2026年5月31日日曜日

書評 吉村昭 『海の祭礼』Ⅶ

吉村昭 『海の祭礼』の書評、最終回。この後、全く妥協しないハリスが来て、幕府は大いに手を焼く。日米修好通商条約が結ばれる。この裏にも英仏が清と不平等な天津条約を結んだという情報を伝え、英仏は軍事力を背景に過酷な条約を日本と結ぶだろう、よってアメリカと早く条約を結ぶべきだ、という恫喝をした。とはいえ、この条約も不平等条約であった。

以後、幕府は英仏とも通商条約を結んでいくが、各国の思惑が入り乱れ、しかも攘夷運動が激化し、安政の大獄から桜田門外の変、朝廷との確執などまさに開国後の幕府は散々である。

これらの外交交渉の最前線で森山は精励してきた。本書では、森山の姿を描いている。妻子のいる長崎に変えることは許されず、やむをえずまとまった金を送り離別する。周囲から妻帯を勧められ再婚する。生麦事件から薩英戦争の事件にも奔走、外国奉行通弁役頭取として勘定奉行・小栗上野介らと、輸出入関税率改定交渉(天津条約並みに輸入税5%に下げられた)にも関わっていく。

幕府が倒れた後、新政府から仕官を求められたが、森山は応じなかった。弟子の福地源一郎は大蔵省に訳官としてしたが、あまりに濃い15年間で疲れ果てていた。狭い庭を見て過ごしていた。すでに50歳になっていた。明治4年冬に風をひき翌年、ボロボロになって死去した。

ところで、森山に英語を教えたもうひとりの主人公・ラナルド・マクドナルドは、日本を離れた後、香港からシンガポールへ行き、イギリス船の船員となったがインド沖で難破、その後オーストラリアで金鉱掘りに従事、ヨーロッパを回って、アメリカに戻った。すでに父は亡くなっており、牧場、商店、運送業を経営したが新しい事業に失敗し、転々と職業をかえ、故郷のコロンビア川流域に定住し、明治27年に姪の家で病死した。別れの言葉は「ソイナラ(さようなら)」であったという。日本での覚書は彼の死後に出版された。

…森山の壮絶な15年間を思うと、ボロボロになるのもよくわかる。私自身、教師生活を46年間務めてきた。森山のような国事に関わるようなプレッシャーとは比較にならないが、「精励」という語彙があてはまると思っている。さて、教師をやめたら、森山のようにボロボロになるかもしれない。その兆候はすでにある。(笑)

2026年5月30日土曜日

書評 吉村昭 『海の祭礼』Ⅵ

https://mag.japaaan.com/archives/217854
吉村昭の『海の祭礼』を読み終えた。このころの日本の外交はまさに世界情勢に振り回されていた、といっていい話。

ペリーの始めの来航後、かのシーボルトが国書作成に協力、ロシアのプーチャチン(画像参照)が長崎に来る。ご丁寧に各艦船は「おろしあ国」という旗がかかげられていた。これもシーボルトの指示。国書が江戸に送られ、長崎に戻るのに時間がかかり、苛立って長崎を出港、江戸に向かったかに思えたが、プーチャンは上海へ向かっていた。クリミヤ戦争で英仏との開戦を危惧して情報収集をしていた。再び戻ってきたが、回答に不満で、条約締結を求めたうえで去った。

ペリーはペリーで来日の予定を早めている。アメリカ本国でホイッグ党のフィルモアから民主党のピアスに大統領が代わり、ペリーの行動が抑制される可能性、さらには英仏露の妨害を危惧してのことであった。

イギリスは、フェートン号事件(ナポレオンによってオランダはフランスに占領され、国王はイギリスに亡命、国王の依頼を受けオランダの植民地をフランスから奪還する政策を背景に長崎に来航し、オランダ商館員を拉致した事件。鎖国時の日本の国威を辱めたとして、長崎奉行、警備担当の佐賀藩家老らが自刃した。)以来、強い憎悪があったのだが、友好的なスターリング艦隊がやってきた。その理由は、クリミヤ戦争でロシア感染を拿捕するために、英仏の艦船が入港できる港を確保するためだった。長崎奉行水野は、「薪・水・食糧その他の必需品の補給と船の修理のためなら希望に応じるが、戦闘行為のためなら許可できない。日本は世界のいずれの国とも敵対関係にない故戦火にさらされる要求は受けない。日本の港内近海での交戦はゆるさない。戦争目的以外の入港時は日本の国法を必ず守ること」と応じた。スターリングはこの回答を全て受け入れた。これにより長崎・函館の二港の開港を布告(=日英約定)したのである。イギリスは通商には全くと言っていいほど淡白だった。

このイギリス艦隊が長崎を去った翌日に函館にプーチャチンが来る。下田で交渉という時に地震(M8.4)が起こり、会談は中断、ロシアのディアナ号も津波で座礁・大破した。和親条約を結べたが、帰る船がない。優れた船大工を集め、ロシア人設計者と森山ら通詞のもと新たに洋船の建造することになる。意外と、この頃の日露関係は悪くない。プーチャチンは大感謝して、ディアナ号に残された様々な品を関係者に贈っている。

この後、安政に年号が変わり、オランダ、フランスと和親条約を締結する。本書の主人公的存在である通詞の森山もこれらの交渉に深く関わり、蕃薯調書御用(勝麟太郎も入っている)に任ぜられ、官に登用された故に、栄之助から多吉郎と名を改めた。

2026年5月28日木曜日

良かれ悪しかれの第3戦

https://full-count.jp/2026/05/28/post1968005/
ドジャーズは、今日もロッキースにスイープして、西地区の首位として他チームを4.5差と大きく引き離した。大谷投手が、またもやリアル二刀流で先頭打者HRを打った。投手としては、6回無安打で自責点1、まだ規定投球回には足りないが、0.84という凄い数字を維持している。マンシーが3塁に復帰してくれたし、多くの若手メンバーも含めて打線も悪くないし、ブルペンも無失点で抑えたのが、良かれの部分。

しかし、テオヘル選手が怪我で離脱した。これが悪しかれの部分。なんとヘルナンデス2人が怪我。しかもキケは左腹斜筋断裂だという。復活して2試合で打率10割のキケなのに…。テオヘルの怪我が大したことがないことを祈るのみ。

しかし、MLBの過密日程、選手を苦しめているような気がしてならない。

2026年5月27日水曜日

良かれ悪しかれの第2戦

https://www.chunichi.co.jp/article/1257483
ドジャーズにとって、今日のロッキーズ第2戦は、様々な意味で記憶に残る試合となった。まずは、4番に下げられた(?)我が愛するベッツ選手が、HRを2本も打った(2ラン+3ラン)のである。ベッツ選手に牽引され、15点も挙げた。我がキケ選手も1号ソロ、さらに2塁打で、昨日から4打数4安打の打率10割。パヘス選手もスミス選手もHRを打った。凄い。

しかし、大谷選手が右手首に死球を受け、出塁後も爆走して得点。その後ベンチに下がった。明日登板予定なのにである…。本人は明日も二刀流をしたがっているらしいのだが…。心配である。無理はしてほしくない。さらに、痛いのが、10割打者のキケが左脇腹痛で、故障者リストに戻ることになったのである。せっかく戻ってきたのに、残念すぎる。

良いことも悪いこともドラマがいっぱい詰まった試合であったのだ。

2026年5月26日火曜日

キケの復帰とその活躍を祝う

https://news.yahoo.co.jp/articles/f7bbf272ee4d14e68ca49d2496b2f3b88a32130d
ついにキケが帰ってきた。マンシーが死球で離脱した3塁を守り、2打数2安打1打点の活躍を見せた。やっぱり、キケは持っている。(笑)ロッキーズとの本拠地第1戦は、またまた逆転で5-3で勝利した。嬉しい嬉しいニュースだ。

