2020年3月31日火曜日

南部アフリカの感染状況

南アのロックアウト https://www.asahi.com/articles/ASN3X7K2LN3WUHBI033.html
JETROの記事によると、アフリカで感染者数が最も多いのは、南部アフリカ地域で、その中心・南アで3月26日現在900人。4月19日までのナショナル・ロックダウンが実施されている。周辺にも感染者は拡大しており、すでに外出禁止令が出されているモーリシャスで81人。マダガスカルでも23人。感染者2人のアンゴラも南部アフリカ地域で、その中心・南アで3月26日現在900人。4月19日までのナショナル・ロックダウンが実施されている。周辺にも感染者は拡大しており、すでに外出禁止令が出されているモーリシャスで81人。マダガスカルでも23人。感染者2人のアンゴラも航空便の停止と陸路の国境封鎖を実行している。WHOによると、セイシャル7人、モザンビーク5人、ナミビア5人、エスワティニ(旧スワジランド)4人、ザンビア3人、ジンバブエ2人で、ボツワナ、レソト、コモロは0人。…マラウイはどうなっているのだろう?
ただ、南アのロックアウトで、モザンビークやジンバブエ、マラウイなどの外国人労働者が急遽帰国しったので、各国は戦々恐々としているようだ。

…医療が脆弱なアフリカで、感染が爆発すれば大変なことになるのは必定。ただ、ロックアウトは、その日暮らしのインフォーマルセクターに従事する人々の生活を直撃する。暴動が多発する危険もある。ガバナンスが良くないアフリカ諸国では、感染拡大も地獄、ロックアウトも地獄といったジレンマに苛まれることになる。結局、最も弱いところに最大の被害が出ることになる。旧宗主国も苦しんでいる。アフリカを積極的に助けることはない可能性が高い。構造的暴力は、こんなところにも表れてくる。私は憤りを隠せない。

2020年3月30日月曜日

東大オンライン無料公開講座

 地域社会のサスティナビリティ https://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_1529/
WEB上で、東京大学の講義が無料で視聴できるのを知った。とりあえず社会学の講義を1本聞いてみた。SDGsと地方創生の関りで、興味深く視聴させてもらった。昨日早速F40のL君に、この件を連絡したが、未だマレーシアにあり渡日許可を待っているF42の国費生の皆にもシェアしたい。

東京大学は、日本の最高峰の大学である。(マレーシアで言えばマラヤ大学。)その講義が聞けるというのは、ありがたい。もちろん、かなり難しい語彙や専門用語が出てくる。ただ、ビデオなので、わかならないことがあれば、停止させて調べて、また続きを見て、という作業が可能だ。実際の大学での講義ならそういうストップモーションは出来ない。そういう意味で、日本語のリスニングには”もってこい”だ。長く、日本語から離れて故郷で待機しているF42の国費生には、実に有意義だと思う。もちろん、様々な講座があって、自分の専門分野、あるいは興味のある分野をチョイスすればいい。

アニメやYouTubeのサンドウィッチマンなどもいいけど、是非一度覗いて欲しい。もちろんレベルは高いが、国立大学なら、そんなに変わらないと思う。東京だし、標準語。地方の大学では、これに方言が入るわけで、そういう意味では、みんなにとってはイージーかとも思う。
UTokyo  OpenCourseWare https://ocw.u-tokyo.ac.jp/
一番下の「おすすめキーワード」をクリックするといろんな講義にたどり着けるよっ。

2020年3月29日日曜日

原油価格暴落の裏側

ロシアの油田・天然ガス田 http://russianresources.seesaa.net/article/432900478.html
Jbpressに興味深い記事が載っていた。「コロナ渦の裏で原油価格大暴落、その原因と行方」(杉浦敏弘)である。原油価格については、PBT時代授業でちょっとだけ詳しく教えた。それは、秋田大学の国際資源学部を私が勧めていたからで、マレーシア経済において、民族石油資本・ペトロナスは大きな存在だからだ。ここには現在国費・私費を合わせて3名在籍し、新学期から2名入学、計5名の卒業生が在籍することになる。彼らにとっては非常に重要な問題だし、国際関係専攻の学生諸君にも、是非知っておいて欲しい。私も勉強のため、内容を再構成して整理してみる事にした。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59920

現在石油価格は暴落している。(たしかに日本でもちょっとガソリン価格は下がっている。)この理由は2つ。①3月6日のOPECと非OPEC主要産油国(ロシアなど)の「OPEC+会議」での追加減産案にロシアが賛成せず、決裂したこと。これに対して、サウジが直ちに原油増産を発表、供給増=価格低下となった。⓶新型肺炎コロナウィルス蔓延による世界的な経済活動停滞による需要減が見込まれること。①供給増+⓶需要減=暴落となっているわけである。

ロシアが追加減産に反対した理由は、西シベリアの油圧層が低いので、バルブを閉めて減産すると将来採取が不可能になってしまうこと、さらに西シベリアの原油はワックス分が多いので、パイプラインを常に流しておかないと、動脈硬化を起こしてしまうこと、また冬場には原油に含まれる水分が氷結してしまうという、極めて技術的な問題であるそうだ。これ以上減産すると西シベリアの油田が崩壊の危機にあるわけだ。

しかも、原油生産にロシアの国家財政は大きく依存しており、1バレル$42.4で予算を組んでいる。現在の石油価格は、WTI(授業で教えたテキサスにある原油先物取引市場)で1バレル$20台。このままいけば国家財政は赤字に転落する。ソ連崩壊時の原油価格は1バレル$10台。もしこのような事態になれば、プーチン政権にとっても一大事となる。

現在の最大の産油国になったアメリカもまた、この暴落は痛い。シェールオイルの損益分岐点は1バレル$40程度、このまま行くと3年ごとに投資(新採掘)を行う必要があるシェールオイルは壊滅的打撃を受ける。

サウジがいくら増産しても、利益は薄い。結局、世界の主要産油国(米13%、サウジ13%、ロシア12%のシェア)三者全てが敗者になってしまう。筆者は早晩手打ちすると予測。最大の受益者は大消費国の中国だとすると遠藤筑波大教授の論評を慧眼だとしている。

…原油価格の話はかなり複雑である。しかし、国際関係を考える上でかかせない問題である。今回の小論は実に参考になると思う。興味のある学生諸君はさらに深く学んでほしい。

2020年3月28日土曜日

現時点でのパンデミック考5

https://www.jiji.com/jc/tokushu?g=cov
アメリカが今凄いことになっている。ヨーロッパもイタリア、スペインだけでなく西欧諸国も大変な状況になっている。マレーシアも4月14日までの出入国禁止措置が延長され、日本の桜を楽しみにしていた教え子たちがかわいそうだ。ベトナムでも、ついに学校休校措置が取られたようで、T先生のハノイの日本語学校も休校になったという連絡があった。

日本でも爆発的ではないが、様々な地域でポツポツと発症が続いている。日本はわざと発症数を抑えているのではないか?なぜ都市の閉鎖をしないのか?という批判とも疑念とも採れる反応があるようだが、私は、日本の(花粉症やインフルエンザ予防のための)マスク常用の週間と、衛生観念(手洗いやうがいなどの習慣)が大きいと思う。国民性の問題だ。しかも欧米的なキスしたりハグしたりという挨拶習慣がない。周囲の空気に合わせるのが日本の文化である。したがって国家権力の強制力で、外出禁止などを強制する必要性があまりないわけだ。埼玉でのK1の開催は、そういう文化を振り切ったかなり非日本的な話で、パッシングは当然だと思う。

アメリカ社会については、一時かなり勉強したが、意外だったのがオバマケア時代は例外として、国民健康保険制度がないことである。アメリカの格差社会は強烈で、レンタカーでアメリカを運転している時も、保険に入っていないようなボロ車がたくさん走っていた。そんな車にぶつけられたらどうしようもない。医療も同様で、金持ちは医者にかかるが、貧乏人はドラッグストアでせいぜい薬を買うくらい。マスク姿もほとんど見ない。そもそも傘をさしたりもしない。なにより自由を制限されるのが嫌いなのがアメリカ人なのだ。これを抑えるのは、警察や軍による強制力しかない。

中国の状況は、全く信用できないと私も思う。最近はアメリカのせいだとプロパガンダしているようで、まるで隣国の様だ。これもスターリンの亡霊かと思う。他者のせいにすることは不徳だと考える日本人的美学から見れば、不信感しか生まれない。

この時点で、私が興味深いのは、このパンデミック騒動の元であるウィルスの呼称だ。最初は「新型肺炎」というのが一般的だったが、「コロナウィルス」になり、WHOなどは「COVID-19」、アメリカでは、前述のアメリカが元凶だというプロパガンダに対して、反中国的な政治的立場を明確にしていて「武漢肺炎」「中国共産党肺炎」なども呼ばれている。このどれを使うかということも発信者のスタンスを示している。まだ京都に来れないPBT・F40の教え子・L君と社会学的に今回のパンデミクスを見ていこうとメールで約束しているのだが、呼称は一つの社会学的な視点になるかなと思う。

