2019年11月30日土曜日

"Most Likely to Succeed"上映会

"Most Likely to Succeed"という映画(10月30日付ブログ参照)の上映会が、昨日三崎高校で行われた。教職員だけでなく、近隣の学校や公営塾関係者や興味を持った大学生も参加していただいて、なかなか盛大な上映会となった。この映画は、一般公開されておらず、版権を購入し、上映後はワークショップをすることが義務付けられている。未咲輝塾を開設したプリマ・ペンギーノ社がこの版権を持っているのである。我が塾のN先生が、版権を買おうかと思ったくらい、この映画を見たがっていて、渡りに船で申し込んだのがそものもの始まりである。最初は、町で上映会をしようかと思案していたところ、三崎高校の方で教員研修として開催し、外部の方も参加OKというカタチになった。会場の関係で生徒は今回遠慮してもらったが、私は、この映画は、教育(に関心のある方や保護者、大学生も含めた)関係者で見て、ワークショップをするのが最も適しているのではないかと、鑑賞後に思った次第。高校生が見ても当然いいけれど、現状の教育に大きな不満を抱く可能性も否定できないと思う。それくらいの衝撃がある映画といっても過言ではない。

内容については、前述のブログで記したし、あまり詳しく紹介するのも何だと思うので、若干の感想を記しておこうかと思う。

このPBLだけのHIHの教育は、たしかに素晴らしいと思う。近代国家が目指してきた均一で良質な工場労働者育成のカリキュラムのアンチテーゼとして成功している。ただ、それを全ての教育機関が行うことは非常に難しいと思う。なぜなら、こういう教育を行える教師(1年契約で完全な自由裁量に任されるという大きな制約と責任を負わされる)はそう多くないと思うからだ。ある程度の専門性とともに広い教養と生徒を認める度量と観察眼が求められる。(もし、私が英語が堪能なら、力及ばずとも是非やってみたいと思うが…。)日本ととアメリカは、かなり教育の風土が異なる。実際に視察してみたらわかるが、個人主義的な人格育成という基盤をもつアメリカの教育は、日本にはそぐわない部分も多い。ただ、将来を鑑みると日本の教育がこのままでいいわけではない。おそらく、こういう外からの風を受けて、多くの工業製品同様に、いずれ日本風のモデルが出来上がっていくのではないかと思う。

次に、これの映画はドキュメンタリーであるにもかかわらず、最初と最後に大きなメッセージを注入している。これはかなり効果的だ。このドキュメンタリーが訴えたいところが明確になっている。急に学校や教師や親にに疑問を抱いた少女の表情は極めて示唆的だ。これは、高校時代に多少自主映画製作に関わった経験から感じ取れた。この歳になって、ホント人生に無駄はないなと思ったりする。

最後に、上映後のワークショップについて記しておきたい。あえて、この映画を題材にはせず、今の日本の教育について、6人程度のグループで討論した。
K(Keep)、P(Problem)、T(Try)という視点で付箋に自分の意見をできるだけ多く書き込み、グループ全体にシェアしつつ模造紙に貼っていく。その後、皆でそれを関連付け、グループ総体の意見としてまとめていくというものだった。参加者全体へのシェアは、各グループの1人が残り、その他のメンバーは、他のグループの説明を聞きにまわるというカタチをとった。昔々のJICAの高校生セミナーを彷彿とさせるワークショップだった。

この上映会を企画した塾長のN先生と、わざわざ三崎まで足を運んでいただいたプリマ・ペンギーノの代表F教授、いろいろとお世話いただいた教務部長のH先生にに改めて感謝したいと思う。

2019年11月29日金曜日

プラグマティズムの話

http://mesosyn.com/peirce-Harvard.html
橋爪・大澤両社会学者の「アメリカ」の書評の続きを久しぶりにエントリーしたい。プラグマティズムについての論考である。プラグマティズムの系譜は、パース、ジェームズ、ヂューイと続くわけだが、パースとジェームズの相違について、大澤氏がかなり詳しく論じている。

パースとジェームズの相違は、観念的・抽象的に捉えないというコアは同じであるが、ベクトルが全く逆であると大澤氏は言う。パースは、自然科学的な実験の概念を推し進めた。無意味な形状学的なもの(最も分かり易いのは神の存在証明)を捨て去ったといってよい。しかし、ジェームズは、神の存在について審議を問えるのではないかという立場である。神を信じることであなたはどうなるか?その結果こそが重要だとした。生きる勇気がわいたのなら存在するということと同じ意味をもつし、存在しようがしまいが生活は変わらないなら、神は概念としての意味がない、というわけだ。

こういう一神教理解を元にした比較を、私は極めて重要であると思っている。

2019年11月28日木曜日

フェリーに乗って中学校訪問

佐賀関の大煙突 今日は極めて波高し
三崎港からフェリーに乗って大分県佐賀関近辺の中学校訪問に行ってきた。本来は塾長のN先生がいくはずだったのだが、別件で西予市への出張が入り、私が代役として、教頭・教務部長に付いていったわけだ。

今日は極めて風の強い日で波浪警報か注意報が流れていたほどで、前回とは大違いの揺れだった。しかしながら、中学校訪問では3校とも大きな成果があったと思われる。三崎高校に非常な関心を示していただけたのだ。三崎高校の寮は月15000円(食事は月から金までの食事付)で、町の補助もあって全国的にも格安である。我が未咲輝塾の月謝も3000円。ある中学校の校長先生は、「この18000円というのは、大きな魅力ですね。」といたく感心を示していただいたのだった。佐賀関はフェリーで70分。おそらく松山市より本校に近い。しかも、地域創生の活動や文科省からの様々な高評価、進学実績もあって、好印象を与えたと思う。(私はあまり貢献していないが…。)

三崎港12:30発、佐賀関港17:00発のフェリーで往復し、18:30ころに塾に帰り着いた。塾では政治経済を講じている三年生が待ち構えていた。スーツ姿で、マクロ経済をやったのだが、金融政策などもよく理解してもらえたようで、喜んでくれたが、私も嬉しい。後ろ髪を引かれる思いでマレーシアを出てきたが、こちらでも私を待つ生徒ができてきたのである。

2019年11月27日水曜日

アメーバ・ピグ終了近づく。

パソコンの無料ゲームであるアメーバ・ピグが12月2日で終了する。別に気合を入れてやっていたわけではないけれど、10年近くほぼ毎日アクセスしてきた。かなりのマンネリというか習慣というか、そんな気分でやってきたのだが、終わってしまうとなると寂しい。

スマホに新しいピグのアプリができたのだけれど、スマホでゲームをする習慣がない私は、結局パスすることにした。スマホは画面が小さいし、画面にタッチしてスクロールしたりするのが苦手なのだ。

私は無課金主義者なので、結局完全無料で長らく楽しませてもらった。この仮想世界に愛着もあるので、とりあえずスクリーンショットに残しておくことにした。マレーシアにあった時は四季をピグで感じていたし、日本的なサクラや紅葉を庭に置いて楽しんでいた。

このピグのゲームの最もいいところは、他のプレイヤーとの交流である。庭に手伝いに来てもらったり手伝いに行ったり。庭はかなりの自由性があるので、臨床心理の箱庭療法ではないが、そのプレイヤーのパーソナリティーが出てくる。私などは、それぞれのクエストで手に入ったアイテムを次から次へと変えたりはしない。最初のころに手に入れたアイテムをずっと置いていたりする。その辺は私のかなり保守的な資質が出ているのかもしれない。また途中で、パーティーという食事を出すシステムが複数つくれるようになった。何(数々のクエストで手に入れた料理)を出すか、そのプレイヤーのパーソナリティーが出て面白い。仮想の箱庭世界で、私はマンウォッチングを楽しんでいたような気がする。私のピグでの名前は”らくだおじさん”。交流できた方々に御礼を述べておきたいと思う。長い間ありがとう。

