2018年6月30日土曜日

アフリカの食の話 二題

https://toyokeizai.net/articles/-/226137
「東洋経済のWEBページに興味深い記事があるで。」と妻が教えてくれた。リベリアの食事事情からルポした記事だ。リベリア内戦の影響は未だ大きく、家族を失いその日暮らしの少年兵の話など、かなり悲惨な内容である。ポテトリーフ。キャッサバリーフ。おそらくは毎日のメニューはそうかわらないと思う。私はアフリカ飯は大好きだが、これも旅人としての話。食の豊かな日本やマレーシアに暮らした経験から推し量ると、この食の固定化は、かなりきつい。だが、おそらくは、彼らはそれがナチュラルだと考えているし、食を得ること自体が幸いだという状況下で満足しているのだと思われる。上から目線で判断すべき問題ではない。この記事のタイトルは、「サッカーの英雄が大統領になった国の食卓」である。ジョージ・ウエアという国民の英雄的なサッカー選手が、ノーベル平和賞を受賞した女性大統領エレン・ジョンソン・サーリーフに勝ち、大統領になったからだ。

…リベリアは複雑な国である。アメリカで差別されていた奴隷をアフリカに戻し、黒人の国を新たに建国しようという善意(?)から生まれた国である。だが、そこには、ローカルの人々が住んでいるわけで、新たな格差(指導的立場に立ったアメリカの奴隷出身者VSローカルの人々)のある国家を産んだに過ぎない。この国の複雑さと以後の困難には、そういった因果も影響している。
https://toyokeizai.net/articles/-/226137

もうひとつ、妻が推薦したのは、エジプトの話である。タイトルは「ラマダンで太るイスラム教徒の知られざる食」である。同じイスラム圏に暮らしていると、タイトルにある”ラマダンで太る”というのはよくわかる。この記事が追うのは、その裏に潜むゴミの話だ。ラマダンの夜の食事で食べ残された莫大な生ゴミは、キリスト教のコプト教徒(神=イエスという三位一体ではない単神論をとる古いキリスト教の一派である)が生業として処理している。アラビア語で「ザッバリーン」(ゴミの人)と呼ばれている。彼らの住む地区はゴミの町と呼ばれ、7割がリサイクルされているという。なかなか凄いハナシである。この町の最深部に、生ゴミ処理の施設がある。それが養豚場なのである。
https://toyokeizai.net/articles/-/218780
彼らはキリスト教徒だから、豚を食べる事は可能だ。新型インフルエンザがはやったとき、当局はこの養豚施設を真っ先に駆逐した。これに対し、コプトの人々はゴミ回収の仕事を放棄し、カイロはゴミだらけになったという。以後は当局も黙認せざるを得なくなったという話だ。
https://toyokeizai.net/articles/-/218780

…今月は、あわやアフリカのエントリーができなくなるところだったので、話題を提供してくれた妻に感謝している。

糖尿病の新しい薬

このところ、糖尿病が悪化しているようで、のどが渇いたり、足がつったりする。マレーシアでの生活は、仕事を含め十分満足しているのだが、医療に関しては不安があることは事実である。これまで、日本語の通訳付きのモントキアラ(日本人の多い高級住宅街)の病院で、日本でもらっていた薬のマレーシア版を教えて貰い、近くのタマンデサの病院でそれを貰い、また妻が一時帰国した際に日本の薬をゲットしたりして飲んでいたのだが、これは一度病院に行って診察を受けるほうがいいと思ったのだ。

で、結局タマンデサの病院に行った。もちろん英語だし、伝わるかどうか不安だったけど、何度も行っているので、まあなんとかなるだろうと考えたのだ。何より歩いて行けるのが良い。(モントキアラにはタクシーで片道30分もかかる。)

今週の水曜日、定期試験の採点や集計を終えてから、病院に行ってきた。ドクターはインド系で、私の診療直前に、どこかの工事現場から外国人労働者が運ばれてきたりして、大騒ぎになった。熱中症かと思う。雇用関係者が4人ほど、心配そうに治療を見ていた。そんなこんなで、私の番になった。妻が英語で書いてくれたおよその症状(Google翻訳バンザイである。)を見て、私の超サバイバル・イングリッシュを聞いて、問診は終わった。…ドクターの質問には答えられなかった。彼の英語がよくわからなかったのだ。(笑)結局、これまでとは違う薬を1ヶ月分くれることになった。凄いのは、血糖値検査(指にピッと傷を付けて計るので一瞬なのだが…。)も検尿も何も無し。もちろん注射器で検査用の血を抜くことも無し。(笑)
後で血圧だけはかった。耳になにか機械を差し込んで看護婦が「熱(フィーバー)はないわね。」と言ったので体温も測ったのだろうと思う。

なんともいい加減な診察だが、くれた薬は2種類。朝・夕の食事後に服用するようにと、薬局のお兄さんは丁寧にいった。2ヶ月後にまた、薬をもらいにくるようにとのこと。なんとなく効きそうな薬ではある。診察料含めRM282。
ドクターが、何度も「土曜日の朝にまた来て下さい。」と言っていたので、今朝、きっとキチンと血液検査するのだろうと思っていったら、不思議な顔をされた。「3ヶ月後の土曜日の朝に来てと言ったんだよ。」
…やれやれ。私の英語力はひどいもんだ。

2018年6月29日金曜日

祝 W杯決勝T進出

日本代表が久しぶりに、決勝トーナメントに駒を進めた。今回はまったくリアルタイムで見ていないけれど、嬉しくてしかたがない。セネガル戦では、追いついてドローに持ち込み、昨日のポーランド戦では、1点差で敗北したものの、ファウルの少なさで同点・得失点差も同じセネガルに競い勝ったわけだ。最終局面でボールを回し、ブーイングを受けたらしいが、W杯はまさに勝てば官軍。最高峰のプロが国の名誉を賭けて勝負する、平和な戦争である。戦略の一つに過ぎない。多くのファンからは不満もあろうが、基本的には勝利至上主義は正義であると私は思う。

特に印象に残ったのは、GKの川島である。第二戦で痛恨のミスを犯し、SNS上で交代を促す声が多かった。しかし西野監督は第三戦も起用、スーパーセーブで日本を救った。私は川島を第三戦も使った西野監督を強く支持する。
もし、第三戦に川島が出てこなかったら、彼の選手生命は終わったも同然。決して、情による起用ではないと思うが、指揮官から見て、プロとして彼の能力を最大限に引き出す状況下という判断であったと思うし、それに答えた彼もまたサムライである。

人を育てると言うことは、信頼することだと私は思っている。一度のミスで信頼を翻すのは、少なくとも一流のサムライのすることではない。

2018年6月28日木曜日

佐藤優 いま生きる「資本論」3

http://paintingandframe.com/prints/others_poster_depicting_karl_marx_friedrich_engels_and_lenin-3919.html
マルクスとエンゲルスの意外な話も、”いま生きる「資本論」”に載っている。備忘録的にエントリーしておきたい。

