2017年9月30日土曜日

日経 上がらない物価の謎

http://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sa16-02/s2_16_1_1.html
少し古いが、9月24日付けの日経の3面に、「上がらない物価・世界を覆う謎」という記事が載っていた。以下は、その要約である。

米国のFRBが10月から量的引き締めに入ることを決めた。雇用が堅調故だが、肝心の物価は停滞したままだ。景気は底堅いのに低インフレが続く謎の減少は世界的に広がっている。

経済学界ではその原因を探る論争が盛り上がっている。新興国からの安いモノやサービスが流入していることや、労働者らの発言力低下で失業率が下がっても賃金や物価が上昇しづらい構造になっていることが原因とは、ニューヨーク大学のルービニ教授の説。
国際決済銀行(BIS)のまとめでは、6月の物価上昇率が1%に満たない国は15ヶ国。アイルランドなどはマイナスであった。(サウジ・イスラエル・タイも同様)成長著しいインドでも1.5%という8年ぶりの低水準である。(日本も失業率は20年ぶりの低さで、物価上昇率は0.5%)

低インフレの原因の理由として考えられるのは、原油安。WTIは現在1バレル$50ほどで推移している。マクロ経済の通説なら景気回復でこれだけ雇用が引き締まればインフレ圧力が高まってくるはずである。しかし日本をはじめとした先進国の賃金は上がらない。「グローバル化で企業はより安い労働力や資材にアクセスできるようになった影響が大きい」(BISのチーフエコノミスト)と分析している。国際分業が急テンポで進み、アジアでは単純労働がどんどん機械に置き換えられている。台湾のホンハイ精密工業などでは高度な組み立て作業も機械化され、コストダウンが進み生産価格が押し下げられている。供給力の問題の問題もある。世界の工場・中国だけでなく、新興国の成長率は鈍化しており、結果として大きな供給力に見合うだけの需要がなく供給過剰になっている。また、急速な電子商取引(eコマース)の拡大も物価低迷の原因と見る向きもある。同じ製品でも実店舗より安いネット通販に顧客が流れる傾向がデフレ圧力を強めている。

この低インフレ現象をどう見るか。今なら金融・通貨政策の選択肢は広い。欧米では長期緩和政策から正常化へと舵を切る動きも出ている。ただ、物価は「経済の体温」を示すものなので、拙速な判断は慎むべきだろう。

…職員室の机上に溜まった日経を自宅に持って帰って、たまたま発見した記事だが、極めて重要な示唆がある。先日エントリーした「リフレはヤバい」(小幡績著)の指摘通り、また米国のシェールガス・オイル産業の発展後の経済を予測した「シェール革命後の世界勢力図」(中原圭介著)の予測通りの展開と成っているからだ。これまでのマクロ経済の定説では理解できない現代世界の経済のダイナミズムがそこにあるような気がする。

アベノミクスは、インフレを起こし、賃金を上げ、消費を拡大、景気を回復するという。これって、もう完全に行き詰まっているような気もする次第。

2017年9月29日金曜日

IBTの話(127) 電子レンジと蟻

マレーシアは熱帯であるから、当然のように昆虫が多い。蚊が最も厄介だが、蟻もまたやっかいである。ちなみに、ゴキブリもいるが、日本と比べて断然動きが遅い。(笑)今日は蟻についてのエントリー。大きいものから微少なものまで蟻も実に多種類である。

IBTの職員室にはちょっとしたキッチン・コーナーがある。冷蔵庫・電子レンジもあって、流しには、ありがたいことに、よくお菓子やフルーツなどが置かれている。当然だが、蟻がたかる。小さな蟻だ。先日、その蟻が電子レンジ内に侵入したという事件があった。不思議なことに、蟻は死なかったので、みんなびっくりしたのだった。

ちょうど日本人会の無人古本コーナーで手に入れた「安野光雅の異端審問」(朝日文庫)をバスの中で読んでいたら、「蟻は乾電池で感電死するだろうか」という一節があって、実際に実験したら全く異常がなかったらしい。上野動物園水族館館長の話によれば「蟻は外骨格といって、人間でいう骨が全部よろいかぶとのように覆っているので感電しないでしょう。」とあった。殺生しないで済んだ、とは作者の結びの言葉である。

…なるほど。電子レンジで生き延びたのは、そういうことか、と思ったのだが、WEBでさらに調べると、蟻は水分が少ないとか、マイクロ波にうまく当たらなかったとか、さらに、いろいろ理由があるようだ。まあ、まさにどうでもいい話だが…。
http://www.narinari.com/Nd/20090611758.html

この「安野光雅の異端審問」(朝日文庫)は、そんなどうでもいいような疑問を提示して解答が書いてある変な本だが、案外こういうハナシは授業のネタになるので買ってみたわけだ。もちろんRM1である。

2017年9月28日木曜日

アベノミクスは正しいのか?

IBTの学生に経済学を教えるに当たって、社会科学は法則性を追求するけれど、いろんな視点があり、これが正解だというものはない、これとこれが正しそうだ、というくらいである。自然科学のような絶対的正解というものはない。ましてや、経済学の基盤には、損得だけで動く「経済人」がいかに行動するかというモデルケースが語られるにすぎないことを、まず教えることにしている。

もちろん、EJUで出題される経済の問題は、現在の経済学的常識の基礎である。したがって、コレに対する異説を教えるには早すぎる。せめてEJUが終わってからかな、と思う。このところ、そういう経済学の本を2冊読んだ。私は、文学部の出身で、エコノミストではないし、その是非の判断はつかないが、アベノミクス(批判する側からはアホノミクスと呼ばれている)を牽引するリフレ派の経済学は、たしかに少しヤバそうな気がする。

そのうちの1冊は、小幡績氏の「リフレはやばい」という本(ディスカヴァー携書/15年1月)である。日本人会の無人古本コーナーで見つけて先日完読した。要するに、アベノミクスのめざすところ「インフレを起こす」ということ事態が無理な話である。「円安」より「円高」の方がよい。デフレは=不況ではない。日銀の独立性を政府は日銀法の改正で支配下に置いてしまった。このまま行くと国債の価値が下がり、日本経済は破綻する。というのが、主な主張である。

かなり新鮮であった。前述のように、経済学の正義というものは一筋縄ではない。こういう考え方があるというのを知っておくことは大事だと思う。

今日、衆議院が解散した。様々な憶測が流れているが、こういうアベノミクスの是非を真正面から取り上げる気は政治家にはないようだ。それ以前に民進党は保身に走った。捨て身の合流・野党再編と見る向きもあるが、ポピュリズム的にしか私には見えないのだが…。

2017年9月27日水曜日

ヘイズと妻の咳き込み

ヘイズの時のペトロナスタワー https://asia-tropicallife.blogspot.my/2015/09/
インドネシアの焼き畑農業による煙害をヘイズと呼び、マレーシアではスモッグのような状態になり、一気にノドがやられたりする。日本で言えば黄砂のようなものだ。だいぶ前のことになるが、引っ越ししてから、ヘイズの日が数日あった。

新しい部屋は風通しが実に良いので、妻は非常に喜んでいた。ところが、このヘイズ以来、おそらくはクアラルンプールの車の排気ガスなどの影響も加わって、部屋の空気が実に悪くなったようだ。風通しは良いが故に、そういう呼吸器に良くないものもだいぶ入ってきたらしい。妻は、これにやられてしまったようで、ひどい咳き込みをするようになった。妻に聞くと、こういうKLの空気の悪さに呼吸器をやられた友人が多いのだという。友人は、いざというときのための気道を広くする薬を持っているとのこと。一度シュッシュと吸い込むと楽になるらしい。