マンシーの死球離脱は心配だが、骨には異常がないようだし、ベストメンバー、残るはエドマンの復帰のみとなった。一方、ブルペン陣の無失点記録は途切れてしまった。とはいえソロHRの1点だけ。大谷選手の連続出塁記録同様、またチャレンジしていってほしいものだ。

2026年5月25日月曜日

対ブリュワーズ戦 勝ち越し

https://www.youtube.com/channel/UCSDobaWqvIttZUa1xXi4sRQ
ミルウォーキー・ブリュワーズとの3連戦は、初戦をロブレスキ投手の不調で落としたものの、第2戦のササミローキ投手と第3戦の山本由伸投手の踏ん張りと、打線の援護もあっていずれも逆転で勝ち越した。第2戦では、テオヘル選手、第3戦ではタッカー選手とパヘス選手の巧打、さらに38イニング無失点とリリーフ陣も頑張ってくれている。

特にタナスコ(タナー・スコット)投手やトライネン投手という名前を聞くと、今だに昨シーズンの打たれまくっていたイメージが強くて、ヤバい気がしてしまう。しかし、38イニング無失点というのは凄い。このままの調子で行って欲しいものだ。

2026年5月24日日曜日

書評 吉村昭 『海の祭礼』Ⅴ

https://rintaro95.hateblo.jp/entry/hayasidaigakunokami
吉村昭 『海の祭礼』の書評エントリー第5回目である。日米和親条約のまさに分岐点。アメリカとの通商問題を拒否する場面である。

林大学頭の回答。「たしかに交易は、国に利益をあたえるものでありましょう。しかし、元来我が国は、自国に算出する物のみによって十分に足り、外国から物品を運び入れなくとも、少しも事欠くことはありませぬ。それ故、交易はいたさぬ定めになっており、この国法をただちに廃することは到底できませぬ。使節がわが国に参られたお役目は、人命を重んじ船を安じて航海させることにあり、それらの儀が、ここに解決いたしたものでありまする故、御役目は十二分に果たせられたはずと存ずる。交易の儀は、利益云々のことであり、人命とは縁なきこと。これで御談合はすべて相済み申したのではないか、と存ずる。」

森山は通訳しながらペリーの反応を恐れた。彼は笑ったことなどなく、いつも不機嫌で固い表情をしている。周囲の士官も彼を敬遠している節が見られる。林大学頭の回答の通訳が終わると、そのまま口をつぐみ、何の感情も示さず、思案するように眼を瞬いていた。艦隊を江戸の至近距離まで進め、直接阿部正弘らと談判しようとしているのか。重苦しい沈黙が広がっていた。

ペリーはおもむろに口をひらいた。「貴殿の言われたことには、一理あると認める。たしかに私の使命の主意は、これまで述べた通り人命を尊重し、船舶の航海を安全にすることにある。貿易は、国相互に利益をもたらすが、人命には関係ないことである。貿易問題を要求を強いることは、撤回してもよい。」

日本側に大きな安堵が広がったのは言うまでもないが、随行の士官たちも安堵した。ペリーは、アメリカが中国と貿易を開始するため締結した通商条約の条文(=公文書)をポケットをから逡巡を重ねた後に内ポケットから出した。「必要はなくなったが、持参したので一応見ていただく。」として林に渡した。「一覧することであれば。」と受領した。

その後アメリカ側に応接所の外にいる士官・下士官にも食事を取らせた。有名な蒸気機関車の模型などの贈り物が送られたのは、さらにその後である。

…日米和親条約はこうして結ばれた。林大学頭の通商問題の回答とペリーの「一理ある。」という回答。この辺は、受験の日本史ではあまり深く語られないであろうと思う。それぞれの国家を背負った、見事な論議。あえて当時の言葉をそのまま使うことで再現してみた。海外の読者にはどういう翻訳になるかはわからないが…。

2026年5月23日土曜日

書評 吉村昭 『海の祭礼』Ⅳ

https://mag.japaaan.com/archives/203241
吉村昭 『海の祭礼』の書評第4回。日米和親条約の話を中心にエントリー。第1回目の来航時、国書を手渡してから、艦隊は江戸に向かい威嚇的に、沿岸の1kmほどまで近づく。ところで、第1回目の来航時に、日本人は鎖国によって西欧の知識は皆無だと艦隊首脳は想像していた。最も接触の多かった奉行所与力の香山、通詞の堀に大きな地球儀を持ち出して見せたが、彼らは少しも驚かず、ワシントンやニューヨークの位置を示し、大陸横断鉄道建設のことも知っていたし、機関車と蒸気船のそれぞれの蒸気機関の大きさの相違やパナマ運河の工事状況について訊ねたとされている。オランダや中国経由の書物で、当時の有識者はかなり情報を得ていたのである。またジョン万次郎によってアメリカの情報はもたらされていた。万次郎は琉球に上陸したことが幸いした。薩摩の島津斉彬は50日間も彼から事情聴取を行い、その後、幕府の命令で長崎に送られ、ペリー来航に接しては、幕府の役人となって江戸に控えていたのである。

さて、国書には、3つの要求が記されていた。要約すると、1:アメリカの捕鯨船や中国に向かう商船が荒天で難破することもあり、その折には船員を救出し、財物を保護して引き取りの船が来るまで温かく遇して欲しい。2:石炭、食糧、水を補給しそれに適した港を解放して欲しい。3:国際情勢から見て、日本がオランダ・中国以外の国と貿易を禁じているのは不当である。5年または10年間試験的におこない、利益がないことがあきらかになった折には中止してもよい。というものであった。

第2回目の来航に際して、1年間、国論はなかなかまとまらなかった。筆頭老中の阿部正弘はアメリカ側の要求をおだやかな態度で拒否して時間を稼ぎ、海防を強化する方針を示した。来航直前、海防掛参与の水戸の徳川斉昭と阿部は、難破船員の取り扱いと補給の要求を入れるはやむを得ないと判断した。しかし、通商問題は幕府の基本政策に関わるのであくまで反対するとした。2度目の来航時、羽田沖までペリー艦隊は侵入した。結局横浜村で応接することになり、本書の主人公の1人である森山は、応接掛の林大学頭(幕府の御用学である朱子学者で林家の棟梁)のオランダ語と英語の通詞として再登場する。

林大学頭は、(前述の国書の要求について)「第1・第2については承諾する。しかし第3の交易については、国法でかたく禁じられているので承諾できない」。と最初から述べた。ペリーは、これに対する回答の前に、「突然ではあるがご意見を伺いたい。我が艦隊の1人の乗組員(陸戦隊員)が病死した。他国なら自由に埋葬できるが、貴国は特別に国法が厳しい。どの場所に埋葬すべきか、一応お聞きしたい。」儒学者の林は、「たとえ軽輩の者でも人命に重い軽いはありませぬ。浦賀の寺に仮埋葬すのがよかろうと存じます。」と答えた。ペリーは「浦賀まで戻るのはわずらわしい。今回の話し合いがつくまで1年でも2年でも留まるつもりであり、さらに死人がでるかもしれぬ。」といって顔をしかめた。林は自分たちの決断力をさぐる意図ありと推測し、「この横浜村の寺といたしましょう。後に改葬することがあるかもしれませぬが。」ときっぱり言った。ペリーは「非常に嬉しい。」と感謝の意を述べた。その後、「アメリカは、第一に人命を重んずることを基本としている、自国民は当然、他国及び国交のない国民も、漂流で難儀しているのを見れば力を尽くして救い手厚く扱うことを常としている。」「しかし、貴国は漂流したものを罪人同様に扱い、漂流していた自国民の帰国も見捨てている。非常に冷酷な国だ。」と述べた。