本日、首相が様々な対策を発表した。危機感を持続し、経済的な対策をうち、学校関係にも地域的には休校延期があるかもしれないとのこと。だが、愛媛は比較的感染者は少ないので大丈夫だと思う。だが、いつ何時、この状況が変化するかわからない。

…佐田岬半島は、山桜がポツポツと見えて美しい。三崎高校の前の桜もだんだんピンクになってきた。世間のパンデミック騒動とは別世界のようである。でも歩いている人は、ほぼマスク姿である。

2020年3月27日金曜日

三崎高校 離任式

大阪では。新年度に実施され、あまり転任した先生が行けないようになっている離任式。(転任先からは実際、推奨されない。出張費の問題?)こちら愛媛県では年度内に行う。大阪と比べると転任による移動距離が長いからだと推測する。

もう新聞発表もあったので、詳しく書いてもいいと思うが、W校長をはじめ、数学のT先生、家庭科のI先生、保健体育科のH先生、英語科のJ先生、社会科のW先生、美術科のT先生と新任教員指導担当のM先生が離任される。(順不同)三崎高校は、生徒との距離が近いし、熱心な先生方ばかりなので、離任式は別れを惜しむ空気に包まれていた。

お一人ずつの挨拶、花束贈呈、校歌斉唱。そしてW校長中心の最後の「みさこう最高!さあいこう!」のコール。最後は中央突破で在校生、卒業生、教職員、そして地域の皆さんの暖かい拍手の中、退場。久しぶりに、離任式らしい離任式を見た。こういう式で離任される先生方は幸せだと思う。

離任式で歌う校歌はやはりジーンとくる。今だに在任した商業・工業・普通科2校、計4校の校歌と出身校の校歌は歌える。それぞれに良さがあるが、三崎高校の校歌は、詞が古風で、こういうシチエーションにぴったりはまるのだった。

2020年3月26日木曜日

せんたん部 マーマレード作り

休校状態から脱して、生徒諸君が部活に来るようになった。ただ、通学可能な生徒に限られるし、八幡浜方面からは無料の同窓会のスクールバスもなく、フツーのバス(これが意外に料金が高い。)しかないし、そんなに多くは来ない。もちろん寮生もまだ帰ってきていない。

と、いうわけで、塾はまだ開店休業状態が続いている。ところで、塾のある3Fの隣は調理実習室である。なぜか今日は生徒の声でワイワイと盛り上がっていた。覗いてみるとマーマレードを作っていた。八幡浜市で行われる大会にアマチュアとして昨年参加して入賞しているのだ。今回は、コロコロの影響で開催が危ぶまれているが、三崎高校せんたん部は万全の準備しているのだった。その中心は、地方創生・地域協働学習の中心者T先生であり、エシカル甲子園準優勝に導いた家庭科のI先生である。I先生は、今春転勤が決まってしまったので、「最後の仕事やけん。」と張り切って柑橘の皮を細かく切っておられた。
様々な柑橘が置かれ、どれを使うか、みんなでだいぶ試行錯誤していたようだ。私もずっと見ていたわけではなく、時折覗きにいっただけなのでが、かなりの長時間にわたって頑張っていたことしかわからない。かなり手間のかかる作業だと思う。最終的に試作品もできて、少し味見させていただいた。…美味しい。たいしたもんだと思う。

2020年3月25日水曜日

日本企業のSDGs取り組み

https://diamond.jp/arti
cles/-/232687?page=2
ダイヤモンドオンラインに、SDGsへの取り組み評価が高い日本企業のランキングが出ていた。(本日3月25日付)
重要なのは、企業名ではなく、ESG活動(経済のE、社会のS、企業ガバナンスのGを意味している)の、どのような取り組みが評価されているのかという点だと私は思う。

総合第1位のトヨタ自動車は、「環境に配慮している」は第5位(サントリーが1位)で意外に低いのだが、「社会貢献活動」「技術・科学の発展に貢献」「世界平和に貢献」「法律やルールの順守」が上位で評価されたらしい。

総合3位の旭化成は、評価がトップの項目はないが、「宇宙開発を推進」「環境への配慮」「スポーツや文化活動に熱心」「働き方改革」「技術・科学の発展に貢献」などが上位らしい。
その反対が、総合第6位のイオンで、「高齢者や障がい者にやさしい」「雇用を生み出している」「地域に貢献」が第1位である。だが他の項目は低いんだとか。当たり前だ。イオンは商業施設だ。この3つに1位なら十分じゃないか。

この記事全体については、あまり私は評価していない。企業の個性がそれそれ出ているとかいないとか、低い項目があるとか、当たり前の話が出ていて、全くどうでもいい内容も含んだ記事である。

SDGsは、当然ながら広範囲にわたる。企業にとって貢献が可能な項目もあれば、難しい項目があるはずで、個性が出るのは必定だ。私は、各企業の総合的なランキングより、各項目別のランキングを見たい。

ふと、水前寺清子の古~い歌が浮かんだ。
…「勝った負けたと騒ぐじゃないぜ。後の態度が大事だぜ。」

2020年3月24日火曜日

第二の周恩来はいないのか。

周恩来
https://detail.chiebuku
ro.yahoo.co.jp/qa/question_
detail/q11172931871
中国が大きく揺れている。昔、一時期中国の近現代史を真剣に学んだことがあった。実に興味深かった。毛沢東と言う人物は1949年の中華人民共和国建国までは優れた革命家であると思うが、以後は「毛災害」と呼んでもいいほどとんでもない人物である。彭徳懐や劉少奇との権力闘争は実に激烈で容赦ない。

易姓革命は中国の歴史のDNAである。「徳を失う」と権力の座からたちまち滑り落ちるのが中国である。中国共産党は、「徳を失った」蒋介石の国民党との内戦に勝利したわけだが、スターリンの朝鮮戦争という罠に嵌り、長年経済発展できなかった。これらの激動の歴史で、ひたすら実務に徹し、権力闘争の外に会って、中国のかじ取りをしてきたのだが周恩来である。近現代の中国政治の中で、これほど「徳を持った」人物を私は知らない。常に大局を見ながら、自己を押し殺し、人民のために奉仕することに徹した政治家である。周恩来の死去後、毛沢東も死に、鄧小平が四人組との権力闘争に勝利し、中国は大変革を遂げることになった。

鄧小平以後の中国は、豊かになるために、中国共産党の独裁体制下での資本主義化という壮大な実験に入る。莫大な人口圧の中で鍛えられた勝ち組は、とんでもない資本家に成長した。人民解放軍もまた私企業化した。人民解放軍は国家の軍隊ではない。中国共産党の軍隊であり、自らの軍備や兵の給与は自ら稼ぐ。ほぼ軍閥に近い。中国共産党もまた建国当時の理想は失われ、共産党員は単なるノーメンクラツーラになっているようだ。初めて中国を旅した時、「様々な矛盾があることは唯物史観的に見て当然である。」と、現地コーディネーターが言っていた。中国は、二の文明の地である。天と地、陽と陰、儒家と老荘。あらゆる矛盾が並立していることが前提となっている。社会主義の共産党=プロレタリア独裁とえげつない拝金主義の資本主義もまた並立している。ただ、その矛盾が沸点に近づいているようだ。
アメリカの資本主義も凄い格差社会を生んだが、アメリカの勝ち組は負け組に対し則を超えない程度のプロテスタント的な倫理を持っている。負け組を追い込むと自分に跳ね返ってくることを自覚しているのだ。しかし、二の文明の中国にはそういう倫理はない。
中国経済の様々な危機が伝えられている。曲がりなりにも徐々に豊かになっていたがゆえに、また中国共産党の押さえつけが成立していたがゆえに、負け組もおとなしくしていたが、経済が破綻したら爆発するだろう。中国共産党が「徳」を失う時はその時だ。いくら情報操作したり、隠匿したとしても抑えきれないのではないか。

今回の新型コロナウィルスのパンデミクスの責任は、誰が見ても情報を隠匿し、春節前に手を打たなかった中国共産党=習近平にあると思われる。日本のマスコミは黙っているが、いよいよアメリカが動き出した。中国政府が自分たち(=習近平)の責任ではないと言い出したからだ。アメリカははっきりと「武漢肺炎」という表現をマスコミが使い、訴訟問題が起こっている。中国国内でも、習近平によって追い詰められていた江沢民派が反逆的な行動をとり始めているようだ。最近の異常気象も追い打ちをかけている。これはまさに易姓革命の故事に則った視点では、「徳」が失われた証拠になる。

今回の新型コロナウィルスのパンデミクスは、一帯一路政策に破壊的な打撃を与えた。アメリカの覇権に挑戦しようとした中国=習近平は、大きな打撃を受けるだろう。人民解放軍にも江沢民派が極めて強い北部管区がある。ここは、北朝鮮との関りが強い。
北朝鮮と韓国も、危機的状況にある。米軍も米資本も半島から撤退しようとしている。その後どうなのるか、北部管区の人民解放軍もどう動くのか、全く予想がつかない。

