2020年5月31日日曜日

三崎港の「はなはな」

大分県佐賀関と三崎を結ぶフェリー乗り場の横に「はなはな」という観光案内所とちょっとしたお土産屋があったのだが、大幅に増築されて、昨日ニューオープンした。その中心は、佐田岬半島のだいたい中央にあった「しらすパーク」のレストランとお土産屋、そして新しく入ったカフェである。先日、妻とジャランジャラン(マレーシア語で散歩の意味)したら、なかなか粋な感じで、うん、佐賀関の店よりオシャレだなあと思っていた。

今日、大洲まで買い物に行った帰りにちょっと寄ってみて驚いた。駐車場がほぼ一杯というくらいの活況だったのだ。せっかくなので、お土産屋にだけ寄ってきた。これで、三崎の町に少しばかり活気が戻るかもしれない。

今日の画像は、レストランとお土産屋の入り口。白い暖簾は、伊方の伝統の裂き織で、地域おこし協力隊のH隊員が製作したもの。それにロゴがプリントされたものである。美しい開店祝いの花々が、この暖簾を引き立てていた。

2020年5月30日土曜日

F40の教え子とZOOM

今回はZOOMの画像を取り忘れたので、KLの夕焼けの画像 
さきほどまで、私が最後の担任をしたF40の諸君とZOOMでミーティングをしていた。いやあ、懐かしい。全部で8人が参加してくれた。日本に今いるのは、そのうち2人。あとは春節で里帰りしていて、在マレーシアのままである。6月に入るとマレーシアは出国OKになる可能性が高いが、日本はまだマレーシアに対しては入国禁止であるようで、先行きの目処はたっていないとのこと。ロックダウンはゆるまったが、状況は厳しい。在日本の学生は、大学からいくばくかの生活援助金をもらえているようだ。大学の講義に関しては、様々なカタチでオンライン授業があって忙しいらしい。教科書がない授業もあったり、フィールドワークが不可能だとか、様々な問題はありそうだが、みんな頑張っているようで安心した。

中華系が多いF40.私が最も聞きたかったのは、香港の情勢についてどう考えているか?ということだった。意外といっては変だが、彼らは民主主義を基盤とする「西側」の発想ではなく、香港はそもそもイギリスの帝国主義の犠牲であり本来的に中国のものであるという「アジア」の発想で見ていたことだ。なるほどな、と思う。先日、香港については実に難しい問題であると書いたが、「西側」が重視する「契約」を、中国が守らないことよりも、「歴史的な正義」が重要であるという立場であるといえる。香港はいつか中国に飲み込まれるのは必定という立場でもある。

ほんと、実に難しい問題である。日本は「アジア」であるが、「西側」であるという一面の方が強い。と、いうより、戦後そういうふうに変化したといえる。この是非を論じるのも難しいところだ。F40の諸君にはその辺の考察もしてほしいな。まさに、現代日本の根幹に関わるところである。

2020年5月29日金曜日

1か月後のブルーインパルス

https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1255589.html
航空自衛隊のブルーインパルスが、医療従事者の奮闘に対して思いを込めて東京の空を舞った。米空軍のサンダーバーズ・海軍のブルーエンジェルスがNYCの上空を飛んでからちょうど1か月後である。

おそらくブルーインパルスもやってくれるんではないかと思っていたが、1か月もかかったという感じを受ける。おそらく様々なしがらみがあって遅れたのだろう。このスピード感の差が、何かにつけ日米の差の様な気がする。関係各方面に対して、慎重に検討するという日本の姿勢は決して悪い事ではないのだが、時にはデメリットを生むこともある。

昨日、全人代で、香港の国家安全法が可決された。予想通り、アメリカが動き出しているようだ。かなりの経済制裁を行うことになるだろうと思う。多くの国は中国共産党政府に対し、同様にかなり怒っている。日本はどうするのか?昔々の湾岸戦争の時も旗色を鮮明にせよとアメリカに叩かれたが、今の大統領閣下は極めて短絡的なのでグズグズしていると大変だ。

韓国の徴用工と彼らが読んでいる問題の時は、日本政府はかなり早く反応した。この時は正義が明らかだったことにもよるが、今回の場合も同じだ。少なくとも今の中国共産党には正義はない。彼らが目指しているのは、香港の人々や中国の人民の幸福ではなく、一部の幹部の強欲な拝金主義政権を正当化することだけのようだ。さすがの私もそう判断せざるを得ない。日本政府は、様々なしがらみもあるだろうが、国益を考え、しかもスピーディーに判断すべきだと思う。

2020年5月28日木曜日

心理学入門講座 大盛況

本年度最初のみさこうDAYのイベント、心理学入門講座は21人もの生徒が集まってくれて大盛況だった。実にありがたいことである。

今回は、エディプスコンプレックス、カインコンプレックスを中心に講義した後、エゴグラムを実際にやってもらい、解説した。特に1年生が多く、塾への好感度も上がったと思う。今日集まったメンバーは、入塾してもらえそうだ。さらにすそ野を広げたいところである。
みさこうDAYなので私服です。
3人の新講師も様々なサポートをして支えてくれた。イベントをしていくことで、チーム力も上がっていく。これも非常に嬉しい。

2020年5月27日水曜日

愛鳥週間365日

毎朝7:30になると、伊方町役場からの連絡放送が流れる。だいたい、コロナ対策の話が多いのだけれど、今日は町見郷土館で「愛鳥週間365日」というスライド上映会が行われるとのこと。毎日、いろいろな鳥の声を聴いている私としては、興味深々であるし、今日の19:00開催というのは、千載一遇のチャンスだ。これから、学校が完全正常化すると、塾は21:15までが勤務となる。つまり参加できなくなるわけだ。

妻と相談して、行くことに決めた。塾で話したら生物が専門のS先生が当然ながら食いついてきた。と、いうわけで18:00の閉塾後、3人で郷土館へ向かったのだ。中に入ろうとしたら、ちょうど私の前の参加者の方が、郷土館来館2万人目ということで、愛媛新聞や広報いかたの取材を受けておられた。ははは。惜しい。朝、学芸員のTさんに連絡した時は、そんな情報は全くなかったのだが…(笑)こういうのはサプライズの方がいいか。

ともかくも、上映会が始まった。佐田岬半島から大洲の水系には、実に多彩な野鳥がいることがわかった。この鳥を見たことがあると、こそっと妻が耳打ちする。このさえずりもよく聞くとも。意外に妻が喜んでくれたので良かったと思う。S先生は、こういう企画が大好きで、今日の担当者の方にいろいろ質問をしていた。来月はカエルだと聞いて、来たいなあという顔をしていた。その気持ちはよくわかる。地域の方の中で、地元の生物に対する造詣を深めることも大いに意味があると思う。

ちなみに未咲輝塾のブルゾンを夫婦で着て行った。T学芸員に大うけしていたし、そのおかげで名刺交換もさせていただけた。地元の方に、未咲輝塾から来ているというアピールもできた気がする。小事が大事である。

2020年5月26日火曜日

香港「国家安全法」問題考

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59534410V20C20A5EA1000/
昔々、まだイギリス植民地だった香港に行ったことがある。湿気を無茶苦茶含んだ熱風と雑然とした街並に、かなり驚いた記憶がある。私が旅装を解いて最初に向かったのは、清真寺。要するにモスクである。実は、これがモスク初体験で、パキスタン人に礼拝の仕方を教えてもらった。また沢木耕太郎の「深夜特急」よろしくスターフェリーで九龍半島から香港島に毎日往復していたこと、フェリー乗り場近くでタガログ語でおしゃべりしている若い女性(要するにフィリピーナである)の集まりなどの記憶は鮮明だ。後でいろんな観光地に行ったのだが、あまり記憶に残っていない。この頃から観光地より、「人間」を見に行っていた気がする。