「我が国は、このままでは、日本近海で漂流民の多くの国民の生命を失う。貴国は人類の敵というレッテルを貼られるだろう。人類の敵に対しては国力を尽くして戦争し雌雄を決する覚悟である。」これに対し、林大学頭は、淡々と「我が国は決して仁慈なき国ではない。300年近く泰平が続いている。人命を軽んじていないからこそである。」(本書では、粗野なラゴタ号乗組員のことにも多くを割いている。エントリーしなかったが、脱走したり、ハワイ人の仲間を絞殺したりと、とんでもない連中であった。結局長崎からオランダ船で、マクドナルド氏と共に出国した。)ペリーもこの件(こちらは日本の悪評)を知っていたし、林大学頭も(こちらはアメリカ人の悪評)知っていた。

「もっとも、漂流民の中には、我が国の法を犯して逃走をくりかえすなどの狼藉に及び、やむなく拘禁したことはあります。それらの者どもが、貴国に帰り、あたかも罪人の如く扱われたなどと言いふらし誤った伝聞として広がったものであると推測いたします。我が国の国情につきお考えいただければ、疑念もたちまち氷解すると存じます。」と、ゆるぎない厳しさで語った。ペリーは「あなたの言われる如き国柄で、今後、薪、水、食糧、石炭等を与え、また漂流民を温かく扱うのであれば、これ以上言うことはない。今日以後、必ずそれを守っていただきたい。」と静かに言った。林は「承知つかまつった。」と答え、第1・第2の要求事項には諒解点に達した。問題はここからである。ペリーは強い口調で通商問題の承諾を迫った。…つづく。

2026年5月22日金曜日

書評 吉村昭 『海の祭礼』Ⅲ

https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00915/contents/0003.htm
吉村昭 の『海の祭礼』の書評第3回目。 本書の主人公はマクドナルド氏ではなく、森山栄之助という長崎の通詞であるような気がするが、もっと大きな鎖国から開国への流れが真の主人公のようである。

私は幕末維新史には、それなりの見識があると思っていたのだが、この鎖国から開国への流れ、特にペリー来航時の幕府のやり取りを本書で詳しく知ることが出来た。ペリーの強行姿勢は言わずもがななのだが、ペリーは、琉球や小笠原諸島へも触手を伸ばしていたこともわかった。この時点で、WWⅡ後の施政化政策の布石があったのである。当時は捕鯨のためであったが、アメリカの対日本外交の連続性に驚く。

琉球については、ペリーは日本側が捕鯨船の入れる良港を拒否した場合、一歩退いて琉球を占領すべきと考えていた。薩摩藩の圧政から解放すると約束すれば保護下における、また琉球を根拠地として日本との交渉を行えば、日本は屈服すると考えたのである。実際、那覇港に入り、琉球の執政が歓迎の辞を述べたので、中国語の通訳を伴い王宮で答礼した。アメリカは、琉球と友好関係をもつことを望むと告げた。

さらに、艦隊は小笠原諸島に向かった。父島の二見港に入った。小笠原は日本人が発見し開拓したがその後放棄した歴史があり、5人の白人(ペリー来航時は、マサチューセッツ生のセイヴォリのみが残っていた。)がハワイの住人を連れて移住していた。アメリカ海軍の貯炭所用地として二見港に面した165エーカーの土地を買収し、セイヴォリを管理人に任じている。

そして、この後日本に向かうのであるが、長崎ではなく江戸湾を目指す。長崎と江戸は遠い。日本政府の返答が当然遅れる。ペリーはそれを嫌ったのである。

2026年5月21日木曜日

二刀流 先頭打者初球HR

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2026/05/21/gazo/20260521s10001007138000p.html
ドジャーズのことを4日ぶりにエントリーしたい。まずエンゼルスとの三連戦は、大谷選手を含む打線爆発でスイープした。しかし、宿敵パドレスとの第1戦は山本由伸投手が、HRを1本浴びただけで敗戦投手になってしまった。(全く山本投手の登板日は援護がない…。)打線は、何度かチャンスがあったものの、あと一本がでず、実に悔しい試合であった。第2戦は、フリーマンの2本のHRと9回の相手のミスをついて決勝点を挙げる泥臭い勝利で、西地区首位を奪還した。大谷選手は、この数日間打撃が良くなり、いずれの試合でもリードオフマンとしていい仕事をしていた。

そして今日の第3戦は、久しぶりにリアル二刀流で、パドレスに対した。今日もハムショー氏のLIVEを聞いていたのだが、始まってすぐ大笑いした。先頭打者HR、それも初球である。(画像参照)後で何度もVTRを見たが、ホント凄いな。歴史的である。その後、3回までパーフェクトピッチング。ただ、パドレスは執拗にファールを打って球数を増やしてきた。結局5回の大ピンチを凌いで無得点で勝ち投手となったが、規定投球回数には届かず、驚異の防御率0.73は隠れ1位になった。試合は、ブルペン陣が期待に答え、4対0のまま勝利を手にしたのだった。

https://www.youtube.com/watch?v=4-Of0phzN8Y
長かった連戦が終わった。エンゼルスのアナハイム、パドレスのサンディエゴは、ロスから近いが、ドジャーズはこの後、中西部・ウィスコンシンのミルウォーキーに飛ぶ。実に過酷だ。ミルウォーキーは、私の大好きなベッツ選手が最も苦手な土地。ホテルで幽霊を見たかららしいが、ドジャーズ打線の中でここ数日目立っていない彼に最も期待したい。悪霊を打ち負かせ。たのむぞ、ムーキー・ベッツ。

膨大な閲覧者数に驚く。

我がブログの昨日から今朝にかけての閲覧数がとんでもない数字をはじき出していた。7:50現在で79216という、何か月分といったほうがいい数字である。

日本国内の閲覧者ではなく、海外からのアクセスである。特にアメリカから52300ものアクセスがあった。心底驚き、ありがたいと思うとともに、その理由がわからない。なにか特別に閲覧数が増えているエントリーもなく、これまでの10年以上にわたる内容を見ていただいているようだ。とにかくも海外の閲覧者の方々に感謝したい。

追記:日本時間 9:00の統計では、さらに85828という数字になっていた。

2026年5月20日水曜日

書評 吉村昭 『海の祭礼』Ⅱ

file:///C:/Users/11USER/Desktop/kinsei3-macdonald.pdf
吉村昭 の『海の祭礼』の書評第2回目。利尻島では、アイヌの人々が海鼠(ナマコ)の漁を盛んに行っている頃に、ラナルド・マクドナルドが漂流してくる。(画像参照)海鼠…。まるで漢検1級の問題。(笑)

 このマクドナルド氏は、西海岸のオレゴン州の出身。父親がネイティブ・アメリカンと交易していた関係で、友好関係のために、ネイティブ・アメリカンの大酋長の次女であった母親と結婚した。よって肌の色は白くはない。この母は若くして他界した。その後、ネイティブに対して友好から支配を強める時代となる。父親は、ハーフの彼を東海岸やカナダで学ばせる。しかし、差別は厳然としてあった。富を追求する白人の中で銀行員見習いも務めたが、馴染めず、結局船員となる。それに激怒した父の手紙の中に、buckというネイティブへの蔑称が確認されている。彼は、そういう存在だったのである。

船員となったマクドナルドは、カルカッタから胡椒を積み、リバプールへ向かう。しかし船が、南カリフォルニア沖で、船長を中心に積荷を略奪する場面に出くわした。またその後サンフランシスコからアフリカ西海岸に向かう船に乗ったが、不法な奴隷密貿易船であった。イギリス軍艦が臨検に向かってきた時、逃げられないと判断。黒人たちをイギリス線から見えない航側に板を突き出し全員を海中に突き落とした。