2019年11月26日火曜日

新しいリンゴの食べ方

http://www.amazing-takenoko.com/entry/applenomukikata
三崎に来て、ほぼ毎朝、妻と散歩に行っているのだが、学校には車で行っていて、どうも血糖値が高いように思っていた。で、マレーシアから持って帰ってきた機器で測ると、朝いちばんなのに、(日本の数値に直すと)180近い数字が出た。これは危険水域である。マレーシアでは終ぞ出なくなった数値である。最大の理由は、歩く距離にありそうだ。それで、妻から、「学校まで歩け」指令が出たのだった。(三崎高校は丘の上にあり、かなり長い坂道を登ることになる。)

一方で、柿が美味しいので柿ばっかり食べていたが、リンゴに替えることになった。リンゴは食事の前にとるといいらしい。ところでこのリンゴ、このところ切り方が変わった。妻が、WEBで調べたらしく、皮ごと輪切りにしているのだ。これが実に美味しく、そして気軽に食べれられるのである。私は実に気に入ったのである。SDGsからみても廃棄する部分がほとんどなくなるのである。(かなり芯まで食べられたりするのである。)

学校への徒歩通勤と、リンゴの輪切りで、血糖値を下げよう大作戦は始まったばかりである。まあ、とにもかくにも、このリンゴの輪切り、読者の皆さんも是非お試しあれ。

2019年11月25日月曜日

ピーター会のこと

先日、大阪でピーター会の会合があった。ピーター会というのは、2003年にJICAの視察旅で、ケニアに行った仲間の会である。コーディネーターであった故ピーター・オルワ氏の名を冠しているわけだ。

あれから幾星霜が経過したが、今だに続いているところが凄い。それだけ各人の人生の中で大きな影響を与えた旅だったわけだ。なにより最高に面白い旅だったのだ。その後、ガーナに理数科教育で、SV(シニアボランティア)として神戸の「教授」が行かれ、元大阪府立三島高校の「N先生」が、ウズベキスタンに早期退職して大学生相手の社会科教育のために行かれ、お二人とは違うJICAとは全く別のルートで私がマレーシアに行ったわけだ。他の先生方もそれぞれの学校で、国際理解教育に汗を流している同志である。

今回は、N先生が再度SVとしてパプアニューギニアに行かれており帰国報告を兼ねての会合だったようである。残念ながら私は、先週九州に出張に行ったばかりだし、この土日は大阪から教え子も来てくれると言うことで、こっちを優先したので行けなかったのだ。(なんといってもマレーシア行の時、関空まで見送りに来てくれた大事な大事な教え子である。)

先日の会合の写真を見て、みんな歳を取ったなあ(注:男性のみ)と思う次第。静岡や金沢から来ていただいている先生もいる。大阪で集まるのは、大阪人が多数派だからである。(笑)私もその1人だが、今は愛媛県人なわけで、大阪は近いようで遠いなあと感じている。なんといっても新幹線や特急1本で行ける場所ではなくなってしまった。でも、次回は是非と思っている。その時は、マレーシアの風と愛媛最西端の風を届けたい。

2019年11月24日日曜日

現時点で韓国の問題を考える17

https://www.nikkei.com/article/DG
XMZO52473600S9A121C1MM0000/
久しぶりに韓国の問題について考えてみたい。一昨日、GSOMIAが大騒ぎの末、結局アメリカの圧力で破棄されなかった。そもそも、韓国の論理は完全に崩壊している。戦略物資の横流しで、北朝鮮経由イランにまで日本のフッ化水素が流れていることを日本の経済産業省がつかんだゆえに(旧)ホワイト国指定を外したのに、その対策をないがしろにしたまま(この状況では横流しが事実であって、できないのだろうと思うが…。)で、安全保障上のGSONIAに問題を転嫁して、アメリカが日本に(旧)ホワイト国除外を撤回するよう説得してくれるだろうという甘い考えがぶっ飛んだだけのことである。まさに一人相撲。多くのネトウヨさんというか、私たち戦争知らない子供たちのさらに子供世代が、これに対し大パッシングをしている。先日もエントリーしたが、私はこの(世代的大覚醒運動的な)ナショナリズムの高揚を危惧しているが、やはり当然の展開のように思える。

私が今考えているのは、こういう韓国の甘えの構造とアメリカが日本に対して譲歩するようにしてきた対韓国外交の情報が、これまでは隠されていて、ここまで拡散することがなかったのだろうと推測する。凄い時代になったものだ。韓国の新聞報道もAIで簡単に翻訳可能だ。また韓国のネットの声も同様で、今まで知りえなかったことが知れるようになったわけで、(腹が立つが、面白いという)とんでもない話が俎上に乗ってきてしまったともいえる。
正直なところ、日本の韓国への不信感はもうぬぐえないだろう。今回のGSOMIA継続にあたっての政府関係者の発言を聞いて、それはますます悪化したにちがいない。これからも、韓国はGSOMIAを外交戦略として使う可能性があるとのことで、なんとも無益なことをするもんだ。すでに日本政府と多くの国民はは韓国を同盟国だと見なしていないし、GSONIAが破棄されても結構だと思っているはずだ。私もことさら韓国のレッドチーム入りを願っているわけではないが、さすがに付き合いきれないと思ってしまう。多くの日本人にとって、できることなら、列島ごと引っ越したいというのが本音だろう。

地球市民を標榜する私であるが、韓国の発想や行動に対しては、国際理解・多文化共生という枠を大きくはみ出しているような不可解さを感じているのである。

2019年11月23日土曜日

教え子が三崎まで来てくれた

11月6日にエントリーしたH高校で3年間担任したM君が、同じ野球部のM君と共に大阪から車で三崎まできてくれた。いやあ、実に嬉しい。この二人は、私がマレーシアに旅立つときに関空まで見送りに来てくれた六人のうちの二人である。同じ大阪の大学を卒業し社会人となり、かたや中学校の数学教師、かたや通関関係の会社に勤めている。2人とも周囲に可愛がってもらえているようだし、仕事の面白さも十分感じているようだ。さらに好青年に成長していた。
せっかくなので、佐田岬灯台まで行ってきた。夕陽に合わせて私の家を出発。夕陽に間に合ったし、駐車場まで帰って来た時ほぼ陽が沈んだ。ちょうどいいタイミングだった。若い二人は野球部で鍛えているが、私はかなり息切れした。(笑)

灯台から帰宅後、近くのレストラン・M亭で妻も交えて食事をした。この時、関空の見送りの話になった。私の出発の時間など分からないはずなので、どうして見つけたの?と妻が聞くと、深夜に出発し、早朝のマクドナルドで高校時代の写真を構成して貼ったパネルを制作し、その後、六人で手分けして私を探して、見つかった時点で携帯で連絡し、現場に集合したのだとか。まるでTVのバラエティ番組のような話である。(この件に関しては、2016年4月16日付のブログ、「関空で。感激と不覚」を参照。)そこまでしてくれたとは…。本当にありがたく、改めて胸がいっぱいになった。

