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2026年3月9日月曜日

サクラサク 本年第二弾

https://www.takeda.tv/hashimotoekimae/blog/post-274194/#html
1月21日付のブログで、エントリーした、外国語学部専攻語のアドバイスをさせてもらった学院の生徒から、合格したとの報と、専攻言語の希望順位表が送られてきた。やったなあ、サクラサク。学院は、英語教育に熱心な学校なので、3年生の先生方も、受験指導に関わった先生方もきっと大いに喜ばれていると思う。

アドバイス時に、将来についても聞いたのだが、かなり白紙のようだ。それもいい。M高校時代、私が関わった同じ外国語学部に進んだ教え子たちもいろいろで、スワヒリ語専攻に2人進んだが、男子の方はハングルにハマり、今は東京都の公務員になっている。女子の方は、アフリカにも行き、結局カメラマンになった。ビルマ語専攻に進んだ女子は大阪市役所にいる。うん。”人生いろいろ・島倉千代子”である。

2026年1月21日水曜日

外国語学部専攻語アドバイス

https://www.google.com/search?q=
共通テストが終わり、もうすぐバンザイ・システム(予備校による全国的な資料を元に合格率を出すシステム:昔A評価だとバンザイのマークが付いたので業界ではこの名がある。)が出てくる。昨日、特進コースの生徒から、某国立大学の外国語学部の専攻語選択について、アドバイスを求められた。

中国語・デンマーク語・アラビア語・モンゴル語・フランス語・トルコ語・フィリピン語・スペイン語・ロシア語・ベトナム語・ドイツ語・ヒンディー語・ウルドゥー語・アラビア語・朝鮮語・英語・ペルシャ語・インドネシア語・イタリア語・スワヒリ語・タイ語・ポルトガル語・ハンガリー語・ビルマ語・スウェーデン語の中から1つ選ぶことになる。昔M高校時代にもよくアドバイスをした。この言語に全て志望順位を付けなければならないらしい。

私のアドバイスのポイントは、1:成績結果次第であること。ヨーロッパ言語は比較的上位の成績が必要で人気が高い。アジア・アフリカの言語は人気が低く、比較的下位になっている。ただ、マイナーな言語は日本語対応の辞書がない場合が多く、英語版辞書で学ぶことになるので、英語の学力がさらに身につく。2:各言語の文字が、アルファベット(ダイアクリティカルマークのあるものも含む)か、それ以外か。学ぶうえで文字の違いは大きい。3:文法的にSVOCか、日本語同様、Vが最後に来るのか。これも大きい。

成績のことはとりあえず無視して、上記の言語をアドバイス・ポイントの2・3で4分類してみることを勧めた。アルファベットにこだわるか、SVOにこだわるかである。一応自分でも分類してみた。

アルファベット&SVO:デンマーク語・フランス語・フィリピン(タガログ)語・スペイン語・ベトナム語・ドイツ語・英語・インドネシア語・イタリア語・スワヒリ語・ポルトガル語・スウェーデン語

アルファベット&非SVO:トルコ語・ハンガリー(マジャール)語

非アルファベット&SVO:ロシア語・タイ語・中国語(中国語の文字は簡体字化している)・アラビア語(基本はVSOだが、SVOも非常によくつかわれるらしいので、ここに分類)

非アルファベット&非SVOC:ヒンディー語・ウルドゥー語・朝鮮語・ペルシア語・ビルマ語

アジア・アフリカ諸国の言語には、旧宗主国の語彙が混じってくることも伝えておいた。結局、本人が何に重点を置くかが大切だと思う。この分類以外にも、その言語を使う国の魅力なども加味されるだろうと思う。ちなみに私のおすすめは、英語やマレーシア語同様、アルファベットでダイアクリティカルマークがない、ケニア・ウガンダ・タンザニアで使われる”スワヒリ語”である。(笑)

