2016年9月30日金曜日

IBTの話(40) 翻訳作業終了

http://nonachempaka.blog69.fc2.com/?tag=%EF%BC%AC%EF%BC%B2%EF%BC%B4
金曜日は、放課後の補習しか教壇に立つことはない。前日デスクワークが出来る日である。定期試験が先日(月曜日から水曜日まで)終わり、すでに宿題も配布済み。教材研究のほうも、経済の補足プリントも、いよいよ終わりに近づいている。10月に入って、金融・財政問題を講じ終わったら、EJUの問題演習を繰り返すつもりだ。そんなわけで、今日はやっと7月から取り組んできた生徒の進路用の「翻訳作業」をなんとか終えることができた。

2年間の成績表(これは学校によって書式はバラバラ)。SPMの成績証(これはほぼ書式は同じ。)。離校証明書(卒業証明書のこと。これも学校によってバラバラ)。出生証明書(ある程度、地域で書式が決まっている。父親の職業はかなり具体的な記述になっている。)といった書類群だ。

マレーシアはそもそもイギリスの植民地の過去をもつから、イギリス式で各教科にA+とか、B-といった評価がつくこと。華人の生徒の場合、マレー語、中国語、英語の3か国語を履修していること。(これはかなり大変だと思われる。)早くから文系・理系に分かれること。課外活動などでは、「制服を着て行う課外活動」という項目があって、極めてわかりにくいが、ボランティア活動や軍隊的な活動などがあるそうだ。もちろん、日本と同様のクラブ活動もある。面白い表現では、クラス委員の中に、「秘書」というのがあって、旨い日本語はついに浮かばなかった。(笑)

こういう翻訳作業から知りえるマレーシアの教育事情は、貴重なものだ。もちろん、書類からわかることなど知れたものかもしれないけれど、かなり刺激的であったことはたしかである。今日の画像は、マレーシアのスクールバスのもの。車体にはマレー語でそう書いてある。最初は私も不可思議だったけれど、最近マレー語のスペルにも興味深々になってきた。

2016年9月29日木曜日

大森実「人物現代史」を再読す。

昔、教師になりたての頃、大森実の「人物現代史」を全巻揃えて読んだ。研修費ということで図書券が配布されていた良き時代の話だ。この人物現代史シリーズは、大学を出たての私には酷く難解な本だった。だが、とにかく通読したのを覚えている。偉大なジャーナリスト大森実氏の念密な調査・研究の集大成である。第一巻はヒトラー。その後、ムッソリーニ、スターリン、チャーチル、F・ルーズベルトと続いていく。(画像参照)

今年の3月末、日本を出ることになった私の膨大な蔵書が、息子のこれまた膨大な書籍の里帰りと重なって、自宅の本の置き場がなくなった。結局私の蔵書のほとんどが破棄されることになった。マレーシアに持ってこれるような量ではないので、泣く泣く妻の提言に従ったのだ。この人物現代史も、破棄の中に入っていた。その後、中古の文庫本でとりあえず3冊をアマゾンで取寄せ、妻の来馬の前、妻の荷物と共に8月初旬に送ってもらった。どうしてももう一度読みたかったのである。

改めて、「ヒトラー」を読んでいると、物凄くよく解る。35年の教材研究の歳月が、この詳細なドキュメンタリーの行間をほとんど埋めていることを発見した。本当に良い本は、再読・再再読に十分耐え得る。近年、池上彰が現代史モノを極めてわかりやすく説いているが、やはり私はそれだけで十分満足するような学生はダメだと思っている。現代史を理解するうえで最初に読むべしは、この大森実だ、と思う。十分わからなくても通読してみる。そこから疑問や新たな興味が湧き出でてきてこそ、本当のの「知」になりうる。古い本だが、今なお輝きを持っている。そういう意味でも、私は良い時代を生きてきた、と思う。現代史を学ぶには「壁」としての大森実しかいなかった。そして池上彰はいなかったからだ。

…ひどく大上段なハナシになってしまった。再読の中で、印象に残ったことなど、またエントリーしてみようかと思う。

2016年9月28日水曜日

「イスラーム圏で働く」を読む(2)

ザムザム・ウォーター
備忘録的に、「イスラーム圏で働く」から印象深かった内容をエントリーしておきたい。

エミレーツ航空のアテンダントの話。メッカ巡礼時のフライトでは、巡礼用の衣装であるイラフーム(白い衣装)に着替えている人には、女性、特に非ムスリムは触れてはいけないので細心の注意が必要らしい。また、国際的には機内に液体の持ち込みは不可なのだが、この時はメッカの聖モスクのザムザムの泉をつめたボトルは特例として持ち込み可だとか。特別な容器に入っているのですぐわかるらしい。(画像参照)

オマーンでは、厳格なムスリムが多いので、外国人であっても、マドンナのTシャツとか、ボブ・マーリーのTシャツとか顔入りの服を着て街を歩くことはあり得ないそうだ。半袖・半パン姿もダメ。間違いなく警察に捕まるとのこと。…うーん、マレーシアでは考えられない。

クウェートでの話。クウェート人はプライドが高く、外国人の元では決して働かない。湾岸産油国に共通していることで、外国人はあくまで使うもの、雇うものという姿勢であるとか。アラブ世界でのビジネスで心得るべきことは、「あせらず、あきらめず、あてにせず。」だという。…マレーシアでは、全く違う。これはイスラームというよりまさに国民性であろうと思う。

イランでの話。ペルシャ商人の発想が面白い。クリーニング屋にワイシャツを出したら、はじめ1000トマン(約100円)、二度目は1500トマン、3度目は2000トマンだと愛想よく言われたという。不思議に思って、イラン人に聞いてみると、自分の店を気にってリピーターになったのだがらもっと高くしてもまた来てくれるだろうという発想らしい。その後、こちらの顔色を見ながら2000トマンで落ち着いたのだとか。全く発想が日本とは違うわけで、こういう異文化体験は貴重な話だと思う。

2016年9月27日火曜日

「イスラーム圏で働く」を読む。

岩波新書の「イスラーム圏で働く」(桜井啓子著/15年9月発行)を読み終えた。コツコツと楽しみながら読んできた。こうして実際にイスラーム圏のマレーシアに住んでみると、ウンウンと頷くことの多い本である。そもそも、イスラーム圏で働くことになる人が多いのに、とりあえず行の航空機の中で読めるような1冊ということで、様々な国のムスリムとの付き合い方、国民性みたいなことが、様々な体験談として掲載されている。湾岸諸国、アラブ諸国、イラン、トルコ、パキスタン、そしてマレーシア・インドネシア。最後にムスリムを迎え入れる日本。これらは、実際に大学で学生向けに講演してもらったものをまとめたものだそうだ。

エントリーしておきたい記述もかなり多いのだが、とりあえず今日は、マレーシアの項だけ紹介しておこうと思う。マレーシアの話は、私の大好きな「天ぷらうどん」の桃太郎食品の社長・小山氏の話だ。ハラール認証の話が詳しい。桃太郎食品では、シンガポールやタイ向けにノン・ハラルの豚骨ラーメンなども作っているので、両者を完全に分けなければ認証がおりないらしい。工場を分けるだけでなく、食品の貯蔵・配送も、である。ビジネスとしては、そんなにおいしい話ではないらしい。

