2016年2月29日月曜日

ジンバブエ・ムガベのお誕生日会

日経の国際面に、またジンバブエ・ムガベ大統領の愚行が報道されていた。干ばつや食糧難に苛まれる国民をよそに、92歳のお誕生会が盛大に開かれたらしい。このパーティーでは、アフリカ大陸のカタチや国内の世界遺産・グレートジンバブエのカタチをした巨大なケーキが登場したという。このお誕生日会の開催費用は80万ドル(9100万円)。
…全くアホな話である。まさか、昨夏設立された大統領夫妻が経営するアイスクリームとチョコレートの会社がケーキをつくったわけじゃないよな。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/22/zimbabwe-mugabe-ice-cream_n_8024514.html

一方、今日の日経に載っていた経済記事。ナイジェリアの中心都市・ラゴスに、日本の(高架をゴムタイヤで走るゆりかもめのような)交通システムを輸出する計画があるらしい。JICA調査団が、渋滞の激しいラゴス島とビクトリア島を結ぶべく調査を開始するとのこと。車両の導入、線路の敷設、信号システム、さらにこれらの施設の維持管理など一括で、1000億円ほどのビジネスになるらしい。
…これはなかなか面白いビジネスのハナシである。アフリカの大都市の渋滞はかなりのもので、2003年のケニア・ナイロビでもなかなかホテルに帰りつかなかった。その対策らしい。日本方式をまるまる輸出というのがいい。ガバナンスなどの面で日本式がアフリカの地に根付いたりしたら、凄いんじゃないかと、大いに期待されるわけで…。

2016年2月28日日曜日

リビアに掲げられたカタール国旗

http://kaigai-matome.net/archives/35550646.html
毎日の国際面で、アラブの春から5年を経て「揺れる中東」という連載が続いている。今日は、意外な話が載っていたのでエントリーしておきたい。

2011年8月24日、リビアの首都トリポリにあるカダフィ大佐の居住区前に、カタール国旗が掲げられた。アラブの春がリビアにも起こり、反カダフィ派は半年におよぶ内戦の末、政権の中枢を制圧した。異国の空に翻った旗は、その「影の主役」を如実に表していた。
カタールは、NATO主導のリビア軍事介入に際し、アラブ連盟内で国連決議を支持するよう働きかけ、空爆にも真っ先に参加した。反カダフィ派に大量の武器を供与、軍特殊部隊も送った。カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは連日反カダフィ派の姿を世界に発信した。

そもそもカタールの首長家は、湾岸諸国に挑発的態度を取るカダフィを嫌っており、2009年のアラブ首脳会議で、当時のサウジ国王を「英国製で米国に守られている。」と侮辱、議長国だったカタールのメンツも潰された。エジプトやサウジが混乱していた11年春、カタールは国威発揚の一環として外交に力をいれ、レバノンやイエメンで次々と調停役を果たし、名声を高めた。リビアへの介入はその延長戦上にある。

(アラブの春を、イスラム勢力の権力奪取というカタチで応援するという首長国らしい外交方針は明確だった。)しかし、エジプトで支援したムスリム同胞団、さらにシリアのアサド政権と戦うイスラム武装勢力を支援したもののうまくいかなかった。「リビアもシリアも袋小路に入った。もはやカタールの手に負える状況ではない。」(エジプトのシンクタンク・アハラム政治戦略研究所のハッサン・アブタレブ顧問)ということだ。

…アラブの春から5年。ムバラクやカダフィが倒されたのは衝撃だった。問題は、現実的な後継政権を設定できないまま独裁政権を打倒したことである。今のところ、ただただ造反有理として破壊行為が行われただけにすぎない。この混迷を収めるのは、かなり難しい。欧米的民主主義も、ISのカリフ制も。結局その中間的な政権による国民国家が再建されることになるのだろうか。

How many times must the cannon balls fly before they're forever banned?
How many years can some people exist before they're allowed to be free?
How many ears must one man have before he can hear people cry?
How many deaths will it take till he knows that too many people have died?

…それは、ボブ・ディランの言うように”風の中”にあるのだろうか。

2016年2月27日土曜日

京田辺シュタイナー学校に興味

もう一週間くらい前になるだろうか。あるTV番組でフリースクールの現状についての報道があった。その時、NPO法人京田辺シュタイナー学校の存在を知った。私は昔、京田辺市(当時は田辺町)に住んでいたことがある。松井山手の方に、シュタイナー教育を行う幼稚園があるという話を聞いたことがあったので、その幼稚園が発展したのかと思っていたが、一貫教育を行うこの学校は同志社大学のそばに新しく作られたものであった。

シュタイナー教育については、妻が昔々(ほんと80年代前半くらいだ。)、「ミュンヘンの小学生」(子安美知子著)という新書を読んでいて、かなり興味を示していた。前述の幼稚園に息子を入れようかと本気で考えていたようだ。私の方は、シュタイナー教育は、幼児教育や義務教育の話なのでそんなに魅力は感じなかった。

だが、今回は大いに興味が沸いた。なぜなら、この京田辺シュタイナー学校、ユネスコスクールに2010年に認定されているのだ。(今日の画像参照)NPOが設立したフリースクールでは日本で初めての認定らしい。俄然興味が沸いた。

しかも、この学校、高等部まであるのだ。NPO法人が運営しているので教育基本法で認められた学校ではない。小中学生は、それぞれ地元の公立校に籍を置いている。高等部は、11年生(高2にあたる)から12年生で、高卒認定試験を受けるらしい。順調に行けば12年生の11月で高卒資格を得れるので、大学受験が可能になる。高等部でどんなシュタイナー教育の学びが行われているのか、ものすごく興味がわいたのだ。

HPだけでは満足できず、ちょっと古い(2006年発行)の「小学生と思春期のためのシュタイナー教育~7歳から18歳、12年間一貫教育」(NPO法人京田辺シュタイナー学校/学研)をアマゾンで取り寄せて一読してみた。ある程度高等部でのカリキュラムの骨子がわかった。新しい紹介本もあるようなので学校から直接手に入れてもいいかなと思った次第。(古い本には、当たり前だが、まだユネスコスクールとしての実践が詳しくは書かれていない。)

…意外な発見であった。シュタイナー教育について少しばかり研究していきたいと思う。<京田辺シュタイナー学校> http://ktsg.jp/

2016年2月26日金曜日

アフリカの風に吹かれてⅠ

今、何冊本を併読しているのだろう。よくわからなくなってきた。特に通勤時は入試の仕事で疲れで爆睡しているのでなかなか読書が進まない。今日は、そんな中の一冊を、読んでいて気になった箇所だけでもエントリーしようと思う。先日、ワンフェスのAMDAブースで購入した「アフリカの風に吹かれて~途上国支援の泣き笑いの日々」(藤沢伸子著/原書房:12年7月20日発行)である。スーダン、南スーダン、ザンビア、ジブチ、シエラレオネと体験談が続くのだが、やっとザンビアに突入したくらいである。

著者はオランダのハーグにあるISS(社会学大学院大学)で地域開発学を学んでいた。そこで知り合ったスーダン人のアフネッドが、メッカに巡礼した後再会した。その時の彼のセリフが凄い。「お前がイスラム教徒じゃないのが残念だな。」何故と聞くと、「この世の真理が分かっていないのと一緒だ。」と答えたらしい。…うーん、なるほど、こういう感覚をムスリムは持っているのだということを初めて本で読んだ。

著者は女性なので、意外なハナシも出てくる。「同じ(途上国支援の)仕事をしている独身女子がみんな、年齢とともに保守的になる。長らくアフリカで働いた人が、東南アジアの仕事に宗旨替えする。たしかにアジアの国々のほうが物価は安いし、食事も美味しく、比較的治安も良い。土地の文化も日本人に馴染みやすく人々の気性も穏やかだ。なによりも日本に近い。」…なるほど。私はアジアにはあまり属性を感じないので、そういうものかな、と思うのだが…。やっぱり男だからかなのかと思ったりする。