2026年1月19日月曜日

共通テスト2026 地理

共通試験の考察、最後は地理である。正直なところ、あまりおもしろい問題はなかったのだが、あえて挙げるとすれば、第5問の問2。当該国における外国人居住者と当該国における国外居住者をグラフ化(画像参照)した問題。当該国は、UAE・インドネシア・フランスの3カ国である。アはUAE、イはフランス、ウはインドネシアで、決して難問ではないが、世界的に見た人口移動の状況は重要だと私は思っている。
もう一つ。第6問の国際河川と気候区の関連付けの問題(画像参照)。各ケッペンの気候区は上流から河口にかけて明確にはされていない。ここがミソである。ドナウ川は上流から河口までCfb。次にイの河口とウの上流が同じというのもミソ。これはAwである。これだけで正解が導かれるわけだ。

本年は、私に関係の深い3科目の考察、というより面白い問題の抽出になってしまった。共通テストは、毎年毎年、資料を使った思考問題に変換されている。国公立大学を目指す優秀な高校生に求められているのは、まさに短時間で資料を読み解く力と思考力であることが明確になってきた。現場としては、この傾向をますます踏まえなくてはならないわけで…。

2026年1月18日日曜日

共通テスト2026 公共倫理

恒例の共通テストの考察。まずは公共倫理である。公共が2問25点、倫理が4問で75点配点で昨年と同じ。上記の問題は、「悪」についての第3問の問1・2。問1は比較的容易。消去法で荀子とすぐわかる。問2は、少し難しい。ルソーは、従うべきものは一般意志なので✕。イザヤ(旧約の預言書イザヤ書の著者)やスーフィズム(イスラム神秘主義)なんて高校倫理ではあまりやらない。国際法の父であるグロティウスは、世界史組なら想像がつくだろう正解は3。この「悪」の問題は、プラトンの『クリトン』、ニーチェ・ヒューム・フロイトの人名選択問題、さらにアウグスティヌス・モンテーニュ・カントの正誤問題、仏教思想、アーレントとヤスパースの記述挿入選択問題、最後にベンサムとJSミルの功利主義へと繋がっている。容易な問題も多いが、(自由や善といった従来のテーマをあえて避け)「悪」をテーマに、これだけの関連問題を作成した先生方のご苦労が忍ばれる。

今回は、さらに一部の教科書にしか載っていない心理学的な内容もあって、倫理の共通テスト対策は、従来の哲学史中心でやってきた現場にとってさらに困難を強いられているように思う。

2025年10月4日土曜日

教え子からの依頼2題

あるクラスの授業終了後、生徒から社会学の本を読んで感想を書くよう指定校から指示があったそうで、どんな本を読んだら良いかと質問されたのである。

指定校はどこかを聞いた後、浮かんだのは、大澤真幸の『社会学史』だったのだが、これはかなり難解であるし、国際関係にも興味があるとのことで、少し時間をもらった。帰宅後に浮かんだのは、現在京大の大学院にいるL君から贈呈された古市憲寿の『古市くん、社会学を学び直しなさい』であった。日本を代表する12人の社会学者との対談で、マレーシアでL君と読書会をした『社会学史』よりは読みやすいだろうと思う。この中から印象に残った社会学者と専門領域について自分の意見をかけば良いし、熟読すべき分量も少なくてすむというメリットもある。興味を持った社会学者の著書なども良き参考文献案内になるだろう。月曜日にこの本を持っていって説明しようかと思っている。

同じく昨日、学園の教え子から嬉しいメールがあった。KG大学1回生で国際関係をやっていて、すでに途上国に行き、様々な学びをしていてアフリカにも行く予定があるそうだ。改めて高校生のためのアフリカ開発経済学テキストを送ってほしいとのこと。学園は、生徒1人ひとりに「iPad」を貸し出しするシステムなので、すでに手元にないのだろう。さらに資料があれば欲しいとのことだったので、今地理総合で教えている内容のパワーポイントをPDF化して送っておいた。少しでも参考になればと思う。

