2021年9月30日木曜日

総裁選 祭りのあと

自民党の総裁選が終わった。結局、岸田氏が決選投票で河野氏を退けて勝ったようだ。特にコメントはないのだが、ネトウヨさんの多くが高市氏を熱烈応援していたので、ちょっと元気がない。まあ、たしかに河野氏ではないのが救いではある。

焦点は自民党三役人事に移っている。幹事長、総務会長、政調会長。いろいろと観測記事が上がっているが、確定ではないので、今はぐちゃぐちゃ言う時期ではないと思う。閣僚人事も重要だが、この自民党三役はある意味、それ以上のパワーがある地位である。高校の政治経済では、このようなことは教えないので、新聞記事を読んでも分かりにくい。

幹事長は党のカネと人事を握るので、総裁の次に権力を持つ。選挙の公認も幹事長の大きな仕事だ。誰がなるのかは極めて重要。今回の総裁選のように、結局派閥の力学が動くと、複雑な様相を見せる。総務会長より政調会長の方が重要で、党の政策決定に絶大な力をもつ。

今回は、若手議員が派閥の意思に従わず、自己の考えで候補を選ぶなどという動きはあったのだが、結果を見れば少し違うような気がする。まあ、今回の総括が様々なところで出されるだろうから、それを待ちたい。

…祭りのあと。今日の画像は、吉田拓郎の名曲・祭りのあとが収録されているアルバム「元気です。」にしてみた。…いやまだ祭りは続く。

2021年9月29日水曜日

ゴルゴ13 死す

さいとうたかを氏が逝去されたそうだ。謹んで哀悼の意を表したい。私がゴルゴ13を読み始めたのは学生時代。月2回ビッグコミックを買って読んでいた。ビッグコミックで読むのをやめても、別冊本などで読んでいた。莫大にため込んでいたが、今はどこにあるやら。最近の作品はあまり読んでいない。

現実の国際情勢を元につくられた脚本が多く、社会の教師としては学びのきっかけになることもあった。最初はゴルゴの超人的なスナイパーのスキルを中心にしたものが多かったが、その作品ごとの背景から人間について、あるいはその地域について考えさせられるものなど、様々な作品群が発表されていた。

今でも印象に残っている作品は、ゴルゴ13のルーツにまつわる作品の中でも最高傑作であると思われる「芹沢家殺人事件」。これは「日本人東研作」や「おろしや間諜伝説」などよりかなり現実味があって、よく覚えている。タイトルまで忘れていないのはそれだけインパクトが強かったのだと思う。始めて読んだ作品も印象に残っている。「棺に誓いを」である。スペインで兄の敵を討つためにゴルゴを狙う弟とそのバックにつくKGBの話だ。

ゴルゴ13に助けられたことがある。初めてアメリカに行った時、ミルウォーキーのパーティーで、カナダからのゲストがいた。ウィニペグから来られていたのだが、「マニトバ」州ですねと私が言ったので、握手を求められ日本の社会科教師は優秀だという証明が出来たことがある。これは、ゴルゴ13のマニトバというタイトル作品のおかげだ。

語りだすと長くなる。あの生物兵器に対しても生き延びたゴルゴ13。ついに、ゴルゴ13は死なないままに終わった。ゴルゴ13の死ぬシーンなど見たくはないが…。

重ねて、さいとうたかを氏のご冥福を祈りたい。最高のエンターテーメントの劇画を提供していただき、ありがとうございました。

2021年9月28日火曜日

マレーシア考現学

みさこうDAYである。今日は私が「マレーシア考現学」として、マレーシア研究の成果を披露した。まずは、マレーシアの地理的な話。次に歴史的な話、大航海時代の最終局面で、マレー系の地域に宗主国イギリスが、中華系、インド系をマレーシアに呼んだこと、独立時にイギリスの多民族共生を条件としたこと。もちろん、各民族の紹介も十分しておいた。インド系の奇祭タイプーサムはかなりインパクトがあったようだ。

社会科学的に見た場合、ブミプトラ政策がなぜ必要だったか。経済格差を埋めるための方策で、少しばかり実際の政策も披露。

その後、連邦憲法からマレーシアを見ると、このブミプトラ政策に関係が深い、国教・国語問題、スルタン制の問題などを紐解きながら解説した。高校生には少しばかりハードルの高い内容ではあるが、政治経済を習っていれば、なんとか理解できるだろうと思う。

実際、参加者には好評だった。内容が内容だけに本当に興味のある生徒しかいなかったのだからだけど。(笑)私としては、2年間温めてきた企画だっただけに、大満足である。

2021年9月27日月曜日

超二流

https://www.nikkansports.com/baseball/news/202002110001289.html
故野村監督が、超二流と呼んだ選手がいる。「超二流をあえて定義するならば、自らの強み長所と弱点を理解して、強みを生かせるように頭を使う選手のことだろう。」そもそもは三原監督の言葉らしいが、これを特集したYouTubeが面白かったし、考えさせられた。

https://www.youtube.com/watch?v=GkoKfXTZZlM

オールスターで9人連続三振を取った江夏豊、ヤクルトで活躍した飯田哲也、西武の監督になった辻発彦、アテネ・北京両オリンピックの主将を務めた宮本慎也、東京オリンピックのキャッチャーとして大活躍した甲斐拓也。いずれも、問題を抱えながら、あるいはそんなに期待されない選手であったにもかかわらず、一流の選手になった選手の話である。

ふと考えると、私は教師としては、一流ではないと思っている。学歴の問題が第一。特定の部活(野球だとかサッカーだとか)の指導ができないことが第二。もちろん、授業やクラス運営、イベント運営などは誰にも負けないという自負はあるが、この二点の弱点があるので、とても一流とは言えない、だが自分を二流の教師だと卑下したことは一度もない。

…超二流。なんかいい言葉だなと思う。画像を検索したら、意外とメジャーな言葉なのだと知った。

2021年9月26日日曜日

笑止 年金=消費税論

https://ito-design.link/nigaoe/youtube-2/
すでに謝罪して撤回したようだが、自民党総裁論で河野氏が、年金を消費税でまかなうという、昔民主党が主張してすぐ撤回した政策を再度打ち出したのは、笑止である。間接税は、富者と貧者に平等な税で、消費税が上がると収入に占める消費の比率が大きい貧者が苦しむことは明白であることは、高校・政治経済の財政政策の基本中の基本だ。貧者を苦しめて、貧者を救おうという全くバカげた政策である。

このような理屈がわからないような人物が、国のトップについていいわけがない。自分の派閥のトップ・麻生財務相に、年金を消費税でまかなうなら18%~23%に上げなければならないとこの政策を否定されたのがさらに笑止。しかも謝罪・撤回の時に、消費税の%アップについては「枝葉なことだが」と吐き捨てたという。どこが枝葉なのだろう。このような「優秀な」人物がワクチン接種をガムシャラに進めてきたわけで、こちらもどうも信用がならない。

さらに例の弟が社長を務める企業が、中国とズブズブで、ウィグルと関係する企業と取引があるのではないかという疑惑も出てきた。これも笑止。どちらを向いて政治をしているのか、という疑惑がついて回る。

マスコミでは河野有利が伝えられているが、このような反面的な報道があまりされていないらしい。日本の総裁選(実質的な首相選挙)もアメリカ大統領選同様に盗まれたものではないか、と疑惑があると私などは思うのだ。

2021年9月25日土曜日

外伝 教材研究(地理編)

系統地理の授業で、アメリカの農業区分は超重要な分野である。アメリカの適地適作は、かなり徹底している。そもそも農業はビジネスであることを体現しており、企業的な経営がなされている。

さて、社会科全体が変わろうとしている。新指導要領の件は先日エントリーしたが、その先駆けとして共通テストが大いに変わった。単に整理して暗記する能力より、資料を分析し、思考することを求められるようになったからだ。