マルクスは、プロテスタントに改宗したユダヤ系のエリートの家に育った。当時のユダヤ系のエリートは学校に通わず、家庭教師をつけるのがステイタスだったようで、ギリシア語やラテン語の文系の家庭教師に習っていた。算数などは、下品な商売人がやるものだから必要ないというわけで、マルクスは極めて優秀な頭脳を持ちながらも、数字をいじるのは超苦手だったようで、資本論にも四則計算以外の数式は出てこない。マルクス主義的経済学では、マルクスは無謬という立場なので、変数を加えて数字を合わせている研究もあるそうだ。第三巻の序文にエンゲルスは、マルクスの数字が合わないことを嘆いている箇所があるそうな。

マルクスもエンゲルスも、第一次インターナショナルを結成したぐらいなので、革命家っぽく感じるけれども、素顔はだいぶ違うようである。マルクスは、妻イエニーの持参金で生きていたが、彼女が天然痘になってしまい、彼女の女中に手を出し、しかもエンゲルスに認知させている。3人の娘も病死したり自殺したりしている。マルクス自身はボルドーのワインを愛したような贅沢を好む人物だったらしく、エンゲルスへの無心の手紙に、「俺にプロレタリアートのような生活をしろというのか」というのがあるらしい。向坂逸郎の「マルクス伝」にあるそうだ。…うーん、なんとなく野口英世である。

エンゲルスも裕福な資本家の家に生まれ、資本主義の矛盾に気づいたまではよかったが、「俺が労働者になるわけにもいかんから」と、厩舎に自分の馬を持ち、凄いワインセラーもあったらしい。金持ちに生まれたのは自分の宿命ととらえていたという。で、人間としてはきびしいが、優秀な頭脳をもつマルクスを応援したということになっている。…うーん、太宰の楽天主義者版かな…。

倫理の資料集などには、マルクスは極貧の生活を送ったとよくあるのだが、本当のところは、だいぶ違うようだ。なんだが、ロシア革命後の、マルクス・エンゲルス・レーニンなどが赤旗の上に描かれて、崇拝されているのを見ると、なんか違うんではないか、と思ってしまう。

2018年6月27日水曜日

佐藤優 いま生きる「資本論」2

今週に入って3日間、定期試験であった。初日は、私の試験はなく、午後はいつものようにインタビューテストの見張り役であった。。廊下で見張りをするのだが、相方はだいたい文庫本である。と、いうわけで、佐藤優の”いま生きる「資本論」”を完読できたわけだ。なかなか面白かった。そのそも、マルクス主義の古典というか原典のような本だが、書かれたのは明治維新の直前であり、佐藤優氏によれば、マルクス主義的(代々木の人々や社会主義教会の向坂逸郎のように)に読むのではなく、宇野弘蔵的に読むことを勧めていく。宇野学派は、あくまで経済学のひとつとして研究した学派でイデオロギーとは無関係なマル経(マルクス経済学)である。

何度か書いたが、私が学生の頃は、マル経が主流だった。私は文学部なので、経済学を履修したのは教員免許取得のためだった。その先生は、貴重な近経(近代経済学)でケインジアンだったと思われる。日本資本主義論争について最初に講じておられたと記憶する。今でこそ十分理解できるが、当時は難解だった。この本で佐藤優はこの論争を分かりやすく説いている。ところで、アナ・ボル論争とも呼ばれるこの日本資本主義論争、労農派(アナーキズム)VS講座派(ボルシェビキズム)なのだが、面白い記述があった。

「今なお、無意識のうちに講座派と労農派という枠組みの中で発言している知識人が多いのです。講座派は、(明治維新を絶対王政と見るので)共産党系で、天皇制打破を目差しました。ですから国体を破壊しようとする団体として大弾圧を受けることになります。それに対して(明治維新を市民革命と見るので)天皇はもはや大財閥の力学の中に埋没しており、社会主義革命を行うのだという労農派は、言論の枠内で活動をしていると見なされ最初は弾圧されなかった。(中略)講座派は転向したあと、天皇主義者になる人がすごく多かった。戦後になっても、共産党系からスタートした知識人たち、たとえば読売新聞の渡部恒夫さんなども日本主義的なところへ収斂していきます。対する労農派は世界システム論に立っていますから、講座派がこだわる日本の特殊性には無関心です。そして労農派は転向しないんですね。(中略)労農派の発想というのは、突き詰めていくと新自由主義的な発想やグローバリゼーションと親和的になっていきます。ちなみに、現在の論壇人の中で講座派的な思考をせずに、労農派的・世界システム論的な発想をしているのは池上彰さんです。(後略)」

…佐藤優氏は、「自身に労農派的なバックグラウンドあるので、似た匂いのやつはわかるんです。いくら隠したって(会場笑)」と述べている。そうか、ナベツネ氏は転向しているのか、そして池上彰はアナーキスト的。なかなか面白い講義だと思う。

2018年6月26日火曜日

Haeley-Davidsonの反乱 考

スタージスという夏にデビスルタワーやマウントラッシュモアをツーリングする中心の町
http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H28_US/14_nishiyama.pdf
EUにとっては全く不可解な米国の関税攻勢であったはずだ。この対抗措置として、ハーレーダビッドソンへの関税が強化された。これに対し、ハーレーダビッドソン社は国外に生産を移転すると発表した。もちろん12点男は、自分の非を認めることなどできない。耐えろ!という幼児性丸出しのツィートをしたそうだ。ハーレーダビットソン社は、この馬鹿な政策のツケを払うことになり、1億ドルコストが増えるとのこと。こういう事が許されるのだろうか。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-25/PAWGZ56KLVRG01

ところで、ハーレーダビッドソンの本社は、ミルウォーキーにある。ビールの産地としても名をはせているわけで、カトリックのドイツ系が多い。オバマ時代は、ミルウォーキーのあるウィスコンシン州はミシガン州・ペンシルヴァニア州と共にブルー・ウォールと呼ばれ民主党が制してきた。しかし、今回は0.8%差で共和党が制した。
http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H28_US/14_nishiyama.pdf

EUが、対抗措置の関税の標的としてハーレーダビッドソンを選んだのは、アメリカの象徴的なバイクであること以上の(念密な中間選挙をも見据えた)戦略が見て取れる。政治・外交戦というのは、こういう極めて知的なゲームである。こういう寝技は、もうアメリカは出来ないのではないか?幼稚・単純・拙速・無為無策…。そりゃあ、側近達がレストランに入るのを拒まれてしかるべしである。米国政治史にこのような大統領側近と言うだけでレストランを追いだされることはあったのだろうか?ニクソン以来?
https://www.47news.jp/2493224.html

2018年6月25日月曜日

もう妄言にはウンザリ

http://lovatto.com/por
tfolio/trumpinocchio
12点男(某国大統領)がまたわけのわからないことを言っている。TVのインタビユーで、「日本で私は世界的な英雄だと思われている。」と主張したらしい。
https://mainichi.jp/articles/20180625/k00/00m/030/064000c