2025年6月3日火曜日

地理探求の受験について

現在、地理総合という基礎科目を教えているわけだが、この上位互換で地理探求という教科がある。新カリキュラムで地理「B」は地理「探求」になった。共通テストはともかく、私大を地理で受験するとなると困る。私大の文系学部では地理を受験科目に入れていないことが多いのである。関西なら、同志社や京産、甲南、龍谷などがそうだ。理系はともかく、文系受験生にはそういう意味で不利なのである。また、参考書や問題集などの種類も、世界史・日本史に比べて種類が少ない。

武田塾のYouTubeで、地理の勉強法についてまとめていた。https://www.youtube.com/watch?v=0gJBCQhqmfY

地理の法則性と地誌との絡みなど、私の言いたいことと全く同じで、実によくできている。今回の期末試験の範囲などは、民族・言語・宗教を地誌と絡めながら法則性を見ていく内容で、少しばかり探求の範囲の上を行っているといえる。(笑)今日の画像は、その武田塾おすすめの参考書である。

2025年1月19日日曜日

共通テスト 2025 地理

https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/kyotsutest/25/analysis/5410.html
https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/kyotsutest/25/analysis/5140.html
新課程の共通テストは、地理も地理総合+地理探求になった。今回、地理総合と歴史総合で受験する教え子と地理総合+地理探求で受験する教え子もいたので、まずは、その比率から。結論から言うと公共と同じく地理総合は25点配点であった。

https://nyushi.sankei.com/kyotsutest/25/1/exam/5140.pdf
地理総合の分野は大問で4つだが、その内の大問1・2が+地理探求でも出題されている。大問1は割と簡単な問題もあった。上記の問3の正解・イギリスは②である。これはほぼ秒殺問題。とはいえ、他の問題はまぎらわしい記述もあった。大問2も、地域調査で様々な視点の問題が加味されているが、防災の問題などが出るのは予想通り。大問3はその防災問題そのものであった。大問4も含めて、比較的取り組みやすい問題であったのではないかと思う。

https://nyushi.sankei.com/kyotsutest/25/1/exam/5410.pdf
地理探求の方は、模擬試験を数多くこなせば、ほぼ類推可能な問題が多いと見た。その典型例は、第5問の問3。GDPにおける製造業の割合と、都市人口比率のグラフで、イタリア・オーストラリア・韓国のそれぞれを見極める問題。現在のオーストラリアの製造業の低さと韓国の製造業の発展をを念頭に置けば、おのずと正解が見える。正解は④である。

共通テスト 2025 公共政経

共通テスト・公共+政経の問題も見てみよう。こちらも読解能力が試される問題が無茶苦茶多い。ただし、昨年よりは、選択肢が楽になっているようであるが…。上記画像(拡大可能)は、私が良問というか視点が良いと思った第4問の問5である。国連安保理と総会というか、国連の基本的スタンスを問う問題。正解は③。やはり安保理の常任理事国の権力が大きいという認識となる。次問のアラブの春に関する統計資料の問題もなかなか良い視点だと思う。画像スペースをとりすぎるので、興味のある方は検索して欲しい。

共通テスト 2025 公共倫理

https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/kyotsutest/25/analysis/5610.html
https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/kyotsutest/25/analysis/5510.html
新課程の共通テストの公民分野は、公共+倫理(100点満点)、公共+政経(100点満点)が受験生の主なる選択となる。
昨年度、学園で2年生の公共を教えた関係で、まず公共の問題について考察したい。公共倫理では、公共の問題は、8問で配点が25点になっている。政経も全く同じで25点配点であった。