そういう前提を示したうえで今日の話になる。今日はIBTの定期試験の最終日で、比較的余裕があったので3時すぎから帰らせて頂き、妻とモントキアラの日本語の通じるクリニックへ、その薬をもらいに行ってきたのだった。意外に交通費(タクシー代)も治療費も安く済んだし、何より妻が(薬を手に入れたことで)安心したので、私もホッとしたのだった。

中進国マレーシア。公害の先進国であった昔の日本をちょっと彷彿とさせる話である。

KLCCで「能」を観る。

日本の能舞台での船弁慶 https://www.jfkl.org.my/events/noh-performanc
日馬国交60周年の記念行事で、KLCCまで「能」を見に行ってきた。いつものようにM先生ご夫妻と同伴させていただいた。日本でも観たことがない「能」をマレーシアで観れるとは実に想定外である。そのチケット代も考えられないほど安い。RM50である。日本なら1万円以上するところである。

演目は、船弁慶。もちろん初めてであるが、WEBで下調べしたら、源義経と静御前の別れの舞と船出してからの平家の亡霊との戦いというストーリーである。今回は、最初にマレーシアの人々に解るように、丁寧な説明が日本語と英語であって、それが実に分かりやすかった。行われた場所はKLCCのクラシックコンサートが行われる場所で、必要最小限の能舞台を設定したに過ぎないが、重厚な会場で、しかも観客のイマジネーションが能では重要だと言うことで、全く問題はないし、違和感もなかった。
会場となったペトロナス・フィル・ハーモニック・ホール
https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298570-d804145-Reviews-Dewan_Filharmonik_Petronas-Kuala_Lumpur_Wilayah_Persekutuan.html
私が強い印象を持ったのは、舞台で行われている演技の関係しない時のキャスト、笛・太鼓、あるいは地謡と呼ばれるコーラス、さらには小道具のスタッフが、全くの沈黙とストップモーションを辛抱強くしていることである。これが凄い。静と動。このコントラストが能の最も大きな魅力ではないか、と感じた次第。

事前の丁寧な解説のお陰で、実に楽しめた。船が出てくるのだが、かなりの想定外のモノだったし、解説通り「皆さんびっくりされますよ。」だった。見所が満載で、意外といっては失礼だが、全く退屈などしなかったのだ。
この「能」に誘って頂いたM先生に、今回も夫婦揃って大感謝である。

2017年9月25日月曜日

NFL選手の抗議に賛同する

http://www.afpbb.com/articles/-/3144109?pid=19406290
政治家というのはプラトン以来、理性を備えた哲人が行うべきものだというのが欧米の伝統的思考だと私は感じている。米大統領の北朝鮮や韓国・中国の指導者への侮蔑的な発言は、アジアの礼を重んじる儒教的な背景を全く理解していない。日本の政治家なら、政治家の資質なしとの烙印を押されるはずだ。実際秘書への暴言・暴行で追い込まれた女性議員もマスコミを賑わせている。

大統領の思慮に欠ける黒人やヒスパニック、ムスリムへの差別的発言は、益々国内を分裂に導いている。ついに、NFLの選手達が立ち上がったようだ。国歌斉唱・国旗掲揚時に膝を突いて、その意思を示しているらしい。過去のオリンピックの表彰時に拳を突き上げた黒人選手は有名だが、アメリカで最も(野球以上に)人気のNFLの各チームで行われているところが凄い。おそらく、そのうちNBAにも伝播するだろうと思う。

アメリカでは、国歌・国旗は合衆国国民としてのアイデンティティそのものである。日本は単一民族で、しかも戦前の戦争でのイメージもあり、国歌・国旗については微妙な問題がある。これは単一民族故に国家統合の必要性がない故の、ある意味贅沢な論争であって、アメリカのような多民族国家では、”国民になるため”の必須の条件であると私は理解している。今回NFLの選手達の行動は、あたかも大統領選直後にカナダへの移住申請の膨大な問い合わせがあったのとほぼ同じであるといえよう。かの大統領の下で、アメリカ国民であることに逡巡している姿だと私には見える。

私は、彼らを「クソ野郎(直訳はあばずれの息子)」と呼ぶような非理性的で非哲人的な人物に、北朝鮮問題で日本が生殺与奪を握られていると思うと、悔しくてならないのだが…。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51160

2017年9月24日日曜日

幼稚園児のケンカにつき合うな

http://polandball.blog.fc2.com/blog-entry-4219.html
先日から始まった国連総会の演説で、米の大統領の発言に端を発して、北朝鮮が猛反発している。たしかに、国連という場にふさわしくない米の大統領の演説であった。(というより彼自体が国連という場にふさわしくないと私は思うのだが…。)とはいえ、私の印象はいつもの馬鹿げたツィートよりは、はるかにマシな表現であったと思っている。

これに対しての北朝鮮の反応はこれを宣戦布告と捉えてのものだ。しかもこの後声明が出て、米大統領を呼び捨てにしてののしったものであった。かたや、ロケットマンと揶揄したり、およそ、両方とも国家元首の言としてはあまりに幼稚だ。

ロシアの外相は、同じ国連総会でこれを「幼稚園児のケンカのようだ。」と指摘したが、私もそう思う。このような彼らに自国だけでなく、日本や韓国の関係国の国民の生命を託しているのかと思うと不愉快極まりない。日本のポチ度は、国連でもさらに上がって、対話の時ではないときた。完全に米と一蓮托生である。私は彼にも日本を託したいとは思わない。

おそらく米の先制攻撃は、すぐにはない。いくら幼稚園児でも周囲は大人のハズである。とはいえ、この不安定な状況下、日本は、平和を求め、ひたすら巻き込まれないようにするしかない。それが、大人の道だ。理性的判断を失わせないようにしなければならない。北朝鮮はまだその理性(かなり道具的理性だが…)が残っていると思われるが、米大統領への不信感はすでにMAXだ。
http://www.afpbb.com/articles/-/3143978?cx_part=latest_article

日馬 Friendship Concert 2017

先ほど日本とマレーシアのFriendship Concert 2017から帰ってきた。(現地時間23日のPM11:20)
SUNWAY Lagoon Surf Beachというテーマパークの野外ステージで行われたものだ。知人の娘さんがこのイベントの関係者で、正直なところ義理で行ったようなものだった。
日本のアーティストも名前も知らない人ばかりだったし、マレーシアのアーティストはなおさらである。ところがこれが非常に良かったのだ。

マレーシアは、意外かもしれないがこういう舞台イベントが非常に盛んで、演出や照明も実に凝っている。しかし良かった最大の原因は、何と言っても、出演者のパフォーマンスの質の高さであった。

私が特に気に入ったのは、マレーシアのロックバンドのBUNKFACE。かなり完成度の高いバンドだ。
http://www.theaureview.com/asia/interviews
/singapore/bunkface-malaysia-talks-about-music-matters
それと、開演前のプロモーションビデオで強烈な印象を植え付けられ、実際の演奏を聴いておののいたのが、Charisma.comという日本人女性2人組ののラップである。うーん、日本の音楽シーンは、私が知らないうちにかなり進化していると思ったのだ。

