2016年11月29日火曜日

IBTの話(55) 南北貿易ゲーム

本日のCクラスの実践よりゲームのスタート時
EJUが終わって、私費生は卒業まであと2週間となった。かねてより、EJUが終わったら、国際理解教育のアクティビティを行う予定をしていた。今年は、まずは定番の南北貿易ゲームをやることにした。私費生・華人中心ののA・B合同クラス、国費生・マレー系中心のCクラスで昨日今日と2日間にわたって行った。マレーシアの生徒の反応はどうだろうか。本来なら、国際理解教育学会の研究発表大会で発表してもいいくらいの教育実践である。

今回の実践にあたって、紙がA4しかないので、商品の「円形」も「三角形」も「長方形」もそれぞれ小さめのサイズにした。ハサミや定規などの数は、基本的に日本と同じにした。実践の前に、ルール説明、チーム分けと国の抽選を行い、打ち合わせに十分時間をとった。高校生の授業形式では、この戦略を練る時間こそが、ゲームの醍醐味であると私は思う。実際、A・C両クラスとも、かなり真剣に戦略を練り、交渉にも熱が入っていた。この辺は、日本と同じかそれ以上である。Aクラスでは、社会科のT先生、Cクラスでは担任のS先生の協力をいただき、それぞれ銀行業務をお任せした。コーディネーターは、当然私である。

私費生クラスでの実践:華人の生徒が多いからだと思うが、かなり効率性を重視していた。一気に商品を生産し、商品の価格変動に敏感に反応した。途上国など条件の悪いチームも、かなりのリスクを背負っても勝負に出る場面も多かった。やはり、華人の生徒は商売に対するバイタリティーがあると実感した。T先生の報告によれば、事前の折衝時に、契約書(たとえば、紙をいくらで売愛するとか、ハサミを借りる時間設定とかの細かな契約である。)を交わしていたとのこと。日本ではあまり例がない。実に面白い特徴である。生産性が高く、最終的には銀行側で小切手を発行する羽目になったほどである。

ゲーム中 みんな黙々と作業をしている
国費生のクラスでの実践:マレー系の生徒も、戦略・交渉に真剣に取り組んでくれた。しかしながら、生産性は低かった。特に円形の不良品が多かった。ことさらS先生が厳しかったわけではない。コンパスの使い方にあまり慣れていないのかもしれないとS先生。みんな真面目に黙々と作業をしていて、ゲーム中に交渉に走る生徒は少ない。この辺も国民性の表れかもしれない。

両クラスとも、日本語は上級だが、分度器という日本語は初めてらしかった。それで、事前に見せて使い方も講習した。もちろん周知の生徒もいたが、これは意外だった。こういうアクティビティは、マレーシアではほとんど行われていないようで、かなり新鮮な体験だったようだ。もちろん、両クラスとも、「ふりかえり」で大いに盛り上がったのだった。これは日本と同じ。

ともかくも、マレーシアでの南北貿易ゲーム、まずは好評のうちに終わったわけだ。先日の帰国の際にウーリー・シンキングのセットも持ってきた。哲学史の講義の進み具合にもよるけれど、最後の授業でやってみたいなと思っている。

2016年11月28日月曜日

福島はチェルノブイリと同じ?

チェルノブイリの事故で開園できず廃園となった遊園地の観覧車
http://ipress.ua/news/ssha_zatsikavleni_u_rozvytku_
sonyachnoi_energetyky_v_chornobyli__semerak_181172.html
ベラルーシのノーベル賞作家・スベトラーナ・アレクシェービッチ氏が東京外大で名誉博士号の授与を受け、学生との対話に臨んだそうだ。福島の印象について、「複数の都市と村を訪れ、遠くから原発も見た。チェルノブイリで見聞きしたのと全く同じ」と語った。ロシアと同様、日本の社会には”抵抗”がない、と指摘、「自分の中に燃えるろうそくを消さないように」と訴えたそうだ。

…「チェルノブイリの祈り」は私も読んだ。そこに書かれていた人々は素朴で、いまだにソ連時代を懐かしみ、WWⅡでドイツ軍と戦った日々を誇りに感じていた。放射能のホの字も知らず、事故直後の原発の屋上にソ連国旗を掲げに何度も上がった人々だ。今となっては無知であることの怖さ、権力追随の怖さを感じる一冊だった。

…私は、チェルノブイリにも福島にも行ったことがない。もちろん映像では見ているが、現場を知らないので、氏の「同じだ。」という感想に、異を唱えることはできない。ただ、東北・福島の方々の我慢強さは理解しているつもりだ。それ故なるほどなあと思う反面、チェルノブイリとは、やはり違うのではないか、とも思う。日本の社会の抵抗のなさという指摘も、額面どうりには受け取れないと思っているが、反駁するだけの論拠は薄い。

…ただ、「自分の中に燃えるろうそくを消さないように」という言葉には、感動を覚える。1人ひとりの抵抗は、ろうそくの炎のように小さいが、それが集まることで大きくなる。昔の水前寺清子の歌ではないが、その集合体は大きなうねりになることは間違いがない。

…ともかくも、原発について、深く考えさせられる記事であったことはたしかだ。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016112800747&g=eqa

2016年11月27日日曜日

それでもトランプはダメだと思う。

http://www.eitb.eus/
es/tag/fidel-castro/
昨日、キューバのカストロ氏が死去した。私は左翼ではないし、キューバの社会主義体制についてはTVの特集くらいでしか知らない。ただ、キューバが、アメリカの経済制裁に耐え抜きながら、識字率を高めた教育政策や、高度な医療を誇りながら、医療費無料社会を建設したこと(つまり、医者が自らの蓄財のためではなく、社会に奉仕することを当然として活動しているという事実。)に尊敬の念を抱いている。カストロの業績・評価は歴史が確定するものだと思うが、、それにつけても、トランプの声明はひどい。

「60年近くにわたり国民を抑圧してきた残忍な独裁者が死去した。」「全体主義的な島のままだ。」「フィデル・カストロがもたらした悲劇や死、苦痛は拭い去れない。しかし私たちの政権は、キューバ国民が繁栄と自由に向かって進むため全てのことを行う。」

オバマ大統領やケリー国務長官が弔意を表したのと対照的なものである、とWEBニュースが伝えている。これが、合衆国の(海兵隊を入れて)四軍の長であり、戦略核ミサイルのボタンを常に持つことになる人物の発言かと思うと、危惧という言葉をはるかに超えてしまうほど、全く品位がない。他国への見識と他者への思いやりがない。権力を持つが故の慎重さがない。昨日エントリーした佐藤優本における孤立主義的な伝統は大いに理解するところだが、それでも、トランプはダメだと思う。

ポピュリストの政治家は、自分の利益しか考えていない。浅い認識をそのまま打ち上げ花火的に、ウケを狙って発言する。その評価をもとに政治をぶれさせる。その発言の直後の影響は全く考慮しない。OSAKAがそうだ。トランプもまた、この発言に批判が集めれば、修正するのだろう。

全米で、トランプの当選が決まってから様々な差別問題が頻発している。大いに憂慮すべき事態だ。ところで、12月13日に選挙人の大統領選挙が行われるらしい。この選挙人、多くの州では、トランプからヒラリーに転換しても法的には問題ないそうだ。一縷の望みを世界中の人々が持っているような気がする。

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016112700019&g=int
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161124-00118018-hbolz-int

2016年11月26日土曜日

佐藤優「大国の掟」を読む。

先日、ちょっとエントリーしたが、佐藤優氏の新書(NHK出版新書/本年11月10日発行)を帰国時に1冊買った。「大国の掟」という、まあ佐藤優本らしい表題である。(笑)昨日のエントリーとは異なり、刺激的な新しい発見というか、佐藤優氏の蘊蓄の凄さというかが、すでに第1章だけで満載である。新しい本なので、あまり内容を詳細に書くことは避けたいと思うのだが、およそ、トランプ現象と英国のEU離脱についての共通点、相違点について見事に論理的に述べているあたりは、さすがである。