大阪と三崎の車での日帰り往復で来てくれた二人に改めて感謝である。幸せな時間をありがとう。教師にとって、教え子は「夢」であり「財産」であるとつくづく思う。

2019年11月22日金曜日

「これがあしの空じゃ」

https://www.sakanouenokumo
museum.jp/display/event013/
三崎高校に、坂の上の雲ミュージアムのポスターが貼ってあって、私はこのポスターが大好きである。正岡子規の「これがあし(私)の空じゃ」というセリフは、NHKの坂の上の雲でも聞いた記憶がある。病床にあった晩年、庭から見える狭い空だが、四季の移り変わりを感じ、俳句にしたためていた姿が思い浮かぶ。

教職員住宅の2Fに住む私も、玄関を出てよく空を見る。青く澄み切った日もあれば、曇天の日もあるが、いつも気になっていることがある。それは、前の竹林にある鳥の巣だ。

名も知らぬ渡り鳥が来て、巣を作り、縦横に飛び回っている。早すぎて何度かカメラを向けたが撮影は全く持って無理であった。(笑)幼鳥が巣にいるようで、けたたましく鳴いている時がある。妻の観察によれば、親鳥が餌を与えている時だという。たしかに親鳥が飛び立つと、ピタッと静かになる。親鳥がいない時に鳴いていると、ハヤブサやトンビなどの猛禽類やカラスに居場所を教えているようなものだからだ。面白いのは、親鳥が飛び立っていないのに、ピタッと静かになる時もある。たいてい、上空に猛禽類がグライダーのように風に乗って円弧を描いていたりするのだ。自然界のこんな普通の姿を真近に見たのは、恥ずかしながら初めてである。
ここにいくつもの鳥の巣がある
三崎は風が強い。だからこそ風力発電がされているわけだが、鳥の巣にとってはなかなかの脅威である。先日も竹がかなりしなっていて、巣が破壊されないか、幼鳥が落ちないかと心配していた。…これが子規ならぬ「あし」の空である。

2019年11月21日木曜日

午前中に町役場へ行く

税金の件で午前中に妻と伊方町役場に向かった。この件はすぐ済んだので、先週の土日は九州出張だった関係で、ひさしぶりの三崎を出ての買い出しの開始である。おっと、その前に「大草鞋」を撮っておきたい。先日郷土館で教えてもらった「大草鞋」を伊方町役場の近くで発見したのである。これから他の集落に行くことがあったら蒼い石垣と共にこの大草鞋もどんどん撮っていこうと思う。
さて、買い物は保内(ほない)という八幡浜市に合併した地域のスーパーであった。地産地消コーナーで、大草鞋ならぬ「大キャベツ」を発見。その価格、なんと158円。(笑)このスーパーを妻は気に入ったらしく、かなりの荷物を車に積んで帰ったのだった。

国道197号線の帰路、いつも途中休憩している道の駅で、昨日エントリーした「みっちゃん大福」(300円)を購入した。冷凍してあるものを2時間ぐらい常温で溶かしてから食べるらしい。明日の朝にでも食べようかと思っている。

2019年11月20日水曜日

みっちゃん大福 大賞獲得

https://this.kiji.is/569413473846
559841?c=39546741839462401
先日エントリーした三崎高校の生徒会長が東京に行くという話は、何年か前に三崎高校の生徒が、地元の菓子店と協力して商品開発した「みっちゃん大福」というのがあって、これが、全国の新聞社が選んだ地元の隠れた名品を選ぶ「こんなのあるんだ!大賞2019」の候補になった。昨日の審査の結果、見事大賞(グランプリ)を獲得したのだった。私はこのビッグニュースを職員室でH先生から聞いて、ホント三崎高校の地域創生の取り組みは凄いな、と改めて感銘を受けたのだった。
https://this.kiji.is/569413473846559841?c=39546741839462401

ところで、先日エントリーした「人口減少社会に挑む!フォーラム」で三崎高校が講演する内容「人が還るしくみをつくる」という難しいテーマの謎が解けたのだ。たまたま塾にそれに関連する書類を発見。塾長のN先生がWEBから拾ってくれた資料である。
文部科学省へ提出された「地域との協働による高等学校教育改革推進事業研究開発の概要」という書類で、ここに「ブーメラン人材」という語彙が登場する。このブーメラン人材とは、進学や就職で都市部へ転出した生徒が、そこで身に着けた広い視野、高い専門性、豊かな人脈を活用し、生業・事業・産業を創出するような人材であり、地元へのUターンだけでなく移住者とのパイプ役も期待されている。ブーメラン人材に求められる資質・能力として郷土愛、地域活性化への使命感、課題解決力、ネットワーク構築力、コーディネィト力が必要だとされている。

この資質・能力の向上のための学習・活動について書かれた書類であった。私には実に興味深い資料であり、三崎高校の地域創生への取り組みがよく理解できたのである。これからの私の活動にも大いに参考になると思う。

2019年11月19日火曜日

ケニアで世界人口開発会議

https://tokyo.unfpa.org/ja/icpd
25はカイロ以来25周年を意味する
月に最低1回は、また何が何でもアフリカの事をエントリーしようと考えている。我がブログのタイトルはアフリカ留魂録であり今もアフリカ・ウォッチャーであるからだ。さてWEBでニュースを検索していて、ケニア・ナイロビで世界人口開発会議が開かれたという記事を発見した。

約160か国、6000人以上の参加といわれるこの会議の最大の焦点は、女性が妊娠や出産をするかしないか自由に選択できる基本的権利「リプロダクティブ・ライツ」をいかに保証するかだという。アフリカでは、女性の権利が守られていない場合も多く、望まない妊娠や出産に苦しむという課題があり、日本など先進国では女性の労働環境や子育て支援の改善が進まず、望む人数の子供を産めないという課題がありベクトルは違うが、帰着点は「リプロダクティブ・ライツ」である。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191112/k10012174921000.html
https://zuuonline.com/archives/207059

SDGsには、第5の目標「ジェンダー平等を達成し、全ての女性および女児の能力強化を行う」のターゲット5-6「国連人口開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動計画、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。」とある。

ところで、フランクフルター・アルゲマイネ紙の記事によると、ヴァチカンはこの会議に反対し、代表を送らなかった。カウンター・イベントでケニアの司教は「(この会議は)若者を腐敗させ、外国のイデオロギーの奴隷にする努力をした」と批判しているらしい。
https://www.faz.net/aktuell/politik/ausland/weltbevoelkerungskonferenz-in-nairobi-der-vatikan-ist-nicht-dabei-16481853.html

…子供を産むということは神の恩寵であり、神の意志であるというドグマから当然の反発だと思われる。SDGsも、こういう神学的な批判を全く無視しているわけではない(=普遍的なアクセスを確保するという表現)ようだが、アフリカなどの民族的な慣習についてはターゲット5-3で触れ、これらを否定している。この辺は、かなり微妙だ。

2019年11月18日月曜日

人口減少社会に挑むフォーラム

水道代の件で、伊方町役場の三崎支所に朝、妻と行ってきた。その時、画像のチラシに気づいた。愛媛大学で12月に開かれる「人口減少社会に挑む!フォーラム2019」。

三崎高校ではせんたん部を中心に地方創生の課題に取り組んでいる。私も未咲輝塾の講師として、あるいは伊方町の地域おこし協力隊員として、このフォーラムのような取り組みには参加したいなと思ったのだ。当然ながら松山で開催である。うーん遠いよなあ、と考えていたら、なんと活動報告の最後に、三崎高校とあるではないか。これには少なからず驚いた。

