2017年7月31日月曜日

神殿の丘危機 さらにその後2

http://polandball.blog.fc2
.com/blog-entry-4141.html
神殿の丘危機のその後の続報が「オリーブ山便り」で伝えられている。最も危険な金曜日、ガザの国境でイスラエル軍との衝突があり、1名が死亡。西岸地区の入植地でもテロ未遂のパレスチナ人が射殺され、テルアビブのヤッフォーで犯罪グループの銃撃戦があり警察が犯人1名を射殺し、その後現場でアラブ系のデモが起こり衝突。といった小競り合い(とはいえ死者が出ている。)はあったものの、問題の神殿の丘では、意外に平穏だったようだ。

先の暴動を受けて、警察は、アル・アクサへの入場を50歳以上と制限した。再び大規模な衝突が起こると仮定し、警備隊はかなりの装備で待ち受けていたのだが、ダマスカス門では、数百人のパレスチナ人は、早々に警備隊の眼前で礼拝を終え解散したらしい。

…さすがにガザには行っていないが、テルアビブのヤッフォーには行ったことがある。1/3はアラブ人という紹介もなされていたが、地中海が美しい中東らしい場所だ。ダマスカス門も何度も出入りした。ここからバスや路面電車が出ている。パレスチナ自治区のベツレヘムに行くのも、ホロコースト記念館(ヤド・ヴァシェム)へ行くのもここから、という交通の要所である。

ところで、ヨルダン国王が、今回の件で介入してくれたと、アメリカに感謝の意を表したという。アメリカが何をしたのかは不明だとか。うーん。http://mtolive.blog.fc2.com/

2017年7月30日日曜日

外相と防衛相兼務は可能か?

https://www.pinterest.jp/pin/541628292667215341/
ホワイトハウスもホワイトハウスだが、永田町も永田町らしい。例の資質に欠ける某防衛大臣が、野党の党首の辞任や制服組の辞任に押し流されるようにやっと辞任した。これについては、WEB上でも様々な人から華々しく取り上げられており、私などが論評する必要もないと思う。

問題は、昨日の北朝鮮のICBM発射後のハナシである。首相は、何故外務大臣に防衛大臣の兼任をさせたのだろうか?いくら8月3日が内閣改造予定日とはいえ、また外相が優秀な人材(か、または仲良しのお友達)であったとしても、このような事態を予測していなかったのか?と思う。兼務のK大臣は緊急安全保障会議の後、まず防衛省に向かい、かなりの時間経過後に外務省に入ったという。順番はともかく、これでいいのだろうか。

こういう危機管理の不徹底さは、フツーの感覚では考えられない。防衛と外交、どちらも極めて重要であり、兼任は果たして可能なのか?と私は思う。これこそ、獣医学部がどうのこうのといった問題などよりよほど重大な国民の安全に関わる問題だ。現政権を批判するなら、野党もここを見逃してはなるまい、と思う。

♪ 大阪も雨に沈んでいるかい

http://www.pappys.
co.jp/2015.April.html
久しぶりに、KLは雨が降ってきた。妻が一時帰国していない。そんな状況下、先週の水曜日の夜に嘔吐を繰り返し、結局、木曜日は赴任以来初めてIBTを休む(授業に穴を開けてしまう)ことになってしまったのだ。金曜日も朝の1コマの自分のクラスの授業を終えて帰宅した。以来、養生しているのだった。(妻の診断によると)冷たいものを一気に胃に入れたのが最大の原因らしい。「いいけげん自立してもらわないと…。」とLINEの無料電話でさんざん言われたが、まあ、妻がいての自分なので…。(笑)十分に回復したので明日からは大丈夫だと思う。

ところで昨年まだ単身赴任だった時、雨の日、住処の窓から、この歌をよく歌ったものだ。「大阪も雨に沈んでいるかい」…金森幸介の曲だが、私はやはり上田正樹が歌っているのが好きである。私の気分が歌われているような気がする。知る人ぞ知る、すごい名曲なのである。
https://www.youtube.com/watch?v=Yqz3-VrrvP4

2017年7月29日土曜日

POOP Americana

昨夜、北朝鮮がICBMの発射実験を行った。これは、アメリカ本土にも届く可能性があるらしい。北朝鮮の狙いは、あくまで核保有による金王朝の存続でしかない、という論評があって、私も同感である。戦争になったら北朝鮮は負けるに決まっている。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8082_1.php

とはいえ、私が恐ろしいのは危機的状況にあるアメリカの方だ。先日、オーストラリア国立大学で演説した太平洋艦隊司令官が、「もしトランプ大統領から中国への核攻撃を命令されたら実行するか?」という学者からの質問に「(誰が大統領であれ)実行する。」と答えた。文民統制の原理から、当然の話だが、こういう質問がなされ、それにきちんと答えたことがニュースになること自体が異常だと私は思う。
http://www.excite.co.jp/News/world_g/20170728/NewsWeekJapan_E196904.html

トランプ政権の異常さは、あまり馬鹿馬鹿しくて、このところエントリーしていなかった。上記のの質問も突発的に大統領がツイートした、トランスジェンダーの兵士受け入れに対する軍の反応を計ろうとするものだったと思う。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8066.php

そもそも、このいつもながらの馬鹿げたツイッターも、彼を支持する無思慮な人々を喜ばせるためのものだと割り切る方がいいらしい。

とはいえ、ロシアゲート、相次ぐ閣僚の解任、政権の不人気のため優秀な人材がそっぽを向いて、未だに行政機関の議会承認が大量に滞っている現状…。ホワイトハウスは崩壊寸前らしい。こんな異常な大統領だからこそ、思いつきで戦争を決断する可能性は否定できないのだ。

そんな「アメリカ政権の自己防衛」のために、日本や韓国を巻き込むような戦争をされてはかなわない。もう、パクス・アメリカーナの時代ではないし、日本にとっては、北朝鮮と変わらぬ脅威になってしまっている。今日の画像が示すとおり、POPアートとはいえこんな姿に変えられた大統領がいただろうか。Pax Americana ならぬPoop Americanaの現状を憂うものである。

2017年7月28日金曜日

神殿の丘危機 さらにその後

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4995269,00.html
相変わらず、日本のメディアは、エルサレムの大事件をあまり取り上げていないようだ。前回のエントリーで、とりあえず金属探知機は撤去され、神殿の丘にイスラム教徒が入れるようになったという「オリーブ山便り」の記事を紹介した。今回はさらにその続編である。

金属探知機が撤去されたとはいえ、国境警備隊(イスラエルの警察)は重装備で数もかなり多いという。(ちなみに警官の奥さんたちは憎悪にさらされるこの任務に夫がつかされることを批判しているらしい。)イスラム教徒にとっては不愉快であろうと思うし、イスラエルからすれば、監視カメラ等を増やし警備上当然の処置なのだと思われる。とはいえ、金属探知機の撤去は、パレスチナ側からすれば、大きな勝利だといえるわけで、ハマスに続いて自治政府も勝利宣言した。
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4995269,00.html
27日、神殿の丘では「イスラエルに勝利した」と歓喜した数千人のパレスチナ人がなだれ込んだ。アルアサモスクの上にパレスチナの旗を翻し、これに治安部隊が反応、またまた石(アラブ側)と催涙弾(イスラエル側)が乱れ飛ぶ大暴動になったようだ。100人以上が負傷したという。(今日の画像参照)