公共の問題は、資料を読みとる思考問題が主で、いかに早く読み、論点を掴むかが問われている。倫理的な問題として第2問・問1にハーバーマスとアーレントが出た。正直な所、ハーバーマスの思想は私の好みではない。かなりの綺麗事、小学校の学級会的な原理を述べているに過ぎないと今でも思っている。さて、倫理の問題を見て、かなり複雑でいやらしい問題(河合塾の表現では踏み込んだ知識を問う問題)になっていると感じた。特に、第3問問4は、中国思想の礼楽についての4つの記述にあてはまる思想家(孔子・孟子・荀子・老子・荘子・墨子)をそれぞれ選ぶ問題であるが、ここまで授業で教える教師は全国でどれくらいいるのだろうと思う。

…とはいえ、良問を1つくらい選んでも罰はあたらないだろう。大乗仏教の思想についての第3問の問5。正解は②である。イは、維摩経は在家の維摩の話。(菩薩の説明も微妙)エは、鑑真が決定的に違う。まあ、これも上記の踏み込んだ知識といえなくはない。

2024年12月27日金曜日

多次元的貧困指数(MPI)

https://www.undp.org/ja/japan
T大G高校の冬季補習の模擬問題の中に、多次元的貧困指数(MPI)の資料読み取り問題があった。このMPIは、HDI(人間開発指数)と同じくUNDP(国連開発計画)が発表しているもので、途上国の貧困の状況を詳しく表すという主旨のものである。

問題としては、MPIの内容を文章化した資料、指数の計算方法、所得カテゴリー(上位中進国・下位中進国・低所得国)にしめる割合を示す円グラフ、横軸に貧困率/縦軸に貧困強度のグラフに、貧困人口を円の面積で示したグラフといった資料を元に読み取る問題である。よって、MPI自体を知らなくても解けるようになっている。

とはいえ、開発経済学を長年学んできた私にとって、MPIという新しい概念がすでに登場していたことに衝撃を受けた。まさに不勉強である。MPIは、multidimensiomal poverty indexの略である。当然ながら、少し調べてみた。教育・健康と生活水準の三分野が指数の元になる点で、HDIと似ているがより貧困の詳細に迫る内容になっている。興味深いのは、上記画像にあるように、生活水準の指標で、電力の供給がない、下水がないまたは他の世帯と共用、安全な飲料水がないか得るのに往復30分以上かかる、床が泥・砂・糞(これはおそらく牧畜との共存と思われる)、炊事用燃料が糞・木材・木炭、資産としてラジオ・TV/・電話・自転車・冷蔵庫・自動車・トラックを所有していないなどの項目で調査されていることである。問題のグラフを見るに、サブサハラ・アフリカでは、貧困強度、貧困率ともに厳しい。ニジェール、チャド、中央アフリカなどの国名が挙がっていた。SDGsの指標の影響も大きいこのMPI、またゆっくりと調べてみようかと思った次第。

2024年12月26日木曜日

バングラディシュの竜巻

https://www.unicef.or.jp/
kinkyu/bangla/2004_0827.htm
T大G高校の地理の冬季補習を3日間頼まれたので講じている。今日は中日なのだが、某予備校の共通テスト実践問題を解きながら関係項目も交えて解説をしている。受験の地理も、かなり思考を巡らせる必要がある問題ばかりである。一応、プロとしては大した準備(解答を見て正解を確認するくらい)もせずに対応ができる。今回も意欲も高い生徒諸君ばかりなので、楽しくやらせてもらっている。

とはいえ、私はソフィスト(無知の無知の意)ではないので、意外な発見というか新たな学びをすることが度々ある。災害については、新指導要領で地理で教えることになっており、必出の問題なのであるが、今まではあまり教えていない内容である。

今日、解説した表問題で、災害の種類(水害・地震・火山・地すべり・竜巻)と4カ国の数値(1950年~2006年の死者100以上の発生件数)のものがあった。4カ国(アメリカ、中国、バングラディシュ、フィリピン)は、すでに明かされており、それぞれの数値からアメリカに該当するものを選べというわけだ。