マレーシアの人々は「えこひいき」を非常に嫌う傾向にあるらしい。華人・インド系とともに共生しているマレー系らしい話だ。ただし、食事などは全く別にとるという。うんうん。他を理解し、認めつつも、それなりの距離をとっている…非常によくわかる次第。他の地域のハナシも時間があれば、備忘録的に、いずれエントリーしようかと思う。

2016年9月25日日曜日

大阪人、豪栄道の優勝を祝す。

「豪栄道が優勝した。実は、TVは全然見ていない(NHKの国際放送では見れない)のだが…。豪栄道は寝屋川市の出身である。私の自宅がある枚方の隣の市である。ちなみに「勢」もお隣の交野市出身である。大阪人としては、大阪出身の力士が活躍するのは、やはり嬉しい。大阪は、実は相撲は、野球やラグビー、サッカーなどとと比べて、全然と言っていいほど盛んな土地ではない。豪栄道もまた高校時代、他府県で力を磨いている。ただ、その源になったのは交野市にある相撲道場で、実は昔、私が一時期合気道をやっていた頃、その練習会場の横に道場があって、彼らが子供の頃技を磨いたであろう土俵を見たことがある。ちょっとだけ私との属性もあるわけだ。大阪人としては、86年ぶりの優勝を率直に喜びたい。

このところ、白鳳らモンゴルの力士に対して、やたら風当たりが強く、日本人力士の活躍に期待する声が多い。国技故、云々…。それなら、高見山以来の外国人力士を最初から認めなければいい話だ。これだけ、外国人力士が増えて、それぞれが日本の伝統に合わそうと努力しているのである。失敗も時にはあるかもしれない。もっと広い気持ちで、外国人力士を応援するべきだと私は思う。

ともあれ、豪栄道の優勝、実にあっぱれである。「勢」も是非、続いてほしい。

追記:豪栄道は、千秋楽の取組を終え、全勝優勝したとのこと。それもカド番からである。嬉しいねえ。

南国の時間に慣れる。

昨夜、コンドのカフェで妻がしみじみとこう言った。「おとうさん、気が長くなったねえ。」

「…?」昨日は朝からTスーパーに行ったり、家電のメガセールにいったりしたのだが、長く待たされることが多かった。日本なら、もうすこし素早い対応をしてくれるのが、マレーシアでは店員さんがのんびりしたものである。だから、待たされることが多い。バスもいつ来るかわからない。まあ、「南国の時間に合わすしかない。」という諦観が、この半年ですっかり身についたのかもしれない。(笑)

滞在1か月の妻からすれば、この南国の時間にまだ慣れていないのだろう。特に昨夜のカフェは、注文した食事が出てくるのに小一時間かかった。(笑)マスターが一人で作っているし、電話も受けるし、会計もしている。かなり効率が悪いのだ。でも、この効率の悪さに私は十分に慣れてしまった。「仕方がない、忙しいんだ。マスターも頑張っているんだし…。料理は美味いのだから、楽しみに待つのもいいじゃないか。」そう思ってしまうのだ。

南国は、時間がゆっくり流れている。非効率かもしれないが、それもまた南国特有ののスパイスである。(画像は、コンドの我が棟の入口付近)

2016年9月24日土曜日

生活の改善13/炊飯器を買う。

お粥 第一夜 焼き豚・ゆで卵とサンマのコラボ
妻の生活改善大作戦は、毎日進んでいる。(笑)
先日、ジャポニカ米を鍋とガスレンジで炊いたのだが、どうもレンジの火力にバラつきがあって、よく炊けるところと火が通ってないところがあったりして、うーんと唸りながら気を遣って調節をしていたようだ。しかも十分に水を吸わせているはずが、結局のところ、少しシンが残っていた。かなり不本意な結果だったらしい。

ここで、妻は決断したようだ。炊飯器がやはり必要である。最初、日本から息子に運んでもらう計画を立てていたのだが、A先生に聞くと電圧の問題があってきっと故障するだろうとのこと。なるほど。で、結局こちらで買うことにしたのだ。安い電化製品を求めて、今朝、散歩がてら、Tというスーパーへ向かった。以前私が扇風機を買ったスーパーである。

すると、何やら騒がしい。Tに行く手前のちょっと大きな電気店がメガセールをやっていたのだった。ローカルな情報には全く疎いので、完全なる偶然である。凄い人だかりだった。そこで、RM130(日本円に直すと4000円くらい)のシャープ製の炊飯器が売られていた。蒸したりする調理もできるらしい。結局、これを買うことにした。

やはり日本製、シャープやで、といわけだ。ちなみに、ペンソニックといういかにもパナソニックを意識したメーカーの商品もマレーシアでは売っている。日本人としては、ちょっと警戒してしまうわけだ。といっても、このシャープの炊飯器、MADE IN 台湾とあった。うーん、時節柄、極めて微妙な話である。授業でも教えているが、すでに全ての部品を日本国内で生産している日本の電器メーカーなど存在しない可能性が高い。日本のメーカーを選ぶのはあくまで気分の問題であると言わざるを得ない。(笑)ところで、この炊飯器には、タイマーがついていないようだ。シンプルなほうが壊れない、と妻は言う。シンプルな炊飯器だから安いのだろう。でも妻が十分だというので、私は口出しする気はない。
お粥 第二夜 ラム肉と浅漬けのコラボ
先日のシンのあるお米の残りは、冷凍保存された後、私のランチとして2回使われた。さらに2回お粥となって夕食時に再構築された(今日の画像参照)。これがなかなかイケるのである。お粥大好き夫婦としては、こちらの非ジャポニカ米をお粥にして食するという作戦も考え始めている。

2016年9月22日木曜日

IBTの話(39) 「法人」を問う。

http://globalization.jp/wp3/blog5616
授業の話が前後するが、需要曲線の講義の前に、企業についても話していた。この授業でイスラム教徒である国費生の授業で以前から問いかけたい内容を問いかけたのだ。それは「法人」の概念はイスラム法に合致するか否かという問題である。もとより、彼らは18歳の学生であって、イスラム法学者ではない。だが、日本で経済学を修めるつもりの者もいる。日本は今、ちょっとしたイスラム・ビジネスブームである。ハラル認証やイスラム金融などに光が当たっている。そんな中に飛び込んでいくわけだ。様々な学問に興味を持ってほしいし、同時にイスラム教徒としてのプライドを失わずに学んで欲しいと私は思っている。

法人の概念や具体例を教えた後で、イスラム法との兼ね合いは如何?と尋ねたのである。これは、中田考氏と橋爪大三郎氏の「クルアーンを読む」からの受け売りであるが、要するにイスラム教では、最後の審判で個人の罪が裁かれるというのが大原則である。

法人は、法的には人間として扱いを受けるので裁判などでも被告たりえる。、たとえば、明石市での花火大会での事故の場合を例にとって聞いてみた。JRに責任があるのか?明石市役所か?あるいは警察か?その全てが「法人」であって、個人として裁かれるわけではない。もちろん、責任者が出廷することになるが、個人として裁かれない。