…今回のパンデミクスで世界的な不況が訪れることは明らかだ。大統領選で勝利をつかむために例の大統領閣下は、どういう手段をとるのか。あまり想像したくはない。

…大局を読み、私心を捨て中国人民のために奉仕する周恩来のような人物は、今の中国共産党にはいないのか。

2020年3月23日月曜日

理系シンポジウム in 未咲輝塾

https://www.cambridgeconsultants.com/jp/DNAstorage
合格者登校日である。13:00から生徒と保護者が集まってきた。私は塾の紹介のため最後に登壇した。マスクをして、マイクで話すという不慣れなシチェーションであったし、出来は70点くらい。半年、授業をしていないと、さすがに話術は錆びつくなあと思った。なんか、鳥谷(阪神からロッテに最近移った)の苦労が分かった気がしたのだった。

ところで、今日は16:00に塾の非常勤講師をお願いしているI先生が来られた。来年度の取り組みについてミーティングをして雑談にうつっていたら、J先生が塾に来られた。ちょうど、私が、「文化祭なんかで、I先生を囲んでシンポジウムみなたいなのをしたいですねえ。J先生や新しい講師のS先生といった理系の知識人の話を聞きたい。」と言っていた矢先だった。自然とシンポジウム(笑)が始まった。I先生は原子物理学、J先生は社会生物学の人だが、見事に絡んでいく。I先生が、生物学はアナログではなくデジタルであると、染色体の組み合わせの妙の話を語り、J先生が生物学の進化を語りだし、見事に絡んでいく。文系の講師である我々3人は、何を言っているのか、なんとなくしか分からない。でも是非生徒にも聞かせてあげたいなと思った。よくわからくてもいいのだ。大人が真剣に語り合っている姿を見せたい。先ほど、I先生からメールをいただいた。今日は実に楽しかったです…と。

2020年3月22日日曜日

米国の帰国勧告と為替スワップ

http://dafi1637.blogspot.com/
2017/10/north-korea-to-usa-map.html
19日、米国が、全ての渡航の中止と海外に滞在している国民に対し、速やかに帰国するように促した。もちろん、新型コロナウィルスの感染拡大を防止するためであるが…。
https://honichi.com/news/2020/03/20/covid19america/
一方、同じく19日、米国FRBは、韓国など9か国に、為替スワップ協定を結んだ。協定の期間は6か月である。これも、新型コロナウィルスによる世界的な経済不況でのドル資金供給不足を補い、混乱緩和をめざしたもの…らしい。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2020/03/268080.php

アメリカは、普段はどんなに分裂していようと、ここぞと言うときは団結して危機に対処するという国だ。矢継ぎ早に効果的な政策をうち、すでに酸素吸入乳機を自動車会社に作らせたりしている。民主主義国だが、危機的な状況に際しては、大統領の権限の大きさがモノを言う。かの大統領閣下も、民主党でバイデン氏が出てきそうだし、経済が行き詰っていて、やおら危機感を強めているはずだ。米国のプロ中のプロのシンクタンクは健在だ。四の五の言わず、彼らに任せたような気がする。

ただ、帰国勧告と韓国への為替スワップは、朝鮮半島から米軍が撤退する口実と米の資本引き上げの最大のバックアップ作戦にも見える。この帰国勧告で、米軍並びに米企業の家族を合法的に引き揚げさせることが可能だ。企業戦士も引き上げるかもしれない。軍は6か月以内に準備を進める可能性もある。ウォンが下がり、株価も下がっている。この6か月以内に回収できる米資本をドルに換え、引き上げるための為替スワップだという声がWEB上で上がっている。韓国は通貨スワップでアメリカが助け舟を出したと言っているようだが、私はアメリカの撤退作戦だと見ている。

…アメリカが、経済的にも軍事的にも朝鮮半島から撤退すると言うことは何を意味するのか。今日のところは、これ以上の推測を停止したい。

2020年3月21日土曜日

山中伸弥教授のHPについて

京大の山中伸弥教授が、新型コロナウイルスの情報発信を個人の立場でされている。難解な専門用語を使わず、あくまで国民一人ひとりにわかりやすく説明してくださっている。このHPの存在を拡散すべきだと判断した。
https://www.covid19-yamanaka.com/index.html

特に、エビデンス(証拠)の強さごとに見る新型コロナウィルスの項は、溢れかえる情報の中で、何が正しく、何が未知数なのかを知る手掛かりになる。エビデンスがあり、正しい可能性が高い情報、正しい可能性があるが、さらなるエビデンスが必要な情報、正しいかもしれないが、エビデンスが不十分な情報、今後の対策のため、早急にエビデンスの収集が必要な事項に分類されている。

論文、データ、動画、報道から見る新型コロナウィルスという項もある。私は、中国のデータや報道は政治的な側面が強すぎて信用できないと思っている。各人の情報のリテラシー能力が重要である。山中伸弥教授は、各人のリテラシー能力を信じて、これらの項目を入れておられるように思う。

サンドウィッチマン 演歌の男

http://mosimo0126.sakura.ne.jp/talent/?p=54672
最近、我が家でハマっているのが、サンドウィッチマンをYouTubeで見ることである。昨日のエントリーに関連するが、オリンピックの聖火が松島基地にやって来た際も、彼らが出迎え「神対応」(凄い日本語だ。言語は生き物と言うが、60代には、なかなかついていけない。笑)をしたとか。

中でも妻が大好きなのが「演歌の男」である。たしかに面白い。有名なコントらしく、毎夜寝る前に見る人もいるらしい。(笑)今更エントリーするのも恥ずかしいが、挿入歌の「契り」がいい。耳に残る。伊達のモノマネもいい。松山千春が凄くいい。オチもいい。
https://www.youtube.com/watch?v=R7sTT-MqN4Q

関西人としては、関西弁の漫才が耳になれているので、最初は変な感じだった。しかし、最近は、PBTで標準語の訓練を受けたので、違和感がなくなったのかもしれない。関西の芸人にもっと頑張ってほしいが、いいものはいい。(ナイツも好きだ。)
TVがない我が家で、YouTubeは貴重な存在である。

追記1:先日アフリカの感染状況についてエントリーしたが、ブルキナファソでも感染者が出たそうだ。非常に心配している。
追記2:本日は、今春新1年生が多く入ってくるので、寮に入り切れない生徒(おそらく2・3年生)を迎え入れる準備を朝から手伝っていた。新年度、寮をもう1つ新築するので1年間の仮住まいの整備と言っておこうか。

2020年3月20日金曜日

オリンピックの聖火 日本到着

予行での見事な五輪 https://twitter.com/leveloi
東京オリンピックの聖火が、宮城県松島の航空自衛隊基地に到着した。ここはブルーインパルスの本拠地である。あいにくの東北新幹線が止まるほどの暴風(最大瞬間風速22.6m/s)で、ブルーインパルスのデモストレーション飛行はあまりうまくいかなかったらしいが、無事故でなによりであったと思う。(もしフツーの航空祭などだったら、絶対中止していたんじゃないかな。おそらく政治家の無理難題。)大好きなブルーインパルスの名誉のためにも、前日の予行の様子は見事であったので、YouTubeのアドレスを両方記しておきたい。
https://www.youtube.com/watch?v=3qiLgz2XkEE (当日)
https://www.youtube.com/watch?v=JGYoq9DSNgY (予行)

この後、聖火は東北大震災の被災地に展示されていくそうだ。しかしながら、このパンデミック騒動の中で、華やかに行われるというのは想像しにくい。
さて、我が四国の最西端にある三崎にも、1つだけオリンピックと関わるものがある。それが、この看板である。(拡大可能です)だいぶ先だが、三崎港から三崎高校までを聖火が走るらしい。ランナーは三崎高校OBだと聞いている。とにもかくも、聖火が日本に到着したこの日、この写真をUPしておこうと思う。

2020年3月19日木曜日

アフリカ諸国の感染状況

https://www.afpbb.com/articles/-/3272025
アフリカのCOVID-19 の感染状況が気になったので、調べてみた。日本語のサイトではあまりアフリカの状況についての報道がないので、英文のサイトをグーグル翻訳で読み、簡潔にまとめた。(最近はAIの翻訳システムも向上していて、英語の苦手な私でも情報を得ることができるようになった。)以下、記事の要約。

アフリカの15か国以上で、COVID-19の症例が報告されている。ブラザビル(注:コンゴ共和国の首都)のWHO(注:ここにアフリカの中心的センターがあるようだ。)は、3月11日に正式にCOVID-19をパンデミックに指定した。
現在147人の確定症例があり、4人が死亡している。感染クラスターが南アとアルジェリアで確認されている以外の症例は、イタリア、フランス、ドイツ、スペインといったヨーロッパ諸国からの散発的な流入である。
アフリカ諸国も、WHOの指導の下、接触した人を追跡している、港湾、空港などで監視体制を強化しつつある。
WHOの専門家が18か国に配備され、さらにドバイのWHOの倉庫からアクラ(注:ガーナの首都)をハブとして、手袋、消毒剤などが各地に転送されている。さらに9か国が直接ドバイから配送される予定。また医療機関には、リスク・コミュニケーション・パッケージを配布、ラジオメッセージやTVスポットを作成して、各地方自治体を支援、COVID-19 の予防措置について告知する努力を行っている。
https://www.afro.who.int/news/more-15-countries-africa-report-covid-19-cases