ネイティブの血を引くマクドナルドにとってこれらの体験は大きい。そんな時に日本のことを漂流民の存在から知ったのである。

…アイヌの人々、ネイティブ・アメリカンの悲惨さ、また黒人奴隷の悲劇、そして白人の富を追求する姿。本書の冒頭には、これらの差別的・悲劇的な姿が縦糸・横糸のように編み込まれているという感想をもった次第。

2026年5月19日火曜日

書評 吉村昭 『海の祭礼』Ⅰ

https://secure.gyb.co.jp/tourlist/info_Tour.php?link=MPTSRR_sp 
礼文島から利尻島を望む
通勤時に吉村昭 の『海の祭礼』を読んでいる。あと少しで終わり、というところである。吉村昭の歴史小説は、資料を元に念密に書かれている。この小説の最初の舞台は、利尻島である。私は、利尻島に渡ってはいないが、礼文島から、あるいはサロベツ原野から利尻富士を眺めてはその美しさに感動をしている。北海道の観光名所を挙げるとすれば、まずは道北のこの地域を挙げる。(道東もいいのだが…。)

その利尻島に、マクドナルドという青年が漂着するのだが、それを発見し助けたのがアイヌの人々である。読み進めていくと、アイヌの人々が、和人に使われている様子がありありと描かれている。調べてみると、松前藩がアイヌの人々を武力ではなく、交易の独占と商場知行制(米の取れない松前藩では、藩主が家臣に特定の地域におけるアイヌ人との公益独占権を知行=給与として与えた制度)で、経済的に従属させ、不当な搾取や労働を強いる体制を確立していった。この後、家臣が直接公益をせず、商人に経営を任せる場所請負制に移行した。

…アイヌ人への和人の支配については、これまであまり触れる機会がなかったのだが、やはり現在から見ると搾取・差別・支配という問題をはらんでいる。世界史的に見ても時代背景から十分ありえることなのだが、改めて感じるところがあった。

さて、この漂流者保護は、利尻島の場所請負をしている商人から宗谷の松前藩支所へお伺いを立て、さらに松前の本拠地、幕府へと連絡が行く。その報告が利尻島の番人以来、極めて詳細で、この頃すでに、ビューロクラシー(官僚制)が見事に確立していたことに驚かされる。判断は上部にまかせ、下部は念密な報告を行うのである。

…日本の封建主義、特に武士社会の官僚主義能力は、幕末維新を経て、軍事より、(行政や企業の)中間管理職化を促進するということがよくわかる。意外に日本は専制的社会ではなく、上部では特に責任ある役職(様々な奉行など)の持ち回り制や、幕府・あるいは藩内の協議による決定など、民主主義的な要素もあるわけで、世界史的に見ても先進的な資本主義的な発達もあって、実に興味深いところである。

2026年5月17日日曜日

幻のランニングHR

https://full-count.jp/2026/05/17/post1962176/
エンゼルスとのフリーウェイ・シリーズは、今日時点でドジャーズの2連勝である。3連戦が終わってからエントリーするつもりだったのだが、大谷選手が見事に復調して、幻のランニングHR(記録的には3塁打+エラー)が出たので予定変更。(笑)一瞬のスキを見逃さず、前の走者のコール選手を追い抜く勢いで本塁まで駆け抜けた。今日は四球の時も盗塁を決めたし、この後さらに最終打席で二塁打も打っている。本人は、HRにならなかったこと(=個人記録)など歯牙にもけていなかったことが他の選手やスタッフ等によって明かされている。ベッツ選手がこの幻のHRの直後に4号HRを打ってくれたのも嬉しい。昨日の第1戦はブルペンデーで完封に抑えたし、文句なしの展開である。

儒教国家 台湾の危機

https://population-pyramid.net/ja/pp/%E5%8F%B0%E6%B9%BE
台湾は、TSMCを筆頭とした半導体やAI部品で莫大な貿易黒字を挙げている。しかし、共同体の存立が物理的に崩れ落ちている。2025年の台湾の合計特殊出生率は、0.695人。戦争や飢饉のない平時において0.7の壁が破られたのは、人口統計が生まれて以後世界史上で初めてである。これは、国が滅びるほどの数値である。

https://www.youtube.com/watch?v=zU1RKxa5Z_0

台湾の若者にとって住宅価格の上昇が大きな足かせになっている。台北では、所得の66%を住居費として支払っている。貯金どころではない。このような状況では子供を生むというのは贅沢にすぎる状況になる。親の元へ逃げるしかない。25歳から40歳のうち50%が親と同居せざるをえない。カンガルー族と呼ばれている若者の結婚へのハードルは高い。しかも労働時間は世界トップクラスで、サービス残業は当然視されている。若者のアンケートでは、出産を諦める理由の第一位は子供を育てる物理的な時間の不足である。

この巨大な構造的暴力が、若者たちを沈黙の抵抗へと追い込んでいる。国が豊かになるほど庶民の生活は貧しくなるという矛盾。この裏側には、19世紀さながらの家父長的な儒教文化が根強く残っているのが原因である。

女性は特に、夫より3時間多く働き金を稼ぎ、家では儒教的な重圧にさらされながら、家事や育児という2つ目の職場に出勤している。台湾の未婚女性の57%が絶対に子供を産まないと宣言した。これは単なる拒絶ではなく、自分を削除するシステムに対する凄絶な生存闘争である。経済的な不平等と古い慣習が結びつき、致命的な結果で、国家は、この不合理に目を背けている。女性は、妊娠を歓迎されないし、健康診断で職場を離れた際も代行してくれた人に賃金を支払う(=母親への罰金)と言った残酷さも指摘されている。妊娠したら約45000円賃金カットされ、退職圧力がかかる。育児休暇は無給、家族介護休暇も7日のみ、保育インフラも悲惨で、幼稚園や学校は昼まで、公的な保育サービスも午後4時まで。これでは、子供を産めない。

この影響は国防にも及んでおり、徴兵年齢の18歳人口は10万人を割った。志願兵の充足率は79.2%。いくらアメリカから先端兵器を購入してもそれを運用する若い力がない。

2028年、生産年齢人口が全体の2/3を下回る「人口の崖」が現実のものとなる。現在2340万人の対話案の人口は2070年に1500万人に減少し、1.2人の若者が1人の高齢者を支えることになる。これは、現在の合計特殊出生率1.20の日本にとって他人事ではない。

…1学期後半の地理総合の授業では、また世界価値観調査のグラフをもとに授業を進める予定だが、多くの国のカテゴリーの中に、Confucian(=儒教圏)というのがあって、日本・中国・韓国・台湾が含まれる。日本については、このブログでも何度か書いているが、朱子学的な「義」が強調される。(仁は、日本古来から存在し、あえて儒教的である、とはいえない。)中国や韓国は、仁も義も薄れ「礼」しか残っていないように感じる。台湾は、最も儒教の「仁」「義」「礼」が揃っている国かもしれない。しかしながら、日本が、西洋思想の波の中で、縮小させた部分(人権>礼)が、台湾には強く生き残っていて、この女性蔑視・人口問題に直結しているように感じたのだが…。

2026年5月15日金曜日

ジャイアンツ4連戦はイーブン

https://home.kingsoft.jp/news/sports/nikkansports/202605140000366.html?from=homepage_day_rank
ドジャーズの対ジャイアンツ4連戦は、第1・第2戦(ササミローキ投手と山本由伸投手の先発試合)は敗北。あかんなあと思っていたら、昨日の第3戦は大谷選手が投手専任で7回を105球で投げきり、無得点に抑え、打線もベッツ選手の復活のHR(画像参照)などで勝利。今日の第4戦も、スミス選手(大谷選手の休養日でDHで1番を任された)のHRや、テオヘル選手の2塁打の3連発(守備ではランニングHRを演出したが…)などで勝利した。西地区の首位にも返り咲いたのだった。バンザイである。