南スーダンのNGOのパーティーでケニア人女性のビクトリアの吐いたセリフも凄い。「欧米人が私たちアフリカ人に言うのは、いつも同じで、民主主義、ガバナンスの透明性、経済発展。でも彼らの私たちへの態度のどこが民主的だっていうのよ。彼らが押し付けてくるガバナンスのどこに透明性があるっていうの?経済発展なんて言いながら、私たちの資源をこれまで散々搾取してきたじゃないの。」海外からの途上国援助に潜む偽善性を感じながら仕事を続けている開発援助ワーカーは結構多い。とりわけ優秀な人材が多いケニア人のプライドからか、長年援助現場を渡り歩いたシニシズム(冷笑主義)か。…私は、ケニアでもブルキナでも、現地のワーカーと会った経験もあるけれど、大体JICAや日本のNGO絡みなので、もう少し穏やかな気がする。欧米と日本のスタンスは、同じ先進国でありながら少し違う気がするのだ。

南スーダン・ヌエールの人々の呪術の話。社会的に罪を犯した疑惑のある人が、有罪か無罪かを判断する際に黒魔術が使われることもある。まずその人物に一頭の牛の周りを裸で踊らせ、その後、牛の首をはねる。牛がその場で死ねば有罪、牛が即座に死なず走り出せば無罪と判断するそうだ。法律に則った裁判も一応あるようだが、人々の黒魔術への依存度は高いそうだ。…こういうハナシはやはり興味深い。…と、今日はここまで。そうそう、タイトルは、朝日新聞もボブ・ディランも関係はないようだ。

2016年2月25日木曜日

忙中 猫まみれ展に行きたい。

特別選抜入試の関係で、採点やら点検やら毎日忙しい。かなりクタクタである。この土日はゆっくりしたいところだが、病院通いと同窓会が控えている。3月1日は卒業式と合格発表。3日からまた一般入試の受付が始まる。それが終わったら、次年度の準備で多忙になりそうだ。先日の日曜出勤の代休さえ今年度中にとれるかどうか…。

というわけで、こういう時はアルファー波でいきたい。今日は国公立の前期試験の日で、昨晩も小論文の指導をした受験生2人に「檄」をメールしておいた。「アルファー波で行きます。」という返信があったりして、私の気持ちが届いて嬉しい。こっちもアルファー波で前向きにいきたい。なんとか時間をつくって妻と神戸に行こうと計画しているのだ。

2月22日は猫の日だったのだそうだ。昨年の黒猫チューチューの一件以来、私もかなり猫が好きになった。兵庫の神戸ゆかりの美術館で、「猫まみれ展」というのが開催されているらしい。凄いネーミング。なかなか面白そうではないか。

2016年2月24日水曜日

日経 不透明感増す中国経済

https://jcvisa.info/li_keqiang_index
日経の経済教室では、昨日から「不透明感増す中国経済」と題して中国経済の考察が行われている。今日は、巌善平(げん・ぜんへい)同志社大学教授の「中高速成長の可能性なお」という、中国経済の可能性を説いたものであった。その内容は概して次のようなものである。

中国政府は、状況変化(経済成長の減速)を「新常態」(ニューノーマル)ととらえ、制度改革やイノベーションにより持続的成長の実現に自信をもっているようである。五中全会で「第13次五ヵ年計画」の大枠が決定された。20年のGDPおよび1人あたりの所得を倍増する目標(年平均実質経済成長率6.5%以上)が示された。米の利上げ、原油価格暴落、日欧の経済失速などのグローバルな問題だけでなく、国内的には、労働人口が減少、不動産バブルの崩壊、人民元安などの問題も抱えている。

中国の1人当たりのGDPは15年に約$8000に達した。世銀が定義した中所得国の上位層に属する。高所得国の入口は$12000で、大きな距離がある。20世紀後半以後に中所得国から高所得国入りした日本や韓国は非常に稀なケースで、中南米諸国のように中所得国の罠に陥る場合の方がはるかに多い。

ここで、現在の中国経済の構造変化を見てみると、第一に、就業人口では99年、GDPでは13年に第三次産業が第二次産業を上回った。第二に、15歳~64歳人口比率の上昇により経済成長が促されるという人口ボーナスは、早くも「人口オーナス」(重荷)に変化した。第三に、農村から無尽蔵に供給された安価な労働力は、21世紀に入って増加速度を落とし、中国経済は労働力の供給が一巡する「ルイスの転換点」を通過した。第四に、都市と農村間の経済格差が所得水準の向上とともに、拡大→横ばい→縮小という「クズネッツの逆U字型」を示している。所得格差は09年の3.33倍をピークに下がり、14年には2.93倍になった。ジニ係数も、08年の0.491をピークに、14年には0.469に低下した。

中国経済の難問としては、第一にリーマンショック後、最終消費・家計消費のGDP比が下がり、投資主導の成長モデルが形成され、鉄鋼・セメントなどの生産能力が過剰となっていること。第二に、暮らす都市の戸籍を取得できずにいる農民工の存在は大きい。GDPに占める非農業部門は9割もある。だが、非農業部門就業者は全人口比7割、都市部の人口は5割(その2/3は農民工)である。この農民工への戸籍差別のため、都市化が遅れ、労働資源の有効利用や家計消費の拡大を大きな負の影響を与えている。第三に、所得格差は縮小してきてはいるが、地域間、階層間、都市と農村の格差の絶対的水準は依然大きい。第四に金融、電力、石油、鉄道、通信などの国有企業の存在が、大きな負担になっている。

5中全会では、これらの問題を踏まえ、1:安い労働を武器とした成長モデルからの脱皮。2:高速鉄道・原子力産業・造船・航空宇宙などを支援、鉄鋼やセメントはAIIBの支援で消化する。3:北京・上海などのメガ都市以外で戸籍の転出入を自由化する。4:商業・サービス税を廃止し、付加価値税を導入して第3次産業の成長を促進。などの政策をうつことが決定された。潜在的可能性は十分である、というのが、巌氏の立場だ。

2016年2月23日火曜日

毎日 火論 「ジョン・レノンの髪」

毎日新聞の「火論」が興味深い話を紹介していた。1966年サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地で、ビートルズ最後の公式公演が行われた。以後、ビートルズは、こういうLIVE活動を停止する。ジョンは、帰国するや映画に出演する。それが、英題「HOW I WON THE WAR」(いかにして戦争に勝ったか)である。邦題は「ジョンレノンの僕の戦争」(日本ではDVDは発売されているが、劇場公開されず)というらしい。WWⅡの英陸軍部隊のトンチンカンな指揮官を主人公に戦争の不条理と愚かしさをこき下ろす、いわゆるブラックコメディーである。

脇役のジョンは労働者階級の一兵卒。上官には愛想よくもするが、癖のある辛辣な皮肉屋で、野戦で追撃砲弾を受け「予想していた」と落命する。14年後にニューヨークで銃撃に倒れた悲運を思うとあまりに痛ましい。この映画で、劇中ジョンがかけていた庶民的な丸いメガネは、その後の彼のイメージを作ったし、作品にみなぎる戦争への嫌悪は、彼の表現や主張と重なる。この映画撮影中に「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を書き、撮影後スタジオで結実させる。これ以後、LIVEで演奏できない曲が次々と生み出されるわけだ。またこの映画撮影終了直後にオノ・ヨーコに出会っている。いうなれば、ジョンにとって大きな転機となった映画出演だったといっていい。この映画に出演するために、(LIVE用の)マッシュルーム・カットを切った。その髪の毛が、米国で競売にかけられた、というハナシだ。ちなみに髪の毛は$35000(約394万円)で落札されたらしい。

…恥ずかしながら、私はこの映画の存在を知らなかった。こりゃあ、暇なときに妻といっしょに見なければと思う。

2016年2月22日月曜日

ロシアのキジ島へ行きたい、と思う

http://tabit.jp/archives/788
先日、あるTV番組でフィンランドの北極圏の小さな町で暮らす日本人男性の紹介がされていた。なかなか面白かったのだが、彼がフィンランドに来た理由が面白い。そもそもログハウスをつくる仕事をしていた彼は、ロシアのキジ島の木造教会を見たくて、ロシアを訪問。共に旅していたロシア人たちがフィンランドへ行くというので、いっしょに来たのだという。そこではからずも定住することになったのだという。