…これが今のところ最も詳細な情報。15か国とはどこなのかは分からない。イタリアと関連するのは、リビアやソマリア、フランスは西アフリカ諸国、ドイツは、タンザニア、ナミビア、カメルーンといったところ。スペインは、西サハラ、赤道ギニアといった旧植民地が浮かぶが、たとえば、ブルキナファソでドイツの国際協力を見たし、観光や国際協力のNGOなどで、ヨーロッパ各国が入り乱れて訪問していることも十分予想できる。ブルキナファソでもイタリア人にもスイス人にも出会った。
AFPの記事で6日の段階で、エジプト、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、ナイジェリア、セネガル、南アの7か国が挙げられている。残り8か国は不明である。

…私がアフリカの感染を危惧するのは、最も医療が脆弱な地域だからだ。先進国と比べものにならないし、科学的な医療自体を信じていない人も多い。ブルキナファソでJICAの看護士さんに子供の予防注射を拒否する母親の話を聞いたこともある。ケニアでは、州立病院を視察したが、極めて薬も少ないし、衛生上の問題も目に付いた。
感染が広がったら、おそらく打つ手がない。今のうちに止めなければ大変なことになると思うからだ。このところ評判がよくないWHOだけれど、とにかく頑張ってほしい。

2020年3月18日水曜日

ブータン人留学生と愛媛

https://www.facebook.com/100syo100pinPJ/photos/pcb.702048006
804997/702047983471666/?type=3&theater
哀しく、そして嬉しい気持ちになる記事を見つけた。「なぜブータン人留学生たちの就職先が愛媛だったのか」である。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18972

マレーシアで留学生を日本の大学に送る仕事をしていた私にとって、海外からの留学生の話は決して他人事ではない。幸い、文科省認定の予備教育課程であるPBTからの留学生諸君は、日本で有意義な学生生活を送ってくれているが、他の国の留学生は、ビジネスしか頭にない日本語学校の存在や、悪徳エージェントによって借金まみれになり、深夜アルバイトに精を出す留学生がいることも聞いている。
ブータンでも、日本留学生派遣は、立憲君主制になったばかりの前政権の看板政策であったわりには、自殺者も出て、大失敗であったようだ。新政権になってから不正をただし、政府高官や斡旋業者の逮捕にも至り、「被害者の会」もつくられた。しかし、苦難が続く。そんな中、留学生と共に共に苦闘し、20人近い留学生を愛媛に導いた「Nature & Humans Japan」代表理事の菅さんという人がいる。

2018年7月の西日本豪雨で愛媛県の被災地で支援中に知り合った西予市の農業関係者にブータン人の採用を依頼、「百姓百品グループ」の方々が引き受けてくれたそうだ。幸い就労ビザも出て、メデタシメデタシとなったようだ。留学生が日本で食い物にされた実態は、ブータン国内でも大きく報道され、日本のイメージは悪化した。しかし菅さんや愛媛の経営者の努力で着実に挽回されようとしているとのこと。

…日本在住の留学生にまつわる不幸な話は、実に心が痛む。
…西予市は、伊方町三崎からも比較的近い田園が広がる地だ。私の住んでいる近くでこういう良い話があったことが嬉しい。

2020年3月17日火曜日

マレーシアの出入国制限措置考

https://blog.goo.ne.jp/jiten4u/e/8bb4a70df6138476428cedc9837e19da
16日夜、マレーシアでは新首相のTV演説で、18日から3月31日までマレーシアへの外国人の入国、マレーシア国民の出国の全面禁止を発表した。また全ての学校も休校、生活に欠かせない公共サービスの停止、企業活動でも、スーパー、コンビニ、銀行、医療施設など重要な施設を除いて閉鎖、イスラム教の宗教行事も軒並み延期とした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56871380X10C20A3000000/

たしかに急な措置である。ただ、急激に感染者が増えていることも確かである。混乱は避けられないだろうが、リスクを減らすためには有効な措置といえるだろう。

マレーシアは、民主主義国家であるが、開発独裁というスタイルは堅持している。政府のチカラはかなり大きい。温厚な国民性なので、混乱はあるだろうが暴動のおそれはないと思われる。日本語で知りうる情報はあまり多くないが、様々なことを私は考えている。

1.マレーシアの医療レベルは決して低くないので、大丈夫だ。しかも金持の国民は私立病院で、経済的に余裕のない国民も国立病院で十分医療を受けることができる体制になっている。問題は、外国人労働者であると私は思う。彼らへの対応も考えて欲しい。なぜなら、アメリカのように、貧しい人々が治療を受けたくても受けれないような制度の国は、こういう危機の際、極めて脆弱である。医療へのアクセスの良し悪しがリスク回避のカギとなるからだ。またマレーシアはデング熱などの発熱する感染症例が多い。デング熱はかなりやばい(致死率が高い)ので、皆病院に行く習慣がある。これは有利に働くはずだ。

2.記事にあるように、経済の急激な縮小でかなりの混乱が予想される。これらへの手厚い措置を行わないと、新政権はゆらぐ可能性が高い。マハティールが言うのと、ムヒディンが言うのでは、そのカリスマ性に大きな違いがある。先日エントリーしたが、中華系やインド系の閣僚数が激減しており、民族問題に発展する可能性も捨てきれないからだ。5.13のトラウマがあるので、暴動にはならないだろうが、マレーシアではマスコミがまともに活動しており、この動きによっては政権が動揺するおそれは十分にあると思われる。

3.2月27日~3月1日に行われたKLでの大規模なイスラム教集会が東南アジアのクラスターとなった可能性が高いらしい。これ以上の感染を防ぐために、金曜日の集団礼拝(男性のみマスジットに多人数が集まり礼拝する)は中止される可能性が高いのではないか。昨日エントリーしたように、宗教担当大臣は柔軟な法学者である。スルタン会議と協議して、その方向性を打ち出すだろうと私は思う。イスラム教が国教であるとはいえ、異教徒の中華系・インド系への配慮は必要だろうし、仏教・道教・ヒンドゥー教、シーク教などの集会も禁止することとの整合性が求められるからだ。
https://www.sankei.com/world/news/200317/wor2003170026-n1.html

4.近々来日する予定だった私の教え子たちには、大ショックであると思う。F42の国費生への渡航延期は、PBTのS校長先生よりメールをいただいていたので、知っている。学生たちもJPAからの連絡で知っているだろうが、23日に来日する予定だったD大のL君はさぞやがっかりしているだろう。すぐに激励のメールを送った。「愚痴を言っても始まらない。出来ることを着実に積み重ねるしかない。焦っても仕方がない。この際読むべき本を読んでおきなされ。」F42の国費生諸君にも同じことを伝えたい。
PBTも休校になっているはずだ。念密な日本語のカリキュラム編成をしているはずで、大変だ。先生方の苦悩を思うとつらい。が、仕方がない。

まさにヤスパースの限界状況だ。こんな時にこそ、自分の美学を貫き通したいものだ。

地域おこし協力隊会議’ 3月

月例の地域おこし協力隊のミーティング。昨日もいろいろな話題で盛り上がった。隊員間の仲が良いので、実に心地よい。ミーティングの後、突然、町長が会議室に入ってこられて、様々な雑談をさせていただいた。町長は実に気さくな方なのでありがたい。少しばかり塾の課題についてお願いした。

ところで、協力隊の皆さんには、公営塾というか三崎高校もずいぶんお世話になっている。H隊員には、映画「せんたんビギンズ」への出演、裂き織の指導並びに「ローラのTV」でも出演いただいている。農業のO隊員には、家庭科クラブ(これは部活ではなく、愛媛県全体で家庭科を履修している生徒が自動的に参加している組織らしい。)で郷土料理などの指導に当たっていただいているし、水産のT隊員もそうだ。またアグリトピアにいるK隊員も、三崎高校のカフェ班の活動(特産のサツマイモ育成など)に積極的にかかわっていただいている。実にありがたいし、皆さん三崎高校の発展を心から期待し、協力していただいているわけだ。

会議から戻って、塾で仕事をしていると、隣の家庭科教室が盛り上がっていた。家庭科のI先生と理科のY先生が、燻製の実験と言うか実習をしていたのだ。聞くと、総合的な学習の時間の「商品開発」のための教材研究であるらしい。地方創生学習の中心者のT先生も来られて、さらに盛り上がっていたのだった。どうもうまくいかないらしく、私が協力隊のTさん(魚の燻製を現在研究開発中である。)に連絡を取って、I先生にアドバイスをいただいた。こういう、小さな協力の積み重ねが、三崎高校と地域おこし協力隊の間にはある。他の公営塾にはあまりこういう関係性はないようで、いかに我々が恵まれているか、という話である。

2020年3月16日月曜日

マレーシアの新内閣考

マレーシアのムヒディン新首相が組閣した。副首相は置かず、国際貿易大臣、防衛大臣、公共事業大臣、教育大臣を上級閣僚としたうえで、31人の大臣・38人の副大臣を選んだ。