「人が還るしくみをつくる」という難しいテーマを、大学で高校生が発表するとは…。これは絶対行かなければならない。学校に出勤してすぐに、職員室に行った。このチラシと最も関連するのは、T先生であられるそうだ。T先生に私が「このフォーラムに是非行きたいのですが。」と言うと、喜んでいただけて、申し込みは三崎高校の一員として処理していただけることになった。三崎高校は昨年もこのフォーラムに参加し、活動報告は今年かららしい。ちなみに第二部の100分討論は、⑤「社会・経済・生き方の転換点を探る」にしたいと思う。SDGsにも関連があるからである。

ところで、今日明日と生徒会長(2年生)は東京に行っているとのこと。以前、三崎高校生の提案で生まれたお菓子の件で、業者と共にレクチャーするらしい。…恐るべし。三崎高校。
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201911180093

塾のミーティングで、せんたん部の話が出て、私が「地域経済学の高校生向けテキストをつくってみようかなあと思う。(アフリカ開発経済学の高校生向けテキストを作った経験があるからだが)」と言ったら、さっそく必要な図書を今週中に注文しましょうということになった。うーん、…恐るべし。未咲輝塾。

2019年11月17日日曜日

上田正樹と佐田岬灯台

愛機G1Xではなく妻の安いカメラなのでもうひとつ色が…。
午前中は小倉にあって、公営塾の研修に引き続き参加してきた。その後急いで三崎に戻った。と、いうのも昨夜はホテルの空調の調整に失敗して大汗をかいてほとんど眠れなかったのである。急いでといっても5時間弱はかかる。(笑)熟睡できたのは大分どまりの特急ソニック号の時だけだった。普通電車は寝てしまうと大変だし、フェリーでも結局眠れずじまいだった。その理由は佐田岬灯台と、サンセットを見たかったのである。16:00佐賀関発の三崎行フェリーに乗ると、すでに灯台は点灯していた。だんだん夕陽がオレンジ色を濃くしていく。三崎高校の生徒が、佐田岬灯台から見る夕陽が最大の観光資源だと言っていた、ほんと、私もそう思う。実に美しい。残念ながら三崎港まで来ると、夕陽自体が山で見えない。先端の灯台だからこそ堪能できるということが、フェリーに乗ってわかったのだった。

さて、自宅に帰ると妻が、こちらで出来た友人と昨夜、八幡浜市で行われた上田正樹のコンサートに行ってきた話をしだした。夫婦ともども、サウス・トゥ・サウス時代の昔からの大ファンである。当然私も行きたかったが、公営塾の出張で涙を飲んだのだった。
妻は最前列に座っていたそうで、後ろを振り向くと高齢者ばかりで、R&Bを楽しむという雰囲気ではなかったらしい。友人と相談し、盛り上げなければ、ということで「キー坊~!」とずっと声援を送っていたらしい。最後はキー坊本人と握手もしにいったとか。おそらく私もいっていたら同じく、伊方町の地域おこし協力隊でもあるし、地域のコンサート盛り上げ隊として頑張ったと思う。キー坊も歳をとって、昔ほどのあの異様なほどのパワフルさはなくなっているが、それでも、日本を代表するソウルシンガーであることは間違いない。上田正樹・キー坊は最高である。
「いいな、いいな。」と私。まさか、四国にきてすぐに、それも近くの八幡浜市で上田正樹のコンサートがあるとは思わなかった。妻は実にラッキーである。

私は以前書いたかもしれないが、キー坊が「悲しい色やね」がヒットして、黒柳徹子のTV番組のベストテンで7位に入った時、大阪のバナナホールの同時中継の会場にいた。商業高校に勤務していた頃だから20代。超~昔である。
また大阪の厚生年金ホールでライブアルバム(左の画像)にもなったコンサート会場にいて、ダンス・ザ・ワルツという曲の前奏が流れ出した瞬間、大声援というか奇声を上げた。これはきっちり録音されている。(笑)キー坊のR&Bやソウルは、観客と一体になって盛り上がる熱い魂のコンサートなのだ。我が妻よ、よくやったぞ。褒めて遣わす。

追記:今日、親友のT先生がベトナムへ旅立った。日本語教師の資格を取って、ベトナムの人々を日本へと導くためである。小倉のコンビニには、ベトナム人の日本語学校の学生の店員が目立った。思わず、頑張りやあと声をかけたのであった。先日メールでやり取りしたのだけれど、もういちど記しておきたい。T先生、いろいろあると思うけど、メイビー・ノープロブレム。想定外を楽しんでくださいね。

2019年11月16日土曜日

昨夜また猪が来た (小倉にて)

この小道を猪が走り去った
昨夜のことである。ちょっと用事があって、玄関を開けたら、何やら気配がする。教職員住宅の前の小道である。そちらを見たら影があって、猛スピードで戻っていった。間違いなく猪である。「伍長」(妻のつけたニックネーム)である。
荒らされた畑
今日は九州出張で小倉に行く予定だったので、早めに寝たのだが、朝起きてみると、やはりというか、前の畑が荒らされていた。先日、住宅の前の畑を耕しているおばさんと話をしたのだが、猪はミミズとイモが好きらしい。畑を荒らされても威風堂々、平然とされていた。やはり農業をやっている方は精神的に都会人などよりはるかに強い。恐れ入ったのであった。
佐田岬灯台の雄姿(フェリーから撮影)
さて、私はこのブログを九州・小倉で書いている。未咲輝塾を始めとした西日本の3つの公営塾の研修会で、れっきとした伊方町からも出張費が出ている出張である。朝8:30のフェリーで佐賀関に到着し、タクシー・近郊電車を乗り継いで大分へ。そこからソニックという特急で小倉に着いたのだった。

小倉は全く初めてで、三崎から出てくると大都会である。F女子大のF38AのI君やF40AのW君らと会うつもりでいた(F40BのT君も予定してくれていたようだ。)のだが、今回は予定がよくわからないままだったので一週間前にキャンセルした。申し訳ないことをしたのだが、福岡から小倉は、神戸から姫路といったくらいの距離もあり、今度九州に来た時は私が福岡に出向いた方がいいかなと思った次第。また、別府を通過するとき、F40AのA君の大学が見えた。また是非会いたいなと思った。大学生は試験が近いそうで大変だ。

研修の方は、なかなか有意義なものだった。これからのセンター試験について実際に予想問題を解いてみるという内容で、私は国語を見たのだが、かなりの変化である。これから研究せねばならない課題である。

2019年11月15日金曜日

未咲輝塾版 倫理テキスト

未咲輝塾でも倫理の講義をすることになった。センター試験を倫理政経で受験する生徒がいるからである。三崎高校では3年で倫理を学ぶので、まだ近代西洋哲学史までいってないらしい。教科書を見せてもらったら、最後の2章に、近代・現代の西洋哲学史が来ていた。一神教はすでに習っているという。教科担当のH先生にご報告すると、「是非ともよろしくお願いします。」と言われたので、これ幸いと、慌ててオリジナルテキストをつくることにした。昔使っていたB4判のプリントをA4に直すか、それともPBTで使っていたA4判の特別講義・西洋哲学史をベースにするか迷ったが、後者にした。PBTのテキストは、日本に留学する学生のために教養課程で「哲学」をとってもまあ大丈夫だろうくらいのテキストである。(笑)別に受験用ではないので、センター対応に再構成する必要があったのだ。

たとえば、ベーコンの4つのイドラ論などはPBTのテキストではぶっ飛ばした。ヘーゲルの理性の狡知や人倫もぶっ飛ばしている。フランクフルト学派やウィトゲンシュタイン、ベルグソン、ロールズ、それにプラグマティズム…。しかもセンター試験では、各哲学者の主著も必須なのだが、ほぼぶっ飛ばしてある。これらを3日間かけて補足したのである。