ところで、「イスラエルに勝利した。」と言われて終わらないのがイスラエルである。国会で、エルサレムの分割(パレスチナ人の多い地区を分離し、東エルサレムのユダヤ人の入植地を市街に入れたいとイスラエルは思っている。)に関する法案を通過しやすくするための基本法(日本の憲法にあたる)改正に着手した。私がエルサレムに行った時に見たが、東エルサレムは、ユダヤ人入植ちとアラブ人地区は壁で隔てられている。今は、10万人が住むアラブ人地区はエルサレムだが、これを外し、13万人の住むユダヤ人地区を入れる、ということで、市議会の状況が大きく変わることにある。エルサレムは極めて微妙な位置にある。当然、パレスチナ人だけでなくアラブ諸国の反発が予想される。

トルコのエルドアン大統領が、火曜日(25日)「中東のイスラム教徒はパレスチナのアルアクサを防御するためエルサレムに向かえ。」と公言した。この言葉にイスラエル外務省は「オスマントルコの時代はすでに終わっている。」と一蹴したが、金属探知機撤去後もまだまだ目が離せない事態が続いている。
http://mtolive.blog.fc2.com/

2017年7月26日水曜日

神殿の丘危機 その後

http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/In-Pictures-Israeli
-security-confronts-Palestinians-over-Temple-Mount-500340
先日エントリーしたエルサレムの神殿の丘に金属探知機が設置された問題で、世界中でデモが起きている。日本のWEBニュースにはあまり紹介されていないが、かなり深刻である。「オリーブ山便り」によると、マレーシアでもクアラルンプールで「アル・アクサ(神殿の丘に岩のドームとともにあるモスクの名)を救え!」というデモ、さらに北部の州(詳細な日本語の報道がない)でも副首相が参加してデモが行われたという。

もちろん、イスラエル国内は極めて不穏な状態である。。先週の金曜の午後の礼拝時には、旧市街に数千人のパレスチナ人が終結、暴動になりパレスチナ人3人が死亡したという。それに対し、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地で家宅侵入テロがありイスラエル人3人が死亡。さらにガザからロケット弾が2発。当然のようにイスラエルは空爆で報復している。ヨルダンのイスラエル大使館内でもテロが発生。
http://www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/In-Pictures-
Israeli-security-confronts-Palestinians-over-Temple-Mount-500340
これをうけて、イスラエル政府は金属探知機の撤去・ハイテク技術を駆使した人間の体温から武器の有無を判断できるような装置を34億円ほどの費用をかけて設置するようである。とりあえず、解決の方向には向かっているようであるが…、うーん。
http://mtolive.blog.fc2.com/

2017年7月24日月曜日

妻の一時帰国と「リーダー塾」

妻の乗るエアアジア便が九州に近づいている。
https://www.flightradar24.com/XAX1/e35a3c5
妻が所用があって、一時帰国の途についた。KLIA2を14:00に出る、毎度おなじみのLCC・エアアジア便である。昨日は、遅くまでおにぎりをつくって、冷凍庫に入れておいてくれた。即席ラーメンや冷凍保存の豚の角煮などもある。いつものように玄関ドアには、様々な注意事項(電気は消したかとか、薬は飲んだか?とか忘れ物はないか?とか小学生並みである。)が書かれている。(笑)少しの間、寂しいが仕方がない。あまり心配をかけないように頑張ろうと思っている。

ところで、今朝、KLIAから我がクラスの女子学生2名が、理系の男子学生2名と共に、九州・福岡に向かって飛び立っていった。「リーダー塾」とIBTでは呼んでいるアジアの高校生のフォーラムである。台北経由で到着は妻の日本到着と同じ頃になる見込みだ。特に、Iさんは、初めてのフライト、初めての日本だそうで、心配も期待も大きいようだ。詳細はまた彼女たちの土産話を聞いた後でエントリーしたいと思う。ともあれ、日本やアジア各地の高校生と有意義な交流を深めて欲しい。

2017年7月23日日曜日

WEB上で高校野球を応援

H高校ベスト16進出 https://twitter.com/j_baseball_love
WEBを調べてみたら、今年の夏の大会、秋田商業高校は、先日準々決勝で残念ながら敗退してしまったようである。うーん、残念。とはいえ、選抜出場校との初戦で9点差を監督のO先生の一言「高校野球の寿命を延ばせ」で逆転サヨナラ勝ちにもっていったという記事を発見。O先生、さすがやなあ。本当にご苦労様でした。http://www.asahi.com/koshien/articles/ASK7H4PQVK7HUBUB011.html

一方、前任校のH高校野球部が、今日の試合に勝って大阪大会・ベスト16。大阪大会は、もうこの辺になると寮で生活しているような私学が中心になる。H高校のような公立高校とは全くの別世界なのである。次の相手は甲子園に出場経験もある私学のUT高校である。公立高校の雄として、あっと言わせて欲しいところだ。

私はマレーシアにあって、当然応援に行くことは出来ないが、勝利を祈っている。監督のI先生、いや後輩なのでDちゃんは、秋田商業高校のO先生同様、母校の指揮をとっているナイスガイである。大阪市立S高校の事件以来、どんどん体育科の先生方が転勤し、私と同期でH高校にきた時は、最も若手だったのに、いまや様々な面から学校を支えてもいる。ここらあたりで、ひと花もふた花もさかせて欲しいところだ。ガンバレ、H高校野球部。

追記:27日/記。ベスト8まで進出しながらも、2-1で、ベスト16で勝ったUT高校の姉妹校で甲子園出場経験のあるU高校に惜敗しました。H高校野球部、ご苦労様。やはり私立の壁は厚いと思います。

IBTの話(112) 盆踊り大会2

盆踊り大会の話の続編である。我々が乗るべきバスが遅れたことはすでに昨日(マレーシアと日本の時差の関係で本日付になっているけれど…。)書いた。バスの運転手との折衝は英語でも十分なのだが、行事の時は、マレーシア語ができる学生(マレー系)の担当者を決め、その任にあたってもらうことが多い。その方がうまくいくのだ。我が1号車は、A君という先日まで我がクラスにいて、最近マレー系の国費生のクラスに移った男子学生である。シャイな性格で、中華系が大多数の我がクラスでは目立たない学生であった。正直、ちょっと不安もあったのだが、彼は黙々とその任を果たしてくれた。集合場所に誰よりも早く来てくれていたし、何度も運転手と電話連絡をして、スムーズに帰校することが出来たのだった。

私のクラスの教室には、日本同様、「責任ある行動」という文字が貼られている。彼は、シャイな性格ながら、自分に与えられた責任を見事に果たしてくれたわけだ。実は、この事が盆踊り大会で一番印象に残った出来事になった。IBTは、どちらかというと予備校的な要素が強いが、日本的な人材育成にも力を入れている。服装や髪型など全くの自由だが、礼儀などはうるさい。それらも全て日本留学のための準備であり重要な学習である。

A君が、責任ある行動を身を以て実践してくれたことがなによりも嬉しいのだった。

IBTの話(111) 盆踊り大会

(7月22日)日本人会主催の盆踊り大会に付き添いで行ってきた。この盆踊り大会、3万人がパナソニックのグランドに集まるという、世界最大規模の盆踊り大会なのだ。

浴衣に着替えた学生たち(出発前)
我がクラスからも10人くらいが参加していた。浴衣を学校で着せてもらうメンバーもいて、土曜日だというのに女性の先生を中心に大忙し。バス2台で会場へ向かうのだが、マレーシアのお約束通り、1台は来たが、もう1台は来ない。(笑)あまりにいつものことなので、ちょっと慣れてしまった。結局予定より30分遅れで到着したが、ちょうど開会したところで和太鼓が打ち鳴らされていたところだった。