海洋国家としての英米の地政学的スタンス。したがって、大陸と関わりたいときに関わるというフリーハンドを持っていること。モンロー主義と光栄ある孤立という世界史的な視点で見ると、トランプのおよそ破壊的な言い方を洗い流していくと、結局は伝統的な孤立主義に行きつく。英国のEU離脱もまた同様だ。

面白いのは、相違点である。フランスの人類学者・トッドの提唱する家族システムから見た民主主義論が面白い。父子の関係と兄弟姉妹の相続関係によって世界を8つのタイプの家族型に分類、それぞれの家族型によって中心的なイデオロギーを規定するという理論。地中海ヨーロッパ、カスティリアからパリ盆地では男女の差なく平等相続で、「平等」を最も重要な価値とするデモクラーの概念が生まれてきたのだという。それに対して、英・独・日では伝統的に特定の一人がすべての財産を相続する。したがって、相続できなかった子供への何らかの補償が必要となる。構造的に弱い立場に置かれた人間を社会システムとして救済するアファーマティブ・アクションが作用する。すなわち、社会的不平等が存在することが前提となり、これらの地域では、社会民主主義的な体制が好まれるわけだ。

で、アメリカは、英国の伝統に従い、人間には差異がある非平等社会であったが、ネイティブや黒人奴隷の存在によって、白人間より大きな対立軸が生まれ、白人間の差異が解消されたというのだ。若干、私には異論もあるけれど、トッドの理論は参考になる。要するにアメリカのリベラル・デモクラシーは「白人社会」のものであるというわけだ。

また啓蒙主義がヨーロッパで結局のところWWⅠを引き起こし、人間の理性への懐疑と、情念への回帰というロマン主義の時代ををアメリカは経験していないこともアメリカという国の精神性を語るひとつの視点だという事、さらにプロテスタント神学者のインホールド・ニーバーの「光の子・闇の子」(1944年)の敵と味方をはっきり分ける二元論は、多くの歴代米大統領(オバマも含めて)に引用されているらしい。…これは、極めて単純明快なプラグマティックな神学理論である。トランプの暴言らしき暴言は、これまた洗い流していくと、そういうアメリカの伝統的な部分に行きつく。

これまでに何冊も佐藤優本は読んでいるので、新帝国主義という発想もよく理解しているつもりだ。経済的な新自由主義と新帝国主義の絡み合いも実にわかりやすかった。やはり、何冊か佐藤優本を読んだうえでという条件付きで、お勧めの1冊かなあ、と思う。

2016年11月25日金曜日

池上彰 東工大講義を読む。

池上彰氏の「池上彰教授の東工大講義-この社会で戦う君に知の世界地図をあげよう」(文春文庫/15年3月10日発行)を読んだ。前にもエントリーした通り、理系の国費生に対して1月から行う講義のための通読である。

本の中身に関しては、わざわざエントリーするような専門的な発見はなかったけれど、理系の学生に教養としての社会科を教えるうえで、どういう視点が必要か,それと様々な細かな示唆は十分得ることができたと思う。目次は以下の通り。およその感覚がつかめる。

1.科学と国家 実は原爆を開発していた日本
2.国際情勢  世界地図から見える領土の本音
3.憲法     日本国憲法は改正すべきか?
4.金融     紙切れを「お金」に変える力とは
5.企業     悪い会社、優れた経営者の見分け方
6.経済学   経済学は人を幸せにできるか
7.世界経済  リーマンショックとは何だったのか?
8.社会保障  君は年金に入るべきか
9.メディア   視聴者が変える21世紀のテレビ
10.宗教    オウム真理教に理系大学生がはまったわけ
11.社会革命 「アラブの春」は本当に来たのか?
12.アメリカ  大統領選でわかる合衆国の成り立ち
13.中国    なぜ「反日」運動が起きるのか
14.北朝鮮  ”金王朝”独裁三代目はどこへゆく
15.白熱討論 君が日本の技術者ならサムスンに移籍しますか?


日本の東京工業大学の学生より、はるかに日本語能力も社会科の基礎知識(マレーシアでは、高校から完全に理系カリュキュラムになっている故)もないので、当然そのまま使うわけにはいかない。国費生は、マレー系でムスリムであることも、十分検討したうえで、講義内容をしぼっていかなくてはならないと思う。

やはり、近代国家論と多民族社会のマレーシアを基軸に、日本で学際的な教養を身に着けるために何を学ぶか、その基礎となるような講義ということになるかなあ、と思う。ある意味、4月から私がずっと考えていることをぶつけることが理に適っているのではないだろうか。もちろん、自身で思考せざるをえないような講義にしたい、と考えている。

京大公開講座のフライヤー'16

京大アフリカ地域研究センター設立30周年記念の公開講座のフライヤーが自宅に届いていた。「アフリカから学ぶこと」というテーマで5回行われるとのこと。

第一回は10月22日で重田眞義先生の講義だった。タイトルは「私がアフリカから学んできたこと-1978年のスーダン南部から2016年エチオピアのフィールドワークまで」うーん、残念。重田先生のファンである私としては、聞けなかったのが大変悔しい。重田先生は、センター長に復帰されているようだ。先生のお話はいつも示唆に富んでいる。おそらく、以後の先生方の講義の先陣を切って、アフリカの在来知についての深い講義をされたのだろうと思う。

第二回は11月26日の金子守恵先生の「エチオピアの女性職人から学ぶこと」
第三回は12月3日の安岡宏和先生の「カメルーンの森の民から学ぶこと」
第四回は1月21日の佐藤宏樹先生の「サルのフンから学ぶこと」
第五回は2月25日の高橋基樹先生の「貧困層の暮らしから学ぶこと」

うーん、どれも聞きたいものばかりだ。ちなみに、第二回の金子先生の土器の話は一度聞かせていただいたことがある。行く前はは興味があまりわかなかったのだが、終わった後で大いに感激したことを覚えている。第三回の安岡先生の話はピグミーの人々が多種多様な森の資源を利用しながら生活している話であるそうだ。私たちの社会はよく言えば成熟期、悪く言えば停滞期にあるといえるかもしれない、だからこそ彼ら「森の民」に学ぶべきことも多いのでは?とある。いいなあ。聞きたいなあと思う。第四回の佐藤先生の話は、マダガスカルのキツネザルのフンの話らしい。生態学の話になると思うが、森がいかに作られていくのか。興味津々。これも是非聞きたい。第五回の高橋先生のフィールドはケニア・タンザニアなどの東南部だそうだ。マクロ的なデータばかりでなく、いわゆる貧困層と言われる人々の暮らしを具体的に紹介し、共に考えたい、とフライヤーは結ばれている。うーん、これも私の専門分野故に是非とも聞きたい。

あーあ。参加が無理とわかっていながら、こういうふうに未練タラタラでエントリーするのもいかがなものか、と思うのだけれど、教え子諸君で興味のあるメンバーには、こういう場に是非とも足を運んで欲しいなあと思う次第。ご高齢の方も多く、公開講座は、アフリカの知識が少なくてもわかりやすく講義していただける。

http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/contribution/kokaikoza2016.html

2016年11月24日木曜日

さっそくフルーツをGETする。

マレーシアに戻ってきて、まずはフルーツである。元気の源。廉価ながら、生活の豊かさを実感させてくれるのが豊富な種類を誇るマレーシアのフルーツである。

妻が、いろいろと手に入れたいものがあるというので、少し遠いスーパーのTまでウォーキングを兼ねて出かけた。私は、このTというスーパーが好きではないのだが、ウォーキングにはほどよい距離にあると妻は言う。Tのちょうど前、大通りを挟んで果物屋がある。安くていいモノを売っているというので評判がいい。妻は、例の大好物のジャックフルーツと、正体不明の青い果物、それに私のリクエストで柿を購入した。