大谷選手は、投手として防御率0.82と、メジャートップの成績になっている。カーショー氏やランディ・ジョンソン氏といったサイ・ヤング賞を何度も撮ったレジェンドが、大谷投手の今季、そして第3戦の登板を振り返って、現実離れした成績に大賛辞を送っていた。サイ・ヤング賞は、これまで投げた回数などの「量」がまず重視されていたが、「質」を重視するかも知れないと2人は言っっている。私などは素人なのでよくわからないが、大谷選手はさらに進化しているらしい。また、大谷選手本人はインタヴューで、「スミス捕手や野手のおかげ」と決して自分を誇らず、さらに「(打撃成績については)実力不足です。」というコメントを残し、話題になった。大谷選手がそう言うと、MLB全選手は身も蓋もない。(笑)

今日は完全休養日となったが、また明日から古巣・エンゼルスとの戦いになる。やはり期待してしまう。ベッツ選手も今日は休養日だった。2人、いやフリーマン選手もいれてMVPトリオでHRを打って欲しいな。

2026年5月14日木曜日

同志社国際高校の事件考9

https://www.youtube.com/watch?v=ajbfOiLDqCg
同志社国際高校の事件続報である。被害生徒の手紙からわかった信じられない情報である。https://www.youtube.com/watch?v=ajbfOiLDqCg

生々しい事実が書かれている。安全確認もクソもないし、生徒に船を一時操縦させていた事実、スピードが以上に出された様子、波が来た様子、付き添い教員のI・M両名の怠慢・無策。

そして、事故後港での待機中に、『平和丸の船員(こいつは、事故直後にダンプの前に寝転ぶ抗議活動をしている。)が、「船長の特製コーヒーいる?(笑)」「世界で一つだけのコーヒー、飲んだらきっと元気出るよ。」と話しかけてきている。生徒の感想では、飲酒していたか薬物を服用していたかなどはわかりませんが、間違いなく様子がおかしかったです。平和丸の船長も同様で、生徒用のテントに近づき「(不屈の)船長死んじゃった(笑)」と笑いながら話しかけてきました。』とある。

これは、業務上過失致死どころの話ではない。ちなみに、同じチャンネルで明かされているが、沖縄県の弁護士会の会長はこいつらの顧問弁護士らしい。沖縄は、知事も法曹会も狂っている。

是非、このYouTubeチャンネルを御覧いただきたいと思う。

2026年5月13日水曜日

大谷選手の久々のHR

https://full-count.jp/2026/05/13/post1958132/
大谷選手が、久々のHR。第7号ソロを打ってくれた。試合は、山本由伸投手が先発しながらジャイアンツに結局敗けたのだけれど、大谷選手のHRが出たことがただただ嬉しい。ここから巻き返しである。明日は、大谷選手が先発である。

吉村昭 『海の祭礼』

ドジャーズは、ササミ・ローキが先発してそれなりに頑張っていたのだが、ジャイアンツに救援陣が打たれて大敗した。大谷選手もまだ復活できていないようだ。期末試験前の授業の関係で、帰宅時に結果を確認したくらい忙しかったので、見れなかったことが反対に幸いしたように思う。あーあ。今日は山本由伸投手先発である。ベッツも復活したし、みんな頑張ってほしいと思う。

さて、今日のエントリーは、学院の図書館で初めて借りた文庫本の話。吉村昭の『海の祭礼』(文春文庫)である。吉村昭の歴史小説は、念密な調査のうえで書かれているし、実に読みやすい。たくさん並んでいた吉村昭の文庫本から選んだ理由は、後ろ表紙の内容に、ペリー来航の5年前に日本に憧れ、利尻島に上陸したアメリカ人の話とあったからである。彼の英語が、日本人通詞に伝えられ、その後の開国に大きく影響するという話のようだった。やはり幕末維新期の話は面白い。

最初は、利尻島の当時の話から始まる。アイヌの人々が、松前藩の和人の監督下で「海鼠」を取る様子が描かれる。「海鼠」などと漢字表記すると何かと思うが、ナマコのことである。江戸末期のアイヌの人々への支配的な状況は、読んでいて面白いものではない。この感性が物語の進展=主人公の生い立ちとともに重要だということに気づかされていく。さすが吉村昭である。

2026年5月12日火曜日

National Geographic 再び

マレーシアから本帰国する直前に、『Superdry(極度乾燥しなさい)』というイギリスのメーカーのリュックを、3年半のPBTでの自分への褒美として購入した。かなり高価だったが、四国のM高校、兵庫のS学園、そしてOS学院と6年以上使ってきた。

さすがに長く使ってきたのでずいぶんとクタビレてきた。妻が(見窄らしいから)買い替えたらと言ってくれた。妻の指示は重い。(笑)愛着はひとしおなのだが、買い替えることにした。いくつか店を覗いたりしたのだが、高校生と同じような、有名なロゴ入りのデカいリュックを買うのもはばかれた。結局、昔なじみの『National Geographic』系統でいいのがあったのでネットで注文したら今日無事に届いたのだった。M高校後期からH高校時代のカバンは、このブランドで押し通してきたのである。

このリュック、おそらくは中国製である。よってかなり安価である。…もう68歳である。『Superdry(極度乾燥しなさい)』ほど長く使うこともあるまいと思っている。少し寂しい気持ちにもなった。

2026年5月11日月曜日

EUの内実 若者の移住問題

https://x.com/OECDTokyo/status/1739798280962224411
ドジャーズは、ブレーブスに全くいいところなしで連敗してしまった。あーあ。エントリーは中止。今日は、YouTubeで見た興味深い内容についてのエントリーにしたい。

EUの国の中で、若者の移住が進み、国家の危機を迎えている国が多いようだ。地理総合の教材研究として、その内容を残しておきたい。(上記グラフはOECDの受け入れ先のグラフ/EU内の移民の多い国の資料は見つからなかった。)https://www.youtube.com/watch?v=FCXr4b4YZXo

ルーマニアは、EU最大の人口流出国と言われている。首都や東欧のシリコンバレーと呼ばれるクルージュなどは活気に満ちているが、内陸の地方では、見捨てられた村が多い。イタリア・ドイツ・スペインなどへ、若者がより多くの賃金を求めて祖国を捨てているからである。国内とこれらの国の賃金格差は絶望的であるとのこと。

リトアニアもこの40年で人口の1/4を失った。イギリスやドイツ、ノルウェー、アイルランドなどに流出した。

クロアチアは観光が盛んな沿岸部はともかく、内陸部は人口減少が進んでいる。ドイツ、オーストリア、アイルランドに向かっている。

ギリシャは、2008年の経済危機以来、若者の人口流出が起こり、島々では極端な高齢化・少子化が進んでいる。親がドイツやオランダに行き、祖父母が孫の面倒を見るというルーマニア同様の現実がある。

ラトビアもまた移民と過疎の波が、EU加盟後に移動の自由を得た後に起こった。イギリス、ドイツ、アイルランドへ消えた。人口の約1/4がロシア系住民であるというのも社会的分断を呼んでおり若者の背中を押している。

エストニアは、IT先進国として有名であるが、インフレの中、給料が上がらず、フィンランドやスウェーデン、ドイツに向かっている。地方は過疎化が深刻である。ラトビア同様にロシア人との問題もある。

ポルトガルも、賃金の低さから移住が進んでいる。リスボンなどでは海外投資のせいで住宅価格が上がり、ローカル(現地の人々)は追い出されてしまった。イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、ルクセンブルグなどに知的エリートが移り住んでいる。