その後、中国本土には、4回足を踏み入れた。最初の本土の旅は、香港の雰囲気とは全く異なり、南京などまだ石炭のススの匂いがして、かなり貧しい印象だった。人民服の人も多かった。その後の経済格差はだんだん縮まっていく。香港のホテルでは、アメリカや日本同様の朝食バイキングが出されていた。しかし最初の中国旅のホテルも朝食バイキングだったが、卵はユデ卵のみ。(スクランブルや片目玉焼き焼き・両面焼目玉きなども並んでいた香港とは全く違う。)パンも一種類。果物も一種類で、みかんのみ。それも土がついていた。私は、なんやかんやといいながら、このように形式的であっても朝食バイキングを中国のホテルが実施していること自体に感激した。何度も大飢饉があり、食糧不足が蔓延していた中国がここまで発展したのだ、と。その後、ホテルの食事はどんどん進化し、M高校の修学旅行の付き添いで北京の四つ星、五つ星のホテルにも泊まったが、香港と大差ないところまで来ていた。いや、それ以上かもしれない。

さて、香港である。昨年の「逃亡犯条例改正案」撤回をめぐる混乱に続いて、全人代で採決されるらしい「国家安全法」で揺れている。1997年の香港返還の時点で、中国はイギリス(同時に国際社会)に対し、一国二制度で高度な自治を2047年まで保証している。

この中国と香港とイギリスの関係について論じることは実に難しい。そもそも香港はかの悪名高いアヘン戦争においてイギリスが南京条約で香港島を永久割譲したところから始まる。九龍半島はアロー号戦争後の北京条約で割譲され、さらに深圳以南の九龍半島や島(新界)を99年間租借したものである。アジア人から見て、帝国主義の犠牲になった不当な植民地というイメージはぬぐえない。この頃のイギリスはえげつない。

だが、イギリスは、中国(中華人民共和国)を承認した最初の先進国である。(1950年)毛沢東も、イギリスとの国交を引き出すため、国際社会の一員としての立場を守った。両者とも香港のことが念頭にあったに違いない。毛沢東は長期的な戦略を持っていたと思われる。中国を社会主義化する上では、この時点では香港は資本主義の毒花でしかなかったはずだが、いつか取り戻すという決意を持っていたのだと思う。天安門広場の人民英雄記念碑の碑文は、このアヘン戦争の話から始まっている。
具体的に香港返還を進めたのは趙紫陽だが、実際には鄧小平の指示だと思われる。中国の経済発展を進める上で、毒花どころか重要拠点になるとの判断だっただろう。
中国が飛躍的な経済発展を遂げて、上海をはじめ香港とほぼ同等の経済力を持つ都市も生まれてきた。(但し米ドル/香港ドルのスムーズな融通がきくのは香港しかない。)そうなると、メリットよりデメリット、香港は再度、毒花と見えてきたのではないか。たしかに言論の自由を保障された香港メディアや市民の民主主義的な伝統は、中国共産党のノーメンクラツーラにとっては、実に厄介な存在だ。

中国共産党政府は、2047年まで待てない、世界の工場・中国が動けば国際的にも多少のことは押しが効くと判断したのだろう。私は、この判断は間違っていると思う。おそらく、鄧小平が生きていれば、「国家安全法」を香港に押し付けることのリスクの大きさを強く認識しているだろう。第二次天安門事件での強硬策はあくまで、北京で行われた内政問題である。かなり批判も強かったが、国際社会から見れば、中国内の人権問題である。しかし、香港も中国内であるが、一国二制度であり、高度な自治の保障も国際的な約束事として周知されている。天安門と全く同列ではない。イギリスの最後の香港総督バッテンは、イギリスがこのまま香港を放っておくのは道義的にも間違っていると主張している。それは、(どういうカタチであれ)イギリスが取らねばならない責任であろうと思う。米国大統領閣下はパパ(イギリス)の代理として、これ幸いと乗り出してくるだろう。日本も巻き込まれかねない。

よって、中国政府がこの香港の「国家安全法」を全人代で可決することは、コロナ禍で国際社会を敵に回している現状から見れば、極めてリスクが高いと思われる。面子で押し通せば、新たな禍となるような気がする。すでに全人代が開かれている北京上空には易姓革命よろしく不吉な黒い雲がただよっているとか、いないとか…。

2020年5月25日月曜日

未咲輝塾再開/来塾生徒18人

いよいよ、塾も再開した。1年生がどんどんやってきて、13名が今日来てくれた。2・3年生も5名で、計18名。思った以上に来てくれて、実に嬉しい。数学のW先生などは、昼からずっと数学を教え続けていて、「…幸せです。」とのこと。新講師陣の笑顔がはじけていた。そりゃそうやなあと思う。4月からずっと、塾に生徒が来なかったのだから…。

ホント、この調子で行きたいものだ。学校の先生方も次々様子を見に来てくださった。私の役目は、社会科を教えるというより、生徒一人ひとりに声をかけること。実にいろいろな生徒がいるなあと思った次第。これからが楽しみである。

2020年5月24日日曜日

Selamat Hari Raya

ラマダンが明けた。マレーシアに未だ残っているF42の諸君にも、とりあえず、スラマッ・ハリラヤ。おそらく、例年の様な華やかなハリラヤではないだろうが…。
在マレーシア日本大使館のHPにあるマレーシア政府の6月19日までの規制を読むと、マスジットでの集団礼拝もできないように読み取れたのだが…。
https://www.my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_13052020.html

先日、F40Aの私クラスの中華系のJ君と連絡を取ったら、春節でマレーシアに帰国したまま、日本に戻れていない学生(J君もその1人)もいるようで、驚いた。せっかくなのでZOOMで久しぶりのHRをやろうという話になった。
私の未咲輝塾も、明日から三崎高校が完全再開するのだが、部活動は段階的に再開と言うことで、塾もそれにリンクするので、とりあえず2週間は、放課後から午後6時まで開塾することになった。短い開塾期間にはなるが、精いっぱいサポートしようと思う。

ハリラヤと共に、私の公営塾も新年(新年度)をなんとか迎えることになったわけだ。

習近平の国賓来日問題

http://blog.livedoor.jp/nappi
11/archives/5153117.html
先日、官房長官が延期となっている習近平の国賓としての来日について、回りくどい表現で「日本政府は、国賓としての来日をあきらめていない。(趣意)」と述べた。この報道へのネット民のコメントは反対一色だった。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020052200606&g=pol

外務省には、チャイナスクールと呼ばれる中国で語学研修を受けたグループがあって、親中派とは同義語ではないが、省内で大きな勢力を持っている。もちろんアメリカスクールもあって、この国賓問題の綱引きが行われているだろうと思う。中国は、金やハニートラップ工作がすこぶる上手いようで、政権や外務省、国会議員、マスコミの中に、そういう人々が多くいることは間違いない。

普通、このウィルス禍(様々な憶測が流れている)の責任問題、尖閣諸島への最近のちょっかい事件、ウィルス禍前に世界で医療機器を買い占め、儲けようとした悪どさ、あるいは他国にマスクを支援して感謝状を要求したようなあからさまなプロパガンダ、アメリカが中国企業を上場企業から追い出した件、WHOを巡る問題、香港問題、チベット問題、ウィグル問題…と、世界から総スカン(一部逆らえない国もあるけれど)の習近平を国賓で出迎えることは普通の感覚では考えられないと思われる。