政経に続いて倫理も講義することになって、正直なところ無茶苦茶喜んでいる私である。

2019年11月14日木曜日

文・トランプどちらが先か?

http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im7785660
久しぶりに、国際関係のニュースを元に考えていることをエントリーしたい。隣国の大統領は、外交政策・経済政策の失敗で窮地に追い込まれている。一方、米国大統領閣下もウクライナ疑惑で弾劾の可能性が強まってきた。さてさてどうなるのやら、という話である。

まずは隣国である。この左翼政権は、理解不能である。私は以前、隣国を理解するポイントとして、「儒家のカインコンプレックス」という命題を掲げた。儒家とはあの孔子の儒家である。孟子、荀子、朱子とその流れは続いているけれど、同じ東アジアの儒教圏とはいえ、重視するところは、中・韓と日本では違う。日本では、なんといっても仁であり義である。思いやりや責任感、嘘をつかない、約束を守るなどの徳目を重視する。しかし、礼はあまり重視しない。私は教師だが、生徒とともに掃除する。しかし両国ではありえない。立場を絶対視する。さて、中国で生まれた儒家は朝鮮半島経由で日本にやってきた。故に、文化面では、中国が親、朝鮮半島が兄、日本が弟になる。ところが併合の歴史を見ると、弟が兄を併合したわけである。これにまつわる「恨」が歴史問題というやっかいなカインコンプレックスになっているという分析だ。カインコンプレックスは、ユング心理学の用語、旧約聖書のカインとアベルの逸話を元にした兄弟間のコンプレックスである。隣国は、日本より上なのだという儒家の礼の絶対視から始まるコンプレックス…。これまでは、経済力の差が大きかったが、一人当たりのGDPが接近し、隣国はこのカインコンプレックス=恨をむき出しにしてきた。それが例の徴用工と呼ばれるかなり怪しい話の補償問題である。国際法=条約は憲法より重視されなければならないのは国際的な常識であるが、最高裁判決を行政が抑えられないという理屈で牙をむいてきたのである。以来、様々な日本人を激怒させる発言や行動を隣国はとってきた。日本人は、嘘をついたり、約束を破ることを最大の悪徳と見なす。(旧)ホワイト国からの除外は、日本製の戦略物資の隣国の不明な点を正そうとしたのに対して明白な解答がなかったゆえの措置だ。隣国は感情的に、政府もマスコミも報復と捉えている。何度言っても、自分の都合にいいようにしか捉えない、稚拙な反応である。今回のGSOMIA破棄も、日本の責任にされている。反日というゼロ記号(デリダの哲学用語)で、不買運動などで攻め立てたものの、効果もなく、経済がさらに悪化している。日本人はもう隣国と関わりたくないのだ。大統領の支持率は下がる一方で、大規模デモが繰り返されており、軍部のクーデターの可能性も高まっているとか。
https://www.rollingstone.com/politics/politics-features/the-madness-of-donald-trump-197853/
一方、米国の大統領閣下もその稚拙さから、ウクライナに対し選挙対策を軍事支援をちらつかせて脅したようだ。こういう電話は関係者が聞いていることを閣下は知らなかったらしい。ウォーターゲート事件でもそうだが、こういう権力維持のための不正をアメリカ人は嫌う。フェアではないが口癖の閣下こそがフェアではないし、国益と利己心の境目もなさそうだ。アメリカ1stは結局自分1stである。
そもそもまともな判断ができないのではないかと、側近が苦悩し、暴露本が書かれ、心理学者が論文を出すような大統領閣下である。内部告発者の名前を娘婿が犯罪行為であるにもかかわらずバラし話題になっている。強気の閣下もついに涙目になっているらしい。まあ、早くご退場願いたいと思っているのは私だけではないと思う。

怖いのは、レイムダックとなっても、権力者は権力者である。特に隣国の場合、歴代大統領は刑務所に送られている。この事実がそもそも理解不能なのだが、何をするかわからないところが恐ろしいと私などは思う。米国の場合も隣国以上に世界に与える影響が大きい。
…さてどちらが先に弾劾もしくは失脚するのだろうか?あるいはしぶとく任期を全うするのだろうか?現代のポピュリストの2人は、マキャベリストとなっていくのだろうか。

2019年11月13日水曜日

三崎高校 持久走大会

男子のスタート直後ローソン前にて(I先生撮影)
三崎高校は、本日午後、持久走大会であった。最初体育館に全校生徒が集まり開会式が行われた。その後、国道197号線まで坂を下っていく。(これが長い。かなり長い。登りはもっと長い。)まずは(距離の長い)男子がスタートする。といっても国道197号線、いくら車が少ないといっても危険である。どうするのかと思っていたら、軽トラに乗ったPTAの方が停車ランプをつけて、車の溜めをつくるのだ。おそらく、何度も行事をやってこういう方法を見出したのではないだろうか。校長先生によると、愛媛県の全高校で持久走大会があるそうだ。
スタート前の様子
さて、面白かったのは全教員がこの行事の役割を分担していることである。しかも一緒に走る先生(当然若手教員である)が多数おられたことだ。凄いな。6㎞以上を走るのである。しかも最後は登坂である。先導は自転車に乗った教頭先生。ペースメーカーはK先生。スターターは学校長。まさに総出である。塾生の顔なじみの生徒も意外に早くゴールしてきた。私にできることはゴールする生徒一人ひとりに拍手するくらいしかない。最後の生徒が多くの後追いの先生と共にゴールして終了した。
三崎高校は、小規模校だけに、こういう教育体制を大事にしている。今日も、いい学校だなあ、とつくづく思った次第。

2019年11月12日火曜日

センター試験連続講座2

http://wow-blog.line.me/
archives/1030940810.html

検索したらLINEのブラウンが出てきた
政経の連続講座は、昨日のSDGs講座があったので、今日で3回目である。2回目はアダムスミスからケインズへいうタイトルになりそうな回だった。今日の3回目は、ナチスドイツと戦後の冷戦の話かなと思う。

受講してくれている2人の生徒とのやりとりも面白くなってきた。最後は、ウォーリーを探せではなく、ブラウンを探せという話で終わった。そう、ナチスドイツでV1V2というロケット兵器を開発したブラウン博士の話である。こういう話はセンターには出てこないが、現代史のキーワードである。また、旧ソ連の国旗にある鎌とハンマーの記号の意味を確認した後で、ソ連の都市型工場労働者による革命の法理と、毛沢東の農民主体の井崗山での革命の差異が、朝鮮戦争をはじめとした中ソ対立のキーワードであることなどを教えた。

社会科の面白さは、やはり繋がりの発見の面白さであると思う。ロンドン帰りのT君は、センターを倫理政経で受験する。倫理の学習の相談を受けて、倫理の方も来週から少し講じていくことになった。今年の年末年始は、大阪には帰れそうもない。(笑)

2019年11月11日月曜日

未咲輝塾 国際理解教育講座1

いよいよ未咲輝塾で、第1回国際理解教育講座を開いた。部活などの関係もあって19:00始まりである。内容は、いつぞやかに、エントリーしたSDGsについての基礎の基礎=入門編である。
上の画像・資料の4は、SDGsが身近にあることを強調したターゲット・12-3。我が三崎高校の家庭科のI先生もこのターゲットに注目しているとのこと。ターゲット12-8は、先日の文化祭での「おにぎりアクション」の種明かしである。
次の画像資料6のターゲット8-8は、三崎高校が目指している地域創生が、そのままターゲットになっているという話。