上図は三崎高校で使っている地理のサブノートの演習問題である。①は酪農地帯なのだが、何故ここが酪農地帯なのか。それは、気候、地形と土壌、さらには社会的条件による。このあたりは、ケッペン気候区分で言うとDf(冷帯湿潤気候)で、日本で言えば北海道という感じである。一方、地形は五大湖周辺で、この五大湖は世界的に有名な氷河湖であり、氷食地形で土地は良くない。では社会的条件は何か?私なら、このあたりに移民してきた人々に着目する。こんな資料を見つけた。

https://www.businessinsider.jp/post-801
これは、アメリカ各州におけるそれぞれの年度の最も多い移民の出身国である。字が読めないと意味がないので拡大できることを付け加えておきたい。たとえば、ミネソタ州(MN)は、当初ドイツ系が多いが、スウェーデン系が主流になっていく。北欧は酪農の本場である。土地がやせているのを逆手にとって牧草を育て、乳牛を飼い様々な乳製品を生産する農業ビジネスである。この①の酪農地帯はドイツ系と北欧系がその生業として最も適したものとして確立していったのではないかという仮説が成り立つ。ドイツの約半数はルター派で北欧諸国と同じである。宗教的にも共存しやすいはずだ。

ちなみに、これも南隣のアイオワ州(IA)で研修旅行の付き添い時にホームステイさせてもらったミラー氏はルター派の熱心な信者で教会にも連れて行ってもらった。しかし奥さんは家で屋根の修理をされていた。彼女はアイルランド系でカトリックなんだそうだ。

ところで1990年は、MNのラオスが移民の首位を占めている。私はMNには行ったことがないが、隣のウシスコンシン州(WI)のキング高校に視察に行った時、ラオス人の女生徒と出会った。おそらくは難民として受け入れられたのであろうと思われる。そのWIの州のニックネームは「酪農州」で、州都ミルウォーキーでは、ホルスタイン柄の市バスが走っていた。

2000年以降は、全国的にメキシコ系(FLはキューバ)が移民の首位を占めていたりして、アメリカにおけるヒスパニックの増加が顕著であることもわかる。じっと見ていると様々なことが分かって実に楽しい。

こういう学習をこれからやっていくことになるんだろうなあと思う次第。

2021年9月24日金曜日

中国とマレーシア華人の相違

https://aminoapps.com/c/polandball/page/blog/a-bit-late-but-heres-chinese-new-years/LWxp
中国の大学の先生が、「あなたが何でもできる独裁者であるとして何をしたいか?」という問いを発し、学生に少しだけ考えさえ、こう言う。「それが人間です。」と。あるYouTubeの中で語られていた蘊蓄のある話である。多くの学生は、自分の欲望を満たすことを考えてしまう。国民のために、このような善政を行うと考える者もいるだろうが、それを続けるのは疲れる。実際、名君とよばれた専制君主でもそれを終生貫くことは至難である。「独裁」に潜む真理は、「人間はそんなに善ではない。」ということであり、歴史は証明している。特に、共産党独裁の歴史は、ソ連も中国も、司法もマスコミも独裁側で批判勢力がない故に極めて暗愚な分配を行ってきた。ノーメンクラツーラも中南海もである。

マレーシアの華人は、中国本土の人口圧から錫の採掘のため渡馬してきた。その後商工業も得意なのでさらに渡馬してきた。私の大切なPBTの教え子たちや友人はその子孫である。マレーシアでは、ブミプトラ政策のために、ある程度制約がある。華人からみればたまったものではないのだが、その重石はうまく働いているといえるかもしれない。マレーシアは中進国で、今なお開発独裁が行われているが、民主主義は根付いている。言論の自由は「微妙な問題」で完全ではないが、マレーシアの民主主義は、汚職にまみれたナジブ政権を駆逐することに成功した。人口比でマレー人の政治的優位は動かないが、経済政策などは中華系がリーダーシップをとっている場合が多い。

民主主義は絶対ではないが、独裁政治よりは良いというのが、現在の世界的潮流だろうと思う。マレーシアの華人は、勤勉で、労働意欲や克己心が強い。拝金主義はあるがマレーシア社会の重石がうまく作用して相互扶助へ向いているような気がする。旧正月には、ミカン(オカネと同じ発音)があふれ、赤と金色に彩られるが、マレー系、インド系への配慮もある。猪年の際は干支である豚を前面にださなかったり、西遊記の映画の看板では猪八戒が消されていたりする。多民族国家マレーシアでは、自民族の誇り、アイデンティティを重視するが他民族に対する批判中傷はご法度。互いにその暗黙のルールを守っている。だから、良い国民国家となっているのである。もちろん、中華系の教え子たちの中でも、マレーシアへの愛国心と中華系としてのアイデンティティのどちらを重視するかでは、意見が分かれるところだろうが…。

一方、中国本土にはそういった重石はなく、共産党のやりたい放題である。とんでもない拝金主義が経済格差を生むとともに、人口圧がそれに拍車をかけている。鄧小平以後の中国は資本主義化が進んだ分、最低限のモラルさえ守れない暴走を続けているように見える。この暴走が世界的な混乱を生んでいる。すでに、看過できない局面に達しているように私は思う。

今回のエントリーは、主にPBTの中華系の教え子諸氏を対告衆としている。私が中国共産党とマレーシアの華人を決して同一視していないことを明確にするためである。この点、理解を乞いたい。また、将来のマレーシアを背負うマレー系の教え子諸氏にも、この微妙な在馬華人の立場、ブミプトラ政策が華人に及ぼしている正・負の両側面を理解してもらいたいと願うところである。

2021年9月23日木曜日

笑止 中国のTPP加盟

https://mainichi.jp/articles/20210923/k00/00m/030/165000c
中国がTPPに加盟申請しているとか。まさに笑止。そもそも、このTPPはアメリカが対中国包囲網の意味を込めてリードしてきたものだ。日本はかなりの国内の反対を押し切って参加したが、そのアメリカは抜けてしまったけれど。これは台湾をけん制した政治的工作だろうが、それにしても笑止。

理由は簡単で、中国は政治が経済を支配しているからだ。武漢での調査を求めたオーストラリアの石炭やワインを輸入禁止にしたり、古くは日本に対しレアアースを輸出禁止にしたこともある。そんな国がTPPに入れるわけがない。TPP参加国とは価値観が違いすぎる。

ところで、中国の経済がいよいよヤバくなっている。恒大という巨大な不動産ディベロッパーが破綻寸前である。恒大ほどではないが大きな不動産ディベロッパーが、先日香港市場で、たった1日で株価が十分の一に下落したそうだ。(香港市場にはストップ安というシステムがないとのこと。)当然ながら、恒大も株価を大幅に下げているが、今日は少し戻したようだ。日本の年金機構も、恒大に投資しているという話もある。

おそらく、リーマンショックほどではないにせよ、世界的な金融危機に発展するのではないだろうか。恒大に投資もしくはその関連企業には、世界中から投資が集まっているからだ。中国国内では、当然ながら様々な業種に波及するだろうし、そもそも給料未払が日常化しているようなブラック企業だらけなので、人民の不満が爆発するかもしれない。現習政権が、恒大を救わないのは、これら不動産ディベロッパーが江沢民に繋がっているからだと言われている。結局、中国共産党は政治優先、利権優先である。人民の不満が爆発した場合、台湾進攻などという冒険主義に走り、人民の目を台湾に向けようとする可能性すらある。

隣国も隣国だが、中国も中国である。同じ儒教文化圏と言われるが、仁も義もない。形式的な礼が残っているのみ。拝金主義と中国共産党のエゴイズムは、まさに国際社会の反社会的勢力と言っても過言ではない。こんな中国と弟がズブズブの総裁候補には、国を預かる資格はないのではないかと思っている。