政府によほどの平和を国是とする日本の国益を守るための深読みがあるのか?アメリカの(対中両面作戦としての)指示なのか?親中派政治家の保身が理由なのか?…全く分からないが、これを強引に進めると日本の信用問題にかかわるような危険性を感じるのは私だけではあるまい。

2020年5月23日土曜日

枇杷(びわ)の木は残った

うちの教職員住宅の前に、近くのご婦人が趣味でやっている菜園がある。その一番端に枇杷(びわ)の木が2本あって、先日から実がどんどんなっていた。ところが、どうもおかしい。朝になると、実が無くなっているようだ。その謎を解くため、写真を撮るようになった。誰が、いや何が実をとっているのか?見事に房ごととっている。うちの塾の講師の生物専門のS先生と話していたら、おそらくカラスであろうといくことになった。猿はこの辺にはいないそうだ。早朝、明るくなったらカラスはすぐ活動しだすので、夜に無くなるのではなく早朝ではないかというわけだ。とにかく、枇杷の実はほとんど無くなった。

今日、菜園の主が作業に来られていた。ちょう通院前で、この枇杷の話をしたら、「今年は実がならないねえと主人と話していたんですよ。去年は食べきれないほど実がなったのにねえ。」と残念そうだった。うーん、カラス恐るべしである。ところで、その後、毎度のことながら赤たまねぎをたくさん頂いた。妻が「こちらからは何も差し上げるのモノがないのに…。」と言うと、「(地域おこし協力隊・公営塾の講師として)三崎のために頑張っていただいてますから。」と言っていただけた。なんともありがたい言葉ではないか。
とにもかくにも、枇杷の木は残っている。来年もまた実をつけることは間違いない。

2020年5月22日金曜日

幕末維新の人物考3

https://bushoojapan.com/jphi
story/baku/2019/12/29/66290
幕末維新の人物考、最後は、私の好きな人物という個人的趣味の世界である。私が好きなのは、教養人で、やはり武士道というか「義に生きた人物」になる。

幕府の政治ステムはすでに綻びていたし、身分にとらわれず優秀な人材を抜擢していた雄藩が、それにとって代わるのは当然の帰結だったと思う。しかし長州は多分に尊王攘夷原理主義であったと思うし、薩摩はそもそも琉球との密貿易で儲け、さらに幕府(というか徳川将軍家)の対外貿易独占への反発、野心があった。両藩とも関ヶ原の負け組(薩摩は微妙だが…。)であり、そもそも幕府から見れば外様中の外様、仮想敵である。幕府に正義があるとは思えないが、薩長を始めとする雄藩に正義があるかといえば、これもまた微妙である。孝明天皇もまた「玉」であって絶対的正義とは言い難い。幕末維新時に、絶対的な正義はないと仮定したい。

で、あるとすれば、次に忠義の対象の相対的問題になってくる。
西郷は、島津斉彬公への想いであろう。大久保にはそんなに強い義の対象は見られない。西郷に自分の能力を比しながら上り詰めていったような感覚がある。島津久光に対しても面従腹背である。長州もわかりにくい。平気で藩の金に手を出し長州ファイブはイギリスに渡った。高杉も勝手に軍艦を買ったりしている。そうせい公への忠義という感覚はぶっ飛んでいるようだ。桂小五郎も逃げるのが上手い。討ち死にした松陰門下の筆頭・久坂玄瑞の方がよっぽどわかりやすい。土佐の坂本も中岡も脱藩している。ただ、坂本に関しては、倒幕と言うより、封建的身分制度の打破のために策を練っていた。もちろん個人的野心も旺盛ではあるが、そういう面は、師の勝海舟と同じだ。

正義とは言えないまでも幕府側で義に生きた人物は誰か?私は勝海舟の無血開城時の江戸市民を護るための策(船を用意し、市民の退路を確保しつつ、博徒に火を放たせるといういわば焦土作戦)は大局に立った捨て身の義の兵法だと思う。それを駿府の西郷にたった一人で告げに行った山岡鉄舟もまさに死を覚悟しており、江戸市民のための義そのものである。

だが、最も幕府に義をささげたのは、会津の松平容保であると私は思う。最も孝明天皇に愛され、頼られたた人物。二代将軍秀忠の庶子で、兄・三代将軍家光にも愛された保科正之を祖とする会津松平藩に養子として入った容保は、藩の「我が家には宗家と盛衰存亡を共にすべし」という義に生きた。京都守護職として新選組を使い、特に長州の恨みを買うことになる。徳川慶喜とは意見も合わなかったが、江戸への敗走を共にした。会津戦争で長州の復讐を受けたが、孝明天皇の容保を職務精励を称えた文書を持ちながら竹筒に入れたままで、表に出すこともなかった。したがって、自己保身の醜態を見せることがなかったわけだ。松平容保には私心がない。江戸市民に忠義をささげた海舟・鉄舟以上に、凄味がある。

よって、松平容保が最も義に生きた人物として、好きな人物No1となる。次点は勝海舟と山岡鉄舟かな。

2020年5月21日木曜日

幕末維新の人物考2

https://samurai-hi.com
/segodon-kinnki-14640
幕末維新で最も大胆な動きをしたのは誰か?これも実は難しい。とにかく尋常でない人物が無茶苦茶いるからだ。

まず、薩摩藩で見ると、西郷も凄いが、大久保の方がさらに凄い。なんといっても岩倉具視という極道貴族と組んで偽の錦の御旗を作ってしまった。偽勅諭も飛び交ったが、錦の御旗は最大のフェイクである。鳥羽伏見の戦い前の大久保は、まさにぶっ飛んでいる。

長州藩は、ぶっ飛んだ志士が多い。何と言っても高杉晋作。破天荒と言う語は彼のためにあるのではないか。そして密出国の長州ファイブ。中でも井上馨などは維新後も汚職をやりまくり、ぶっ飛んでいる。初代総理大臣の伊藤博文は英国公使館焼き討ち事件の犯人であるわけで、イランの(米国大使館人質事件の犯人だった)アフマデネジャド元大統領を笑えない。この2人、長州の危機に際してすぐにロンドンから帰国したあたりの決断も凄い。

土佐藩は、やはり坂本と中岡かな。坂本龍馬は勝海舟の下で当時の最高の技術操船を学び、亀山社中をつくり、紀州藩を相手に訴訟を起こしたり、やはりただモノではない。中岡も長州亡命した土佐勤王党で、薩長同盟での功績を坂本と同等に認められてもいいのではないかと思う。

幕府側では、勝海舟。旗本といっても元はたいしたことがないのに上り詰め、政府軍から江戸無血開城を勝ち取っている。勝のの使者として、駿府に一人向かった山岡鉄舟もぶっ飛んだ人だ。まさにサムライ。私は新選組があまり好きではない。京都でのテロルはまさに狂気。足を狙うという常識外れの剣法もぶっ飛んでいる。

と、思いつく人物は多いのだが、歴史を動かしたという大局で見れば、やはり大久保利通かと思う。後の治政家のクールなイメージと、全く違うわけだ。革命時は、ドロドロした策謀と野心が勝利を導くような気がする。

2020年5月20日水曜日

幕末維新の人物考1

https://www.pref.ibaraki.jp/
doboku/toshisei/koen/h30_
yoshinobu_portrait.html
司馬遼太郎の7冊を選んでいる時、ふと幕末維新の人物で、誰が最も影響を与えたか?最も大胆な動きをしたのは誰か?そして最も自分が好きな人物は誰か?などということを考えていた。今日はまず、最も影響を与えた人物について考察しようかと思う。