最後は土屋アンナがトリをつとめて、素晴らしい歌とマレーシアと日本をつなぐような曲をわざわざマレー語で歌い上げてくれた。コンサートのポリシーが、そのまま最後まで貫かれた素晴らしいコンサートだったと思う。

2017年9月22日金曜日

パパイアの値段

http://papaya-univ.com
/sociology/agri/race
朝から晴天のイスラムの元旦である。晴天というといいように聞こえるが、ストロングな太陽光線の下、歩いてDマートに買い物に行くのには難儀である。曇ってくるのを待っていた。ちょうど良い具合になったので、出かけたのだ。

私は、あまり運動をしない。コンドのプールにも長いこと行っていないし、ジムにも行っていない。この買い物くらいが運動である。帰路は坂道なので、ちょっとばかり汗をかく。

マレーシアのスーパーは、パックに入った野菜や果物以外は、プラスチック・バック(ビニール袋)に入れて重さで決まる値段のシールを貼って貰うシステムである。パパイヤやドラゴンフルーツなどその日の値段が1kg何リンギというふうに書いてある。今日はパパイヤが特に安かった。熟れ具合を見てこれぞというパパイヤを選ぶ。最近はローカルの人並みに品定めができるようになった。

さて、買い物を終えてレジに行ったら、レジ係のミャンマーの青年がパパイヤを見てなにやら他の店員に言っている。「?」後で解ったのだが、パパイヤにRM33もの値段が付いていて、彼が不審に思ったのだ。もう一度値札をつけ直してRM2.2。(笑)店のミスとは言え、彼の機転に感謝である。タマンデサのDマーケットは、完全にジャパニーズ・スタイルである。なんだか、嬉しくなってくる。

2017年9月21日木曜日

明日はAwal Muharam

マレーシアを代表するモスクの1つ。シャーアラムのブルーモスクである。
https://www.easyparcel.my/blog/announcement/holiday-
notice-awal-muharram-coming/
明日は、マレーシア国内はイスラム歴(ヒジュラ歴)の1月1日なので休日である。どういうわけか、昨年度の休日予定から変更が生じて、今日から明日に変更になった。多くの先生方は3連休だが、私は土曜日に補習があるので、明日はとりあえずの休息日である。

国連総会での米大統領の演説は、政権のナショナリズムを基調に、北朝鮮への強烈な対抗姿勢を明確にした。とはいえ、まだまだ問題解決には余裕を持たせている。片手に戦術核、片手に対話歓迎といった感じだ。ドイツのメルケル首相は、ガツンとアメリカの非対話姿勢を批判した。日本の首相はポチとして飼い主と共に吠えて見せた。韓国はこのタイミングで北朝鮮への人道支援を行うと発表した。先日までB1Bと韓国のF15が爆撃訓練をしていたというのに、である。中国は、唐突に日本への観光客規制を表明。うーん、まったくのリゾーム状態である。それぞれが勝手な方向にベクトルを向けているような、なんとも非コード的な国際情勢である。

これまで、ISを中心としたシリア・イラク情勢がクローズアップされてきたが、一気に北朝鮮へ。さらにロヒンギャの問題へとシフトしている。マスコミの光のあて方にもよるのだろうが、日々刻々変化していく。まさに情報リテラシーが重要だと思う。

ともあれ、明日は休息をとるつもりだ。

2017年9月20日水曜日

IBTの話(126) マレーシア語

日本人会の無人古本コーナーに、「ニューエキスプレス・マレー語」(白水社)というマレー語を学ぶためのテキストがあった。CD付きで、本来の価格は2700円である。これをRM5で買った。妻が、以前から興味を持っていたので買ったのだ。日本人会のサークルにもマレー語講座があって、妻は日本人会に入るとしたら、この講座に参加したいと以前言っていたのだが、日本人会に入ることに躊躇して1年たつ。と、いうわけで私は買って帰ったのだ。

言うまでもなくマレー語は、マレー系の人々の言語であり、マレーシアの「国語」である。よって、わがクラスの中華系の学生も当然習得している。しかしクラス内は中国語(と、いっても広東語や客家語、潮州語などの違いを止揚したマレーシア独特のの中国語らしい。)が飛び交うのみで、マレー語をほとんど聞くことはない。

授業で、ちょっとシーク教の話が出てきて(確か日本国憲法の信教の自由についてのEJUの問題を解説していたときだと思う。)、「グル」について語っていたら、「それ、マレー語では先生という意味です。」と教えてくれた。「○○先生」という時ではなく、「私の職業はグルです。」というふうに使うのだそうだ。なかなか面白い。マレー語にはインド系の語彙も入っているようだ。普段使わないので意外に感じたが、彼らは当然マレー語も堪能なのだ。

ところで、このマレー語という表現は正しくない。普通に使われているのだが、私が尊敬する日本留学の先駆者であり、マレーシアの日本語教育の先駆者でもあるラザク先生は、「マレーシア語です。」と主張されている。マレー系の人たちの言語ではなく、マレーシアの国語であり他の民族にとっても国語であるから、という意味合いが含まれているのだ。したがって、私は今回あえてマレー語という表現をしたが、本来はマレーシア語と書くべきなのだ。

そのラザク先生(お亡くなりになってからはご子息)は、我がIBTの株主でもある。おそらくIBTからお願いして株主になっていただいたに違いない。ラザク先生のご一家は、その配当を全て本校の奨学金として毎年使われる。これがラザク奨学金である。今日、その募集要項の発表があった。私費生で、経済的に奨学金が必要な優秀な学生にRM5000が、大学入学前の物いりな時期に贈与される。今現在で日本円にすると13万円以上になる。校内選考の後、ご子息との面接もある。日本語での出願理由書とマレーシア語もしくは英語の翻訳が必要である。我がクラスからも是非、この名誉ある奨学金を受けて欲しいと思っている。

2017年9月19日火曜日

IBTの話(125) 再テスト AR

リトルロック高校事件の時のTIME 誌
https://ja.wikipedia.org/wiki/
総合科目の授業では、テキストにある練習問題を解答している。地理、歴史、経済の分野を終え政治分野に突入した。アメリカの政治体制については、毎回のようにEJUで出題されているのだが、州の独立と連邦政府との関わりの問題があって、いつものように脱線してしまった。

アーカンソー州のリトルロックの高校に黒人生徒が入学するハナシである。州知事がぞれを認めず、州軍と連邦軍がにらみ合ったという事実を語ったのだった。公民権運動についてもすでに語っているので、なるほどというわけだ。私などは、「そんなことをしたら、あーかんぞう。と言って連邦軍が来た。」などと関西弁の混じったシャレを言ったのだが、大爆笑になった。それだけ、日本語能力が高まっていると言うことである。

ところで、わがIBTでは、日本語の授業で多くの宿題やテストがあって、学生は毎日ヒイヒイ言っている。小テストやまとめテストで正解率80%を割ると再テストになる。昼休みなどに職員室で合格するまで受け続けなければならない。語学を学ぶというのはこういう地道な努力の積み重ねで、極めてパラノな戦いなのだ。その再テスト、K先生がずいぶん溜まっている学生がいるという。昼休みにそのリストを見せて頂いた。

今日の補習は社会だったので、再テストを受けてない学生は、まず再テストを受けるよう指導した。日本語の力の上に総合科目はあるからである。結局、7時まで私は残ったのだが、K先生の指導はさらに続いたのだと推測される。熱心なご指導に頭が下がる思いである。かなり後ろ髪が引かれたが、明日のこともあるので帰宅の途についたのだった。