キジ島のことは、妻が知っていて、絶賛モノだという。で、調べてみた。ペテルブルグから夜行寝台でペトロザヴォーツクへ。そこから夏はフェリー、冬はホバークラフトでキジ島へ渡るらしい。帰りも夜行寝台。およそ3時間ぐらい、キジ島の木造教会群を満喫できるとか。ただし、内部には入れないらしい。ロシア正教会内部は、オドロオドロしていて、私は嫌いではないのだが…。

とにもかくにも、大いに行きたくなった。妻はやたら、チェコ、チェコと言っている。昨夏のポーランド以来、東欧ファンになってしまったようだ。とはいえ、我が家にそんな余裕はないわけで…今のところ夢物語である。(笑)ヨーロッパは、基本的に鉄道で繋がっているので、安い航空券でどっかについた後、なんとかなるのだが…。

これまで、海外に行くには、まず授業で役立つことをメインに行き先を考えてきた。その現役生活もあと2年。そろそろ、自分や妻の楽しみがメインになるのかもしれない。特別選抜入試の当日で、無茶苦茶忙しい日だったからこそか、そんなことを考えていた次第。

2016年2月21日日曜日

ウルグアイのムヒカ氏の叡智

昨夜のTV番組で、ウルグアイの特集をしていた。ラプラタ川の巨大なエスチュアリー(三角江)をアルゼンチンからフェリーで渡り入国するところから始まった。実に面白かった。中でも最後に紹介されたムヒカ前大統領の話に感銘を受けた。

ムヒカ氏は、大統領時代、貧困層に住宅を建設した。しかし条件はその製作に長時間、関わること。ただのバラマキではない。貧困層は住宅建設の中で自信を取り戻していく。貧困層を40%から10%にまで減少させることに成功したのだという。本人も極めて清貧な人物である。

2012年6月に開催されたリオ会議(Rio+20)でも、素晴らしい演説をしている。これが、絵本になっていることを知った。打村明氏のWEBページには、ムヒカ大統領のスピーチの和訳が載っている。衝撃だったのは、小国ウルグアイの大統領のスピーチは最後で、ホールにはほとんど誰もいなかったことである。是非とも以下のWEBページで全文を読んでいただきたい。

<ムヒカ大統領のスピーチ> 訳:打村明氏
http://hana.bi/2012/07/mujica-speech-nihongo/

…今世界が直面している”持続可能な開発”ということについて、明確な意見が表明されている。凄いスピーチである。日本の外務省のRio+20のHPと対比して見ると、いかにこの小国の大統領の叡智が凄いか明らかになると思う。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol91/

2016年2月20日土曜日

インティファーダを知らない子供達

第1次インティファーダ http://matome.naver.jp/odai/2140616000677370801/2140616561380816203
先日、今夏オリンピックが開かれるリオの治安についてのTV番組を見た。少年法に守られた少年(ほとんど罪に問われない)によるひったくりなどの犯罪が多発しているらしい。中には、携帯電話を盗むために殺人まで起こした事件もあったという。こんなんで、オリンピックは大丈夫なのか、というわけだ。

少年犯罪といえば、イスラエルにおける少年によるナイフなどによるテロの多発は全く治まっていないようである。鍼灸院の帰りに妻とそんな話になった。「オリーブ山便り」をよくチェックしている妻によると14歳くらいの少女が、台所用のナイフで襲ってくるのだ。軍の兵士や警備員が、これらのテロリストに発砲することは(イスラエルでは)当然かもしれないが、銃の携行を申請し認められている民間人もこのようなテロにあたっては、発砲を認められているそうだ。(ちなみに、イスラエルの刑法では死刑はない。)旧市街のダマスカス門は、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区とのバスターミナルがある場所だが、ここでテロが頻発して、今や人気もなく寂れているのだ、という。(このダマスカス門は凄く賑やかなトコロだったので衝撃的な話だ。)

で、私も久しぶりに「オリーブ山便り」にアクセスしてみた。悲惨なニュースが多い中、以外にイスラエル政府は、パレスチナ自治区への雇用拡大政策を考えているようだ。同時に、(パレスチナ人の多い)東エルサレムとの壁を構築するつもりでもあるらしい。だいぶ遡って読んでいると、今回の少年・少女によるテロ、ヨルダン川西岸のヘブロンの近くの村の子供たちが異常に多いらしい。ヘブロンといえば、アブラハムやサラの墓所があるところだ。またテロリストの子供たちの家庭は、貧困に喘いでいるわけではないらしい。彼らはインティファーダを知らない世代だ。パレスチナ側のメディアなどでは英雄視されており、将来への閉塞感と英雄願望から自殺願望と混ざって行われているのではないか、という心理学者のコメントなども書かれている。リオの少年たちとは、かなり状況が違うわけだ。読者の皆さんには、是非とも「オリーブ山便り」を一度覗いて欲しい。

とても、イスラエルの少年たちのテロリズムについて語る知識も現状認識もない私としては、日本ではほとんど報道されないこの問題について「オリーブ山便り」をたよりに、このブログにエントリーするくらいしかできないと思う次第。

オリーブ山便り:http://mtolive.blog.fc2.com/

2016年2月19日金曜日

ローマ法王に叱られたトランプ氏

全米カトリック教徒の分布 http://gigazine.net/news/20070710_map_of_religion_usa/
毎日の夕刊に、ローマ法王がトランプ氏を批判したという記事が載っていた。キューバ・メキシコ歴訪の帰路、特別機中で記者団の質問に答えたものらしい。メキシコとの国境沿いに2500kmの壁を建設し、1100万人の不法移民を国外追放したいと、トランプ氏が表明。これに対し、記者から「米国のカトリック信徒はこのような人物に投票できるか。」という質問が出た。法王は、「投票するかしないか、どう助言するかという問いについては、私は関わらない。」としながらも、「どこにであれ、壁を作ることだけ考え、橋を作ろうとしない人物はキリスト教徒ではない。」「そのようなことを言ったのであれば、その男性はキリスト教徒ではない。」と繰り返したという。
これにトランプ氏は「宗教指導者が個人の信仰を疑問視するのはみっともない。」と法王を非難。

…少し調べてみたら、トランプ氏の宗教は長老派教会らしい。だから、ローマカトリックの法王にキリスト教徒ではないと言われても、たいした話ではない。だが、意外なことに、米国で、宗派として見た場合、最も多いのはカトリックである。(バブティストやメソジスト、長老派、会衆派、英国教会など多数のプロテスタントは総数では米国の主流であることは間違いない。ただ、ピスパニックの増加=カトリックの増加であるというのも事実である。)人口においてもプロテスタントの白人(WASP)優位の米国を志向するトランプ氏からすれば、ピスパニックの背後に法王の存在を見ているはずだ。と、冷静に分析できないこともない。共和党は、党是から見て、プロテスタントが多いはずだ。共和党の急進派の茶会は、トランプ氏を推しているわけではないが、ローマ法王に批判されたという事実は悪い影響は与えないだろうと思われる。ただし、カトリックの多い州では大きなマイナスになる可能性もある。(本日の画像参照)

…記事で意外に面白いなと思ったのは、「米国のカトリック信徒はこのような人物に投票できるか。」という記者の問いである。「投票できるか?」という問いかけは、(トランプ氏に投票することを)神が許すか?という問いである。だから、法王はこれに「私(神)は関わらない。」と明白な言質を与えなかったわけだ。とはいえ、トランプ氏をキリスト教徒ではない、と明言したわけで、もしカトリックだったら破門扱いであるといえる。昔だったらカノッサの屈辱モノなのである。

…ローマカトリックの信徒における法王の言質は絶対的である。カトリック信徒にとっては、聖霊そのものだからだ。よくよく考えてみると、トランプ氏は、聖霊、いや神まで敵に回したわけだ。だが、カルヴァンの流れを汲む長老派教会の徒である彼からすれば、どーってことはない。ケンカ相手としては大いに上等、くらいの話であるはずだ。

