2023年6月30日金曜日

東京裁判 無知のヴェール

https://j-dac.jp/tokyotrial/index.html
「司馬遼太郎の意外な歴史眼」(福井雄三/主婦の友社)では、司馬遼と東京裁判に縛られているという主張がされている。言うまでもなく、東京裁判は、戦勝国の政治的パフォーマンスにすぎないと私も思っているが、ここで著者の記述に従って見ていこうと思う。

まずは、ニュルンベルグ裁判との比較である。連合国側は、ナチのホロコーストに対し「人道に対する罪」が適用したのだが、本来は「平和に対する罪」を適用したかったようだ。しかし、戦争が終わってから後に定めたもので、1945年以前には存在しなかった。このような事後法を過去に遡って適用するのは峰理論上不可能である。ドイツ弁護団は、この点を猛烈について「平和に対する罪」を撤回させた。東京裁判では、ドイツと反対に「人道に対する罪」を適用しようとしたが立証できなかったので、「平和に対する罪」を無理やり押し付けてきた。「日本の28名の被告全員が、1928年から45年まで17年間にわたって全面的に共同謀議を行い、侵略戦争を計画、準備し実行した。」というわけだが、28名のうち半分近くが面識もなければ言葉をかわしたこともない。事実無根の暴論であったわけだ。

もちろん日本側も清瀬一郎により反駁されている。①東京裁判は、ポツダム宣言にある戦争犯罪(通常の戦争犯罪)についての裁判であって、それ以外のことを裁く検眼はない。②すなわち、東京裁判には「平和に対する罪」(侵略戦争)「人道に対する罪」(非人道的行為)を裁く権限はない。③すなわち、ポツダム宣言当時に世界に存在したものは、戦時放棄の違反である通例の戦争犯罪のみである。④ドイツと日本では降伏の条件が全く異なる。日本は無条件降伏したのではない。ポツダム宣言という条件付きの降伏である。ドイツの方式を日本に通用するのは間違いである。政府が壊滅し無政府状態のドイツと、きちんと政府が存在していた日本では全く違う。⑤パリ不戦条約は、戦争を違法としているが犯罪とはしていない。⑥ニュルンベルグ裁判を成立させる根拠は、1945年8月8日のロンドン協定である。東京裁判の根拠は、7月27日のポツダム宣言である。未来の8月8日で過去の7月27日を解釈するのは法律的に許されない。⑦ポツダム宣言当時の戦争とは、大東亜戦争すなわち太平洋戦争のことである。満州事変や張作霖事件やノモンハン事件は対象外である。満州事変の結果の満州国は国際的に承認されている。張作霖事件やノモンハン事件は停戦協定が結ばれ解決済である。

著者は、マッカーサーの言質(ドイツ人はアングロ・サクソンと同じ45歳ぐらいに成熟しているが、日本人は12歳の少年)を引いて、日本への差別意識を指摘している。これが、「平和に対する罪」を押し付けた原因だとみているわけだ。

この東京裁判は、”無知のヴェール”によって見事に日本人に刷り込まれたと著者は主張する。これを助けた東大法学部教授がいたことには、さらに衝撃的だ。横田喜三郎。国際法の主任教授。連合国の意図に沿った言論活動を展開し、曲学阿世の徒・売国奴となった。その後最高裁判所長官に任命されている。(調べると吉田茂の指名である。もともとマルクス主義者で戦後、天皇制を否定していたが、最高裁判事になるとき、自著「天皇制」を東京の古本屋で買い漁り、事実を隠蔽しょうとしたという、どうしようもないくらいに醜い人物である。

2023年6月29日木曜日

夫婦で行く東南アジアの国々

めったに行かない中央図書館に昨日は行ってきたので、本を借りてきた。(近くの支所で返却可能なので助かる。)まずは「夫婦で行く東南アジアの国々」(清水義範/集英社文庫)である。こういう紀行は気楽に読めるので、通勤時の読書に向いている。とりあえずは、マレーシア編を読んでみた。バックパッカーの下川裕治などと違い、熟年夫婦のツアー旅行なので、そこそこ豪華である。

KLから、ペナン、マラッカ、バトゥ洞窟などを回っている。およそ私も行ったことがあるので、ウンウンと頷きながら読むことになった。2016年7月の紀行文なので、ちょうど私がマレーシアで3ヶ月ほど経った時期に当たる。まだ、この頃私はKLをほとんど出ていない。(笑)

解説で、かのタマキング・宮田珠己が書いているが、料理に対する恨み節ともとれるフレーズが折に触れて登場する。これが、意外である。まあ、個人の好みであるから仕方がないのであるが、マレーシア大好きな私からすると残念である。ツアーで回るとそうなるのだろう。食べたいものを自分で選べないというのは、つらいところではある。自分でオカズをチョイスできて、しかも安くてうまいエコノミーライスを食べるようなツアーはないだろうから…。

ところで、ミッドバレーのメガモールで大きな火災があったそうで、今どうなっているのだろうか。心配している。値段もイロイロ、うまいものもイロイロ。実は妻のほうがレストランについては私などよりよっぽど詳しい。妻がいつもマレーシアで一番美味しかった、というのは、マラッカの小さな食堂で食べたニョニャ・ラクサである。おそらくツアーでは味合えまい。(笑)

2023年6月28日水曜日

「戦争遺跡」の映画会に行く。

大久野島遺跡 http://arch-hiroshima.main.jp/main/a-map/hiroshima/okunojima.html
枚方市立中央図書館の映画鑑賞会「戦争遺跡」に妻と言ってきた。妻は遺跡が大好きで、マレーシアでも四国でも遺跡を見に行くことが多かった。私は妻ほどは興味がないのだが、これも教養のうちと前から楽しみにしていた。6階の大集会室には、今回も年配の方が多く参加していた。(笑)

川棚魚雷発射試験場 http://blog.kyushu-heritage.jp/?eid=922215
和歌山の由良要塞をはじめ、広島の毒ガス島として有名な大久野島、呉要塞、下関要塞、佐世保要塞、川棚魚雷発射試験場後などの画像が流れた。ただ、ナレーションがないので、極めて睡魔に襲われる。しれぞれ砲台や弾薬庫は、石造り・レンガ造りでよく似ているし、断続的に夢を見てしまった。