ここでは、何よりまず竜巻に注目するべきである。竜巻とくれば、OZの魔法使いではないが、アメリカである。しかし、7回と8回というふうに、2カ国が表に数値が書かれている。他の2カ国は0なので、この時点で絞られる。で、2カ国を対比すると、地震・火山が、0・0と2・1に分かれる。2・1の方がアメリカだとわかるわけだ。西海岸には、ずれるプレート(サン・アンドレアス断層)があり、地震が多いし、ロッキー山脈は新期造山帯でイエローストーン国立公園などは、世界最大のカルデラであるからだ。

こういう知識と類推的思考が正解を呼び寄せるわけだが、もうひとつの竜巻が多い国とはどこか、気になった。それがバングラディシュなのである。世界でも最大クラスの竜巻ベストテンというHPでは、1989年の死者1300人を出したダルテォプーサルトゥリアの竜巻が第1位、さらに3位・4位・6位・8位と5つもランクインしていた。https://zatsugaku-mystery.com/strongest-tornado/

これは知らなかった。大きな発見であった。ちなみに北米やオーストラリア、ロシアなどの大陸性気候のところが起こりやすいそうだ。

2024年9月5日木曜日

共通テストの地理問題 考

少しわけあって、共通テストの地理の問題(最新でも旧課程なので地理B)を見てみた。相変わらず、じっくりと資料やグラフ、地図などを見て、的確に答えなければならない。昔の知識で解答できる瞬殺問題などほとんど見られない。ますます生徒の負担は増加しているように思う。(画像は拡大可能)

上記の問題などは面白い問題だと思う。このグラフを見て、ドイツの製造業はどれかを解答する問題。実はそんなに難しくはない。ベトナムは製造業が急激に伸びているとはいえ、そんなに人口一人当たりの付加価値額は多くないので、①。そもそも製造業の割合が高くさらに伸びている中国が②、唯一下がっているのがイギリスで④。これは、金融業が主力となっているからである。製造業の割合が微減している③がドイツになる。こういう各国の微妙な状況を把握していないと”当てもん”にってしまう。
この問題は、アメリカの4都市(シアトル・ミネアポリス・ロス・マイアミ)の家庭で使用されている言語の割合(=民族構成比)を示しているグラフから、シアトルのグラフを答える問題。まず、スペイン語に注目である。マイアミは、キューバ系移民が多いし、ロスはメキシコ系が多い。これにアジア・太平洋系を加味すると、④がマイアミ、③がロスとなる。さて、シアトルとミネアポリスとの判断材料だが、ここでもアジア・太平洋系が多い②が、西海岸のシアトル。ミネソタ州という五大湖周辺の内陸に位置するミネアポリスとの差はここにある。本編では、全米地図に各都市の位置が示してあるので、比較的容易だと思われる。

この2問題などは、准・瞬殺問題だと思う。とはいえ、かなりじっくり検討しなければならない問題が目白押しであった。…やれやれである。

2024年3月7日木曜日

「公共」学年末考査のこと

https://www.management-consultant.info/?p=10935
2年生の学年末考査の範囲は、「公共」における日本思想史+仏教と儒家に設定した。教科書ではかなりページ数は少ない。だが、仏教の縁起や大乗仏教の哲学がわからないと平安・鎌倉仏教がわからない。これらをベースに西田哲学と理解させるいう流れと、儒家の基本を教えた上で、朱子学・陽明学・古学の流れ、そして朱子学から派生した水戸学という流れを説き、国学の流れを挟んで、さらに水戸学から派生した尊皇攘夷思想を基盤にして、尊王と攘夷の思想がどう発展したかを説いた。尊王思想のほうは、岩倉使節団の発見である新政府を保証するキリスト教会の日本的代替としての天皇制の宗教化、その元での恩寵としての自由民権運動、さらに反天皇教としての社会主義や無政府主義を説き、攘夷のほうは、幕末の海防論から蘭学、薩長の攘夷失敗から生じた欧米留学と明六社などの欧米寄りの外交論、一方で大アジア主義などを、かなりメタな視点から論じた。これにキリスト者の流れと和辻哲郎と、柳田國男らの民俗学(=新国学)を加えて締めたのだった。