幕末維新の時代を見渡すと、およそ3つの時間軸で考えることができるように思う。これは完全に私論である。①ペリー来航から井伊直弼が打たれた桜田門外の変あたりまで。⓶幕府が大きく揺らぎ、長州が暴れ、第二次長州征伐=薩長同盟あたりまで。③小御所会議で、大政奉還の策が敗れ、戊辰戦争、薩長土肥の新政府成立まで。それぞれに最も影響を与えた人物を追ってみようと思う。

①では、私は裂公(徳川斉昭)かなと思う。御三家の中で尊王を家訓とし、水戸学を背景に、尊王に攘夷をくっつけた人物である。正室は有栖川家から。側室も多く、37人の子供を持ち、藩主や藩主の正室となった。大奥に最も嫌われた人物でもある。家来の藤田東湖らの力を得て、幕末の志士に多大な影響を与えた。彼がいなければ、桂小五郎も武市半平太も坂本龍馬も江藤新平も歴史に名をのことしたがどうか…。幕末の政治風土をつくったという点で功績は大きい。30歳まで部屋住みで水戸藩主になるまで時間がかかったことは、島津斉彬や井伊直弼、山内容堂らと同様で、面白い共通点である。
老中阿部正弘もそれまでの譜代による政治組織を破壊してしまったことも大きい。阿部が次点かなと思う。

⓶では、やはり西郷吉之助かと思う。長州は、かなりクレイジーで、吉田松陰門下は過激派そのものである。高杉晋作などはその最たる人物。だが、歴史を動かしたのは、その長州を活かした薩摩に軍配が上がる。その中心にあるのはやはり西郷である。西郷は清廉潔白な一面もあるし、月照と自殺しようとし生き残り、以後死に場所を求めていたような死人の一面もあるし、小御所会議では山内容堂を脅したり、倒幕を決意してからは江戸でもかなりの策謀をしている胆力もある。不思議な人だが、大人物であったことは間違いない。この時期の時点は多い。高杉晋作、坂本龍馬、中岡慎太郎、村田蔵六…。

③では、私は徳川慶喜を推す。水戸学に染まった慶喜が、たとえ偽物とはいえ、岩倉具視と大久保の策略・錦の御旗を見て、朝敵の汚名をきるべからず、戦うべからずと身を引いたことが凄い。様々な批判はあるが、彼が恭順したことで、日本は内戦の危機から脱し、英仏の代理戦争を回避できたことは間違いない。次点は、勝海舟、山岡鉄舟、大久保利通、岩倉具視といったところ。

トータルで最も影響を与えたのは誰か?私は、徳川慶喜だと思う。

2020年5月19日火曜日

WHO独立調査決議案支持国116

http://exchristian.blog80.fc2.c
om/blog-entry-200.html?sp
EUと豪州が提案したコロナウィルスを巡る独立調査を求める決議案への指示が加盟国の2/3を超えたようだ。
日本も、インド・韓国・アフリカの加盟47か国グループ、ロシア、インドネシア、マレーシア、サウジアラビア、イギリス、カナダとともに共同提案国になっているとロイターが伝えている。
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-who-australia-idJPKBN22U0YJ

この決議案に支持を決めたという116か国とはどこか?色々調べて、豪州の英文記事にたどりついた。ここに記されている国名を、地域別に分類してみたい。

1.アジア 日本、インド、韓国、インドネシア、マレーシア、サウジアラビア、バングラディシュ、ブータン、ヨルダン、カザフスタン、モルディブ、カタール、トルコ(13)

2.ヨーロッパ(EU)オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン(27)

3.ヨーロッパ(EU以外)ロシア、イギリス、アルバニア、ベラルーシ、アイスランド、モナコ、モンテネグロ、北マケドニア、ノルウェー、モルドバ、サンマリノ、ウクライナ(12)

4.北中南米 カナダ、ブラジル、チリ、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ガイアナ、メキシコ、パラグアイ、ペルー(12)

5.アフリカ (47)…AUは55か国。ジブチ、チュニジアの支持は絶対だが、8か国が支持していないことになる。それはどこかは現時点では不明。私の推測では、エチオピア、ジンバブエは支持していないと見ている。

6.オセアニア オーストラリア、ニュージーランド(2)

合計113か国で、残り3か国はどこかわからない。EU政府を数えている可能性もあるが、完全には分からなかった。さて、少し考察してみようと思う。アフリカが不透明なのは残念なのだが、他の地域について見てみると、①中央アジア諸国がカザフスタン以外見当たらない。⓶ASEAN諸国が意外に少ない。普段中国との対立が深い、フィリピン、ベトナムが支持していない。(おそらく投票では賛成に回る可能性が高いが…。)親中のカンボジアやラオスは反対に回るだろう。シンガポールは苦悶していることと思う。③スイスの永世中立国としての立場はわかるが、セルビアやボスニアヘルツェゴビナの名がないくらいで、珍しくヨーロッパが団結しているようだ。④アメリカは別の立場で考えているのだろうが、南米でアルゼンチンの名がない。パナマはだいぶ中国の力が浸透しているのだろうか。

台湾の参加は残念ながら見送られた。このことへの批判は大きいだろうと思う。反中国連合というほどではないが、最新の世界のパワーバランスを考える上で重要な資料になるかと思う。

2020年5月18日月曜日

ブックカバーチャレンジ考Ⅲ

司馬遼太郎の魅力は筆力である。読みやすいこと、説得力ある表現。やはりスーパースターであると思う。故に史実と創作の境目がわからなくなり、司馬史観に取り込まれてしまう危険性がある。「最後の将軍」などでは、徳川慶喜はボロンチョンに描かれている。山岡荘八の「徳川慶喜」とは180°違う。私は、ここは山岡荘八派である。そんなこんなも含めて、司馬遼太郎の7冊。但し親しんできたのは、幕末維新を舞台にした司馬遼作品である。戦国モノや「街道をゆく」シリーズや「この国のかたち」などは割愛した。

1.峠 長岡藩家老 河合継之助を描いた作品。なにより彼が藩の財産を全て新式のガトリング砲などに変えてしまうという危機管理下のリーダーシップが凄い。戊辰戦争で中立を貫こうとしながらも、土佐藩の岩村に阻まれる。この辺の新政府側のスタンスは、会津でも同様で、松平容保の悲劇に重なる。だが、結局、河合継之助は長岡の多くの民を救うどころか、危機に陥れたわけで、歴史物語としては美しいが、現実的にはとんでもないリーダーである。
2.花神 適塾の村田蔵六、のちの大村益次郎を描いた作品である。幕末維新の混乱の時代は、とんでもない奴が出てくるが、大村益次郎もその一人。洋式戦術の天才は桂小五郎によって見いだされ、長州征伐時に登場、その後の戊辰戦争でも大活躍する。江戸の上野戦争・彰義隊を1日で片づけるあたりは凄い。その後、日本陸軍の構想実現に向けて快刀乱麻の動きを見せる。これは後日、山縣有朋が全て実行に移すことだが、敵も多かった故に暗殺される。
3.竜馬が行く これはわざわざ解説する必要もない作品。第1巻さえ読破すれば、あとは最後までスイスイ読めると思う。
4.坂の上の雲 私は貧困に沈んでいた元武家の秋山好古と秋山真之の克己心が主題のように思う。今、愛媛にあってこの作品を読んでいてよかったと思っている。ただ、児玉源太郎を善玉、乃木希典を悪玉に書きすぎのきらいがある。正岡子規の話も良いがやはり第三の主人公でしかないように思う。
5.酔って候 タイトルになっている土佐の山内容堂の話は面白いが、小御所会議での醜態(西郷のおどしに屈した)は、やはり殿様であると思う。宇和島・伊達宗城の黒船(蒸気船)をつくる話も俊逸な短編集である。
6.世に棲む日日 吉田松陰と高杉晋作を描いた作品。吉田松陰は一言で言えば、超真面目な尊王過激派である。高杉晋作は、松陰のアジテーションに呼応し、同時に自己の欲望のまま「おもしろく」生きた人物で、彼らの「狂」が歴史を動かしたといえる。