中田考氏は、上記の論証によってイスラム法的には「法人」という概念は、そぐわないと主張している。さすが、生徒は唸った。反論できるだけの日本語能力はまだないのかもしれない。でも、私は、経済学を学ぶ生徒は、是非ともそういう(内側からの)イスラム経済学に対する批判があって、それらを無視するのではなく、真摯に受け止めながら考え、自分の意見を構築して欲しいと思うのだ。

さすがに、こういう授業は日本にいては出来ない。マレーシアにきて半年。私も大いに生徒に学びながら、進んでいきたいと思う。

中田氏のイスラム経済に対する論考の一部分がWEB上で公開されている。極めて興味深い。
http://hassankonakata.blogspot.my/2012/12/blog-post.html

2016年9月21日水曜日

IBTの話(38) 「文系なんで。」

http://htm1205ky.blog.fc2.com/blog-entry-945.html
NHKのコント番組「LIFE」で、内村氏が「NHKなんで。」というギャグを使っている。私は、これを時々授業で「文系なんで。」という言葉に変えて使っているが、なかなか生徒に受けている。地理分野などで、理科的な説明をぶっ飛ばす時に使う。たとえば、アルミナの電気分解の説明やコークスの乾留の説明など、まあそこまではいいか…と適当に説明を打ち切る際に使うわけだ。

EJU対策で今、経済分野の復習をしている。彼らが今年の2月や3月頃に学んだ内容だが、日本語能力が今とは雲泥の差なので、今だからこそ理解できるという感じだ。経済は、概念的用語が多い。中でも、多くの生徒(これまでの日本の高校生も含めて)が、苦手とするのが、需要と供給の曲線の内容だ。なんとか、わかりやすく教えれないものだろうか。

この需要と供給のグラフに纏わる問題は、およそ3種類ある。いわゆる需要曲線と供給曲線が交わる問題。次に、それぞれが、シフトする問題。さらにそれぞれの傾き、弾力性の問題である。

私は、まず、経済学は、利益を得ること、安く買うという行動原理の「経済人」のモデルを考える学問であることを教えることにした。さらに、このグラフ群は、まくまでそのモデル図であること。理科のDNAのモデルや分子構造のモデルと同じだと教えた。さらに、グラフからDやS、PやQといった数学的な記号を抜いた。文系には、このQ1-Q2などどいう説明は、問題をややこしく見させるだけなのである。…「文系なんで。」

じっくりと、スクールホリデー期間に考えた教え方のコツは、いわゆる需要曲線と供給曲線の交差(適正価格)のグラフは、縦軸の「価格」から見るとよく理解できること。次のシフトするグラフは、反対に縦軸の「量」から見るとよく理解できること。さらに弾力性のグラフは、一定額を設定(縦軸)したうえで、その角度の違いでできる三角形で、よく理解できること、だった。

この指導方法は、十分効果があったようだ。

丸暗記ではなく、そのモデル図としての意味を読み取るスキル。細かいことは忘れてしまっていても、理屈の骨子さえちゃんと理解していれば、本番の試験でも、類推でなんとか正解にたどりつけるはずだ。

IBTのM先生は、物理学習の合言葉として、「シンプル&イージー」と常々、おっしゃる。実に薀蓄のある良い言葉だ。社会科の方は、「文系なんで。…」でいこうかな。

2016年9月18日日曜日

ケニアの”M-PESA”は凄いぞ。

「M-PESA」の代理店
http://www.lifehacker.jp/2016/09/160915m-pesa.html
H子君の結婚式の祝辞の話を先ほど、エントリーしたが、彼女がK大学で開発学を学んでいた頃、ボランティア・ツアーの行先の相談を受けた。何か所か候補に挙がっていたが、タンザニアのアルーシャに行くべしと言ったことがある。彼女もまた、私の大事な「其 微衷ヲ憐ミ継紹ノ人」なのである。と、いうわけでアフリカの話題をエントリーしようと思う。マレーシアに移ってから、どうしてもマレーシアのハナシが多いが、アフリカ・ウォッチャーを決してやめたわけではないのである。(笑)

WEBの記事で見つけたのだが、米田智彦氏がTICADⅥに参加ついでに、ケニアの農村で知りえた「M-PESA」という電子決済が、ケニアのGDPの4割を占めているという凄いハナシだ。このM-PESA、Mはモバイル、PESAはスワヒリ語でお金を意味する。要するに、携帯電話の回線を使い、送金・出金・支払いまでできるシステムなのである。商業銀行と連携していることや、信託で資産が保護されていることなど、なかなか詳細な報告で面白い。興味のある方は是非、御一読あれ。
http://www.lifehacker.jp/2016/09/160915m-pesa.html

このアフリカ・モバイルについては、私もかなり以前から注目していた。H子君らが卒業してから、R大のAO入試に絡んで、様々な指導を後輩にしていた。そのひとつが論文指導で、このアフリカ・モバイルの可能性について生徒と共に討議しながらまとめあげたことがある。10年以上前の話になるかと思う。その生徒はめでたくR大に進んでくれたことを思い出す。

ただし、こんな電子決済までは考えは及ばなかった。コーヒーの国際市場価格を瞬時に知ることが可能になるので、生産者に有利だろうとか、エイズ治療(治療薬を必ず時間通りに飲まねばならない)などで、病院と患者のやり取りが可能になり、改善が期待されるといった論旨だった。

そんなアフリカ・モバイルを一時期研究していた私が、ここマレーシアでは、完全なるデジタル・デバイドに落ち込んでしまっている。未だにオンライン決済もできない状態が続いている。(笑)いや、笑い話ではすまないと思っている。

教え子の結婚式の祝辞を書く。

友人の国体出場・激励会で
在りし日のOB・OG H子君の姿も
10月の半ばに、前々任校の教え子のH子君の結婚式がある。彼女は3年間私が担任した生徒だ。ご両親とも何度もお会いしているし、お姉さんが1つ上の国語科の生徒だったりして、家族とも懇意である。
実は披露宴に招待されていたのだが、EJU(日本留学試験)の1か月前で、私にとってもIBTの生徒たちにとっても極めて重要な時期にあたる。無理をして帰国、月曜の朝にKL着というスケジュールも検討したが、初めてのEJUでもあるし、土曜日の補習もある。誠に申し訳ないことだが、私の年齢も考えて、ご辞退申し上げた次第。

その代わりと言ってはなんだが、祝辞を頼まれた。もしかしたら、披露宴で友人のOG代表が代読するのかもしれない。一応、そのつもりで書かせてもらった。

ちょうど2か月前のマレーシアデーの日に、祝辞を書いた。こういう文章は、何日か”寝かす”ことが重要である。時間の経過が、さらに文章を熟成させる。今日、その校正をしていた。

名文とまではいかないが、今の私の筆力ではこれくらいが限界かな、という文章にはなった。もう少しだけ”寝かせて”みようと思う。

2016年9月17日土曜日

生活の改善Ⅻ/MVでお買物

住処の近くのマーケットは、日本食品が多くて、クアラルンプールでも指折りのマーケットらしい。日本語のフリーペーパーの特集記事にも出ていたくらいだ。妻は、そこを念密に歩いては、売っている商品を確認している。世の主婦というのは、そういうものらしい。(笑)かなりの種類があるのだが、やはり足りないものがある。そういう場合、ミッドバレーのイオンに行くと決めているらしい。

