2016年11月29日火曜日

IBTの話(55) 南北貿易ゲーム

本日のCクラスの実践よりゲームのスタート時
EJUが終わって、私費生は卒業まであと2週間となった。かねてより、EJUが終わったら、国際理解教育のアクティビティを行う予定をしていた。今年は、まずは定番の南北貿易ゲームをやることにした。私費生・華人中心ののA・B合同クラス、国費生・マレー系中心のCクラスで昨日今日と2日間にわたって行った。マレーシアの生徒の反応はどうだろうか。本来なら、国際理解教育学会の研究発表大会で発表してもいいくらいの教育実践である。

今回の実践にあたって、紙がA4しかないので、商品の「円形」も「三角形」も「長方形」もそれぞれ小さめのサイズにした。ハサミや定規などの数は、基本的に日本と同じにした。実践の前に、ルール説明、チーム分けと国の抽選を行い、打ち合わせに十分時間をとった。高校生の授業形式では、この戦略を練る時間こそが、ゲームの醍醐味であると私は思う。実際、A・C両クラスとも、かなり真剣に戦略を練り、交渉にも熱が入っていた。この辺は、日本と同じかそれ以上である。Aクラスでは、社会科のT先生、Cクラスでは担任のS先生の協力をいただき、それぞれ銀行業務をお任せした。コーディネーターは、当然私である。

私費生クラスでの実践:華人の生徒が多いからだと思うが、かなり効率性を重視していた。一気に商品を生産し、商品の価格変動に敏感に反応した。途上国など条件の悪いチームも、かなりのリスクを背負っても勝負に出る場面も多かった。やはり、華人の生徒は商売に対するバイタリティーがあると実感した。T先生の報告によれば、事前の折衝時に、契約書(たとえば、紙をいくらで売愛するとか、ハサミを借りる時間設定とかの細かな契約である。)を交わしていたとのこと。日本ではあまり例がない。実に面白い特徴である。生産性が高く、最終的には銀行側で小切手を発行する羽目になったほどである。

ゲーム中 みんな黙々と作業をしている
国費生のクラスでの実践:マレー系の生徒も、戦略・交渉に真剣に取り組んでくれた。しかしながら、生産性は低かった。特に円形の不良品が多かった。ことさらS先生が厳しかったわけではない。コンパスの使い方にあまり慣れていないのかもしれないとS先生。みんな真面目に黙々と作業をしていて、ゲーム中に交渉に走る生徒は少ない。この辺も国民性の表れかもしれない。

両クラスとも、日本語は上級だが、分度器という日本語は初めてらしかった。それで、事前に見せて使い方も講習した。もちろん周知の生徒もいたが、これは意外だった。こういうアクティビティは、マレーシアではほとんど行われていないようで、かなり新鮮な体験だったようだ。もちろん、両クラスとも、「ふりかえり」で大いに盛り上がったのだった。これは日本と同じ。

ともかくも、マレーシアでの南北貿易ゲーム、まずは好評のうちに終わったわけだ。先日の帰国の際にウーリー・シンキングのセットも持ってきた。哲学史の講義の進み具合にもよるけれど、最後の授業でやってみたいなと思っている。

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