聴衆は、我が塾生のT君、塾講師のH先生、そして理科のZ先生の3名。少ないなあ、などという愚痴を言うつもりはない。3人とも喜んでいただけたし、最初の小さな第一歩であるが、三崎高校の新しい時代の始まりである、いや始まりにしたいと私は捉えている。

…最後のまとめで、地球市民の話をじっくりさせていただいた。結局のところ、SDGsは地球市民の育成にたどり着く。今日参加できなかった塾生から、是非もう一度やってほしいとの希望もあって、生徒会メンバーを中心にリフレインするつもりだ。

2019年11月10日日曜日

PBTの話(78) EJU当日'19

EJU当日である。マレーシアとは1時間の時差があるので、F42 の学生諸君が今頃どうしているだろうかと、およその想像がつく。会場も同じだし、目を閉じると光景が浮かぶ。L君もおそらく、彼らと同じ教室で、JASSOの奨学金を得るために頑張っているはずだ。ありがたいことに、L君が合格したD大学から特待生扱いをしてもらえることになったのだが、それでも京都の生活費は高い。奨学金があるに越したことはない。彼はこれまでずっとJASSOの奨学金を得る資格を得ているので、あまり心配はしていないのだが…。

やはり心配なのは、F42の国費生たちである。今日は外出せず、祈りの日と決めていた。なんか安息日みたいでおかしい。一人ひとり名前と顔を浮かべて、祈っていた。

EJUは、午前中に日本語、午後からは(文系は)総合科目(=社会)、そして数学の試験である。日本のセンター試験と比べて、楽と言えば楽だが、母国語でない日本語での試験が続くわけで、かなり知力も体力も消耗するはずである。そろそろ、その試験も終わりの時間だ。国費生はいつものスクールバスで帰路に就く。バスは近くで待機しているはずだ。おそらくF君がいつものドライバーに電話しているはずだ。O先生かH先生が付き添いかな。タマンデサに着いたら、一気に解放された皆はどうするのだろう。N君はKFCにいくんだろうか?それとも故郷に帰るために荷物の用意をするんだろうか。そう、2週間のスクールホリデーがこの瞬間から始まるのだ。F42のみんな、そしてL君お疲れさん。

…今日の画像は、F42EクラスのE君がフェイスブックで送ってくれた私の「檄」の画像。こうして教室に掲示していたものをスマホに画像を入れてくれたことに、妙に感激。

2019年11月9日土曜日

アメリカのキリスト教の話3

https://www.amazon.co.jp/Great
-Awakening-History-Religion-W
hitefield-ebook/dp/B07RZDYH6V
橋爪・大澤両社会学者の「アメリカ」より「大覚醒運動」についてエントリーしたい。18世紀の前半、ピグリムファーザーズから100年くらいたったマサチューセッツ州の話である。この州では、信仰をもって洗礼を受けた教会のメンバーが正規の市民、そうでないと二級市民、あるいは寄留者と見なされていた。実際、世俗的な理由で新大陸に渡ってきた人々が増え、教会の正会員は10%以下になっていたようだ。熱烈な信仰をもっていた親世代とその子供世代は違う。洗礼を受け教会には行っていても回心体験がない。よって聖餐式を行っていない。その子供(孫世代)になると、洗礼さえ受けることができなくなる。これは大問題であった。そこでハーフウェイという制度も作られたが、「自分は回心体験がない、神から見放されている、一人前の市民ではない。」というフラストレーションが高まっていた。まるで枯草の塊のような状態。ここで誰からが回心すると、我も我もと回診のウェーブ現象が起こった。これが大覚醒である。その後100年おきぐらいにアメリカでは大覚醒運動が起こっていく。

…この大覚醒運動の世代の構造論が面白いと私は思う。今の日本にもあてはまるような感じがするのである。昨今の日本のナショナリズムの高揚は、韓国の理不尽極まりない外交が直接的な原因だろうが、「戦争を知らない子供達世代=すなわち戦争に行った親の子供」としては、戦争を知らない子供の子供(孫世代)の、日本礼賛に戸惑いを感じる。日本の社会自体の余裕のなさ=格差社会故のナショナリズム高揚という視点は十分あるだろうが、世代的な戦争の忘却といった、この大覚醒運動のキリスト教の回心の変形的な神国日本への回心を感じてしまうのである。

アメリカのキリスト教の話2

https://www.kelloggs.com/en_US/brands/kellogg-s-corn-flakes-consumer-brand.html#num=12
アメリカのキリスト教について、橋爪・大澤両社会学者の「アメリカ」書評の続きをエントリーしたい。アメリカ人とは一般的に「文字どおりキリスト教を本気で信じている人々」と、とらえないと理解できないと大澤氏が言っており、橋爪氏も同意している。

たしかに学校教育で進化論の是非を問う裁判が行われたり、ユダヤ教徒にイエスを救世主として認めさせることを最終目的としているが故にイスラエルを支援していたりと、そういう事例はアメリカに多い。この本気で信じていることゆえに教会と政府が緊張することもある。特に非暴力を身上とするクウェーカーやエホバの証人などは兵役拒否で有名。セブンズデー・アドベンチストも同様に兵役拒否をするし菜食主義でも有名である。この宗派のケロッグ博士が、菜食主義者の栄養が偏らないようにシリアルを開発した。ケロッグのコーンフレークの始まりである。こういう蘊蓄は面白い。

カルヴァン派とクウェーカーが対立し、クウェーカーのウィリアム=ペンがペンシルベニアを拓く。ここは、宗教的寛容が州是である、と言うとき、われわれ日本人が肝にめいじておかなければならないのは、信仰は真理にまつわる問題であって、決して趣味の問題ではない、ということだ。日本人は、宗教的寛容というと、カレーが好きな人とラーメンが好きな人がいる。それぞれが好きなものを食べればいいくらいに考えるが、これは違う。真理と真理のぶつかりあいなのである。真理であるからにはそれを押しつける必要があるが、それをおいて寛容であらねばならない、つまり二律背反に近い「他なる真理を認めてはならず、かつ認めなくてはならない。」という凄い緊張状態にあるわけだ。

信仰が趣味の問題ではないということをさらに深く追及すると、信仰は選べないということに帰着する。それは自分の信仰がクウェーカーであろうとバブティストであろうと神の意志であり、神に与えられていると見るのが正しい。この感覚は日本の仏教の宗旨とは違う。あくまで神のコミットメントによるものである。キリスト教やイスラム教、ユダヤ教の一神教の信仰とは、信仰の理由がないわけだ。

アメリカが自由と民主主義を広げることを国是として、パクス=アメリカーナを推進していた時、何故押し付けるのかという感覚は、したがって間違っていると両氏は言う。アメリカ人の側に立てば、押し付けているわけではなく、それが真理であると信じているからなのである。

2019年11月8日金曜日

四国の食道楽

大阪は食道楽の街であるが、四国も美味しいものが多くて、全く遜色がない。八幡浜や大洲に出るときに必ず寄る瀬戸農業公園の道の駅においてあるサツマイモはなかなか美味しいのであるが、妻が先日買った「紅はるか」などは、もう無茶苦茶美味しい。

未咲輝塾の講師の勤務時間は、午後9時までので、妻が私の食生活は夕食は野菜中心でご飯や麺類はとらないようにと決めている。昨晩の献立は、先日地域おこし協力隊のTさんと塾長のN先生経由でいただいた「亀の手」で出汁をとったクリームシチューだった。もちろん一味も二味も違って美味しかったのだが、昨晩は「掟」をやぶって、「紅はるか」が出てきた。昼間に妻がふかして食べてみると、あまりに美味しいので私にも勧めたのだ。ホント絶品である。

