑)インパクトは、絶対"IOWA 80"の方が上である。

2023年10月26日木曜日

IOWA 80

https://iowa80truckstop.com/
学園は、今日、文化祭の準備日で、私はお休みである。You Tubeを見ていたら、アイオワ州のR80にある世界一大きなトラックステーション(Iowa 80)の探訪番組があった。

https://www.youtube.com/watch?v=EsRPGW7IuOE

900台のトラックが駐車でき、24時間営業のサービスエリアの広大な店内には、トラックの関係用品や、スーパーマーケット、レストラン、お土産店、コインランドリー、歯医者・散髪屋から、昔の変わったトラックの博物館まである。場所を調べてみると、アイオワ州の州都デモインからシカゴに向かって走ったところで、ミシシッピ川のだいぶ手前になる。M高校のアメリカ研修旅行でシカゴに向かって走ったR80の道沿いだった。

後半に、トラック運転手が、運転席中央から垂れ下がる紐で、子供が鳴らしての合図をしたら、これを引っ張りホーンを鳴らすのだと説明するシーンがある。C組のバスでは、コーディネーターがそれを教えてくれたので、バス車中から、ホーン鳴らして、と何度も何度もリクエストして、鳴らしてもらっては喜んだ記憶がある。こういう余裕こそが、本来のアメリカなのだが…。

2023年10月25日水曜日

米・国務省職員の正論

https://countryballs.
net/map_of_israel/5376
先日、アメリカの人々は、どう考えているのかと記したのだが、国務省の外国への武器援助を監督する部長・ジョシュ・ポール氏が、19日、抗議の辞職をした。今アメリカで話題になっているようだ。彼の意見をエントリーしておきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=6dA0VMApvA0

https://www.cnn.co.jp/usa/35210517.html

"Blind ssupport for one side" 「一方への盲目的な支援」が問題である。イスラエルとパレスとなの人々双方にとって、ますます深い苦しみを与え、長期的なアメリカの利益にならない。梅田政権も議会も、この状況に対して深く考えずに衝動的に反応しているだけで、パレスチナに対する偏見、政治的な都合(ほとんどの上下両院議員がユダヤロビーから多額の献金を受けている。)、知的な破綻、官僚的な惰性である。アメリカの連邦法では、人権違反する者には武器を渡さないことになっている。ガザの200万人に水・食料・医療、電気などを奪ったイスラエルの行為は人権違反故に、報復とはいえ、(法律上)武器を渡してはならない。議会は、機能不全を起こしており、イスラエル支援の予算要求に議会は反発していない。議論すらない。これは、「白紙委任状」であり、イスラエルは、今の世代のパレスチナ人を殺し、次の世代のパレスチナ人の敵をつくる。悪のループとなる。アメリカは、イスラエルの人権侵害ではなく、安全保障だと述べているが、これは偽善である。イラクでもアフガンでもベトナムでも、この平和安全保障という意義付けで支援してきた。事実は、一方への盲目的な支持は、長期的には双方の人々の利益の破壊だ。全く道理にかなっていない。

…このジョシュ・ポール氏の言っていることは、極めて正論である。アメリカは、たしかに盲目的な支援を行い、世界各地で双方の利益を破壊してきた。ただ、アメリカのイスラエル支援は、アメリカという国家にとって(ウクライナ以上に)かなり優先順位が高いことも事実である。またアメリカの議員は、日本以上に様々なロビー活動で政治資金が動いているのも現実である。私は、正論だと思うが、正義なのかは、…わからない。ただ一つ言えることは、アメリカの民主主義の残滓は、まだ存在している、ということだ。

2023年10月23日月曜日

アシュケナジ

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11261341681
授業変更があって、今日は昼から4時間連続の授業であった。日程上仕方がない変更だった。長い教師生活でも最強のピンチだったが、なんとか良い授業をやりきって、その後、2時間かけて帰ってきた。(笑)今日の「公共」の授業のメインは、キリスト教の本質的な話で、映画『エレファント・マン』を紹介しながら説明した。2年生の3クラスとも真剣に聞いてくれた。その後、ユダヤ・キリスト・イスラム各宗教の補足説明としていて、「アシュケナジ」についても話した。こういう語彙を記憶に残していくことは決して無駄にならない。事実、私がミルウォーキーで、イスラエルから来たユダヤ人留学生と出会ったが、彼の祖先がドイツ出身であることを聞いて、「君はアシュケナジなんだね。」と言ったら、大喜びで握手を求めてきたことがある。その後、漫画・ドラゴンボールの先行きのネタばらしをしたが、これにも大喜びしてくれた。(笑)

ちょうど、今読んでいる前述の「ユダヤ人の歴史」(河出文庫)もアシュケナジの章に入ったので、今日のエントリーはアシュケナジにまつわるエピソードをいくつか…。

実は、息子はアシュケナジ特有の言語である、イディッシュ語が出来る。ドイツ語が母体で、ヘブライ語の要素が混じり、ポーランドなどの東欧に来てからはスラブ語の要素だ加わった言語で、ヘブライ語のアルファベットで綴られる。ポーランドでのタクシー運転手が、英語を解さなかったので、息子がイディッシュ語で話して事なきを得たこともある。

ルターは宗教改革初期、教会批判の理由の一つにユダヤ教への迫害を挙げていた。これは教皇の権威の否定と聖書以外の権威を認めないという彼の主張がユダヤ教徒の改宗につながると目論んでいたらしい。しかし改宗は進まず、一転してユダヤ人を”不愉快な害虫”と呼び、ドイツにおける反ユダヤ主義を強めた。ドイツ農民戦争でもそうだが、どうもルターは状況が変われば手のひらを返す人物に見える。

1555年、教皇パウロ4世が、教皇領のユダヤ人をゲットー内に隔離することを命令した。これに先立つ1516年にベネチアで最初のゲットーが作られた。ゲットーという名称は、この地方の方言で鋳造所を意味する。最初の地がたまたま鋳造所跡地だったところから来ている。

まだ途中だが、相変わらずユダヤ人虐殺の記事が、次々と出てくる。これまでの歴史の中で、ユダヤ人はどれくらい虐殺されてきたのだろうと思うと、今回のハマスとの争いなど歴史のほんの一瞬の一コマのように感じてしまうのだった。

2023年10月22日日曜日

現時点でのハマス・イスラエル

https://www.christiantoday.co.jp/articles/32868/20231019/hundreds-feared-dead-at-christian-hospital-in-gaza.htm
ハマスとイスラエルの戦争については、様々な情報が流れている。特に、病院に対する攻撃が国際世論で話題になっている。米・英・仏などは、ハマス側のロケット弾発射の失敗だと言い、イスラエルは、最初ハマスの拠点があった病院を空爆によって攻撃したと発表、すぐにそれを打ち消し、過去の動画を配信したりして急にごまかそうとしている。近隣のアラブ諸国は、この攻撃に強く反発している。