このスクールホリデー中、日本大使館行き以外、結局タマンデサを出ることはなかった。そこで、妻が、今日はMVに行きたいと言い出したのだった。上記画像はその戦利品。片栗粉やパン粉、糖尿病対策の砂糖(もちろん私用だ。)、すき焼きのたれなどを手に入れた。

画像の左下の”SAKURA”とあるのは、カリフォルニア米1kgである。もちろんジャポニカ米。RM8強だったと思う。試しに買ってみたのだった。そして、妻が前回発見したものの、手が出なかったという「昔ながらの中華そば」。大阪でもなかなか手に入らないレアな即席めんである。なんと5袋でRM26強だったと思う。直輸入品はみな高価である。

思えば、このスクールホリデーは、極めて外食が少なかった。住処で妻の手料理が続いた。こつこつと食品を集めがら、硬水を克服して美味い料理を作るのが妻の当面の目標になっている。単身赴任していた私にとっては実にありがたいことである。

ところで、帰路のバスで、同じコンドに住むIBTのF先生に出会った。聞くと、自宅に届いた荷物が不在中だった故、わざわざセントラル駅近くの郵便局に行ってきたらしい。そう言えば息子夫婦が日本の食品を入れた荷物を学校宛に送ってくれているはずだ。スクールホリデーで誰も学校にいなかったら、私もそこへ行かなければならないなあと思った瞬間、F先生が、私の職員室の机上に荷物が届いていたことを教えてくれた。ホッとしたと共に、さらに生活の改善が進むことを意識した次第。…月曜日には、「塩こん部長」に会える。(笑)

2016年9月16日金曜日

"戦術"爆撃機 B1‐Bの出番

空自のF2と編隊飛行するB1B http://sorae.jp/030201/2016_09_15_b1b.html
北朝鮮は度重なる核実験の強行など、だんだん狂気じみてきた。国内の洪水で多くの人命が失われているというのに、何をしているのか、という感じだ。韓国も大統領の発言がだんだんエスカレートしていて、かなり危険性が増している。中国もいう事をきかない北朝鮮には苛立ちを隠し切れない。韓国のTHEED配備に対して八つ当たりとも思えるような批判をするだけだ。

そんな中、意外に冷静なのがアメリカである。先日、B1-Bをグアムから韓国上空に飛ばした。B1-Bは、米空軍の可変翼のステルス”戦略爆撃機”である。私は、このB1-Bを、サウスダコタ州の戦略空軍基地に併設された航空博物館を訪れた際に、超低空で離陸・旋回しているのを見たことがある。(2010年12月2日付ブログ参照)。凄い迫力で、強烈な印象を植え付けられたのである。さて、このB1-B、空自のF2と編隊飛行をしたあと、韓国空軍と合流して、北朝鮮に軍事的アピールを行ったと報道されている。

実は、私も意外だったのだ。何故B1-Bなのか?実はB1-BはSALTⅡの対象で核兵器搭載能力はない。あの不気味な鳥のようなステルス爆撃機B-2や、未だ現役のB-52は核搭載能力がある。B1-Bは、そういう意味で、今や戦略爆撃機というより”戦術爆撃機”なのである。アメリカは、極めて戦略的なチョイスをした。つまり、あえて北朝鮮に核攻撃する意図のないことを示したのである。とはいえ、B1-Bの能力はたいしたものだ。通常兵器とはいえ、地下にある施設など木端微塵にできる能力がある。しかもステルス機で、超低空で攻撃目標に迫ることができるのである。今回の軍事的アピールには、B1-Bが最もふさわしかったわけだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160914-00010000-norimono-bus_all

…これで、北朝鮮がおとなしくなるとは思えないが、とりあえず示威したわけだ。本気で韓国が立ち上がると決意した際には、北朝鮮のミサイル潜水艦の位置を確認したうえでSSN(攻撃型原潜)で撃沈した後、F22やB-2を一気に投入、レーダ基地、核施設をはじめとした軍事施設とピョンヤンの司令部を徹底的に叩くだろう。その後特殊部隊や海兵隊をピョンヤンに降下させるだろうと思われる。(米韓合同演習でも、そういう訓練をするらしい。)

…そうなれば私は中国は動かないと見る。経済的リスクが大きいし、いまや社会主義国としての同志愛もクソもない。アメリカとの決定的な対立は避けたいのが本音である。中朝国境で難民流入を防ぐのが精いっぱいだろう。韓国内も難民流入で大混乱になるのは必至である。日本にも日本海を渡るボートピープルが現れることは間違いない。それ以上に、集団自衛権のハナシで大騒ぎになると思う。結局、日米韓中のどの国も得しないわけだ。

…ただ、韓国経済がここにきて、様々な問題で危機に瀕しているのが気になる。人口が減少に転じたら、韓国経済は成長に危険信号が出る、とは以前日経の記事で読んだが、経済的リスクの方が、朝鮮半島統合という軍事的なリスクより大きければ、一時期の痛みを甘んじて受け、第二のドイツたらんとするかもしれない。

…こういう最悪の事態が来ないことを祈るのみである。

2016年9月15日木曜日

生活の改善Ⅺ/お好み焼き

大阪人の夫婦としては、お好み焼きが食べたい。先日、A先生に夫婦ともども業務スーパーに連れて行ってもらった時、ノン・ハラル(イスラム教徒の食事規定外の食品:つまり豚やアルコールを使った食品)コーナーで、「おたふくのお好み焼きソース」を見つけたのである。業務用なので器が大きいが、安いし覚悟を決めて買ったのだった。

妻は、その後、近くのスーパーで小麦粉と中華麺と長芋を買い、「これでなんとか、お好み焼きが作れる。」と言ったのだった。言葉どうり、ついにマレーシアに来て初めてのお好み焼きを食べることができた。今日は、イカとエビの入った「海鮮モダン焼き」である。

フライパンで、妻は苦労して焼いていた。どうもコンロの火力が均一ではないらしい。青のりがないので、韓国のりを使い、からしがないのであまり辛くないマスタードを使いして、なんとか、お好み焼きができた。マヨネーズの味が違うし、”コテ”がないのが大阪人としては不満だが、味はしっかりしていた。

いやあ、1か月で、生活の改善もここまで来たのだった。妻に、ホント感謝である。この数か月で体重がだいぶ減ったのだが、またお腹が出てきたような気がする。(笑)せいぜい、プールで泳いだり、ジムで自転車を漕いだり、卓球したりして運動で減らすしかない。いやいや、ミネラル・ウォーター運びかな。

生活の改善Ⅹ/日本食と硬水

妻が来て、およそ1か月になろうとしている。妻のおかげで生活の改善は大いに進んだ。中でも食事は、日本食まで出るようになったのだ。調味料も、充実してきた。私は自炊などできない人なので、妻が「**がない。」「**の道具がない。」というのに不思議な感覚すらあって、言われるがまま、いろんなお店を回ってきた。(笑)みりんや調理用のお酒、魚を焼く網やご飯をよそうしゃもじなど、普段料理をしていいないと気付かないようなものばかりだ。