ポーランドも過去数十年にわたって経済成長をした国だが、イギリス、ドイツ、オランダなどに若者が移っている。物価上昇とそれにおいつかない給料、官僚主義的な政治など閉塞感に満ちている。

ブルカリアは、最も人口が減少している国の1つである。経済成長はしているものの、給与はEU平均を大きく下回っている。ドイツ、オーストリア、あるいはイギリスへの移住が多い。官僚主義と汚職も大きな問題である。

若者が世代ごと移住するということは、大変なことである。労働力が減り、イノベーションが生まれず、活力が失われていく。少子化も進む。地方は疲弊し、急速な高齢化、学校も病院も閉鎖されていく。

…EUの「移動の自由」は、グローバリゼーションの中で、このような結果を生んでいるわけだが、必然的なような気もする。EUに後から参加した東欧諸国は、安価な労働力のサプライチェーンとして投資も進んだのだろうが、若者にはそれが足かせ(安価な労働力に我慢できない)となり、移住が進んだように見える。上記の各国の移民先が気になるところ。GDPからドイツが多いのは当然だが、ルーマニア→イタリア、エストニア→フィンランドなど、それぞれの特徴も出ているように思う。また地方の過疎の農業地帯には、これから先進国の農業ビジネス会社が侵略していくような気がする。それはさておき、これらの国々の存続自体が危ぶまれる。民族や言語の違いを払拭して、統合から合併・併合へと進むのだろうか。

2026年5月10日日曜日

フロイト漫画講座と訳者論文

https://www.amazon.co.jp/%E9%AB%98%E6%A0%A1%E7%94%9F%E3%
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BA%A7-%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%8C-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4900963615
『高校生からのフロイト漫画講座』(コリンヌ・マイエール著・アンヌ・シモン画・岸田秀訳)の最後に訳者の論文「フロイト理論とは何か」があって、なかなか興味深い内容であった。

フロイトの生きた19世紀末のヨーロッパについては、ヴィクトリア時代の最盛期、キリスト教が唯一の普遍宗教でヨーロッパの文明こそが人類唯一の最高の文明であり、それ以外の邪教を信じる民族は下等で不潔で穢れている故に野蛮人であった。この野蛮人に対しキリスト教化し、文明化するのが崇高な使命と責務を負っているつもりであった。

神は死んだ(ニーチェ)、とかでキリスト教の信仰が衰えてからは、神が理性に取って代わられた。ヨーロッパ人だけが理性をもった賢明な人(ホモ・サピエンス)であり、他は無知蒙昧な存在とされ、植民地化が進み、多大な被害を与えたが、加害者のヨーロッパ人自身も被害を免れることはできなかった。

子供はまだ理性を獲得するに至っていないので公教育制度が成立した。(この話は実に興味深い。)大人の社会で精神病とされた人は終身刑のように精神病院に送られた。言うまでもなく、このような「理性人」は現実には存在しない妄想であった。一方、理性に基づいて正しい道徳を制定し、正しい理想の社会を構想し建設できるという妄想を実践しようとした。フランス革命もロシア革命も失敗したのも当然である。

URL同じ
フロイトはユダヤ人である以上、一般のヨーロッパ人とは異なる何らかの思考形式や感性があったに違いない。被差別者には差別者の無意識がよく見える。差別者は往々にしておのれの醜い面を否認し、被差別者に投影するので、差別者の醜い面は被差別者には丸見えになる。特にヨーロッパ人は理性中心主義に反する性欲は強く抑圧されてきた。ユダヤ教ではキリスト教ほど性的禁止はなく、神々しい行為と見られていた面があり、リピドーが理論化されていく。

ここからの内容が俊逸である。明治初期で外人教師が地動説を説いた時、(聖書を知らない)学生たちが別に驚かず平気な顔で聞いていたので驚いたという話があるが、フロイト理論も専門用語をさておいて具体的にどういうことを言っているかと考えれば、日本人にとって別に突飛なことは言っていない。

精神分析は性格の形成における幼年期の重要性を強調するが、日本には「三つ子の魂百まで」という諺がある。フロイトの言う用語を日本語の諺で言うとわかりやすい。「抑圧」は「頭隠して尻隠さず」のこと。「投影」は「下衆の勘ぐり」。「愛憎一如」は「可愛さ余って憎さ百倍」。またフロイトは、宗教は幻想であると説くが「鰯の頭も信心から」。「転移」は「江戸の敵を長崎で討つ」あるいは「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。」「ナルシズム」は、自分の欠点は自分には見えないが他人にはよく見えるので「岡目八目」。「摂取」は他者の特徴を身につけることだが、好ましくない特徴の場合「朱に交われば赤くなる」などになる。フロイトは民衆の知恵を網羅している。体系化し理論化しただけだというのが、訳者の論旨である。

…なるほど、である。まとめると、フロイトは被差別者のユダヤ人(ユダヤ教徒ではない)として、キリスト教の神や理性に翻弄されることがなく、人間の深層に迫ることが出来た。日本人にも同様に、キリスト教の神や理性の呪縛がないので彼の精神分析学を容易に理解することが可能である、ということになる。…ちなみに、本文(上下の画像参照)の最後の最後に、フロイトの名の意味は「喜び」という意味であることが書かれている。この「喜び」とは、神や理性に翻弄されない、呪縛がない(=アンチ・ヨーロッパ)という意味に受け取ってもいいのではないか。

2026年5月9日土曜日

ブレーブスとの初戦 快勝

https://www.youtube.com/watch?v=wnaf2OdH628
現在勝率8割という、今MLBで最も強いアトランタ・ブレーブスとの初戦。ドジャーズは快勝した。相手投手はMLBを代表する名投手であったのだが、まずはテオヘルとタッカーで1点。大谷選手が決勝打となるタイムリー・ヒットで1点。フリーマンがさらにソロHRで1点。これを投手陣と守備陣が頑張って守り抜いたのだった。

ドキドキするピンチの展開もあったが、やはりドジャーズの強さが証明されたいい試合だった。明日は、ササミローキ投手ではなく、山本由伸大好きのスネル投手が復活登板で先発するらしい。大谷選手の打撃不振も底をうったとハムショー氏も言っていたが、私も同感。この三連戦、相手が強いだけによけいに頑張ってほしい。

フロイト漫画講座とダリ

『高校生からのフロイト漫画講座』(コリンヌ・マイエール著・アンヌ・シモン画・岸田秀訳)を、通勤で気楽に読めそうなので昨日学院の図書館で借りてきた。

本編もなかなか面白い。アンナ・Oの症例、エディプス・コンプレックス、ねずみ男の事例、ハンス少年の症例を挟みながら、フロイトの人生を概観している。1938年、ナチの台頭で、ロンドンに移住してから、サルバドール・ダリがフロイトに会いに来た話も出てくる。ダリは、「フロイトの頭をカタツムリみたいですね。」「私と気違いとの違いは、私は気違いではないということです。」と言ったようで、フロイトは「気違いになりたい人は気違いじゃないよ、ハッハッハッ。」と言っている。(差別用語バリバリだが、本書のママに記した。)
https://www.artpedia.asia/dali-snail-and-the-angel/#google_vignette
このダリとの対話に関しては、ダリのシュールリアリズムの作品群を念頭に置くと実に面白い。特に、この出会いの際に、自転車の上に乗っていたカタツムリにインスピレーションを得て「カタツムリと天使」という彫像を後年作っている。…つづく

2026年5月8日金曜日

GWは貨物列車の動画三昧

https://www.youtube.com/@cargojournal
GWが終わって、一昨日から授業が再開した。GW中は、例年どおり中間試験を作っていたのだが、休憩時に最も心が休まったのは、貨物列車のYouTubeを見ている時だった。