当然ながら、民間人への攻撃は国際法違反である。「人間の盾」という作戦をハマスが取っているのは現実だが、そもそもあの狭いガザは、事実上の強制収容所であって、民間人への攻撃が起こりうるのはやむを得ないとイスラエル軍は考えているだろうし、自分たちがかつて、ディアスポラ時に、キリスト教徒の様々な地で行われた迫害・虐殺の歴史、各イスラム王朝でも為政者によっては、行われた迫害・虐殺の歴史から導かれるところの、彼らの殺す側の論理・殺される側の論理(=虐殺は大問題ではない)で、パレスチナ人を人間扱いしていない面があることは否定できない。

イスラエル行の際に、前述の安息日のディナーで大家さんの奥さん(高校の音楽の先生)が教えてくれて、知ったことだが、娘さんが幼稚園ですでに、ユダヤ人は世界中を敵に回していることを教えられていると言っていた。またイスラエル在住の高校生はアウシュビッツに修学旅行に行く。そこでユダヤ民族がいかに虐殺されたかを肌身で感じて帰ってくるそうだ。また、高校生は、卒業後に男子は3年、女子は2年の兵役が義務付けられているので、大学進学を考えている生徒もガツガツ勉強しないそうだ。どうせ兵役につき、平和日本では想像だにできない常時戦時中のイスラエルでは、運が悪ければ死ぬかもしれないという現実に直面している故である。極めて優秀な生徒は、サイバー部隊である8200部隊などに配属され、エリートとして育てられるたりするが、一般の高校生はペシミストとならざるを得ない。平和日本の常識など、イスラエルには通用しないのである。

とはいっても、イスラエル国民全員が、一枚岩で好戦的であるというわけではない。事実、ネタニヤフへの批判やデモは行われているし、即時停戦を望む声は強い。なにより、国民の1/3が国外脱出を希望しているという。イスラエルに行ってわかったのだが、ユダヤ人といっても多種多様である。アシュケナジやスファラディなどの出身地による違いも有るし、兵役義務も納税の義務もない超正統派から、正統派(この分類に入る人々が入植している場合が多い。)、ユダヤ教の律法をあまり守らない世俗派(この分類に属する人々が事実上イスラエルの国家財政や兵役を支えている。)まで幅広い。世俗派はいかにも、フツーのアメリカ人という感じである。「国家(家庭)内別居」という表現をしていた本もあるが、まさにそんな感じである。

すでに、休戦をハマス側が提唱しているという情報もあるが、ネタニヤフ政権は、過激な右派との連立政権であり、これを拒否している。ここで引いては、政権が持たないと判断しているのではないか。国民の命など二の次だという権力者の本性が見え隠れする。ハマスの、ある意味やむを得ないかもしれない「人間の盾」と同じである。

アメリカは、さらにもう1つの空母打撃群と海兵隊を載せた強襲上陸艦を地中海に向けている。ハマスや同調するイスラム復古主義の過激派集団への圧力だとしているが、民主党政権と軍産複合体の戦争屋の金儲けの影がちらつく。アメリカ国内は、インフレ、財政悪化、治安悪化などの問題が山積みの最中である。ユダヤ教徒にイエスを救世主として認めさせることを宗旨としている原理主義者は、イスラエルを護ることは、アメリカの責務(ユダヤ人がいなくなると宗旨が実現できない故)だと考えているだろうが、フツーのアメリカ国民は何を思っているだろうか。

すでに、現代の国際情勢では、情報統制によって隠されているものの、SNS等の進歩で、そういう権力者の本質や戦争の本質を見抜いている人々が増えている。このままでは、類が世界に及ぶと考えている人々が増えているのだ。ハマス側にもイスラエル側のどちらにもつくつもりはないが、私もその一人である。

2023年10月21日土曜日

同志社前近くに柿を買いに行く

秋の味覚といえば、柿である。今朝は、京田辺の同志社大学の近く(タイトルの同志社前というのはJR学研都市線の名称である)、「普賢寺ふれあいの駅」に行ってきた。比較的小さな「道の駅」なのだが、柿はもちろん、新鮮な野菜や餅の和菓子なんかも売っていた。私はなかなか気に入ったのだった。http://fureai-st.com/index.html

昔、綴喜郡田辺町と呼ばれていた頃に私は住んでいた。普賢寺近辺はあまり代わってはいなかったが、同志社大学が出来、JRが電化され、京田辺市となり、大いに発展していて、完全に浦島太郎状態である。私の住んでいたころの面影は少しずつ残っていているのだが、ホント、店舗やレストラン、それに学生アパートなどが増殖していた。(笑)

学園の生徒に聞くと、地元の関学人気は相変わらずだが、同志社人気がかなり高まっている。大学受験関連のYou Tubeもよく見ているのだが、同志社の位置づけは関関同立の中でも、頭一つ抜けていて、早慶には及ばないものの、MARCHの筆頭とされる明治大と肩を並べているのだとか。

昔は、商業高校や工業高校が長かったので、受験教育など眼中になかった。進学校であるM高校に転勤してから受験修行となったわけだが、以来様々な大学を調べてきた。関西主体だったのが、マレーシア・PBTで留学指南をする中、全国に拡大した。今の学園でも、東京志向の生徒もいる。受験形態も様々に変化してきた。文科省の私大定員制約によって、国公立においてさえ、推薦型が増加した。

共通テストを受験し、各大学の入試を突破するというのが、王道だとは思うのだが、受験の社会科を考えると、学習範囲の膨大さ故に、歴史や地理、政治経済や倫理の面白さは犠牲にされているように思う。王道を歩んだ高校生でさえ、大学で学ぶ時、その浅さに気づくのではと思う。まあ、無知の知に気づくことが早いほどいい。推薦型の高校生は、好きなことは好きで、専門性を持ち、深く学ぶ素養が、受験の時点ではあるように思うが、どっちがいいのか、私にはわからない。

久しぶりに、同志社の学舎を目にして、そんなことを考えていたのだった。

2023年10月20日金曜日

追憶:アンカレッジ空港

You Tube「しげ旅」のアラスカ偏がアップされた。私は、アラスカの地に、ほんのちょっとだけ足跡を残している。ニューヨークから、ソウルに向かうアシアナ航空便が、アンカレッジ空港に給油のため寄ったからである。といっても真夜中の空港だけなのだが…。

ひとり旅の最終章は、いつも疲れから失敗してきた。ブルキナファソでは、交差点でバイクに跳ねられそうになったし、アリゾナでは、レンタカーを駐車した場所をビル一つ間違えて、パニックにもなった。アンカレッジの時も、あやうくカードで買い物した後、カードを受け取るのを忘れて、店員さんが追いかけてきた。そんな恥ずかしい思い出しかないのだが、これまでの「しげ旅」エントリーの流れで、記しておこうかと思った次第。