2021年9月22日水曜日

生徒会役員選挙 ’21

三崎高校では、今日生徒会役員選挙が行われた。今年は、会長に3名が立候補、副会長には5名が立候補した。そのほとんどが我が未咲輝塾の塾生である。応援演説も1人ずつつくので、計16名が演壇に立ってスピーチをした。これがなかなかの雄弁である。

特に、会長候補たちには、具体的な公約があって、大人顔負けである。それぞれがインパクトのある演説であった。三崎高校の偏差値は決して高くないが、そんな数字をはるかに超えた高校生の姿がそこにある。

大阪などでは、だいたい生徒会の顧問が一本釣りをして生徒会役員を頼みこみ、役員数だけが立候補、投票というよりは承認のようなカタチが多かったように思う。それに対して、意欲を持って生徒会に立つ、といった志のようなものがあって、実にいい。聴衆である一般生徒も真剣に聞いていて、演説の内容を吟味して投票しているようだ。

放課後、選挙結果が放送で流れると、校内各地でおおっとかキャーとか歓声が上がった。何より、塾にいた生徒たちが(塾内では聞こえにくいので)講師共々全員が廊下に飛び出て結果に聞き入っていた。(笑)それだけ関心が高いわけだ。(大阪では考えられない。)

会長候補の3人は、戦いが済んで、3人が3人とも塾にやってきて、英語や数学を学んでいた。負けた2人は内心忸怩たるものがあるだろうに、それを出す様子もなく共に学んでいた。それがまた嬉しいではないか。

2021年9月21日火曜日

ヤクルトの石川投手のこと2

ヤクルトの石川投手のことをエントリーした後、山本昌氏のYouTubeに出演しているのを見た。https://www.youtube.com/watch?v=vICU52Fh0EQ

スラッと並ぶユニフォーム。一番左が秋商のもの、次に青山学院大学のものである。なかなかいいシチエーションである。石川投手の人柄は、秋田人の努力家そのものである。この番組でシドニー五輪にも日本代表として参加(この時はアマチュアとプロ半々でチームを作っている)していたことも知った。この時、予選で古田とバッテリーを組み、古田とまたバッテリーを組みたいとヤクルトに入団したそうだ。古田って偉大なキャッチャーだと思う。

サザエさんのカツオに似ていると青木に言われ、以来カツオというニックネームがあるそうで、ヤクルトのチームグッズにもなっているそうだ。なかなか面白く見させてもらった。野球選手は、まさにいろんな性格の人がいるが、石川投手はその中でもリスペクトできる人物に思える。ホント、頑張って200勝を達成して欲しい。

2021年9月20日月曜日

ヤクルトの石川投手のこと

https://www.youtube.com/watch?v=mL6cWRsFEk
YouTubeで、プロ野球選手の話を見るのが好きだ。そんなにプロ野球ファンではないのだが、上原や高木豊、宮本や古田なんかの話が面白い。昨日、古田の出ていた番組を見ていたら、ヤクルトの石川投手の話が出た。

石川雅則投手。実は私には属性がある。彼は、秋田商業高校出身で、この時バッテリーを組んでいたのが、秋田商業高校監督のO先生なのだ。共に青山学院大学に進み、O先生は母校の国語の教師となった。もうだいぶ前になるが、秋田商業を訪ねた時、懇意になった。秋田商業が甲子園に来た時は必ず応援に行った。(このブログで何度かエントリーしている。)

石川投手のことを古田はずいぶんと褒めていた。小さな体(身長が167㎝)なのに、長くヤクルトの投手陣を引っ張っている。そもそも球種もそんなになかったのだが、シュートなどの変化球を投げれるようになってくれると嬉しいのだが、というとオフに必ずと言ってよいほどものにしてきた努力家なのだという。ウィキで調べてみると、四球が少ない技巧派投手で、古田と対談していた山本昌のように長く現役(現在20年目)を続けようと頑張っている投手で、上原もここが特に凄いという派手さはないが、ヤクルトでNo1と認めるピッチャーなのである。

秋田の人は、実に粘り強い。努力家である。そういう国土世間もあるのだろうが、秋田商業高校野球部のファンとしては、実に頼もしい存在だ。少しでも長く現役を続けて欲しいものだ。一方、私がマレーシアに行き、愛媛に来てからのこの数年、つまり甲子園に応援に行きにくい状況になってから秋商は甲子園に出ていない。そろそろ帰らないといけないのかなあ、と思ったりする。…頑張れ、石川投手、頑張れ、秋田商。

2021年9月19日日曜日

小椋佳「さらば青春」の意味

八幡浜へ買い物に出かけた帰路、車内に小椋佳の「さらば青春」が流れた。高校時代からよく弾き語りをしてきたが、じっくりと歌詞を噛みしめると、実に不思議な歌詞だ。

♪僕は呼びかけはしない 遠く過ぎ去るものに

 僕は呼びかけはしない かたわらを行くものさえ

 見るがいい 黒い水が 抱き込むように流れていく

 少女よ鳴くのはおやめ 風も木も川も土も

 みんなみんな たわむれの口笛を吹く

♪僕は呼びかけはしない 遠く過ぎ去るものに

 僕は呼びかけはしない かたわらを行くものさえ

 見るがいい 黒い犬が 獲物を探してかけて行く

 少女よ鳴くのはおやめ 空も海も月も星も

 みんなみんな うつろな輝きだ

この詩は芦田宏直氏によると、当時の学生運動への決別の宣言なのだという。「黒い水」「黒い犬」は左翼の活動家やその運動、その煽動に巻き込まれている学生たちや人々をさしているのだという。「僕は呼びかけはしない」というのはマイクで呼びかける活動家とは違うという意味で、少女は真理の比喩であり街宣活動の勇ましさに怯え泣いているが、時流に流されない自然:風や木も川も土も、彼らを支持しているわけではない、戯れの口笛程度に覚めているんだよというわけだ。(詳しくは下記参照)

http://www.ashida.info/blog/2006/03/post_133.html

先日、記者クラブの自民党の総裁選挙候補者の討論会が開かれた。マスコミの左翼偏向報道が凄い。最も右派的なT氏を無視した形で進められたようで、ネット上でネトウヨさん達が激高している。反対に彼らが応援しているだろうK氏の弟が中国で商売していることも判明、女系天皇の件、夫婦別姓の件、消費税増税による社会保障など、矢継ぎ早に批判の炎が上がっている。(ちなみに私は基本的に中立的であることを再確認しておきたい。)

何度か記したが、私たちの世代は、それなりに左翼思想の影響を受けている。しかし、ソ連におけるスターリンの罪が暴かれ、ソ連も崩壊し、中国の文革が所詮権力闘争であり、中国共産党が人民の敵のような存在に成り下がっていること、ナチス以上のチベット人やウィグル人への人権侵害をしていることを我々は知ってしまった。いまさら右派に転向する必要はないだろうが、すくなくともマスコミは、中立であるべきだ。

米大統領選挙の際もそうだったが、こういう偏向報道、報道しない自由といったマスコミの姿勢にはうんざりだ。健全な民主主義の一翼を担うべき彼らの本質を完全に見失っている。デモクレイジーは途上国のものだけではない。この日本にも蔓延っているのだ。おそらく彼らはA新聞を筆頭に近々滅びるだろう。

「さらば青春」というのは、小椋佳がそういう左翼的青春への決別を歌ったものだが、左翼偏向のマスコミこそ、そういう青春におさらばすべきではないかと思うのだ。

2021年9月18日土曜日

台風一過の運動会

我が住処のベランダから少しグランドが見える。

凄い暴風雨だった。佐田岬半島の瀬戸内海側を進んだ台風は今治あたりに上陸、四国を横断して、和歌山に再上陸したらしい。三崎では深夜がクライマックスだったけれど、三崎高校が早々と6限終了後に生徒を下校させたのは正しい。八幡浜方面の生徒のバスが遅れれば遅れるほど、尾根を走る197号線は危険だったと思う。すでに19時くらいから凄い風だった。バスの運転手さんも大変だったのではないか。