…さてさて、神の祝福は、トランプ氏に与えられるのだろうか。私は、長老派の予定調和説的な差別感を好まないので、与えられない方に「いいね!」かな。

2016年2月18日木曜日

新共通テスト 世界史を解く。


日経の朝刊に、ポスト・センター試験ともいうべき、新共通テストのマークシート式問題が載っていた。なかなか興味深かったので、文部科学省にアクセスして、世界史の問題(たたき台)をエントリーしてみた。日経に載っていたのは、このGDPのグラフと問1まで。

A地域が中国であることは、そんなに難しいとは思わない。3と5は中国に関するものだとすぐわかるが、問題は、すべて選べなので、これ以外にもあるかもしれないと、どうしても考えてしまう。(結局正解は3と5のみ)
問2は、1がaーケ、メキシコ銀と東インド貿易、4がdーオ、三十年戦争と魔女裁判、7がiーア、生糸と鎖国体制、8がcーシ、三部会と産業革命。それぞれは基本的な事柄ばかりだし、1つ挙げればいいので、決して難しいわけではないと思う。

日経では、多くの知識を使える状態にしておかないとかなり難しいという指摘と、横断的に歴史を見る目を養いたい、との担当者の話を載せている。私の正直な感想としては、なかなかいいのではないだろうか、というところ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO97403130Y6A210C1CR8000/

2016年2月17日水曜日

カウントダウン・メルトダウン

文春文庫の「カウントダウン・メルトダウン(上・下)」(船橋洋一/本年1月10日発行)を読み出した。福島の原発事故についてのノンフィクションである。最初から上下二冊あわせて、以前から購入してあったのだ。やっと読み始めることができた。やはり、ここらあたりできちんと読んでおかねばならないと思う。あれから5年がたった。様々な問題や指摘もおよそ評価が定まりつつあるのでは、と思う。

まだまだ最初の方である。「イラ菅」首相の怒号が飛んでいる。電源車は、ヘリで重すぎて運べない。着いたところで、変圧器やケーブルがないので、結局電源を回復できない、というような状況である。

イラ菅は、東工大卒の理系人間である。このような変に科学技術に自信のある人物がトップだったことが、日本にとっては不幸だったかもしれない。現場は停電で真っ暗な中、なんら正確な情報が得られないのに、「イラ菅」は妙に細かなコトにこだわってしまう。

トップは、生半可にモノゴトを知っていると、つい自分の能力に溺れてしまう。謙虚に専門家の意見を聞き、たとえ自分の考えと違っていても、勝利のために対応を取捨選択できる能力が問われる。あくまで、部下の力を最大限に使えるのがトップの力量というものだろう。

日本史上でも最大の危機中の危機の中、どうなっていくのか、詳細な現場や官邸の動きを自分なりに検証してみたい。

2016年2月16日火曜日

SDGsは何処から始めるべきか

久しぶりに、月刊アフリカニュース(1月No39)からの話題。
SDGsは何処から始められるべきであろうか、市民の優先順位との連携と題されたレポートから。
”Afrobarometer”は、36カ国(アフリカの人口の3/4)の市民に、それぞれの政府が取り上げ、国の資金を投下すべき最も重要な問題について調査した。最も頻繁に挙げられている項目は、失業、保健と教育で、貧困と食料不足もしばしば話題になった。32カ国を通じて教育が市民にとって最も優先順位が高かったという。

ちなみに、アフリカが2016年に注目すべき10項目(Africa Reserch Instituteによる)は、1.各国の大統領の任期問題 2.国家債務の増加 3.成長の機会 4.不安定なナイジェリア 5.都市の交通網 6.ドローンによる配達 7.タンザニアにおける政権の二重構造 8.ソーシャルメディアの規制 9.南アフリカにおける政権の行方 10.現実的な気候変動への対策 であった。

さらに、2016年アフリカが取り組むべき6つの優先分野(Brookinges Africa Growth Initiativeによる)では、1.世界の多様な経済ショックへの対応(中国経済、資源価格の下落等への対応) 2.国内経済上訴の拡大(雇用の増加、工業化の推進等) 3.多様な人材養成(気候変動に関連する人材、女性の教育、貧困層や不平等への対応人材等) 4.成長の要素としての都市化(都市計画、インフラ建設、都市建設等への資金等) 5.良い統治の拡大(国内のみならず地域ベースの統一への対応等) 6.貿易の拡大(地域貿易の拡大、比較優位を持つ製品の開発等)が挙げられている。

…この3つのレポートの様々な項目は、現在の生々しいアフリカ開発経済学の重要なキーワードだと思われる。特に、最後の6項目は特に面白い。1と2は、想定内だが、3の人材育成という視点が面白いし、最後の6の比較優位を持つ製品の開発というのが実に面白い。
http://www.africasociety.or.jp/africanews/africanews_no39.pdf

2016年2月15日月曜日

心の車椅子 Orihime

昨夕、TVで分身ロボットのOrihimeの話を見た。このオモチャのようなロボットはWebによる遠隔操作が可能なもので人と人をつなぐためのロボットなのである。

考えてみれば、私などは、子供の頃からロボットとは親しい間柄である。鉄腕アトムや鉄人28号、宇宙家族、火の鳥…。大体において、そこには人間とロボットの関係という問題が問われていたような気がする。ロボットとは何か?人間にとってロボットは有用か?ナドナド。

ところが、このOrihimeは、あくまでも人と人をつなぐツールなのである。病気や障がいがあって外出できない人が、このOrihimeを使うことで、”外出”できる。このロボットを使って、実際に仕事をされている方も、この会社にはいる。凄い。感動的な話だった。

こういうITとロボットを繋ぐシステム、ビジネスとしても、大いに成功して欲しいものだ。
http://orihime.orylab.com/

2016年2月14日日曜日

「ヨハネの黙示録」と666

こういう黒ビールがあるらしい。
http://toronto08.blog92.fc2.com/blog-entry-60.html
橋爪キリスト教本のいいところは、何度も言っているが「社会学者的視点」だと思う。この新書(昨日のブログ参照)のあとがきに、聖書について、このようにまとめられている。

旧約聖書の創世記・出エジプト記・申命記はいずれも預言書である。預言者が神の言葉を記したものであり、フツーのヒトは(神の言葉を聞くことができないので)預言書を書くことはできない。これに対して、新約聖書の福音書は証言であり、マルコやマタイはちょっと立派な弟子であったかもしれないが、要するにフツーのヒトである。交通事故を目撃したヒトの証言のようなもの。イエスは、神の子、つまりは神本人なので、神本人がみんなの間でしゃべったことを伝えるのは預言者でなくてもいいわけである。パウロの書簡も預言書ではない。パウロは、イエスの幻を見たけれども、それは1回だけ。だからパウロも預言者ではない。この書簡は自分の頭で考えた論文である。それが何故、神の言葉であるかというと、パウロには聖霊が働いているからである。神がパウロに書かせた文書なので、神の言葉(聖書)であってよいということになる。ヨハネの黙示録は、パトモス島のヨハネの預言をまとめた書物故、旧約聖書と同じく預言書ということになる。

なお、旧約聖書をなぜキリスト教徒が聖書として扱うのか、そのメカニズムの理解には、劇の脚本という見方が有効である。第1幕、第2幕で完結していた劇(旧約聖書)に、第3幕が付け加えられた。この第3幕も作品として成立しているのだが、第1幕と第2幕は、第3幕が加わると全く違った意味になっている。しかも第1・2幕の脚本には全く手が加えられていない。テキストの積み重ねで、それまでのテキストの読み方が変わるのは哲学と同じであるというわけだ。
さて、昨日に続き、興味深かったところをエントリーしておこうと思う。