「しげ旅」では、オーロラを見たり、アラスカ鉄道に乗ったりと、なかなか楽しませてもらった。相変わらず物価が高く、アメリカは遠くなりにけり、という思いがますます強くなっていくのだが…。

「ユダヤ人の歴史」を読む

このところ、ハマスとイスラエルの「戦争」の件でもちきりである。と、いうわけではないのだが、「ユダヤ人の歴史」という文庫本を通勤時に読んでいる。著者はアメリカのユダヤ人にしてかなり権威ある人物であり、完全なる学術書である。

すでにローマ時代に布教を禁じられており、その伝統から民族宗教から脱し得なかったことなど、気になった箇所は多々あるのだが、何よりもユダヤ人の迫害・弾圧の歴史は長く、そして深い。虐殺された歴史的事件は数限りない。私もユダヤ教に関心を持って長いし、およその歴史的なことも把握しているつもりだったのだが、まだまだである。この本の著者は、特にスフラディの研究者であるので、スファラディの話が比較的多い。スファラディはスペインなどのイスラム王朝下で繁栄し、レコンキスタで大きな迫害を受けたユダヤ人が中心の集団のことである。

今日読んでいて、ちょっと意外だったのは、ツファトという街の話が出てきたことである。ツファトは、ガリラヤ地方の北部にある美しい街で、実は私もイスラエルに行った際、訪問したことがある。スペインから放逐されたスファラディが、この街に暖かく迎えられ発展したという。この街は、神秘主義(カバラ)が盛んな街としても知られている。そういえば、お土産物屋さんに「生命の樹」を描いたものがたくさんあったという記憶がある。

ところで、国際世論では、ハマスが有利なようだ。イスラエルとアメリカに批判が集まっており、平和的な解決=仲裁を期待する声が高まっている。当然である。しかし、日本政府はアメリカ・梅田べったりで、国連でのロシアの仲裁案に対して、米英仏とともにたった4カ国で反対している。パレスチナ問題のそもそもの責任はWWⅠ後の英、それに仏にある。WWⅡ後イスラエルの存続を保証してきたのは米である。全く関係のない日本が、これらのグループに入るというのは、やはり違和感がある。K政権はまさに、米の操り人形だと世界に知らしめることになった。別に私は、ハマス、イスラエルどちらの見方でもないが、平和的解決に反対するとは、日本の国是である「平和国家・日本」も地に落ちたものだ、と言わざるを得ない。

2023年10月19日木曜日

オレンジアロー連

https://inouetakahilog.blog.fc2.com/blog-entry-230.html
このところ、6:10発の電車に乗って、さらにバスで通勤している。学園には門が2つあって、神鉄に近い門は、校舎までの坂がかなり急である。市立図書館に近い正門は、なだらかな長い坂になっている。疲れているのか、だんだん、緩い坂のほうが良くなってきた。正門には、神鉄駅からでも行けるけれど、バスに乗ればもっと近い。というわけで、バスを利用するようになったのだ。

いつもは、アウトレット行きに乗るのだが、昨日、今日と関西学院大学行きに乗った。普通のバスもあるのだが、「オレンジアロー連」という連結バスもある。昨日はこれに乗った。なかなか格好いいのである。(笑)当然ながら、関学の学生が乗客である。4つ目の停留所で降りるのだが、いっぺん関学まで行ってみたいなという気がしている。

2023年10月18日水曜日

見殺しにする側の論理 2

https://www.ungcjn.org
/sdgs/goals/goal16.html
倫理の授業は、生命倫理から環境倫理に入ってきた。ところで、「教育」というものは、国策によって大きく左右されると、以前国際理解教育学会の講演で東大の先生から学んだ。明治初期の学制が出来た当初は、国民皆兵の国策のもと、東北の訛を矯正することが主眼に置かれた。例の「ハト、マメ、マス」で始まる小学校の教科書である。標準語で軍隊を統制するためである。さらに、天皇崇拝の教育が、御真影や教育勅語で推進され、戦後は、平和教育、民主主義教育。そして我々の世代から人権教育。そして今は環境教育、であるといえる。この環境教育は、地球市民教育(=ESD:持続可能な開発のための教育)につながる。

というわけで、地球環境問題を軽くおさらいした後、SDGsを語ろうということになった。その前提として、MDGsを教え、比較することにした。MDGsは開発途上国を対象にしている。SDGsは、途上国だけでなく先進国や中心国を含めた全世界を対象にしていることが重要である。

このキーワードとなるのが、「包摂的」という語句だ。難解な語彙だが、SDGsの脈略から見ると「誰ひとり取り残さない。」という意味である。途上国の人々も、先進国・中進国の人々も、誰一人取り残さないというわけだ。素晴らしい理想であるのだが、現実は厳しい。今日のエントリーは、「見殺しにする論理の第2回」である。なぜ、見殺しに出来るのか、あるいは殺す側に回れるのかという哲学的宗教学的な思索をしてみたい。私は、これを一神教的な排他性だと批判せずにはおれない。一神教を信じる友人や教え子もいるのだが、彼らを批判するわけではなく、あくまで一神教の持つ排他性について批判したい。

ユダヤ教に始まる一神教だが、ユダヤ教徒は「選民」であることをことさら意識する。故に多神教は当然、同じ一神教でもキリスト教やイスラム教に対して排他的である。同じユダヤ教徒でさえ、超正統派は、正統派や世俗派に対して選民感を露わにしていることをイスラエルで実感した。ディアスポラで世界中に散らばった後でも、共同体を頑なに守り続けた。ユダヤ教徒は歴史的経過から、改宗を勧めない。(ディアスポラ中の弾圧・迫害の中で、改宗には極めて慎重になった。)よって、「選民」のDNAはさらに極めて強くなったと感じる。パレスチナ・アラブ人に対する非人道的な行動は、第三者である我々から見ると信じられない行動だが、そのDNAがさせる業であろうし、彼らが受けてきた弾圧・迫害のDNAは、他者にこれを行うことも凡常と見ている面もある。

キリスト教は、愛の宗教であり、隣人愛を説くが、これもまたキリスト教徒内(もっと言えば、カトリック内、オーソドックス内、各プロテスタント宗派内)での隣人愛であることが、目につく。ローマ帝国でユダヤ教徒が市民権を得た後、キリスト教が国教化すると同時にユダヤ教への弾圧が始まる。世界史上の幾多の宗教戦争もしかり。アメリカのカルヴァン派の中でも「回心」した者とそうでない者の差は大きい。よって、キリスト教という大枠、各宗派、さらにその中でも隣人愛への差があるといえよう。

イスラム教は、ユダヤ教徒を(神の)お怒りを被った者、キリスト教徒を迷い去った者として、礼拝時に常に批判しているが、同じ神を信じる者として、歴史的に多神教徒より数段上の一体感を持っている。もし、シオニズムがなければ、ユダヤ教徒とこんなに争うことはなかっただろうと思われる。だが、一方で、ジハードの概念を持ち合わせており、カリフの元、世界を統一するという原理が有るのも事実だ。復古主義者のハマスなどは、パレスチナの歴史も踏まえて、ユダヤ教徒を蛇蝎のごとく見ており、不信仰者へのジハードの対象としていると見える。