もうひとつ、「これも食べてみなされ。」と出されたのが、QBBのチーズである。季節限定の熊本産の栗をいれたデザートチーズ。「まるでチーズケーキの様である。」との妻の言は正鵠を得ている。これはローソン(おそらく四国最西端の三崎店)で買ったモノなので、おそらく日本全国で売っているはずだが、これもブログに書いて残しておこうと思うくらい美味しい。残念ながら、箱の裏を見ると洋酒が入っているようなので、ハラルではなかった。マレー系の留学生には勧められないのが残念でならない。

2019年11月7日木曜日

センター試験連続講座開始

文化祭明けの今日から、政経の連続講座が始まった。19:00~20:00の一時間。2年生で履修した政経と1年生で履修した世界史のポイントを思い起こすことから開始した。ポイントは、やはり近代国家論と、自由な個人・不自由な共同体というヨーロッパの社会類型である。今日は、国立大学を目指す男子生徒2人が受講。もともと優秀なのでスイスイ進むのだが、この「政経で受験するための世界史の見直し」という準備段階だけで、パワーポイントのページ数が104もある。スイスイ進んだのに今日で21/104。明日はさらに面白さを感じてもらいながらもガンガン進むつもりだ。(笑)

2019年11月6日水曜日

教え子からの嬉しいメール

3年4組懐かしい写真
H高校で担任した生徒たちも、大学を出て社会人1年生である。今日、3年間ずっと担任したM君から突然メールが来た。現在、地元の中学校で数学の常勤講師として働いているとのこと。
彼は自分の進路を、数学教師と決めて進学した。野球部でピッチャーだった彼は、監督の言によると球が素直すぎるとのことで、3番手の控え投手だった。この言がまさに彼を象徴している。在学中は私の胸中をよくわかって行動してくれた逸材だ。マレーシアに出発する時も、関空に見送りに来てくれた一人だ。

そのM君が、常勤講師という立場とはいえ、自らの「志」を曲げず、今頑張っていることに胸が熱くなる。いずれ正教員となって、思い切り野球部の指導をすることになるだろうと思う。きっと、いい人材を育てることができると思うのだ。私の胸中を慮ったように、M君の胸中を分かってくれる生徒に恵まれるはずだ。まさに人づくりは、そういう因果応報なのだと思う。自分の苦労した経験が人の苦労を知ることになる。
メールの返信には、「もう車の運転もできますし酒も飲めますので、愛媛に会いに行きますね。」とあった。そうなのだ。私にとっては丸坊主の野球部のイメージが残っているが、もうりっぱな大人である。彼の成長した姿を是非見てみたい。いっぱい話したいことがあるそうだ。
…私もである。

町見郷土館を訪ねる

郷土館の前の道から町見地区と風車を望む(拡大できます)
連休最終日は、以前から行きたかった伊方町の民俗学資料を集めた「町見郷土館」に行ってきた。廃校になった中学校を利用したもので、ここには、何度かお会いして、佐田岬半島の歴史や民俗学の面白さを教えていただいたTさんという学芸員さんがおられる。
ちょうどTさんがおられて、館内を案内していただいた。まず玄関ホールにある佐田岬半島をキルト風にアレンジした地図が面白い。ここにある丸い赤いモノは、草鞋(わらじ)であるそうだ。地元の方が協力して作られたらしい。三崎より東の各地区では、集落の入り口付近に巨大な草鞋をつくり、魔除けとしたそうだ。このような草鞋を履く大きな巨人がいるぞ、ということらしい。2003年現在の資料では10地区14カ所にあったようで、現在もあるという。問題は稲作をしていない伊方町内では藁を調達することが難しくなってきているとのこと。この風習(オオヒトさまの大ぞうり、オニのコンゴー:鬼の金剛草履)は愛媛県南部から高知県中西部で見られるようで、毎年2月くらいに新しいモノが作られるらしい。念仏を唱えながらつくるといただいた資料に書かれてあった。三崎は臨済宗妙心寺派が多いので、大草履がないのだろうと私などは推測する。蒼い石垣と共に、各地区を回って大草鞋を発見する楽しみができたのだった。
さて、館内に入ると、打瀬舟がまず目を引く。これでアメリカに密航した人々もいるとか。(ヨットで太平洋を渡った)堀江謙一氏も真っ青な話である。大きさは、メイフラワー号と同じくらいかもしれない。
四季を通じての展示も面白かった。佐田岬は昔は麦と芋の生産を生業にしていた。その様々な農機具や生活用品が展示されている。冬は杜氏(とうじ)として各地に酒造りに出稼ぎしていたという歴史もあるそうだ。昨日大洲で見た養蚕も一時期やっていたようだ。ただ、この養蚕にまつわる祭りはないそうで、やはり祭りというものは長い歴史がつくるものなのだ。ところで伊方の祭りには「牛」が登場することが多いが、これはやはり宇和島の伊達藩の影響が大きいらしい。一昨日の名取での学びにに通じていく。

T学芸員さんの詳しい説明と様々な展示物(紙粘土や発泡スチロールのレプリカなど:特にさつまいもは本物そっくりだった。)を制作された地元の協力者の皆さんに感謝したい。
…ここに住んでいるからこそ属性が生まれ、興味深さが増す。この3日間は、夫婦ともども、佐田岬半島の歴史に触れることができて、大いに有意義であった。

2019年11月5日火曜日

大洲で「おはなはん」に出会う

大洲 おはなはん通り
文化祭の代休で、昨日の文化の日と合わせて3連休である。今日も松山行きが予定されていたのだが、結局キャンセルして、大洲に行くことにした。これまで何度も大洲には行っているが、家具や寝具などを買いに行くためで、観光はしていない。今日は純粋に観光しようということになったのだ。大洲は、伊予の小京都と呼ばれる観光の街でもあるのだ。

「街の駅」の駐車場に車を停めて、地図を片手に散策に向かった。すぐ近くに、昔々の連続TVドラマ「おはなはん」のロケ地となった古い町並み=おはなはん通りがある。「おはなはん」を私は昔々見ていたという記憶がある。昭和41年というから、私は8歳=小学3年生だと思う。まだ我が家は白黒TVだった。ヒロインは、樫山文江。彼女の父親である樫山欽四郎は、ヘーゲルの研究者で氏の「哲学概説」を私はテキストとして学ぶことになった。最初の授業で、教授にテキストの著者がおはなはんの父親であることを教えてもらい、なぜか非常に感激した思い出がある。(笑)ドラマ上でも、おはなはんの出身地とされているのが、この大洲なのである。(ちなみに街の駅の12時の時報も「おはなはん」のテーマ曲だった。イイネ!)