7.翔ぶが如く 薩摩/西郷と大久保の物語で、西南戦争にまで及ぶ作品。ここでは、かなり桂小五郎=木戸孝允への批判が何度も出てくる。司馬遼は桂より西郷が好きなようだ。維新と言う革命後の西郷の存在感は一気に下がる。私心がないだけに困った存在だと言えよう。結局桐野利秋らに踊らされてしまう。長州も維新後とんでもない汚職し放題の輩が出るが、薩摩は敵を許さない義侠心が強く多くの人材を失い、また失わせている。

日本史の超重点区/幕末維新を学ぶために、司馬遼太郎を読むことを教え子諸君には勧めたい。だが、同時に山岡荘八や大佛次郎(の特に「天皇の世紀」)を読むこと。でないと司馬史観に取り込まれるよ。

2020年5月17日日曜日

ブックカバーチャレンジ考Ⅱ

Facebookで、ブックカバーチャレンジを7日間連続でやり終えた。Facebookは字数を考えてしまうし、扱いになれていないのでどうも苦手だ。私の主フィールドは、やはり十年間使い慣れたこのブロガーなのである。

さすがに7冊を選ぶとなると困惑する。少し次点と言うか佳作というか、7冊以外にも選びたかった本はまだまだありますよ、という文言も最後に記しておいたが、ピーター会のM先生のようにブックカバーチャレンジ2ndをすることはないと思う。最大の理由は、手元にない本が多いからである。

というわけで、このブログ上で、もう少しいい本の紹介をしようかなと思う。もし、好きな作家は?と聞かれたら、沢木耕太郎と答える。司馬遼太郎がそれに次ぐ。沢木耕太郎の7冊を挙げてみようか、と思う。

1.深夜特急 なんといってもこの旅行記である。バックパッカー世代のバイブルである。香港・マカオから最後のポルトガル/ロカ岬までのユーラシア大陸のバスの旅で、私が最も好きなのは、インド・ネパール編である。インドへのあこがれはこの本によって形成された。ただし、コルカタはアブナイところだと感じた。結局、北インドのツアーに申し込みながらも妻の交通事故で流れたままになっている。インドに行くには、歳をとりすぎたと思っている。

2.テロルの決算 数ある沢木のノンフィクションの中で最も好きな作品の一つ。1960年の社会党・浅沼委員長刺殺事件の犯人・山口二矢を追ったノンフィクション。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作でもある。沢木のノンフィクションは、報道のような客観的事実でもなく、主観的な文章でもない。沢木独自のノンフィクションの世界があって、それを簡潔に説明することはできない。ただ、ディテールにいたるまで計算されつくした文章で、こういう文章を私は理想としている。
3.バーボンストリート 沢木のエッセイ風のノンフィクションの中で最も好きな作品の一つ。井上陽水に電話で宮沢賢治の「雨にも負けず」の詞のことを聞かれ解説した後、陽水は「ワカンナイ」という曲を作る話がその中でも一番好きである。
4.人の砂漠 初期の沢木ののンフィクションの中で最も印象が強烈な作品。
5.危機の宰相 所得倍増のキャッチで有名な池田勇人を描いた作品。
6.一号線を北上せよ この一号線はベトナムの国道一号線。沢木の旅行記はやはりいい。
7.オリンピア~ナチスの森で 第二次世界大戦前夜のベルリンオリンピックを描いた作品。

沢木耕太郎の作品だけでも7つ選ぶのは大変だ。キャパに関するノンフィクション・シリーズがぶっ飛んでしまった。

2020年5月15日金曜日

続 第二の周恩来はいないのか。

https://twitter.com/FINN_Aqua/status/1253307992562266113
このところ、中国共産党の事を考えている。教師になった頃、中国近代史をだいぶ勉強した。文革から四人組の時代だった。私は右でも左でもないが、国共内戦で共産党が勝利したことは、国民党の腐敗、蒋介石のスタンスから、正義は中国共産党にありと考えてきた。(台湾は李登輝時代から蒋介石の亡霊は払拭されたと考えている。)中国共産党は、1949年の建国以来、「紅」(社会主義化)と専(資本主義的な修正主義化)を繰り返してきた。毛沢東の「紅」は大躍進や文革など、かなり失敗してきた。それをカバーしてきたのが責任感と人徳のある周恩来である。鄧小平は「専」の代表的人物で、2度も失脚しているが、毛、周亡き後、文革後の中国の指導者になった。周恩来と共にフランス留学していた鄧小平は、超現実主義者で「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」というコトバで有名だ。彼が実権を握ってからは、もっぱら「専」になる。

ところで、今日Facebookで紹介した本は「武器としての社会類型」である。私は世界史の授業の武器としてヨーロッパの「上:自由な個人 下:不自由な共同体」を使ってきた。このネタ本である。ここに、中国の社会類型が出てくる。ヨーロッパの全く逆の「上:不自由な共同体 下:自由な個人」なのである。これは、科挙という伝統があり、実力次第で権力を握る官僚が、不自由(地縁血縁で下級役人を任命するよう縛られ、また経済的にも援助を求められる。)で、しかも国家運営の責任を背負わされるという視点である。

私は、中国共産党の長征や国共内戦、建国初期などには、これまでの王朝や政府とは違うプロレタリア独裁というカタチだが、同様の社会類型であったように思う。しかし、鄧小平下の胡耀邦、趙紫陽の後に、「上:自由な個人 下:自由な個人」になったような気がしてならない。
鄧小平は、第二次天安門事件の時は「紅」化し、民主化を阻み、意見が違った胡耀邦、趙紫陽を失脚させた。このことの評価は実に難しいと私は思っている。その鄧小平の死後、つまり江沢民ー胡耀邦ー習近平の中国の高度経済成長時代に、社会類型が変化したことは間違いない。共産党が企業に入り込み、国家が資本主義経済化を推し進めた時代である。共産党の権力闘争は、イデオロギーではなく、幹部間の利権になったようだ。中南海は、周恩来がいた頃の国家運営の責任からくる不自由さも失せ、チームで国家運営する共同体性も失われているのではないだろうか。

私は中国ウォッチャーではないので、ここまでしか考察できない。これ以上の考察をしようとすれば、膨大な資料を調べる必要があるだろうと思う。
ただ、今中国が置かれている状況は、本来の「上:不自由な共同体 下:自由な個人」から「上:全てが自由な個人 下:ちょっと自由な個人」という、上が何をしても許される独裁状態にある事が根本原因だといえる。

フツーの民主主義国家からすれば理解不能なニュースが流れている。今回のパンデミクスの情報操作。マスクのプレゼントで感謝状を強要しようとするプロパガンダ。世界中の医療品を買い占めていたような報道もある。また武漢の調査を要求したオーストラリアへの牛肉禁輸の脅しなど、下(中国の国民)が困るだろうことを平気で行おうとするあたり、臨界点に達しているように思うのは私だけではあるまい。
…第二の周恩来はいないのか。