あまりに日本国民を愚弄した発言だ。彼の支持者ほど民意は低くないし、押し並べて政治経済に対する意識ははるかに高い。もし、日本国首相が12点男のようなウソを並べた発言をしたら、ただではすまない。すでに、モリカケ問題で十分求心力を失っている。12点男の発言・外交のつたなさに対し、こちらはまだマシである。まあ、次の総裁選は乗り切れないと思うが…。

もし、12点男を英雄だと思っている日本人がいたら、是非とも会ってみたいものだ。

2018年6月24日日曜日

ガザの美容室

ガザの情勢は、まだまだ厳しいようである。凧や風船に爆弾を付けて、イスラエル南部へ飛ばし、イスラエル空軍の空爆を受け、さらにロケット弾で反撃するという方式である。このバックにはイランの影も噂されているらしい。
オリーブ山便り http://mtolive.blog.fc2.com/

ところで、ガザはハマスが支配しているが、以前(2007年頃)、PLOの腐敗していたファタハの残党がマフィア化し、抗争があったようだ。なかなか複雑である。この頃のガザを描いた「ガザの美容室」という映画が、日本で公開されるようだ。
http://www.uplink.co.jp/gaza/
https://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2018/06/post-40_1.php

ここでは、あえて、イスラエルとの問題は出てこないという。女性達は争うばかりの男達にうんざりしている。ガザと言えば、イスラエルの攻撃で何人死んだというニュースばかり。監督は、死はではなく、人生を描きたかったと語る。

…人間の安全保障が脅かされているという点では、ガザに勝るところはないだろうと思われる。人口密度も極めて高い。様々な論評を見ると、ハマスは、その命を盾にアラブの正義を遂げようとしている可能性があるようだ。私は、アラブの味方でもユダヤの味方でもない。ただただ、不合理を感じる。自身は平和な空間にあって、こういう論評がゆるされるのか?とも思うが、やはり不合理であるとしか言えない。

ガザの美容室。いつか見てみたいなと思う。

2018年6月23日土曜日

ニュー・ノーマル(新常態)

ttps://www.reddit.com/r/polandball/
comments/8qctdp/north_
koreausa_summit_in_singapore_12
_june_2018/
前々からエントリーしようと思っていたことに、「ニュー・ノーマル」(新常態)という言葉の話がある。
私は、一昨年の英オックスフォード辞典の(日本流で言えば)流行語大賞となった「POST-TRUTE」を使っていたのだが、最近はこの言葉が国際関係のキーワードとして使われているらしい。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13074

始まりは、リーマンショック。さらに習おじさんが、G20で安定成長という意味づけで使い、その後は、ロシアの旧ソ連的な大陸国家への逆走、そして国内政治学者100人の評価が12点の米大統領の異形な政治姿勢へと、シニフィェ(言葉の意味)がその時々で変化しているようだ。

この「ニュー・ノーマル」は、決してよい状況だとは思えない。政治家の質がどんどん落ちている。衆愚化しているように思う。自由貿易を是としてきたのは、あの大戦の悲劇を繰り返さないためであるはずだ。12点男は、そういう基礎的な教養もない。あるのは、カネ・かね・金の損得勘定と、自己顕示だけである。中国、EU、NAFTAを相手に保護貿易化を計っているのは、自分の支持者、いや自分の選挙の為であって、アメリカ・ファーストと呼ばれる国益ですらない。

オーストラリアでの調査では、12点男より、習おじさんの方が信頼できるという結果が出た。G7での宣言文を後でツイッターで否定するとか、アメリカへの信頼感は大きく薄らいでいるのは間違いない。
https://www.cnn.co.jp/world/35121162.html

先日のシンガポールでの米朝地獄八景亡者の戯れ会談の評価はまだまだ定まっていないが、政治ショー以外の成果があったのか私にはわからない。少なくとも日本にとって、急に核施設の費用負担を迫られて、バカを見ている。どんでもない男のポチになったもんだ。今日付のAFPでは、会談自体の否定のような発言している。やはり、この12点男の言うことに振り回されるのは、世界の不幸でしかない。これが、ニュー・ノーマルだとは…。

2018年6月21日木曜日

PBTの話(42) F40A南北貿易G

最後に全員で記念撮影
ICUに9月入学するL君が、F40Aのクラスに在籍している期間は、あと1ヶ月ほどである。総合科目のほうでは、国際関係の南北問題に突入した。と、いうわけで、今日の3・4限を使って、南北貿易ゲームをやった。毎年、11月のEJUの後にしているのだが、早めにしたわけだ。

これまで、何度このゲームをやってきたことだろう。(笑)現在18名のクラスなので、3人組×6ヶ国で行った。南北問題への導入と考えていたのだが、今回は経済分野を学んだ上での資本主義の恐ろしさを知ったという感が強かった。
本日の黒板 市場価格の変化や融資、そして結果がわかる。
「全員が経済人である。損得だけを考えてゲームを行うように。」と言ったのだが、まさに資本主義、それも生き馬の目を抜くという中国市場的な展開になったのだった。先進国は、アメリカとドイツ。中進国はマレーシアとアルゼンチン、途上国は、ケニアとブルキナファソ。この中で優勝したのは、ドイツである。効率的に仕事を進めていた。ところが、アメリカが最下位?二位は、ブルキナファソという大番狂わせになったのだ。
アメリカで働く2人
理由を聞くと、1人の男子学生がアメリカに出稼ぎに行ったのだが、その雇用契約がかなり高かった(彼はクラスでも最も優秀な学生の1人である)。しかも、彼は製品のいくつかをわざと不良品にして、アメリカにダメージを与えたのだ。一方、同じくマレーシアからアメリカに出稼ぎに出た女子学生の賃金と比べると、桁が違った。アメリカの大きなミスである。(笑)欺いた方も凄いが、欺かれたアメリカも自業自得という、実際の世界情勢を絵に描いたような話で、みんなで大笑いしたのだった。

ところで、2つの別の国の学生から、世界巨大銀行は、融資をするわけだから、銀行に預金して利子を得ることは無理でしょうか?と聞かれた。今まで、このような質問を受けたことはなかったし、融資をしたこともほとんど記憶にない。(今回は、金利10%の融資を3ヶ国が依頼してきた。)このように、南北格差というより、資本主義経済の学習といった色合いが強かったのだ。
中国市場的?世界

3限目の事前授業で、国単位の戦略を考え、他国との折衝を行った。この時、日本語の枠を外したのだが、中国の商人がやりあっている感じで、かなり見物だった。教室の隅でこそこそと内緒話をしているかと思えば、堂々と丁々発止やりあっていたりする。(笑)マレー系の学生もいたので、途中で、日本語に切り替えたのだが、なかなか面白かった。

南北貿易ゲームは毎回異なる展開を見せてくれる。そこがコーディネーターとしては、面白い。南北問題の導入は、また新たに考えようと思う。そうそう、マレーシアを選んだJ君の名言を最後に期しておこう。「J君、どこを選ぶ?」「我が母国マレーシア!」

大阪市長のツイッター批判

学校の耐震工事の例 
http://www.odagumi.co.jp/public
大阪市長が、大阪北部地震の際、ツイッターで全校休校を発信、現場は大混乱したという毎日新聞のWEB記事を読んだ。
https://mainichi.jp/articles/20180621/k00/00e/040/262000c