Tでは、妻の堅い目の枕やここでしか見つかっていないスキムミルクなどを購入。ちょうどマレーシアに短期研修で来ていた三ツ矢サイダーの社員さんの集団と会った。これからブキッビンタンの日本のコンビニ(マレーシア1号店)に向かうそうだ。マレーシアのマーケティング・リサーチの研修のようだ。

重いフルーツを背負って坂道を上り、住処にたどり着くと汗でビショビショになった。こんなことをしているから、体重が70kg台に減ったのである。(笑)ミネラルウォーターを毎日のように買う必要は無くなったが、夕方には、また近くのスーパーに買い物に出かける予定である。こんどは2リットルの牛乳を運ぶことになっている。

ちょっとキビシイ医療費の話。

今回の一時帰国は、EJUまでの緊張感が一気にとけて、疲れがどどっと出たところに、東京への日帰り強行軍の疲れがプラスされ、体調を崩して終わってしまった。

マレーシアに来て、不満などないのだが、医療費に関してだけ危機感を持っている。私は現在、無保険なのである。(国民健康保険に入ると、それまでの収入との関係で凄い額になる。)もちろん、IBTからある程度の疾病や怪我に関して保障されている(先日のアクシデントも結局IBTの保険で処理してもらった。)が、日本で病院にかかったりすると、莫大な費用がかかる。今回の帰国でも最も大きなミッションとして、糖尿病の薬の確保があった。想定していたものの、たいした額だ。

マレーシアでも先日、モントキアラの日本語の通じる病院にいって相談し、日本の病院に行ったちょうどその晩にメールが返ってきたたけれど、こっちで同様の薬を手に入れると、日本以上の額になるようだ。

幸い、糖尿病の方は悪化していないし、体重も90kg強あったのが76kgまで減った。日本にいるときよりも歩く量も多いし、なにより、こっちでは、夏・夏・夏・夏・ココナッツなので、汗をよくかき、新陳代謝が進むからだと思う。

と、いうわけで、本来なら帰国中体調不良で病院に行くべきところをじっと我慢したという切ない話でもある。(笑)海外保険や今も継続中の生命保険、さらに国民健康保険への加入など、今回いろいろと検討したのだけれど、妻がもう少し検討の余地ありということで、とりあえずエポケーすることになったのだった。

うーん、エントリーの話題が暗い。画像は、思い切り明るくしたい。関空で見つけた京都の八つ橋にチョコレートがプラスされた商品。海外に長期滞在していると、こういう超・日本的・缶製品に目が行くのだった。ひとつは、公私でいつもお世話になっているM先生ご夫妻に。もうひとつは我が住処用である。

2016年11月23日水曜日

苦行 LCC エアアジア空旅

マレー半島西海岸 マラッカ海峡沿いの蛇行の様子
エアアジアに乗るのはこれで5回目になる。クアラルンプールと関空の直行便。実は無茶苦茶安い。最初は、機内食なども注文していたのだけれど、だんだん慣れてきて、今回など、オプションはシンプルに手荷物を25kgまでにUPしただけである。(笑)座席は極めて狭い。あのKLMよりきつい。(笑)しかも、映画やゲーム、音楽などの機内の楽しみが何もないので、ホント、寝るか、本を読むか、また寝るか、しかない。今回のフライトは、特に混んでいて身動きさえ取れない状況だった。なかなかの苦行である。

今回は妻も私も窓側の席だった。どういう理由でそういう配置になったのかわからない(当然、席の指定も金を払えば可能だが、一切していない。)が、嬉しさ半分、自由にトイレに行けないという苦痛半分。ただ、5回目にして初めてKLIA2(エアアジアのKLの空港)の上空がわりと晴れていた。それで、熱帯雨林を蛇行する東海岸や西海岸の川を見ることができた。絵に描いたような蛇行である。こういうのを見ると窓側に座った価値を十二分に見出すことができる。(画像参照)

結局、朝自宅を(日本時間の)6時20分に出て、(KLIA2で軽い夕食をとったので)タマンデサの住処にたどり着いたのは(マレーシア時間の)8時前だった。来馬も1日仕事である。
今回の帰国の往路は、KLIA2を夜2時発だった。えげつないフライトだが、一気に寝たら、朝に関空なので、私はそっちのほうが好みである。まあ、LCCのエアアジアは、飛行機に乗る、というより夜行バスくらいの感覚なのだ。(笑)おそらく、日本の夜行バスの方がはるかに肉体的には楽だと思うが…。

とにかく安いので、次回もエアアジアしかありえない。某台湾のLCCみたいに突然解散されては、大いに困る。ちょっと悪口を書いたけれど、価格としては十分釣り合っている。乗務員さんのサービスもいいし、これからもますます頑張って欲しいところだ。

2016年11月22日火曜日

里心はタマンデサにあり?

購入した外付けHDD
マレーシアへの帰る日が近づいている。今回の一時帰国は、結局東京での用事と、浪人生A君への激励、前任校への挨拶をしただけだった。会いたい人もたくさんいたのだが、風邪を引いて大変だった。しかもマレーシアでは全く治まっていた花粉症が再発している。なかなか苦しい。

新しいコンピュータXX220iを手に入れたこと。(サクサク動くので非常に気に入っている。キーボードもしっくりきている。)
レッツノートの修理(スイッチの不調)の手配も試みたけれど、買い換えるくらいの費用がかかるそうで、あきらめた。
そのかわり、外付けのハードディスクを購入した。

Amazonで、本も購入した。マレーシアにいた時から購入を考えてきた本ばかりである。いずれ、このブログでも書評を書きたいと思う。
「この社会で戦う君に知の世界地図をあげよう」:池上彰本。正直なところ、あまり買いたくなかったのだが、来年1月から理系の国費生に対して、社会科学を論じることになったので、東京工大の理系学生に池上氏がどのような内容を語っているかを調べるために購入した。
「国家と対峙するイスラーム=マレーシアにおけるイスラーム法学の展開」:マレーシアに半年住んで、イスラムと近代国家の関わりは、私にとって個人的に極めて重要な研究テーマになっている。そのために購入した。
「ラーマンとマハティール=ブミプトラの挑戦」:これも、同様。マレーシアの多民族社会を考察するため、歴史をちょっと深めに学ぶため購入した。

あと、A君といっしょに本屋によった時、佐藤優の「大国の掟」を購入した。いわゆる、いつも読んでいる佐藤優本である。見つけた以上、読まないと病気になりそうなので…。(笑)

正直なところ、5月に一時帰国したときは里心がつくのが怖かった。だが、今回は必要な日本製品(書籍を含めて)を手に入れに帰ってきたという感じで、里心はタマンデサの方に置いてきたような感覚がある。妻も、「ドラゴンフルーツやジャックフルーツが食べたい。」と言い出している。(笑)EJU終了後のスクールホリデーが終わると、まず西洋哲学史を講ずる予定だし、1月からは理系の講義も始まる。その準備にかからなければならない。私費生の小論文指導や、授業数は少ないもののF38生の文系の授業も開始される。

というわけで、日本へのノスタルジックに浸っている余裕は、あまりないのだった。こういう状況が、私が求めていることであって、やはり幸せ者だと思う。まあ、1年が経過した時点で、来年度に今回会えなかった方々に会おうかな、と思うのだった。

2016年11月21日月曜日

国立新美術館のダリ展に行く。

先日、妻と東京に用事があって日帰りした。最寄駅を始発で出て、直Qバスで京都へ。そこからは新幹線往復である。一人だったら絶対夜行バスだったと思う。(笑)用事のあと、少しだけ時間があったので、六本木にある国立新美術館で開催されてたダリ展に行ってきた。

http://www.fukuoka-art-museum.jp
/jc/html/jc04/02/salvadol_dari.htm
何といっても、シュールの巨匠サルバドール・ダリである。調べてみたら、「ポルト・リガトの聖母」が見れるようだ。ガラ(ダリの妻でありモデル)を原子物理学的に描いた宗教画で、私のダリの作品の中でも好きな作品の5本指に入る。