ほんと凄い人だった。日本人だけでなく、マレー系も中華系もインド系も白人も、みんな大集合で、大きな櫓の周りで多民族が盆踊りを踊っているのはなかなか壮観であり、愉快であり、感動的であった。一度盆踊りをやって、ちょっと休憩。本部席前のステージで、日本の民謡の踊りを日本人会のメンバー、日本人学校・マレーシアの中学校の生徒らが踊ってくれた。マレーシアで津軽じょんがら節が大音響で流れるというのは、なかなかオツなものだ。8時からは日本式の花火である。いやあ、文句なく素晴らしい。The NIHON NO HANABI である。技術も演出もやはり凄い。久しぶりに興奮したのであった。これを見るだけでも価値があると思う。

と、いうわけで、なかなか素晴らしい体験をしたのだが、大阪人の私としては盆踊りで「東京音頭」を踊る姿を初めて見た。「東京音頭」はヤクルトスワローズの歌として知っているが、大阪では盆踊りでは踊ったのを見た経験がない。「河内音頭」はやらんのかいな?という大阪人的僻みがわき起こった。せめてもの反抗心で、学生たちにそういう日本の地方事情を教えておいた。大阪では、「河内音頭と炭坑節」を踊るのだ、と。(笑)

2017年7月21日金曜日

IBTの話(110) 欧州地誌

EUの歴史とユーロ制の学習は、EJUでも重要度が高い。ところで、EUは、ヨーロッパ合衆国を究極の目標としているわけだが、アメリカと違い言語も文化も民族も多種多様である。地誌的な理解も必要なので、欧州地誌のパワーポイント教材をつくってみた。イギリス・アイルランドそしてマルタという英語圏からスタートして、北欧(その中でフィンランドの異質性)、フィンランドに繋がってエストニアからのバルト三国、さらに社会主義つながりで東ヨーロッパ諸国、南下してギリシア・アルバニアと旧ユーゴ諸国、クロアチア・スロベニアのカトリックとの繋がりで、イタリアなど南欧諸国、そしてフランスとベネルクス三国、最後にスイス・リヒテンシュタイン、オーストリア、ドイツと結んだ。およそ各国3枚ずつの画像を挿入した。

途中様々な逸話を挿入している。そもそもアニメ好きの学生が多いので、有名なアニメや映画の元になった画像も入れた。魔女の宅急便のクロアチア、アナと雪の女王のノルウェイなどである。意外にマレーシアではムーミンはマイナーな存在であった。(笑)地誌では、行きたくなったとか、面白い事実の気づきとか、各人の属性を何より大切にしたいのである。各国の建築様式の変化も脳裏に焼き付かせたいと思う。イギリス風、北欧風、社会主義風、中世ヨーロッパの残る街並み、南欧、そしてフランス風、ドイツ風、それぞれ違う面白さがヨーロッパにはある。意外な話も挿入した。アルバニアのトーチカ、平和に見える永世中立国スイスの自立した軍事態勢、フィン人やマジャール人などの非ヨーロッパ系の存在などなど…。

限られた時間内で精一杯地誌を紹介した。そうなると、やはり宗教的な問題が生産性に繋がってくることがわかる。プリントの国名の次の欄には一人あたりのGNIの数値を入れておいた。また隣国とのスピルオーバーもヨーロッパでは特徴的である。フィンランドとエストニア、イタリアとスロベニア…。EUに入るのには、それなりの経済的な発展が必要で、GNIの低い国はまだ参加できていないことを明確にしておいた。まあ、ノルウェイやスイスなどの独自のアイデンティティを持つ故にEU不参加の国もあるのだが…。その辺にも触れておいた。国際関係学の妙味である。

ヨーロッパ合衆国への道はかなり険しい。様々な違いを乗り越える必要があることを学生たちもよく理解したはずだと思う。

2017年7月20日木曜日

IBTの話(109) 弁論大会 ’17

IBT第17回日本語弁論大会の日である。昨年度は部外者的に見ていたのだが、今年はクラス担任でもあるし、日本語の先生方がいかに苦労しながら学生の原稿を自分の力で直していくようにもっていくのかがわかった。日本語の先生方は実に大変である。我がクラスからは作文担当のK先生によって、3名のいずれも女子学生が選ばれた。私も、クラスの学生の書いたものを全部読ませていただいたが、面白い内容が多くて難しい人選だったと思われる。

その中でも、F君の「母のお弁当」という、タイトルからは押しはかれない展開を見せる文章はすばらしかった。さらに、クラスの中でも特に大人しい学生であるY君の「言葉で傷つく」という文章も、体験に根ざした素直な文章で好感がもてた。彼女のような学生が選ばれ人前でスピーチすること自体が素晴らしいと私は思った。K先生も全くの同意見であった。さらにI君の「笑顔の力」という文章は、内容はまさにスピーチの王道といったものであるが、彼女のキャラから絶対見事なスピーチになると確信できるものだった。

さて、14題のスピーチが行われ、我がクラスのI君が第二位、F君が第三位に選ばれた。K先生の面目躍如というところである。お忙しい中、学生の指導に熱心に取り組んでいただき感謝である。弁論大会終了後、ちょっとSHRをした。頑張ってくれた3人にコメントをしてもらい、みんなで記念写真を撮ったのだった。やはり、担任はいいなあと思う。

2017年7月19日水曜日

IBTの話(108) 観音信仰と牛肉

イポー市にある有名な観音洞
http://perakipoh.blogspot.my/2013/07/guan-yin-tong.html
火曜日の放課後は総合科目の補習である。GATTのウルグアイ・ラウンドの話をしていて、ウルグアイについての地理的な復習もかねて質問していた。「ここは太いステーキがたらふく食べられるステーキな国で…。」と親父ギャグを入れながら(日本語力が上がってきているので、そんなシャレで笑えるまでにまで進歩してきている。)説明していると、「私は牛肉は食べないんです。」と何人かの学生が言い出した。「?」中華系にそんな食のタブーがあるのだろうか?一応、「牛肉を食べない人は?」と聞くと、半数ぐらいが手を挙げた。「えええええっ。」と私はかなり驚いたのだった。「観音様を信仰するチャイニーズは牛肉を食べないのです。」と説明してくれた。

観音様すなわち仏教に於ける観世音菩薩であるが、どう関係するのか?自分で調べてみた。この観世音菩薩が出家し仏道に入るのを、父親が強く反対したらしい。それで、父親は地獄に堕ちてしまう。地獄に助けに行った観世音菩薩に対し、父親は、牛となって人々を助けることを誓う。よって、牛は観世音菩薩の父親なのである。よって、その肉を食べることは、観世音菩薩を信仰する者にとっては、タブーとなったらしい。

今日改めて聞くと、牛乳やその加工品であるチーズやバターなどはOKだという。牛肉やその骨を使ったスープなどはダメらしい。

仏教では殺生戒があって、出家者はベジタリアンという話は日本でもあるが、牛肉へのタブーは聞いたことがない。そうか、彼らは留学してもスキヤキは食べられないのか…と思った次第。