市の防災計画では、校長(おそらく各校園の長と書かれているはずだ。大阪市立の幼稚園もあるので…)に判断がゆだねられている。これは当然のことである。私は大阪市立の高校の教師だったから、高校のことしかよくわからないが、小中学校は、当然高校より通学範囲が狭い。しかしながら、各校園とも様々な地域性をもっているはずで、それをよく知る校園長が判断すべき問題だ。たとえば、淀川のそばで、氾濫が予想されたりしたときに、休校の指示が出たからと言って、児童生徒を家に帰すことが良いかどうか?近隣の交通網や、電線の寸断、ガスの事故、水道の破裂などないか、責任をもって教育関係者は下校のルートを探るだろう。決して簡単な話ではない。

高校なら、さらに通学範囲は広い。最初赴任した商業高校、次の工業高校、4校目となった普通科高校は、自転車通学者が多い。高校生なら自分で危険を察知できるはずだし、随時下校させることは可能だろう。だが、交通アクセスが止まっている場合、安易に下校させることが良いわけではない。3番目の赴任校は上町台地、もっと言えば活断層の上に立地しているうえに、自転車通学は禁止されており、徒歩圏内の生徒以外は地下鉄で通学している。きっと、当日大変だったのではないかと思う。私は、その学校の生活指導部長も経験している。もし、その立場なら、おそらく、あらゆる情報を集めながら、下校の是非を検討し、校長に進言したと思う。

ちなみに、大阪市では校園の耐震工事を急ピッチで進めてきた。最も安全な場所は学校なのである。すでに工事が終了しているところ、まだのところもあるかもしれない。教育委員会は当然それも把握しているはずだし、校園長も当然熟知しているはずだ。行政のトップは、自分が推進した耐震工事を信用していないのだろうか?

したがって、百歩譲っても、市長の「迅速な?いや拙速な」判断は間違っている。災害対策本部の本部長である市長の誤った指示に従わなければならなかった教育委員会や学校関係者に、おくやみを申し上げたい。法の支配はどうやら地域政党の支配する大阪市にはないらしい。

私はもう、大阪市の教育関係者ではないから、あえて正論を述べさせて頂いた。

2018年6月20日水曜日

祝 W杯 コロンビア戦勝利

http://jin115.com/archives/52223981.html
今回のサッカーW杯日本代表の評判はよろしくなかった。マレーシアに来て、しかも日本のTVを見れないので、予選や親善試合の結果しか見れなかったので、余計悲観的であった。前回も完全に期待はずれだったし…。初戦は、コロンビアだし、ドローなら万々歳だと思っていた。

しかし、何故か日本は勝ったのだった。いやあ、嬉しい。もし日本にいれば後輩のI先生とメールでやりとりしていたと思う。「ゴーーーーーーール!!!!!!」とか「誰々の動きがよかった」とか。今回のW杯は、ライブでで見れないので、自分の中では盛り上がらない。

マレーシアでも日本のTVを見ることは可能だ。もちろん、お金を出せば、の話だ。月額でRM100強くらいである。経済的な問題ではないといいたいところだが、RM100強は大きい。(笑)
それより、日本のTVのない生活は、それなりの意味がある。日本のTVがあると、マレーシアで外国生活をしているというアイデンティティにかかわるような気がしている。あったら、おそらく私は見る。絶対に見る。(笑)それが決していいことだ、とは思わないのである。マレーシアにどっぷりつかっていたいという気持ちがある。日本人会の建物内にPBTはあり、マレーシアの中の日本の小宇宙に生息する私としては、ちょっと意識的にTVを避けていたのだ。…だが、W杯は見たい。見たいのである。

セルジオ越後は、浮かれている場合ではないというコメントを出したが、盆と正月がいっぺんに来た幸運な試合だったとしても、やはりW杯はW杯。勝ち点3は勝ち点3である。アジア勢初の対南米勝利である。もし、日本在住なら、地震直後でもキャーキャー叫んでいたと思う。

…だが、次の試合までに我が家に日本のTVを見るセットが来る予定は全くない。

2018年6月19日火曜日

官房長官の「まいかた」

大阪北部地震と呼ばれるようになった昨日の地震。枚方からの報告では、まだ余震が続いていて、眠れない夜を過ごしたとのこと。地元のこと故、実に心配である。ところで、菅官房長官が、昨日の緊急会見で、「枚方」を「まいかた」と誤読したらしい。関西人は、SNSで、見事に突っ込んでいる。ひらパー兄さん(ひらかたパークという私鉄・京阪電車の運営する遊園地のキャラクターで芸能人が勤めている。)に、「まいパー兄さんです~。」と言わせるポスター作れとか、わざと間違えて関西人を元気づけてるとか、なかなかこの誤読に関して、盛り上がっているらしい。(笑)

さすが関西人であるが…。私のこの誤読に対しての感想を今日はエントリーしたい。それは、官房長官といえば、首相が外遊中は首相の代理を務めるような地位である。(今は政治生命が風前の灯火の某財務大臣が首相代理を務めるかもしれないが…。)その官房長官の緊急会見で、こういう誤読がなされてしまった、というのは、取り巻きの官僚は何をしていたのか?ということである。確かに地名は難しい。菅氏の地元は横浜市(神奈川2区)らしい。きっと関西人が「なんて読むんや?」というような地名もあるはずだ。誰にも間違いはある。問題は、そのような想定の上に立って、読み上げ原稿にルビをふるなりして、慎重にも慎重を期すのが、取り巻きの官僚の仕事である、と私は思う。日本でも官僚の力が落ちている、そう断じざるを得ない。地名など、スマホの検索ですぐに確認できるはずである。あほちゃうか。

どこかの国でも会談の地を、マレーシアのシンガポールなどどという発言をして顰蹙をかった。まさか、その事実をかばうために、ポチとしてわざと間違ったわけではないだろうが…。小事が大事である。だいじょうぶかいな、日本の官僚。私はそう思う次第。

2018年6月18日月曜日

大阪の地震を記録す。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180618-00003867-weather-soci
大阪で、本日朝、震度6弱の地震があり、死去された3人の方に心からお悔やみ申し上げます。特に高槻市の登校中の女子小学生の悲劇には、本当に心が痛みます。また負傷された方々、被災された方々、遠くマレーシアから一刻も早い回復をお祈り申し上げます。

私の大阪の家は、枚方市にある。今回の震源地にかなり近い。授業前に妻から第一報が入った。義姉の家も3階では、かなりモノが散乱したとの話で、ちょっとビックリした次第。阪神大震災の時、意外に枚方は被害を受けなかったのだが…。

徐々に状況が判明し、11:30頃、日本人会のロビーで、NHKのニュースを見た。以後、当然被害は拡大していると思う。夕方、帰宅して、我が大阪の家でも1階の書庫の本棚が倒れたとの息子からの報告があった。2階・3階ではもっと被害があるかもしれない。妻を不安がらせないための、心遣いしたのかもしれない。
マレーシアにあって、結局のトコロ何も出来ないわけで、ここは、息子夫婦にまかせるしかない。