さて、台風一過、我が教職員宿舎の裏にある(いや、こっちが裏だと思う)三崎中学校と小学校で運動会が、午後から行われた。各学年10名いるかいないかくらいなので、合同でないと運動会にならないはずだ。さすがに豪雨だったので、グランド整備に時間がかかったと推測するが、三崎地区は意外と水はけがよい。(三崎高校もである)

元気な声援の声が聞こえる。こういう子供たちの声が地域を明るくする。限界集落に近づいている三崎だが、なんの、まだまだ…。

今しがた、太鼓の音がした。三崎高校でもやっていたように演舞で、この三崎地域を子供たちが全力で応援しているように聞こえた。

2021年9月17日金曜日

台風接近 閉塾 自宅勤務

台風14号がやってきた。三崎高校では、放課後すぐに生徒は全員下校という指示が出て、我が塾にも閉塾要請がでた。と、いうわけで16:00には八幡浜方面への下校バスが2台とも出発。私たちは町教委よりの指示で自宅勤務となった。

この1週間は、体育祭も終わって学校も落ち着き、連日30名ほどの塾生が詰めかけていた。3年生の受験生は、数学、化学・生物、英語、そして私の政治経済と個々に講義を受けつつ頑張っていたし、英検も近いので活気があったのだが、今日は水入りである。

三崎は、四国の最西端であるから、九州上陸ともなると暴風雨圏に入ってしまう。今夜遅くに最大の風雨に見舞われるので、沿岸部には近づかないようと、役場の放送も今流れた。

いやあ、日本である。マレーシアでは凄い台風の如きスコールはあったけれど、この台風接近という緊張感。日本である。突然やってくる地震よりはマシであるが、災害の多い日本、社会科の学習内容に「防災」が重視されるようになったのも頷ける。

2021年9月16日木曜日

秘伝 教材研究(地理編)8

地誌は、底なし沼のようなものである。どこまで教えるのがいいのかいつも悩む。共通テストなどでは、教科書や地理の資料集などにもないような資料を元にした問題も多い。各国のインターネットの普及率などといった「データブック オブ ザ ワールド」(二宮書店)などにしか載っていないような資料が使われることもある。

まさかこれらのデータを全て覚えているような受験生はいないだろう。よって、これまでの学習の中で培った知識で類推するしかないのだが、どの辺まで知識を植え込むかが難しい。サブノートなどにある地誌の部分は、かなり薄っぺらい。そこが不満だがやむを得ないとも思うのである。編集者も取捨選択が難しいのだろう。

私自身としては、それぞれの国をメタに見たいところだ。ドイツは内需が少ないとか、フランスは食糧自給が出来て、核も自前で開発したがゆえにアメリカに真正面から物申す国になれているとかいったことが重要だと思っている。そういう意味では、アメリカなどは各州でかなり違うのでステレオタイプでは語れないことが多い。まさに千差万別なのだ。

意外に多い設問が、民族や言語、宗教などにまつわるもの。ヨーロッパでは、言語的な孤島と呼ばれるアジア系の言語:ハンガリーのマジャール語やフィンランド、変わったところではスペインのバスク語などは抑える必要がある。宗教的には、東欧なのにカトリックが多いポーランドなどの知識、バルト三国の宗教的な相違の知識は欠かせないところ。これらも、一神教の理解は必須である。

2021年9月15日水曜日

秘伝 教材研究(地理編)7

https://pierre-bex.com/ja/usa-states-flags/
秘伝 教材研究地理編の続きを急にエントリーしたい。これまでは系統地理に関する内容だったが、これは地誌に関する内容である。今日は、アメリカの州コードを使った州名と位置の学習について。アメリカの地誌を教えるにあたって、50州の名と位置はかなり重要である。そもそもアメリカは州によってかなり相違があるし、模擬試験や本番の共通テストでも必須の知識である。

州コードの存在を知ったのは、昔、ユナイテッド航空のマイレージの獲得マイルを通知してくる手紙の住所の最後(もちろん最終はUSAだが…。)に、COと記してあったからだ。これはコロラド州の州コードである。

アメリカの州の名前は、超有名なもの(NY、CA、FL、TXなど)もあれば、属性のあるもの(KY、VT、OK、GA/ケンタッキー・ヴァーモント・オクラホマ・ジョージアなど)もあるが、ネイティブアメリカンの地名も多いので難しいものも多い。ウィスコンシン(WI)とかネブラスカ(NE)とかマサチューセッツ(MA)とか…。とにかく、耳からまず州名を覚えて、コードと結びつけるのが肝要である。コードと州名のつながりは、いくつかの法則性はあるが、完全ではない。一番悩むのが、Mで始まるコード。多いので難しい。中でもミズーリ(MO)が一番覚えにくい。

毎回試験では、コードの入った地図を掲載したうえで設問を作っている。生徒は位置についてまでは問われないわけで、安心するし、後は自然に頭に入っていく。

2021年9月14日火曜日

ギニア:クーデター・ドミノ

https://www.afpbb.com/articles/-/2552400
ギニアで、クーデターが発生した。このクーデター、高齢のデモクレイジーで3選した大統領への嫌悪から意外に国民には好感をもって受けいられているようだ。西アフリカでは、マリで昨年8月クーデターが起こった。さらにニジェールでも今年3月末にクーデター未遂事件が起こり、4月にはチャドで独裁者の息子が議会の承認を得ずに大統領に就任、野党は憲法を無視した事実上のクーデターだと批判している。ギニアのクーデターは、クーデター・ドミノの4番目であるわけだ。

ギニアと言えばボーキサイトだが、最大の輸入国中国はこのクーデターを批判している。ミャンマーの時とはえらい違いで、旧政権との癒着で儲けていたことがよくわかる。

https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20210914-00258154

コロナ禍による世界的な経済停滞が、アフリカの人々を苦しめている。すでに大陸全体で700万人の感染が確認されているが、アフリカの統計は絶対的な数字だとは思えない。おそらくこれ以上だろう。まして、ワクチンはメイドインチャイナだ。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/08/a190dded8e8f3e08.html

私は、今回のクーデターを賛美するつもりはないが、アフリカのデモクレイジーを批判したポール=コリアは、クーデターに関して容赦するべきだと述べている。ただ、これからが問題で独裁者を倒した本人が独裁者となる三イラ取りになる場合も多いのも事実だ。ポール=コリア―は、意識の高い先進国が新政権を支える必要性を同時に訴えているのだが…。

2021年9月13日月曜日

桑田真澄の「現役引退」

先日、あるWEB記事で、落合選手の現役引退の時の話を読んだ。ロッテから若い有藤監督就任に合わせて、(年某も高いく扱いづらいだろうと)放出されるくらいならと自分から飛び出て、中日へ。そして巨人へ。少し力が落ちたところで、清原が巨人に入ってくることになった。(尊敬する)長嶋監督の(一塁手をどちらにするかという)悩む顔を見たくないとの理由で、日本ハムに移籍した。あれだけの選手であるのに、引退試合などを拒否。だが、最後の試合で選手が出てくるのを待っていたファンに握手をしに行くという話で、私は落合というオレ流のスーパースターの矜持に感激した。そんなプロ野球の一流選手の最後の1年を集めたのが、中溝康隆氏の「現役引退ープロ野球名選手最後の1年-」(新潮新書)である。もっと読みたくて、先日、大洲に出た時、購入した。