大乗仏教では、「平等大慧」として、全ての人間に仏性があり尊いと見る。一神教のような「選民」「宗派内の隣人愛」「不信仰者へのジハード」などといった人間の区別は存在しない。SDGsの「包摂的」という語彙がしっくりくるのは、大乗仏教であると私は思っている。もちろん、一神教を信仰する人の中でも、私のマレーシアでの教え子たちをはじめ、この「平等大慧」を理解できる人々も多いはずだ。混迷の時代を「包摂的」にリードできるのは、東洋の智慧だと思う次第。

2023年10月16日月曜日

エジプトの蹉跌

https://www.facebook.com/PolandballClub/photos/a.
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今回のハマスとイスラエルの戦争とウクライナ紛争で、エジプトが窮地に置きこまれそうだ。エジプトは、ナイルの賜物と言われていたのは過去の話で、エチオピアが電力供給のために上流でダムを建設し、水量が大幅に下がっているらしい。現在では食料自給率が45%ほどに下がっており、ロシアやウクライナから小麦を輸入していた。ロシアからはともかく、ウクライナの小麦が輸入できなくなっており、食の安全保障が危機にさらされている。

エジプトに、ガザからの難民が押し寄せる可能性が極めて高い。イスラエルは、まず北部の壊滅を目指しているが、南部が以後も無事であるわけがない。エジプトも難民の受け入れを公式発表したようだが、その影にIMF(=アメリカ)の影が見える。経済的に行き詰まっているエジプトはIMFの支援を受けているのだ。断れば支援を止められるはずだ。

もちろんイスラムの大義もあるだろうが、実は複雑である。アラブの春で、ムバラクが退陣した後、ムスリム同胞団が選挙で勝利した。このムスリム同胞団からハマスが生まれている、ムスリム同胞団を押しのけた現政権としては、ハマスは政敵に等しい。経済不安に加えて、治安の悪化も予想されるわけだ。

2023年10月15日日曜日

Sturm und Drang

昔々、北杜夫の旧制松本高校での話である「どくとるマンボウ青春期」(画像参照:私が読んだのはもっと古い版)を読んでいて、疾風怒濤(Sturm und Drang:シュトゥルム・ウント・ドラング)という語彙が出てきた。まさに、嵐のような青春時代を表現するにふさわしい語だと思った。大学で、心理学の時間に、青年期の心理として極めて重要な概念だと習った。

現在の倫理の教科書では、この語は出てこない。青春期の特徴としての「第二の誕生」だとか、アイデンティティの確立だとか、欲求の問題なんかで、正直私などはピンとこない。だから長い間倫理の授業をしながら、共通テスト(旧センター試験)に際しても、この学習内容は、読めばわかる、いわゆる暗記モノとして無視してきた。だが、今回は、時間に余裕がったので、さらっと流しながらも、「Sturm und Drang」についてはちゃんと語ったのだった。

思えば、私の高校時代も大学時代も、Sturm und Drangとしか言いようのない時期だった。様々なことで悩み、苦しみ、立ち上がっては倒れして過ごした貴重な時間であった。授業であまり細かいことは言っていないが、なんとなく伝わったように思う。

学園では、一般入試突破組が中心で、推薦系の入試を受ける生徒は少数派なのだが、志望理由書などでアドバイスをしてほしいとか、小論文や面接指導などもやっている。まあ、頼ってきてくれるのは嬉しいし、やり甲斐もあるので対応している。結局、この時点での各生徒のアイデンティティを確認させる作業になる。おそらくさらに「Sturm und Drang」の中で再構築されていくと思うのだが、いい機会ではあると思うのだ。

見殺しにする側の論理

https://twitter.com/uighurandjapan/status/1478472193965187075
昔々の学生時代、本多勝一の「殺される側の論理」「殺す側の論理」というベトナム戦争を扱った本がベストセラーだった。もちろん私も読んだのだが、今日は「見殺しにする側の論理」というタイトルで、今の国債情勢をすこし考察したい。

ハマスによるイスラエルへのロケット攻撃と地上侵攻は、戦争と化した。連日様々な報道がなされており、日本を含めた西側諸国は、イスラエル支持が濃厚だ。ハマスや復古主義の過激派は、イスラム義勇兵を全世界に呼びかけている。ISもすでに国家機能や領土はないとはいえ、フィリピンやアフリカにその支持基盤を有している。ガザに来なくとも、居住地でイスラエルを筆頭に反イスラム勢力に対するテロが世界的に拡大する恐れは十分にある。

ところで、今朝中国問題を専門に扱うYou Tubeチャンネルを見ていて思ったのだが、ウィグルに対してはイスラム諸国は、実に冷淡である。ガザも酷いが、ウィグルも酷い。ここには、アラブ系、トルコ系という民族的な相違があることが主原因であるといえそうだが、最も近隣の復古主義集団・タリバンは結局中国政府と和解しており、ウィグルには無関心を装っている。多くのイスラム諸国も沈黙している、これはどういうことか?というのが、今回の中国専門のYou Tubeチャンネルの趣旨だった。

サウジなどは、ウィグルで臓器提供手術を受けている。カシュガル空港に病院への経路を示すアラビア語の標識(画像参照)があるほどである。ウィグルの人々は虐殺され、その臓器をビジネスに利用されているのだが、食生活のタブーが同じイスラム教徒に人気なのだという。恐ろしい話だ。ガザも青空強制収容所だが、ウィグルの非人道性も負けていない。

You Tubeチャンネルでは、結局のところ、これらの闘争を指揮している側の人間と、これに宗教的情熱を利用されている一般人が存在し、指揮している人間は、戦争による利益を得る構造になっているとの主張がされていた。ハマスには、その利用価値をもつイランなど、イスラエルには、英米から武器や資金援助が流れ込む。だが、ウィグルには、そんな利用価値を感じる国がない。おそらくは、近隣の中央アジア諸国は忸怩たる思いだろうが、中国相手に戦う余裕はない。故に、ウィグルは見殺しにされいるのであると。この「見殺しにする論理」国際社会の非情なパワーとマネーの所産であることは間違いない。

2023年10月14日土曜日

JR宝塚線 不思議な杖事件

このところまたJRの遅延が続け様に起こっている。昨日も乗っていた快速電車で急病の人が出たようで、緊急ボタンが押され、6分ほど遅れた。こういう場合は致し方ない。ところで先日、私も巻き込まれる「事件」があった。少し日にちが経過し、もう時効だと思うのでエントリーしておきたい。