大阪市立の高校も、登校中の話らしく、交通が麻痺してしまい、登校してきた生徒を待機させていたようだ。こういう際にこそ、教師の危機管理能力が問われる。
帰宅難民が大阪でも多く発生したようで、心配である。詳細はまだまだ不明な点も多く、とにかく今日のブログは、現状を記録しておくことを旨とした次第。

2018年6月17日日曜日

佐藤優 いま生きる「資本論」

私は、併読派で、日本のアマゾンに注文して手に入れた、小川さやか氏の「その日暮らしの人類学」(光文社新書)、佐藤優の「いま生きる資本論」(新潮文庫)を読んでいたのだけれど、今朝書評を書いた「マイモニデス物語」が横はいりしてきて、一気に読んでしまった。この2冊が、置き去りにされてしまうぐらいに、「マイモニデス物語」に熱中したので、意識がまだ少し中世の中東世界にある。(笑)

ところで、マルクスである。マルクスはユダヤ人でありながらユダヤ教を批判しているのは有名な話であるが、面白いことを佐藤優が、この本の中で書いている。ドイツ語で読むと、マルクスの書いた資本論第1巻と、エンゲルスが書いた第2巻以降では書き方や文体が全然違うそうだ。マルクスの書いた第1巻は本文に、延々と注釈がつく。これは、ユダヤ教のタルムードの書き方である。(タルムードの研究が終わるときが終末の時、神の目的が達成された時、というユダヤ教のタルムード学の影響下にあるということである。)ところが、第2巻以降は、役所の報告書のような、わかりやすい文書になっているらしい。(エンゲルスは、プロテスタントの信仰の篤い家庭に育っている。)

…やはり、マルクスは神を否定しても、ユダヤ人なのである。タルムードで知を磨いたひとりである。内田樹氏の書かれた著作に、レヴィナス氏のタルムード学の方法が載っていて、私にとっても属性がある。このマルクスのタルムード的文書の箇所を読んで、なるほどと膝を打ったのだった。

前述のように、この本は併読と言っても、まだまだ最初の方しか読んでいないのだけれど、十分にエントリーするだけの内容を持っているのだった。さて、そろそろ頭を現代に戻さなければ…。EJUが終わり、明日からは2ヶ月ぶりにPBT本校での授業開始である。

マイモニデス物語を読む。

http://antiquecannabisbook.com/chap2B/Arab/Moses-Maimonides.htm
妻が帰国中に息子に勧めらた本を読んで、いたく感動していた。これは、絶対私も読むべきである、という。12世紀、中世の第1回十字軍の頃のユダヤのラビの話で、史実をもとに物語として書かれているという。いつぞやに読んだ「日本人におくる聖書物語」に近いとのこと。「昼も夜も彷徨え-マイモニデス物語」(中公文庫/2018年1月発行)という中村小夜氏という女性の著作である。表紙カバーが、極めて気に入らなかったので、表紙を外して読み始めたのだが、これがハマる。著者の筆力には舌を巻く。主人公の実際の人生が波乱に満ちているとはいえ、全体の構成も、登場人物の設定、物語としてのアレンジといい、素晴らしい。ユダヤ教やイスラム教を多少なりともかじっている我が夫婦にとっては、なんなく読めたが、全く知識がない方には若干厳しいかもしれない。それでも好書であると断言して良い。私がこのブログで毎年選ぶ”今年この1冊”の大本命である。

本年1月発行の文庫だし、ストーリーについて書くことは本意ではない。ただ、いくつかの事項について書いておこうと思う。

…中世のイスラム社会では、アラブ人、クルド人、トルコ人などの人種、さらにスンニー派、シーア派などの差異が、ありながらも共存していたこと、ユダヤ人に対する迫害も地域で差異はあったものの、キリスト教社会よりははるかにマシであったことがよくわかる。ただ、ユダヤ人にとって生きやすい場所はかなり限られおり、主人公も家族も翻弄されていく。ユダヤ人として生きることの難しさが、かなり伝わってくる。

…世界史の中で、イスラム王朝の変遷はかなりややこしい。私も王朝名は記憶しているが、なかなか結びつかない。物語後半では、エジプトのファーティマ朝(シーア派)からアイユーブ朝(スンニー派)への転換期が描かれていて、興味深かった。

…中盤では、地中海の港町・アッコーが舞台となる。イスラエルに旅したとき、強く印象に残った街である。また、読後に主人公のことを調べ直していたら、彼はガリラヤ湖畔のティベリアに埋葬されているとあった。ここも足を踏み入れた地である。当然、イスラエルに行った時は、主人公(ラテン語のマイモニデスより、ユダヤ名のモーセ・ベン・マイモンの方がふさわしい)の事など知らなかった。もし、知っていたら、さらに感慨深かっただろうと思う。

…この著作も、乾燥したカイロの気候が幸いし、現存しているゲニザ文書(フスタートのシナゴーグから発見されたユダヤ人の諸書類)の恩恵に浴していることが記述されていた。こういう中世のユダヤやイスラムの歴史的な知の集積には、改めて驚きを隠せない。

…マイモニデスの思想についても、大きな衝撃を受けた。ブログの書評で論じるような次元ではないと思う。スコラ哲学の創始にも大きな影響を与えたくらいの次元である。とてもとても…。

…最後に、やはり気になるのは、この文庫の装丁である。著者の嗜好によるものらしいが、私にはアンバランスに映る。内容が高度で、素晴らしい作品だけに非常に残念である。

2018年6月16日土曜日

ブルネイの日本人知事の話

https://search.yahoo.co.jp/image/search?ei=UTF-8&p
ミッドバレーに今日も買い物に出かけたのだが、バスを待っていると、妻が、戦中の日本統治時代のブルネイに赴任した木村強氏という県知事の功績を話し出した。WEBで読んだらしいのだが、なかなか、興味深い話である。日本政府は、大東亜共栄圏などといいながらも、アジア各地で搾取を行っていたのだが、この木村氏は、ブルネイの石油や天然ガスを強権的に搾取するより、まず日本人との協和を目差す。天然ゴムなどの加工工場を作り、現地の雇用を行い、その冨でインフラ整備を行い、先住民との和解を粘り強く行ったりして、ブルネイのスルタンと現地の人々の信頼を勝ち取っていった。

しかし、結局1年ほどで解任されてしまう。杉原千畝氏が人道主義からユダヤ人を救い帰国させられたように、自己の信念でまず日本との信頼関係をブルネイの地に確立した木村氏もまた、同様。

ブルネイは、以前はカリマンタン島全体を領有するほどの王国だったのだが、歴史の流れと共に現在の三重県ほどの小国になってしまった。しかし、木村氏の蒔いた近代国家の種は、その後のブルネイを変えた。マラヤ連邦の一員とならず、英国保護領のまま、その後独立する。現在は極めて裕福な国家になっている。あの木村氏の1年は、かなり大きかったようである。当時のスルタンは、戦後木村氏との再会を決意して渡日したのだが果たせなかった。木村氏の当時秘書として支えたのが次のスルタンで、彼はついに再会を果たせたという。震災の時には、現スルタンから100万ドルもの義援金が寄せられ、民間からも2400万円と寄せ書き(私は金額よりこの寄せ書きの方が大きいと思う。木村氏は戦後仙台で検事をされていた。)が贈られたという。