■聖霊について
 旧約聖書には「霊」の考え方があったが、キリスト教はこれを「聖霊」の考え方に発展させている。パウロのローマ人への手紙・5章5節に、「なぜならば、私たちに与えられた聖霊を通して、神の愛が私たちの心のうちに注がれているからである。」とある。(旧約の)霊は、神から出て生き物(動物)のうちで生命として働く。また風とか息吹とかにイメージされ、霊は人間のうちでいつも働いているものだった。それに対して、(新約の)聖霊は、生き物すべてに働くのではなく、人間だけにやってくる。生命の活動そのものではなく、精神のレベルの働きである。精霊は上(神)からやってきて、その実態はひとつ。(ニケア信条では父なる神とその子イエスからやってくると定義。)精霊は、特別な働きなので、働く人もあれば、働かない人もあるし、働くとき(ON)もあれば働かないとき(OFF)もある。精霊は「使徒言行録」に出てくる。炎のようなかたちで弟子たちのところに現れ、異言(知らないはずの外国語)を語らせたりした。普段はもう少しおとなしく、聖霊は信仰をもつ人々に働いているとされる。

■666
黙示録には、様々な怪獣が出てくる。全く想像でないほどの姿である。7つの顔があるとか、不可解極まりない。(この辺、読むのがしんどい。)有名な666の数字の話も出てくる。第7のラッパが鳴った後、最後の審判が始まるのだが、42ヶ月間蔓延る最後の獣がでてくる。この獣の支配を受ける人々の右手から額に666が刻印されている。ヘブライ語、ギリシア語のアルファベットは、各文字が数値をもっていて、ローマ皇帝・ネロの名前をヘブライで書いた文字の数値を合計すると666になるそうな。

■最後の審判
地と天が跡形もなく消え去った後、大きな白い玉座の前に死人たちが立っており、書物にしたがって裁かれていく。命の書に名が書かれていない者は火の池に投げ込まれていく。この火の池が第二の死であるらしい。その後、新しいエルサレムが着飾った花嫁のように天から降ってくる。玉座から「神の幕屋が人の間に立てられ、神が人とともに住む。」「私は万物を新しくする。ことは成就した。私はアルファーでありオメガである。」という声が聞こえる。新しいエルサレムは、水晶のように輝き、12の門があり、12部族の名と12使徒の名がある。長さと幅と高さは2200km?(よくわからないが、巨大であることは確かである。)

…さすがに、ヨハネの黙示録は不可解であった。最後に、また橋爪式社会学的視野な話。D・H・ロレンス(チャタレー夫人の恋人を書いた作家)が「黙示録論」というのを書いているそうだ。彼はイギリスの田舎の炭鉱町の出身で、父親も近所の人々も、文化・教養がなく、石炭まみれで働いて、酒飲みで乱暴である。そういう労働者たちは、ハネ黙示録が大好きだった。この間違った世の中がやがて正される、終末には天使の軍勢がやってきて罪深い人間たちをみんなやっつけてくれる、ああ胸がスカッとする、というわけだ。そんな労働者文化が嫌いで、D・H・ロレンスは脱出しようと小説家になったというのである。こういう、ヨハネ黙示録を好むメンタリティ、凄いな。

2016年2月13日土曜日

「申命記」とミレーの「落穂拾い」

鼻炎のため耳鼻科に行ってきた。すごい混みようで、2時間半も待つ羽目になった。唯一の救いは、このところ通勤時に読むスピードが遅くなっていた「教養としての聖書」(橋爪大三郎著/光文社新書・15年3月20日発行)が完読できたことである。

この新書は、社会学者である橋爪氏によるキリスト教理解シリーズの1つで、私自身は社会学からのアプローチがなかなか面白いと思っている。旧約聖書から、「創世記」「出エジプト記」「申命記」、新約聖書から「マルコ福音書」「パウロのローマ人への手紙」「ヨハネ黙示録」の6編について解説されている。「申命記」と「ヨハネ默示録」について書かれたものはあまりない。興味があったので購入した次第。

書評のまず前編として、旧約聖書について書かれている前半についてエントリーしたい。社会学者橋爪氏の真骨頂は次のような説明から始まることである。「聖書はキリスト教の習慣で、翻訳したものも聖書です。」イスラムでは、コーランは翻訳禁止。翻訳を通して人間の考えが混ざってしまう故。ユダヤ教もヘブライ語をかなり重視しており、神定法であるユダヤ・イスラム教との差異が、こんなトコロにもでているわけだ。以後、いくつか印象に残った箇所についてエントリーしておく。

■創世記の1章1節、神は天地を創造した。英語ではheavensと天は複数になっている。原文が複数なのだ。鳥が飛び交い雲が流れる空間(大気)は、ドーム(空)で、さらにその上に天が何階建てにもなっているとされた。一方地は平で1つの単数になっている。

■出エジプト記の13章9節、申命記6章8節・11章18節には、「それはあなたにとって、あなたの手の上で徴(しるし)となり、あなたの両目の間で覚えとなる。ヤハウェの律法があなたの口にあるためである。」となる。ユダヤ教徒は、これらを文字通りにとってモーセの律法の重要箇所を羊皮紙に書き、小箱に収めて革の紐をつけ、祈りの時に左腕と額に巻きつける。

■出エジプト記のマナについて。シナイ半島に脱出したイスラエルの民に、神が「天からパンを降らせるから拾って集めよ。」とした、あのマナというパンである。実は、このマナとは、木の葉の樹液を吸ったアブラムシ科の昆虫の分泌物で、地面に転がり落ちて気温が下がると固まり、集めることができたという。イスラエルの民はカナンに入るまでの40年間これを食べたというわけだ。

■出エジプト記の十戒に続く20章22節から23章に及ぶ契約の書には、様々な規定が語られている。有名なホロコーストは、ここで語られる「全焼の供犠」を意味する。供犠とは、犠牲のことで動物を殺して火にくべ、ヤハウェに捧げる。真っ黒焦げになるまで焼くので、食べられない。人間が食べられないのだから、100%神のために献げたことになる。ちなみに、この「全焼の供犠」をホロコーストとはっきり書いているのは後のヨシュア記である。

■出エジプト記25章から31章には、聖所の建設の方法や祭儀の細かな規定が書かれている。契約の箱のつくり方を見るとまるで発注仕様書のようで、この蓋(ふた)には一対のケルビムをつけること、とある。ケルビムとはケルブの複数形でスフィンクスのことである。

■申命記は、第二の律法(申は重ねての意味)といわれるほどの律法書である。全体がモーセの遺言というカタチになっている。面白かったのは、「隣人の畑」の律法。「あなたが隣人の葡萄畑に入るとき、あなたは思う存分葡萄を飽きるまで食べても良い。しかしあなたの器の中に取り入れてはならない。隣人のムギ畑に入るとき、あなたはあなたの手で麦の穂を摘んで食べても良い。」満足に食べられない貧乏人や飢えた子供や、仕事のない寡婦やいろいろな社会的弱者の生存を保証するための律法である。
http://www.artmuseum.jpn.org/mu_ochibo.html
…この隣人の畑を読んで、ミレーの落穂拾いの絵が浮かんだ。どうやら、その推理は正しいものだったようだ。キリスト教世界においても、この申命記の記述を隣人愛として内包し、落穂拾いを可能にしていたのだった。
http://on-linetrpgsite.sakura.ne.jp/column/post_109.html

2016年2月12日金曜日

ベナンのマルシェは呪術の香

ベナンの呪術の店 
http://www.akishobo.com/akichi/mereco/v10
ベナンの珍しい画像をTVで見た。例の千原せいじの番組である。マルシェに、ブードゥー教の呪術用のブツが並んでいる姿は壮観であった。せいじは、臭いと連発していたけれど。(画像もたいぶ自己規制されていた…。)さすが、ベナンは、ブードゥーの故郷だ。

意外に治安がいいし、ブルキナファソを思い出した。ああやっぱりアフリカはいいなあと思う。

ガソリンが瓶売りされていたり、赤いチーズがあったり、ガーナみたいに奇抜ではないけれど棺桶屋があったりと、なかなか素顔のベナンは面白い。ここに住んでいたのは二十代の女性だったのだけれど、実際のところフランス語ができないし、就職した貿易会社もうまくいかなくなって、日本にとりあえず帰国する予定だという。フツー、こういう話だとTV番組にならないのだけれど、それを千原せいじは、その行動力と帰国する勇気を褒める。さらに次のステップへと、激励してフニッッシュさせてしまう。