実は、美術館に向かう途中で、かなり体調が悪くなった。風邪を引いたようなのだ。疲れが溜まっていたのかもしれない。フラフラになって美術館に到着した。妻もダリが大好きなのだが、それどころではないようで、結局ポルトリガトの聖母だけ見て帰ってきたようなものだった。うーん。もったいない。

その後2日間寝込んでしまったのだった。その後も体調不良が続いて、いろんな人に会いたかったのだが、連絡できないまま、大きく予定が狂ってしまった。あーあ。

追記:日曜日の夜にEテレで、「ダリの正体?」と題した特集が組まれ、改めて会場をTVで回ることができた。ちょっとありがたい。妻が最も好きな「パン篭」(これは今回展示されていないのだが、ダリにとって最も重要な作品だと本人が語っていた。これはもちろん私の5本指に入っている。)の映像も流れた。うん、横尾忠則も出てきたし、なかなかいい番組だったのだった。

ブラタモリ「知床」を見た。

http://music-book.jp/video/news/news/127958
日本のTVを半年ぶりに見て、いろいろ思うことがある。マレーシアでは、NHKの国際放送(英語)しか見ていないので、久しぶりに見るCMは新鮮だが、ついついウルグアイの大統領の言うように欲望を刺激するものばかりだなあ、と思ってしまう。よって、CMのないNHKを見ることになるのだが、久しぶりに「ブラタモリ」を見た。しかも大好きな「知床」だった。

知床は、火山がつくったというのがテーマで、期待どおり面白かった。世界遺産の区切りが溶岩地帯でも開発できない地域と開発できる地域の差になっていることなど最後のまとめとしては旬逸であった。羅臼が魚の城下町と呼ばれているのは知らなかった。国後島との間の海の深さの問題で、種が豊富らしい。だから競りも時間短縮のために下げ競りらしい。今回は、特に地質上の簡単な実験もあって面白かった。こういう地味な実験は地理を教えている私にも参考になった次第。

…知床。北海道大好きの私にとっても特別なところだ。ウトロも羅臼も大好き。知床横断道路を松山千春の古い曲を聞きながら走ると最高である。

前任校へ挨拶に行く。

前任校に挨拶に行ってきた。本当はもっと早く行くつもりだったのだが、東京から帰って風邪が悪化してひたすら養生したので、月曜日になってしまった。その前に、浪人生のA君を激励することができた。今日の画像は、A君を激励した長年通った喫茶店Hのマスターとお姉さん。(ブログに掲載することは了承済み。)

今春の人事移動で職員室の雰囲気もかなり変わっていた。新人の先生方を引っ張っていった教務のH先生とS先生のご苦労が忍ばれる。私が急に退職した故に、多くの先生に迷惑をかけたのだが、学校組織というものは何とかなるものだ。私のマレーシア行きを快諾していただいた校長先生を始め、多くの先生方と再会ができて、なかなか楽しい時間を過ごさせていただいた。

嬉しかったのは、社会科のU先生が大阪市の採用試験に合格したこと。彼は野球部のコーチとしてずっと頑張ってきた。これは彼によると私の退職のお陰だ(私の退職で採用枠が1人増えたということ。)と言う。うん、そう言ってもらえるのは嬉しい。さらなる精進をお願いしたい。体育科の職員室で、野球部監督のI先生と、ラグビー部監督のY先生とも話ができた。ふと黒板を見ると、昨年まで前任校でずっと頑張ってきた人柄のすばらしい体育科のT先生の合格御礼が書かれていた。今は私の母校で教鞭をとっている。彼の合格も実に嬉しい。

最後に武道科の職員室で、来春にはリタイアされる予定の柔道部のS先生とゆっくり話した。再任用教員になることを避け、何もしない予定だそうだ。自分にしかできないことを探すつもりだと言っておられた。同年代の私にはS先生のおっしゃっていることはよくわかる。自分は一足先に、マレーシアでそういう仕事を探し求めることができて、本当に幸せであると思う。

唯一の心残りは、昨年お世話になった家庭科のM先生に会えなかったことである。まあ、席の後ろにあるお土産のマンゴーグミでもたくさん食べて下され。(笑)

前任校の先生方の益々のご健勝をお祈り申し上げます。みなさんお元気で…。

2016年11月17日木曜日

ベジタリアンはつらいよ。

http://taking-a-stand.jp/
total-vegitalian-vegan-1313
昨日、東京のあるカフェで、シカゴニアンの二人と相席になった。女性の方はブラック・ピープルで無茶苦茶明るい人。まさにシカゴニアンだった。シカゴは大阪と姉妹都市で、しかも市民性も似ている。(笑)2回、シカゴに行ったことがあるというと大喜びだった。今回のトランプの大統領当選について聞いてみると、予想どおりボロクソだった。なんと、彼女はヒラリーと写真も撮っていた。困ったものよねえ。とため息をついたのだった。

ところで、問題はもう一人の白人男性であった。彼もシカゴニアンだが、穏和な感じの人で、ベジタリアンだという。何度もカフェの人に、彼が食べれるものはないかと聞いたのだが、結局、彼女のランチセットについていたトマトスープとポテトくらいしか食べれない。うーん、日本はベジタリアンが少ないから、そういう配慮に欠けるわけだ。

誠に申し訳なかった次第。日本が観光立国を目指すならば、地道なこういう努力を怠ってはいけないと思うのだが…。

2016年11月15日火曜日

大森実「スターリン」再読(2)

旧レニングラード(現ヴォルゴグラード)
http://www.russian.language.ru/about/locations_facilities/volgograd/
大森実の人物現代史3「スターリン」は、やはり詳しすぎるほど詳しい。ロシア革命についても、世界史や総合科目で講じるのだけれど、そんなに詳しくは講じることは時間的にも不可能である。特にレーニンからスターリンへと権力委譲し、トロツキーが追い出されてしまうことは語っても、両者の力関係の推移などは語ることがない。当然、30年来の再読なので、一度読んでいるとはいえ、新たな発見があった。いくつか備忘録的にエントリーしておこうと思う。

トロツキーは、そもそもマルキストの間では超有名な人物でレーニンもそれを認めている。赤軍の創始者だし、外務人民委員(「私はユダヤ人だから。」と内務人民委員就任を固辞した。)としてNo2の位置を占めていた。一方、スターリンは、革命直後は15番目の男で民族人民委員。グルジア人だから適材適所ではるけれども、そもそもそんな役所はなかったので、他から資金や机・イスもやりくりしたらしい。

そんなスターリンが、力を得るきっかけは、WWⅠでの対ドイツ降伏後始まった内戦である。ボルシェビキ政権に対して、皇帝派の白軍とドン・コサック、ムンマルスクに攻め入ったイギリス、オデッサに攻め入ったフランス、そして同じマルキストの社会革命党左派といった敵が、レーニンの政権を潰しに襲いかかってくる。

内戦最初の危機は、コーカサスの交通の要所ツァリツィンがドン・コサックを包囲したことだ。ここの北部は食糧が豊富で、反対にここを抑えられるとモスクワは危機に陥る。そこで、ここを守る赤軍の支援にスターリンが向かい、奪還する。ツァリツィンで、スターリンに助けられた赤軍の政治員(スターリンの同郷人でもある)オルジョニキーゼ、軍師団長ヴォロシロフはその後スターリンの股肱の臣となる。後に、ツァリツィンは「レニングラード」と改名される。これは、当然スターリンの功名の表れである。WWⅡで他の戦局を度外視してまで死守した理由もここにあるようだ。

トロツキーも、この内戦では、カザン奪還で大活躍する。装甲列車作戦と、前線の赤軍の逃亡阻止のための12人組作戦。逃亡者が出たら、12人のうち1人を即時射殺させたという。射殺隊はトロツキーによって編成された中国人だけで編成された督戦隊が使われた。モスクワに創設された、孫逸仙大学(劉少奇も1920年代に留学)もあったり、フランスには1000名もの中国人社会主義者がいたらしい。かなりの数の若い中国人がトロツキー陣営に参加していたと見てよい、と大森実は言っている。この勝利の後、ドイツで革命が起こり、前述の英仏の内戦介入が始まる。この内戦が終わった直後、レーニンが死ぬわけだ。