2017年7月18日火曜日

エルサレムの神殿で重大事件

ライオン門
http://joy555.blogspot.my/2013
/06/blog-post_26.html
久しぶりに「オリーブ山便り」を見て驚いた。先週の金曜日の朝、エルサレムの神殿の丘(元ユダヤ教の神殿があった場所。現在はムハンマドが昇天したとされるイスラム教の聖地・岩のドームがある。)への入り口のひとつライオン門付近で警察官2名が射殺され、犯人3人が、神殿の丘内部に逃亡、そこで射殺された。イスラエル政府(ネタニヤフ首相)は、神殿の丘を閉鎖、中に隠された武器がないか捜索し、金属探知機を置いてセキュリティの強化をはかることにしたという。

この神殿の丘の管理は、イスラム教のワクフと呼ばれる財産管理組織が行っている。私たちが訪れたときも、ヨルダンのワクフの審査を受けて神殿の丘に立った。つまり、神殿の丘はヨルダンの管理下にある。今回の事件で、これが覆されたと言って良い。

48時間たって、門が開くと、イスラム教の指導者3人がイスラエルの警備隊に抗議した。イスラムの聖地に行くのにイスラエルの金属探知機の下をくぐることは受け入れられない、というわけだ。結局、彼らは探知機の前で集団礼拝を行った。

ヨルダン国王は、聖地でのテロを厳しく批判した後、神殿の丘を直ちに(イスラム教徒に)開放するべきだと抗議したが、同時に治安を乱す者は入れないようにしなければならないと語ったが、アンマンではすでに数百人規模のデモが起こっているし、議会はテロリスト3人を殉教者と呼び祈りを捧げたという。

このままイスラエルが神殿の丘からイスラム教徒を排除(というか、金属探知機をくぐり礼拝に行くことは侮辱であると考え、あえて行かない人が多いらしい。)し続けると、大きな国際問題やさらなるテロに発展しかねない。しかも、これまで入れなかったユダヤ人が月曜の朝、ワクフもイスラム教徒もいない神殿の丘に入ったとのニュースもある。これから、過激なユダヤ人が神殿の丘に入り、何かをしでかす怖れもある。

…日本ではあまり報道されないが、極めて憂慮する事態だと私は思う。
http://mtolive.blog.fc2.com/

L君 南スーダンへ旅立つ

http://www.msf.or.jp/news/detail/pressrelease_1228.html
前々任校の国語科の教え子のL君から、昨日突然メールが来た。「国境なき医師団」のスタッフとして、18日、南スーダンのジュバに向かいますという内容だった。

「高校卒業時に国際的なNGOで働けたらいいななどとぼんやり思っていましたが、その希望どうりになりました。」と書かれていた。

南スーダンは、現在スーダンからの難民が押し寄せ、国境なき医師団は難民キャンプ全てに拠点をもうけ医療活動をしている。(画像参照)コレラやマラリアの蔓延など様々な疾病が人々を襲っている。それだけではなく、様々な対立から大規模な民間人殺害も起こっており、自衛隊のPKO部隊が撤退するような状況下にある。

「私は、彼を誇りに思う。」このコトバは、どこかの外国の政治家が使うようなコトバで、少しばかり気色悪いし、今、生まれて初めて使っている。でも、このコトバ以外に、L君の南スーダン行きに贈るコトバが見つからない。

これから毎日彼の無事を祈らずにおれない。どうか無事で。
そして地球市民としての最前線での活躍を期待する。

2017年7月17日月曜日

AFP ジンバブエの現況取材

http://www.afpbb.com/articles/-/3134057
AFPのWEB記事で、ジンバブエを取材した記者のコラムが載っていた。今や90歳を越えるムガベ大統領の独裁で失敗国家に墜ちてしまったジンバブエを外国人記者が取材できる数少ないチャンスである、ハラレ国際芸術祭。その1週間の取材から、垣間見える今のジンバブエの様子。一言で言えば、彼らはただひたすら耐えて「待っている」。

意外にハラレ芸術祭は反骨精神が満ちあふれていて、芸術祭のバーブースの名前が「負け組国家」。また朝刊の見出しに「夢想の国に住むムガベ」「財政危機が暴く無能な政府」といった反政府的な記事が許されていたり…。さすがに一時の強権的で、南アへ脱出する人々が国境にあふれた頃とは違うようだ。

私がジンバブエを訪れたのは2004年。あれからもう13年になる。ハイパーインフレの兆しが中途半端に印刷された紙幣に現れていた頃だ。あれから数年でジンバブエは完全に崩壊してしまったのだった。私が、公園で教え子のジンバブエの人々への質問をぶつけていた頃、まだまだ人々の顔には笑顔があった。しかし、多くの人々は今や政治から離れたところへ待避しようとしているらしい。そこには心からの笑顔がないのだろう。あの、南アから共に夜行バスに乗って国境を越えた行商のショナ人のおばさんはどうしているだろうか。彼女が、心から笑える日が来ることを祈らずにおれない。

http://www.afpbb.com/articles/-/3134057

2017年7月15日土曜日

カタールとドルペッグ制

http://eldorar.com/node/80087
昨日のロイターのWEB記事で、カタールの断交問題が長引けば国際金融に大きな影響が出るだろうという観測記事があった。カタールも、サウジなど中東湾岸諸国もドルペッグ制をとっている。要するにUSドルに連動した固定相場制をとっているわけだ。この最大のメリットは自国通貨が安定することである。ただし、アメリカの金融政策の影響をもろに受けるというデメリットもある。特にドル高の場合、アジア通貨危機の時のように自国通貨を守れなかった場合大変なことになる。

アメリカのFRBが金利を上げ、ドル高傾向なだけに、カタールは、断交騒ぎの中で通貨リヤルの防衛を迫られているらしい。ただし、世界有数のお金持ち国故に、防衛するための外貨準備や金、株などの債券、さらに海岸の不動産など十分に持っている。とはいえ、これらを売り払わなくても(実際は不動産などはすぐ換金できない。)、新たな起債で対応できるだろうとの観測だ。とはいえ、断交が長期化し、カタールが海外不動産などの資産の売却をやりはじめたら、国際金融市場に大きな影響があるだろうというのだ。

同時に断交をしている他の湾岸諸国も、それに連動してドルペッグ制の防衛を迫られることも十分考えられる。世界に拡散したオイルマネーによる資産の売却が行われた時、どういう展開になるか、読みにくいというわけだ。おなじロイターの記事で、石油価格の低迷で、アメリカ国債のシェアもかなり低下しているという情報もある。

…また、そぞろ資本主義の妖怪たちがよからぬ相談をしているように思うのは私だけではないと思うのだが…。

https://jp.reuters.com/article/qatar-petrodollars-idJPKBN19Y07P
http://jp.reuters.com/article/column-waning-power-of-petrodollar-idJPKBN19Z0L8