再テストを貯めたら、あーかんぞう(アーカンソー:州コードはAR)。

2017年9月18日月曜日

朝の650番バスの風景

住処から見たタマンデサ中心部の風景
私の住むタマンデサには、650番のバスが走っている。時刻表などないし、極めて不安定なスケジュールで走っている。だいたい7時15分頃にバス停に立つ。今日などはすぐにバスが来たが、誰も乗っていない。摩訶不思議である。推測だが、タマンデサの最初のバス停が始点なのだと思う。私の乗るバス停は2つ目だからさもありなん。無人のバスに乗り込むのはなんとなく不安である。(笑)

普段は、陳さんという同じコンドに住む中華系の壮年や、インド系の壮年(2人いる)と同じバスに乗る。インド系の人はコンドの前でバスが来るのを待ってくれていて、来たらバス停に向かってくる。「coming Soon!」と合図してくれる。1ヶ月前くらいから中華系の若い女性も朝のバス友の仲間入りをした。いつも携帯を見ているので挨拶程度だけど。

バス停で待っていると、少し背の低いバングラディシュ人かインドネシア人の清掃スタッフが姿勢良く歩いてくる。なんとなく挨拶をするようになって1年以上になる。同じく、2人組の青年も来る。彼らと会うのはバスがかなり遅れている証拠だ。(笑)最近二人とも自転車に乗ってくる。給料を貯めて買ったんだと思う。いつも笑顔で挨拶する仲だ。

バスに乗っている人々も顔なじみだ。どこで乗り、どこで降りるのかもだいたい知っている。(笑)先日、新しい愛想の良い運転手が、道を間違えるという事件があった。乗っている乗客は大騒ぎ。みんなで左へ迂回すべきだとワイワイ言っていた。普段はみんな大人しいのだけれど、緊急の場合はそうでもない。結局、Dマーケット前のバス停には寄らず、2人ほどの待ち人は見捨てられてしまったのだった。日本では考えられないハナシだ。

IBTの国費生の寮になっているコンド前のバス停からも多くの人々が乗ってくる。その次のバス停は、インド系の人が多い。満員状態になる。ここで、時々目の不自由な中華系のご婦人が乗ってくる。民族を問わず、必ず優先席に座らせる。タマンデサをぐるりと一周して、いよいよミッドバレーへ向かう。バイクがバスと車の間をすり抜け走り去っていく。日本であんな運転をするとえらいことになるが、みんな平気だ。私がこっちで車を持たない最大の理由である。ローカルバスはいろいろあるけれど、やっぱり好きなんだなあ。

2017年9月17日日曜日

アメリカの先制攻撃ナシ論

アントニオ猪木が帰国してから、北朝鮮がまたまたミサイルを撃って、正距方位図法で見ると、グアムに十分な距離まで飛ばして見せた。今回も日本は迎撃しなかった。それでいいと思う。ここに来て、WEB上では、アメリカは先制攻撃など出来ないという論調が強くなってきた。

たとえば、これまでのアメリカの戦略で、空母の数が少なすぎるという軍事的な見方がある。リビア空爆時は3隻、湾岸戦争時は6隻。アフガン攻撃時は4隻、イラク戦争も6隻。北朝鮮の航空戦力はたいしたことはないが、イラン製のレーダーとロシア製のコピーの地対空ミサイルを配置している。西太平洋にある空母の現状はロナルド・レーガン1隻。他は中東に展開中だったり、訓練中だったり、ドッグで整備中。口でいくら過激な発言をしようと、本気でファイティングポースすら取っていないことは確かだ。
http://bunshun.jp/articles/-/4065?page=2

空母なしで、先制攻撃するとはちょっと考えにくい。グアムや在日米軍基地からの限定的な攻撃で片が付くとは思えない。まして、ハリケーン被害も重なってアメリカの内政がここにきて大きな危機を迎えている。まあ、完全に北朝鮮にその辺を見透かされている。

今日、衆議院の年内解散という話が出てきた。と、いうことは益々アメリカの先制攻撃なしという推論が正しくなる。国家の非常時に衆議院解散はありえないからだ。おそらく、官邸はアメリカから先制攻撃なしという言質を得たのではないかと私は思う。北朝鮮が自ら先制攻撃をすることは自殺行為に等しい。よって、いくら過激な発言をしてもないといえそうだ。危ないのはアメリカの方である。予防戦争などと言う理由で日本や韓国が被害を受けることは徹底して避けるべきだ。衆議院の解散云々はともかく、戦争回避できるならそれでいい。

2017年9月16日土曜日

マレーシア・デーに想う

https://www.askideas.com/16-september-malaysia-day-malaysian-flag-facebook-cover-picture/
マレーシア・デーである。休日なのだが、KLでは先日の独立記念日とは盛り上がりが全く違い、静かだ。今日は、ボルネオ島のサバ州・サラワク州がマレーシアに国民投票で連邦に参加が決定した日なのである。(シンガポールは後にマレーシア連邦から離れた。)

サラワク州は大幅な自治が与えられていて、KLから旅行するにはパスポートを持っていかねばならない。しかも日本人なら3ヶ月入国可能だが、半島部のマレーシアのパスポートなら2週間に限定される。これは、サラワクの民族構成・宗教構成が半島と異なり、マレー系はガバナーでありながら少数派であるためだ。イバンの人々など先住少数民族がマジョリティで、アニミズム信仰も多いし、キリスト教徒も多い。実際、IBTにも、サラワク出身でキリスト教徒のマレー系の国費生も学んでいる。要するに半島部とはかなりの違いがあり、経済的な格差も大きい。10年遅れていると言われ、政府も開発に力を入れている。先日紹介した「マレーシア新時代(三木敏夫著)」にも、このあたりの事情が書かれていて、気になるところである。

私はもちろんボルネオ島には、行ったことがないので大言壮語するつもりはないが、マレーシアを理解する上でもかなり重要な地域であると思っている。

IBTの話(124) OB・OGの来校

http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/index.html
日本の大学は今夏休みで、IBTのOB・OGが毎日のように来校してくれている。先陣をきって来校してくれたのはマレー系の国費生男子学生で10人くらいで来てくれた。彼らは2年間寮生活をしてきているので、文系・理系もなく団結が強い。みんなで富士山に登ったとのこと。久しぶりに顔を見て実に嬉しかった。私のよく知る文系の学生諸君は、さらに日本語も流暢になって成長を印象づけてくれた。実に面白かったのは、彼らがマレーシアに帰ってきて最初に食べたものは、ケンタッキー・フライドチキン。これは例年のことらしい。(笑)何故かというと、日本のKFCはハラル(イスラム教の食事規定)のものではないため、食べたくても食べれない。だから故国に帰って何よりも先に食べるのだそうだ。

次に国費生のOG達も帰ってきた。同じ大学の学生を連れて来るOGも多い。日本の友人にマレーシアを案内しているとのこと。マラッカにも行ったらしい。日本の友人はさすがにピカチュー(本年4月2日付ブログ参照)には乗らなかったとのこと。(笑)KLセントラルの近くの安宿に泊まっているらしい。さすが学生。それでいいのだ。