2016年11月14日月曜日

大森実「スターリン」再読

大森実の人物現代史3、スターリンを再読している。このシリーズ、文庫本化されているのは、この第3巻までである。おそらくは、採算性の問題かと思われる。こういうシリーズものはどうしても後ろになるほど採算が取りにくくなる。まして、池上彰氏のような、わかりやすい現代史の本だが出てくると、大森実のような緻密な資料で詳細に論ずる本は敬遠されるのだろう。ちょっと嘆かわしい。せめて第四巻チャーチルと第五巻のルーズベルトまでは出してほしいものだ。

さて、これも久しぶりの再読なのだが、ノモンハン事件と独ソ不可侵条約の関係性について詳細に述べられている。スターリンは、ノモンハンに全力どころか死力をつくす。日本軍が手探りでソ連の軍事力を探ろうとしたのに対し、スターリンは本気以上で関東軍殲滅に出たのだ。ここで、勝つことが、ドイツとのポーランドやバルト三国、フィンランドの分け前を得ることにつながったからだ。日本もいい面の皮である。

そんなことは、詳細な現代史の資料を顧みなければわからない。親英派のリトヴィフから、モロトフに外相が替わった時点で、スターリンの外交の転換を読み取らねばならなかったわけだ。たしかに、この頃の欧州外交は奇々怪々である。こういうところまで書いているトコロが凄いと、私は思うのだ。多少難しかろうと、どんどんと読み進んで新たな発見と疑問が生まれる本は貴重だ。

2016年11月13日日曜日

IBTの話(54) EJU本番

受験会場の廊下からKLタワーを望む
ついにEJU本番の日を迎えた。4月からかかわった生徒たちの人生をかけた勝負の日である。朝、6時45分ごろに住処を出た。国費生の寮まで歩き、バス乗り込みと出発を見届けてから、A先生の車に同乗して会場へ向かった。

今日は晴天である。会場は6月の時とと同じであるが、その緊張感は全くといっていいほど違う。午前中の日本語の試験を終えて、昼からはいよいよ、私の総合科目である。最後までみんな、バナナを食べながら勉強していた。(笑)

80分後、生徒にきくと、トルコが出たらしい。だが、気持ちをすぐ切り替えて次の数学に向かわせなくてはならない。よって、今回の総合科目では、トルコが出たということしか情報がない。(笑)私としては、時事問題で、G7の日本開催関係で、伊勢志摩とか、関連でリアス式海岸とか真珠とかが出るのではないかと予想していたのだが…。

とにもかくにも全てが終わって、バスに乗り込ませ、これを見送って今日が終わった。生徒諸君、本当にお疲れ様でした。ゆっくり休息してちょうだい。

2016年11月12日土曜日

ホットドッグ論争 in MY

https://www.pinterest.com/
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イスラム教徒は、猫が好きで、犬は不浄な存在で嫌われているというハナシを先日エントリー(10月11日付ブログ参照)した。この犬=不浄が、「ホットドッグ」に飛び火した。

JAKIM(マレーシアイスラム開発局)が、ドッグ(犬)という名称を含む食品の改名を命じる方針を明らかにしたのである。
首相府のイスラム事務担当は、「ハラル(イスラムの食事規定)認証は、豚肉などの材料が使われていないいことであって、それがキーポイント。すでに名称が定着している人気商品をドッグという単語が含まれているからハラム(イスラム教徒が食べるのを禁じられる食品)だと宣言することではない。」と反論している。(以上南国新聞の記事より)

…マレーシアでも、ホットドッグは食べられる。ただし、ソーセージ自体は、鶏肉や牛肉、あるいは魚肉でつくられたものだ。

マレーシアでは、捉えようによってはちょっとユーモラスなハラルにまつわる話もある。西遊記の映画の看板で、猪八戒がまるまる抜けていたらしい。でも当然、映画にはちゃんと登場していたとのこと。私は、こういうハナシ、異文化理解のトピックとしては、実に面白いと思う。とはいえ、今回のホットドッグ論争、私のような異教徒が、簡単に口出しすることではないだろうと思う次第。

モントキアラに行ってきた。

モントキアラのクリニックの下のカフェ
クアラルンプールで、日本人が最も集まっているのは、モントキアラという街である。私が住んでいるタマンデサも多いのだが、それはちょっと昔のハナシで、今はモントキアラが最大の日本人街だというわけだ。一度、どんなところか行ってみたかったのだ。今回は、日本語の通じる病院があるというので、糖尿病の薬の件で行ってみた。モントキアラのさらに新しい地区にあるそうなので、モントキアラの中心街を全部見たわけではないが、我が街タマンデサとは大きく違う。なにより白人が圧倒的に多いことである。タマンデサにも白人は住んでいるが、極めて少数派である。それが、まるで東京の港区のような多さであった。クリニックのある場所が新しい地区だからかもしれないが、とにかく、雰囲気が全く違うのである。新しい高層のコンドが林立しているモントキアラには、若干の違和感を感じて帰ってきた。

妻が、住処の近くに出ているジャックフルーツの屋台に寄りたいというので、そこでタクシーを降りた。モントキアラでは、こんな屋台は見なかった。妻がマレー語でちょっと会話して、おばさんがニコッと笑うと、ああ、やっぱりタマンデサの方がはるかに私たちには住みやすいと思ってしまうのだった。

2016年11月11日金曜日

IBTの話(53) EJU激励会

いよいよ、EJU(日本留学試験)である。昨日の放課後、恒例の激励会が開かれた。6月の時と同じく、私も挨拶を求められたが、教科の最後だったので、激励の言葉や注意事項は、ほぼ語りつくされている。そもそも私は、こういう時に長い話はしないことにしている。すでに、担当のクラスでは十分話しているし…。ただ、理系の生徒もいるので、「バナナを食べよう。」と「アルファー波でいこう。」ということだ話した次第。実は、これが大うけだったのだ。

Cクラスの担任のS先生が今朝授業に行ったら、「(教室の)ホワイトボードにバナナの絵がありましたよ。」と笑っていた。なんだか、嬉しい。

ところで、昨日私の後に校長先生が最後の激励をされた。新しい消しゴムをみんなにプレゼントされるという。EJUはマークシート方式なので、古い消しゴムだと汚くなるおそれもある。すごくいいアイデアだと思う。さすがである。

2016年11月10日木曜日

大森実「ムッソリーニ」再読(2)

ソフィア・ローレン
http://blogs.yahoo.co.jp/
gh_jimaku/25222962.html
大森実の人物現代史「ムッソリーニ」を再読して、枝葉末節的な話もエントリーしておこうと思う。

ムッソリーニと言えば、最後は愛人と逆さ吊りになったことで有名だが、ちゃんとした妻がいた。父が居酒屋をやっていたときに、後妻となった家政婦の連れ子だったというラシェーレ夫人である。彼女は昭和天皇から贈られたという石灯籠を持っていたらしい。三男はジャズピアニストとなったロマーノ。彼はソフィア・ローレン(女優:ひまわりが特に有名)の妹を妻にした。ラシェーレ夫人と、このソフィア・ローレンの妹は、有名人の陰の存在としての共通点もあって、嫁姑の関係ながらウマがあったらしい。

逆さ吊りになった愛人は、クラーラ。愛人といっても離婚できないカトリック故に夫と別居中の婦人である。結婚前から熱烈な総統(ドーチェ)のファンで、まるで映画になるような運命の糸とロマンチックなドラマがある。処刑の時も、ムッソリーニを庇うようにして機関銃で撃たれたという。