鰻と日本人

http://blog.livedoor.jp/pacco303/archives/cat_774215.html
夕方に妻とDマーケットに行ってきた。お米のコーナーで、ローカルの中華系の若いお母さんに「Japanese?」と突然聞かれた。そうですよと言うと、「ここでウナギ売っているか知りませんか?」と聞かれた。私は「カウンターの向こうのお弁当コーナーにあったと思います。」妻は、「魚の冷凍コーナーにあったと思うけど…。」と答えたのだった。そこで別れたのが、魚の冷凍コーナーで彼女が鰻を探している姿を見つけた。でもなかったようだ。で、妻がもう一度探すと、他の冷凍魚の下に鰻があったのだ。だが、RM39と高い。(笑)私が、彼女を探しに行って、「ハイプライスだけど、売ってるよぉ。」と教えてあげた。結局、彼女は、買わなかったが大変喜んでくれた。カートに座っていたかわいい女の子と握手させてもらって別れたのだった。おそらく極めて日本人的な行動を我々はとったようだ。(笑)

マーケットの帰りの道で、我がクラスの中華系の学生たちが言っていた話を妻に伝えた。

どうやら、こちらの中華系の人々は、日本人を一瞬で見分けられるらしい。オーラが違うと彼らは言う。服装や髪型、顔や表情、しぐさで一発でわかるのだという。韓国人も同様らしいが、日本語で上手く説明できないとのこと。当然、中国人も判別できるらしい。大陸の中国人は一瞬でわかるそうだ。わからないのは、シンガポールや香港、そして台湾の中国人。これはマレーシア在住の彼らとほぼ同じように見えるのだそうだ。(うーん、意味深である。)ちなみに、マレー系の男性とインドネシアの男性は、口を開けばわかるのだと。つまり言語で判断するらしい。見た目はあまり変わらないとのこと。多民族国家マレーシアのなかなか面白い一面ではある。

2017年7月14日金曜日

IBTの話(107) アジア通貨危機

総合科目で、日本の経済史をやっていて、「アジア通貨危機」の話をする機会がある。マレーシアの学生であるし、アジア通貨危機についてはきちんと教えておきたいと思う。先日そんな状況下で、新校長のS先生の友人の方から教員や学生の役に立てば本がIBTに送られてきた。図書係もしている私が整理する役目を仰せつかったのだが、役得で「ヘッジファンド~世紀末の妖怪」(浜田和幸著/文春新書・H11年1月発行)をまず頂いた。で、さっそく読み始めたのだった。

まだ途中なのだが、なかなか面白い。アジア通貨危機については、かなり詳しく書かれていて勉強になった。金融用語はまだまだ不慣れで、「?」と思うことも多いのだけれど、結局、プリントに記した部分だけで十分だと判断した次第。ところで、このアジア通貨危機の際、当時のマハティール首相が激怒する。彼が名指しで批判した人物は、かのソロス氏である。

この本にはソロス氏のことがかなり詳しく書いてあって、なかなか興味深い。ハンガリー生まれのユダヤ人であるソロス氏はナチの迫害を乗り越え、イギリスに渡り金融筋で修行をしている。どうも、ロスチャイルド家が関係しているらしい。それに関する人脈なども詳しく記されていた。このアジア通貨危機の時もも、ヨーロッパの金融機関がかなり絡んでいるようだ。著者は、そのあたりを念密に調べていて、久々の「広瀬隆」的な本(私は昔々ロスチャイルド家に関する広瀬隆の「赤い盾」を読み切ったことがある。)に出会ったという感じである。ちなみに、広瀬隆よりは、はるかに読みやすい文章だった。

私は、同じアジア人としてマハティール首相が激怒した理由もわかるし、彼がIMFなどの支援を拒否した気持ちもわかる。アジア通貨危機を起こした張本人もIMFも、所詮同じ穴の狢だと信じていたに違いない。それは事実だと私も思う。この本の副題にあるように、ヘッジファンドとそのパックにある国際金融の世界はまさに、資本主義の妖怪だと信じるに足るところである。

アジア通貨危機やリーマンショックを教えた後、学生たちに、「人に不幸の上に築いた気づいた幸せ(カネ)は、倫理的にゆるされるのだろうか?」という疑問をぶつけた次第である。

2017年7月13日木曜日

IBTの話(106) 七夕

先週から、IBTでは七夕の笹が飾られている。写真を撮影しようしようと思いながら、カメラを持って行くのを忘れて今日になってしまった。話題としては遅すぎる感もあるが、お許し願いたい。(笑)

七夕という行事を紹介しつつ、日本文化の学習、短冊に筆ペンを使って日本語を書かせようという日本語学習の主旨もあるようだ。昨年は、私は短冊を書かなかったけれど、今年は「F38文系学生、EJU総合科目世界平均より30点以上」と書いた。要するに、去年同様の成績を上げるぞと書いたわけだ。

学生の短冊を見ると、「日本に留学できますように」「国立大学に入れますように」などどいう、極めてフツーのものもあれば、「日本人の彼女ができますように」とか「(彼女の名前)が書かれていて、~がさらに綺麗になりますように」(綺麗とちゃんと漢字で書かれている。)といった思わず笑ってしまうものもあるし、「円安になりますように」という外国為替の学習直後故に、留学費用に関しての切実なものもあったりする。実はこれらは我がクラスの学生の書いた短冊だ。

近々日本人会主催の盆踊り大会もある。1年中夏のマレーシアだが、日本の夏の行事に合わせて、改めて今は夏なのだと感じたりする。

2017年7月12日水曜日

前任校の教え子とMVで再会

T君の留学先 KLのサンウェイ大学
前任校の教え子のT君が、KLのサンウェイ大学に留学してきて、最後の最後に会うことになった。勤務を終えて、ミッドバレーのスターバックスで待ち合わせした。聞くと昨年から9ヶ月間(本当は1年間だったらしいがビザの関係で短くなったそうだ。)KLに来ていたのだと言う。

いやあ、懐かしいし、会えて嬉しかった。彼は在校時から海外への関心が高かった。外国語学部に進学し、留学先については、いろいろ考えたあげく、マレーシアを選んだそうだ。これからの海外雄飛の夢をいろいろと語ってくれた。

さすがに9ヶ月もマレーシアにいると、多民族社会がフツーになってくる。これは共通認識。生活費も安いし、日本同様、マレーに住む人々はやさしく、多くの友人を得て快適な留学生活だったらしい。唯一の難点は、これも共通認識で、ずっと夏であることだった。(笑)

マレーシアから日本に学生を送り出すのが私の今の仕事だが、日本からマレーシアに来る学生もいるわけで、こういう草の根の交流が実に地球市民を造っていく。なんか、充実した気持ちになった夜だった。T君のこれからの成長と活躍を祈りつつ…。

2017年7月11日火曜日

IBTの話(105) イラン革命考

総合科目の公民分野では、引き続き日本の経済史をやっている。イラン革命による第二次石油危機の話が出てくる。このイラン革命、マレーシアの学生には、WWⅡ以後近代国家たらんとしたパーレビ王朝が、資本主義を育成するにつれ経済格差がどうしても拡大したことをまず語っている。このあたりの資本主義の本質を私の教え子は理解してくれている。自由と平等は二律背反していることも十分理解しているわけだ。

近代国家の形成に当たっては、資本主義・民主主義・国民国家の三本柱があるが、パーレビは開発独裁で親米的な資本主義化を急ぎすぎたのだろう。これに対してイスラムは極めて平等主義だ。イスラム回帰の運動=反政府活動・反米運動が、貧困層から沸き上がるのは道理である。

その是非はともかく、こういう社会構造的な理解の上で、イラン革命を理解するべきだと、マレーシアに来てからの私は考えている。

マレーシアは近代国家であるとともにイスラム国家である。この止揚はマレー系が6割の人口を占めつつも、経済の主導権は残る4割の中華系とインド系が握っているという絶妙なバランスの上で行われている。ムスリムのマレー系の学生はもちろん、中華系の学生もこのマレーシアの社会構造から見たイラン革命はよく理解できるようだ。