昨日は私費生(中華系)のOGが来てくれた。岡山大学と長崎大学。実は、この両大学の受験を考えている学生もいて、大学の様子を伝えてもらった。ちょうど金曜日で、イスラムの男子学生がモスクに礼拝に行く日なので昼の休憩が長い。ミッドバレーのモールで食事を取りながらいろいろと伝授してくれたらしい。ありがたいことである。私と話していて、面白かったのは長崎の話。長崎は食べ物が実においしいのだが、こちらの学生にはかなり甘いらしい。おそらく、日本全国甘めに感じるだろうと思う。日本のマクドナルドにはチリソースがないのが不思議(本年3月11日付ブログ参照)だったそうだ。(笑)

おおむね、みんななんとか授業について行っているようだ。日本人学生や他の留学生の友人も出来、サークルにも入って学生生活を満喫しているようで、実に嬉しい。

2017年9月14日木曜日

IBTの話(123) 進路指導の話

9月に入って、正規の授業以外の仕事、すなわちクラスの私費学生の進路指導の仕事が多忙を極めてきた。我がクラスには、現在23名の学生がいるが、進路については、およその4パターンがある。私立大学への進路を考えている者。国公立大学を第一志望としている者、専門学校への進学を考えている者。日本留学はせず、日系企業への就職や家業につく者。このうち、最も早くから進路指導を行ったのは、専門学校への進学者である。N2(日本語能力試験2級)もしくはEJUで日本語の点数が200点を超えると、専門学校への道が開ける。(反対にないと開けない。)6月のEJU、さらにはN2の結果を受けてすぐに動き出した。次に私大であるが、難関私大を受験する者と、比較的入りやすい大学を受験する者に別れる。我がクラスでは、難関私大志望者は2名。すでに、願書を日本に送付済みである。
一番大変なのが、国公立大学を第一志望にしている者である。IBTでは、国公立大学に合格したら入学金を返還してくれる設置者の帝京大学があるので、ここと併願する者が多い。マレーシア在住の学生にとって、日本の大学の難関度など全く解っていない。最初、「一橋大学を志望しています。」などと宣った学生がいて、後ろにこけたこともある。(笑)まずは、大学の難易度を示すところから始まった。

現在のところ、一応の志望校は固まりつつある。参考にする資料は、私費留学生の受験データである。日本の予備校の万歳システムのようなもので、我がIBTもこの資料作りに参加している。その最新データが今日、IBTに届いた。意外に一昨年度に比べてかなり難関になっている大学もあった。

一方、難関私大に挑戦する学生の小論文指導なども行おうと、過去問をネットでゲットしたら、内田樹先生の文章がでてきたりしてびっくりした。レヴィナスの話が出てきたので、間違いない。これは、なかなか難しい小論文問題だ。

なんやかんやで超多忙な担任生活を送っている。きっと日本の進路指導よりはるかに大変であると思う。雑談でも、日本各地に散らばる国立大学への航空便のハブ空港の話になったりするのである。まず羽田にKLから飛んで、その後、こうして、次に中部国際から乗り継いで…。まるで旅行会社のような担任業務もある。(笑)

2017年9月13日水曜日

正義のヒポポタマス(?)

http://karapaia.com/archives/52245643.html
北朝鮮への石油禁輸をはじめとした安保理決議は、ロシア・中国とアメリカの妥協によって、全会一致の比較的ユルイものとなった。私は、これでいいと思っている。日本が戦争に引きずり込まれるよりははるかに良い。アントニオ猪木も国連事務総長も、プーチン大統領も、米大統領のまともな側近の軍人も、よく頑張ってくれたと思うのだ。正義はどこにあるのか?不幸になる人間が最少限であることが、今回の正義ではないか。予防戦争なんて迷惑の極みである。

ところで妻は、WEBで面白い記事を見つけるのが趣味になっているようだ。先日も変な記事を見つけてきた。南アのクルーガー国立公園で、ワニに襲われたヌーを2頭のカバが救ったという記事だ。うーん、凄いな。正義のヒポポタマス。
http://karapaia.com/archives/52245643.html

私はケニアで、ピーター・オルワ氏に「カバが一番恐ろしい。」と習った。ピーター・オルワ氏は、実は日本の動物の専門学校の非常勤講師でもあり野生動物観察のプロでもあった。記事もあるが、おそらくこれはカバが縄張りを主張した行動であろうと思う。だが、実際には、ヌーを救ったように見えるのは間違いがない。弱肉強食の野生動物の世界では、正義など当然存在しないのだろう。

ところで、今回の北朝鮮の制裁に関しては、2頭のカバの役目をロシアと中国がしたような感覚が私にはある。もちろん、カバはカバなりの立場と利益があってこその行動だと思う。ちなみに救われたヌーは北朝鮮ではなく、日本と韓国、あるいは世界経済そのものである。
ではワニは…?

2017年9月12日火曜日

ラザク先生 名誉博士号の記録

https://www.hiroshima-u.ac.jp/ialumni/news/8928
クアラルンプールで、近々、ラザク先生のご子息が平和について講演をされるらしい。
何度かエントリーしたが、故ラザク先生は南方特別留学生として、東京空襲と広島での被爆を経験しながらも、帰国後マレーシアで日本語教育に携わった先駆的な教育者である。ご子息もまたマレーシア教育界で重要な地位を占めておられる。我がIBTにも、ラザク先生のお孫さんが先の国費生の卒業式に来られたし、ラザク奨学金というものもある。関わりは極めて深い。

ラザク先生の「わが心のヒロシマ」がもう一度読みたくなって、社長室に借りに行ったら、広島大学が出版した「被爆した南方特別留学生への名誉博士号授与の記録」が、その横に置かれているのを発見した。(両方とも3冊くらい本棚に並んでいた。)実に貴重な記録である。さっそくこれも借りて一読してみた。式典での、ご本人や親族、大学関係者、日本大使館の挨拶なども丁寧に記録されており、しかも関係者の寄稿として、広島大学の校庭でラザク先生たち異国の留学生と一週間野宿し、彼らに励まされたという思い出をお餅の栗原明子さんの文章は、普通のご婦人が書かれたもので、決して上手い文章ではないが、実に胸にせまるものがあった。京都で原爆症が悪化し没したオマール氏(ラザク先生と共にマラヤから派遣されていた。)の様子について書かれたラザク先生の栗原さん宛の葉書も記録として残されている。この葉書の内容は、オマール氏の死を伝えながらも、栗原さんをすこしでも悲しませないように、明るい調子で書かれている。ラザク先生の御人柄を偲ばせるものである。

以前エントリーした兵庫県立大学の宇高先生も寄稿されているし、1997年に発行された南方特別留学生招聘事業の研究(江上芳郎)から、抜粋された被爆の詳細な記録も載っていた。なかなか凄い記録なのであった。

こういう蔵書をもつIBTを、改めて誇らしくと思うのであった。

2017年9月10日日曜日

中国の若者の「喪の文化」

http://img1.gooread.com/images/20170503/361e8a21f5a758d7b3c2ad8d02eb7bce.jpg
ロイターのWEBページに「焦点:中国のミレニアル世代に蔓延する自虐的喪の文化」という記事があった。社会学的な視点から、ミレニアル世代(18歳~35歳くらい/3億8000万人)の悲哀を綴っている。
http://jp.reuters.com/article/china-congress-millennials-idJPKCN1BJ0S0