意外に印象が強かったのは、川棚魚雷発射試験場跡。屋根の喪失後、場内に木が生え、これだけ成長しているのを見ると、戦争からこれだけの年月がたったのだと、否が応でも思い知らされる。(上記画像参照)

映画が終わってから、解説があった。意外に面白かったのだ。実は枚方にも戦争遺跡がたくさんあって、特に禁野陸軍火薬庫があって、2度も爆発している。特に1939年(昭和14年)3月1日の大爆発では甚大な被害(死者94人負傷602人家屋の全半壊821戸)が出た。中央図書館にはその資料も常設展示されている。この映画鑑賞会もそういう枚方の歴史の遡上で開催されたものに違いない。こういう取り組みは実に有意義だと思う。

「老い」にショックを受ける。

学園の最寄り駅からみた山々
学園での授業は、実にうまくいっている。生徒がいいし、よく聞いてくれている。昨日も下校時が重なり、多くの3年生と駅まで歩いたが、私を確認すると満面の笑みを送ってくれる。何一つ不満はないのだが、問題は自分自身の「老い」である。プリントの誤字脱字が多すぎる。資料集などの細かい文字も見えないし、板書時にふと漢字が出てこない。

授業の1コマ1コマが一期一会なので、つい全力でやってしまう。スベらない話もつい入れてしまう。授業が終わるとくたくたになっている。4コマの日などは、ふくらはぎに湿布をしないと必ず足が攣る。

今もキーボードを叩いていて、打ち間違いが多いのである。以前はこんなことはなかった。やはり「老い」には勝てないのだろう。

しかも、文科省の新カリキュラムによって、私が愛した「倫理」(教師になり始めた頃は倫理社会)という教科が、どんどん隅に追いやられていく。いろいろと感慨が深い日々なのである。

2023年6月26日月曜日

文系特進クラスの休み時間

少し早めに、授業のある文系の特進クラスに行った。すると前の方で、男子生徒が集まってなにやらしている。世界史の一問一答を答えあっているようだ。なかなか難しい。私は受験科目では、倫理第一、地理が第二で、世界史は大局的には講ずることはできるが、重箱の隅のような歴史用語は極めていない。それを超難関国立大志望のT君はスラスラと即答していく。他のメンバーは、きっと感化を受けているだろうと思う。

いよいよ、受験生らしくなってきた。聞くと、ある難関国立大は800点満点。そのうち、政経倫理などの共通テストの点数は25点満点にしか加算されないのだという。共通テストの結果も重要だが、英数国などの主要教科と地歴の前期試験での配点がぐっと高いそうだ。(各大学でこういうバランスはかなり異なる。)

期末考査が終わると、夏休みが待っている。いかに効率的に受験勉強を進めるか、が勝負である。がんばれー。

2023年6月25日日曜日

司馬遼太郎の意外な歴史眼

市立図書館で、「司馬遼太郎の意外な歴史眼」(福井雄三/主婦の友社)を借りてきた。私は、司馬遼のファンであり、幕末維新系中心とした作品群は、ほぼ読破してきた。ただ、司馬遼史観には毒されてはいないつもりだ。教え子には、司馬遼は読んでおくべきだと言っているが、大佛次郎の「天皇の世紀」を重ね読みすることを勧めている。たしかに、 司馬遼には明治人は素晴らしく、日露戦争に勝利するのだが、その後駄目になって昭和で敗戦することになったという史観が明確にある。

この文庫本では、三部作として、竜馬がゆく、翔ぶが如く、坂の上の雲を示しているが、この後司馬遼は、ノモンハン事件について書くつもりだったと書かれている。たしかに、様々なところで司馬遼はこのノモンハン事件について批判的に書いている。まあ、竜馬がゆくは、エンターテーメントの傑作であり、ちょっと置いておいて、「翔ぶが如く」における西南戦争では、西郷を反乱に導いた桐野利秋(中村半次郎という名で薩摩屈指のテロリストだった)への司馬遼の評価は侮蔑に近いし、「坂の上の雲」では、乃木希典は無能で、伊地知幸介参謀はその上を行く無能で多くの犠牲者を出し、児玉源太郎にどやしつけられるという話が出てくる。

この西郷―桐野、乃木ー伊地知という構図は、読後実に強烈に印象に残る。著者は、司馬遼は人の好き嫌いが激しく、史実を曲げている、しかもこの構図はノモンハンへと続く布石だったと述べている。私はノモンハンのことは詳しくないので、あえてここでは書かないが、著者の言わんとしていることは十分に理解できる。

司馬遼は学徒動員で陸軍戦車隊小隊長として満州に行き、その後内地で敗戦を迎えている。くだらない戦争という観念が芽生え、昭和の軍人への批判とともに、明治の選人との差を意識するようになったといわれている。この歴史眼は、東京裁判(極東国際軍事裁判)と連動しており、極めて有害だと著者は主張しているわけだ。

2023年6月24日土曜日

シンガポールの読者様へ

https://japolandball.miraheze.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83
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このところ、飛躍的に閲覧数が伸びている。最近は、学校行事のことも書かないし、どこどこへ行ったという話もなく、ほとんどが書評になってしまっているので、閲覧数がガタ落ちで100を超えることが稀だったのだが、ありがたいことに、アメリカからの閲覧が急に増えたりしていた。最近はシンガポールからの閲覧が多いようだ。

正直なところ、マレーシアに3年半もいたのに、隣国のシンガポールには足を踏み入れていない。マレーシアに比べて極めて物価が高いことが最大の理由であった。(笑)ASEANの優等生であるシンガポールに行っておくべきだったと、今になって思う次第。

開発独裁などという言葉が「政経」や「公共」の教科書に出てくる時代になった。マレーシアでは、マハティール氏の辣腕が際立っているが、シンガポールは、ある意味それ以上である。私自身、リー・クワンユー氏のことはあまり詳しくないのだが、プラグマティックに見ると大成功を収めている。マレー連邦から離脱したのは、マレーシアから見ても正解だったような気がする。

おそらく、シンガポールの読者は、これまでの過去の記事を見ていただいているのだと思う。日本人の方なのか、はたまたローカルの方なのか、シンガポール在住の外国籍の方なのかわからないが、興味深いところだ。もし、よろしかったら、コメントをいただければ、と願っている。