受験科目故に駆け足でやった3年生の倫理から見れば、それ以上の全力疾走である。「公共」は、倫理もしくは政経と合わさって共通テストの科目となる。倫理を選択する生徒には、そのエキスを、政経を選択する生徒には十分な学びを、私大組には教養として十分な知識を与えたつもりである。
余談になるが、最後の記述問題では、最も印象に残った日本の思想家を問うた。およそ60%位の生徒が和辻哲郎の間柄的存在を挙げていた。自分の経験と照らし合わせても妙に納得したと書いていた。学園は文武両道で、部活に頑張っている生徒が多いので、よけいに理解しやすかったのではないかと思う。

ところで、新カリキュラムに移行している2年生から、考査の試験内容の中で、思考性を問う問題と知識を問う問題でのそれぞれの点数の成績記録が求められる。この1年間、生徒には授業では伏せてきた文章や資料をもとに応用問題として問うたり、理解度を求めて深い設問をしたりしてきた。私のように非デジタルの採点をする場合、かなりややこしい。思考性を教育目標として文科省が掲げることに文句はないのだが、現場ではそれなりに大変である。

2024年1月14日日曜日

共通テスト2024 政経

政経の問題も、思考力を問う問題がかなり増加しており、数値を計算する問題も増加してきた。とりあえず、経済の問題から1つ感想を記しておきたい。国内の生鮮野菜の需要曲線が、輸入冷凍野菜の解禁によって、どう変化するかという問いである。そんなに難しい問題ではないと思う。正解は②である。まず、問題文に「生鮮野菜の価格が高いほど冷凍野菜を好んで購入する。」とあるので、③と④は省かれる。生鮮野菜は、冷凍野菜の安さに引きずられていくし、(以前の需要曲線は便宜上45度になってはいるが)生活必需品故にその角度は鈍角になるはずだ。ちなみに、この問題は、倫理政経の試験では省かれている。これから、さらにこういう問題が増えるんだろうなあ。

共通テスト2024 倫理

共通テストの倫理の問題が明らかになったので、今年も講評というとおこがましいが、感想を記しておきたいと思う。まず、全体的には、細かな問題が多く、また選択肢も非常に微妙なものも多い。要するにいやらしい問題が多い。

今年の倫理はこれまで以上に授業のスピードをあげつつ、多くの思想家をやったので、ロールズやマッキンタイヤー、レヴィナスなどの問題にもなんとか対応できるだろうと思う。やっぱりというか今年も倫理政経では省かれていたが、西田幾多郎が出題された。ドイツ観念論のシェリングは、カントからヘーゲルの流れの中でしか説明していない。現場から見ると、どこまで対応せい、と言うのかと感じてしまう。倫理のカリキュラムとして4時間くれるなら別だが…。本当に教科書に準拠した問題なのだろうかと思う次第。

気になった問題はたくさんあるのだが、2題だけ挙げてみる。上記画像は、レヴィナスの問題。正解は①。レヴィナスのいう「他者」は神である。それは生徒たちも理解していると思うが、③と間違いやすい。「異質なもの」という表現に気づいて①を選んでくれていれば、と思う。ちなみに倫理政経の問題では省かれている。
アマルティア=センの問題。正誤を問う問題だが、アが正だというのはわかりやすい。イは実に微妙な表現になっている。開発経済学的に、途上国の貧困は、特にアフリカなどでは農業が主因でこの文章をさらっと読めば正だと思うはずだ。ただし、よくよく問題文を読むと「飢饉に苦しむのは」とある。センはインド人の経済学者であり、インドにおける飢餓は、気候面が主因である。さらにいやらしいのは、最後に「一因」という表現があることで迷いを増幅させる。結局、誤であるわけだが、このような問題が高校生に適切なのだろうか、と現場の人間は思うのである。こちらは倫理政経の問題にも入っている。