なかなか、いいフィニッシュではないだろうか。アフリカでの様々な活動、案外うまくいかない場合のほうが多いのかもしれない。それもまた現実。TV的に変にいじらない方がはるかにいい。この番組の演出家に拍手である。

おかげで、ベナンの貴重な映像が見れたわけで、私にとっても大いに有益であった。

2016年2月11日木曜日

国公立大 小論文対策 ’2016

3年生の学年末考査が終わって、今週中はなんとか小論文指導が可能なので、センター試験を受けた国公立組2名の生徒を指導している。前任校以来のことなので、なかなか楽しい。志望校によって、その小論文対策は戦略が変わってくる。

今年の2人の志望校は、経済・経営系なので、経済や政策関連から、論文を選んでいる。特に過去問を見ると、日経の記事を使うという特徴があったり、ミクロな地方政策を扱うという特徴があったりする。その上で、予想問題をつくるわけだ。

前任校では、阪大の地理の小論の予想問題をつくって、見事的中した経験がある。当時の阪大の地理の問題は、それこそ一行でオワリ。「~について論ぜよ。」である。そもそも阪大に現役合格するような生徒は、自分でそれくらいの予想問題を設定できるし、あまり担当教師の力量は関係ない。(笑)また、当時の奈良教育大の心理学専攻系の小論は、心理学関係の統計資料が必ず出てきていた。WEBで5つくらいの統計資料を集めて、予想問題をつくったもんだ。理系のG君の先輩にあたるが、無事合格してくれたのでそれなりの効果があったのだろう。

今年の2人には、MDGsの国連の和文(現在のところ、公式な文書らしきものは、外務省の仮訳しか存在しない。)を読ませてある。経済・政策関係の大元といっていい。グローバリゼーションの格差拡大という世界的課題、金利の低下という世界的な投資先の不足から、資本主義が大きく揺らいでいる。この事実をじっくり頭に入れた上で、小論文に対処してほしいという願いが私にはある。

ところが、本校の入試日程の関係で来週から願書受付が始まる。前期試験の指導も、私が総務的な立場であるがゆえに、その仕事の隙間を見て、ほんのわずかな時間しか残されていない。今日の休日は指導するという点では、痛い休日だ。(さすがに休日指導はもう身体がゆるしてくれない。)そういう生徒に関われる幸せを感じながら、なんとか勝ち抜いて欲しいと思っている次第。

2016年2月10日水曜日

「歯舞」が読めない沖縄北方相?

http://www.jf-habomai.jp/yuransen.html
私が今日読んだ順に示すと、読売・日経・毎日の各紙が伝えている記事のハナシである。島尻沖縄・北方相が、記者会見で、北方領土をめぐるインターネット検定を紹介する際、主催者の「千島歯舞諸島居住者連盟」の”はぼまい”が読めず、言葉に詰まり秘書官に教えてもらったという。

この島尻安伊子というヒト、仙台出身、上智大学新聞学科卒。那覇の市議出身で、沖縄選挙区選出の参議院議員(2期)。佐藤優から「(仙台出身なのに)沖縄の名を騙り、沖縄と沖縄人の利益に背反する、矛盾したことを平気で言う植民地担当相」と批判されている。科学技術政策担当大臣、宇宙政策担当大臣も兼任している。履歴を読むと、政党をコロコロ変えて、島根県主催の竹島の記念式典に政府公人として出席したり、出世のためにはなりふり構わないパフォーマンスをするようなヒトに見えないこともない。

反知性的政治のハナシをエントリーするのは、もうウンザリなのだが、あえて言う。北方領土の4島の1つ、”歯舞”が読めない北方担当大臣が存在していいのだろうか。政治と金も大事かもしれないが、それ以上に知性のない政治家は、有害である。

2016年2月8日月曜日

週刊ダイヤモンド最新号を読む。

日経の朝刊に、週刊ダイヤモンド最新号の広告が載っていた。少し高い(710円)けれど、今受験に励む生徒2名の小論文の指導にも役立ちそうなので、購入した。特集は、世界史と地図を学ぶ国際情勢「地政学超入門」。

プロローグは、世界に拡散するテロの脅威として、世界地図を色分けしてあったりする。こういうのは雑誌らしくていい。
パート1は、佐藤優氏の地政学とは何か?である。地政学者・奥山真司氏の『戦略の7階層』(世界観、政策、大戦略、軍事戦略、作戦、戦術、技術)が面白い。米国や中国が得意とする領域は最初の2つ。地政学が最も必要になる領域が大戦略、戦後日本が得意にしてきたのは、それ以下の4つ。反対にい言えば、大局観や地政学的な思考は苦手だということになる。
パート2は、茂木誠の経済史講義。少ない紙面で、かなり無理があるのだが、見開き2P分の「ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の経済観」という記事は面白かった。
パート3は、「この国が見ている世界」と題して、国ごとの世界観と行動原理がコンパクトすぎるほどにまとめられている。米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、トルコ、イスラエル、イラン、サウジアラビア、中国、韓国、北朝鮮、インド、インドネシア、そしてイスラム国。それぞれ、なかなか面白い。

エピローグは、「(1月28日慶応大学にて)エマニュエル・トッドの語ったヨーロッパの宗教的危機」である。今日、フランスでは多くの人が宗教的なものに距離を置こうという動きがあるのだ、という。「私は神を信じない。」と公然とアピールするという現象が起こっている。呪われた宗教と位置づけされるイスラム教の影響かもしれない。トッド氏は、地域別に宗教的な行動や感情に関する統計データを追ったところ、ヨーロッパでは過去3回、脱キリスト教化といえる動きがあったという。
1つは、18世紀半ばにパリ盆地・南イタリア・南スペインを中心にカトリックの集団的な信仰が消えた。1世紀足らずの間にフランス革命が起こった。
次は、1870年から1930年にかけて、ドイツ、英国、スカンジナビア半島など北ヨーロッパでプロテスタントの信仰が薄れた。程なく、ナショナリズムが台頭した。1932年ナチが第一党となったが、ルター派が多い地域の得票率が高かった。トッド氏は「集団的な信仰としての宗教が消失すると、しばらくして極端なイデオロギーの勃興が見られる。」と述べている。
第3の脱キリスト教化の波が訪れたのは20世紀末から2010年ごろ。フランスでは、まだカトリックの信仰が残っていたパリ盆地の東や南西部で教会に行ったり司祭になるという行為が消失した。同じくベルギー、オランダ、スペイン、アイルランド、ポーランドなどでも生活におけるキリスト教の実践が薄れてきたという。トッド氏は、宗教的なものの消失をカトリックの保守的な教えからの解放、近代的になったと受け取っているように見える、そしてその中でイスラムという宗教をスケープゴートとするような動きがあると指摘。先日のパリの風刺週刊誌シャルリ・エブド編集部襲撃事件後のデモなどは、表現の自由を語り、共和主義の価値を語るリベラルなデモに見えるが、本当のテーマは、マイノリティーの宗教(イスラム教)を批判・排除するものだと批判する。

なかなか読み応えがあった次第。

2016年2月7日日曜日

ワンフェス ’2016

北朝鮮難民救援基金のブース
昨日、前任校のOBから「みんなで、ワンフェスに来てます。今、どこですかぁ?」というメールが入った。残念ながら、体調のこともあって昔みたいにプログラムに合わせて2日間行くというようなコトが出来なくなった。申し訳ない。鍼治療を優先して、今年は、今日行くことになった。
TVで”OnePeace”を見てから行くつもりだったのだが、オープニングの途中で、北朝鮮のミサイル発射の特別番組に切り替わってしまった。(おそらく、北朝鮮は日本の子供たちの多くを完全に敵にまわしたと思われる。)