2023年6月23日金曜日

生涯ベストな授業/西田哲学

ブルキナファソ/サヘルの村の宿にて
倫理の授業も日本思想史の大詰めを迎えた。西田幾多郎の哲学である。日本思想史の中で最も難解であるし、共通テストでの出題回数も多い重要な内容だ。本日の授業は、おそらくこれまで何十年もやってきた授業の中でもベストな授業だったと感じている。

西田哲学に来るまでに、導入として、川端康成のノーベル文学賞受賞講演「美しい日本の私」と和辻哲郎をやり、日本仏教の基軸となる大乗仏教の哲学(龍樹・世親・馬鳴)を復習し、天台のところで「一切衆生悉有仏性」をみっちりとやった。念仏の易行・専修念仏以前はこの天台の観想念仏だし、禅もここからスタートする。当然ながら、日本の仏教を西洋哲学的に説いた西田哲学とも相性がいい。

「一切衆生」は、『主客未分』の存在である。「仏性」とは、『純粋精神』のことであり、「悉有」、この純粋精神のある場所=『絶対無』を意味している。これはは、世親と馬鳴の阿頼耶識・如来蔵のことである。最も難解な『絶対矛盾的自己同一』も、この絶対無の場所にあり、和辻哲郎は、これを日本人の特性として「しめやかな激情、戦闘的な恬淡」と表現している、ということで着地した。

特に、純粋精神の説明には、ブルキナファソでの経験を話した。サヘルへ1泊2日で4WDで英語ガイドのオマーンと行った帰路、長い長い坂味を重い荷物を載せた自転車を漕ぐ一軍と遭遇した時の話だ。彼らを見た刹那、涙が止まらなくなった話だ。主客未分の仏性の湧現。オマーンが「自らもあの仕事をした、ブルキナファソではあたりまえなんだ。」と言った話だ。それまでの経過や興味深そうな話も交えて今回は実にうまく話せたと思う。生徒たちは真剣に聞いてくれたので、実に嬉しい。この西田哲学に向けて、多くの伏線を張り巡らしてきたことが活きたと思う。

正直なところ、今年の倫理の授業(源流思想+西洋哲学史+日本思想史)は我が教師生活・最強のレベルで、優秀な学園の生徒に効率的に時間を使い、受験科目としての重責を全うしながらも、すべらない話も入れて、ほんとベストの出来だと感じている。もう悔いはないというのが本音である。

2023年6月22日木曜日

日本の正統性を保証するもの

https://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary02
国家というものには、法人としての政府の正統性を保証する”なにか”がある、というのは、これまで何度かエントリーしているように、社会学の常識であるそうだ。カールの戴冠以来、カトリック教会は世俗の国家の正統性を保証することで生き延びてきた。ヨーロッパ諸国の多くは、(哲学を正統性に置く)フランスを除いて、カトリックや聖公会、あるいはカルヴァン派やルター派の教会などが、その正統性を保証している。明治初期に岩倉視察団がこれに気づいたこと自体が凄いと私は思う。

大久保や木戸は、キリスト教を日本に招き入れる気はなく、尊王思想そのままに、天皇制によって国家の正統性を保証することにした。彼らの意を継いだ伊藤が、天皇主権の大日本帝国憲法を作り上げるわけだ。明治期の尊王思想は、幕末以来ずっと生きていて、社会主義者や無政府主義者以外の国民が納得できるものだった。日本史をよくよく考えて見るに、天皇制は、鎌倉以来ずっと正統性を保証してきたといえるので、当然といえば当然であるが…。さて、この大日本帝国憲法では、天皇主権になっている。教育勅語や軍人勅語などによって、天皇教とでもいうべき宗教化が図られていく。最も東大を出た高級官僚などは、この天皇機関説的な意味合いを熟知していたし、当の明治天皇や昭和天皇は、五箇条の御誓文や憲法を遵守するという立場を常に崩されることはなかったようだ。昭和になって、皇道派などが天皇教的な突出を行うが、天皇の意思とは違うものであった。

ゆえに、敗戦後、天皇はその地位に固執することはなかった。退位を念頭にマッカーサーと会われている。マッカーサーも多くの連合国要人同様、天皇の戦争責任を追求するつもりだったようだが、これを翻す。憲法三原則(天皇象徴制・主権在民・戦争放棄)を出し、日本政府の国体護持の憲法草案を拒否し、短時間で民政局に草案を作らせた。これは、多分に極東国際軍事裁判という政治パフォーマンスが開廷する前に、天皇の訴追を退ける思惑があったようだ。天皇は1946年元旦に人間宣言を行い、天皇教の現人神でなくなった。矢継ぎ早に憲法をまとめ上げ、連合国を黙らせ、帝国議会を開いて修正させながら憲法を成立させてしまう。

こうしてみると、現在の日本国家の正統性はどこにあるのかという問いは、非常に微妙なものになっている。いまさら、天皇教には戻せない。この空虚な天皇制が正統性を保証しているのだろうか。慣習的にそうだと思うが、憲法には、”(天皇の地位は)主権の損する国民の総意に基づく”とあるわけで、日本国民はその正統性を破棄できることになっている。全くもって変な話だ。

私などは、はっきりと、現在の日本という国家の正統性を保証しているのはアメリカだと思っている。カリフォルニア以上に人口も経済力も大きな海外州である。あれだけの米軍軍基地を置き、国益上必要不可欠な、主権を持たない(いや持っているように見せている)国家。それが日本のような気がする。ここ何年かの政治状況はそれを物語っていると思うのだ。

2023年6月21日水曜日

島岡由美子氏のAffection

https://www.ganas.or.jp/20181127zanzibar/
”Affection”(愛情)というTHE ALFEEの曲がある。”男は夢に全てをかける 女は愛に未来求める”で始まる。サビでは、”愛とは夢追いかけること””愛とは心重ねること”という歌詞もある。メロディーは凄くいいのだが正直なところ詞が気恥かしい。

今回「アフリカからあなたにつたえたいこと」を読んで、この曲が脳裏を走った。「我が志アフリカにあり」の主役は、島岡強氏であったが、今回の本は、由美子氏目線で書かれているからだ。革命児・島岡氏の自我は見事に統一されている。アフリカという地で生き抜く志も鍛錬も当然のごとく練られているわけだが、妻となった由美子氏にとってはまさに異文化理解やカルチャーショックなどという言葉では形容できないほどの衝撃だったと思われる。