その後、さらに近くの「思ひ出倉庫」に向かった。ここはポコペン横丁という昭和をテーマにしたレトロな空間である。ポコペン横丁は日曜日のみ開催で今日は閉まっていたが、メインとなる「思ひ出倉庫」は開館していた。昭和30年代をテーマにした小博物館なのだが、私たち夫婦のような30年代生まれにはなかなか懐かしく素晴らしい展示だった。ダッコちゃんやカルピスの看板やオリエンタルカレーの人形…。何枚写真を撮っただろう。(笑)
最後に訪れたのは、おおず赤煉瓦館。元大洲商業銀行の跡である。煉瓦造りだが屋根は瓦葺きという和洋折衷の建築が面白い。大洲は、最初は川の水運で栄え、さらに製糸業で栄え、このような銀行が設立されていたという。
この一番上のポストのある作品を購入 http://tyajima-nikki.seesaa.net/article/171680611.html
私はここで地元の作家(内子町を拠点にしている山田きよ氏)の「版画」を気に入って購入した。(1500円/額なし)版画の持ち帰り用の筒も用意されていて、感激したのであった。観光の街としての大洲、多くの観光施設といい、よくできた観光地図といい、観光客用の無料の駐車場の多さといい、ホント頑張っているよなあと感心した次第。

PBTの話(77) F42国費生に檄

自室のマイ・デスクのPCの上に「檄」を並べて残して記念撮影。
先日、三崎郵便局から、PBTのF42の国費生2クラスに「檄」を送らせてもらった。以前エントリーした愛媛ミカンの国内用のハガキを封筒に入れて国際郵便で送ったわけだ。10日くらいかかると言われたのだが、昨日PBTに届き、今朝T先生から、皆に伝え、教室に掲示していただいたというメールが届いた。木曜日の放課後に開かれるであろう、EJUの激励会に間に合ってよかった。皆、喜んでくれたらしい。

文面は、「檄 F42平均で150点以上」これだけである。いろいろ檄の文面を考えたのだけれど、シンプルにした。F36の国費生の先輩に追いつき追い越して欲しい。なお、裏面には全員の名前を思いを込めて書き込ませてもらった。

10日のEJUまであと少しである。私に出来ることは、高得点を全員がたたきだせるよう、ただただ祈るだけである。頑張れ、F42の国費生諸君。

2019年11月4日月曜日

♪ 疲れたら愛媛

今日の名取から見た 波の音がやさしい愛媛の海(拡大できます)
我が家にはマレーシアに渡って以来、現在もTVがないので、「和牛」という漫才コンビがいることは知っていたが、YouTubeでも見たことはなかった。その「和牛」が昨日の三崎高校の文化祭を経て一気に身近なものになった。というのも、午後の生徒会企画の最初に、英語のK先生がギターをもって制服姿で登場。さらに音楽のO先生がこれまた女子の制服姿で登場して、会場全員で歌って盛り上がったのが「疲れたら愛媛」という歌だったのだ。後でK先生にお聞きすると、オリジナルではなく「和牛」(ボケ担当が愛媛県伊予市出身)が歌っているのだという。なかなかいい歌だったので調べてみた。

この曲は愛媛県の公式PRソングで、YouTubeにも和牛や女性シンガーの歌があった。私が気に入ったのは、「疲れtら愛媛」というサビの部分が覚えやすくていいのと、「波の音がやさしい」というフレーズである。ほんと、三崎をはじめ佐田岬半島から見る海は、波が穏やかで、「波の音がやさしい」のである。この表現はまさに文学的でしかも的確であると思う。ちなみに2番は「お湯も人もやさしい」3番は「町も人もやさしい」となっていた。これもそう感じる。今日も名取や三机で実感したのだが、おだやかでやさしい。ちなみに、まだ「道後温泉」にも、八幡浜の「みなと湯」にも、伊方町の「亀の池温泉」も行っていないので「お湯」に関してはわからない。(笑)和牛の漫才も見てみようかな。
https://www.youtube.com/watch?v=sD5kdfg0KJ8

蒼い石垣巡り 三机

名取からさらに、「三机(みつくえ)」に行くことにした。その前にしらすパークにも寄った。ここに行く道では、見事なタテハ(矢羽根状についた=積んだ)の石垣があった。これも素晴らしい。
瀬戸内海に面した三机は、その湾の形状から、第二次大戦の真珠湾攻撃のための訓練地になったところで、特殊潜航艇で出撃し帰らぬ人となった9人の鎮魂碑がある。まさに「トラ!トラ!トラ!」の現場なのだ。佐田岬半島には、そういう歴史もあるのである。この碑は須賀公園というところにあって、すぐ傍がキャンプ場になっていた。
碑には佐藤栄作首相の書で、「大東亜戦争」とか「軍神」とかいう銘が彫られている。「戦争を知らない子供達世代」の私としては、すぐ傍のキャンプ場との大きな違和感を感じずにはおれなかった。若くして国のために散った彼らのことを記憶に残し、その死を悼むことは非常に必要だと思うが、ことさらに軍神として崇めるのはいかがなものかと思うのである。
ところで、ここでも伊達藩の歴史を感じる遺跡がある。この三机は、堀切といって、佐田岬の最も瀬戸内海と宇和海が最も近い、すなわち地峡といっていいような場所にある。江戸時代にここに運河を掘ろうという計画もあったらしく、「堀切」という地名が残っているわけだ。宇和島藩が参勤交代のために佐田岬半島をぐるっと周回するわけだが、天候によっては、宇和海側から上陸し、陸路三机に出て瀬戸内海から予備の船で大阪に向かったらしい。この須賀公園に予備の船を置いておいた跡があったのだ。なかなか興味深い話である。
三机でも、素晴らしい蒼い石垣があった。パンフにあるお寺の石垣で、高さ6mもある石垣とレンガのコラボレーションも見事だったが、私は、これよりそれを探している時に見つけた山道に続く石垣に感激した。ちょっと掃除していたおばさんがいて、ここでも立ち話になった。今は雑木林になっているけれど、以前は全て畑だったそうだ。これらの石垣はその名残だそうだ。こちらの人々はみんな親切で優しい。だが、その話は少し悲しい。
このエントリーの最後に記しておきたいことは、須賀公園に行く道で、打ち捨てられた漁船がたくさん見た。おそらくは離漁していった人々のモノが放置されているようだ。ここでも過疎の事実をを体で感じた次第。
…いろいろと考えることが多かった三机での蒼い石垣巡りであった。

蒼い石垣巡り 名取

名取の集落の入口
佐田岬半島=伊方町の魅力の一つに、蒼い石垣がある。妻も私も大ファンになった。半島の生業の歴史が生んだ素晴らしい遺産であると思う。今日は、松山に行く予定を立てていたのだが、寝坊したこともあって近場の蒼い石垣巡りをしようということになった。まずは、「名取」という集落である。ここは三崎に最も近い集落のひとつである。国道197号線の標識をたよりに名取方面に、降りていく。(国道197号線はわりと高いところを走っている。半島の各集落に行くには、降りていくという感覚がある。)

ところで、この名取の集落は、行ってみてわかったのだが漁港はもちろん海にあるのだが、集落は全て山にへばりつくように立地していた。一度、漁港に出てもう一度登る羽目になった。かなりの急斜面である。車を停めて、階段を登っていく。すると、蒼い石段が各所にある。ここで、3人の方に会った。漁師らしきおじさん、小さな畑で作業していたおばさん、そして蒼い石垣のパンフレットにある石垣を見た後に出会ったおばさん。みなさん親切に教えていただいた。
パンフレットにあった蒼い石垣 その1
パンフレットにあった蒼い石垣 その2
いろいろ分かったこと。この「名取」集落は、(仙台から宇和島に移ってきた)旧伊達藩が、牛の放牧のために名取(現在の宮城県仙台のすぐ南にある市)出身者によって拓かれた集落らしい。まさにリトル名取。だから方言もちょっと他の集落と違うとのこと。東北大震災の時、この名取だけは名取市に直接義援金を贈った。それで、本家の名取市が、この名取の存在を知り、以来交流が続いているということだ。またミカン栽培は、市場価値が糖度優先で、ミカン農家もかなり追い詰められているようだ。また、このあたり、年に1~2回帰ってくる空き家同然の家や高齢者の単独世帯も多いらしい。30分ほど蒼い石垣の前で立ち話。過疎問題のフィールドワークにきたような感じだった。
…なかなか面白く大変勉強になった名取の蒼い石垣巡りだった。