最初は完全にムッソリーニの立場が上だったが、ヒトラーとは主客転倒する。最初のヒトラーの訪問時はヒトラーが屈辱感をいやというほど味わうのだが、ムッソリーニの訪問時はヒトラーは、こんな演出でもてなす。ムッソリーニの乗る特別列車の対向車線をヒトラーの乗った特別列車が追ってきて、ピタリ並走。文字どおりの「枢軸」の演出である。終着駅が近づくと、ヒトラーの列車だけが速度を増し、プラットフォームででムッソリーニを待ったという。屈辱を裏返しにしたわけだが、完全に主客は転倒していたからこその余裕だったわけだ。

ヒトラーの話もこの巻では多く出てくる。後にシンガポールを枢軸同盟の日本が占領したとき、ヒトラーはこうつぶやいたという。「枢軸同盟の日本が勝った。これは喜ばしいことだが、あの黄色いサルどもが英国人たちを降伏させたことを考えると、俺はドイツの六個師団を英国に貸してやりたかった気がする。」

…なんか、大統領選で勝利した男も言いそうなセリフである。

大森実「ムッソリーニ」再読

大森実の人物現代史2「ムッソリーニ」を再読した。ムッソリーニについては、近現代史を教えていても、ついついスポットを当てることがない。もちろん触れるには触れるが、ナチスドイツの陰に隠れてしまう。

今回30年ぶりに、「ムッソリーニ」を再読して、なぜイタリアが枢軸国の中で最も早く負けたかということがよくわかった。そもそもイタリアには、石炭も鉄鉱石もない。ムッソリーニが食糧増産を進め、工業化を進めたとしても、ドイツやフランス、イギリスにはそういう基本的な部分で劣っているということ。それがまず重要な第一の視点である。
さらに、ファシズムとしてはヒトラーの先輩格に当たり、当初はイタリアの方が立場が上だったが、ドイツとは、オーストリアをめぐってでライバル関係にあったこと。これが第二の重要な視点。ドイツとしてはオーストリアはそもそも大ドイツ主義的な観点からは併合すべき国であった。一方、イタリアにとっては未回収のイタリアを再び取り戻すというナショナリズムの高揚があったのだ。
第三が、スペイン内戦である。同じファシズムの系譜にあるフランコへの支援に、ヒトラーは軍の新兵器の実験くらいの感覚で軽く支援するが、ムッソリーニは矩を踰えてしまう。この肩入れが、無理なエチオピア侵略とともに脆弱なイタリア経済に重くのしかかってしまうのだ。WWⅡの開始時には、もうすでにドイツとは大きな差がついていたわけだ。

結局のところ、ヒトラーの方がムッソリーニよりは、一枚も二枚も上だったということになる。それが、再読しての大局的な感想である。

2016年11月9日水曜日

史上最低・最悪の大統領選挙

https://brighttax.com/blog/2016-us-presidential-election-do-expat-votes-matter
そもそも、政策論争どころか、罵り合いの酷い大統領選挙だった。しかも昼すぎに、トランプの当選確実が出た。うーん、信じられない。他国の話だとはいえ、日本にとっても、マレーシアにとっても看過できない話である。

まだまだ、今回の大統領選挙の分析をするには早すぎるが、佐藤優氏のWEB記事と、内田樹氏のツイッターを読んでみた。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48143?page=5
https://twitter.com/levinassien?lang=ja

WEBによると、カナダに移住希望するアメリカ人が大量アクセスして、大騒ぎになったようだ。こんな大統領選があっていいのか、と私は思う。ど素人に期待するのはロクな話ではない。大混乱が待っているだけだ。OSAKAを見よ。カナダに移住したいとアクセスした人の気持ちは私は十二分に理解できる。

2016年11月8日火曜日

大統領選挙の日にB36の亡霊

行方不明のマーク4のレプリカ カナダのロイヤル航空博物館の展示 
http://www.gizmodo.com.au/2016/11/lost-nuke-may-have-been-found-off-canada-coast/
BBCのWEBのニュースによると、カナダ沖で1950年以来行方不明になっているマーク4原爆らしき物体が、ナマコを探していたダイバーによって発見されたとのこと。もちろん、真偽のほどは不明だが、実際、この海域で、冷戦初期の戦略爆撃機B36爆撃機が墜落事故を起こしている。B36にマーク4を積んで、核攻撃が可能かどうかを探る極秘任務で、エンジン火災が起こったので、海にまずこの爆弾を投下したらしい。
冷戦初期の戦略爆撃機 B36 ピースメーカー
http://wp.scn.ru/en/ww3/b/789/3/0
うーん。先日、ヒロシマの被爆の話をエントリーしたばかりである。しかも米国大統領選挙の当日に、なんとも嫌なニュースである。米軍によるとこの爆弾には、鉛とウラニウム、TNT火薬が積まれているだけで、プルトニウムは入ってないので核爆発の危険性はない、とか。あったら、それこそえらいことだが、そういう公式発表すら危ういものであることは、皆わかっているはずだ。全くもって、とんだ、ピースメーカー(B36の愛称)である。
http://www.gizmodo.com.au/2016/11/lost-nuke-may-have-been-found-off-canada-coast/

2016年11月7日月曜日

辺真一 韓国大統領の「構造」

韓国の政治とは無関係なロゴですが。
http://eumyangkma.com.au
/martial-arts/hapkido/
昨日、ちょっと韓国の朴大統領の話を書いたが、WEBで辺真一氏のコラムを読んでちょっと納得した。

韓国の大統領は5年の任期である。国会議員は4年なのに1年長い。辺氏は、任期が長すぎるのかもしれない、しかも再選がない、これが一度なってしまえば選挙の洗礼を受けることなく二度となれないが故にやりたい放題ができる、と言う。緊張感が徐々に薄れてしまい、大統領をやまたとたんに、家族や親族、側近らの不祥事・権力乱用などのスキャンダルが表に出て、それを退任後に清算しなければならないわけだ。たしかに、あまり意識しなかったが、韓国大統領の退任後はなかなか悲惨である。

韓国大統領の権限は大きい。法案の拒否権、軍の統帥権、最高裁長官(大法院長)・検察総長の任命権、行政や軍の人事も握っている。憲法改正の提案権、宣戦布告、在任中に罪を犯しても免責される。だからこそ、監視するシステムが必要なのだが、それがないらしい。

辺氏が指摘しているところは、よくわかる。どういう経過で、韓国の政治システムが出来上がったのかは勉強不足でわからないけれど、たしかに問題がありそうである。

こう考えると、権力者の横暴をいかに防ぐかという視点からアメリカの政治システムを考え出したジェファーソンは、つくづく偉大だなあと思うのだった。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/pyonjiniru/20161106-00064149/

2016年11月6日日曜日

このところの国際政治 雑感

http://masteru.seesaa.net/article/443542092.html
どうも、世界中の政治が迷走しているように感じるのは私だけだろうか。

韓国の朴大統領の疑惑。数万のデモに発展している。WEBの情報だけでは、なんだかよくわからないのだけれど、宗教家がそのバックにいるらしい。韓国のラスプーチン?サムスン電子の問題も含めて韓国が、さらに混迷することは必至だ。

インドネシアも、中国系知事(彼は副知事から昇格したので選挙の洗礼を受けていない)の、反イスラム的発言で、大きく揺れている。これもなかなか火消しは難しそうだ。

トルコでも、大統領が、議員の不逮捕特権の法を改定してまで、クルド系の野党国会議員を逮捕したらしい。うーん、これも大きな反発を呼ぶことは必至だと思う。

中国でも、主席と首相の間での権力闘争の匂いがしているらしい。中国ウォッチャーの報告をいろいろ読んでいると、かなり深刻なようだ。

そしてアメリカ大統領選挙である。ここにきて、混迷の度を増している。様々な調査結果も迷走していて、「かくれトランプ派」などというコトバまで出てきている。クリントンが嫌われる理由などというコラムもいっぱいあって、低学歴のプワー・ホワイトが今や大統領選の趨勢を担っている、などと言われている。アメリカの内向き化が非常に顕著だ。そんな中、世界的な調査で、トランプ氏への支持が最も高いのがロシアである。