まず夫妻はケニア・ナイロビで暮らしはじめる。これは由美子氏のアフリカ生活・トレーニング期間としてだったと記されている。キオスクで、ウガリを食し、南京虫にやられ、かなり落ち込んだものの、1か月ほどしてザンジバルへ旅立つ。そもそも強氏は、ジンバブエかタンザニアを自らの革命の拠点と考えていたようだ。南アのアパルトヘイトに立ち向かうつもりだったから、当時はまだ失敗国家ではなかったジンバブエが本命だったような気がする。ザンジバルでは、由美子氏は一期一会に苦労する。強氏は、来るものは拒まず、去る者は追わずで、一期一会を大切にしている。地元民、日本人旅行者など毎晩のように来客があり、独身ならともかく、妻という立場の由美子氏の身からすれば、それは実に大変なことであると思う。この一期一会は、由美子氏の目線で書かれているからこそ、そのしんどさが伝わってくる。

”愛とは夢追いかけること”必死で、夫についてきている由美子氏もかなり消耗したようだ。しかし、やがて、昨日前述したようにマラリア罹患を期に、”愛とは心重ねること”という境地にまでたどり着く。

ほんと、由美子氏もよく頑張って来られたなあと思う。”男は夢に全てをかける 女は愛に未来求める”をまさに地でいったご夫婦(画像参照)だと思うのだ。

2023年6月20日火曜日

島岡由美子氏のアフリカ

市立図書館で前述したハズレのドイツ本を返却したあと、大当たりの本を見つけた。昔々読んだ「我が志アフリカにあり」の中学生以上向け(実際は大人向けでもある)版の「アフリカからあなたに伝えたいことー革命児とともに生きる」(島岡由美子/かもがわ出版)である。通勤の帰路と往路で一気に読んでしまった。

2011年12月3日付と2012年4月1日付ブログで、島岡強氏のことに触れているが、まあたいがい規格外の人物である。著者の由美子氏は、強氏の奥さんである。

利尻島のユースホステルで知り合い、結婚に至る話や、強氏が八甲田山で遭難し、新生を得る話などは、まさに規格外である。この本は、実にオススメなので、あまりネタばらしはしたくないのだが、タンザニア・ザンジバルで由美子氏がひどいマラリアに罹る話を読んでいて、彼女も新生するのだが、思わず泣きそうになった。また、メビウス症候群の友人の娘がやってくる話でも大感動した。

この本に描かれる生のアフリカの姿は、私も少しだけれど体験したことだ。この本に出てくる、歩行が困難になった人の姿をブルキナファソで見た。著者が当初嫌がったアフリカの食事も手でいただいた。著者が、ザンジバルで体験し、憤り、苦しんだことはよく理解できるし、そういう生のアフリカの姿がここにある。ホント、オススメの1冊である。アフリカに学ぶことは多い。

2023年6月18日日曜日

ふと考えた。偉人とは散り際。

https://gunmagisgeek.com/blog/other/4176
マレーシアにいるとき、日本の偉人についてグループで研究発表する日本語の授業があった。私にも意見を求められ、毎回、新渡戸稲造、緒方貞子、イチローの3人を推薦させてもらった。マレーシアの学生にもわかりやすいスタンスの偉人を選んだつもりだが、マレーシアでは野球が盛んではないので、意外にイチローには苦戦していたようだ。(D大のL君、御免。笑)

もし、日本人の高校生ならば、当然自分達で検討させることになるだろうが、現在の自分ならだれを選ぶかという視点で考えてみたい。私には私なりの美学があって、散り際を重んじたい。新渡戸を第一としたのは、国際連盟事務次長という立場を経験し、WWⅡ前に日米の平和のため獅子奮迅の努力を重ねる中で客死したところに惹かれるわけだ。

PBTを去る時も三崎を去る時も、自身の都合ではなく、学校のため、良かれと思い、切腹のような責任の取り方をしたのも、こういう私なりの美学による。

と、なればやはり武士道というか、軍人が多くなる。とんでもない奴も多いが、散り際が見事な軍人もいる。まずは、阿南惟幾。敗戦時の陸軍大臣。皇道派でも統帥派でもなく、この人しかできないと人格から陸相に推された。全ての責任を一身に受け切腹。この人の伝記は一度ゆっくりと読んでみたいと思う。会津出身で差別されながら、義和団の乱の時駐在武官として大活躍した柴五郎も、昭和5年に退役しているが、阿南同様切腹している。老齢でうまくいかなかったらしいが、その精神性に頭が下がる。後輩のしでかした事をも自己の責任と感じての行動だったのだろう。

さきほど書いたドイツに逃げた著者に、こういう精神性はわからないだろうと思う。明治の人はやはり凄い。学問に関しても、今のような膨大な種類の参考書があるわけでなし、外国語を学ぶのは大変な苦労があったに違いない。理不尽に立ち向かい、辛抱し、自分を磨いていく姿勢こそ、尊敬に値する。

私が無知ゆえかもしれないが、明治から、大正、昭和、平成と政治や思想などにおいて偉人と呼べる人がだんだん減っていると思う。理系の学問やビジネスの世界にはいるのかもしれないが、どうしても私心にまみれた輩が目立つ。官邸でアホなことをする息子まで登場した。日本は、まさに絶望的な状況である。

日本人とドイツ人といふ新書

「日本人とドイツ人」(雨宮紫苑/新潮新書)を市立図書館で借りて読んだのだが、あまり読後感がよくなかったので、長らく書評を書く気がしなかった。最大の理由は、著者とのジェネレーション・ギャップである。著者は、部活におけるタテの関係を理不尽ととらえる。様々な日本社会の空気を読めない息苦しさから、ドイツに逃れた人物だ。著者の視点は理解できるし、賛同するところもあるが、読み進めるうちにだんだん不愉快になっていった。

まあ、とりあえずここは面白いと思った箇所を記録しておこう。漱石の「こころ」を読んで、日本人らしさとは、罪悪感に敏感で自分が悪いと自省しやすく、そのために罪悪感を感じる行動を避けることにあるという視点。日本人は悪いことをしても幸せになれないという考えが強い。1万円が落ちていたとして、ラッキーとネコババする人もいるだろうが、多くは、そこから生まれる罪悪感に苛まれるので拾得物として届ける。罪悪感を感じること自体にストレスを感じるわけだ。この視点自体は面白いと思うのだが、その後はまた不愉快な思いをしたので筆をおくというか、キーを止める。