私は、プラットホームで木津行きの快速を待っていたのだが、その前の普通電車が出る直前だった。近くにいたお爺さんが、閉まる直前のドアに杖を突き刺した。昔、こういう場合ドアが一度開いたので、この普通電車に乗りたかったのだと推測する。しかし、杖はドアに挟まったまま動き出した。お爺さんは、付き添いの婦人に言われ、杖を離したのだが、私の前を杖が通過した。思わず私は引き抜こうと努力してみたのだが、なんとその杖は、先っぽを残し、残りの部分と糸で結ばれ、突き刺さった部分とそこから垂れ下がる糸、そして垂直に伸びた残りの部分となって、ちょっとシュールな光景で走り去っていたのだった。うーん、想定外。不思議な杖である。付き添いの御婦人がお爺さんを叱りつけていたのだが、そばにいた他のご婦人たちが、駅員さんにすぐ報告した方がいいと言ってくれて、御婦人は急いで向かった。お爺さんはポカーンとしていた。

もし、あのまま(杖がまっすぐ横に伸びた状態)だと、次の駅で人に当たっていたかもしれない。私の引っ張った努力は無駄ではないと思いつつも、どっちみち、次の駅できっと確認のため普通電車はストップし、快速も遅れるだろうなあと思っていた。案の定、そのとおりになったのであった。この「事件」のために、宝塚線、東西線、学研都市線は、夕方のラッシュアワーだというのに、5分くらい遅延したのだった。おそらく次の駅で、ドアが空いて、線路上に杖が落ちただろうと思う。線路の上に落ちていたら、どうなっていただろう。

高齢者がボケていくのは致し方ないのだが…。(本日の画像はイメージ。)

2023年10月12日木曜日

不思議な安息日のディナー

https://4travel.jp/travelogue/11652286
東イスラエルにある当時息子夫婦が住んでいた大家さんの家で、安息日のディナーを経験させてもらったことがある。参加者は、大家さんご夫婦(奥さんは、高校の音楽の先生で当時グルジア=現ジョージアからの移民)、私たち夫婦、息子夫婦、それに最近移住してきたという奥さんのお父さん。もちろん、ヘブライ語による安息日の儀式を行うわけだが、ヘブライ語が堪能なのは、大家さん、奥さん、息子だけで、英語が堪能なのは、大家さん、息子、息子の奥さん、我が夫婦は日本語のみ。大家さんの奥さんのお父さんはグルジア語のみ。たとえば、私が大家さんの奥さんのお父さんと話したければ、私→(日本語)→息子→(ヘブライ語)→大家さんの奥さん→(グルジア語)→お父さんという経過をたどり、それが返されてくるというわけだ。ややこし~。とにかく凄い言語状況だった。(笑)

手洗い用のカップで、右手3回、左手3回といった作法や、長ーい祈りがあったりして、なかなか食事が始まらなかった。(笑)なんで、こんな事を書いているかというと、イスラエルの状況が気になるからである。我々を泊めてくれたおばさん(北欧からの移住者だった。)の部屋には、鈴木大拙の本があったりして、イスラエルには、日本人の知人(Sさんご夫婦)だけでなく、こういったユダヤ人の知人もいるわけだ。彼らのことが心配である。

と、いって私はイスラエルを支持しているわけではない。日本を含めた西側のマスコミは、ハマスを完全な悪役にしたてあげている。しかし、ガザ自体が、巨大な青空強制収容所というか、ゲットーのようなもので、虐殺といえば、イスラエルもどっこいどっこいである。ユダヤ人というのは、選民としてのプライドがあるので、我々を含めた異教徒に対しては人間扱いしていないところがある。死海からの帰りのバスで、超正統派の人々は、荷物を座席においたまま、立っている人々を無視していたし、ヨルダン川西岸地区にあるイエス誕生の地・ベツレヘム(今日の画像はベツレヘムの壁アート)に行ったときは、イスラエル軍の女性兵士が足を投げ出したまま、パスポートを見て、投げてよこした、という経験もしている。私の印象から言うと、イスラエル不利である。

同時に、今回の「戦争」には、疑義が多い。その第一は、有能さで世界的に有名なモサドが、ガザの戦前の動きを知らなかったのはおかしい。あれだけのロケット弾の発射準備やパラグライダーなどを使ったイスラエルへの侵攻を察知していないわけがないと私は思う。下記URLのYou Tubeチャンネルでは、以前、ハマスが北朝鮮などと軍事訓練をした話なども出てくる。また、今回の残虐な侵攻は、ハマス的ではないらしい。おそらくそれ以外の軍事訓練を受けた組織の者がやっているのではないか、というわけだ。イスラエルの下院議員が核を使えと大騒ぎしている話も出てくる。うーん。Sさんご一家、大家さん一家や北欧系のおばさんのことが心配だ。(あまり律法を守らない)世俗派の人々はわりとフレンドリーだったし、ガザの人々については知らないが、同じパレスチナ人のベツレヘムの人々は穏やかだった。もう一度、平和を意味する”シャローム”で、エントリーを終わりたい。

https://www.youtube.com/watch?v=Qdk48qR1Gw4&ab_channel=NewYork%E3%82%B5%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%AB

2023年10月11日水曜日

もしも猫展/京都文化博物館

妻と京都に出て、「もしも猫展」に行ってきた。わが夫婦は、歌川国芳の大ファンであるから、当然の行動であると言わねばならない。今回は国芳を主軸に据えて、江戸期から明治にかけて、本人だけでなく弟子たち、さらにその後継者が、人間を猫に擬人化した浮世絵を中心に、他の動物(鶏や牛、鼠、雀その他)も含めた擬人化浮世絵シリーズといった展示会だった。

なかなか見ごたえがあり、実に面白かった。私が最も感じ入ったのは、これらの作品が世界手に評価されている日本のサブカルチャーともなった漫画やアニメのルーツであるということである。すでに、江戸時代に挿絵と文章というカタチで冊子が発行されており、大好評だったようだ。もっと古い「鳥獣戯画」があるが、巻物に収められており一般化はしていない。しかし、これらの作品は版画として販売されているだけでなく、コミック化されていることに驚いたのだ。(上記画像参照)特に「おこまものがたり」という猫おこまの一代記が面白い。敵討ちをしたり、三味線になったりと意外な展開を見せる。このような冊子を作り販売できるという文化は、日本の識字率の高さに支えられていることが明白で、実に誇るべきことだと思う。

今回の京都行でも外国人観光客が必ず視界に入るほど多かった。この展覧会にも来ていたのだが、残念ながら解説は日本語のみで、ただ単にその面白さや美しさを感じることしかできないだろうと思うと、英訳の解説も用意しておいて欲しかったところ…。(だが、かなり日本文化、特に江戸文化への造詣が深くないと英訳しても難解だと思う。)

京都文化博物館にて。11月12日まで。(月曜日休館)一点のみ写真撮影不可。https://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/20230923-1112/