ところで、1か月ほどの滞在で、妻がいつも指摘しているのが水の問題である。周囲の方々から、水道管の錆が含まれているので水道水は飲まないようにと言われている。したがって、洗濯機にすら浄水器が設置されている。この辺、マレーシアはまだ途上国的な部分が残っているわけだ。しかも日本と違って、いわゆる「硬水」である。

妻に言わせると、硬水は料理の味を変えてしまうらしい。お茶にしてもコーヒーにしても、米を炊くにも、また硬水で育った野菜も苦くてアクが多くでるそうだ。私などは全く気にならないのだが、「料理人」を自称する妻からすると、大きな問題らしい。

そんなわけで、水についてはいろいろ相談している。WEBで調べてみると、RO浄水器がいいらしいのだが、そのコストは生活を圧迫しそうだ。(笑)結局、毎日ミネラルウォーターをスーパーで買い求めている。1.5リットル2・3本をリュックに入れて運んでいるわけだ。帰りはすこし上りの坂道だし、体力増進に役立つかあ、ということで今は決着している。(ちなみに、1本:RM1.3=35円くらい)

妻としては、マレーシアの硬水という厳しい制約下でも、美味しい日本食をなんとか作りたいらしい。私としては、十分美味しいのだが…。

2016年9月14日水曜日

スカッシュ・コート DE 卓球

我がコンドには、いくつもスカッシュ・コートがある。おそらく建設当時、かなり流行っていたのではないだろうか。私も渡馬前に日本でそういう事は調べていて、「そうかあ、スカッシュって、できたらカッコいいなあ。」と思っていたのだが、なにせ、始めるのにお金がかかる。ラケットが高いだけでなく、目を守る必要があってゴーグルが高いのだ。ボールが固いから絶対必要らしい。うーん、と唸ったまま諦めたわけだ。

ところで、そのスカッシュ・コート、そのまま使われているトコロもあるのだが、中には卓球台が置いてあって、華人のおじさん・おばさんが夜によく楽しんでいるのを見かけたのだ。名前は、スカッシュ・コートだが、卓球場というわけである。もちろん、プールやテニスコート、ジム同様、コンドの施設で無料で使える。と、いうわけで、妻が渡馬の際、安い卓球セットを買って持ってきてもらったのだった。スカッシュは無理でも、卓球なら…。というわけだ。しかし閉め切ったスカッシュ・コートで30分も楽しむと汗でビショビショになる。なかなかハードな運動だった。(笑)

思えば、1人でいるときとは全然違うのである。7月のスクール・ホリデーは、暇をもてあましていたのだった。今も、時間が流れるのはゆっくりだが、妻がいて相談しながらスケジュールを組む。その合間に妻の手料理が出てくる。毎回自炊だと日本とは反対に高くつくので、外食にも出かける。そんなゆったりとした日々を送っている。

2016年9月13日火曜日

「G20 中国の本音」の記事から

http://japan.visitbeijing.com.cn/shop
ping/strategies/n215184169.html
渡馬して困っていることの一つに、新聞からの情報入手が難しいことがある。日本にいたら隅から隅までチェックすることは少なくとも可能だったのだが、こうしてPCで日経の電子版や毎日の電子版をチェックしていても、無料で見ようと思うと限界がある。まあ、有料会員になればいいだけの話だが、まだ渡馬して数か月、給料の25%が税金で持って行かれている(いずれ戻ってくるのだが…。)ので、必要経費を抑えているのが現状である。(笑)そんな中で、MSN JAPAN(要するにマイクロソフト社のニュースページ)は、そんな制限がなく、時折惹かれる記事に出会うことがあるので重宝している。

そんなMSNで、今日付の加藤嘉一氏のコラムが面白かった。ダイヤモンド・オンラインからの引用だが、全文読める。先日の中国・杭州でのG20で見せた中国政府の本音の話である。杭州の市民は、政府から有給休暇を与えられ、中国国内の無料観光パスをもらったそうだ。要するにサミット中は留守にせよということらしい。しかも、見栄えのいい公務員は市内に残り、観光客を装えという指示がでたとか。凄いな。なんでもあり。そこまでして、中国が、このサミットにかけていたことは、政治的なこと(特に南シナ海の問題)は避け、経済問題を話し合う場とすること。それも現在の経済の失速を中国が原因だという発言を封じ込めることだったという。加藤氏はその中国の本音を、ひとつひとつ丹念に検証している。

…要するに、タイトルにあるように、「中国は世界で孤立したくはない」というのが本音だというわけだ。

…昔、中国が、まだまだ貧しく、改革開放に向かって扉を開け出したとき、妻と息子(まだ中学生だったと思う。)と3人で、上海から南京までパックで旅した。その時のコーディネーターが何度も言っていたコトバがある。「中国は、唯物弁証法ですから。」これは、マルクスの弁証法的唯物論を意味している。その基盤であるヘーゲルの弁証法は、「矛盾」がキーワードである。矛盾が見えない段階から露呈し対立しつつも止揚していく、という一連の流れが、今の中国だと彼は言っていたのだ。そのコーディネーターは文革の最後の紅衛兵だったと告白した。その彼が日本語を学び、日本人旅行者のガイドになっている。まさに走資派そのものなのだが、彼はその矛盾を当然あるものとして、「中国は、唯物弁証法ですから。」と言ったのだ。それ以後、ことあるごとに彼の口から、このコトバが飛び出したものだ。言うなれば、中国流の極めて都合のいいロジックでありレトリックである。

…ふと、そんなことを、このコラムを読んで思い出したのだった。

KLの日本大使館へ行ってきた。

KLの日本大使館 http://tellme-malaysia.com/help/14
妻の家族ビザ(私の就労ビザ取得を受けて、妻が共に滞在することを許可されるビザ)の申請のため、日本大使館へ行ってきた。私の滞在申請などは、IBTのある日本人会館に大使館から月イチ出張してきてくれるので、その時に申請した。(職場で休憩時間中に申請できるなどかなりラッキーな話だ。)今回はスクールホリデー中なので、大使館が受付しているウィークデーに行くことができる、めったにない機会である。在留邦人の1人としても、一度は行ってみたかったのである。

大使館であるから、当然セキュリティーは厳しい。カメラや携帯電話は受付に預けることになり、金属探知機も通過するが、ナイロビの大使館よりは、はるかにフレンドリーだった。

日本大使館まではタクシーを使った。住処からRM17弱。KLCC地域の端といったところにある。帰りは、ブキッビンタンの1つ向こうのモノレール駅まで歩いた。今日は日差しが強くて、なかなかたいへん。KLセントラル経由で、650番のバスで帰ってきた。妻はかなり疲れたようだ。まあ、およそ半額以下で帰ってきたけれど、ちょっとかわいそうだったかな、と思っている。

2016年9月12日月曜日

AU 54か国共通査証構想

http://content.time.com/time/
covers/0,16641,19530209,00.html
少し古い記事になると思うが、7月6日付のCNNのニュースによれば、AU(アフリカ連合)が、加盟全54か国をビザなしで往来できる電子パスポートの構想を打ち出した。2018年までにアフリカの全市民に普及させることを目指すという。