先日、水道屋さんと知り合って、いろいろ話を聞いていたのだが、キツイが、かなり儲かる仕事だそうだ。ただ、ライフラインにかかわる仕事なので技術だけでなく責任感が要求される。日本の若者はすぐやめてしまうそうだ。外国人を雇うと、責任感まで要求できず結局うまくいかないとのこと。そうなのだ。昭和生まれの我々は、タテ社会の理不尽にも耐えてきた。だから責任感もつくし、忍耐力も身についてきた。要するに育てられたのだ。

これからの日本はどうなるのだろうか。この本を読んで不愉快になる理由は、そういう昭和の人間のストレスなのである。まあ、★0.5というところだなあ。

2023年6月17日土曜日

足が攣る攣る人心も揺れる

https://www.sandagakuen.ed.jp/news/%e9%ab%98%ef%bc%92%e3%80%80%e9%80%b2%e8%b7%afhr/
最近、体力の衰えを強く感じている。特に金曜日は、授業が連続しているので疲れが蓄積する事が多い。教壇に立ちっぱなしで、50分間喋り続けていると、最終的に足にくる。これに座れるとはいえ長距離通勤のエコノミー症候群的な疲れも加味されているようだ。

昨夜も、両足が攣った。これを予期して湿布剤を貼って寝たのだが、寒暖の差もあって冷えたのも悪かったようで、かなり痛かった。こんなんで大丈夫かなあと不安が募っている。今日の画像は、学園のHPから。授業はこんな雰囲気。

2023年6月15日木曜日

受験の日本史の穴を埋める。

http://blog.livedoor.jp/uebaru/
archives/52479423.html
先日、倫理で日本思想史を講じていて、山崎闇斎から「水戸学」の話になった。水戸藩は御三家の1つだが、徳川将軍家の跡継ぎ候補ではなく、家康から天皇家との繋がりを宿命付けられた藩であることや、慶喜は水戸藩主の烈公の子でありながら、御三卿の一橋愛家に養子に入った上で第15代将軍になったことなども付け加えた。よって、鳥羽・伏見の戦い時に錦の御旗を立てられ、敗走したのである。水戸の出故に朝敵になるということを避けたのだ…。授業の後、難関国立大を目指す男子生徒に取り囲まれて、「慶喜が江戸に帰った謎が解けました。」と喜んでもらえた。

受験の日本史は、とにかくどんどん進まねば範囲を終えれない。模試に合わせて進めねばならないし、とにかく覚えなければならない事が多すぎる。私は担当したことがないけれど、そのご苦労がよくわかる。効率的に進めなければならないので、歴史の面白さは二次的な要素になる。社会科は興味をもたせれば勝ちと考えている私には絶対務まらない。(笑)ちなみに受験の世界史も同様である。

今日は他のクラスで、佐久間象山の話から、蘭学が医学から海防に伴う実学に変化したこと、その中心にいた象山の弟子の吉田松陰の話に移って、長州という藩は、関ヶ原以来正月の挨拶は、倒幕をするや否やで始まること。元毛利藩だった家来が農民となって長州に着いてきた歴史、彼らが奇兵隊のベースになったことなども話した。象山関連で勝海舟の江戸無血開城にいたる逸話も語った。

倫理の授業の比率から見れば、世界史選択者のほうがはるかに授業がわかりやすいのだが、日本思想史の今回は日本史選択者が圧倒的優位である。(笑)明日は、今日と同じ話をする予定。授業後、日本史選択者がまた「謎が解けました。」と言ってくることを期待して頑張ろうと思う。

2023年6月14日水曜日

最新アフリカツアーby道祖神

https://www.facebook.com/africa.dososhin/posts/2969302106493857/?paipv=0&eav=AfZ_zM0Css_yE7VfT7CHQX489FORRR
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アフリカ旅行社の道祖神から、ひさしぶりに「DoDo World News」の165号が届いた。コロナ禍が一段落して、アフリカツアー再開特集号だった。私は年齢的にもうアフリカに旅立てそうにはないが、紙面を見ているだけで嬉しくなってくる。

現在(6月1日現在)のアフリカの渡航条件は、規制なしの国が多くなった。ワクチン2回以上の接種証明書またはPCR検査陽性証明書が必要な国は、リビア、チャド、ニジェール、ブルキナファソ、トーゴ、カメルーン、中央アフリカ、南スーダン、コンゴ民主共和国、アンゴラ、マラウイ、ジンバブエ、ジブチというところか。(色分けされた地図を見ながらチェックしてみた。)

アフリカといういうと大自然とサファリのイメージが強いが、私はアフリカに「人」を見に行ってきた人間なので、いわゆる野生動物を見る”サファリ”以外のツアーにどうしても目が行く。今回珍しいというか目新しいツアーが紹介されていた。

1つ目は、チュニジア・ラクダと歩く砂漠旅10日間。ラクダに乗ってではない、歩くのである。人間にはラクダに乗れる人間と乗れない人間がある。私はブルキナファソで、ラクダに乗れなかった経験があるので、もし”ラクダに乗る旅”だったらこの旅に懸念を抱いていたと思うが、これは「歩く」らしい。荷物はラクダが運び、水とカメラと歩くのに必要なものだけを持って歩くらしい。ちょっと待った。カメラの大敵は水と砂である。おそらく参加者はカメラを持っていくだろうが、砂漠でフツーに使っているとカメラに細かい砂が入り、ぶっ壊れる事間違いなし。実際、ブルキナのサヘルでは、一眼レフは、プラスチックバックで完全防備して持っていた。防御していなかった古いデジタルカメラは、この旅で成仏したのだった。(笑)記事によるとサラサラの砂の上を歩き続けるのでかなり疲れるらしい。5日間で全行程100km。砂漠故日較差が大きいので、明け方テントには霜が降りる。かなり過酷。でも目的地のオアシスにたどりついた時の感激は最高らしい。…凄いな。