計24人の選手の話が載っているのだが、まだ途中。桑田真澄選手のところでストップした。何故なら、今私の心情に最も近いと感じているからだ。

桑田はPLから清原を出し抜いて巨人に入ったダーティーヒーロー的な暗さがある。清原は高卒初年度大活躍をするが、桑田は2勝1敗。高卒ルーキーとしはまずます。オフにアリゾナ州の教育リーグに派遣され、最終日にグランドキャニオンに無理やり連れて行かされる。ふてくされていたのだが、その大渓谷の景色に圧倒され、涙を流しながら己の小ささを思い知る。帰国後、正月休み返上で球界ではまだめずらしかったウェイトトレーニングを始め、栄養学、心理学、解剖学、運動生理学、メンタルトレーニングに関する本を買い込み独学で勉強した。翌年、19歳で沢村賞を獲得する。しかし、95年のダイビングキャッチで怪我をしてから不調に。一度は復活するが、やがて低迷。2軍の試合が最後になる。大観衆が詰めかけ、ファン一人ひとりと握手をし、MLB・パイレーツとマイナー契約を結び、メジャー昇格。しかし19試合、0勝1敗。再度マイナー契約するが40歳目前で戦力外通告される。その瞬間によくやったな、もういいよという声が聞こえたという。

私はPLも嫌いだし、巨人も嫌いだが、この桑田真澄という投手の生き方には共感する。この本は、そろそろ現役引退の時期が近い私に何かを与えてくれたようだ。

2021年9月12日日曜日

愛媛特産の果実 ポポー

大洲に昨日は久しぶりに買い物に出かけた。地産地消の「愛たい菜」にまず行ったら、昨年食べてみてファンになった「ポポー」を売っていた。大きなポポーで1個500円。妻は躊躇せず購入。彼女はポポーが大好きなのである。その後ちょっとおしゃれな「OZメッセ」でも小さめのポポーを発見(こちらは300円:画像参照)。

生産者の住所は、大洲市の長浜である。例の皮膚科への道沿いだ。道にあったポポーの看板を見て、食べたいなあと言っていたのだが、このポポー、9月中旬から10月中旬のみが旬という珍しい果実で、あまり日持ちもしないので、まさに幻の果実。しかも大洲近辺でしか購入できないと思う。(少なくとも八幡浜では売っていない。)よって、昨日は超ラッキーだったのだ。

食感と見た目は、マンゴーとドリアンを足したような感じ。(ドリアンのような臭みは全くない。あくまで食感。)味は、マンゴーほどの甘みはないが、上品で淡白な甘さ。スプーンで食べる。結局、大きい方は二人してすぐ食べてしまった。(笑)

ところで、同じ大洲の安売りの店「ラムー」には、ドラゴンフルーツの白を売っていた。違うのだ。ドラゴンフルーツは、絶対赤なのだ。私は、マンゴー、パパイア、ドラゴンフルーツ(赤)が最高に好き。妻は、マンゴーはそれほどでもないそうだが、基本的に意見は一致している。ああ、マレーシア時代は素晴らしかった。安くて最高に美味しいフルーツがいっぱいだった。

日本にも、柿や桃があるが、このポポーも三番目くらいに入れてもいいかな。

地理総合サンプル問題を解く

地理総合のサンプル問題は。大問1が人口問題、大問2が災害問題、大問3が平成の大合併にまつわる問題。これまでの「公共」「歴史総合」と比べて、違和感が少ないのは地理の試験がそもそもこういう表やグラフ、地図などの資料を基に解くことが常態化しているからだろうと思う。https://www.dnc.ac.jp/albums/abm00040332.pdf

面白いと思ったのが、大問3である。その中でも問4。合併した上越市でそれぞれ異なる課題があるのではないか、中心部でも商業施設の立地変化が起こり買い物弱者が生まれているのでは推論し、現地図書館でスーパーマーケットの立地変化を調べたのが、今日の画像にある地図である。●▲■は、カ:1979年営業あり/2020年営業なし、キ:1979年営業あり/2020年営業あり、ク:1979年営業なし/2020年営業ありと度の組み合わせが正しいかという問題である。ヒントとしては、70歳の住民のかつては高田駅前の商店街にはデパートをはじめ様々な施設があったが商店街は閉店が目立つというインタヴューが添えられている。

●と■の数は同数、▲は1つ。●は市街地内にあり、■は市街地周辺にも広がっている。正解は当然①となる。そんなに難しくないのだが、問題としては実に面白いと思う。

…これで公共、歴史総合、地理総合のサンプル問題を見てきたのだが、実際に現場でどう指導していくかは実に難しい。三崎高校で見せてもらった教科書は、依然暗記のデパートであることには変わりない。知識の部分と推論などの思考力UPの止揚が求められる。

2021年9月11日土曜日

歴史総合サンプル問題を解く

https://karapaia.com/archives/52226305.html
歴史総合のサンプル問題も解いてみた。https://www.dnc.ac.jp/albums/abm00040337.pdf

大問1のテーマは冷戦。「公共」の問題同様、かなり多くの資料を読むことになる。冷戦から自由の問題へと展開、様々な時代の自由についての発問もある。さらに冷戦期の経済への問題へも発展する。今日の画像は、その最初に出てくる「自由への跳躍」という写真。

大問Ⅱは、近代化がテーマ。オスマン帝国憲法と大日本帝国憲法の対比、さらに清の欽定憲法も資料として登場。次に近代化における教育問題。フィヒテのドイツ国民に次ぐや森有令礼の資料も出てくる。最後に日本の義務教育の発展についての問題。

…これでもかというほどに資料が登場するのは、「公共」と同じ。これまでの歴史は、莫大な項目の暗記が主体であったので、かなりの違和感がある。さらに、これらの資料を読みこなすのは、かなりの知識が必要になる。基礎的な世界史と日本史の近現代の歴史の知識と、このような問題になれるための学習とが現場では必要になるだろう。

…この歴史総合という新科目の意義はよくわかる。だが、現場の負担は大きいし、論理的な思考が厳しい生徒の多い学校では、かなりの脱落者がでるような気がする。歴史学習が暗記のデパートのような存在であることに私は以前から批判的だが、いざこのような新科目のテーゼを目にして学校間格差を意識してしまうのも事実である。

2021年9月10日金曜日

「公共」サンプル問題を解く

先日エントリーした新指導要領の新科目「公共」のサンプル問題をネットで手に入れた。これは、あくまで専門家が「公共」の共通テストのイメージの共有のために作ったサンプルである。これがなかなか面白い。暗記から資料読み取りと思考へと完全にシフトしている。大問は3つで、いずれもPBL(問題解決型学習)的である。https://www.dnc.ac.jp/albums/abm00040339.pdf

大問1はフードドライブ(家庭にある生鮮食品以外の食品を賞味期限まで1か月以上あるものを持ち寄り。7その食品を社会福祉施設等に届けるという地域活動)を取り上げており、道元の食事に関する言(これはちょっと倫理的)やエシカル消費などに展開されているが、論理的に考える力を問う内容になっている。

大問2は政治参加に関し、議論や決定の在り方について考え模擬国会を開催するという主旨。問1は日本の選挙制度に関わる学習内容の知識を表を読み解き答えるという面白い問題。問2も18歳未満の者がスマホでオンラインゲームをすることへの規制に関して、是否の2つの立場を示したうえで、是の立場と同様の主張を見つける問題。問3は、町の中心部の停滞緩和のために新道を通すうえで、3ルートが検討され、決定する5人の幸福度を数値で表した表から、受験者が取るべき方法をまず決める。①5人の幸福度の総和ができるだけ多くなるルートに決定する。②5人の多数決によりルートを決定する。③「耐えられない苦痛を受ける」ものが生じない範囲で、5人の幸福度の総和ができるだけ大きくなるルートに決定する。ここからが問題。受験者が選んだ①~③の根拠となる記述を選び、さらにどのルートになるかを選ぶ。最後に、模擬国会の財務大臣役と質問する議員役の答弁で、予算案を見ながら、おかしい内容を選ぶ内容。