北京に「喪茶」というチェーン店があるそうだ。「何も達成できないブラックティー」「元彼(女)の方がいい生活をしているフルーツティー」などの冗談半分の名の付いたお茶がメニューらしい。ミレニアル世代にとって、今後のキャリアや結婚の見通しは暗い。希望を失った彼らは、ソーシャルメディア上で「喪」という態度を示しているとの事。皮肉に満ちた敗北主義を楽しむのが「喪」の文化だという。「喪」の文化を代表するネット著名人のある日の投稿。「今日は社会主義のために戦いたいと思っていたけれど、あまりに寒いのでベッドに寝転がって携帯電話をいじっている。」

この背景にあるのは世代の格差である。この上の世代は、(資本主義化の波が到来したために)思いもよらない機会に恵まれたが、この世代にはそのような希望がない。大学卒や留学生の希少価値は下がりつつあり、それが初任給に如実に現れている。住宅価格の高騰や晩婚化なども大きなストレスになっている。彼らの不満がネットに沈滞するわけだ。当然、政府はこのような動きを座視するわけがない。人民日報にも、これへの批判記事が載ったそうだ。

…現代中国の抱える社会的な病巣のひとつだといえそうな「喪」の文化。だがこれは、先進国と共通するものであるだろうと思う。そうか、言論や表現の自由度が低い中国でも、押さえがたいペシミズムを若者は共有し発信しているのかというのが私の感想だ。私自身は、教育者として、ペシミズムの対蹠点にある存在である。だが、若者は本来的にそういうペシミズムを抱え込んでいるものだ。それが、「喪」という漢字で表現される中国の凄みを感じるが、決して新しい動きではないと私は思うのである。

2017年9月9日土曜日

エチオピア 観光開発の失敗

国立公園内で行われる放牧 https://synodos.jp/international/20205/2
エチオピアのネチザル国立公園の保護・管理・保全・をオランダのアフリカンパーク財団に委託させ失敗に終わったという福島大学の西崎信子教授(行政政策学)の論文が掲載されていた。

エチオピアは、他の東アフリカ諸国のような私有地化が進んでおらず、社会主義政権時代以来国土全体が国有地でり、野生動物の保護地域が拡大されたのはよいけれど財政的には厳しい状況で、管理保全を政府が行う余裕はなかった。そこで、先進国の環境保全に積極的なNGO(前述の財団)に民間委託された。
観光業は、うまくいけばかなりの経済効果が見込めるし、雇用も促進する。エチオピアも、2004年に財団に委託した頃から経済成長も順調になったので、インフラやホテルなど観光産業も開発し、エコツーリズムのかけ声よろしく観光客も順調に伸びたらしい。

しかしながら、この開発は挫折してしまう。国立公園内の保護区に、コレやグジといった人々が1万人ほど半農半牧の営みをしていたことが判明し、財団は違法な在住であるとして、排除する計画を事前に立てていた。これに国際人権NGOが人権侵害だと非難することになる。この財団は他の国立公園でも同様の住民とのトラブルに巻き込まれることになり、結局この開発計画から撤退してしまったのだ。

そこに生きる彼からからすれば、環境保全の重要度に対する意識は低いし、観光業の開発による雇用などは信用できないものだったのだ。グジの人々は、社会主義政権下で強制移住をさせられ、混乱期に戻ってきたという、まるでチェチェン人のような過去を持っている。今回の環境保全の動きは、単に強制移住の繰り返しだと思ったわけだ。したがって、これらの住民との摩擦は、ある意味当然であって、先進国の机上で策定されるエコツーリズム・プランという美句で簡単に片づけられるハナシではなかったわけだ。
https://synodos.jp/international/20205/2

観光だけにとどまらず、開発政策には多面的な住民との様々な軋轢がつきものである。

今日も、EJUのための国費生対象の補習が午前中あって、その後進路の相談を受けたのだが、政策学をやろうと考えている学生には、こんなハナシもしてあげたほうがいいなあと思ったのだ。

2017年9月8日金曜日

メキシコ地震の報に接して

http://www.huffingtonpost.jp/2017/09/08/mexico-earthquake_a_23201173/
メキシコで、M8.1の地震があったそうだ。早くも大惨事の情報が出ている。メキシコは、元亀山社中で坂本龍馬の盟友であった陸奥宗光以来の親日国でもある。朝のニュースでは、北朝鮮の在墨大使を国外退去の処置にしている。今、メキシコはアメリカ政府と緊張関係にある。どちらかというと日本との友好関係の中でそういう政治的処置を執り、国際世論をリードしようとしたのかもしれない。いずれにせよ、メキシコは、日本の大切なアミーゴである。こういう複雑な情勢ではあるが、日本政府には緊急災害支援を出来る限り大規模に行うよう希望したい。

私事になるが、メキシコには私の大切な教え子が嫁いでいる。チワワ在住である。メキシコシティーも大揺れであったらしい。大丈夫だろうか。非常に心配しているところである。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM08H51_Y7A900C1FF8000/

2017年9月7日木曜日

アントニオ猪木と山岡鉄舟

http://boku-pro.com
/news/view/11825
アントニオ猪木というか、猪木寛至参議院議員(無所属)が北朝鮮に旅立った。この訪問に対して批判が強いが、私は応援したい。まあ、プロレスラー・アントニオ猪木としては、かなりうさんくさい部分も若干あるが、私は新日本プロレス派だったので、当然猪木ファンである。

今回の訪朝は33回目になるそうだ。師匠である力道山が北朝鮮出身であることから、訪問が始まり、師匠と共に記念切手にまでなったという。今でもかの地では絶大な人気がある。韓国も対北米支援を猪木氏に託したこともあるそうだ。

他にもキューバでカストロ首相と西側の人物として8年ぶりに会ったりして世界的ニュースになり、以来親交を続け、昭和天皇崩御の際キューバは1週間半旗を掲げてくれたという。また湾岸戦争時、一人でイラクに乗り込み、フセイン大統領と交渉して人質になっていた日本人46人を救出した実績もある。これは、イスラム世界の英雄、パキスタンの国民的格闘家をセメントマッチ(本気の戦い)で破った人物として尊敬されているからで、もちろん、世界的なボクサー・モハメド・アリと戦い、以後互いに友情を暖めてきたという面もある。パキスタンでは「猪木記念日」までつくられたという。
http://diamond.jp/articles/-/141325

http://asanogawa.exblog.jp/tags/
私は、ふと幕末の三舟の一人、山岡鉄舟を連想した。勝海舟の依頼を受けて、江戸攻撃の準備に忙しい西郷を一人訪ねていった豪傑である。禅と剣の達人でもあり、後の明治天皇の侍従を務め、死の際には皇居に向かって結跏趺坐のまま息絶えたという人物である。プロレスという格闘技は、スポットライトに照らされるようになるまで、恐ろしいほどの鍛錬が必要である。長年格闘技の世界に生きてきた猪木もまた、山岡鉄舟とは違ったカタチの達人であることは間違いない。

そんな無所属の参議院議員の猪木寛至が北朝鮮に行ってどうなるのかは、わからない。おそらく猪木の頭の中には、平和を望むという極めて単純なポリシーしかないのではないか。事を動かすというのは、そういう悟りに似た信念が必要であるような気がする。批判することは誰にでも出来る。だが、単身乗り込んでいくというのは誰にでも出来ることではない。私は、猪木の行動に拍手を送りたい。

中国が奇襲攻撃に備えて演習し、ロシアのプーチン大統領は再度警告を発した。アメリカは国連安保理に原油禁輸の決議案を提出した。韓国は9日にもICBMの発射があると予告した。猪木にとって、時、来たれり、ということか。猪木に現代の山岡鉄舟になって欲しいと私は思う。