…これまでは、首相、副首相、教育相という順だったはずだ。この上級閣僚は首相を補佐する役割をするという。

この閣僚については、起訴や係争中の者はいないそうだ。(つまりナジブ前首相とその一味は入っていないということだ。)大臣ポストは、ムヒディン新首相の政党PPBMから10人、前ナジブ政権・与党だったUMNOから9人、PAS(全マレーシア・イスラーム党)から3人、さらに友党であるGPS(サラワク州政党連合)から4人となっている。

今回の組閣の特徴は、大臣の6割がPPBMとUMNOであること、プミプトラ(土地の人:ムスリムのマレー系+サラワク州の非ムスリム)が9割を占めることだ。ここまで中華系・インド系が少ない内閣は初めてではないか。

財務大臣には民間からCIMB銀行のCEO(マレー系の名前である。)が、首相府大臣(宗教担当)に、連邦直轄地(KL・プトラジャヤ、ラブアン島)の宗教指導者が就任した。この2人は、国会議員ではなかったので、上院議員になるとのこと。(上院議員は国王や州からの推薦でなれる。憲法では議員でないと閣僚にはなれない故。)この連邦直轄地の宗教指導者は、意外に柔軟な人のようで、2007年に、ムスリムが他の宗教を賛美する意図がない限り「メリークリスマス」という時候の挨拶としてカードやメールなどを出してもいいというファトワを出している。PASとのバランスをとるためかもしれない。

現在のマレーシア経済は、株価が下がり、リンギ安になっている。これは世界的なパンデミクスの影響もあるので、マレーシアだけの問題とは言えないないが、この大ピンチに新内閣がどう動くか?「裏切り内閣」などと、あまり評判が良くない故に、政治状況の不安定さが拡大すれば、外国資本がさらに流出する恐れもある。

原油価格の低下は、マレーシアの財政を直撃する。半民半官の世界第2位の民族資本石油会社であるペトロナスの政府向けの配当が減るからだ。歳入減の中、効果的な有効需要をどう打ち出すか?この内閣の上級閣僚に国際貿易、公共事業といった大臣を置いたことにその意気込みを感じるが、果たして…。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/03/63f0f138b2275327.html
http://www.malaysia-navi.jp/news/?mode=d&i=7018

2020年3月15日日曜日

漫画「PLUTO」全8巻を読む

https://mangafull.jp/colum-pluto-igyo-kaisetsu
ビッグコミックやビッグコミックオリジナルを昔々、毎週読んでいた。読むのをやめたのは何時からだったかも忘れた。まだ20世紀だったことは確かだ。

先日、大洲に買い物に行ったとき、ふと漫画が読みたくなって、リサイクルの店に寄った。そこで見つけたのが「PLUTO」(プルートウ)である。1冊100円×8冊、消費税をいれて880円。これを買った理由は、浦沢直樹の作品だったからだ。
私は、浦沢直樹という漫画家が大好きである。デッサンがしっかりしているし、女性の描き方がうまい。女性をうまくかける漫画家は、本当にうまいといえる。

この「PLUTO」という漫画は、「少年」(私が子供の頃売っていた月間漫画雑誌で高くて買ってもらえなかった。)に連載されていた鉄腕アトムのエピソード版「史上最大のロボット」のリメイクだということを、全8巻を読んだ後で知った。たしかに途中でアトムやウラン、お茶の水博士も登場する。もちろん浦沢直樹風でリアルである。アトムやウランが登場した時には、ちょっと驚いたくらいだ。全くの予備知識なしに読む方が面白い。

素晴らしい作品だった。後で調べて分かったけれど、2003年”アトムの誕生した”年からビッグコミックオリジナルに連載され、手塚治虫文化賞マンガ大賞はじめ、数々の賞を得ている。「このマンガがすごい!」「このマンガを読め」などにも選ばれているそうだ。

有名な漫画らしいが、詳しい内容については触れないでおこうと思う。私の感想としては、ノース2号の前中後編が最も好き。今回の主人公・ゲジヒトの子供の名前が「ロビタ」というのもいい。(手塚治虫の火の鳥を読んでいないとわからないが…。)かなり哲学的な漫画であることは間違いない。まさに、大アタリであった。
https://mangafull.jp/colum-pluto-igyo-kaisetsu

2020年3月14日土曜日

西アフリカの「GEISHA」缶詰

https://ojaexpress.com/product/geisha-
canned-mackerel-15-oz-can-2/
西アフリカのナイジェリアやガーナで、「GEISHA」と言えば、サバ缶のことらしい。すでに国民食のようになっていて、「GEISHA」は「TOYOTA」と同様日本製品の代名詞になっているとのこと。

日本のサバは小さくて、関サバ(私の住んでいる三崎からフェリーが1時間に1回行き来している対岸にある佐賀関で採れるサバ)のようなブランドもの以外は、あまり売れない。大きなノルウェー産が主流らしい。そこで、昔から、缶詰めにして世界に輸出している。意外なことに輸入額より輸出額が多い。ナイジェリア向けは輸出額の28%を占めており、アフリカ諸国向けは、ガーナやエジプトなども入れると50%を占めているそうだ。

その歴史は古く、現在サバ缶を輸出している企業が、1911年にアメリカで「GEISHA」を商標登録。終戦直後の1950年、ロンドン支店の駐在員がガーナに行く機会があり、沿岸部で魚を食べる習慣があることを知り、サバのトマト煮缶詰をリュックに入れて売り歩いたそうだ。缶詰がなかったガーナで大人気商品となった。その後、同じ英語圏のナイジェリアにも広まったらしい。ガーナでは425g缶が主流で$1.55、ナイジェリアでは155g缶が$0.5、425gで$1.2ほどで売られている。鍋に移して煮込み、ヤム芋と一緒に食べるのがポピュラーとのこと。…実にアフリカ飯らしいなあ。目に浮かぶ。

現地に溶け込んでいるこの日本企業は、教育機関に学校用品や缶詰製品を寄贈するなどCSR活動も現場っているらしい。ナイジェリアはますます人口が増加していく。マーケットとしては超有望である。とはいえ、日本のサバの水揚げ量は減っている。そう簡単にはいかないようだ。
https://toyokeizai.net/articles/-/332749

2020年3月13日金曜日

米大統領選の白熱化

https://in.pinterest.com/pi
n/7951736819967827/
米大統領選が面白くなってきた。民主党の候補がごちゃごちゃしていて、このままでは、社会主義者を自称するサンダースの爺さんが大統領候補となり、現大統領閣下と対決、討ち死にするという観測が主流だった。現大統領閣下もサンダース爺さんが民主党候補になってほしいと考えているのは間違いない。

ところが、今回のスーパーチューズデーで、状況が一変した。オバマ時代の副大統領だったバイデンが一気に盛り返したのだ。他の候補が撤退し、バイデンについたのだ。特に、元ニューヨーク市長のブルームバーグが資金援助を申し出たようである。大統領選は無茶苦茶金がかかる。ブルームバーグとしては、今回は諦め、とにかく政権に入る事を選択したのだろう。
F・ルーズベルトの時のパパ・ケネディ(JFKの父)の様なものである。パパ・ケネディはあえてアイリッシュとしての恨みを晴らすため在英大使となったが、ブルームバーグは国務長官を狙っているのかもしれない。そして次を狙うのだ。

とにもかくにも、このまま行くとバイデンが民主党候補になりそうだ。現大統領閣下が最も恐れる男故にウクライナ疑惑がおこったわけで、民主党全体としても勝てる候補を立てることができそうなわけだ。私は、少なくとも現大統領閣下が再選されることを望んでいないので、喜ばしいことだと考えている。

とにかく、素人が政権を握ることのデメリットは計り知れないほど大きい。隣国の末期的な現状を見れば明らかである。まして米国大統領となれば…である。

しかも、パンデミック騒ぎと株価の下落など、大統領選での現大統領閣下の優位は大きく揺らいでいる。行け行け、バイデンである。いや、打つんだジョー!かな。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18969

2020年3月12日木曜日

トム・ハンクスに頑張れ~

https://www.indy-nakanishi.com/nlp/
トム・ハンクスが、オーストラリアで新型コロナウィルスの陽性反応が出たという報道が流れた。ゴールドコーストに夫婦で滞在しているらしい。(奥さんも陽性)私は決して映画ファンとは言えないが、好きな映画をあげると、必ずトム・ハンクスが出てくる。

フォレスト・ガンプ/一期一会、グリーンマイル、ターミナルといった数奇な運命を描いた作品、そしてダ・ビンチ・コード、天使と悪魔、インフェルノといったダン・ブラウンの作品の映画化作品。(これらはまず小説でみんな読んだ。最高のミステリーである。)彼はこれらの作品でラングドン教授役をしている。見事なはまり役だと思う。と、いうわけで、あまり映画俳優や女優の名を知らない私でも、彼の名はよく知っているし、大好きな俳優なのである。大いに驚いた。

トム・ハンクスは、これからも病状や隔離の状況などを発信していくとのこと。彼は糖尿病らしい。彼が回復すれば、世界中に大きな希望を与えることになるだろう。是非頑張って回復してほしい。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56695600S0A310C2EAF000/