大問3は、SDGsに関する問題。多くの資料を読み解く事が中心の問題になっている。資料が膨大なので、あくまでサンプル問題として見るべきだろう。

2021年9月9日木曜日

体育祭当日 3つの嬉しいこと

長い教員生活の中で、無観客の体育祭を初めて経験した。正直、なかなか辛いものがある。今の世の中はLIVE配信もできるので、そうなると思っていたのだが、編集して後日配信することになったようだ。とはいえ、生徒は、無観客という状況など全く意に関していないようだ。

開会の太鼓演技も、応援団も、ダンスパフォーマンスも、もちろんそれぞれの競技も…。彼らは真剣に体育祭に取り組んでいた。

長年、高校生と共に過ごしてきた。高校生の持つ純粋な部分が、こういうイベントの時に閃光を放つ。君が憂いに我は泣き、我が喜びに君が舞う。そういう打算のない時間が青春なのだと思う。このことの再認識をしたことが、嬉しいことの1つ目である。

今日も私は、大いに笑い、大いに感激した。3年生はよく知っているし、塾生以外の生徒とも親しい。圧倒的な少数(1・2年生は2クラスだが、3年生はⅠクラスをⅠ型・Ⅱ型で分けて2つの団を形成しているので10人くらい。)の3年生が、全ての責任を全うし、応援もダンスも看板もすべて例年以上のモノにまで仕上げたことだ。嬉しいことの2つ目である。

2年生とも話す機会がたくさんあって、来年のために問題意識を持って体育祭をすごすように言ってきた。1年生は初めてだが、”みさこうサイコー、さあ行こう”というキャッチフレーズの意味を今回の体育祭で十分認識したのではないかと思う。みさこうをサイコーにするのは自分自身なのだ。特に次のリーダーとなる2年生の成長は著しかった。こうして1・2年生が成長してくれたことが、嬉しいことの3つ目である。

2021年9月8日水曜日

体育祭前日 3つの嬉しいこと

体育祭前日である。昨年は、来塾者はもっと少なかったのだが、このところ30名近い生徒が来てくれている。どうやら、塾に寄って帰るという習慣づけができてきたようだ。無茶苦茶忙しい3年生の受験生も全てのことをやり終えて、8時すぎに来てくれた。その執念が勝利を呼ぶと思う。心底嬉しく思った。

また、今OR大学に進んだ塾のOBから、土日に三崎に行く用事あるので会いませんかというメールが来た。私がこの10月で退任と勘違いしてのメールだった。(笑)ところが今は、他県や松山にいるOB/OGとの邂逅は禁じられている。残念ながら次の機会にと返信した。とにかく私が三崎を離れる前には会いたいと重ねて言ってくれた。これも実に嬉しい。

ところで、3年生のⅡ型(進学コース)の生徒から、龍のイラストを描いてほしいとの依頼があった。私が黒板(ホワイトボードに変わったが…。)に描く牛や豚や猫の、思い切り手を抜いた絵が好評で、そのタッチを活かした龍を、(体育祭の)蒼龍団のTシャツに描くらしい。

というわけで、いろいろ描いてみた。これがいいかなというのが出来て、手渡した。女子生徒がそれをTシャツに描き込み、見せにきてくれた。こんなんでいいんかなあと思ったが、みんな笑顔で見せに来てくれたので、問題ないのだろう。これもホント嬉しい。(笑)そんな体育祭前日であった。

2021年9月7日火曜日

今更ながら新指導要領の話

https://edutmrrw.jp/2017/innovation/0130_2020education
来春入学する高校1年生から、新指導要領になり、社会科のカリキュラムが大きく変わる。得れる情報は不確かなものも多いのだが、少なくとも、歴史総合、地理総合、公共という新科目が登場する。

歴史総合は、世界史の近現代史と日本の近現代史を統合した内容になっている。地理総合は、これまでの世界史必須のみという時間的把握のみであったことへの反省から、空間的把握をも必須にしたものといえる。内容は、A地理的な情報の活用、B国際理解と国際協力、C持続可能な地域というもの。この新3教科の中では内容はまだ薄い方だ。

公共は、以前の現代社会に防災などの内容が加味されたものになっている。つまり倫理と政経のダイジェスト版である。(倫理の専門家である私は、この現代社会という旧教科はあまり好きではない。内容が多いわりに薄いからである。)
これらはいずれも必須科目となり、共通テストでも出題される。

一方、今の世界史Bや日本史Bは、歴史総合+世界史探求、歴史総合+日本史探究となる。地理Bは、地理総合+地理探究となる。

具体的に入試にどう反映されるかは未定である。倫理や政経は公共に取って代わられるのかもしれないし、公共+倫理、公共+政経という科目も使われる可能性もある。

今更ながら、この話題を取り上げたのは、私が”白秋”に陥らないためである。これらの新科目に挑戦する”青春”を継続したい。なぜなら、これらの新科目の詳細を読むと、PBL的な学びの可能性を追求しているからである。まだまだ…。

2021年9月6日月曜日

虫の死骸 哲学的な秋の訪れ

昔、柳田聖山の「禅思想」という本を読んでいて、戦慄が走った逸話がある。インドの街で、サンニャーシン(修行者)が、行き倒れになった死体をひたすら見つめているという話だ。死体はやがて腐敗し、異臭を放つがその前を彼は動かない。ひたすら、死というものを見つめ続ける。ハイデッガーの「死に至る存在」の自覚などという美麗美句ではない、生々しい死を見つめる修行…。

三崎という自然豊かな地にあって、私は秋を感じている。涼しくなった、あるいは虫の鳴き声がするといった趣のある秋ではない。住処や職場に散乱する無数の虫の死骸を目にしているのである。ある時は、蝶、ある時は蝉、そしてバッタの類、甲虫の類、名も知らぬ虫たちの死骸…。

ふと、自分が死を見つめる行者であるような感覚に陥る。諸行無常、諸法無我。虫たちは生まれ、そしてわずかな時間を生き、そして死んでいく。彼らの生の意味を問いつつ、自分の生の意味を問い直す。そんな秋の訪れを感じている次第。

2021年9月5日日曜日

東大の地理を解くⅢ

東大の地理、大問3はさらに難しいように思う。世界と日本における女性の労働に関する問題である。

設問A(1)2002年と2017年時点の25歳~34歳女性の労働力率、管理職に占める割合を国別に示した表(上記画像)で、ABCをスウェーデン、日本、トルコに当てはめる問題。女性進出状況を大まかに考えるとA>C>Bとなり、A:スウェーデン、B:トルコ、C:日本となる。トルコはイスラム教国であること、ただし女性の自由度が他のイスラム国より高いことなどを知っておく必要があると思う。(2)イスラエルが周辺に位置する国と比較して女性の労働力率が高い要因を40字で記述。イスラエルは周辺のイスラム教国のような女性の地位の低さがないこと、小国で労働力が豊富ではないことなどかな。(3)フィリピンは、管理職に占める情勢の割合が高いが、労働力率は高くない。この理由を60字で記述。一言で言えば、経済格差、ジニ係数が高い故。富裕層は高学歴化、貧困層は家族が多いので家事労働に追われているというところか。

設問B(1)日本の地方別2010年~2015年の女性の職業別就業者数の増減、合計特殊出生率の変化のグラフ(画像参照)を読み解く設問。まずは、アイウの職業名を、農林水産、生産工程、サービス職業から当てはめる問題。これはかなり難しい。アは増加傾向にあるので、サービス職業だとわかるが、イとウはかなり迷うところだ。近畿を見ると▲3と▲17なので、イが農林水産、ウが生産工程かと見える。冷静に分析する必要があるかも。(2)販売従事者が減少している理由をウと比較して40行で記述。ウが減少しているのは、一言で言えば産業の空洞化によるもの。販売従事者の減少は、機械化やセルフ化によるもの。(3)管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者の合計がいずれの地方でも増加しているが、首都圏での増加の理由を40字で「オフィス・若年層」を使い記述。これはオフィスの首都圏への集中と、若年層がそれによって集まっている事を示しているようだが、コロナ禍で、リモートワーク化が進み、脱東京化が話題になっている。いずれそういう問題も出てくるのではないだろうか。(4)首都圏で見ると、合計特殊出生率が全国的に高かったのに、70年代以降低い水準に変化、とどまっている理由を60字で記述。これはまさに、一般的な(公民教科としての)現代社会の問題。高度経済成長期に集まった若年層が結婚・出産をしたが、その後は経済が停滞し結婚できない単身世帯の増加、あるいは女性の晩婚化が進んだといえる。決して難問ではないが、整理して記述するのはかなりの訓練がいる気がする。