2023年10月9日月曜日

追憶:サンフランシスコ

https://laststandonzombieisland.com/2023/01/09/help-q-on-mounting-of-50-cal-on-submarine/
You Tubeの「しげ旅」は、シリコンバレーを経由して、いよいよサンフランシスコに入った。イスラエル関連の重い話題が続いたので、前回のロス同様、思い出を書いてみようと思う。サンフランススコは、ユナイテッド航空(UA)を主に使っていた(未だにUAのマイレージが貯まるカードを使っている)私にとってはアメリカの玄関口であった。サンフランシスコから帰国時に、免税品を買う場合、出発前に品物が配られるという変なシステムの空港だった。(長いこと行ってないので今はどうか知らない。笑)街中を歩いたのは、サウスダコタ・ワイオミング州を訪ねた旅の終りであった。

「しげ旅」は酒とグルメの内容が多いのだが、サンフランシスコは、かつて(今はどうだか知らないが)アメリカ国民が選ぶ国内観光地で人気No1だったし、観光の様子も登場する。フィッシャーマンズ・ワーフ、ピア39などが登場した。実に懐かしい。

何より懐かしかったのは、WWⅡ時代のガトー型潜水艦である。(画像参照)夕方だったので結局中に入れず、悔しい思いをしたのだ。ボルチモアやNYCでも展示してある潜水艦の中に入ったのだが、このガトー型は、漫画「サブマリン707」に登場した思い入れのある潜水艦なのでぜひ入りたかった。艦橋の前後に機関砲を備えている独特のカタチをしている。ピア39では、UCバークレイ校の刺繍付きのトートバッグを購入した。このバッグ、学園に行く際、荷物が多い時など、今も使っている愛用品だ。

もちろんケーブルカーにも乗った。実に危険な公共交通機関である。人手で方向転換するのも見た。待っている間に、大道芸人のエスケープ技も見た。当然ながら、ハードロックカフェを探し当てて、ポロシャツを買った。1日のみの観光だったので、ゴールデンゲートブリッジもアルカトラズも行っていない。

http://st614.blog85.fc2.com/blog-entry-1236.html
面白かったのは、「しげ旅」で、カルトレイン(上記画像参照)が出てきたことだ。サンノゼと結ぶ全二階建ての通勤列車である。私もコレに乗った。帰路、空港へは、これまた「しげ旅」に出てきたBARTで向かった。サンフランシスコ・ジャイアンツの帽子を被った子供がいたことを覚えている。

ところで、民主党の行き過ぎた格差是正政策で、サンフランシスコの治安はかなり悪化している。観光地はそうでもなかったが、ユニオンスクエアには、ラリってるホームレスが多く、店のシャッターも降りていて、私の行った頃とは大違いだ。また物価も超高い。私が旅した時も円安であったが、「しげ旅」の食事料金やタクシー料金などを見ると思わず引いてしまう。さらに、スマホで決済する交通機関も多く、デジタルデバイドには、とてもアメリカを一人旅することなどできないと痛感するのであった。

ウクライナの武器横流し説

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20230823003281.html
今回のハマスのイスラエル攻撃についての(未確認)情報。韓国が長らく支払っていなかったイランへの借金をアメリカが強硬に返還させたことがそもそもの始まり。イランは、人道支援に使用すると言いつつ、ウクライナに送られたNATOからの武器をフラックマーケットで購入、ハマスに提供したようだ。ウクライナへの支援がこういうカタチで裏切られるとは…。一気に西側の結束が崩れるように思う。(アメリカ高官は否定にやっきだが。)

そもそも韓国がイランに借金返済(石油購入代金だといわれている)をしなかったのも国際社会的に問題だが、今になってなぜアメリカ民主党政権が強硬にイランへの返還を言い出したのか。その金が新たな火種を作ることをアメリカは予期できなかったのか?また、ウクライナへの支援された武器が横流しされていることが事実なら、とんでもない話である。今風に言えば、まさにクズ。イランは知ってか知らずかそれを購入したようである。おそらく知っていただろう。西側の武器が西側のイスラエルに使われる。まあ、軍産複合体にとっては儲かることが全てだからどこが使おうが問題ないだろうが、これで、サウジとイスラエルの国交正常化は見事に停滞するだろう。ウクライナの評判が落ち、ロシア・イランはしてやったり。サウジもイランとの結びつきを強化する結果になりそうだ。

アメリカの前回の大統領選挙が盗まれて以来、良いことはなにもない。世界的に紛争を拡大し、国内では行き過ぎた経済格差是正と移民の入国増で治安の大混乱が相次いでいる。日本のような真っ当な法治国家では考えられないのが国際社会の現実である。

ところで、私は鈴木宗男議員がロシアを訪問した件は評価している。外交面での、チャンネルを保つ必要があるのは当然。そもそもそういったことが理解できない、元所属政党はクソ集団だと思っていたので、鈴木氏が離党することになり実に喜ばしいと思っている。

2023年10月8日日曜日

インティファーダではない。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK072F00X01C23A0000000/
ガザ地区のハマスが、イスラエルのアイアンドームが対応できないほどの5000発にもおよぶロケット弾を発射。さらにイスラエル国内に戦闘員を入れ、陸戦が始まった。イスラエル軍兵士を人質に取ったり、民間人へも攻撃しているようだ。一方レバノンのヒズボラも砲撃を開始したようだ。これはインティファーダではない。まさしく戦争である。

当然のようにイスラエル軍の報復攻撃が行われ、ガザは大変な状況になっている。情報が混乱しているので、はっきりした数字は出ないが、イスラエル、ガザ共に大量の死傷者が出ている。

中東情勢は相変わらず混迷している。サウジなどがイスラエルに歩み寄ったり、イランとも歩調を合わせたり、非常にわかりにくい。ガザ地区内でも経済封鎖のための生活苦故にに、ハマスへの批判が高まるなど、瀬戸際の攻撃なのかもしれない。

私は、イスラム教については、穏健な、しかも領域国民国家であるマレーシアのイスラム教について学んできた。フィクフによって、意外に臨機応変な信仰生活を送っていることに驚いた。しかい一方で、クルアーンには、不信仰者への過激な姿勢が書かれていることも事実であるし、イスラム復古主義者にとっては、聖戦であることを否定できない。クルアーンとイスラム法・シャリーアに服従しようとすれば、ハマスを否定することは出来ない。

ユダヤもユダヤで、予言書であるエゼキエル書には、イランやロシアとの戦争のことが明確に記されており同じ神の言のもとで争うことは必定となっている。ブディストの私などの理解を超えた世界なのだが…。これが現実である。イスラエルにおられる、(マレーシア以来の知人である)Sさんは大丈夫かと心配。シャローム…。(ヘブライ語の挨拶だが、本来の意味はあなたが平和でありますように)

2023年10月7日土曜日

ブータンとくれば、GNH

「未来国家ブータン」(高野秀行/集英社文庫)の書評を続ける。まずは、何と言ってもブータンとくれば、第4代のジグミ・シンゲ・ワンチュク国王の提唱したGNH(国民総幸福量)である。これは、ブータンが仏教国であることと関連しがちだが、この本では、著者も、同行していた官僚たちも否定的である。