2017年9月6日水曜日

北の核実験を無視しよう。Ⅱ

http://site-compass.
co.jp/sakuhin.html
このところのWEB上の論評を見ていると、アメリカの軍事攻撃を否定するものが多くなってきた。アモイで開催されたBRICSサミットの閉幕でのロシアのプーチン大統領の演説は、かなり衝撃的だった。「北朝鮮は雑草を食べることになったとしても、自国の安全が保障されない限り核開発の計画をやめない。」「北朝鮮危機がエスカレートすれば世界的惨事に陥って大量の犠牲者が出る」
https://www.cnn.co.jp/world/35106868.html

スイスの大統領から米朝対話の仲介役の用意があるとの声明もでた。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/09/post-8379.php
一方で、冷静に軍事的な問題を突いて、最終的にアメリカに勝ち目がないとの警告も出てきている。
https://top.tsite.jp/news/news/o/36975442/

アメリカのホワイトハウスも妙に静かだ。国内問題でかなりの重圧がかかっているのかもしれない。あの軽薄な中心者を押さえて、周囲の軍関係者の統制が取れているとの報告もある。

一方で、北朝鮮は9日あたりをめどに、またミサイルを撃つ可能性が高いとの情報もある。今度は沖縄を飛び越えてみせるのだろうか。いずれにせよ、国際世論がアメリカの冒険主義的軍事行動を押さえてくれることを期待したい。日本はせいぜい、国際世論とアメリカの間に立ってなだめる役に徹すればいい。それが、最も肝心だと思う。

2017年9月5日火曜日

IBTの話(122) 命のメジャー

スクールホリデーが明けて、授業が再開した。昨日の臨時休日で、月曜の時間割で今日を乗り切り、結局木曜日の時間割がぶっ飛んで、金曜日までスライドするらしい。(金曜日はイスラム教の礼拝にマレー系の学生が参加するので変更がしにくいという理由もある。)

総合科目の公民分野ももう少しでフィニッシュである。今年度に出た改訂版テキストで、食糧問題やエネルギー問題を最後の項目として教えている。
食糧問題では、食糧生産の地域差のハナシを通じて、地理分野の復習につかったり、南北問題の復習に使ったりした。今回、マレーシアにUNHCR(これもEJUでよく出題される国際機関なので復習)の「命のメジャー」を持ってきていたのを思い出した。紙でできたメジャー(上の画像参照)で、これを子供の手に巻くと、簡易的に栄養失調の度合いがわかるというものだ。何人か両クラスとも実際に学生に計らせてみた。当然、グリーンで問題がないのだが…。一方で、「スーパーサイズ・ミー」の映画のハナシから飽食についても語ってみた。人口問題と密接な関係にある食糧問題。ついでに、フードマイレージのハナシも入れてみた。

こうして、講義をするのもこの一週間くらいである。後は、模擬問題や練習問題の解説が延々と続く。

2017年9月4日月曜日

人類最大の脅威 ランキング

https://gr.pinterest.com/explore/university-rankings/?lp=true
シーゲームのマレーシア総合優勝による臨時休日である。とはいえ、どこに出かけるでもなく住処でのんびり過ごしている。例の北の核実験で気分的にはのんびりしているわけではないが…。ホワイトハウスの見解がやっと出たが、まあ、想定内の対応である。

そんな時間が過ぎゆく中で、妻が面白いWEBのニュースを発掘した。妻はスマホでよく見つけて教えてくれる。イギリスの高等教育の情報誌「Time higher Education 」の8月31日付の記事の翻訳である。ノーベル賞受賞者50人に「人類最大の脅威」は何かを問うている内容だ。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw2955074?news_ref=top_latest
 *ランキング順位は、WEB記事による。
11位(1人):フェイスブック
10位(1人):ドラッグ
9位(2人):人工知能
8位(2人):不平等
7位(3人):無知・真実の歪曲
6位(3人):原理主義・テロリズム
5位(3人):ドナルド・トランプとその他の無知な指導者たち
4位(4人):自己中心性・不誠実・人間性の喪失
3位(4人):感染症・薬物耐性
2位(12人):核戦争
1位(18人):人口増加・環境問題

世界の知性と呼んでも良い人々の解答、なかなか興味深い。項目は分かれているが、私は7位と5位はポピュリズム政治として合わせても良いような気がする。ならば、一気に3位浮上だ。そのポピュリズムが現在、2位の核戦争の緊張を生んでいると言えるわけだ。万が一、極東で日本・中国も巻き込むような有事となれば、グローバル化した世界経済は大打撃を受け、世界中の人々に悪影響を与えるだろう。グローバル化した世界では、今や、先進国を巻き込んだ戦争は出来ないのだ。あまりに影響が大きすぎるのである。

2017年9月3日日曜日

北の核実験を無視しよう。

凄い台詞 http://polandball.blog.fc2.com/blog-entry-2773.html#container
ここマレーシアは、のどかな日曜日である。朝、妻と買い物に出かけようとしたら、見るからに日本人という老ご夫婦が我が住処の正門にやってきたところだった。お聞きすると、23年前、このコンドミニアムが新築だった頃3年間住んでおられたのだという。マレーシア滞在の先達である。もうご主人は71歳であられるそうな。一度どう変わっているかを見たいと神戸からやってこられたのだった。今は関空から直行できて早いとのこと。以前はシンガポール経由だったそうである。妻と買い物をしながら、当時の様子を想像して、今がいかに便利かを実感した次第。

そんなのどかな一日がぶっ飛んだ。北朝鮮が核実験を行ったようで、日本も大騒ぎになっている。不気味なのは、ハリケーンの被害が甚大で内政に関わらざるを得ないホワイトハウスの動きである。エントリーしている時点で、何らコメントがない。そもそも、大統領と側近たちのコメントが180度違っし、何を言ってもウソっぽく聞こえる。ツイッターなどで軽々コメントされるのはまっぴらごめんだし、さすがに今回は熟慮しているのだろうか。願わくば、外交努力で決着をつけて欲しいが、外交というのは高度な頭脳戦である。

たまたま日中国交回復時の中国側通訳氏の舞台裏が、WEB上で公開され、いかに神経戦であったかがわかる。今のホワイトハウスにそのような期待がもてないのが辛いところだ。
http://www.recordchina.co.jp/news.php?id=189336&s=13&c=30&n=1

ナチス礼賛や教師が使ったら懲罰モノの言葉を平気で使う輩も内閣にいたりして、日本政府もまた過度な期待を持てないのも辛い。とにかく、この北朝鮮の核とミサイルの問題は米国と北朝鮮の問題であることを再度確認したい。日本はとにかく、アメリカ・ファーストの「予防戦争」に巻き込まれないことだ。

2017年9月2日土曜日

適度な先進性と適度な後進性

http://sites.thestar.com.my/aamwalk/
「マレーシア新時代」(三木敏夫著/創世社新書)をやっと読み終えた。意外に長くかかったのは、後半部があまり面白くなかったからである。今日は、この本に出てくるマレーシアの「適度な先進性と適度な後進性」というレトリックを元にエントリーしてみたい。