私にとって貨物列車を見る機会があるのは、鴫野駅と放出駅の両駅である。おおさか東線は旧城東貨物線で、百済貨物ターミナルと東海道本線を結んでいるからで、両駅に立っていて偶然見れることがある。ものすごく得をした気分になる。(笑)私は鉄道ファンではないが、貨物列車が大好きなのである。

このGW中、何本のYouTubeチャンネルを見ただろうか。大阪には、大阪(吹田)貨物ターミナルと安治川口、それに百済の3つの貨物ターミナルがある。全国にJR貨物の駅があるわけで、丁寧に〇〇発〇〇行き〇〇列車とかの紹介を見る度に、心が踊る。東海道本線を走るものもあれば、日本海側を走るものもあり、四日市から長野方面にガソリンを運ぶタンク列車もあったりして、だいぶ知識が広がった。牽引する機関車にも地方差があって面白い。青函トンネル専用の機関車やディーゼルのものもあったりする。

https://www.youtube.com/@cargojournal
コンテナにも特徴があって、面白かったのは、4匹のくまが描かれたブルボン製菓専用のコンテナや、西濃運輸に2台しか無いというキティちゃんの描かれたコンテナがあったりする。なかなか貨物列車ウォッチングも深いのである。(笑)

2026年5月7日木曜日

アストロズ3連戦

ヒューストン・アストロズとの3連戦。第1試合は山本由伸投手が先発。3点を取られたが、打線が繋がって勝利した。これはいける、と思った第2試合は、大谷投手が先発。さすが投手部門での月間MVP。(打者部門と投手部門の月間MVPはMLB史上初の快挙)この日も凄い投球内容だったが、ソロHRを2発打たれてしまった。それでもまだ防御率は0点台をキープした。この日は打線の繋がりはあってもあと1本が出ず敗戦投手になってしまった。

第3試合は、5時起きで後半戦を見たが、すでに試合を決めていた。大谷選手は久々の2ベースヒット、シングルヒットを放っていて安心した。第1試合も無安打、第2試合は投手専念だったので、明後日以後、持ち直してくれるだろうと期待。

それにしてもMLBのタイトさは半端ない。連戦に次ぐ連戦。各チームとも怪我人が続出している。高い報酬をもらっているとはいえ、これでは…と思う。

余談だが、ライブ配信をしてくれているハムショー氏も、連日の中継(ドジャーズと日本ハム、それに井上尚弥のボクシングまで)やら日本ハムでの始球式やらで、疲れがたまり、しかも風邪でボロボロだった。うーん、彼もタイトすぎる。

2026年5月6日水曜日

チェックメイト:日本語学校

https://school.sugawara4976.com/japanese-languageschool-before/
以前からあった日本語教育機関認定法が、現内閣で厳格化されるようだ。文部科学大臣は、この法律を施行し、現在国内にある日本語学校の認可を(裁判によらず行政命令として)取り消すことができる。これによって近い将来、国内の日本語学校は激減する可能性が高い。

現在日本には、留学ビザで入国し、不法労働を行うのが主目的の幽霊日本語学校もあり、のべつ幕無しの不法移民の増加を防ぐ意味合いがあるようである。特にこれからの日本語学校には、生徒の管理(留学ビザ制限内の労働時間を守らせること)も業務面で必要不可欠とされている。またN1・N2(日本語検定試験1級・2級)修得といった教務面、日本の社会に適応できるようにといった面も含まれていく。

先日後輩のM君が、退職後日本語教師の資格を取り、近隣の日本語学校に勤めているという報告があった。第二の人生のスタートである。実に良い知らせで喜んでいたのだが、彼の務める日本語学校は大丈夫なのだろうか、と不安になった。

マレーシアのPBTで日本語教育を横目でみていた私としては、たしかに今回の厳格化は正当なものだと思う。ただ、留学生といっても、地域・学力・経済力の差が大きい。文部科学省の認定を受けることができるのは、おそらく日本のそこそこの大学に合格するくらいの日本語能力と経済力が必要不可欠な留学生のみを対象としているように思う。学力面においては、もう少し余裕をもたせてもいいのではないかと思う。

2026年5月5日火曜日

チェックメイト :イラン

https://www.cnn.co.jp/usa/35246923.html
久しぶりにイランの話をエントリーしたい。イランとアメリカ・イスラエルの停戦合意下、ホルムズ海峡でイランからの攻撃があったようだ。様々な情報が入り乱れて正確なことはわからないのだが、イランでは政権が大混乱していることは確かで、革命防衛隊の戦意はまだあるようだ。

イランの石油積出港は全てアメリカ海軍が封鎖している。この事実は単に輸出ができないというだけでなく、石油タンクが満杯になり、油井を止めなければならないという自体を引き起こしている。これはイランにとって非常に厳しい。油井の操業が長くストップすれば、いずれその油井は使えなくなる(地層の圧力バランスが崩れ、地下水が入り込み永久的な損傷を受ける。)からである。

しかもこれ以上の戦闘を続けるならば、生活インフラの発電所や水利施設を空爆で破壊される恐れがある。そうなれば、電気も水もストップして、市民生活も大打撃を受ける。これ以上民衆は黙っていないだろう。

完全にチェックメイトである。アメリカはリスクが高い地上軍の侵攻なしで、イランを追い詰めている。イランのシーア派の中でも十二イマーム派は、古来より信仰への情熱も高いが、同時に理性的な判断も重視する。まだまだ予測はつかないが、発電所や水利施設まで空爆されることがないように祈るのみである。アメリカ軍は躊躇するだろうが、イスラエルには躊躇はないと思われる。

2026年5月4日月曜日

ドジャーズ4連敗で止める

https://www.youtube.com/watch?v=rIN-u5Itj14
カージナルスとの3連戦、2試合落として、第3戦はロブレスキ投手が頑張って勝てた。投手陣は悪くないのだが、打線が湿っていて、第2戦などは併殺打の嵐。大谷選手もまだ快音が聞けない。ナ・リーグの西地区では、2位のパドレスも4連敗につきあってくれているが…。

スポーツ医学などは全く疎いのだが、大谷選手は、現在投手としては絶好調なので、二刀流のバランスが崩れているような気がする。世界でたった1人の存在なのでどうなっているのかはわからないけれど…。

このGW、中間考査を作る予定だった。ドジャーズが勝って、気分よく、と思っていたのだが今日やっと作れる。(笑)

2026年5月3日日曜日

憲法記念日に 武器輸出解禁の件

憲法記念日である。4月21日に閣議決定と国家安全保障会議にて、防衛装備移転三原則の運用指針の改定が行われた。要するに武器輸出の解禁である。以下のYouTubeでその内容が上手く解説されている。https://www.youtube.com/watch?v=rMLFd_jfd5k

そもそも、日本は戦後、朝鮮戦争時から武器輸出を行ってきたし、その後も東南アジア諸国にも武器輸出を行ってきた。1967年に佐藤内閣が武器輸出三原則を表明した。この時も完全に輸出禁止としたわけではなく、共産圏や紛争当事国などへの輸出はNGということだった。1976年に三木内閣が、共産圏や紛争当事国以外にも輸出を「慎む」との政府見解を表明した。ただしアメリカとの技術協力は例外であった。これでわかるように、武器輸出に関しては、閣議決定による政府方針であって、立法化された法律ではないわけである。

よって、国会軽視という批判はあたらない。2度民主党が政権をとった時代にも法制化による制限はされていない。(武器輸出を完全禁止する法律を作るチャンスがあった。)と、いうわけで、憲法違反だとか左翼が叫んでも、無知を晒すだけのことになる。