ここで、著者が中尾佐助の話を持ち出す。中尾氏は、京大の今西錦司等に薫陶受けた探検家気質の学者で「秘境ブータン」の著者である。ここには、100年くらい前まで、敬虔な仏教徒であるブータン人が毒矢で低地インドの民族を襲い奴隷として連れ帰っていたことが書かれている。仏教=平和主義というのはフィクションで、チベット仏教圏では仏権政治だった故に戦争を指示するのは僧侶だったわけだ。

仏教は殺生を嫌う。タイなどの上座部と比べて、チベット圏・日本・朝鮮などでは、屠殺が忌み嫌われてきた。ブータンでも、屠殺関係の被差別民が存在した。しかし、オックスフォードに学んだイギリス的教養人第三代国王は狩猟が大好きで、獲物の解体役として屠殺職人をお供に加えた。一緒に行動するうちに、その男が優れた知性の持ち主であり、何ら差別される理由はないとして、差別禁止の令を出すと主に、近臣に取り立てた。これは大きな効果を産んだ。被差別民開放という面では、仏教=GNHではないという興味深い話である。

ブータンでは化学肥料を使っていない。世界最先端の環境立国と呼ばれる理由の1つだが、これはもともと環境とは無関係で、第三代国王が作物増産のため化学肥料の導入を考え、中尾氏に相談した。この時、「外国に依存してしまうからやめた方がいい。」と言われ納得した故である。後に中尾氏の弟子の西岡京治氏がブータンJICAの先駆けとして、化学肥料や農薬を使わない伝統的農業の発展を進めた。

ブータンのGNHは、仏教、近代化、国防、環境などを総合的に判断し、三代目・四代目の国王が個別に実施した政策の集成だといえるわけである。…なるほど。

2023年10月6日金曜日

高野秀行「未来国家ブータン」

高野秀行という作家は実に面白い。海外(特に誰も行かないような僻地)での体験を元に様々な本を書いている。私はその中でも「謎の独立国家ソマリランド」が大のお気に入りなのだが、今回は「未来国家ブータン」を読んでいて、甲乙つけがたいと感じている。

高野秀行は、謎の生物が好きで、これまでにもいろいろな謎の生物を追い求めているある意味不思議な人だ。早稲田大学時代の「探検部」を大いに引きずっている。で、今回は、ネッシーと双璧をなす存在・雪男なのである。とはいっても、表向きは友人の先発隊として、ブータン政府との合同プロジェクトである生物資源調査なのである。

よって、付き添いには、ブータン政府のエリートである人々が同行している。とはいっても、さすがブータン。官僚の高慢さも傲慢さも持ち得ていない、なんとも気持ちの良い青年たちなのである。さらに登場する様々な人々も素晴らしく人がいい。日本と似ていて、しかも大いに異なる風土。実に魅力的である。こういう魅力的な印象に残った内容を少しずつエントリーしていきたいと思う。

2023年10月5日木曜日

今回の公共・中間考査問題

https://jp.reuters.com/world/ukraine/CT4EMUDT3BJQVLC6SXZ6YM6KOE-2023-09-28/
2年生の「公共」の試験は今日だった。採点はこれからだが、思考能力を問う問題を作ったのでエントリーしておきたい。ポーランドの経済状況と金融政策についてである。元ネタはYou TubeのモハPチャンネルの内容。金融や経済の信用できる専門チャンネルである。生徒にとっては、当然初めて読む文章である。以下一部抜粋してみる。

(ポーランドの)政策金利は202210月に6.75%まで急ピッチで引き上げられてきたが、それでもインフレは止まらず、さらにウクライナ紛争が起こり、D100万人以上のウクライナ人が入国してきたので、需要の増加が起こり、インフレが起こることは容易に想像できる。Eエネルギー価格の高騰もインフレに影響したが、紛争前からロシア依存を減らしていたのでドイツほど悲惨ではない。インフレについては2023年2月に前年比+18.4%がピークで、8月は前年比+10.1%まで下がった。一方F利上げの影響で経済成長率も下がってきた2022年第4四半期(ドイツやロシアは1月-12月が会計年度なので、10月~12月と推測される)までは、+2.3%とプラス成長を維持していたが、2023年第1四半期は-0.3%、第2四半期は-0.6%に落ち込んだ。中央銀行はインフレが徐々に落ち着いてきたので、今度はG経済成長を下支えするために、金利を0.75%引き下げた。しかしH市場が予想したよりも大幅な利下げで、急速に通貨安が進んだ利下げ前は、€1=4.45ズロチだったが、4.7ズロチにまで急落した。

下線部の文章と最も関係が深い記述を選ぶ問題。DからHまでの正解の記述は、次のようになる。D:デマインドインフレである。E:コスト・プッシュ・インフレである。F:信用創造にストップがかかった故に設備投資が鈍化したからである。G:信用創造を増やし、マネーストックを増大することで設備投資や雇用を活性化しようとしたのである。H:通貨も市場の需要と供給で価値が上下する。この場合、ズロチが売られた。

実際には、文章の下線部はLまであり12問。解答欄には13の記述。難問である。さらに記述問題。先日の国連総会の演説で、ウクライナのゼレンスキー大統領が、ポーランドを名指ししなかったものの強く批判した。ポーランドは、ウクライナ紛争で、武器援助を最も積極的に行ってきた友好国であるのに、である。というのも、ウクライナは世界有数の穀物生産国(ポーランドも農業国)であるが、これまで黒海経由で、中東地域やアフリカへ輸出していたのだが、ロシアの黒海封鎖によって海路で輸出できなくなり、ポーランドなどへ陸路で輸出した。これにポーランド政府は激怒して、今後ウクライナへの武器支援を止めると発表した。なぜ、ポーランド政府は激怒したのだろうか?今回の学習内容をもとに推測しなさい。

正解は、至極簡潔。農業国であるポーランドに、ウクライナからの大量の安価な穀物が輸入され、供給過剰となって、ポーランドの穀物価格が下がり、大打撃を受けたからである。さてさて、2年生の解答は如何。楽しみである。

2023年10月4日水曜日

今回の倫理・中間考査問題

今、学園は中間考査週間である。2学期の中間試験は体育大会の関連行事もあって、曜日によっては、意外と授業日数が少ない。よって今回の範囲は、1学期とは雲泥の差があった。(1学期中間は西洋哲学ほぼ全般、期末は日本思想全般と膨大なものだった。)ロールズを中心とした社会哲学と、アマルティア・セン、フッサールの現象学とレヴィナス、アーレントといったラインナップだ。これに、これまでの学習内容の復習を組み合わせた内容にした。