2つ目は、カメルーン・中央アフリカのロベケ国立公園フォレスト・トレッキングとサンガ・サンガ」探訪14日間。カメルーンの南東部の熱帯雨林が広がるロベケ国立公園を2泊3日でキャンプしながらピグミーの人々と一緒に森を歩き生活の知識を学ぶ。サンガ・サンガ特別保護区は中央アフリカにある。中央アフリカに入国するということ自体が凄いと私は思う。アフリカウォッチャーとしては、こことエリトリア、赤道ギニアなどはかなりヤバいと考えている。最後の文章が凄い。”アフリカ一深い森に滞在しながら、神秘的な美しさと圧倒的な自然に包まれる14日間、湿度の高い中でのキャンプ泊、暑い中でのトレッキングが主となりますので、アクティブで前向きに楽しめる方のご参加をお待ちしております。”

この2つのツアー、かなりの覚悟と体力が必要。それと資金も必要。チュニジアは50万円弱、カメルーン・中央アフリカは97万円弱。もう少し若くて、体力に自信があって、お金持ちで暇さえあれば行きたい。(笑)道祖神の旅は、実にワイルドだぜー。

2023年6月13日火曜日

米国益 日本の死活的重要性

http://www.asahi-net.or.jp/~dj7h-nw/stangun/event/navybase/navybase1.html
「メディアが報じない 戦争のリアル」(小川和久/SH新書)の重要事項のつづきである。「2022年緊縮の時代の国防」という匿名の米国防総省高官論文が公表された。国防費の1/3削減の必要性を強く訴えたものだが、日本の根拠地機能だけは逆に強化し日本を足場として中国と対峙してくべきだとしている。実際、日本はアメリカの数ある同盟国の中でも最も死活的に重要だとされている。その理由は、第7艦隊が日付変更線から喜望峰までのエリアを担当しているだけではなく、以下の3点で米本土と同じ水準の機能を持つからに他ならない。

その1は、出撃機能である。第7艦隊は世界最大最強の艦隊で、横須賀を母港にしていることは前述したが、米本土以外で米空母が母港を置く国は日本のみで、イギリスにも常駐していない。沖縄の第3海兵遠征軍は、アメリカが唯一海外に置く緊急即応部隊で航空機や船舶を使い素早く展開できることが、イラクのクウェート侵攻時に証明されている。

その2は、横浜、佐世保、八戸に燃料を貯蔵している。横浜の貯蔵量は国防総省管内sw第2位、佐世保は3位の貯蔵能力がある。日本に置く燃料で第7艦隊を10回満タンにして半年間戦うことができる量である。米陸軍の弾薬庫は、広島・長崎・沖縄などにあり、広島の弾薬貯蔵能力119000tは、自衛隊の全備蓄量を上回る。沖縄の空軍第400弾薬装備中隊は米軍で最大の管理部隊である。

その3は、情報機能で、三沢と沖縄楚辺には以前象の檻と呼ばれる世界最大級の電波傍受アンテナが置かれていたが、今は技術の発達でなくなってはいるものの、三沢はNSA(国家安全保障局)と英語圏5カ国(米・英・豪・加・NZ)による通信傍受組織エシュロンの重要拠点となっている。

それだけではない。横須賀基地(画像参照)は首都に近く交通の便が良いこと、京浜工業地帯に近くインフラが整っていること、旧日本海軍のドッグがあり、高度な整備や補修ができる技術スタッフがあり、部品の集積もあり、原子力関係を除き、米本土の海軍工廠を上回る能力があるという評価を得ている。また空母は港に入る前に艦載機を地上に下ろすが、近隣に厚木飛行場があり高水準のスタッフが配置されている。さらに巡洋艦や駆逐艦なども同時に入稿でき、メンテナンスを受け入れることができるのが、横須賀であり佐世保なのである。

以上のような機能を提供できる国は日本しかなく、日米関係は米国にとっても死活的に重要なのである。日米安保の同盟県警は、米国の国益にとっても重要なのである。

2023年6月12日月曜日

在日米軍と第7艦隊

http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_
data/2012/2012/html/n3213000.html
「メディアが報じない 戦争のリアル」(小川和久/SH新書)に現在(2022年8月現在)の在日米軍と第7艦隊について記されている。日本に配置されている米軍人は、陸軍が2000人、海兵隊18000人、海軍6000人、第7艦隊13000人、空軍15000人、合計54000人で、在日米軍司令部は東京の横田基地にある。扶養家族は45000人、国防総省の文官・請負業者(軍属等)は8000人、日本人の労働者が25000人。

米海軍の第7艦隊は、米太平洋艦隊司令官(在ホノルル)の指揮下にある前方配備海軍の一部で在日米軍には含まれないのだが、第7艦隊司令部を置く旗艦ブルー・リッジ(揚陸指揮艦)。空母打撃群(第5空母打撃群)を構成する原子力空母ロナルド・レーガンやミサイル巡洋艦・ミサイル駆逐艦(いわゆるイージス艦)など14隻が横須賀基地を母港に、強襲揚陸艦1隻と揚陸艦4隻が佐世保基地を母港にしている。

在日陸軍司令部はキャンプ座間(神奈川県)にあり、司令部と兵站施設管理部隊が主で、実戦部隊はトリイステーション(沖縄県)の特殊部隊(グリーンベレー)以外いない。

海兵隊は、米海兵隊海外遠征軍の1つ第3海兵遠征軍の司令部を沖縄県のうるま市にキャンプ・コートニーに置いており、第3海兵師団、第1海兵航空団、第3海兵役務支援群で編成され、第3海兵遠征旅団、第31海兵遠征ユニット、第3海兵遠征軍情報グループが含まれる。第1海兵航空団のうち第12海兵航空群(F35B等)は山口県岩国基地に、第36海兵航空群(オスプレイ等)は普天間におり、これらの実戦部隊の基地・施設の維持管理を担当する海兵隊太平洋基地は沖縄県のキャンプ・バトラーにあり、ハワイと韓国の海兵隊施設も管轄している。

在日海軍司令部は横須賀基地にあり、横須賀・佐世保の他、嘉手納・厚木・三沢の海軍航空施設隊を指揮下においている。インド洋のディエゴガルシア、シンガポール(英国防省が米海軍に貸している海軍支援施設)も在日米海軍司令部の指揮下にある。

在日米空軍司令部は、第5空軍司令部とともに横田基地にあり、第5空軍司令部は、青森県三沢基地の第35戦闘航空団(F16C/E)、嘉手納基地の第18航空団(F15C/D・空中給油機KC135・早期警戒管制機E3B/C/G・輸送機MC130H/J・大気収集機EC135等)、横田の第374空輸航空団(輸送機C130J)を指揮下においている。在日米軍司令官・第5空軍司令官は1人の空軍中将が兼務している。