2020年5月14日木曜日

未咲輝塾のブルゾン届く。

昨夕、4月当初から取り組んできた未咲輝塾のブルゾンが届いた。5名の講師ともなれば、チームであるから、一体感を生むためのマネジメントである。
胸には、伊方町のキャラクター・サダンディーと伊方町地域おこし協力隊のロゴ。(サダンディの使用に関してはちゃんと町の担当者の了承を得ている。)
背には、佐田岬半島の地図と三崎の場所にコンパス。これがMisakiのiと重ねてある。ロゴは愛媛県立三崎高校 公営塾である。これは明朝体。愛媛=まじめなのである。
新講師のJ先生が元のデザインを発案し、皆であーでもない、こーでもないと意見を出し合ってできたブルゾン。ちょっと薄手なので洗濯するのは怖いなあという声もあった。まあ、自由に着用してもらえればいいが、ここぞと言うときに5人揃って着てみたいと思っている。

2020年5月13日水曜日

F42国費生に告ぐ~ 課題4

https://twitter.com/Diictodom/status/1173421793799036930
このところ、Facebookでブックカバーチャレンジをやっている。第4日目の今日は、「国家と対峙するイスラーム」について書いた。多民族国家・近代国家であるマレーシアにおいては、人定法の連邦憲法と神定法のシャリーアの二重構造の法体系がある。ムスリムにとっては、この辺のジレンマがあって、各州のウラマー(法学者)がファトワーを出している。

私がPBTで教えた最初の国費生(F36)に、マレーシアBOXというワークショップをしたことがある。マレーシアを表現するモノを考えてもらった。なかなか面白く、またよく考えてくれていたので感激した思い出がある。
この時、私のマレーシアBOXを紹介した。それが、ファトワーの文書だった。F36の先輩は、私のイスラム教を学ぼうとする姿勢に、えらく感激してくれたのを思い出す。さて、文化人類学的な課題として、この「マレーシアBOX」を課題4としたい。

課題4 マレーシアをモノで表現したい。日本に留学した際、日本人学生にあるいは他国の学生に「これがマレーシアです。」と言えるようなモノ(物体)。BOXの大きさは無限大とする。なぜ、そのモノを選んだか、詳しく説明し、小論文化すること。(字数制限なし。短くても可)

2020年5月12日火曜日

分散登校と塾の大掃除

大清掃後私の席から塾内を見渡す
月曜日から、三崎高校は分散登校になった。生徒を3年生と1年生1クラス、2年生と1年生1クラスに分け、隔日で午前中授業している。部活はまだ停止中なので、我が未咲輝塾も休塾中である。こんな中で、毎日研修を行っている。講師が日替わりで、みさこうDAYで行うイベントの模擬発表会を行っている。

正直なところ、じっと自分の教材研究だけをやっているのが限界であるからである。塾内で何かやってこうと考えた末のことだ。今日は、午前中に、大清掃も行った。掲示物も厳選して張替え、床掃除・机の乾拭き、黒板拭きと、みんなで体を動かして清掃するのもいいものだ。ずいぶんとすっきりした。
拡大できます
2か月前に、「三崎高校の玄関には愛媛県のキャラクター、”みきゃん”が置いてあるが、塾は伊方町がオーナーなので、伊方町のキャラクターであるサダンディーとちびダンディーを是非塾に置きたい。」と言ったらも地域振興課から頂けたのである。こういうちょっとしたことも、マネジメントの1つかと思っている。

2020年5月11日月曜日

パパイヤとナシレマ

愛機G1Xで、パパイヤをちょっと違う撮り方をしてみました。
先週だったか、大洲のスーパーで、フィリピン産のパパイヤを見つけた。かなり高価ではあったが、つい購入してしまった。少し熟させてから食したのだが、マレーシアで食べていたのと種類も違うし、あまり美味しくなかった。夫婦共々がっくりきたのだった。いつだったかドラゴンフルーツの白も食べてみたが、もう五つくらいだった。マレーシアは、まさにフルーツ天国だったなあ、とため息をついたのだった。

それに対して、今日の昼食は妻特製のナシレマで、小魚は少しマレーシアのとは違うが、サンバルソースはマレーシアから持って帰ってきた「ほんまもん」である。ナシレマは、やはり美味しい。ランチには最高である。

日本には、日本独自の美味しいもの(たとえば桜餅とか)もあたくさんあるが、ふと、パパイヤとかマンゴーとか、ドラゴンフルーツ(の赤)が食べたくなる。安くて、食感といい、味といい最高であった。これから、そう感じたらナシレマを妻につくってもらおうと思う。…サンバルソースの辛さでその欲望をごまかすしかない。(笑)

2020年5月10日日曜日

「要・急」清流・肱川の道の駅

この土日は、2日間とも天候が思わしくなかった。例によって大洲市まで「要・急」の買い出しに出かけたのだが、ちょっと寄り道しようかと言うことになったのだ。「清流の里ひじかわ」という道の駅まで足を延ばしたのだ。妻は、道の駅が大好きで、これで、近郊の道の駅をほぼ制覇したことになる。もちろん、野菜やら大阪の義姉と京都の息子夫婦に送る物品やら、いろいろ買い物をしたのだった。

この「清流の里ひじかわ」は実に面白い。主婦の店という地元のスーパーマーケットやコンビニを併設しているのである。肱川という町のマルシェなのである。
https://seiryuunosato-hijikawa.co.jp/

妻は結局、道の駅・コンビニ・主婦の店、それぞれで買い物をしていた。(笑)ちょっと有用なマスク(300円×2)やお弁当なんかも購入したのだ。妻は普段、あまり外に出ないので、こういう時にストレスを発散するらしい。それに付き合うのも私の重要な責務である。ちなみに、ここのオリジナルのアイスクリームは安くてうまかった。それもそのはず、清流・肱川を眺めながらなので、格別だ。この近くには、風の博物館や歌麿館なんていうのもあったのだが、まだ再開していないはずだし、これは「不要不急」であるので、またの機会としたのだった。愛媛県南予地域では、明日から分散登校で学校が始まり、閉められていた施設も開くことになっている。

2020年5月9日土曜日

ブックカバーチャレンジ考

https://note.com/m000g/n/n951b77bfd322
先日、2年生の塾生から「ブックカバーチャレンジ」を引き受けてくれませんか?というメッセージが、Facebookに来た。
私のFacebookは、塾と地域おこし協力隊の広報活動を行うためにあるようなものなので、更新はあまりしていない。「友達」として繋がっている人は、どんどん増えて100人くらいになったが…。

この「ブックカバーチャレンジ」というのは、読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きな本を1日1冊、7日間投稿する、という企画で、本来は表紙画像のみ、7日間連続で次のチャレンジャーを獲得するというものらしい。
安請け合いというか教育的配慮で引き受けたのだが、(悪意のない)チェーンメールに分類されるものだと思う。いろいろ調べてみると、本来のルールに煩わされることなく楽しんでいる方も多いらしい。特に連続7人の友人紹介は、読書家の友人が多い私でも、逡巡するところだ。楽しんでやってもらうのはいいが、ストレスになるようだと困る。で、私の分別として、適当に紹介することにした。
また、私にとって7冊の本の紹介は容易だが、Facebookの画像は大きいので、実際に撮影する必要がある。紹介したい本はたくさんあるが、手元にある本に限定されるわけだ。

…さて、明日からFacebookで7冊か。楽しみながら考えてみた。
現代国際理解協力事典(明石書店)からいこうかな。私の文章が少なくとも書籍として載っている唯一のものである。書籍の刊行は残念ながら愚息に先を越されてしまった。(某財団の留学資金を活用させていただいた関係で出版してもらっている。)本当は、私が哲学を志すことになった梅原武の「哲学の復興」(講談社現代新書)にしようと思っていたのだが、手元にないのである。
…こういうふうに楽しんでいただける友人に広く「ブックカバーチャレンジ」やってみませんかと勧めることでチェーンメール化を避けようと思う。あ、もうこれでいいかな?