これで東大の地理は終了。何度も言うが、東大の文系は地歴2科目である。150分で2科目。じっくりと冷静に問題に取り組むことになる。文科1類はのちの官僚の登竜門。特に大問3は、そういう出題意図も感じた次第。

東大の地理を解くⅡ

東大の問題の続きである。大問2は言語と教育に関する問題。設問Aでは、国連の公用語と東アフリカの共通語・通商語を聞く問題。これは、そう難しくない。確認しておくと、英語・仏語・露語・中国語・西語に、アラビア語が後にプラスされた。東アフリカといえばスワヒリ語で秒殺問題である。(2)インターネットの普及は国際社会で使われている言語の状況にどのもたらしたかもたらしたかを20字記述。おそらく英語の一人勝ちになったことを書けばよいと思う。ITの世界ではアメリカ、半導体チップの設計はイギリスが主だからだ。(3)ヒンディー語が連邦公用語のインドと、インドネシア語が国語のインドネシアの、それぞれの使用の広がりの相違点を60字で「英語・地域語・州」を入れて記述。これは、インドの状況(各州によって地域語が違い、ヒンディー語より英語が通じる)についてはよく知られているところだが、インドネシアの状況はあまり知られていないのではないかと思う。元々オランダ領だったインドネシアでは、国語としてマレー語に近いインドネシア語を国語化して全国の共通語化に成功した。ケニアのスワヒリ語の如きである。ビジネスでは英語は通じるが、インドほどの状況ではないはずだ。これは意外に難問。(4)シンガポール・マレーシア・インドネシアの華人社会は、標準中国語ではなく、いくつかの中国語の有力な方言が日常生活で使われている。例として具体的な方言名を1つ挙げ、こうした状況にある歴史的な背景を40字で記述。マレーシアにいた私には秒殺問題だが、高校生には厳しいと思う。広東語や客家語などの例を挙げるのは難しいのではないか。ただその背景には、華僑の存在と本土の故郷との関わりが強いことは想像できると思うが。

設問Bは、20歳~24歳人口1万人に対する4つの国への留学者数の表(上記画像参照)をもとにした問題。(1)マレーシア、韓国、インドが、表のABCのどれかを問い、さらにCの留学国の構成が他国と大きく異なっている理由を問う問題。これはかなりの難問である。表をよく見ると、Bはアメリカに集中していること、Cはオーストラリアとイギリスに多いことが読み取れる。ここから、Bがインド、Cがマレーシア、消去法でAが韓国となると思う。Cのマレーシアの留学先で、旧宗主国イギリスが多い理由は、独立の時も話し合いで他国のように旧宗主国が嫌われていないことが挙げられる。余談になるがサッカーW杯などでは、マレーシアの人々はイングランドの応援をすると聞いた。(マレーシアの”ハリマオ”は極めて弱いらしい。)オーストラリアは近い故であろう。(2)オーストラリアが人気の理由を2つ40字で記述。これは治安の良さと留学コストが低いこと、さらには白豪主義から脱皮して多民族化しており寛容であることのうち2つを記せばよさそうだ。これの寛容さはパースに行った時実感できた。(3)留学生の合計はBが最も多い。その理由を40字で「学歴社会・国際競争」を使い記述。発展著しいインドでは、学歴社会となり、高い英語力が国際競争に参戦している大企業就職に必須だからとでも書けばいいのかなと思う。

大問2は、大問1よりかなり難しいように感じる。さすがは東大というべきか。

2021年9月4日土曜日

東大の地理を解くⅠ

前期試験の地理の問題を解くシリーズ、いよいよ東大である。東大は、大問は3つ。それぞれ設問A・Bと2つあり、さらにそれらの小問の合計22問になる。地図、統計資料(表やグラフ)を読み解く問題が多く、当然記述式問題が中心で難解なものも多い。

大問1は、設問Aが環境問題と気候、設問Bが地形に関する問題である。気候の問題は、共通テスト対策の地理レベルをかなり上回ったものとなっている。上の画像の地図は、地球温暖化により平均気温が3℃以上上昇する地域と降水量が20%以上増加さらに5%以上減少すると予想される地域を表している。(1)の問題は、3℃以上増加する地域について、陸と海にどのような影響があると考えられるか、「航路・資源・地盤・生態系」の4語を使い、60字で記述するという問題。偶然ながら、京大の北極海の問題と似ている。北極海航路、石油天然ガスの資源開発、地盤についてはETやDの地域の永久凍土が沈下すること、さらにホッキョクグマ等の生態系破壊のことを記することになると思う。

(2)の問題は、4つの雨温図を示し、そのうち、降水量が20%以上増加さらに5%以上減少する地域を選択する問題である。雨温図から、AはAf、BはAw、CはCfa、DはCsであることがわかる。(これはそんなに難しくない。)この気候区分と地図上の降水量が20%以上増加とかぶるのは、Aw:すなわちB、5%以上減少する地域とかぶるのは、Cs:すなわちDになる。ケッペンの気候区分の世界的分布が頭に入っていないと解けない。いい問題だ。(3)は降水量が5%以上減少する地域でどんな災害が起こりやすくなるか20字で記述。当然水資源の枯渇による干ばつや山火事の増加が考えられる。砂漠化は現在BS(ステップ気候)で起こっているが、Csにまで拡大する可能性は薄いだろうと思う。

*注 Af:熱帯雨林気候 Aw:サバナ気候 Cfa:温帯湿潤気候 Cs:地中海性気候

(4)は二酸化炭素排出量の多い上位6か国のグラフと1次エネルギー(発電に使用する資源:石油や石炭など)の比率グラフをもとに、上位6か国の中国とアメリカ以外の国(インド・EU・日本・ロシア)を読み取る問題。3位は、EUはイギリスも含む28か国、4位はインド、5位はロシア、6位が日本である。資料を読み解くポイントは、インドが石炭がアメリカ以上に多いこと、ロシアが天然ガスが多いこと、EUが原子力が多いことで、よく見るとヒントがグラフに隠されていた。(笑)(5)は、上図のグラフを元に、中国とアメリカの一次エネルギー供給の特徴、それに対する政策的対応を60字で「需要・シェール・太陽光発電」を使って記す問題。これもそんなに難しくはない。中国の石炭需要は国内産だけではまかなえておらず豪州などからの輸入も行われている事、アメリカではシェール革命によってガスの供給が増えている事、両国とも太陽光発電等にも政策的に力を入れていることなどを書けばいいのではないだろうか。

設問Bは、ガンジス川河口とチェサピーク湾(アメリカ東部)の問題。(1)まずは地形の名称。これは秒殺問題。三角州とリアス式海岸である。(2)この両地形の相違の理由を30字で、「河谷・土砂」の2語を使って記す問題。これも難しくはない。(3)チェサピーク湾について、主要な漁業の形態名、その発達した理由、その持続を脅かす環境問題について40字で記す問題。これも難しくない。養殖、入江で波が静かなこと、工場や都市の水質汚染を書けばいいと思う。

これでまだ大問1が終ったところ。先日記したけれど、東大は地歴2科目である。東大生になるにはどれほどの勉強が必要か思い知らされる。

2021年9月3日金曜日

京大の地理を解く

京大の前期試験の地理の問題は大問が5つある。大問1は地形図の問題。大問2はオーストラリアとニュージーランドの地誌問題。大問3は、乾燥帯の気候に関する問題。大問4は、世界の水産業の問題。大問5は、通信技術に関する問題であった。