…なかなかいい話であった。妻と共に、ブルネイに行ってみたい気がしたのだった。
http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/160102_4.html

2018年6月15日金曜日

ハリラヤのタクシー事情

ハリラヤである。ラマダンが開け、マレー系の人々は1年で最もハッピーな時。昨日は遅くまで、中華系の旧正月とはいかないまでも、あちこちで花火の音がした。(我が住処からは、あまり見えない。残念。)

今日は、妻と朝の内に、NSK(クチャイラマにある業務用スーパー)に向かった。コンドのセキュリティが、さっそく「ハッピー、ハリラヤ!」と挨拶してくれる。LINEにも、画像が送られてきた。相変わらず、ブラウン(熊)は無表情である。(笑)

さて、NSKに行くタクシーは、5分くらいでつかまった。中華系の運転手で、フロントには「平安」という文字がぶら下がっていた。帰りは、かなり待っはめになった。普通NSKではタクシーが待機しているのだが、なかなか来ない。マレー系の運転手は当然ながら休みを取っているのだろう。やっと捕まえたタクシーは、インド系でガネーシをぶら下げていた。実はこういう、宗教的なお守り類の話は、マレーシアでは日常的なことで、たいした話題ではないなのだが、ハリラヤでマレー系が不在であるが故に強調してもいいかな、と思う。宗教学の徒である我が夫婦は、意外にこういうことを楽しんでいるのだった。

ちなみに、中華系のタクシーは、金色の仏像がどーんとフロントにあったりする。太陽光で動くマニ車には、さすがに驚いたこともある。インド系は、ガネーシ神(象が顔の神様)が多いが、シバ神やクリシュナ神の時もある。ハヌマーン(猿の神)の時もあった。ちなみに、マレー系は偶像崇拝をしないので、普通何もない。そうそう、唯一、戦車のプラモデルを並べたマレー系の若い運転手がいたなあ。日本ではおそらく経験できないタクシー事情ではある。

PBTの話(41) MBMR引越

水曜日のスコールの後 分校の職員室から
今週は、スクールホリデーである。月・火と休みを取って、水・木はMBMRの分校に出勤した。引越の必要があったからとF40Aの学生達が「聴解」「聴読解」(EJUの日本語の出題科目で、日本語を聴いて理解・あるいは文章化する内容)の補習で来ていたからだ。

今回のEJUは、マレーシアの学生にとって極めて不利である。特にマレー系の学生はラマダンがあって断食している上に、その後のハリラヤの中で行われる。日本で言うと正月三が日に試験という感じである。イスラム歴は太陽暦と違い、毎年少しずつ前に動くので仕方がないが、不利であることに違いはない。我がクラスにも、隣のクラスにもマレー系の学生がいる。苦難を乗り越えるしかない。頑張って欲しいところだ。

私の引越は、メインは水曜日の午後、最後のPC等が木曜日の夕方の2回だった。本校に帰ると、たった2ヶ月いなかっただけなのに、なんとなくアウェー感がある。(笑)他の分校経験の先生方も、分校の職員室は静かで意外に居心地が良いので、同様の感想をもっている。分校移動をめぐってはイロイロあったけれど、進路指導には本校の方がいい。諸書類を準備したり、日本に電話連絡をする必要もあるし、学生のことを思うと本校に戻るのは大正解。

毎日、使わせて貰ったバギー(ミッドバレーとMBMRを結ぶ電気自動車)ともお別れである。彼らセキュリティーや清掃メンバーとは仲良しになったのに…。

2018年6月12日火曜日

マハティール首相の訪日

本来ならもっとマハティール首相の訪日のニュースが多いはずだが、例のシンガポールでの米朝地獄八景亡者の戯れ会談のために少なくなっている。マスコミの対応というのは、紙面やTVの放送時間に縛られる。本来的にそういうものなので、残念だが仕方がない。

とりあえず、今わかっていることは、ナジブ政権下の中国よりの姿勢を改め、以前のルックイーストに戻り、日本との関係を強化する外交姿勢を明確にしたこと、新たな円借款を求め受け入れられたこと、日本の協力で新たな国産車を作りたいと考えていること。TPP11に対して、大筋賛成だが公平な自由貿易体制を求めたいと考えていることなどであろうか。

ちなみに、PBTの中では、ワッツアップでローカルの事務職員のLさんから、マハティール氏の来日関係のニュースや氏のフェイスブックも流して頂いている。フェイスブックでは、アイデア商品(ハンガー)を売っているところがビデオで紹介されていて面白い。英語で懸命に売ろうとするスタッフの姿に「どのような仕事をしていても、日本人のコミットメントと誇りに感銘を受けます。これらは私たちがエミュレートすべき値です。(コンピュータの日本語訳)」とコメントが載せられている。
ちなみに「エミュレート」は模倣の意であるので、最後の文の日本語訳の意味は、「どんどん模倣すべきである。」かな?と思われる。

…マハティール政権になって、実はPBTも大きな影響を受けた。昨年までは、日本で行われるリーダー塾(日本の高校生とアジアの高校生が一堂に会し、様々な研鑽を行うイベント)に4人を送り出してきたのだが、なぜか今年は2名に減らされていた。それが、先日急に4人にすると連絡があり、次点だった我がクラスのJ君も参加できることになったのだ。小さな小さなルックイーストの復活劇だが、きっとマハティール氏にリーダー塾の話が届いたのだと推測する。なぜなら、このリーダー塾、毎年マハティール氏も参加しているイベントであるからだ。

2018年6月11日月曜日

妻のスマホを買いに行く。

インド・フェスタにて (愛機G1X使用)
スクールホリデーである。妻のスマホを買いに、ミッドバレーのメガモールに行ってきた。日本に帰国前バッテリーが肥満して危険なので、空港に向かう前にスマホを諦めた妻が一時帰国中は難儀していたのだ。まずは結局バッテリーを手に入れられなかった、その店へ。違うスタッフが対応して、RM250ほどでマレーシア製の代価バッテリーを勧めてきた。高いし、夕方にならないと手に入らないし…。そこに前のスタッフがちょうど来た。ノキアのスマホがRM300強でカウンターにあったので、それなら買い換えようか、ということになった。電話番号のシムなども入れ替えて、さあ日本語仕様にするという時になって、ノキアは日本語が使えないことが判明。ゲゲゲである。この店にある日本語仕様可能なのはSONYのみ。RM1700もする。結局諦めて、他の店に向かった。私と同じASUSなら日本語仕様OKなので、そこで最も安いRM560くらいのを買ったのだった。
妻のスマホにシールを貼ってくれているところ なかなか丁寧。
やれやれである。私のカメラのSDカードもRM100くらいしたし、ダイソーで買い物をした後、インド・フェスタを催し物会場でやっていたので寄ってみた。面白いことに、インド人街に行ってもサリーとか女性用衣料は豊富だが、なかなか男性用の衣料は売っていない。ところが、ここで偶然、男性用の衣料品を見つけたのだった。マレー系のもいいけど、インド系も欲しい。前々から私はそう思っていた。まあ、何時着るのだ?と問われたら困るけど…。(笑)
ついに見つけた男性用インド衣料品店
RM35くらいでいいのを見つけた。妻は息子にとサイズや色合いを決めて懸命に探している。結局、息子のはチョッキ付き。私は単品で計3点お買い上げである。この後食事をしたり、地下の食料品売り場にも寄ったりして、今日1日で合計RM1000ほど使ったのだった。ひえー。