2024年1月12日金曜日

オリジナル倫理模擬問題2~5



いよいよ明日は共通テストである。毎年のことだが、社会から始まる。文系の生徒は、9:30~11:40という時間帯で、地歴と公民の2教科受験の生徒がほとんど。だいぶ前に授業で演習したオリジナルの問題をエントリーしたが、残りの4題(2・4と5の後半は政経)もエントリーしておくことにした。いずれもかなり難解。もし、実際の問題と重なったらお慰みだが、まあありえないと思う。(笑)教え子たちの奮闘を願って、明日は祈りの日となる。

2023年12月9日土曜日

採点地獄 後半戦

昔から、定期考査試験を作ることは嫌いではない。生徒の学力に合わせて、それなりに凝った問題を作ることが多い。今回の3年生は、倫理分野の様々な世界の諸問題についてSDGsを中心に講じた。SDGsを語るためには、その前のMDGsについても語り、対比することが重要だと思うし、17のゴールだけでなく、それぞれの重要なターゲットにも触れたいところである。

学園の生徒は優秀なので、今回は、上記画像のような問題を作った。MDGsとSDGsの項目別の対比表で、これに関係するSDGsのゴール名を、英文で示した。普通、ゴール1は「貧困をなくそう」だが、英文では、”End poverty in all its forms every where”である。17のゴールを英文で示し、ダミーの英文も2つ入れて、19の英文を上記のA~Qに入れ込む問題だ。バラバラにたとえ正解でも入れられると採点時に大変なので、書かれている1~19の英文を番号順に並べてもらうようにした。それでも採点しようとして、最初は混乱して間違うこともしばしばだった。やがて、だんだん慣れてきて、なんとか無事に終了した。実に肩がこったのだった。ターゲットも英文で出題したが、こっちは日本語の事例と問題文を同数にしたので出来はかなりよかった。実は、この英語問題、早めに生徒に告知していたし、英語の先生にも意見を聞いた。SDGsは英語の長文問題などでよく出題されるそうだ。

2023年11月26日日曜日

オリジナル倫理模擬問題1

倫理の学習範囲を終えて、共通テスト受験生徒のために、オリジナルの模擬問題を作成した。倫理については、キリスト教+西洋哲学と、日本思想の2枚、政経は、政治分野と経済分野の2枚。計4枚。難関大は倫理政経なので、全4回。倫理・政経何方か選択する生徒は該当科目だけ、私大受験に変えた生徒には、世界史・日本史選択に関係のある倫理を受験するように伝えた。それぞれ20問で、15分くらいで解答し、残りの時間で解説という段取り。今日までに、倫理と政経を1回ずつ行い、明日はまた倫理。記録として、すでに授業が終わった分からエントリーしていこうかと思っている。

かなり難問であるが、7割くらい正解の生徒もいる。こういう生徒は、おそらく本番でも9割いけるのではないかと思う。ただ、公民分野は、私大入試とリンクしていないので、対策が遅れがちである。結局は生徒一人ひとりの努力次第というところかと思う。

2023年11月4日土曜日

国際法は無力なのか?

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2021/html/chapter4_02_06.html
ある大学の小論文の過去問の指導を依頼された。「国際法の無力」というのが主旨である。「大国と小国の力の差が歴然としており、国際社会は勝てば官軍、法は無力。」「国際法は国家、とくに大国の行動を規制する法としての力を持たない。」「国際法が機能するのは、経済・社会・文化に関わる分野で国家の安全保障にかかわるハイポリティクスの世界では意味をなさい。」といった主張が広く浸透している。しかし、国際法は、どの国の言葉でも「法」と呼ばれて、2世紀以上法の一種としてあつかわれてきた。がしかし強制力がある「国内法」とは明らかな相違がある。