記述式問題であるので、難しそうだが、意外に解ける。大問1の地形図の記号などは基本的なものが多いし、決して難しくない。この地形図から読み取れることへの設問も決して突飛なものではない。落ち着いて解けば正解にたどり着くはずだ。

大問2は、秒殺問題(一瞬で正解が浮かぶ問題)もある地誌の問題。グレートバリアリーフやニュージーランド南島のフィヨルドなどが秒殺。意外に難しいのが後半部分。言語の設問で、オーストロネシア語族がぱっと出るようでないといけないようだ。また、この語族に属する民族でからなり、「日付変更線より東側で南緯20度付近に位置する、日本からも2019年現在で直行便がある島の名称」を聞いている。私が最初に浮かんだのは、ニューカレドニアであった。ニューカレドニアは日付変更線より西。正解はタヒチである。ミクロネシア、ポリネシア、メラネシアの島嶼国は、地誌の中でも盲点で、さすが京大の問題であると思う。重箱の隅までおさえないといけない。

大問3も比較的基本的な問題で、難しくはない。亜熱帯高圧帯、黄土、外来河川、パオ(モンゴルの移動式テントの中国名:ゲルというモンゴル名の方が有名である。ちょっと難問?)、サヘルといった穴埋め問題やタクラマカン砂漠が砂砂漠であることなど、正解を拾いやすい箇所だ。後半の記述問題は、オアシス成立条件の理解、乾燥地帯における灌漑農業のリスク(塩害のシステム)、砂漠化の人的要因などが出されている。決して難しいとは思わないが、高校生にとっては簡単ではない。

大問4は、系統地理の水産業。センター対策ではあまり重視されない分野である。とはいえ、アメリカ北東部の漁場について、ぶつかり合う海流を問われて、きちっと地理を学んだ生徒なら、ラブラドル海流とメキシコ湾流は答えれるのではないか。この設問の正誤くらいが合格の分水嶺のような気がする。ペルーのアンチョビは、秒殺問題。ただし、漁場付近で発生する現象を踏まえて50字でペルーの水産業の特徴を記す問題は面白い。エルニーニョ現象に気づけばOK。

大問5は、固定電話、携帯電話の100人当たりの契約数、インターネットの利用者率について2000年と2018年の数値を比較したグラフを元に回答する問題である。グラフのABCDをベトナム・中国・アメリカ・日本から選ぶのは、かなり難しい。ABはベトナム・中国のどちらかであることはわかるが、決め手がない。二宮書店のデータブックの各国データには載っているが、ここまで準備はしていないだろうと思う。難問である。記述は、このグラフで固定電話に比べて携帯電話の契約数が急増した理由、さらに固定電話の契約数が減少した背景を問うている。これは、固定電話が有線で結ばれており、インフラ整備が大変であること、それに対して携帯はアンテナの設置で比較的容易であることを認識しているか否か、さらには携帯電話の利用上の優位性が問われている。記述問題は続く。インターネット普及上、通信衛星と光ファイバーケーブルの果たした役割について。(字数制限なし)国際的な視点から国や人のデジタルデバイドは、どんな問題を指し示しているか。(50字)高校生にとっては、どれくらい部分点を拾えるかが問題だと思う。前の問は、光ファイバーによる情報の大量伝達、後ろの問はグローバル化の中で、情報収集の重要性を記すことになるだろう。

大阪大学の問題と比べて、かなり量は多い。系統地理・地誌の全てをまんべんなく勉強しておく必要がある。基本的な問題もあるが、記述問題の視点はなかなか面白いし、いい問題も多かったというのが感想。

2021年9月2日木曜日

阪大の地理を解く


阪大の昨年度の前期試験、地理は、大問が2つ。白秋ではなく未だ青春でありたいという想いで解いてみようと思う。

file:///C:/Users/TSUJI%20YOSHITAKA/Downloads/8.%E5%9C%B0%E6%AD%B4L%20(3).pdf

大問1は世界の難見や紛争に関する問題。上記画像にをもとに、問1は、難民発生国と難民受け入れ国との関係について150字で説明する問題。受け入れ国の基本は、難民発生国の周辺国であること、さらにそれ以外として旧宗主国や難民受け入れに積極的な先進国ということになる。これらの例を挙げれば150字くらいになるだろう。

問2は、旧ユーゴスラビアの解体以前にバルカン半島やその周辺地域で起こった紛争の背景について150字で説明する問題。これは、ソ連を中心とした東側諸国の中での反発が背景だといえる。ハンガリー動乱やチェコのプラハの春について記すことになる。その後チトーの死によって、かなり反ソ的な特殊なスタンスをとっていたユーゴが瓦解するからである。

問3は、かなりメタな設問である。民族と言語の関係、民族と国家の関係、および国家と言語との関係について、世界の事例や現状を踏まえて200字で説明する問題。ただし具体的な国・地域名や民族・言語名などの語句は持ちいてはならない。

これは、具体例を挙げれないので意外に難しい。民族と言語の関係についてはおよそイコールで結びつく場合が多い。民族と国家の関係は、多民族国家が世界の大多数なので、それらの民族を統合し、国民国家化することはかなり難しいこと、国家と言語の関係は、各民族語と共通語の設定という問題がある。多数派の民族の言語が共通語になる場合もあるし、旧宗主国の言語を使用する場合、あるいは併用する場合も多い。…ということになると思う。

大問2は、北極圏の問題である。問1は、北極圏の気候の特色20世紀以降の環境の変化について200字。これはそう難しくない。EFとET、Df、Dwの分布を示せばいい。環境の変化は、当然ながら温室効果ガスによる氷山等の融解、南極ほどではないがオゾン層の破壊が進んでいる事を示せばいい。

問2は北極圏における交通の概要について150字。北極航路と言うのは、これまでなかったが、地球温暖化によって砕氷船による航路が開発されるつつあることを書くとよい。特に東アジアからヨーロッパへの最短航路が生まれる可能性もある。

問3は、北極圏の資源の利用と開発について150字。これは簡単。天然ガスと石油資源が豊富である。ただ、資源が埋蔵されていても可採できるかどうかが問題になる。

というわけで、私にとってはそんなに難しい問題ではなかった。プロだから当たり前で、威張れるような話ではない。(笑)

2021年9月1日水曜日

旧帝大の入試科目 考

https://life-hack-lab.com/gakureki/qtei-zyoretsu/
これまで、私が直接関わった入試は、M高校での阪大外国語学部が最高レベルであった。センター(現・共通)テストを受けた後、当時地理の前期試験があった。十数題の模擬問題を作って対応した。その中で1題だけ的中した。(風力発電のメリットとデメリットについて記せ。当時の阪大はこのような記述式問題だった。)ちなみに調べてみると、昨年度は阪大外国語学部は世界史Bのみで、地理を選択できるのは文学部だけになっている。

京大は、文系学部で、日本史B・世界史B・地理Bからの1科目選択になっている。東大は、さらに大変で、文系学類では、地歴3教科から2科目選択になっている。さすが東大である。

旧帝大クラスになると、共通テストの公民は「倫理・政経」なので、普通の国立大学よりきつい。倫理と政経を両方やらねばならない。しかも東大は地歴もさらに2科目となり、社会科の勉強量は半端ない。

他の旧帝大文系学部は、だいたい京大や阪大と同様で、共通テストは地歴1科目+公民は「倫理・政経」、前期は地歴3教科から選択になっていた。

共通テスト対策が主戦場の一般国立大学とは、かなり様相が変わるわけだ。これから、東大、京大、阪大の前期試験(ただし地理のみ)を見ていこうと思う。これまでの私の経験で果たして、解けるかな?