ところで、SDカードもインプットされ、愛機が使用可能になった。やはり画像の良さに感動である。

2018年6月10日日曜日

NEW愛機 CANON G1X mⅡ

妻が帰国したということは、待ちに待ったカメラが来たということでもある。昨年11月から愛機不在で、妻のNikonで写真を撮ってきたけれど、ついに私の手元に来たわけだ。この愛機Canon G1X markⅡ、見た目は、ミラーレス1眼のようだが、Power Shotというシリーズで、1眼レフではない。1眼レフは重いし、レンズを変えるのが邪魔くさいのである。手軽に撮れる方が私はいいわけだ。とはいえ、かなりの性能を持っている。(実際初めて手に取ると意外に重かった。笑)

大阪の実家にアマゾンで、アクセサリーをいくらか注文しておいた。まず、プロテクターのフィルターを2種類。撮影には支障がない、周囲が赤と黄色(金色にちかい)のもの。これらを取り付けるためのレンズ用アダプター、そしてCANONのキャップ。これだけで見た目が大きく違う。

この愛機、夜間にも対応しているので、花火もOKのようだ。シャッタースピードや露出も当然調整できるし、我が住処から花火を見下ろすことも多いので、かなり楽しみである。そうそう、私のCanonのロゴ入りのカメラマンベストも、新しいナショナル・ジオのカメラバッグも、今回家内に持って帰ってきてもらったので、大いに意気が上がっている次第。ずっと遠出は我慢していたのだけれど、さあ、行くぞという感じである。

2018年6月9日土曜日

妻の帰国とラマダーン

スラウのマーク(一番左)マレーシア各所にある
妻が帰ってきた。行きは45分も650番のバスを待った。ヘトヘトである。結局KLセントラルからは、エクスプレスでKLIA2へ向かった。運賃のRM55は結構高いけれど30分ほどで着く。こっち方が楽だし早い。1人ならタクシーより安い。

で、またまたKLIA2からタクシーで帰ってきたのだが、面白い体験をした。小さな音で音楽が鳴っていたのだが、急にアザーンが聞こえてきた。すると、運転手は待ってましたとばかりに、ペットボトルの水を飲み出した。ラマダン中は水も飲めないのである。ちょうど、日が沈み空は美しい。さらに運転手は、「5分だけ待ってくれる?」と言って、高速道路沿いの休憩所へ入った。ここには、礼拝できる場所=スラウがあるのだ。

「ありがとう。申し訳ないね。」と彼が言ったので、「マグレブ」と私が答えた。マグレブとは1日5回あるイスラムの礼拝で、日が沈んだ時の礼拝を意味するアラビア語である。彼は日本人がそういうアラビア語を知っているのに驚き、大いに喜んでくれた。空腹だろうに安全運転で我が住処まで送ってくれた次第。

妻の帰国に際して、今回はまさにラマダーンと密接な体験をさせてもらった。最後の最後まで…。ラマダーン。私のイスラム教・異文化体験も早くも3回目となったわけだ。

久しぶりに下川祐治を読む。

妻が大阪から送ってくれた書籍の中に、アマゾンで注文した下川祐治の文庫本がある。下川祐治と言えば、東南アジアの貧乏旅行の達人である。この本のタイトルは「週末シンガポール・マレーシアでちょっと南国気分」(朝日文庫)。タイトルから推察するに、超バックパッカーとしての穴場案内のような本だと思っていた。

私はシンガポールには興味がないし、行こうとも思わないので、マレーシアの部分だけ読んだ。意外なことに、この本は下川氏のマレーシア論だった。(あまり下川氏は、こういう類の歴史的なことを今まであまり書いていない。ひたすら国境突破の話とか、安い夜行バスの話とかいった旅行記が多い。)失礼ながらちょっと意外だった。アマゾンで注文したので、目次を見たりせずに買ったので、こういう意外な楽しみ方もあるわけだ。

マレーシアで訪れている場所は、海峡植民地だったペナン、マラッカで、これは私も行ったことがあるので、その歴史的なディープな話には改めて興味をそそられた。ペナンが福建省系、KLが広州系の華人が多いとか、マレー鉄道はマレーシアの所有で、シンガポール内のマレーシア領地だったので、昔シンガポールまで直通だった時は、シンガポールを出て、まずマレーシアの入国スタンプが押され、その後にシンガポールの出国スタンプが押されるとか、こういう逸話も大事にしたい。あと、コタバルのことが書かれている。マレー人たちの小宇宙というテーマで書かれている。コタバルは行っていないし、マスジット・北京(中華系のムスリムが立てたモスク)など興味深い内容となっている。もちろんクアラルンプールの話もある。下川氏がKLを那覇と比較しているのが面白い。ちなみに私は沖縄に行ったことがないので、コメントは避けるけれど…。

最後にLCCについて書かれている。意外なことにエアアジアの創業者はインド系だとか。気楽に読めるけれど、実はディープな内容だった。さて、そろそろKLIA2に向かう準備をしようか、と思う。

妻の帰国 2時間遅れで出発

妻のGメールで、昨夜1時間半ほどエアアジアX便の出発が遅れるとあった。毎度毎度だが、エアアジアXは、KLからKIX、そしてハワイを結んでいるので、フツーの事になりつつある。まあ、安いのであまり文句は言えないのであるが…。

と、いうわけで、日本時間12:53、約2時間遅れで先ほど関空を出発した。このフライト・レーダーというアプリは、こう言うときに極めて便利である。

さてさて、これから妻に怒られないように部屋の掃除である。洗濯はさっき済ませた。(笑)

2018年6月8日金曜日

PBTの話(40) MBMR最後の日

我がF40Aのクラスは、今日がMBMR最終の授業日である。来週はスクールホリデー、最終の日曜日はEJU(2018年度第1回日本留学試験)で、翌日からは日本人会の本校に戻ることになる。授業の方も、昨日はEJUの過去問題を集めて模擬試験をしてみた。今日の1時間目は、その解説に費やした。

せっかくなので、私の授業の後、MBMR分校の責任者T先生と共に記念撮影。(上記画像)なかなか美しい教室での2ヶ月であった。来週は、昼から聴解練習の自主練習をやるけれど、自らが予定を組んで行うので、全員揃っては今日が最後だ。

5限目が終了して教室へ行くと、既に掲示物は学生の手で外され、移動に備えられていた。前担任のS先生の残された書籍はA君が、掲示物等はマラッカ三人組が自家用車で本校に運んでくれることになった。ちゃっちゃっちゃとこういう段取りが進む事が嬉しい。