ロシアのシリアでの軍事行動は、さらに海軍をも巻き込み、下手をすると第三次世界大戦?などという下種なコラムもあるが、緊張を高めていることは私も否定しない。プーチン大統領は、常に強いロシアを志向することが、ロシアの人々の愛国心を満足させ、求心力を高めることをよく知っている政治家だ。先日、ウラジミール大公という、プーチン氏と同じ名の聖人(キエフ大公国をキリスト教化した人物)の像をクレムリン宮殿の横に建造し、除幕式はロシア正教の総主教もやってきて華々しく行われたらしい。(画像参照)これには、様々な方面(クレムリンの世界遺産を認定するユネスコ委員会からも)から反対の声があがっている。が、そんな声など気にしないのが、プーチン氏である。そんなことを一々気にしていたら、クリミア併合などという芸当はできない。http://www.msn.com/ja-jp/news/world/

私などは、同じ名前というのなら、その横に、レーニン像をさらに置けばいいと思う。レーニンも、同じく、ウラジミール・イリイッチ・ウィリヤーノフというのが本名だ。

「わが心のヒロシマ」を読む。

2週間ほど前になるだろうか。F先生から、「この本をご存知ですか?」と言われて手に取ったのが、「わが心のヒロシマ」(オスマン・プティ著/勁草書房)であった。初めての本なので、「いやあ、読んでいませんが…。」と言うと、「実は、この本は前社長(マレーシアでは学校法人という概念がないので、IBTも会社組織なのである。)が皆に是非読んでほしい、と託されたもので、私が読んでから、ずっと保管していたものなのです。先生、次に読んでいただけますか?」

IBTの前社長は、私が来馬する前、病状が悪化して日本に帰国された。辞任にあたって、一度だけご挨拶に見えたので、その時にお会いできたのだが、なかなかの人物だ、とすぐに解った方だ。その方が是非、と言われた本なら読みたい、そう思って喜んで預からせていただいた。

この本は、ラザク氏という、日本語を学んだマレー人留学生が、戦時下に来日し、東京大空襲や広島での被爆体験を弟子の作家・オスマン・プティ氏がまとめ、マレーシア語で出版されたものを日本語に翻訳したものだ。前社長は、IBTの使命、すなわち日本とマレーシアの架け橋になるような人材育成と深くかかわるが故に、この本を託されたのだろうと推察された。

この本の読後の第一印象は、ラザク氏が占領地・マレーの留学生として来日するのだが、そういう被害者的な歴史認識が存在しないこと。おそらくそれを支えている美しい日本と日本の人々への好感である。日本の悪口は一言も出てこない。ラザクさんは純粋に、教師となるために学びたかったのだ。それを多くの日本人が支えてくれたという恩情が強い、ということだと私は思う。

次に、戦時下の体験である。東京大空襲の時、B29に迎撃に向かった戦闘機がカミカゼ攻撃するシーンがある。多くの東京市民が涙し、ラザク氏も衝撃を受ける。私も強い衝撃を受けた。私は、その背景にあるものの是非はさておき、「葉隠」的な日本の精神を感じる。

そして、被爆体験である。ラザク氏は幸運にも生き延びることができ、多くの人々を救おうとする。生半可な言葉では表せない悲劇がそこにある。

寮母の行方を懸命に探しながらも、家の下敷きになっており救い出せなかった悔み…。水を求める人々に、水を与えると死んでしまう話。ニワトリを潰して、食料を得ようとするも、釘で「アッラー、アクバール(神は偉大なり)」と唱えて何度も刺したが、ニワトリは死なず、そこにいた多くの被爆者とともに翌日硬直して死んでいた話…。

元社長が託されたこの本は、予想どうり、極めて重い内容であった。マレーシアの青年をその後も日本に送り続けた教育者ラザク氏の温和な人柄の奥底にある深い悲しみ、それを乗り越えてきた強さと教育への情熱、そして日本への限りない好感の情。いい本だった。EJU(日本留学試験)一週間前である。決意を新たにした次第。

2016年11月5日土曜日

業務スーパー探訪 その3

補習の後、妻も合流して、A先生にまたまた業務スーパーに連れて行ってもらった。私は3回目、妻は2回目になる。とにかく、安いので冷蔵庫の容量を計算しながら、どどーんと買い物するのが正しい。(笑)

妻は、前回の経験を踏まえて、事前に計画を練っていた。まずは、お米。それから、豚肉を含めた肉類、海産物、特にイカやエビ。野菜はあまり買ってしまうと日持ちしないので今回はパスということらしい。それとフルーツ。ここのフルーツは、モノが良くて安い。そうそう、それからトイレットペーパーとティッシュ、というラインナップである。
うぉおおー。柿だ。柿。(ただし韓国産のようだ。)
お米は、妻によれば、SUMO(どうみても相撲取りが描かれているのでスモウと呼ぶべきだと思う。)というお米を、例のアルカリイオン水で炊くのがベストという結論に達したらしい。それを5kg×2袋。肉類は、ノン・ハラルの豚肉を量り売り。かなりお値打ち品らしい。ここで売っている焼き豚は絶品であるので、少し多めに。これも1パックRM5くらい。海鮮は、イカ・エビだけでなく、鮭の半身をRM50くらいで買っていた。(自宅で妻がこれをさばくと20切れくらいの切り身になったようだ。日本よりかなり安く、そして分厚い。)フルーツも、結局、いろいろ買うことになった。最初は赤のドラゴンフルーツだけを買う予定だったが、普段は手の出ないマンゴーも安いし、パイナップルも無茶苦茶安いし、柿まであったので、どどどっと買ってしまったのだった。当分、フルーツには困らない。(笑)

妻は帰宅後、すぐに、海鮮を中心にさばいたり、解凍してから使いやすいカタチにして、冷凍庫に保管するなど、動き回っていた。うーん。素早い。主婦の底力を目の当たりにしたのだった。

IBTの話(52) 土曜日補習(4)

http://www.pandabooks.jp/
4週続いたEJU対策の土曜日補習。さすがに来週は前日なので、今日が最終日である。私が4月にIBTに来る前の歴史分野の補足をしている。最後はナポレオンの没落とアメリカの独立革命である。

私は思うに、イギリスの市民革命・フランス革命と、アメリカの独立革命は、ある意味、似て非なるもののように考えている。なぜなら、アメリカの独立革命は、絶対君主や貴族階級がそもそも存在しないからである。アメリカでは、市民革命であることに間違いはないが、ヨーロッパの社会類型としての「自由な個人」となるべく、「不自由な共同体」が立ち上がったというカタチではない。たとえ、貴族が英国王より認可を得て、アメリカでコロニーを開いたとはいえ、その後貴族階級化したわけではないし、「平等化を求める、いわゆるデモクラシー」は存在しない。「自由を求めるリベラリズム」が主体だといえるかもしれない。要するに、民主主義化のカタチというか、両者のバランスが違うのである。

そう考えれば、時間軸に沿って、英・米・仏と市民革命を論じていくより、英・仏・米と分けて教えた方がよいと思うのだ。しかも、日本の民主主義は、かなりアメリカ的である。WWⅡ以後の日本国憲法では、明治以来のイギリスに近い議会制民主主義の形態をとっているけれど、イギリスより、三権分立がはっきりしている。最大の違いは違憲立法審査権である。このあたり、急いで作ったわりには、アメリカ的要素が憲法に十分に盛り込まれている。その後の日本の平等を形成した累進課税や税制の直間比率なども、アメリカ的な平等観が強い。

日本は、このアメリカ的な「リベラル・デモクラシー」の優等生であるといえる。選挙の際にいつも争点になるのは「景気対策の是非」である。アメリカ独立宣言だけにあり、権利の章典や人権宣言にない「幸福の追及」、言い換えれば、ビジネスの自由・生活設計の自由・消費の自由といった豊かさのリベラリズムに彩られた民主主義なのである。