国内の在日米軍施設・区域は77箇所、総面積は263㎡で国土の0.07%。周知の事実だが、沖縄に集中している。ちなみに、韓国の在韓米軍は28500人規模で、陸軍20000人、空軍8000人、残り500人が海軍・海兵隊・特殊部隊という陣容で日本とは大きく異なる。

今日のエントリーは、貴重な情報を記して置くことにとどめたい。

THE ALFEEのこと Ⅶ

久しぶりにTHE ALFEEのことをエントリーしたい。たまたまニュース記事を読んでいたら、週刊朝日が休刊になるとのこと。ミッツ・マングローブ氏がTHE ALFEEのことをこの週刊朝日に書いていて、高見沢がそれに感激したとの話が載っていた。

THE ALFEEへの消費者意識改革という記事がそれである。https://dot.asahi.com/wa/2022100600019.html

ここで、ミッツ・マングローブは、『尾崎豊やBOOWYのような神格化や、ユーミンやサザンのような征服感もなく「THE ALFEE」は粛々と歩みを進めてきました。』と書いている。たしかに、私もTHE ALFEEの良さを知ったのは最近だし、一世風靡するようなヒット曲はなく、それでもシングルを発売すれば、常にベスト10入りするという無茶苦茶着実な歩みを進めてきたのである。これはただひたすらLIVEを続けてきて、熱烈なファンを維持してきたが故の話で。ただならぬアイドルであるということを示しているという話だ。たしかに、私より年齢が上のTHE ALFEEがアイドルであるというのは摩訶不思議な感じがするが、事実である。

ところで、先日『星空のディスタンス』をなんとなく口ずさんでいて、気づいたことがあった。いまさらと笑うなかれ。”500マイル”という歌詞が何度か出てくるのだが、これは、ピーターポール&マリーなどが歌ったスタンダードナンバー”500マイル”にかけているのだということにふと気づいた。ちなみにLIVE映像では、最後のほうで桜井がFive handretd milesと英語で歌うとき、観客は手のひらを広げて500マイルに対応している。アイドルなんだよなあ。THE ALFEEは…。

2023年6月11日日曜日

LGBT法案は新しい「物語」か

https://blog.excite.co.jp
/nyliberty/29600957/
LGBT法案が来週にも衆議院を可決する見通しであるらしい。恐ろしく拙速である。私自身は、この法案に対してエポケーしている。様々な問題を含んでいる故である。保守派だけでなく、関係団体も疑義を出しているし、女性の反発も大きい。できれば今国会では審議未了廃案になってほしいと思っている。参議院も衆院のカーボンコピーという批判をかわすチャンスであると思うのだが…。もっとゆっくりと審議すべきだと思う。

フーコーのいう「物語」という語彙は実に的確に現代を照らしている。マスコミは本来なら民主主義を守る第三の権力なのだが、世論操作ばかりで信用ならない。いつのまにか正義が語られ「物語」が作られていく。あのコ話も、コのワ話も物語。SNSの発達は、それらを全て丸裸にしてしまう。この法案も拙速すぎる故に、きっと誰かがシナリオを書いた「物語」だという不信感を私は拭えない。

今回の物語は、誰がシナリオを書いているのだろうか。少なくとも一神教的伝統からは生まれない。旧約の「産めよ増えよ地に満ちよ」という創世記の神の言や、ソドムの話などから否定的な立場だといえる。まあ、ムスリムや(まともな)カトリック教徒、キリスト教原理主義からは出てこない。意外に非一神教世界では、LGBTの人々との融和関係にある。宇宙や自然との合一を解く故に対立を好まないからだと思われる。だが、融和世界ではあえて、法案化するとも思えない。結論などでそうもない話になる。昨日は、病院の定期診断に向かう車中で妻とそんな会話をしていたのだった。

この物語の最終話に、皇室典範の改正があるのではないかという批判もある。そんな大事が秘されているからの拙速であるならば、姑息も極まれリである。そういう輩は排除されてしかるべきだと思う。

2023年6月9日金曜日

駅に置き傘

http://www.tsuchibuta.com/
jr-west/katamachiline/
12tsuda/12tsuda.htm
梅雨に突入して、傘を持って通勤する日が多くなった。今朝も、強い雨が夜のうちに降って、降雨はなかったのだが、一応傘を手にして駅に向かった。ちょうど6時くらいの話である。少し早めに着いたので、プラットホームの椅子に腰掛け、本を読んでいたら電車が来たので慌てて乗った。

だいぶたってから、傘を持っていないことに気づいた。今更仕方がない。四国で買った思い出の傘だが仕方がない。あーあ。

学園での授業が終わり、くたくたになって津田の駅に着いた。うまく行けば駅員さんが保管してくれているかもしれないと一縷の望みを持っっていたのだが、なんと、椅子のところにそのまま置いてあった。(笑)

10時間以上もそこにあったことになる。まさに、駅に置き傘。

2023年6月8日木曜日

台湾侵攻のリアル2

https://note.com/pkuta
ragi/n/n895993e47741
「メディアが報じない 戦争のリアル」(小川和久/SH新書)の続きである。台湾有事論が非科学的な理由のその二は、上陸適地の問題である。3000人規模の機械化部隊を上陸させるには、岩礁など障害物がない幅2kmほどの海岸線が必要で、台湾本島の海岸線の10%強、14箇所しかない。(上記画像)この限られた上陸適地に進み、台湾側の砲兵部隊の射程外70kmあたりの海域で、輸送船から上陸用舟艇やホバークラフトに移乗、海岸線に殺到することになる。

この場合、航空優勢を確保していないとさらに厳しい。台湾側は限られた上陸適地に部隊を集中させることができるし、台湾が注力してきた高速ミサイル艇も大きな脅威になる。陸海空から壊滅的な損害を被るのは必定である。100万人のうち何万人が上陸できるかわからない。たとえ上陸できたとしても予備役200万人が待ち構えているわけで、冷静に考えれば、台湾占領など不可能だといえる。