そうそう、昼休みにマラッカ三人組の1人・J君が、現在の日本の政治状況について質問に来た。彼は政治に大きな興味を抱いていて、志も持っている。財務省の問題、文科省の問題も詳しい。表面的なニュースの裏にある実態について質問に来てくれた。15分くらいだったけれど、極めて濃厚な時間だったと思う。こういう時間を得れることもまた、大きな幸せである。

2018年6月6日水曜日

PBTの話(39) 第四帝国

このところ、就寝中に足がつって2時間事に起きてしまう。血糖値が高いのと、妻が一時帰国中で食事が悪いこと、授業時数が増えて立っていることが多いこと、運動不足その他いろいろな要因が考えられる。と、いうわけで、今までになくブログを書く量が減っている。

久しぶりに、PBTでの授業のことを書こうと思う。実は今日現在で我がクラスは、経済分野をほぼ終えた。需給曲線、市場の失敗、信用創造、信用創造を利用した政策金利、売りオペ・買いオペなどの金融政策を、インフレ・デフレ、通貨供給などの観点から結びつけ、ブレトンウッズ体制や自由貿易体制、国際収支、変動相場制などの山を乗り越え、日本経済史をやり終えた。マレーシア人学生としてはアジア通貨危機は、知って貰わないと困る。さらにリーマンショックまで教えたところ。

私の中では、あまり得意分野ではない経済分野を、極めて有機的に結合できたかなと思う。石の上にも3年目である。(笑)ところで、今年は歴史分野もやっているので、こんなギャグを飛ばした。EUの話をしていて、ユーロ圏に於ける圧倒的なドイツの経済力を支えているのは、まさにユーロの政策金利とドイツの実質経済との差で、マルク安がずっと維持されているようなものだと説いた後の話である。「まあ、EUは第四帝国やね。」
このギャグに、クラスの約3分の1は、ニヤッとしたり、大笑いしてくれた。(今日の画像参照)

こういうギャグは、昔、N高校で教鞭をとっていた頃よく出た種類のものだ。いくつかの学んだ知識が一瞬にして有機結合しなければ笑えないギャグ。私にとって高校の社会の授業というのは、こういうギャグが出てくるような空間を理想としている。全員が笑えてたらもっと凄いのだけれど。久しぶりに大きな手応えを感じたのだった。いよいよ6月17日はEJUの試験当日である。

2018年6月4日月曜日

大阪から荷物が届いた。

一時帰国中の大阪の妻から、PBTに荷物が届いていた。食料品や衣類に混じって、今年1月に届いていた年賀状や同窓会の郵便物、そしてアマゾンで注文した書籍が入っていた。1冊だけ異質なブックレットが挟まれてあった。

「そして人生は続くーあるペルシャ系ユダヤ人の半生」(風響社/アジアを学ぼう別巻13)である。著者は息子である。愚息、とキザに言いたいところだが、なかなかの筆力に舌を巻いてしまった。2時間弱で一気に読んでしまえたからだ。

このブックレット、息子の最初の出版物である。もっというと松下財団からの奨学金を受ける際の契約事項の1つである。

内容については、あえて伏せておく。息子の「終わりに」に書かれていたことを私も強く感じたとだけ、書いておこうかなと思う。アマゾンのカスタマレビューには、1件だけだけど星5つ頂いていた。中東やユダヤ、イスラム世界、あるいは難民問題に興味のある方なら、満足頂ける内容であると思う。

親ばかで申し訳ないが、アマゾンで購入が可能なようなので、私の教え子諸君にも読んで欲しい。日本の、そしてマレーシアの教え子諸君に。

2018年6月2日土曜日

韓/馬・最低賃金政策考

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12878
韓国では、新政権になって、前年比16.4%の最低賃金引き上げを実施した。ところが、所得によって5つに分類した家計所得統計の1~3月度で、最低ランクの家計が8%減、その上の家計は4%減、逆に最上位は9.3%増となった。大慌てで会議を開き、喧々諤々の議論となったようだ。韓国のマスコミも大騒ぎしているらしい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53225?page=6

正直なところ、韓国の「情の政治」には、私はほとほとあきれているので、その経済失策を云々言うつもりはない。問題は、総選挙で勝利したマハティール新政権の公約の中に、韓国同様に最低賃金をRM1200からRM1500にするというのがあることだ。韓国以上の25%という高率になる。ただし、これはすぐ実施というのではなく、3年以内という話になっている。

韓国では、最低賃金の高騰で、セキュリティやコンビニで働く人々の人員削減が増え、賃金上昇の前に、雇用が不安定化しているようである。確かに、企業側からすれば、雇用制度の見直しになるだろうことは想像に難くない。その結果、低所得層の所得は増えるどころかマイナスになったといえる。

在馬日系の製造業で働く友人と昨日会ったのだが、この政策には大反対しているとのこと。死活問題だとも。すでに、製造業で最低賃金で働く人々のほとんどは外国人労働者であるそうだ。プミプトラ政策でマレー系の雇用は勧められているが集まらないので、仕方ないらしい。マレー系の人々の多くは、製造業を好まないらしい。

由々しき問題なのだが、マハティール氏は、韓国の指導者とは器が違う。公約にもちゃんと3年という猶予を入れている。老練な天才的政治家の周囲に存する多くのエコノミストと共に、最良の選択をしていくれると思うのだが。

妻帰国後 ますます頬がこけた。

あと1週間である。妻がマレーシアに帰ってくるまで頑張らねばならない。先日2回目の洗濯をしたのだが、どうも洗剤を入れた記憶がない。おそらく水洗いのみだったような気がする。洗濯機には、妻のメモが貼ってあって、スイッチをOnにする、プログラムを2にする。スタートを押すと書かれていて、もちろん洗剤を入れてふたをすると書かれているのだが、どうも記憶がない。私もおじいちゃんになったもんだ。

食生活もあいかわらず厳しい。(笑)
月曜日 朝:ちびバナナ2本 昼:RM7の経済飯(肉系でイカの揚げ物をプラスした) 夜:キャベツと卵入りエースコックのワンタン麺

火曜日 朝:インドパンをプライパンで焼いて卵とキャベツとチキン(妻が冷凍してくれたもの)を挟んだ 昼:(抜いた) 夜:妻の冷凍した中華丼

水曜日 朝:チキンラーメン 昼:RM5の経済飯(野菜系のみ) 夜:焼きそばを自炊。キャベツを入れたのは完成間近。+小ライス

木曜日 朝:ミッドバレーで買ったチーズパンと目玉焼き 昼:桃太郎天ぷらうどん+クリームパン 夜:銀だこのたこやき8個

金曜日 朝:昨日のチーズパンにキャベツと卵を挟む 昼:ミッドバレーで女性用天丼とおにぎり1個購入 夜:友人と中華料理(久しぶりの肉食+焼きめし等)

食生活以上に厳しいのは、就寝中に足がつることで、かなりの睡眠不足が続いている事である。この土日は、休養あるのみ。