たとえば、内田樹は「レヴィナスと愛の現象学」の中で、現象学を、素朴実在論者=夢中になって舞台を見ている観客、懐疑論者=しらけた観客、現象学者=演出家といった比喩を用いている。この文章の中で語られる素朴実在論者、懐疑論者は誰かと問うわけだ。正解は、デカルト以後の哲学でハイデガー・サルトル以後を除く)とヒュームである。また「フランス現代哲学」に収められているメルロ・ポンティの「知覚現象学」からは、「本質を存在へと連れ戻す哲学」という記述がある。これは、ハイデガーの哲学を意味し、現存在のことを言っている。さらに、アーレントの「全体主義」の要旨で、フランス革命批判があるのだが、彼女と全く正反対でフランス革命を賛美している哲学者は誰かという問題も作った。それは自由を求める絶対精神を説いたヘーゲルの歴史哲学である。

というわけで、これは今回の試験の一例。実際はもっとある。(笑)かなり難問であると思うが、それでも食らいついてきて、高得点を出している生徒がいるのが嬉しい。共通テストでも、きっと高得点を叩き出してくれるはずである。

2023年10月3日火曜日

アジア大会 北朝鮮の蛮行

https://www.daikanyama-yoneka.jp/northkorea/
アジア大会のサッカー競技で、日本は2-1で北朝鮮を破って決勝進出したのだが、日本の水の補給するスタッフを威嚇してボトルを奪い、イエローカードが出された。You Tubeで映像が拡散しているが、なんとも信じられない行為だ。レッドカードでいいのではないか。試合終了後、決勝点となったPKの判定を巡って、ウズベキスタンの審判を追いかけまわすといった醜態も見せた。

北朝鮮では、国家養成選手の重圧があること、国内でもサッカーは人気であること、将軍様の肝いり種目であること、成績でその後の処遇が決まること、日本に負けられないという、5つの理由があることがyahooニュースに載っていた。https://news.yahoo.co.jp/articles/e4ca1eaae5f6f17c3fddf96e44acfb1c8ac88acd?page=2

なるほどと思う反面、こういう国はスポーツマンシップがない故に国際大会に参加する資格はないと言わざるを得ない。アジア大会では、テコンドー競技で韓国が中国選手に暴力をふるったり、テニスでも感情的な態度を取ったりと散々である。

真面目に頑張っている選手には悪いが、スポーツの素晴らしさを実感できないアジア大会など、いっそのことやめてもいいのではないかと思ってしまう。それに比べて、紳士の行う野蛮なスポーツと言われるラグビーW杯を見ているとすっきりするのだが…。

2023年10月2日月曜日

大谷投手の本塁打王獲得

https://spread-sports.jp/archives/213200
結局、肘の故障や手術などで、9月は活躍が見れなかったものの、本塁打44本を抜く選手は現れず、大谷君がタイトルを獲得した。三冠王との期待もあったが、やはり(WBC決勝でトラウトを三振に切ったあの)魔球を投げすぎたという意見が多い。投手としては10勝だが、あのエンゼルスだし仕方がない。もっとリリーフ陣が強いチームなら勝利数は増えたはず。何より規定投球回数に届かなかったのは残念。

エンゼルスのチーム運営などにもネット上で批判が集まっていて、大谷君はFAで離れるべきだという意見が地元やOBからも上がっているようだ。トラウトも出たらいいのに…と思ってしまう。(本人はかなりそう思っているらしい。)エンゼルスのために、力尽きるまで精一杯尽くしたのは、まさに日本的な武士道精神である。だが、もう十分、出ても良いだろうと私は思う。

大谷くんのFAについては、様々な憶測記事やYoutubeが出ているのだが、結局のところ憶測記事。視聴者を増やすための大げさなタイトルもあって、少しばかり不愉快になる。たしかにどこへ行くか興味津々ではあるが、本人次第。1年間投手は自粛ということで、大谷君の商品価値が下がったように見えるのは事実。おそらくオカネには執着がない人なので、契約金額で左右されることはないだろう。本人にとって最も活躍できる場が登場することを祈っている。ともかくも、大谷君、オメデトー。オメデトー。

2023年10月1日日曜日

アーネスト・サトウのこと。

https://www.yamakei-online.com/yk/oze/course02.php
「長州ファイブ」の書評の続きである。著者はUCLの卒業生であり、UCLのことも詳しく書かれているのだが、かのアーネスト・サトウのこともUCL卒業生だったので詳しく書かれている。アーネスト・サトウは幕末維新時のイギリスの外交官で、様々な局面に登場する。私は、そのサトウという名字から日系のハーフだと今まで漠然と考えていた。いやいや”Satow”は、東部ドイツ近辺にしばしば確認されるれっきとした欧州の名字で、ロンドン北部のクランプトンの生まれである。

日本との関わりは、UCL在学中の17歳の時、兄が図書館から借りてきた「(インド総督だった)エルギン卿の中国と日本への使節記」を読んだことで、日本に夢中になる。翌年、UCLで通訳生の募集がありトップ合格する。1862年日本に着任。日本語は漢字を少し学んだくらいで、中国語が理解できれば大丈夫だろうくらいに最初は考えていたらしいが、朝から午後1時位まで紀州藩の医師について猛勉強した。6年後、一時帰国し日本語書記官に昇進し、1870年再来日1882年までかのパークス大使を助ける。その後シャム総領事・公使、ウルグアイ公使、モロッコ公使となり、1895年日本公使として帰ってくる。ちょうど日清戦争終了直後、三国干渉の最中で、1900年隊長を悪くした清国公使の後任で離日するまでロシアの極東の動向を監視し、のちの日英同盟の影の立役者になったと言われている。

サトウは、言うまでもなく幕末期に各地を飛び回り、薩長や幕府の主要メンバーと接触している。明治天皇、徳川慶喜、勝海舟、西郷、大久保、五代才助、森有礼、桂、井上馨、伊藤、伊達宗城、山内容堂、後藤象二郎、陸奥宗光などなどである。薩英戦争にも出向いているし、下関での高杉との折衝にも出向いている。彼は、日本語を通訳できるだけでなく、翻訳もできたし、当時の候文まで見事に記している。努力もあるだろうが、天賦の才もあるにちがいない。

サトウは日本人の妻を娶っている。内妻というべきであるが、英国はは連れて帰らなかった。おそらく日本で暮らしている方が混乱せず幸せだろうと考えていたようだ。長男は後にコロラド州デンバーで農場経営、次男は、東京外国語学校を出て、札幌農学校、東北帝国大学の予科の講師を務めながら、日本山岳会を創立。1910年に渡英し、植物学(父のサトウも植物学者でもあった)をおさめ帰国。東京帝国大で理学博士号を受け、京都帝国大学、北海道帝国大学、九州帝国大学などで植物学の教鞭をとった。尾瀬(画像参照)を守った人でもある。

1929年、サトウの最後を看取ったのは、日本にいる時から50年に渡って身の回りの世話をしてきた越後出身の本間三郎。つまり、サトウは、英国人の妻はいなかったわけだ。日本への愛とリスペクトを感じざるを得ない。