AUは、この構想を通じて、まず人の往来の自由化で、アフリカ内の自由貿易促進や統合、社会経済の発展を目指すらしい。
http://www.cnn.co.jp/world/35085447.html

AUの上層部には、かなりの知恵者がいるようだ。アジェンダ63もそうだが、持続可能な開発に向けてのアフリカの方向性を、どんどん打ち出している。このパスポートの件は、もちろん問題はあると思われる。難民の問題、テロリストの拡散など、不利益を被る国もあるだろう。しかしながら、方向性は正しいと私は思う。その最大の理由は、アフリカには内陸国があまりに多い、ということだ。ヨーロッパ諸国の勝手な線引きで植民地の領域が作られ、それをもとに多くの国が独立した。経済的にも市場としては小さすぎる国家が多いのが現状である。再編成してしかるべきだが、既得権益者はそれを許さない。

だが、AUの掲げた理想は正しい。否定しがたい。既得権益者も内心は忸怩たる思いだろうが、大勢に流れるだろうと思うし、そうあって欲しい。人の自由な移動がやがて大きな潮流となって、アフリカの統合へと進むことを私は期待している。今日の画像は、ガーナのエンクルマ大統領。汎アフリカ主義を唱えて独立を主導した偉人である。彼が、この構想を聞いたら、さぞ喜ぶのではないかと思うのだ。

「ハリラヤ・ハジ」を覗きに行く。

ハリラヤ・ハジ(犠牲祭)で、今日はマレーシアの祝日である。朝から、大音響でアザーンが、流れている。我が住処はタマンデサでも最も高い場所に建つコンドの、さらにその16階にある。いくつものモスクからのアザーンが交差する。

国費生の生徒に聞くと、朝の9時くらいにモスクに行くと、牛を生贄として捧げるのを見ることができますよ、とのことだった。で、タマンデサの最も近いモスクに妻と出かけたのだった。あいにくの雨であった。モスクに、牛が繋がれていた。犠牲になる牛だと思われる。こぶ牛のセブー種だった。道沿いには3頭いた。うーん、異教徒としてはなんとなく可哀そうに思ってしまうが…。

結局、モスクの中には入らなかった。おそらく、気のいいマレーの人々だから、自己紹介をして写真を撮りたいといったら、きっとOKだろうと思うが、雨のこともあって、なんとなく言い出せないまま、ほんやりしていると向こうで儀式がが始まった。道沿いの3頭以外に、まだ牛が2頭もいたのだった。

静かに、粛々と行われていたのだった。決して興味本位で盛り上がるような祭りではないわけだ。モスクの外から、望遠で撮ったのが、上記の画像。これだけは、こっそり撮らせてもたった。

妻と結局、雨の中、モスクまでちょっと距離のある散歩に出たような感じだった。で、今日のタイトルの動詞は、妹尾河童よろしく、こうなったわけだ。

2016年9月11日日曜日

「9.11」 から15年目の日に。

http://www.wgal.com/national/911-seen-through-newspapers-front-pages/201308
2001年の「9.11」の同時多発テロから、今日で15年たった。

あの頃、私は工業高校で教えていて、アメリカが最大の研究テーマだった。アメリカ本を貪るように読んでいた。アメリカの魅力に取りつかれていたように思う。そのアメリカが攻撃されたわけだ。それも、私も足を踏み入れたことのあるNYCの世界貿易センタービルである。単純に、大好きだったアメリカ側に立って、この9.11を考えていたように思う。

あれから世界は変わったのだろうか。

冷戦終結後は、民族紛争や宗教紛争が多発する、とある識者は指摘していたが、まさにそのとおりになった。9.11は、冷戦終結後ほぼ10年目に起こった。それまで各地でくすぶっていた怒りや不満が、一気にそれもグローバリゼーションの中枢中の中枢に打ち込まれたように、今は思う。

この「9.11」が分水嶺となって、紛争がさらに過激になったように思う。アメリカを初めとした先進国は、ありきたりの軍事的な反応しかできなかったように感じる。怨嗟が怨嗟を拡大させる。先進国の無力感が彼ら自身を内向きにさせている。アメリカしかり、イギリスしかり、フランスしかりである。領域国民国家の限界が透けて見える。

グローバリゼーションの下では先進国間の戦争はもはやありえない。経済的には運命共同体になっているからである。だが、その枠組み(富の分配)の周縁にいるいる人々は、その格差打開のために容易に暴力化する。

国連のSDGsは、そんな「9.11」15周年の今年・年頭に発表された。先進国は、周縁にいる人たちに富の再配分のための取り組みを検討しないと、決して持続可能な社会が築けない。これは、明らかな事実である。先進国が内向きではこれは実現し得ない。

15年たった今、アザーンの声が聞こえる街で、私は、「9.11」をそんなふうに考えている。

2016年9月10日土曜日

「経済で読み解く明治維新」(後)

興味はあるがきっと
読まないだろうと思う
ところで、この「経済で読み解く明治維新」、著者のスタンスが時折見え隠れする。袈裟の下の鎧という感じなのだ。それはナショナリストとしての鎧といっていい。中国のことを石原慎太郎などが使う「支那」という語彙を使って表現している。

私は、老婆心ながら、こういう語彙をわざわざ使うこともあるまいと思っている。こういう”こだわり”は、この本が指摘する内容が興味深いだけに、残念である。特に歴史に対する議論では、その人の立つスタンスによって、内容まで曲解される可能性がある。

様々な立場の人が本を書き、それを読んで批判する、それでいいのだと思うが、著者のスタンスへの好悪が前面に出てしまうことは、私はあまり好ましいとは思わない。

日本の江戸時代の経済が、当時の世界的標準で見てもかなりの水準であったことが、この本を読むとよくわかる。著者が、それを誇りに思う気持ちも同感できる。しかし、”あとがき”はいただけない。

もし江戸幕府が経済力を生かせば18世紀にアジアを制することができただろうとか、「田沼意次時代が続いていたら「ペリーの来航もなかったでしょう。ひょっとしたらペリー艦隊は浦賀沖に到達する前に幕府艦隊によって全滅させられていたかもしれません。」とかいう文章は、ペンが滑りすぎたとしか思えない。もちろん著者は歴史に「もし」は禁物です、と前書きしているが…。

なかなか有為で興味深いと思ったこの本が、なんだか胡散臭く思えてしまうのは私だけだろうか。

「経済で読み解く明治維新」(前)

このところ読書時間が減っている。忌々しきことである。ブログでも長い間書評を書いていない。スクールホリデーに入ったことでもあるし、久しぶりに最近読み切った「経済で読み解く明治維新」(上念司著/KKベストセラーズ:16年4月20日発行)について書こうかなと思う。

この本の魅力は、教科書に書かれている江戸時代を、経済という視点から見ると、かなりの間違いがあると指摘していることだ。なるほど、と思わせることが多い。私自身は、35年以上社会科の教師をしているが、日本史を教えたことが2回しかない。しかも幕末からである。なのでプロとしては不勉強ではあるが、基本的な知識は一応持っているので、著者の指摘するトコロは大いに納得できる。