「マレーシアでは、選挙の争点はどんなことが多いの?」と質問したら、生徒はやはりそういう経済政策の是非が大きいと答えてくれた。マレーシアも、そういう意味では、日本と同じリベラル・でもクラシーが浸透しているのかもしれない。これが、グローバリゼーションの正体だと言ってしまう勇気は私にはないけれど、日本の大学で是非考えてみてほしいところだ。

こういう、極めて高度な講義ができるのも、歴史分野も政治分野も経済分野も、私自身が十二分な時間をいただいて講義してきて、統一性があるからだと思う。来年度はどうなるかはわからないが、ともかくも、いい経験をさせてもらった、と感謝している。

今日の最後の挨拶では、みんな「大学生の顔」になっていたように思う。

2016年11月4日金曜日

アフリカで爆買されるロバ 哀歌

http://afric-africa.vis.ne.jp/essay/walk02.htm
WEBのニュースで見たのだが、アフリカのロバが中国の爆買いの対象になっているとのこと。なんでも中国の漢方の生薬としての需要らしい。中国本土では、ロバの供給減となり価格が高騰したらしい。それで、アフリカのロバが狙われたのだとか。かなりの札束で顔面を張るような感じで爆買いしたようだ。ブルキナファソは、ロバの禁輸を決定したという。ロバの価格高騰につられ、アフリカでは他の家畜も高騰しているらしい。

グローバリゼーションの仁義なきマーケット主義の典型的な話である。あまり中国の悪口は書きたくないが、「限度」という語彙は中国語にないのだろうか、と思う。

アフリカに行くと、よくロバに出会う。農村でも都市でもロバはよく働いている。決して幸せな環境にはないと思うが、漢方薬のために殺されるのはもっと悲惨だ。アフリカに行った時、ロバの悲しげな目をよく見ていた。個人的に私はロバが大好きでなのある。だから、こういう欲望にかられた話にはよけい怒りがこみ上げる。

ウルグアイのムヒカ大統領のリオ+20のスピーチをロバを爆買している中国人に贈ろうと思う。「貧乏な人は、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ。」

http://www.msn.com/ja-jp/news/world/

2016年11月3日木曜日

私の新しい住処 タマンデサ11

相変わらずバスで通勤している。帰りは、A先生やM先生、T先生に車で送ってもらうことも多いのだが、やはりバスで帰るのが本筋である。そんなわけで今日は、バス。なんともラッキーなことに、ミッドバレーのバス停に650番が停まっていた。(滅多にないことである。)

私も少し速足で無事乗り込むことができた。走り出すと、よく朝に同じバスに乗るインド人の知人が、ちょうど陸橋を降りてきたところであった。そこを見逃さず、載せてくれるのが650番(タマンデサ行き)のいいところだ。なぜなら、運転手も650番専任だからである。顔なじみは強い。

かくいう私も「顔なじみ」の一人である。サングラスのインド人運転手は、我が住処の前でバスを停めてくれた。バス停までは30mもないのだが、こういうちょっとした親切は実に嬉しい。

今日の画像は、そんなバスがタマンデサを一周して、KLのバスセンターに向かっていくところ。我が住処の窓から撮影したものである。時間の経過から考えて、きっと、サングラスのインド人運転の650番だと思う。(ホンマかいな。)

2016年11月2日水曜日

IBTの話(51) 英国人の国民性

EJU(日本留学生試験)では、時事問題が出題される確率が高い。イギリスのEU離脱という設問の可能性も十分考えられる。とはいえ、近年の過去問でスコットランドの独立問題なども出題された経過もあるので、間が空いていいなし、ないかもしれないが…。

とにかく、可能性があるならば備えなければならない。今、私のオリジナル問題を解答しながら授業を進めているのだが、イギリスのEU離脱関連の設問も入れている。しかし、あまり真面目にやりすぎると、模擬問題の解答&解説というスタイルの授業は長いトンネルのような感覚が生まれて、生徒も疲れる。たまには笑わせないいけない、と思い、イギリス人の国民性みたいな話も入れた。

5月に一時帰国した際、何冊かこういう国民性を集めた文庫を買っておいた。気楽に読めるので、妻が来るまでの間ずいぶん読んだのだが、ブログには書評をエントリーはしていない。今日は「日本人が知らないヨーロッパ46か国の国民性」(造事務所編著/PHP文庫)から、少し紹介しておこうかと思う。イギリス人の国民性は「紳士っぽくふるまうが、ゴシップを好む。」とか「なかなか伝わらない皮肉を連発」とか、いろいろと書かれている。なかなか読んでいて楽しい。私はイギリスに行ったことはないけれど、イギリス人の知人はいる。全てALT(アシスタント語学講師)である。

イギリス人といっても、みんな性格が同じ、というわけでは、もちろんないけれど、確かに「皮肉屋」的な部分はある。(笑)LというALTが帰国するというので、カラオケに行った時のことだ。彼に敬意を表して、ビートルズを歌った。すると、彼はにべもなく、「私はビートルズよりローリングストーンズの方が好きだ。」と言ったのだ。その後2人で「サティスファクション」を歌ったのだけれど…。また彼は、イギリス人のくせにコーヒー好きで、夏でも熱い缶コーヒーを飲んでいた。日本人が冷たいコーヒーを好むことを、極めて馬鹿にしていた。皮肉屋さんのイギリス人である。(笑)

一方で、DというALTともカラオケにいった。クイーンの「ボヘミアンラプソデー」を一緒に歌ったことがある。ムツカシイ英語の部分はDにまかせて、サビは私が歌ったのだが…。終わってから、私が、「D,なかなか英語うまくなったなあ。」と言うと、「アリガトウゴザイマス」と答えてくれた。紳士っぽくふるまうイギリス人である。(笑)まあ、いろんなイギリス人がいるという話をしたのだが、マレーシアの生徒もこれらの曲を知っていて、なかなかウケたのだった。

そんなイギリス人が、EU離脱問題では、まさかまさかの国民投票で離脱してしまった。どうせ、離脱なんかできないと思っていたフシがある。その後のドタバタ劇がそれを物語っているのだが、今度はアメリカ大統領選挙でも、同様のことが危惧されている。これには、生徒たちの顔が曇ったのであった。日本もマレーシアも、影響を受けるだろうことは、これまでの授業の知識の蓄積で十分認識できているのだった。

2016年11月1日火曜日

生活の改善14/Wサーバー設置

妻が来て、2か月半。生活の改善はさらに進んでいる。毎日、お弁当を作ってくれているので、お腹がまた出てきた。(笑)問題は、やはり水である。ご飯を炊くのに、ずっとミネラルウォーターを使っている。スーパーで買って、それをリュックで2日に一度は運んでいた。牛乳や重い野菜なども入ってくるので、なかなか運動になるが、やはり負担である。スコールの時などは、あきらめざるを得ない。先日妻が昼間に一人で水を買いに行って、少しばかり無理をしたようで、膝や腰を痛めてしまった。このままではまずい。

と、言うわけで妻が最近知り合った日本人の友人から、信頼できるウォーターサーバーの会社を紹介してもらった。なんと、アルカリイオン水が1ガロン(約19リットル弱)でRM13だという。いつも買っている最も安価なミネラルウォーターのペットボトルと比べても、そう変わりない。反対に安くくらいだ。

昨日、その業者が、今日来る予定だったのを前倒ししてやってきた。帰宅すると、なんと学校にあるような冷水+温水のでかいフロアタイプのサーバーがあったのでびっくりた。これは、社内の連絡ミスのようで、今日、改めてデスクトップ型の小さいなサーバーに変えてくれたらしい。きっちちと連絡が入って、仕事もテキパキ、お金も明朗会計で、妻は好感をもったらしい。

これで、2日に一度は水を買いに行くというミッションは終了し、生活はさらに改善されたのだった。アルカリイオン水で炊いたという、ご飯はなかなか美味であった。