2020年3月11日水曜日

3.11と入試、そして断水

https://www.fnn.jp/posts/2020031000000001EBC
3.11である。あの東北大震災から9年。今年は追悼式もパンデミック騒ぎで首相官邸での献花式だけになってしまったそうだ。とはいえ、震災を風化させないことは大切だ。ニュースもパンデミック一色である。災害は日本では日常的な問題だ。それを毎回克服して日本は様々な脆弱性を打開してきたような気がする。今回のパンデミックもいろいろ問題はあるが、そういう経験値になっているのではなかと思うのだ。

ところで、今日は三崎高校の、というより愛媛県立高校の入試である。我々公営塾の講師は、高校の内部の人間だがこういう時は外部になるので、登校せず自宅勤務日である。愛媛県でも受検教室に紙で封印するそうで、長い間入試に関わってきた私としては当然だと思う。(大阪では、受験ではなく受検という語を使う。愛媛はどうなのだろう?)結局受検生徒は、調整期間を経て61名になったそうだ。問題は予期せぬ三崎地区の断水である。トイレは大丈夫だったかなと心配だ。受検生は緊張しているので、トイレによく行くからだ。

そう、断水で最も大変なのはトイレなのである。我が家では、風呂や洗濯機などに妻が貯めれるだけ水を貯めてくれていたので、後2日(金曜までだと聞いている)ほどは、なんとかなりそうだ。飲み水は2日分計8ℓあるし、今朝1本(2ℓ)100円で、売っていたので3本ほど買い足した。町が気前よく放出した飲料水は、防災のために備蓄していたものに違いない。日本の災害の経験値の成果であると思う。昨日から給水車も三崎地区各所に配置されている。近隣の市からも応援がきているようだ。TVでしか見たことのない給水車を実際に見て、感慨深い。軽微だが被災者の立場になっているわけである。

今日の三崎は、雲ひとつない晴天だが、風が強い。日本海海戦時の秋山真之が打った「本日天気晴朗なれど波高し」の名電文そのままである。

2020年3月10日火曜日

「坂の上の雲」の話をしようⅢ

さて、日露戦争である。昔々、大阪市立の高校の社会科研究会が某高校で行われた。あいさつに立った校長が、日露戦争の事を突然熱く語りだした。日本の偉大さを強く主張し、ものすごくシラーッとした雰囲気になったことを思い出す。(社会科教師はどちらかというとリベラル派が多い。)この校長は、おそらく司馬遼のファンだと思う。

司馬史観では、日露戦争は、小さな国であった日本が近代国家として認められることになったと、大きな意義を認めている。「坂の上の雲」というタイトルも、そういった日露戦争でつかんだ小さな国の苦労を3人の主人公の人生を中心に描いている気がする。

この戦争は、かなり不利な戦いを強いられることを政府はわかっていた。反戦論もあったが、多くの国民はマスコミの扇動もあって主戦論だった。今のように情報がSNSで公開されている時代ではない。ただただ日清戦争に勝った勢いが充満していた。

対外的には、三国干渉以来結束していた露・仏・独に対し、英国が手を差し伸べてきた。この日英同盟も面白い。英国は日露が戦っても中立であり、もし三国と日本が戦争になった場合は英国が日本に助太刀するという内容だ。これは、第0次世界大戦と呼ばれる所以である。いろんな本を読むと、どうも独のヴィルヘルム2世(ビスマルクを失脚させた外交音痴だと私の評価は低い)が黄猿に負けるわけがないと、大津事件で対日感情が悪かったニコライ2世をたきつけたらしい。ヨーロッパの帝国主義は魑魅魍魎の世界だったといえる。日本は、この時点では(今もだと思うが)、到底ヨーロッパ諸国の弱肉強食的な利に生きるDNAを持ち合わせていない。日本語と他言語の動詞の位置が違うように、強烈な自我がないともいえる。日露戦争は、このような魑魅魍魎の世界に日本が本格的に足を踏み入れた機会ともいえる。幸運がいくつも重なって、判定で勝利を得たが、ロシア国内の第一次ロシア革命が起こらず、長期戦になっていたら敗北していたと思う。これは、司馬遼も指摘しているところだ。

日露戦争の評価は難しい。これに勝利したことで日本は魑魅魍魎の一部分になったわけだ。それもアジアで唯一である。以後、ひたすら増長していき、悪くなったのだと司馬遼は主張する。たしかに、そういう視点には納得できる。

…今回の新型肺炎によるパンデミクスで、先日ついに日本政府は、中国からの渡航をやっと制限した。これは、習近平を国賓として日本から招待したという経過があって、その習近平からついに延期要請が来た、中国の面子を立てれた時点で渡航制限したわけだ。合理的に考えれば十分に遅いが、義を重んじたわけだ。こういう国のカタチこそ日本的だと私は思っている。司馬遼は今は鬼籍に入っている。昭和(戦前)を悪と規定したが、平成、そして令和となった今をどう評価するのだろうか。

2020年3月9日月曜日

佐田岬沖が震源の地震と断水

気象庁HPより
朝、地震の揺れで飛び起きた。マレーシアでの3年半、地震のない国で暮らしていただけにかなり驚いたのだった。妻はすぐ、震源地を探り、なんと佐田岬半島のすぐ先の豊後水道だったことを知った。人生で最も震源地の近い地震となった。ちなみに、気象庁の発表では三崎の震度は2になっているが、我々の感覚では3である。

さて、今日はそれだけですまなかった。妻によると、11時くらいに伊方町役場から「三崎地区が断水する」との放送があったらしい。(伊方町から直接、各地区のスピーカーで放送がよく流される。ちなみに、朝6:00には「野ばら」、正午には「恋は水色」、18:00には「赤とんぼ」の曲が流れる。マレーシア帰りの我が家では、これらの時報を伊方のアザーンと呼んでいる。あまり深い意味はない。私はアザーンが大好き。)

断水である。で、さらにびっくりしたのは、三崎支所で1人2ℓの飲料水が無料で配布されたことだ。さらにさらにびっくりしたのは、区長さんが明日の分だと雨の中、さらに追加分をもって来ていただいたことだ。うーん、マレーシアで断水は何度もあったが、こんな行政サービスはなかったぞ。さらにびっくりしたのは、町営の亀が池温泉が断水中の三崎地区の人だけ無料で利用できますよ~という放送が流れたことだ。…たしかにありがたいが、行くのに30分車を走らせなければならない。往復1時間。(笑)
伊方町…面白いな。妻と亀が池温泉に行こうかという会話が弾んでいる。

「坂の上の雲」の話をしようⅡ

http://photozou.jp/photo/
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さて、司馬遼の歴史観の特徴。それは日本軍について、明治は良い、昭和は悪いという視点である。司馬遼が大阪外大の蒙古語卒業後、ノモンハンに従軍し、痛い目にあったからかもしれない。昭和期の日本軍についてはボロクソである。反対に明治期の日本軍については、小さな国だった日本が近代国家として発展するのに寄与したとべた褒めであるわけだ。

ところで、戊申戦争時の新政府軍は各藩からの借り物であった。その後廃藩置県をして国民国家化・国民皆兵の第一歩をしるしている。だから、靖国に新政府軍を勝利に導いた大村益次郎像があるが、私にはちょっと違和感がある。戊辰戦争の新政府軍=日本軍ではないからだ。

実際には、長州で武士以外の軍隊である奇兵隊が生まれ、ここで頭角を現した山縣有朋が、西郷の力を借りて国民皆兵制度による日本軍を作り上げたというのが正しそうだ。ところで、武士でない軍隊=国民皆兵の元祖=奇兵隊は高杉晋作が作ったとなっているが、少し複雑である。長州藩(毛利家)というのは、関ヶ原以来徳川の敵中の敵でかなり領地を減らされた。その際、武士の身分を捨ててまで毛利の殿様についていきた者も多かった。彼らは元毛利家の武士である農民である。彼らが奇兵隊の主力となったと「天皇の世紀」にある。高杉晋作は確かに並外れた人物だが、そういう素地が長州にすでにあったわけだ。したがって、松下村塾に短期間ながら在籍し、高杉に認められた故に、かなり低い身分の士族だった山縣が軍監にまでなれたし、新日本陸軍を武士出身者で固める意思など山縣にはなかった。国民皆兵の農民出身者を西洋式の銃を扱えるように集団訓練したわけだ。武士より農民が強いと完全に認められたのは、皮肉なことに山縣とともに廃藩置県を行った西郷を討った西南戦争で、である。

さて、明治期の軍隊はどうだったか?海外の出兵は、征韓論を否定しながら、一方で台湾出兵を行っている。江華島事件もある。これらも様々な論があって、その正邪は難しい。さらに日清戦争、日露戦争と続く。「坂の上の雲」では、両戦争について書かれている。日清戦争については、特に正岡子規が陸翔南の日本新聞の記者として近衛師団付きのの従軍記者となっている。(ところが、上陸2日後に下関条約が結ばれ、帰国の船中で喀血している。鳴いて血を吐くホトトギスに自らを重ね子規という俳号を使うようになる。)子規の病死は1902年。日露戦戦争は1904年であるから、子規は秋山兄弟の活躍を知ることはなかった。…つづく。