江戸時代は、85%が農民で厳しい身分差別と鎖国、そういうイメージであるが、同時に新田開発や商工業の発達が大いに見られるわけで、元禄文化の話など都市の発達も顕著である。一方で、幕府は慢性的な財政難に陥っている。そもそも教科書に書いてあることに疑義をはさむことはタブーなのだが、この本では、教科書の間違いを経済学的に、どんどん正していくのである。

あまり内容をバラすと営業妨害になりそうなので、書評の前編としては、著者が江戸時代を理解するキーワードとして示しある3点を記しておくに止めようと思う。

1.財政構造 徳川家は400万石しかないのに、3000万石の日本全体を収めなければならなかったこと。
2.管理通貨制度 たとえ、瓦礫のごときものなりとも、これに官府の捺印を施し民間に通用せしめならば、すなわち貨幣となるは当然なり。(荻原秀秀が管理通貨制度の本質を見抜いていたことを示すコトバ。幕府には経済オンチが大勢だったが、こういう凄い人物もいたということである。)
3.百姓は農民に非ず 百姓は農民と同義ではなく、たくさんの非農業民を含んでいる。

…なかなか興味深い本なのである。

9月のスクールホリデーなのだ。

http://kodomodo.deviantart.com/art/banner-Malaysia-day-181376215
事実上、土曜日の今日から9月のスクール・ホリデーである。来週は月曜日が、イスラム教の犠牲祭で休日。金曜日はマレーシアデー(ボルネオ島のサバ州やサラワク州もマレーシアに加入して今現在のマレーシアとなったのを祝う日)。で、火・水・木だけが有給休暇というわけだ。

次のスクール・ホリデーは11月。EJU(留学試験)の終了後になる。だから、山登りで言うと、ホント頂上を眺めながら、さあ、いよいよだなという感じの最後の休憩になる。10月に入ると土曜日も、数学のA先生の裏番組で補習する予定になっている。(EJUの文系受験者は、総合科目と文系数学も必要。)

だから、ゆっくりと体を休めることが何より重要なのだ。幸い、ホリデー後の授業の教材研究も再来週の定期試験も、昨日までに完成させた。(とはいえ、不安なので学校で使っているPCを持って帰ってきた。笑)

妻とマラッカとかに行こうか、と思っていたのだが、妻が遠出にはあまり乗り気ではないので、今回はやめにした。月曜日の朝は犠牲祭を近くのモスクに見に行くつもりである。火曜日は、妻の滞在ビザ申請のために日本大使館に行くつもりである。帰りにちょっとKLの中心街に寄るかもしれない。妻が言うには、「まだまだ、これから長いのだがら…。」うむ。焦る必要もないか。

2016年9月9日金曜日

銀行で考えた小学校英語教育

http://www.midvalley.com.my/tenant/Maybank/
fd4d3ff6-9171-4597-bcd2-2528c970b19c/SHOP
妻が来馬した翌日、スマホをMVで買ったのだが、メイバンクのクレジットカードを使おうとしたら、店員さんに「このカードは使えないみたいです。」と言われてしまった。ぶっちゃけた話、めったに使うものではないし、まあいいかと思っていたのだが、どうも気持ち悪い。しかもVISAだけでなくアメックスのカードもある。重い腰を上げて、今日メイバンクにに行ってきた。もちろん、同じIBTの社会科担当のT先生が、「メイバンクに行く用事があるから。」と通訳をかってでてくれたからであるが…。とても1人で行ってもどうにもなりそうにない。(笑)

T先生は、元小学校の先生なのだが、留学経験や海外渡航経験も豊富で英語の実力はかなりのものだ。で、銀行サイドでセンターに電話をしてもらい、ピンナンバーも新たに設定してもらえた。スタッフが、「これで使えるようになりました。」と言ったのでほっと一息である。おまけにカードの会費は、アメックスのも含めて、永遠にゼロなんだそうだ。

とにかく、マレーシアでの生活で、銀行や病院などでは、英語能力の無さを痛感する次第。先日のアクシデントで、病院に飛び込んだときは外傷だったので、傷を見せて「Help me.」で済んだが、内科的なものだったら、一人ではどうにもならなかったはずだ。

ところで、学校に戻ってから、T先生と小学校における英語教育について話していたのだが、なかなか大変なようだ。私の友人にも同年代の小学校の教師夫婦がいるが、いまさら英語を教えろと言われても…と尻込みしていると思う。ブロークン・イングリッシュで恥も外聞もなくコミュニケーションを取ってきた私でも、子供に教えるとなると話は別だ。T先生は、なんとかそういう先生方を引っ張っていこうと努力されてきたらしい。「絶対、子供に教えるより教師に教える方が難しいですよね。」と私が言うと、大きく頷いておられた。

ちなみに、私の教え子でESDをD女子大で修めた小学校教師がいる。英語科の卒業生でもあるから、彼女は英語は得意である。おそらく貴重な人材として重宝され、T先生同様苦労しているのではないか、とも思う。2020年から、英語は小学校でも正式な教科となり、成績もつくそうだ。

2016年9月7日水曜日

「こち亀」が終わるらしい。

http://www.j-kochikame.com/
週刊少年ジャンプ連載の「こち亀」が終わるらしい。40周年というから、気の遠くなるような長い連載である。私は「ジャンプ」の愛読者ではないが、「こち亀」が登場したころ、「山止たつひこ」のペンネームで登場したことを鮮烈に覚えている。その頃、”がきデカ”という少年チャンピオンに掲載されていた漫画が流行っていて、その作者が「山上たつひこ」なので、これをもじっていることはすぐわかった。後に山上氏の怒りを買い、今のペンネームになったと記憶している。最初はそんな二流っぽい感じだった漫画(失礼。)が40周年を迎えたわけだ。

昔(今もかもしれないが)ジャンプは、読者の人気投票があって、何週か人気が低いと連載が止められるという厳しい少年週刊誌だった。こち亀は1位をとるなどという事はめったになくて、相撲でいえば前頭5枚目くらいをずーとキープしていたような気がする。十両には落ちない(連載が止められることはない)が、そんなに強くない(ドラゴンボールやワンピースのような超人気作品ではない)というわけだ。いぶし銀の古参力士ような作品だったといえるだろう。

私が小学生の頃は、漫画といえば、少年マガジン、少年サンデー、少年キングというラインナップだった。そこに少年チャンピオンが参入してきて、少年ジャンプは、さらに新参だった。最初は永井豪の「ハレンチ学園」が人気を博して、なんとか生き延びたような記憶がある。というのも、当時の人気作家は、既存のマガジンやサンデーの連載に忙しく、ジャンプにはあまり連載をしなかったと記憶する。その代り新人作家にとっては、格好の登竜門だった。それが、今や完全に逆転し押しも押されぬNo1の少年誌になってしまったわけだ。

こち亀の発想は、意外性に富んでいる。フェラーリに乗っている中川や同じく超お金持ちの麗子など、およそ現実からぶっとんでいる。もちろん、両津自身、超人といっていい破天荒なキャラだ。私は、人情的な作品が好きだ。あるいは超マニアックな作者自身の蘊蓄が吐露されている作品、たとえばGIジョーの話とかリカちゃん人形の話とか…。昭和の匂いがプンプンするお化け煙突の話などの作品も好きである。