「国際法は国際政治上の国家の道具」というシニカルな概念がある。国際法はたしかに国家の正当な道具として機能するが、諸国が国際法を完全に国際政治の一部と考えてきたわけではなく、しばしば破られてきた…という具合に課題文は続いていく。この過去問を紹介するというのが今日のエントリーの目的ではない。このシニカルな概念こそ、現在の世界情勢そのもだと思うからである。

ハマスとイスラエルの問題は、まさに道具として使われているのが明らかだ。ハマスが先に攻撃をし民間人を傷つけた、人質に取った、とイスラエル政府、アメリカ、イギリスなど西側は国際法を持ち出す。ハマス側からすれば、ガザという強制収容所に入れられ、ジェノサイドが行われようとしていると、それぞれ国際法の民間人保護を都合よく使っている。情報が入り乱れ、フェイクやプロパガンダも含まれているだろうし、未だ私はどちらが正義だと主張するつもりはない。

ロシアとウクライナの問題も同様である。ロシアが先に攻撃したということになっているが、2014年の東ウクライナの紛争はウクライナが主導したように思える。かなり複雑な状況であり、国際法は道具として使われているという概念は、かなり真実に近い。

先日、アメリカの某上院議員が、イスラエルの空爆を支持し、民間人の犠牲云々が論議の的になっていることをTV番組で批判した。その理由が凄い。WWⅡでは、ドイツや日本の(民間人を的として)都市を無差別爆撃したではないか、あれと一緒だという論である。この論で行けば、連合国が行ったニュルンベルグ裁判も東京裁判も完全な茶番であると言っているのと同じである。(まあ、どう考えても東京裁判は茶番なのだが…。)これら全てが道具だと自分から認めたような発言で、まあ不愉快である。(この情報のコンテンツのURLを探したけれど出てこない。消された可能性大。)

この過去問では、国際法が国際世論の形成に役立つことを主張している。これは私も同意するが、しかしながら、ウィグルの問題はあきらかな国際法違反でありながらも、ウィグルを救おうとする勢力が小さすぎて完全に見放されている。ウクライナ紛争ではロシアへの制裁は、西側諸国だけで、アフリカやラテンメリカ、アジアの中進国や途上国、そしてイスラム圏は制裁に加担していない。国際世論は2つに割れている。今回のイスラエルの問題が、国際世論でどう動くかは、まだ未知数だが、どうもイスラエルに分が悪そうだ。どんどんヒール(悪役)化しているように思われる。

そんなことを考えながら、小論文の批評(私は社会科の教師なので社会科学的な内容についての批評を行うが、論文指導は、やはり国語の先生のほうがはるかに上手い。)をしていたのだった。ちなみに今日の画像は、オランダのハーグにある国際司法裁判所。問題を抱えた2国の双方が認めなければ、裁判は始まらないという、名前だけ立派な裁判所である。こんなところにも国際法の無力さ、国家の道具という面が現れている。

2023年11月1日水曜日

11月1日 今年もサクラサク

https://www.labnavi.info/event/210209/
11月1日は、有名私大の自己推薦入試の合格発表が多い日で、昨年も東京の超難関私大・K大にH君が合格した。そのH君の生徒会の後輩故に私に指導依頼があり、1年間関わってきたNさんも今日、サクラが咲いた。実に嬉しい。

今回は、かなりドラマチックな展開で、私の教員生活の中でも最大限の激励をさせてもらった。ただ単に頑張れというのは簡単である。今回は、心から同苦しながらの大激励・面接指導・小論文指導となった。2時間近くの指導が終わって、笑顔に戻って帰路についたNさんを見て、勝ったと確信したのだった。もちろん、当日は祈りに祈った…。

私は今日休みだったので、Nさんはメールをくれた。「1番先に報告させていただきます。」とあった。うん、ホント、教師冥利に尽きる。ありがとう。今日はゆっくりおやすみ。