近代国家とイスラムのせめぎ合い。私にとってもこの1年あまりの経験と学びは大きいと改めて思う。

2017年7月9日日曜日

新世界遺産 宗像大社

http://waction.org/?p=4070
日本の世界遺産がまたひとつ誕生した。福岡県の宗像(むなかた)大社と沖の島を中心にした8カ所である。地元の方にもは誠に申し訳ないのだが、私は宗教学の徒でもあるのだが、日本神道には造詣が深いとは言えない。正直言うと初めて知ったのであった。で、さっそく調べてみた。

この宗像という名前は古事記に「胸形」として記され、古来大陸との海上交通の守り神とされてきた。(現在は陸上も含めた交通安全全体の神とされている。)ご神体は、「貴(むち)」の尊称を持っている、伊勢神宮の天照大神、出雲大社の大国主命と並ぶ「宗像三女神」である。この女神は天照大神の娘とされている。沖の島にある沖津宮(おきつぐう)には田心姫(たきりひめ)神、筑前大島にある中津宮(なかつぐう)には、湍津姫(たぎつひめ)神、九州本土の宗像市にある辺津宮(へつぐう)には市杵島姫(いちきしま)神の、三女神である。

この中でも、沖津宮=沖の島は、島自体がご神体で、男子禁制(女神を祭っているので女性が上陸すると神が嫉妬するといういわれがあったらしい)、上陸するのにも禊ぎが必要だという。考古学的には、島から多くの国宝が出土している。それだけ信仰が厚かったわけだ。

…私が宗教学の徒でありながら、神道を無意識的に避けてきたのは、読みがなに不慣れだからと思う。古事記や日本書紀は、どうも苦手だ。(笑)

…今回の世界遺産認定では、沖の島だけが認定される可能性があったらしい。宗像大社としては三女神は一体であるとして説得したらしいがなかなか理解されなかったという。前回の富士山もそうだが、ユネスコ側の専門家は、かなり欧米的な価値観が強いと私などは感じる。世界遺産の分布を見ると、ヨーロッパにかなりの数が認定されていて、アジア・アフリカなどは比較的少ない。そもそもエジプトの遺跡保護の必要性から世界遺産は始まったが、エジプト文明の評価は実はヨーロッパ趣味的であると思う。ヨーロッパ各地にも、美術館などを中心に(エジプトの塔である)オベリスクがたくさんある。

…結局、今回は認定委員会の委員国の意見での逆転登録となったらしい。ちなみに今回の委員国を調べてみた。議長国のポーランド、副議長国が韓国、さらにインドネシア、カザフスタン、フィリピン、ベトナム、クウェート、チュニジア、レバノン、アンゴラ、タンザニア、ジンバブエ、ブルキナファソ、ポルトガル、アゼルバイジャン、クロアチア、トルコ、フィンランド、ペルー、キューバ、ジャマイカの21ヶ国である。おそらく日本政府も各国に働きかけをしたのだろうと思われる。比較的日本の意を汲んでくれそうな国が多い。

…最後に、今回の認定は、ポーランドのクラクフで行われたとのこと。クラクフはアウシュビッツ収容所の近くの街。悲しい歴史とは別に、中世の香りが残る美しい街だ。是非再訪したいと思う街である。…アイ・ラブ・クラクフ。

ハンブルグG20サミット 2

参加国首脳のマスクをかぶり「経済格差是正」を訴える人々
http://www.afpbb.com/articles/-/3134277?pid=19163465
ハンブルグでのG20サミットが終わった。予想通り、大規模なデモが繰り広げられた。暴力的な左翼活動家と警察の激しいつばぜり合いもあったようだが、トランプ夫人が他の首脳配偶者とともに行う予定だった視察に参加できなかったくらいで、警備上の大きな問題にはならなかったようだ。そもそも、アメリカは大統領家経営のホテルがハンブルグにはなく、アメリカ大統領にふさわしい高級ホテルも押さえれなかったらしい。しかも「安倍大統領・習近平台湾大統領」と誤記までしたという、ホワイトハウスや国務省の能力の低下も証明された。
「地球第一」というペイントしているデモ参加者
http://www.afpbb.com/articles/-/3134277?pid=19163530
個別の会談はさておき、全体の会議では、結局アメリカが世界から完全に浮いていることが露わになった。環境問題の討議では、大統領は中座したらしい。自由貿易問題でも、言いたいことだけを言う姿勢は変わらず、メルケル首相にボロクソに批判されている。一方、大統領の娘が大統領の席に座ったり、ファミリーで恥をさらけだして終わった感じである。さらにおまけとして、留守を守っていた副大統領がNASAの視察の際に、触ってはいけないと書かれた機器に触り、小学校3年生レベルか!と批判されている。全く、アメリカの信用は地に墜ちた感がある。

ホントもういい。早く退場してくれ、と言いたくなるのは私だけだろうか。

TTDIマーケットに行く。

マレーシアでは、ハラル(イスラムの食の規定)によって、豚肉は隅っこに追いやられている。とはいえ、中華系や日本人は豚肉が大好き。(笑)安くて美味しい豚肉を常に求めている。KLでも有名な豚肉屋に行きますよとM先生からお誘いがあって、朝からワンウタマにあるTTDIに行ってきた。

ウエットマーケット(床がぬれいてるという意味:総じてローカルなマーケットの意味)のひとつだが、日本人がよく行くところであるらしい。(もちろん車がないとちょっと行けない。笑)ここでも豚肉屋さんは地下にあった。(マレーシアでは、ハラルではないので、だいたい隔離されている。)個性的なスタイルのお兄さんが、日本語(もちろんローマ字表記だが)で「シャブシャブ」とか「ヤキニク」とか「ショウガヤキ」とか紙に書いて渡すと、豚肉をさばいてくれるという店だ。さばきも鮮やかで、混んでいたのでなかなか順番が回ってこなかったが、見ていて飽きない。今日は、妻が「ミンチ」「シャブシャブ」「ヤキニク」を1kgずつ買った。それでRM106。…安い。
帰りに、M先生がKLでNo1と言われる「ナシレマ」の店に連れて行って下さった。すごい行列ができている。一度、IBTに愛媛大学の方々が見えたとき頂いたのだが、極旨である。妻も一度食べたいと行っていたので、連れて行っていただいたのだ。
いやあ。大満足である。チキンの衣がパリパリしていてまさに絶品。今日はもう、何も食べなくても良い感じ。(笑)毎度の事ながらM先生に大感謝である。

2017年7月8日土曜日

シリア人ハーシムのオデッセイ

http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/6510f8c62ce7755cb82fdf68db490762
「シリア難民」(パトリック・キングズレー著・ダイヤモンド社/16年11月発行)を読み終えた。著者は、各地で様々な難民の取材を行っているのだが、本書の中心軸として、シリア人のハーシム氏のスウェーデン行をドキュメントで追っている。もちろん、ずっと一緒に同行していたわけではないが、迫真のドキュメンタリーとなっている。