作者が「山止たつひこ」のペンネームのままだったら、ここまで続いていなかったと私は思う。秋本治さん、長い間ごくろうさまでした。

2016年9月5日月曜日

IBTの話(37) 小テストとA判定

先日IBTに在校生(IBTのOB)を連れてきていただいた鳥取大学のロゴ
総合科目の一応の単元終了を受けて、2クラスで小テストを行った。小テストという名称だが、80分間で90問ほどのEJUの模擬テストみたいなものである。先週の土日をまるまる費やして作成した渾身のテスト問題である。

もし私がEJUの問題作成に当たっていて、この単元ならこんな感じの問題をつくる、というのがコンセプトである。もちろん、本物より難しい。簡単な問題を解いても力はつかない、というのが持論だ。

EJUは日本語の読解力がものを言う。決して簡単な日本語で設問はしていない。だから、内容の理解だけでなく、制限時間内にいかに多くの設問を正確に読み取るかが勝負になる。この時点で、実は、生徒間でもかなりの日本語能力の差がついている。私は、日本語の教師ではないので、日本語力を上げることはできない。だが、難解な社会科学の用語を使わずには問題は作れない。そこがジレンマになるのだが、取り合えずカントが大学で教える際に言っていた成績が中位の生徒を対象に作るしかないのが現状である。まあ、習うより慣れてもらうしかないのだ。

ところで、昨日前任校の浪人中のA君からメールが来て、予備校の模擬試験で志望校にA判定がでたそうだ。いやあ、嬉しい報告だ。ここで、さらに気を引き締めて頑張ってほしいと言うのも見事に杞憂に終わった。A君はさらに上位合格を目指していくという決意を既にしていたのだった。

真面目に、素直に頑張った者が勝つ。A君の話をさっそくマレーシアの生徒たちに紹介した次第。

2016年9月4日日曜日

生活の改善Ⅸ/妻のアイデア


我が住処は、2ベッドという間取りだ。要するにリビング以外に2つベッドルームがある。ベッドは、クイーンズというサイズで、まあダブルベッドなのだが、妻が2つのベッドを1ルームに入れてしまおうと言い出した。扇風機が今のところ2台あって、毎夜リビングの扇風機を片方の部屋に移動していたのだった。その無駄を省くためだ。確かに1部屋まるまる空間として使えるし、なかなかのアイデアである。

昨日、ベッドを移動してみた。以外に簡単に移動できたのだった。でかいベッドが2つある寝室は見た目には窮屈だが、睡眠には問題なく快適である。画像は、ベッドを移動して空いた部屋。

今夜の夕食は、自炊になった。コンドのCAFEが日曜は休みだし、今日は風があって比較的涼しかったので、昼間に買い出しに行ったのだ。これまで、近くのスーパーやミッドバレーのスーパーで購入した食材を使っての夕食となった。息子夫婦と4人で自炊したことはあったが、夫婦水入らずでは初である。メインは、MVで見つけたRM4でたっぷり入ったオージービーフの冷凍もの。どんな肉かは開けてみないとわからなかった。どうやらホルモン系らしい。煮る方がよかったようだが、焼いて食べた。価格を考えると十分に満足。(笑)

妻は、こっちの水が硬水なので、どうしても米を焚いても日本のようにはいかないし、調味料も同様で、不満をもっているようだが、そのうち慣れて最良の方策を発見するだろうと言っている。私はこのままでも、大満足なのだが…。

2016年9月3日土曜日

生活の改善Ⅷ/妻が来て2週間

土曜日である。妻とミッドバレーのメガモールに買い物に行ってきた。プライパンが安物過ぎて、こびりつくらしい。料理人の妻としては、それがどうしても許せないらしく買い替えるという。…なるほど。浄水器も見たいという。買う買わないはとともかく、水をどうするかというのは、これから炊飯をする上で重大問題なのだという。と、いうわけで、妻が徒然に書いたメモを手に650番のバスに乗ったわけだ。

知友のT夫妻がバスに乗ってこられた。ご夫妻もMVへ行かれるところだった。あらあら、理系の国費生もたくさん乗り込んできた。聞くとMVの図書館で勉強するのだという。なかなか感心である。

そんなこんなで、混雑するMV・メガモールでの買い物となったのだった。両替、妻の携帯のトップ・アップ、DAISO、無印良品、そしてイオンと日本人らしい経路をたどっていったのだった。様々なモノを買ったのだが、私が最も喜んでいるのが、今日の画像、エースコックのワンタンメン、日本からの輸入品である。価格は倍ほどだが、それだけの価値はあると思う。常々、価格の原理原則を教えているが、その見本のような商品価格だ。(笑)マレーシアで初めて目にした私の最も好きな袋入りラーメンなのである。妻がいて、鍋もあり、食することが可能になったのだ。これこそ、まさに生活の改善。(笑)

2016年9月2日金曜日

IBTの話(36) 日本で学ぶ意味

http://ameblo.jp/toku58/entry-11401709393.html
国費生も私費生も、自分の進路の問題で悩んでいるようだ。生徒からも、志望理由を指導されている日本語の先生方からもよく相談を受ける。いつも、話題になるのが、何故日本で学ぶのか?という問いかけである。日本の大学にわざわざ行かなければならない理由づけ、といってよい。

理系、特に工学部などはわかりやすいのだが、文系となると、ちょっと困るのである。日本で学ぶ文系、それも日本文学や日本の歴史、文化、宗教、哲学といった人文系を省き、(やりたいという生徒はいるが、極めて日本語が難しくなる故に、やめたほうがいいと伝えている。)特に国費生は、社会科学系への進学を求められている。将来のマレーシアを背負う人材育成が主題なのだから、経済学や経営学や政策学、国際関係学部などが主な行先になる。法学は日本とマレーシアの相違が大きいのと、日本語がこれまた極めて難解になるので、選択肢から省かれることになる。

結局のところ、これらの社会科学系学部の学びを咀嚼して、日本に行く意味を探すことになる。そんな中、今日の毎日新聞(WEB)で、新幹線の清掃を行っているJR東日本の「テッセイ」がハーバードの経営大学院(HBS)の必須教材として取り上げられることが決まったという記事を見つけた。

東京駅に停車する12分間の中で清掃に使える時間は7分間だそうだ。その間に全てを行ってしまうプロ集団。「奇跡の7分間」と呼ばれているそうだ。いわば、日本のお家芸、「段取りの良さ」の極地である。同時に、これを実現した経営手腕が学習教材にふさわしいとのこと。これも日本的経営、「人情の機微のマネジメント」と言っていいかもしれない。

最近は欧米では、現象学的な統計的数値を分析する経営学が主だそうだ。日本は、そういう世界的な趨勢に取り残されつつも実学としての経営学をやっているらしい。これに対する批判もあるそうだが、IBTの生徒には実学を身に着けてほしいと思っている私には、この毎日新聞のニュース、、実に耳よりだった。

http://mainichi.jp/articles/20160902/k00/00m/020/121000c