2020年3月8日日曜日

「坂の上の雲」の話をしようⅠ

司馬遼の作品は幕末・維新ものはだいたい読んだ。小説であるから事実は違うし、新聞の連載だったものも多いので、次回も読みたくなるようにエンターテーメント性を断続的に強めてある気がする。私は、幕末維新をよく知りたい教え子には司馬遼は是非読んで欲しいと思っている。単純に面白いからだ。ただ、司馬遼の人物観・歴史観には強烈な個性がある。これが真実だと信じるのは危険である。歴史は社会科学なので様々な視点から見ることが重要だと私は常々言ってきた。これを是正するために大佛次郎の「天皇の世紀」や山岡荘八などと読み比べる必要がある。
たとえば、徳川慶喜については、鳥羽伏見の戦いから江戸に逃げ帰ったことについては、司馬遼はボロクソだが、山岡荘八は好意的に書いている。私は徳川家康から天皇家を護るという伝統をもつ水戸藩の出身者として、たとえ偽物でも「錦の御旗」を掲げた相手と闘い、朝敵になることは耐えられなかったのだろうし、幕府陸軍にフランスを迎え、薩長にイギリスがついている以上、英仏の代理戦争を避けたという意味では英傑であると思う。司馬遼を読んだだけでは、こういう視点は持てない。

さて、「坂の上の雲」である。この作品は、司馬遼の幕末維新ものでは、時代的には最後尾にあたる。陸海軍の英雄・秋山兄弟と俳人・正岡子規という3人の主人公を設定し、日露戦争を最大のヤマとして描いている。どちらかというと、弟の秋山真之と親友の正岡子規のつながりの話が多く、兄の秋山好古は第三の主人公扱いである。さらに言えば、真の主人公は秋山真之である。彼こそが、日本海海戦の勝利を導いた英雄として描かれている。東郷平八郎以上に、参謀で戦略を練った秋山真之に功績があるように描いているからだ。一方、兄・好古は陸軍騎兵隊の父のような人物で功績は大きいが、騎兵は偵察が主なので、いきおい小説での陸軍の話は、旅順後略時の乃木希典の無能さと児玉源太郎の有能さが、かなり強調されている。乃木の総参謀長だった伊地知幸介などボロクソである。

たしかに他の本を読んでも、児玉源太郎は有能で実に魅力的な人物である。長州閥だが支藩出身で、乃木より出世が遅かった。西南戦争では熊本鎮台(城)を戦略上の理由から参謀だった彼が焼いたおかげで護りきれたという説もある。戦略家として優れていたのだ。日清戦争後の復員・防疫任務、ならびに台湾総督としては、後藤新平をうまく使い大きな成果を生んでいる。
旅順のロシア艦隊を封鎖するための乃木の第三軍の戦いこそが、後の日本海海戦の勝利を左右したので、「坂の上の雲」でも特に詳しく描かれている。(ちょっと長い。)小説の中では、真之が強く望んだ203高地からの砲撃を児玉が実行させたという話になっている。プロレスのタッグ戦風でいうと、ベビーフェイスが秋山直之と児玉源太郎、ヒールが乃木希典と伊地知幸介という感じである。これには、様々な論がある。特に、児玉と乃木のどちらが功労者なのかわからない。司馬遼の読み方には、こういう確認作業が必須なのである。

2020年3月7日土曜日

坂の上の雲ミュージアム

「坂の上の雲ミュージアム」は松山城と県庁に近い松山の中心街にある
松山に久しぶりに出てきた。目的は2つ。私が前々から行きたかった「坂の上の雲ミュージアム」と妻の希望の「業務スーパー」での買い出しである。後者についてはともかく、「坂の上の雲ミュージアム」についてエントリーしておきたい。

私は最近、博物館や美術館に行く前にあまり下調べをしないようにしている。ネットの普及で詳しい情報を得てしまうと面白味が薄まるからである。どんなミュージアムなのか予想していくのが面白い。
特に、「坂の上の雲ミュージアム」は、司馬遼の1つの作品に特化したミュージアムである。秋山好古、秋山真之そして正岡子規という松山出身の人物像を紹介したものであることは明確だった。「坂の上の雲」を読んでいないとあまり面白くはないだろうと思う。また以前NHKで放送されたドラマも私は全部見た。「坂の上の雲」については、せっかくなので後日エントリーしてみようかな、と思う。
新聞に連載された坂の上の雲のスロープは圧巻
意外だったのは、年表を見ていて、秋山真之も正岡子規も高橋是清に英語を学んでいたことである。こういう発見が面白い。また、このミュージアムは意外に子供も退屈しないような配慮をしていた。明治時代の”覗きからくり”や”双六”も楽しめたし、騎馬隊だった好古に関係して、日本の軍馬の鞍の高さを実感する展示などもあった。

松山の中くらいの下級武士の家に生まれ、松山藩は佐幕派で維新で冷や飯を食わされる。そういう貧困の中から、自らの努力で立ち上がり、仰げば尊しの歌詞の如く「身を立て名をあげ」たのがこの3人である。正岡子規は日本新聞の記者として、俳人として名をあげた。秋山兄弟はまさにこの歌詞通りである。”真面目愛媛”の先人であるから、彼らは実に尊敬されているわけだ。
愛松亭の跡にある漱石珈琲店
さて、帰りに夏目漱石の下宿(愛松亭)跡にある喫茶店に寄って夫婦でコーヒーを楽しんだ。テーブルの上にあった「漱石と子規の友情と文学」にこんなことが書いてあった。漱石は、正岡子規と親交が深く、松山中学で教える以前に子規の家に遊びに来たことがあり「もぶり鮓(ずし)」をふるまわれ、きれいに平らげた。この縁で山口中学ではなく、松山中学に来たらしい。ところで、この松山中学での漱石の給料は八十円(地元新聞にそう書かれてある)で、当時唯一の帝国大学卒の学士の称号の威力はすごかったらしい。校長の給料は六十円だったという。ちなみに漱石28歳である。

…こういう知的な刺激が、実に楽しい。

2020年3月6日金曜日

公営塾ネットワーク会議2

公営塾ネットワーク会議2日目である。今日もポスターセッションがあって、その最中に、3年担任のK先生と進路主事のJ先生が、塾に駆けつけてくださり、T君が合格したとの報を受けた。これで国立大学に4名合格したことになる。サクラサク×4.というわけで、実にハッピーな1日だったわけだ。おめでとう、一般入試を勝ち抜いての合格、実にめでたい。

ところで、こういう学校と公営塾の連携がうまくいっているケースは、そんなに多くないということを今日の会議で学んだ。行政との関係も地域によって様々であるようだ。さらに地域おこし協力隊との関係もしかり。私は、実に幸運な公営塾にいることを実感したのだった。

様々な問題にぶつかり悩んでいる公営塾の青年たちとこの2日間、時間を共有して思うことは、結局自らの「志」の問題と、状況を転換するための力量である。学校組織は、おそらく民間組織とは大きく異なるコードが働いている。三崎高校のように、生徒のこと、学校の事を善意の和で繋げ、労を惜しまない教員集団は、極めて稀な存在である。力量をつけるためには、努力と失敗と立ち直りと忍耐が必要だ。
そう簡単に動かない学校と行政の中で奮闘する公営塾の青年たちに、私は「頑張れー」というしかない。今回の公営塾ネットワーク会議・最年長の参加者はそんなことを考えているのだった。

2020年3月5日木曜日

公営塾ネットワーク会議

今日のネットワーク会議での未咲輝塾のポスターセッションの画像
本来なら、今日は東京の産業能率大学で、PP社が関わっている全国の公営塾の研修会が行われている日であった。早朝、車で松山空港まで行ってANAで羽田へという強行軍の予定だった。ところが、例のパンデミック騒ぎでオンライン=ZOOMで全公営塾講師が参加する形式になったわけだ。

今日は13:00スタート、18:00終了だったが、明日は10:00スタートで午後まで続く。このオンラインでの会議、なかなか疲れるが、得ることもいっぱいあったのだった。今日の成果は私のノートにメモされている。

細かいことも多々あるが、最も印象に残ったのは、軽井沢高校の公営塾のイベントの話である。SDGsのワークショップをNPOに依頼し、生徒、教員、行政、地域の住民が参加したそうだ。仮想都市で、学生、行政、商業などの役割に分かれ、経済、環境、人口、暮らし・文化という4ポイントをバランスよくゲットするようなワークショップだそうだ。(様々なSDGsのワークショップがあるが、おそらく定番のものだと推測できる。)面白いと思ったのは、たとえば行政の役割を、プロの行政職員と生徒が4人中2名ずつ果たしたという話だ。生徒にとっては、プロの考えを知る貴重な経験になるし、行政側からすれば、高校生の発想を知る貴重な経験になるわけで、このワークショップ後、行政や地域組織から高校生との地域協働の出発点になったという。