シリアから脱出し、妻子共々エジプトに避難したものの、過酷な扱いを受け、文字通り必死でスウェーデンを目指す「旅(オデッセイ)」。家族を置いてアレクサンドリアから1人密航船でイタリアへ。イタリアから迷いに迷ったあげく、フランス・ドイツ・デンマーク経由でスウェーデンにたどり着く。家族を呼び寄せる永住権を得るのにもかなりの困難が待ち受けていた。

あまり詳しく書かないほうが良さそうだ。私は多くの日本の方、特に社会科の教師と大学生に読んでほしいと思っている。

シリアを始めとした難民を生む「地獄」のような環境は、日本では想像を絶するものだ。その難民を送り出すリビア、エジプト、トルコなどの非人道的な状況も想像を絶するものだ。中でも私が驚いたのは、トルコで売られている救命胴衣の話である。需要と供給の市場経済らしい話ではあるが、難民の増加に伴い街中で堂々と救命胴衣が売られているらしい。中にはスポンジを使った粗悪品もあるそうだ。全く意味をなさないばかりか、海水を吸って溺死させるような代物だ。

ヨーロッパ各国の難民への取り組みに関しても、かなりの問題点を本書は突いている。詳細は、これも書かないほうが良いだろうと思う。ただ、本書の最後に記されているようにヨーロッパの孤立を守ろうとする意志より、生き延びたいという難民の意思の方がはるかに強いことは確かだと思う。

…私は、この本をマレーシアで読んでいる。マレーシアは中進国ながら、平和で豊かである。同時に、日本では見かけることの少ない海外からの不法移民とされる人々も多くいる。KL市内で先日も多くの不法労働者が捕まったらしい。彼らの故郷の状況はKLにいてはわからない。だが、ローカルのバスで会う彼ら(特に工事現場などで働く人々に多いらしい)の目を見ていると、ワイシャツで通勤する私などには容易に心を開いてくれそうにもない厳しさがあるように思う。彼らの工事現場での労働の過酷さを目にしたり、あるいは低賃金さ耳にすることもある。彼らは難民という立場ではないが、これも今の世界の現実である。

…この難民問題、地球市民としては、あくまでも自分とのかかわりの中で考えていくべきだと思うのだ。「シリア難民」、お勧めの一書である。

”ポチ”の証明 核禁止条約

”あなたがここにいてくれたら”という空席の日本への折り鶴メッセージ
http://blog.goo.ne.jp/kin_chan0701/e/5b7583add575991bf1e2623d5da19980
7日、国連で、122か国の賛成で「核兵器禁止条約」が採択された。核兵器の開発や使用、保有を禁止するという、ある意味画期的な条約である。この条約は、核兵器を「使用するとの威嚇」さらに実験や移転、配備の許可も禁止事項に入っている。核保有国の反対を念頭に、極めて理想主義的なものになっている。当然のように、核保有国はこの条約の交渉に不参加であるし、実効性はないに等しい。

唯一の被爆国である日本は、アメリカの核の傘に入っているが故に、署名も批准もしないとのこと。安全保障上の現実問題が、被爆国としての人道主義に勝るというわけだ。まさに、「理想が現実に負けた。」といってよい。

日本政府の非を責めるには、私は歳をとりすぎた。物分かりが良くなりすぎているかもしれない。自嘲的に「日本はアメリカの(飼い犬である)ポチにすぎない、ということの最大の証明だ。」と記するに留めたい。…今更ながらであるが…。

そのおかげで、”ポチ”(別に”ジョン”という名前でもいいのだが…)として戦後70年、平和と繁栄を享受してきたことも事実である。…でもやはり内心複雑であるわけで…。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO1863720008072017FF8000/
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H2R_U7A700C1EAF000/

2017年7月7日金曜日

秋田大学 ボツワナ事務所

http://afri-quest.com/archives/11387
WEBの記事で、6月28日に秋田大学の国際資源学部がボツワナに事務所を開設したことを知った。今春、IBTから文系の私費生と国費生がここに留学している。私は、この秋田大学の国際資源学部は、石油や天然ガス資源をもつマレーシアの学生にとって「日本でこそ学べる学問」というニーズに答えることのできる貴重な学部だと考えている。

その秋田大学が、アフリカのボツワナに事務所を開いたというのだから、言祝ぐのは当然である。ボツワナは、サブサハラ=アフリカの中でも優等生国家である。このブログでも何度かエントリーしたけれど、鉱産資源、特にダイヤモンドを有効に利用し、その加工やマネジメントにも力を入れ、開発努力している。他のレンティア国家、たとえば湾岸諸国のような無駄遣いもしていないし、ポール・コリアーのいう「紛争の罠」にも無縁である。要するに、初代大統領以来のガバナンスが良いのである。

アフリカを研究している者の”ハシクレ”としても、秋田大学の目のつけどころが良いと思うのだ。南アの金やプラチナ、ザンビアの銅、ナミビアのウラン鉱山、はたまたモザンビークの海底油田にも比較的アクセスが容易である。これらの国々は、アフリカの中では治安がよいほうだ。最近は西アフリカや東アフリカは治安面でも厳しくなっているから、やはり学生の研究視察には南アフリカ地域がいいと思う。秋田大学の学生が、これらの鉱山を視察するだろうと思うと私まで胸が踊ってしまう。IBTからの留学生のK君、A君にも是非アフリカの地に立って欲しいと思うのだ。
http://afri-quest.com/archives/11387

2017年7月6日木曜日

IBTの話(104) ドッジもドッジ

http://blog.goo.ne.jp/
jiten4u/e/3cdb4b3527c
13dc32fa974fe0f5b7eea
総合科目の公民分野では、日本の経済史をやっている。テキストにしている「ハイレベル総合科目」では、国際収支や外国為替の学習の前にその記述があるのだが、これらの国際経済の分野を先に学習している。と、いうのも、$1=360円の固定相場制や、ドルショック、プラザ合意、アジア通貨危機、リーマン・ショックなどを語る上で、これらの学習が必要だからである。

今日の授業(90分)では後半にWWⅡ直後・特需前の5年間の日本経済について語っていた。ドッジラインの話が出てくるのだが、インフレ対策として、ドッジが$1=360円の固定相場を導入、超円安で輸出拡大をはかるのだが、加工貿易で国富を得ている日本の原料輸入が超円安で苦しむことを考慮しなかったこと、緊縮財政で有効需要を注視し、日銀の債務借り入れ金を優先したので銀行の企業への融資が冷え込み、反対にすごいデフレになってしまう話だ。

それ以前の需要インフレへの傾斜生産性と、そのための国債大量発行で、通貨量が減りインフレはおあさまるはずだったのだが、同時に通貨を大量発行してしまった(高橋是清無き)日本政府の財政政策もスカタンではある。で、今日の結論。「日本政府もドッジラインも、ドッジもドッジ。」日本語力のある学生は大笑いしていた。

2017年7月5日水曜日

北のICBMを無視しよう。

http://polandball.blog.fc2.com/img/WS000001_20160909190639450.jpg/
北朝鮮がICBMを発射し、どうやらアラスカまで届くようだ。ここにきてアメリカの反応は煮え切らない。中国の対応不足だと愚痴三昧。あの空母3隻を結集させた威勢の良さはなんだったのだろうと思うほどだ。

もちろん、平和的解決がいいと私は考えているが、ここにきて、結局アメリカの影響力はこんなものなのだと思ってしまう。反対に親北朝鮮的だった韓国が威勢良く振る舞っている。これまた意外だ。