2020年5月8日金曜日

「哲学と宗教全史」備忘録

https://information-station.xyz/3840.html 
諸子百家については、倫理の授業で、それなりに解説をしていたが、「哲学と宗教全史」を読んでいて、そうだったのかと膝を叩いた。諸子百家といえば春秋戦国時代であるが、それまでの周の時代、青銅器に文字を刻んだ「金文職人」と呼ばれる少数のインテリ・エリートが高給で雇われ、移動の自由を奪われていた。彼らは周の国力が衰えるとともに中国各地に分散した。諸侯に仕えて文書行政をしていた彼らの中から野心を抱いて自分の考えを書物にしたり、政治顧問になったりする輩が現れる、それが諸子百家である。なかでも戦国七雄の斉は、優秀な多くの学資を招き、アカデメイアのような盛況ぶりを見せていたそうな。荀子や兵家の孫臏、陰陽家の鄒衍、さらに孟子…。

この本の中で鄒衍の陰陽五行説とアリストテレスの4性質説が対比され、その共通点が指摘されている。これは、実に面白い。今日の画像は単純な対比だが、本書では表で詳細な対比がされている。

また、孟子の易姓革命論とルソーの社会契約論の対比も面白い。「一般意思」と「天命」の類似性。これも膝を打った。孟子は、こうしてみるとかなり過激な思想の持主で、井田(せいでん)制という一里(400m)四方の土地を9等分し、「井」の真ん中の土地を共有地とし、そこで収穫された米は税とし、他の8つの土地を8家族に分け与える制度を考え出した。著者によれば、「驚くほどに共産主義的」である。これは、唐で採用された均田制に大きな影響を与え、日本に渡って班田収授法、公地公民制へと繋がる。孟子が考えたこの井田制は、孟子没後ほぼ1000年で大宝律令としてよみがえったわけだ。

また支配者の哲学で会った儒家の存在、特に漢では国教扱いになるが、ローマ帝国のストア学派に類似性があるし、老荘の思想は、エピクロスと少々似ているという著者の感覚は私も同感である。

キリスト教がローマで布教を始めた頃の話も実に興味深い。当時のローマ支配階級は、ストア派哲学で、ギリシア神話に繋がる神々に対しては無神論に近かったようだ。一方、ローマの庶民には、2つの新興宗教が人気だった。ペルシャ生まれのミレトス教とエジプト伝来のイシス教である。
ミレトス教は太陽神で冬至に生まれ、夏至に最強となり、当時に死に復活する。冬至はミトレスの誕生日であり盛大に祝っていた。イエスの誕生日を12月25日としたのは、この影響らしいのだ。
またイシス教は、大地母神で我が子を抱き膝にのせていた像が人気だった。イエスを抱く聖母マリア像はこの影響らしい。
キリスト教の布教戦略は成功した。自分たちの信じる宗教の要素を含んでいたことで、ミレトス教徒やイシス教徒を改宗させることに成功したらしい。しかも、当時は寒冷化しており遊牧民の南下等でローマの治安は悪化しており、イエスの言葉を信じれば最後の審判で天国に行けるという教えは民衆の心に響いたとされている。

著者の出口氏の切り込む角度がいい。今までこのような本を見たことがない。

2020年5月7日木曜日

F42国費生に告ぐ~ 課題3

https://ameblo.jp/mindflame/entry-11980249755.html
地域政策学を専攻するF42国費生への課題3である。
テーマは「地産地消のメリットとデメリットについて」下のの資料は、わかりやすく書かれているが、学生が書く論文としては、デメリットがちょっと足りない。地域経済学といっても私が教えた総合科目の経済分野の応用である。もう少し、デメリットを深く考えて欲しいところ。
「今更聞けない地産地消のメリット・デメリット」
https://www.kaku-ichi.co.jp/media/business/local-production

これは比較的容易なテーマだと思う。いろいろな資料を探して、頑張って書いてみて欲しいな。

2020年5月6日水曜日

F42国費生に告ぐ~ 課題2

https://www.pinterest.jp/pin/368239707029489440/
F42国費生への課題2である。今回のパンデミクスで、米中関係は最も悪化している。G7も中国への批判を強めている。(元G8のロシアもかなり頭にきているようだ。仏は一部中国のプロパガンダ下にあるかも…。)課題その2は、国際関係学の課題。

①以下のNewsWeekの最新記事「米、世界のサプライチェーンから中国排除への取り組み加速=当局者」を読み、内容を200字程度で要約しなさい。
⓶マレーシア政府は、この動きに対してベトナムなどとともに、アメリカ側について反中国連合に参加するべきか否かを、自分でWEB上の様々な資料(英語でもマレー語でも可)を調べ、その理由と共に書きなさい。(字数は制限なし)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2020/05/post-93325.php

ヒント:私の授業で示した「マレーシア経済の現状と今後の展望」は日本語の資料としては、最も価値が高いと思う。
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2017/09/report_170907.pdf

国際関係学だが、経済を抜きには論じえない。頑張って挑戦してほしい。もちろん、正解なんてない。提出期限もなし。頑張れー。日本語を読み、語彙を調べ、日本語で表現する、今やるべきことはこれしかない。頑張れー。Semoga berjaya!

2020年5月5日火曜日

F42国費生に告ぐ~ 課題1

マレーシア時間の11:00から、ZOOMでF42の学生諸君とミーティングする機会があった。私も何度か公営塾の関係でZOOMを使っているので、(主催者ではなく)参加者として参加するのはなんとか可能だ。いろいろ毀誉褒貶(きよほうへん)のあるZOOMだけれど、実に有為であると思う。久しぶりに、みんなの顔を見て声を聞けて嬉しかった。

さて、F42の教え子たちは、まだマレーシアにあって、ひたすら待っているようだ。日本語の読解力や作文能力はかなり劣化していると思う。今回の主催者A君の留学先F大学のカリキュラムやシラバスを見たが、1年時の最初にやる科目がきっちりと設定されていて、9月から合流したとして、このままではついていけないかもしれないと思った。そこで、D大の私費生・L君にしているように、小論文指導をしていくことと提案した。

彼らは全員文系なので、社会科学なら何でもいい。とにかく日本語の文章を読んで、まとめて、自分の意見を書く機会を増やすべきだと思う。当然、添削をして返す予定だ。さて、まずは、このパンデミクスの経済に与える影響について考察してもらおう。

課題1は「このパンデミクスが与える経済的影響についての考察」である。読むべき記事は、「【2020年度版】アメリカ経済の最新状況 新型コロナ感染拡大が史上最長の好景気に及ぼす影響」である。
https://www.digima-japan.com/knowhow/united_states/13570.php
この記事を読んで、アメリカ、マレーシア、日本の経済のそれぞれの行方を考察すること。マレーシアや日本の経済については、この記事ではふれられていないので、自分で関連する事項を調べること。(英語でもマレー語の記事でも可)

ヒントは、FRB(アメリカの中央銀行:NYの金塊の話をしたよ)の金融政策をどうとらえるか。この金融政策の意味は大きい。総合科目の教科書や私のプリントを再読してほしいな。マレーシアにも日本にも大きな影響をあたるだけでなく、おそらく同様の金融政策を各国が行うと思う。また財政政策で日本は、1人10万円の給付を行うようだ。これは国債発行で賄われるが、同時に買いオペもしようとしている。これはどいう意図があるのかを考えて欲しい。マレーシアもどういう経済政策をとるのかを調べるのも重要だ。