今週のスクールホリデーは、旅行や観光には行かなかったけれど、いろいろと所用があって住処に引きこもりというわけではなかった。火曜日は、シャーアラムにあるCANONのサービスセンターに行ったし、水曜日は病院や銀行に一人で行ったし、木曜の夜はA先生と妻と新しく出来た近くの焼き肉屋へ。金曜日はまたまたA先生と夫婦共々NSK(業務スーパー)へ行った。今日もチェラスまで所用があったので妻と行ってきた。帰りにはブキッビンタンから先日開通したMRTにも乗ってみた。出不精の私としては、なかなかの出家率である。(笑)

マレーシアの先進性は、ITを駆使して第三次産業が隆盛していることで証明できる。KLの中心、ブキッビンタンに今日はスニーカーを探して行ってきたのだが、パビリオンやLOT10といった有名なモールの中は、先進国そのものである。日本の商品も少しばかり高いが、かなりの種類がこちらで手に入る。最近開通したMRTも、素晴らしい新交通機関だ。しかし、一歩裏道に入ると、路地には開発途上国らしい雑然とした雰囲気がある。私は、もちろん嫌いではない。と、いうより親しみを持っている。こういう表面的な「適度な先進性と適度な後進性」は、おそらく長期滞在しなくてもわかるだろうと思う。
http://www.mymrt.com.my/en/sbk/trains
しかしながら、マレーシアの「適度な先進性と適度な後進性」というレトリックは、私にとってはガバナンスの面で痛感するところである。たしかに先進国並みにIT化が進んでいて、若い人やIT慣れしている人には十分その先進性を受け入れることが出来るが、私のようなデジタルデバイドのおっちゃんにはかなり厳しい。銀行や税務など、ちょっと気後れしてしまう。ちょっとしたミスでやり直ししなければならないことが多い。(他の先生方の話を総合すると)しかも対応してくれるスタッフによって、かなりサービスが違う。早い、遅いの差は日常的。マニュアルがないのかもしれないし、引き継ぎにいたっては絶望的なこともある。

車を運転しようにも、スマホのナビがなければどこへ行くのにもローカルの人でさえ不便する。これには、少し解説が必要かと思う。マレーシアは極めて車社会で、しかもフリーウェイの高速道路が縦横に張り巡らされている。信号はかなり少なくて、停滞さえなければ移動時間は極めて短くて済む。ただし、道を間違うと地獄である。もの凄い距離を迂回するはめになるのだ。これらは、先進性でもあり後進性でもあると言えそうだ。

とはいえ、マレーシアの魅力はこの「適度な先進性と適度な後進性」だという著者の論には賛成するしかない。

ところで、私の街タマンデサを走る650番のバスは、時間が不確かだし便利なようで便利でない代物なのだが、人間的である。バス停の間でも手さえ挙げれば止まる。これはおそらく官僚制から見たら後進性なのだと思うが、嬉しくなる。顔なじみのサングラスをかけた650番の運転手と、今週は3度も会った。まずは、月曜日だったか、妻の体調が悪くて一人でスーパーに買い物に出かけたとき、偶然目があった。彼はフォーンを慣らして挨拶してくれたのだ。火曜日に病院に行くため坂を下っていたら、また会った。手を挙げて挨拶してくれた。そして、今日、始点であるパサセニのバスステーションから乗り込んだら、運転手が彼だった。もちろん親しく挨拶した。我がコンドミニアムの向こう50mほどのところに正規のバス停があるのだが、何も言っていないのに、当然のように正門前で止めてくれた。

こういう人間的なコミュニケーションがマレーシアには溢れている。もちろん全員が全員、善男善女であるわけはないが、私がマレーシアに住んでいて最も良いと感じる点である。おそらくは、「適度な先進性と適度な後進性」と「多文化共生」が融合してできた国民性が心地よいのではないだろうか、と思っている。

2017年9月1日金曜日

ケニア大統領選挙の無効判決

http://jp.reuters.com/article/kenya-election-idJPKCN1BC4E5
私がJICAの視察旅行で、初めてケニアに行った時、大統領はキバキ氏だった。現地ガイドの故ピーター・オルワ氏はルオ人であったこともあって、マジョリティであるキクユ人のキバキ氏に対し大きな不満を持っていたのをよく覚えている。2007年の大統領選挙では、ルオ人のオディンガ氏とキバキ氏が大統領選を戦い、その選挙に不正があったとして暴動が発生、1000以上が死亡する。いわゆるケニア危機である。

ケニアはアフリカの優等生と呼ばれるほどの国だった。それが、大統領選で経済格差による民族間の対立が露骨に現れ、私も大いに驚いたのであった。当時のアナン国連事務総長が仲裁に入り、キバキ大統領・オディンガ首相という連合政権を樹立、やっと危機は去った。(そもそも2002年の大統領選挙時に、当時協力関係にあったオディンガ氏を首相にする密約があったらしいが、キバキ大統領が反古にしたらしい。)

2013年の選挙では、キバキ派の副大統領であったケニヤッタ氏(初代大統領の息子でもある)が、僅差でオディンガ氏を破る。この時は、国連の監視団がやってきたおかげで多少襲撃事件などはあったが、無事に終わった。とはいえ、この選挙でも野党側からは不満が高まっていたようだ。2014年4月、ケニヤッタ大統領は2007年のケニア危機の首謀者として訴追され、ハーグの国際刑事裁判所に出廷している。

さて2017年8月の大統領選挙では、ケニヤッタ氏が再選を果たしたのだが、この選挙は不正があり無効だと、今日、ケニアの最高裁は選挙のやり直しを命じたのだ。6人中4人の判事が無効と判断したらしい。

デモクレイジーが当たり前になっているアフリカ諸国の中で、ある意味歴史的な判断であるのかもしれない。私には、この選挙が不正だったのかどうかを知る術を持たない。最高裁の判断は尊重されるべきだとは思うが、某隣国の裁判所のように感情に流される政治的な判断を下す場合もなきにしもあらずである。よくわからないと言ったほうがいいだろう。いずれにせよ、ケニアがまた混乱し、ケニア危機が再来しないことを強く望みたい。

祝 W杯アジア最終予選突破

https://mainichi.jp/graphs/20170831/hpj/00m/050/003000g/31
日本代表が、昨夜のオーストラリア戦に勝利して、ロシアW杯出場を決めた。我がマレーシアの住処では、日本のTVを観ることができないので、昨日はネットで結果を知った。その後、早くもYou tubeで速報画像が出たので、シュート・シーンも観れた。いやあ、便利な世の中になったモノである。

と同時に、20歳過ぎの若手が活躍しての勝利、時の流れを感じる次第。日本代表は、ドーハの悲劇ぐらいからずっと応援している。特に贔屓のJリーグのチームがあるわけでもなく(ガンバ大阪やセレッソ大阪が優勝したりするとちょっと嬉しいが…。)、”なんちゃって”応援団の1人ではあるが、この日本代表の戦いはずっと注視してきた。

今や海外組がほとんどで、技術とともにメンタル面も磨いている。それだけ消耗も激しいのだろう。若いメンバーが活躍することは嬉しいが、同時にベテラン陣のことも気になる。私は特に、サイドバックの長友が大好き。昨日は先制のアシストをして、ベテラン陣の中では特に、一人気を吐いていた。キャプテン長谷部も怪我から復帰して、守備陣をまとめていた。冷静な中心者が絶対日本代表には必要だ。2002年・2006年のキャプテンだった宮本恒靖と印象がダブる。

W杯出場は決まったが、新たなポジション競争が始まる。サッカーの日本代表は極めて厳しい世界だ。新旧を組み合わせた新たなベストメンバーが組まれるのを楽しみにしたい。