というわけで、予定通り10:00すぎに自宅を出たのである。関テレの1FにあったWFP(世界食糧計画)のブースで、まずRED CUPを500円で購入。このカップ1つで8人分の給食をプレゼントできる。私はこういうグッズは必ず買う。同じWFPで、毎年飢餓マップ(200円)を買ってきた。ワンフェスとは、そういうオカネを落とすべきトコロである。

AMDAのブース
今年はできればNGOブースでゆっくり話を聞きたいと思っていた。昨日、TVで見た北朝鮮難民救援基金のブースで話を聞く。さらにAMDA。2003年、ケニアのキベラスラムで活動しておられたYさん夫妻が所属しているAMDAである。今は、ザンビアやシオラレオネ、ミャンマー、ネパール、インドネシア、ホンジュラスなどで多彩な活動をしている。AMDAは、国際理解教育の一環として学校でも多く講演しているようだ。「アフリカの風に吹かれて」という藤沢伸子さんの本を購入。ザンビアとジブチの話はAMDAでの活動の話らしい。税はサービスで1800円。(笑)

その後奈良教育大のG君と後輩と「みんなのキッチン」で合流。私は、セネガルのギョウザとセルビアのトルコ・コーヒーで済ませた。セルビアの人と話したので、ついに私の「地球市民の記憶」は祝100カ国に届いたのだった。(常設ページ参照)

G君と、その後「持続可能な開発」について喫茶店で語り合った。G君がこれからやろうとしている課題についての議論だったが、うーん、かなり難しい話になったのだった。今年もいろいろあったワンフェスだった。

エボラと戦った義人 カーン氏

http://www.bbc.com/news/world-africa-28560507
NHKスペシャルで、昨夜、エボラ感染時の記録を見た。この記録の中心となるのは、シエラレオネのウマル・カーン医師である。彼は、感染症の専門家で39歳。ケネマという地方都市の国立病院で、初期から警告を発した。政府へ感染地域の封鎖を勧告しながらも無視され、国際社会にも友人の医師を通じて支援要請を行うも無視された。そんな中でも、ボストンに向けて、エボラウイルスのサンプルを送り続けていく。未来をも見通した孤独な戦いを繰り広げた人だ。

シオラレオネのギニア・リベリアとの国境にあるクポンドゥ村の女性呪術師が死去した。この時の葬儀に数百人の女性が集まった。その際、伝統儀式として彼女の遺体を素手で洗った。これが最初の感染であることは、後にカーン氏が送り始めたサンプルのDNA解析で解明されている。

これまでのエボラ渦は、コンゴ民主共和国などの中央アフリカの僻地で発生しており、感染が広がる危険性は比較的少なかった。しかし、シエラレオネの場合、クポンドゥ村とケネマ、ケネマと100都市である首都フリータウンが道路で結ばれており、カーン氏は大きな危惧を抱いたのだ。政府が封鎖をしなかったゆえに、ケネマで封じ込めることを決意、15日目にケネマ病院の最初の患者のイラーさんは回復して退院した喜びもつかの間、その2日後、カーン氏が懸念していたクポンドゥ村からケネマへの道沿いに43人の患者が発生した。

点滴を打ち、体力を回復し免疫力を高めるのが、治療の全てであるが、点滴には針を打たねばならない。それだけ看護師が患者の血液に触れる可能性が高くなる。防護服を着ると50度を超え、集中力がミスを生みやすい。

24日目に、ケネマ市内で感染者が発生。WHOから医師2名の派遣がやっと決まる。まさに無関心との戦いであった。隔離病棟は満員になり、街では暴動も起こる。カーン氏の予想どうり、やがて首都フリータウンに、リベリア、ギニアに、そして先進国にも拡大したのは周知のとおりである。

発生から59日目、カーン氏自身が感染する。看護師の治療のため素手で目を触っていまうのだ。その一週間後死去。彼の遺体はケネマ国立病院の中庭に埋められた。その際の映像には棺桶にムスリムを示すマークがあった。私は、彼の名前から、ムスリム(イスラム教徒)ではないかと直感したのだが、偉大なシオラレオネの医師は、やはりムスリムであったわけだ。この事実は、広く知られるべきだと私は思う。宗教を超えて、多くの人を救い、欧米先進国とも連携しながらエボラのワクチン作成に大きく貢献した。

カーン氏を含め、ケネマ国立病院のスタッフ41人が死亡。210名の患者が救われた。彼らの名を記した碑が病院に建立されている。番組は、その牌の紹介で終わる。

…もう一度、確認しておきたい。過激派の世界的な跋扈によってムスリムが悪者扱いをされている今だからこそ、エボラ出血熱渦の中で完全と立ち向かった義人として、我々はイスラム教徒である医師ウマル・カーン氏の名を忘れてはならないと思う。(義人というのは、極めてキリスト教的な概念であり、コトバである。あえてこのコトバを使ってカーン氏を紹介したい。)

2016年2月6日土曜日

毎日 ローマ教会と正教会の会談

http://jp.reuters.com/article/russia-religious-leader-gets-fighterjet-idJPKBN0HC08420140918
毎日の国際面に、ローマ・カトリックのフランシスコ法王とロシア正教会のキリル総主教が、今月12日にキューバのハバナの空港で会談するという記事が出ていた。ロシア正教側が発表したもので、1054年に、互いを破門して以来のトップ会談となる。

東方正教会は、ビザンチン帝国がオスマントルコによって陥落されてからは、ソ連時代を乗り超えてロシア正教会が最大の勢力となっている。ただし、正教会は民族別に独立しており、最大のロシア正教会の長であっても、ローマ法王のような絶対的な権力はない。とはいえ、1000年近くの対立を乗り越えてのハナシである。

それにしても、キューバで、というのも意外な感じである。ローマ側はヨーロッパでの会談を提案したらしいが、ロシア側が受け入れず、法王のメキシコ訪問、総主教の中南米訪問を受けて、第三国でのキューバ、となったらしい。1964年、ローマ法王は、反共政策の一環としてギリシア正教会総主教との会談を行っているが、今回のアクセスは、ロシア側が主導している。昨年6月、プーチン大統領がローマ法王庁を訪れ、今回の会談の道筋をつけたようだ。プーチンと総主教は極めて懇意である。

今回の会談の主要議題は、対イスラム対策である。中東やアフリカで強まるキリスト教徒への迫害対策で、共同宣言の予定もあるという。

と、いうわけでロシアの戦略をローマ法王庁が飲み込んだという感じなのだ。キリスト教界の団結をアピールし、ロシアをヨーロッパの一員として再度認識させることを狙っているように私は見える。
ウクライナ問題に端を発する経済制裁への楔とするとともに、シリア問題で政府側につくロシアの孤立感をやわらげることを目指しているのだろう。EUが、ドイツがいくら推そうともトルコの参加を拒み続けのは、キリスト教圏のドグマであるような気がする。そういう意味で、今回の会談、重要な意味合いを持つと思うのだ。

痩せる薬を処方される。

http://starar-g.blog.so-net.ne.jp/2014-11-09
月イチの糖尿病の通院に昨日行ってきた。先月との変化は、禁煙による体重の増加である。どうも口寂しくて間食が増えてしまい、94kgを超えてしまった。
糖尿病の方は悪化してはいなのだが、先生は、少し考えてから、薬を1種類変えるという指示をされたのだった。

この薬、腎臓に働くものらしい。糖分を分解して体外に出す時、そのうちのいくらかを人間は再吸収する機能があるらしいのだが、それを止める薬らしい。通常、2kgくらい体重が減るのだという。

迎えに来てくれていた妻が「体重が減るなんていう薬、あるわけないやん。」と言っていたのだが、薬局で、薬剤師さんから同様の説明がなされたときは、「えっー。」とかなり驚いていた。

努力しないで痩せるなんて、ちょっと楽しみである。(笑)

2016年2月4日木曜日

I 先生のアナログのススメ

本校に共に赴任してきた再任用のI 先生は、NIEを実践されておられる。毎朝、主要5紙と大阪日日新聞の第1面を縮小コピー、天声人語や余録、編集手帳、春秋などを切り貼り、さらに各社の社説の切り貼りをされたあと、授業のあるクラスの人数分を両面刷するのが日課である。毎日それを見ているののだが、まさに「継続は力なり。」である。全ての授業(政経や地理、現代社会など)の最初の10分ほど、新聞の一面、社説などから興味をもった記事をまとめて書き出すプリント(ポートフォリオという名前がついている。)に、記入させてそれを授業後に提出させておられる。きっと見るだけでも大変だ。