マレーシアの将来を担うF42である。ちよっと課題としては難しいが、頑張って欲しい。提出期限はない。時間がかかってもいいし、途中まででもいい。どんどん送ってきて欲しい。課題は、これからも時間がる限り出していくので、これは無理と思ったら次の課題でもいいよ。
…『人間は自由の刑に処されている』(J・P・サルトル)

2020年5月4日月曜日

バラモン教 の反宗教改革

https://neelkamal.e
xblog.jp/22731077/
出口治明氏の「哲学と宗教全史」を読んでいて、非常に面白い学説が載っていたのでエントリーしておきたい。

ヒンドゥー教では、牛は聖獣である。シバ神が乗るナンディは有名(画像参照)だし、ヒンドゥー教徒は牛肉を食べない。
このことは、仏教やジャイナ教に対するバラモン教の反宗教改革的な動きに起因するらしい。(注:反宗教会改革とは、ルターやカルヴァンなどの宗教改革に対し、カトリックが対応を迫られて、アジアや南米など世界布教に転じたことを指す。)

仏教やジャイナ教が生まれた頃、ヒンドゥー教の前身であるバラモン教では、バラモンの権威に疑問符が付き始めていた。このころのインド都市部では、農民や商人のブルジョワジーが台頭していた。牛はそのころトラクターとしての価値が高かったが、バラモン教はその牛を生贄として多数欲した。神への生贄というテーゼにはなかなか逆らえない。
そこに不殺生を唱える仏教とジャイナ教が登場したので、ブルジョワジーたちは飛びついた。バラモンがやってきても「私は仏教徒故、殺生を禁じられており牛は渡せない」と言えるからである。
バラモン教は、都市を追われた形になり地方へ行く。そこで土着的な宗教観を取り入れて大衆化していく。これがバラモン教の反宗教改革で、やがてヒンドゥー教となり「牛を殺すな」という声の強さから牛を食べなくなり、やがて聖獣化したという学説が有力だという。

…ちょっと宗教社会学的で実に面白いではないか。仏教やジャイナ教の不殺生と言う教義がヒンドゥー教を形成せしめたわけだ。

私は、LIVE in EHIME やけん。

このGWは、大阪ナンバーで愛媛県内を走るのはどうも気がひける。たとえ「必要・急」の買い出しであっても、である。昨日、妻がネットで、”愛媛暮らしネットワーク”がデザインした「LIVE IN EHIME」というステッカーを発見した。実にありがたい。どこにも売っているという情報は無いし、とりあえずプリントアウトして、愛車のリアガラスに内側から貼ってみた。うーん、あまり目立たないが、とにかく貼っておくほうがいいと思う。

伊方町地域おこし協力隊でも、他府県ナンバーの隊員もいるので、Facebookに載せたら、早速5人の読者にシェアしていただいた。びっくりしたが、このステッカーみたいなプリントが多くの県民に認知されるとありがたい。(まあ、早く愛媛ナンバーに変えたらいいだけの話なのだが…。)
というわけで、いつもの大洲まで買い出しに出かけたのだった。往復100㎞走行である。(笑)

2020年5月3日日曜日

南スーダン五輪選手団 in 前橋

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57273870W0A320C2L60000/
南スーダンの五輪選手団は、昨年11月から前橋市に滞在しているそうだ。五輪の延期が決定した後も、予定通り7月まで当地で練習を続けている。母国には陸上競技の施設もないそうで、早めに来たらしい。前橋市は、ふるさと納税で得た資金で彼を応援しており、なかなかいい話だと私は思う。
https://www.afpbb.com/articles/-/3280913?cx_part=common_focus

パンデミクスの状況や、中国共産党のプロパガンダや、国内感染者になぜか外国人が多いという指摘とか、韓国のあいかわらずの駄々とか、殺伐とした話題が多い中、こういう話は実に心温まる。

彼らは、もちろん地元の人々と交流をしている。子供達とも共に練習もしたそうだ。男子1500mに出場するグエム・アブラハム選手は、当然ながら日本の歓迎ぶりに喜びを隠せない。8月以降のことは、母国の五輪当局や日本政府など関係者で話し合って決めるらしいが、(金銭的な問題はあるだろうが)私などは、できればさらにいて欲しいと思う。

彼は言う。「今回の延期は小さなこぶにすぎない。」
…いいな。この言葉。アフリカでは、様々なトラブルや苦難は日常の事であり、大きな気持ちで乗り越えていく。

2020年5月2日土曜日

寂しいGW 三崎の三景

拡大できます。
黄金色ではないGW。大阪ナンバーでうろうろするのも何だし、運動不足なので妻と港の方に散歩に出かけた。5月に入ってだいぶ暖かかくなって汗ばむ陽気だ。もうユニクロのヒートテックとはおさらばにしょうと思ったのだった。

さて、三崎港ではちょうど佐賀関からのフェリーが着岸するところだった。駐車場には一台も車がいない。よく見ると、船内にも一台もいない。船首の出口が見える。極めてレアな写真を撮らせてもらった。(上の写真参照)
フェリー乗り場に隣接する「はなはな」の工事もかなり進んでいた。旧「はなはな」(お土産屋さん)には、しらす食堂の店が営業していた。はなはな自体が大きくなって、レストランなども入ってくるらしい。開店間近である。もちろん客足はほとんどない。

寂しいGWである。緊急事態宣言で、当然ではあるが…。クジラ塚を探していたら神社につながる陸橋の壁面に、可愛いピンクの花が植えられているのに妻が気づいた。細かな地元の人々の配慮なのだろう。観光客は来ないが、最善をつくす…。三崎の町の「真面目愛媛」に改めて感じ入ったのだった。
拡大できます
…熊本ナンバーのトラックが3台ほどフェリーのほうへ走っていった。フェリーのスタッフの笑顔を思い浮かべた。

2020年5月1日金曜日

「哲学と宗教全史」を読む。

どこかのWEB記事で、出口治明氏(立命館アジア太平洋大学学長)の「哲学と宗教全史」の事が出ていて、書店で実際に手に取ってみて、おお、いいなということで購入した。(長くマレーシアにいたので、こういう本の買い方は実に久しぶりである。笑)

この本の書評を書くにはまだ早いのだけれど、高校の倫理の担当者には超お勧めである。理由は、意外な話がたくさん出てくるので、ネタ本として極めて有為なのだ。

たとえば、哲学から派生した自然科学が現在どこまで真理に迫っているか、という話。普通、このような話は哲学の本には出てこない。宇宙を構成する物質の組成につては数式の形で解明されていて、約5%が我々の知っている水素や酸素といった元素、約70%がダークエネルギー、約25%がダークマターだそうだ。
脳科学の分野では、人間の脳の働きも、無意識の部分が意思決定のほとんどを担っているらしいことが分かっている。「水を飲みたい」という意思決定は、無意識の部分でなされ、2方向に信号が伝達される。0.1秒くらいで「水が飲みたい」という意識が生まれ、0.3秒くらいで手が動く。この0.2秒ほどのタイムラグがあるために、人間は自分の意志で水を飲んだと錯覚しているとのこと。人間の脳の中にも無意識と言うダークエネルギーとダークマターがあるのだ。
要するに発達してきた自然科学は万能ではないというわけで、哲学や宗教の存在を否定できないということに結びつくのである。

今はまだアリストテレスの話が終わった時点だが、私のこの本の評価はかなり高い。この全く黄金色でないGWの間で精読しようと思っている。