日本のWEBは、ICBMのニュースは朝のうちだけ。相変わらずの平和日本。なんか、結局のところ、北朝鮮を無視するのが最も良いような気がしてきた。北朝鮮はアメリカにしか目が向いていない。日本が巻き込まれるのは全くの無益だ。無視する。いちいち反応しない。それでいいのだ、という感じ。

…とはいえ、極めて先行き不透明である。

2017年7月3日月曜日

ハンブルグG20サミット

ハンブルグ https://blogs.yahoo.co.jp/sakura_kituneo/61259029.html
7日からG20サミットが開催される。普通は、警備上の関係から人里から離れた場所を選ぶものだが、ドイツのメルケル首相は、ヨーロッパ有数の港湾都市・ハンブルグを選んだ。ロイター電によると、かなりの数の様々な団体のデモ隊が終結しそうである。
http://jp.reuters.com/article/hamburg-g20-summit-idJPKBN19L0K4?pageNumber=1

メルケルは、かなりトランプに頭に来ているようだ。G20故にプーチンも来るし、エルドアンも来る。彼らに「開かれた民主主義」「声を上げることの自由」を伝えたいのではないかと報道されている。大勝負に出たメルケル首相の肝っ玉の太さを感じざるをえない。
http://jp.reuters.com/news/world/uselection?graphicId=image-of-us
ところで、アメリカの国際問題に関する指導力、イメージが新政権でどう変化したかを示す資料もWEBで発見した。これを見ると、(ロシアとイスラエルを除いた)世界中の人々の怒りが見えてくる。
さてさて、何事かが起こるのだろうか。ちょっと期待してしまうが、デモは言論の自由の一手段である。あくまで平和的、そして理性的にやってもらいたいものだ。

2017年7月2日日曜日

「マル経」恐るべし。

https://twitter.com/lsegovernment/status/794111119430447104
東洋経済のWEBページに、実に興味深い小論(本日付)が掲載されている。神奈川大学の的場教授の「かつて民主主義は資本主義と蜜月関係だった~なぜ民主的でないルールが広がったか」である。自分なりに整理してみた。
http://toyokeizai.net/articles/-/178396

ドイツの社会学者ヴォルフガング・シュトレック(上記画像参照)は「公共社会学」という分野から、民主主義と資本主義の問題をうまく説明している。今から50年前の高度経済成長期、機会均等という民主主義を、先進国の人間は満喫した。労働運動における階級闘争はなりをひそめ、賃上げ闘争に衣替えした。自由を求める「市民」の運動は、権力側にとっては、市民の自由=個人の確立であり、体制を脅かす集団をバラバラにする役割を持っていた故に容認されてきた。自由と開放は、資本主義の過剰生産のはけ口として利用されたのだ。自分らしさの追求は、消費を伸ばし、民主主義にとっても資本主義にとっても有為だったわけだ。それが、かげりを見せるのが、第一次石油危機以後のスタグフレーションであり、今や先進国の経済成長率は、約1%という低成長時代にある。

1929年の世界大恐慌後のドイツ経済の破壊的な状況下で、「オルドヌンク・リベラリズム」(秩序づけられた自由主義)が謳われる。この意味は次のようなものだ。自由主義は規制の緩和・国家権力や法の介入を少なくするように見えるが、実際には公正厳格なスポーツと同じで、国家や法による規制は増えていく。当時のドイツでは、官僚や経済界のエリートによる統制が行われていったというわけだ。

自由から統制経済が生まれるという皮肉。1980年代のネオ・リベラリズムも同様だという。民主的権利意識が利潤率を低下させ、経済を停滞させる。したがって、資本主義の側からは、自由主義によるこれまでの規制を撤廃し、新たな規制の必要性を必要とした。これは実際には、労働者の賃上げと高度福祉社会の崩壊を目標とするものである。

…なるほど。この辺で、私はかなり膝を打ち続けた。ネオリベラリズムは、日本語では経済学思想としての「新自由主義」と訳す。サッチャリズム、レーガノミクス…。日本では小泉・構造改革…。

そして、EUは、そのネオリベラリズムの実験場であったという指摘に続く。このEUは、たしかに近代国家を超えた存在であるが、その意思決定システムは、ヨーロッパ中央銀行の政策金利政策も含めて、まさに秩序づけられた自由主義である。「各国の利害が存在する中、意思統一などできない。すべてはEUの官僚と経済界に委ねられているといってよい。国家を超えたグローバル権力は国家が培ってきた民主的ルールを飛び越えてしまう。民主主義の崩壊である。」

的場教授は、最近では珍しくなってしまった「マル経」(マルクス経済学)の権威であるようだ。したがって、結論的な部分では、こう言う書き方になっている。「グローバル化という魔力が国民主権を危機にさらし、市民権を奪い去ろうとしている。なるほど、地球は今一つの世界国家に近づきつつあるという表現ができるのかもしれないが、その実態は資本とその代弁者であるエリートによる世界国家にすぎない。」

…なるほど。実に面白い視点である。先日、IBTの公民分野のテキスト作りをしていて、EUのことをさらに深く調べていた。政策決定に関して、いくつか疑問が新たに生じたのだが、見事な1つの回答がここにある。当然これが絶対なる正義だとは私は思わないが、この視点は重要だ。現在の様々な問題を解くひとつのカギになると思う。…うーん。「マル経」恐るべし。

2017年7月1日土曜日

韓国国会議長の放言…。

http://polandball.blog.fc2.com/blog-entry-1478.html
私は、大阪市生野区で生まれ育ったので、在日韓国・朝鮮人の友人も多い。社会科の教師であるので明治以降の日本の帝国主義的政策もきちんと学んだつもりである。もちろん、在日の教え子もたくさんいる。したがって、韓国に対しては、隣国として大いなる敬意を払ってきたつもりである。しかし、このところの韓国の反日スタンスはさすがに常軌を逸している。国際理解教育に携わる者、すなわち異文化理解の重要性を熟知する者としても断腸の思いで、異文化理解の枠を越えた「感情論」や「幼稚さ」を指摘せざるを得ない。

韓国の国会議長が来日し、日本の大島衆議院議長との会談した。その際、北朝鮮問題で訪韓日本人観光客が減っていることを指摘し、来年韓国で行われる冬季オリンピックに日本の観光客が少なかったら20年の東京オリンピックに韓国から1人も行かせないと言ったそうだ。…?はっきりいって、この人物は何歳なのだろう?と思った。「ガキの使いやあらへんで」というのが大阪人的な率直な感想である。

その他、不況下の韓国の若者を景気の良い日本企業で引き受けて欲しいとか、韓国人BC級戦犯の戦後補償をしてほしいとかとも述べたらしい。首相との懇談ではイスの大きさにこだわって外務省を困惑させた、というオマケもついている。
WEB記事には「大放言」という文字がタイトルに含まれている。国会議長の訪日は6月7日。何故今頃、こういう報道が流れたのか、若干訝しい思いがあるのだが、とにもかくにも、この現大統領の所属政党の幹部だという議長の幼稚さにあきれかえってしまった。私は、この記事を読んで、ふと「今すぐ引っ越し」と洗濯物を叩いていたオバサンを思い出してしまった。この「幼稚さ」が、あくまで議長の個人的なものであることと信じたいのだが、公僕、しかも立法府の長である。その背後にはどうしても隣国の国民がいることになってしまう。
http://www.sankei.com/world/news/170701/wor1707010005-n1.html