2021年9月3日金曜日

京大の地理を解く

京大の前期試験の地理の問題は大問が5つある。大問1は地形図の問題。大問2はオーストラリアとニュージーランドの地誌問題。大問3は、乾燥帯の気候に関する問題。大問4は、世界の水産業の問題。大問5は、通信技術に関する問題であった。

記述式問題であるので、難しそうだが、意外に解ける。大問1の地形図の記号などは基本的なものが多いし、決して難しくない。この地形図から読み取れることへの設問も決して突飛なものではない。落ち着いて解けば正解にたどり着くはずだ。

大問2は、秒殺問題(一瞬で正解が浮かぶ問題)もある地誌の問題。グレートバリアリーフやニュージーランド南島のフィヨルドなどが秒殺。意外に難しいのが後半部分。言語の設問で、オーストロネシア語族がぱっと出るようでないといけないようだ。また、この語族に属する民族でからなり、「日付変更線より東側で南緯20度付近に位置する、日本からも2019年現在で直行便がある島の名称」を聞いている。私が最初に浮かんだのは、ニューカレドニアであった。ニューカレドニアは日付変更線より西。正解はタヒチである。ミクロネシア、ポリネシア、メラネシアの島嶼国は、地誌の中でも盲点で、さすが京大の問題であると思う。重箱の隅までおさえないといけない。

大問3も比較的基本的な問題で、難しくはない。亜熱帯高圧帯、黄土、外来河川、パオ(モンゴルの移動式テントの中国名:ゲルというモンゴル名の方が有名である。ちょっと難問?)、サヘルといった穴埋め問題やタクラマカン砂漠が砂砂漠であることなど、正解を拾いやすい箇所だ。後半の記述問題は、オアシス成立条件の理解、乾燥地帯における灌漑農業のリスク(塩害のシステム)、砂漠化の人的要因などが出されている。決して難しいとは思わないが、高校生にとっては簡単ではない。

大問4は、系統地理の水産業。センター対策ではあまり重視されない分野である。とはいえ、アメリカ北東部の漁場について、ぶつかり合う海流を問われて、きちっと地理を学んだ生徒なら、ラブラドル海流とメキシコ湾流は答えれるのではないか。この設問の正誤くらいが合格の分水嶺のような気がする。ペルーのアンチョビは、秒殺問題。ただし、漁場付近で発生する現象を踏まえて50字でペルーの水産業の特徴を記す問題は面白い。エルニーニョ現象に気づけばOK。

大問5は、固定電話、携帯電話の100人当たりの契約数、インターネットの利用者率について2000年と2018年の数値を比較したグラフを元に回答する問題である。グラフのABCDをベトナム・中国・アメリカ・日本から選ぶのは、かなり難しい。ABはベトナム・中国のどちらかであることはわかるが、決め手がない。二宮書店のデータブックの各国データには載っているが、ここまで準備はしていないだろうと思う。難問である。記述は、このグラフで固定電話に比べて携帯電話の契約数が急増した理由、さらに固定電話の契約数が減少した背景を問うている。これは、固定電話が有線で結ばれており、インフラ整備が大変であること、それに対して携帯はアンテナの設置で比較的容易であることを認識しているか否か、さらには携帯電話の利用上の優位性が問われている。記述問題は続く。インターネット普及上、通信衛星と光ファイバーケーブルの果たした役割について。(字数制限なし)国際的な視点から国や人のデジタルデバイドは、どんな問題を指し示しているか。(50字)高校生にとっては、どれくらい部分点を拾えるかが問題だと思う。前の問は、光ファイバーによる情報の大量伝達、後ろの問はグローバル化の中で、情報収集の重要性を記すことになるだろう。

大阪大学の問題と比べて、かなり量は多い。系統地理・地誌の全てをまんべんなく勉強しておく必要がある。基本的な問題もあるが、記述問題の視点はなかなか面白いし、いい問題も多かったというのが感想。

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