三崎高校では、こういう地域協働はすでに軌道に乗っているが、行政とはまだまだであると思う。来年度の目標のひとつにしてもいいのではないか。また、SDGsが大きな役割を果たしたのは、ESDの徒としては実に嬉しい。反対に、SDGsだからこそ、行政を含めた参加者を集めれたのではないかとも思う。

2020年3月4日水曜日

持続可能な地域のつくり方2

https://sdgslocal.jp/local-sdgs/
1月にエントリーした「持続可能な地域のつくり方」が来年度の三崎高校の学校設定科目・未咲輝学のテキストになっていることがわかった。そこで、以前少し読んでいたのだが、一気に読んだ。パート1の知識編を読んで最も感じ入ったことは、バックキャスティングということだ。

バックキャスティングとは、未来像をまず描くことである。地方創生の場合は、10年後・20年後の未来像を描くことから始める。行政や役所、企業、NPO、地域などが自己中心的に動くのではなく、みんなで話し合い、みんなが納得できる未来図を描き、自分の出来ることから動き出す、ということだ。

SDGsはそのためのナビゲートであり、共通言語であり、169のターゲットは入り口であり、ものさしであり、誰一人取り残さないチェックリストであるわけだ。

この本では、SDGsの17の目標別に色分けされた図をつかって、51のイシュー(検討課題)が説かれている。(今日の画像/拡大可能です)これをもとに、社会の生態系の負の連鎖を見ていくことになる。

夕刻、入試の会議が終わってから、地方創生の中心者T先生とゆっくりとこれからの塾の関りについて話しあった。この未咲輝学のテキストをもとに、様々な取り組みを始めることになった。精一杯サポートさせていただこうと思う。

2020年3月3日火曜日

明日から愛媛県も休校

3月3日のひな祭りである。八幡浜のスーパーで「ひなあられ」を女子の塾生のために、何度も買おうとしていたのだが、個装しているものがなくて結局買わないままだったが、それでよかったのかもしれない。まさか全国的に休校になるとは思っていなかったからだ。

我が美咲輝塾も、塾生がいない故に、今日から9時登校、5時45分下校という全日制課程となった。休校と言っても教職員は登校する。これに準じているわけだ。今日は、ひたすら地域経済学のテキストの執筆をしていた。
明日は、T先生と来年度の総合的な学習と新しい学校設定科目の未咲輝学について、お話させていただくことになった。明後日からは、東京での開催が中止になり、ZOOMで全国同時中継の公営塾の研修会である。(デジタルデバイドの私としてはかなり不安である。)さらに来週月曜日は、町役場に折衝に向かう予定である。

見た目は開店休業だが、十分多忙なのである。(笑)

2020年3月2日月曜日

鶯の鳴く防風林。後方のミカン畑を護っている。
鶯(うぐいす)の声が、教職員住宅の前の防風林から、このところ毎朝聞こえる。大きな声で見事に「ホーホケキョ」となく親鳥と、懸命に練習する小鳥がいる。大阪の実家でも鶯がいて声が聞こえたが、こちらは数が全然違うし、その姿も見ることができる。我が住処は2階なので玄関を出ると、そこは絶好のバードウォッチングの場所なのだ。

私たち夫婦は、朝ここで鳥の声を楽しみ、飛んでいる鳥や木に止まっている様々な鳥を見て楽しんでいる。ここに鶯がこのところ参加してきたわけだ。小さな鶯はまだまだへたくそだ。妻は、毎回親鳥の見事な「ホーホケキョ」に、「上手いっ。」と感嘆の声をあげている。(笑)

せっかくなので、鶯について調べてみた。鶯は日本全国に分布しているようだ。「ホーホケキョ」と鳴くのは雄で、縄張り宣言であり、巣に餌を運ぶ雌への縄張り内に危険なしという合図らしい。昔から歌に詠まれているが、私は本居宣長のものが一番好きである。
「鶯のこゑ聞きそむるあしたより 待たるる物は 桜なりけり」

佐田岬半島には、早咲きの河津桜(ヒガンザクラの一種)がすでに咲いているが、桜の本番はこれからだ。

2020年3月1日日曜日

2020 マレーシア政変 考

マレーシア国王は、29日、下院の過半数が支持すると判断したムヒデイン元内相を首相に指名した。時事通信によると、マハティール氏辞任からの混乱状況は以下のようだ。

1.マハティール氏は、先日(2月24日)私がエントリーしたように「アンワルおろし」のため辞任した。27日、マハティール氏は暫定首相として、3月2日に特別議会を開き、新首相を選出すると発表していた。この時点では勝算があったようで、続投の可能性も示唆していた。
2.当初、アンワル支持派の希望連盟と、希望連盟から離脱したPPBM=事実上のマハティール支持派に、最大野党で前回総選挙で政権を失ったUMNO(ナジブ元首相も所属している/マハティール氏もアンワル氏も以前所属していた。)がからんで、次期首相の座を争うことになったが、二転三転する。
3.まず、PPBMがマハティール氏ではなく、事実上の総裁であるムヒディン元内相を推すことになり、UMNOを味方に引き入れた。慌てた希望同盟は、アンワル氏を推すのを諦め、マハティール氏を推すことに変更。この時点で、アンワルvsマハティールから、マハティールvsムヒディンになっている。
4.キャスティングボートを握ったのは、サバ・サラワクの地域政党であるようだ。
5.3月1日に国王が、ムヒディン氏の任命を行うことが発表されたが、マハティール氏は過半数の支持名簿を示し、異議を唱えている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020022900614&g=int

…現在のところ、日本のWEB記事(日本語表記)で判明していることはこれくらいである。まさに、「政界は一寸先は闇」という話である。いつのまにか本命・アンワル氏は降ろされてしまった。そしてマハティール氏の思惑も外れてしまったわけだ。

…私見を述べると、マハティール氏は唯一読み違いをした、と思っている。それは、3月2日に特別議会を開くと言ったことだ。先日エントリーしたように、国王と首相、議会の関係は、憲法上実に微妙である。国王は内閣の輔弼を受けるし、議会の状況を見極めて首相を任命する権利を有している。もし、特別議会=日本で言えば特別国会の首相指名選挙を行うと、国王のこの特権は、この前例から有名無実になってしまう。国王は、いや統治者会議=スルタン会議(この会議で国王は5年ごとに互選され輪番制をとっている。したがって国王のバックには統治者会議が厳然と存在する。)は、それを退けようとしたのではないか、と思うのだ。マハティール氏はカリスマである。その影響力は極めて大きい。彼が特別国会の開催を口にしたら、実際そうなる可能性は高い。しかし、国王=統治者会議はそれをゆるさなかった。よって、(支持議員数が拮抗しており、たとえマハティール支持が多くても)ムヒディンを選んだ、というのが私の推測である。

…さらに推測を続ける。現在のブミプトラ政策を推し進めた最大の功労者は、「マレー・ジレンマ」を書いて以来のマハティール氏であるといえる。第2代・第3代首相をささえ、第4代首相となり、これを推進してきた。マレー系と中華系・インド系の経済格差はかなり縮小した。始めたのが自分なら、終わらせるのも自分であると氏は考えていたのではないかと私は思っている。
先般の国連人種差別条約批准騒動(マレー系の大反対にあって挫折した。)で、先進国入りをめざすためにはブミプトラ政策が足かせになっていると氏が考えていることが垣間見えたのである。マレーシア憲法下では、このブミプトラ政策を廃止する事は至難の業である。最大のネックになるのは、統治者会議=スルタン会議の承認が必要であるからだ。スルタンは、各州のムスリムの保護者である。マレー系に不利なことを是認することはありえないからだ。マハティール氏は、今回の件で特別国会を開き、再選されることで、この軛(くびき)を脱する第一歩としようとしたのではないか、そして国王=統治者会議はそれを阻止した、と思うのだ。

…「アンワルおろし」と「統治者会議の軛(くびき)を脱する」という一石二鳥の手が瓦解したというのが今回の政変の本質だと私は思う。おそらく国王のムヒディン首相任命は動かないだろう。新首相がどう舵取りをするか。さらに注目していきたい。

三崎高校 卒業式なのだ。

卒業式である。新型肺炎の影響で、式は簡素化され、在校生は送辞の生徒会長1人、全員マスク着用という状況下ではあったが、素晴らしい卒業式だったと思う。なにより驚いたのは、来賓紹介の際、生徒諸君が何も指示がないのに、全員が体ごと来賓席に向けたこと。大阪では考えられない。礼儀を重んじた「真面目愛媛」である。

今日も学校長の式辞は素晴らしいものだった。大きな声での挨拶、そして笑顔の話。これは三崎高校の校風である。また彼らが2年生の時に担任だったO先生が突然逝去され、そこから生徒たちが立ち上がった話…。もちろんMさんの答辞も素晴らしかった。

この新型肺炎といった災いでさえ、三崎高校卒業生の素晴らしい巣立ちを阻むことはできない、と私は実感したのだった。

今日の画像は、卒業式に合わせて発行された「せんたん新聞」。拡大すれば、細かな文字は無理でも見出しとリードは見ていただけると思います。(2・3・4面は個人情報が満載ですので、エントリーは遠慮させていただきました。)