ところで、何故今なのか。防衛産業の基盤教化と安全保障環境の悪化を上記YouTubeの主・オオカミ少佐(元海自幹部:画像参照)が述べている。

以前読んだ本の知識だが、防衛産業は、需要が防衛省(それも予算の範囲内)のみであり、供給コストは必然的に高くなる。単価は高いものの、決して儲からない。輸出可能になり、需要が増えれば供給コストも抑えられる。防衛装備を100%輸入に頼るのは、安全保障上の問題がある。だいぶ以前に、某電子メーカーの研究員をやっている人物と話していて、「超長波」の研究をしていることがわかった。「アクティブソナーとか魚雷の技術だね。」というと返答に困っていた。こういう技術者を囲い込んでおかないと、日本の安全保障は守られない。防衛産業は、市場の原理で潰してはならないのである。

安全保障の基本は勢力均衡にある。今世界は、ロシアのウクライナ侵攻、中国の軍拡、アメリカの国際法無視など、かつてない緊張が走っている。(軍事的)中小国の勢力均衡を図る必要性がある。同じ価値観を有する国々に、日本が武器輸出を行うのはこのためである。たしかに憲法第9条には戦争放棄が謳われているが、前文では世界平和を希求することも謳われている。実際、アメリカを始め、イギリス・イタリア(次期戦闘機共同開発国)、オーストラリア・フィリピン・インド(対中抑止のため)、フランス、ドイツ(アメリカの暴走を止める同じ価値観をもつ国として)などが支持を表明している。

…憲法記念日である。この武器輸出解禁の話は、憲法に坑がう話ではないことを確認しておきたい。戦争反対、9条を守れと声高に叫んでも日本の安全保障は守れない。社会科教師としては、あくまで中立。平和教育は、このような事実の積み重ねから導かれるものである。時節柄非常に重要なスタンスであると私は思う。

2026年5月2日土曜日

同志社国際高校の事件考8

https://www.youtube.com/watch?v=-_GnmTW7AG4
かの事件を起こした組織が、今更(5月1日)に謝罪文を出したらしい。https://www.youtube.com/watch?v=-_GnmTW7AG4

沖縄知事選の不利を見据えての、姑息な動きである。自分たちの後ろ盾を失うことからの防御、もしくは、平和学習と言う名の小遣い稼ぎが出来なくなくなるという多分に利己的なものだとしか見えない。

URL同じ
沖縄のまともな人々は、現知事のスタンスにかなりの違和感を抱いているらしい。当然である。しかしながら、沖縄新報の読者の声欄に、左翼が書いたであろう文章が出た。(左の画像参照)亡くなった女子高校生がサンゴ礁を見たいという思いで参加したことは、保護者のNOTEで明らかである。このような自分勝手な捏造を書く左翼も、それを載せる左翼マスゴミの神経も信じられない。

…以前書いたが、全ては国の責任である、自分たちは正義であるという信念が、彼らを反省させたり謝罪させたりすることを拒んでいるのだろう。上記のYouTubeも同様の感想をもっていた。

…全くどこまで自己中心なのだろう。ついでに批判しておくと、共産党の幹部らは、この事件の責任追求に逃げ回っている。実は、これはおかしい。共産党の組織は党中央に絶対服従で、下部組織は「細胞」と呼ばれているはずだ。そのスターリニズムの組織体制はいつ変わったのか?変わってないなら謝罪し責任を取るべきである。違うかな?

ヨハネ福音書のイエスⅤ

『ヨハネ福音書のイエス』(小林稔著/岩波書店)の書評第5回目。ヨハネ福音書は聖書学では、四福音書の成立において最も遅いとされている。本日は、このことについて著者の見解を示したい。

初期のキリスト教会では、割礼を始めとしたユダヤ律法との折り合いが問題化していた。パウロは割礼を否定しており、ユダヤ人キリスト教徒との軋轢があった。多くのユダヤ人キリスト教徒は、自分たちをユダヤ教の一分派と考えていた中で、ヨハネ福音書を記した教団では、ユダヤ教から迫害・排斥(ローマに神殿を破壊され、異端と見なされたキリスト者共同体を正式に破門し、シナゴーグでは彼らへの呪いの言葉を唱えるようになった。)され、ユダヤ教からの分離過程が進んでいたという背景がある。

よって、ヨハネ福音書では、イエスを認めないユダヤ人に対し、極めて批判的である。(何度も”ユダヤ人”という語が出てくる。)イエスをキリストとして、律法の無力化を主張しているわけである。ヨハネの福音書の特徴にはこういった背景があるのである。

さて、正教会がヨハネ福音書を重視する理由について、当然ながらカトリックの著者は記していない。とりあえずAIで検索してみた。(神戸学院大学のリボジトリを参考にしているようであるが、現在メンテナンス中であった。後日確認するつもりである。)AIによると、キリストの「神性」と人間の「神化」を最も深く描いているから、というのが端的な回答であった。福音書の記者であるヨハネを正教会では「神学者」と呼び最高の敬意を払っているとのこと。

キリストの「神性」については、冒頭でキリストこそ「神の言葉(ロゴス)である。」と明確に宣言している。また人間の「神化」については、人間が神の生命にあづかり神のようになるという正教会の究極の目標にとって、この福音書が抽象的かつ詩的な表現で、理性的理解を超えた「神との合一」という霊的な記述が見られることが挙げられる。

…やはり、「神性」と「神化」が最大のポイントであった。納得である。正教会では、イースターの礼拝でヨハネ福音書の冒頭が必ず読まれる理由でもある。

2026年5月1日金曜日

ヨハネ福音書のイエスⅣ

『ヨハネ福音書のイエス』(小林稔著/岩波書店)の書評第4回目。おそらく、本書の最も重要な部分について。著者は、ヨハネ福音書の序文を次のように分析している。(上記画像参照:本書をPDFで保存し画像化したもの。第Ⅰ部・第Ⅱ部が歪んでいるのはお許しいただきたい。)

第Ⅰ部(1~5節)、第Ⅱ部(6~14節)、第Ⅲ部(15~18節)の3つの部分からなり、同じ1つの事、イエスの生涯の出来事を3つの観点から叙述している。このそれぞれは、その語彙と内容の対応から、A(はじめに登場したヨハネと「はじめ」という語)・B(人々・光)・C(「受ける」とその合成語)・D(父・ひとり子・恵み・真理)に小区分することができ、並行構造になっている。

この3つの部分(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)の相互関係を時間的前後関係として理解しようとすると無理が生ずるので、観点の違いを示しているとして理解を試みると、第Ⅰ部は、光と闇という黙示文学的な象徴によって全体を意味づける、序の機能、第Ⅱ部は救いの歴史の中でのイエスの出来事、第Ⅲ部は、信仰共同体の中で実現されている事柄が述べられている。

そうすると、第Ⅰ部は、創始以来の先住のロゴスについて述べているのではなく、第Ⅱ部・第Ⅲ部で述べられる内容を視点と表現を変えて、さらにその深い意味を告げているものと理解できる。すなわち、宇宙の創造に先立つロゴスの先住ではなく、具体的なナザレのイエスとの最初の出会いのことを語っていると理解しうると著者は記している。

序文の転回点を見ることで、福音書序文と本文の密接な対応関係を見出すことができる。第1~12章で、イエスの啓示に対して人々が2つに分離して、多くの人はイエスを拒み、第13~17章で受け入れた少数の人々に啓示がなされる、という構図である。

…著者は、岩波書店版新約聖書では、冒頭を「はじめに言葉(ロゴス)が”あった”。」(新共同訳)ではなく「はじめに言葉(ロゴス)が”いた”。」と訳している。これは、ロゴスが非人格的存在ではなく、人格的存在(=イエス)として捉えるのが正しい故、(日本語の)常識的な表現にしたとのこと。…なるほど、である。