そんなI先生が、いよいよ定年後の定年(再任用のオワリ)を迎えようとしておられる。今日、そんなI先生の授業実践を参観しようと、共に長く活動してこられた大阪府の社会科教員の地理部会の先生方が集まってこられたのだった。1年生の現代社会の授業で、NIEの後、地理的視点で、ベネルクス3国の関税同盟からEUへの発展にまつわるという内容である。

その後、会議室に移動して、懇談的に批評会が行われた。ちょうど私は他の会議があったので中座したのだが、最後のI先生のお話を聞くことができた。I先生は、やはりアナログで授業をすべきだという旨の話をされていた。NIEは、その一貫で、WEB等で気に入った記事をピックアップして読んでも視野が広がらない。シンブンは想定外の意外なヒロガリをもった世界である、というわけだ。

I 先生は、地名でもカンタンに生徒に教えない。必ず地図帳の索引をひかせる。それが、血となり肉となるというわけだ。…なるほど。アナログのススメ、たしかに聞かせてもらいました。

2016年2月3日水曜日

アリゾナ州 昔のキャンプ地 ユマ

Google Earthの画像より http://static.panoramio.com/photos/large/2352811.jpg
日本ハム・ファイターズが日本のプロ野球球団としては久しぶりに、アリゾナ州でキャンプをはっている。ピオリアという町らしく、調べたら、フェニックスの郊外の町らしい。現地は気温が低かったらしいが…。

昔々、ヤクルトもアリゾナでキャンプをはっていた。ユマというカリフォルニアに隣接する町で、フェニックスからはだいぶ離れている。実は、私はこのユマに泊まったことがある。(別にヤクルトとは関係がない。聞いたことがある町の名前だったからにすぎない。)R66を走る一人旅の時である。セリグマンというR66のヒストリックタウンのような町に一泊してから、R40のフリーウェイをキングマンまで戻り、ユマまでR95を一気に南下したのだ。まさにアリゾナの荒野。何もない直線の道だった。極めて眠くなる道でもある。カーラジオをかけていないと危ない。(笑)

同じくGoogle Earthの画像より
アリゾナは、かなり乾燥した地で、砂漠っぽいところも多い。砂漠といっても岩砂漠、レキ砂漠ばかりだけけれど…。こういうトコロを走るのもアメリカ旅の魅力である。ユマは、別に何もない田舎町で、翌朝R8を西に向かおうとしたら、砂砂漠に出会った。おお、珍しいと、陸橋を超えて車を停めた。バギーが1台爆音をたてて走っていた。アメリカなのである。さて、陸橋を戻ろうとしたら、その陸橋の上で360度スピンした。(砂漠の砂にやられたのだと思う。)下は4車線のR8である。今までに死ぬかもしれんと思ったことは何度かあるが、この時が最大の危機であった。
その後、R8では、膨大な数の黄色い蝶蝶がフロントガラスに引っ付いてきて、前が見えなくなったりした。とても日本ではできない体験だった。残酷な話だが、ワイパーで蝶蝶を取り除いて西へ西へ走ったのだった。

ふと、キャンプ報告のTVを見ていてアリゾナ州のことをエントリーしたくなったのだった。

2016年2月2日火曜日

アイオワの党員集会

https://www.cartoonstock.com/
directory/i/iowa_caucus.asp
アメリカ大統領選がアイオワの党員集会(コーカス)から始まった。デモインの映像がTVで何度も流れる。なんだか懐かしい。前任校の姉妹校がアイオワ・デモイン郊外にあるので、研修旅行の付き添いで私は行ったことがあるのだ。

ちょうど中間選挙が行われていて、芝生に平屋の住宅街には、ハロウィンの飾りと、共和・民主両党どちらかの看板がさしてあったりして、ここにもアメリカのひとつの実相があった。アイオワは、政治的にはちょうどちょうど両党は拮抗している。有名な農業州で、コーンと豚の養育で有名。だから、スペアリブが名物で、姉妹校の先生方の歓迎会はスペアリブのレストランだった。(笑)一方、デモインは全米でも有名な保険の街である。

アイオワの党員集会を調べていたら、上のような素敵なイラストを発見した。これは、JHON DEEREという有名な農業機械メーカーのもので、この緑色のボディーでアイオワを表現しているのだ。アイオワのお土産屋にはこのメーカーの農機具のデザインを使っているものも多い。我が家には、このメーカーの壁時計がある。1時間ごとに農業機械の機械音が流れるのだ。ちょっとうるさい。(笑)
http://kchanews.com/2014/09/17/midamerican-energy-offers-tips-for-safety-during-harvest-season/
ところで、共和党はティーパーティーが応援するクルーズが、トランプを抑えて勝ったようだ。どちらにせよ、共和党はポピュリズムが勝つような雰囲気になっている。民主党は大接戦で僅かにクリントンがサンダースを抑えたようだ。

これだけグローバル化が進んだ現在、アメリカ大統領が誰になるかは、遠い日本に住んでいる我々も多大な影響を受ける。少なくとも、反知性・ポピュリズムの候補者には勝ってほしくないと思っている次第。

2016年2月1日月曜日

ウガンダのROLEX

http://www.sendacow.org.uk/lessonsf
romafrica/resources/make-a-rolex
DoDo World News(アフリカ旅行の専門誌:道祖神発行)の2月号が届いた。いつもながらありがたい。アフリカの新しい旅の紹介も載っていて、つい行けたらどうなるかなあ、などと妄想する。気に入った旅は、ゴールデン・ウィーク特集にあったマダガスカルの旅「霧の森の叡智ザフィマニリに学ぶものづくり12日間」4/29発・598000円。ユネスコ無形文化遺産で6日間滞在する旅。さらに、マダガスカル縦断24日間の旅も見つけた。8/24発・870000円。凄いな。きっとコレラの予防注射が必要だと思う。でもその注射に耐える価値アリだと思う。…嗚呼マダカスカルが呼んでいる。

南部アフリカオーバーランド・キャンピングツアー2016 26日間・9/12発・815000円。ケープタウンから、オレンジ川を渡りナミビア、さらにビクトリア滝まで。これは日本人専用のツアーのようだ。どうせなら多国籍の方が面白いと思うのだが…。これはこれでコトバが通じて気楽かな。

https://kidscanada.wordpress.com/2013/08/27/street-food-research/
こんな感じで見ていたのだが、「ナイロビ駐在員のNairobi Diary」No16を読んで、もっと楽しくなった。まずは、ウガンダの「ROLEX」という話。高級腕時計のことではなく「ROLEX-ROLL EGGS」、どこの道端でも食べられるローカルフードで、卵を多めに使ったチャパティの上にトマト、キャベツ、玉ねぎなどをのせぐるっと巻いたものらしい。値段は50~70円。ウガンダは屋台文化が充実していて、焼き鳥(塩味のみ)が1本10円くらいで食べられるという。うーん、いいなあ。ウガンダ、いいぞ。もうひとつ、タンザニアの新大統領の話。ジョン・マグフリ大統領は、初代ニエレレ大統領の再来といわれているほどの節約家で、12月9日の独立記念日は、最初の大きなイベントになるはずだったが、全ての式典をなしにして、この日をコレラ対策の「国民掃除の日」にしてしまったという。すごい行動力。ケニア在住の駐在員として、なんと感心なお隣の大統領だと思っていたそうだ。その3日後の12月12日はケニアの独立記念日、果たしてタンザニアを見習って…と思っていたら国立スタジアムを借り切って例年以上に盛大な式典が行われ、このケニアのぶれない態度も頼もしいか…と思ったとのこと。(笑)

なにか、久しぶりに楽しいアフリカの話題をゆっくりエントリーして、少しハッピーな気分である。道祖神に感謝したい。