福建省に1600発以上を展開している短距離弾道ミサイルを使い、台湾の政治・経済・軍事の重要目標を攻撃し、混乱に乗じて傀儡政権を樹立する斬首戦もあくまでシナリオとしては存在するのだが、これはアメリカとの全面戦争を招く危険が大きすぎるので、中国が採用するとは到底思えない。

上陸作戦云々は、脅しに過ぎない。著者によるとプロ同士で話せば、人民解放軍の将軍たちも素直に認めているところであるそうだ。

2023年6月7日水曜日

台湾侵攻のリアル

「12万円で世界を歩くリターンズ」では、中国の長江を船で遡る旅の話が出てくる。今は三峡のツアークルーズでしか船に乗れないという話なのだが、そこで中国の団体客とともに食事するシーンがある。まさに、人口圧。我先に大声で話しながら食事をしている姿が目に浮かぶ。このストレスは読んでいるだけでまとわりついてくるようだ。マレーシアにも中華系の人々は多いが、性格的にはるかに温厚だし、人口圧がないので、このようなストレスは一切感じなかったのだが、大陸の状況は、何度か行ったので皮膚感覚でわかる気がする。

さて、その中国である。「メディアが報じない 戦争のリアル」(小川和久/SH新書)には、その中国・台湾問題のリアルが第2章になっている。副題は、軍事的合理性のない「台湾有事論」に踊らされるな、である。日本には、科学的な視点=軍事に関する常識がかけていると著者は指摘する。
具体的には、中国軍が台湾本島を攻めて侵略するとした場合の「着上陸作戦」(上陸作戦+空挺部隊の侵攻故こう呼ぶらしい。)の考察である。支援作戦として、サイバー攻撃による台湾防衛体制の撹乱、情報組織による国内での騒乱、上陸地点への特殊部隊による攻撃も行われる可能性が高いのだが、そもそも着上陸作戦は、兵員や武器、弾薬、燃料、食料などの準備、戦闘艦艇・輸送船・上陸用艦艇の調達、物資や武器の積載や兵員の乗船、出航から上陸までの海上輸送、現地の海岸や港湾での上陸と荷揚げといった条件をすべて満たす必要がある。どれが欠けても成功しない。
実現可能性を考えると、第1に中国の海上輸送能力に問題がある。台湾の総兵力は海兵隊1万を含む陸軍10万人、海軍250隻・20.5万t、空軍作戦機520機(令和3年防衛白書)今は徴兵制はなくなっているが48時間以内に200万人の予備役が投入できる。軍事の常識では、攻める側は守る側の3倍以上の兵力が必要であるので、台湾軍の反撃で損害が出ることを前提に上陸作戦を成功させるには、中国軍はざっと100万人規模の陸上兵力が必要という計算になる。
こういう場合、重量トンではなく、容積トン(1容積トンは約1.13㎥)で計算するのが世界共通で、人間1人は4容積トン、重量40トンの戦車は90容積トンとなる。100万人規模の兵力で計算すると、3000万から5000万トンという膨大なものになる。これは中国の保有する商船の6200万総トン(2020年末統計)の大半を振り向ける必要があることになる。
しかも、優れた対艦戦闘能力を持つ台湾軍と自国の国益のために米軍が攻撃したとして、約半数が洋上で撃破されることになる。

…なるほど。冷静に計算すると、台湾侵攻は「物語」でしかないわけだ。最近は、こういう「物語」が多すぎて、政治不信・マスコミ不信が強くなっている。…つづく。

2023年6月6日火曜日

12万円で世界を歩くreturns

地元の図書館で、下川裕治本を見つけて借りてきた。昔、「12万円で世界を歩く」という本があって、当然下川裕治のファンである私も読んでいる。そのリターンズという赤と黄色の文庫本2冊である。30年の時を超えて、今一度その行程を同じ金額で辿ろうという趣旨である。

貧乏旅行作家という不名誉な称号を持つ下川裕治も60歳を超え、体力的な衰えを感じながら、30年前の旅に挑戦していく。その辺はあまりに同苦してしまうところであるが、どちらかというと、それ以上に変化した社会を描いている。

30年前というと、私が初めて一人旅(=貧乏旅行)にでかけたニューヨーク行を思い出す。「12万円で世界を歩く」では、「格安航空券」を使い、さらに(格安で乗り放題の)グレイハウンドの全米周遊パスで、全米を一周している。私も、エイビーロードという雑誌を購入して最安値の航空券を探し出した。ソウル経由のアシアナ航空だった。この航空券はリコンファーム(帰路に乗る前の確認電話)が必要で、ニューヨークの公衆電話から、アシアナ航空の支店に電話したことを記憶している。サバイバルイングリッシュでなんとか通じた。(笑)少し調べてみたが、当時のニューヨーク地下鉄では、トークンという5円玉のようなコインで同一料金で乗れた。今は、当然ながら使われていないようだ。うーん。まさに今は昔である。

さすがに、アメリカのグレイハウンドを使うことはなかった。3度めのアメリカ行からはレンタカーを利用した。当時のグレイハウンド社のバスは、貧困層の人々の乗り物で、かなりリスキー‐だったし、下川氏の本の情報によると極めて長時間にわたり、過酷だと感じていたので避けたのだ。乗り場であるバスディーポもかなりリスキーだと言われていた。しかし、2度めのアフリカ行ではグレイハウンド社のバスを利用して南ア・プレトリアからジンバブエ・ハラレまで往復した。アフリカでは、グレイハウンド社のバスは最高級扱いで当然値段もそれなりなのだが…。ローカルの恐ろしげなバスがたくさん存在していたことを国境やジンバブエのバスターミナルで知った。きっと運賃は安いだろうが外国人には販売していなかったと思う。 

安い移動手段だったアメリカのグレイハウンドもかなり高くなっていたし、アジアでは、LCCや高速鉄道ができて、大きく様変わりしていた。さすが30年という月日の変化は大きい。もうひとり旅することもないだろうが、今や携帯電話でホテルや交通機関を予約し、グーグルマップで検索しながら移動する旅になっている。デジタルデバイドの私などは、もうついていけない気がする。

2023年6月4日日曜日

高槻 SALAM COFFEE に寄る。

狂言を見に行く前に、SALAM COFFEEというイエメン人のタレックさんがやっているモカ・コーヒー専門店に寄ってきた。タレックさんのことは、You Tubeで知ったのだが、イエメンにはいろいろと縁がある。何を隠そう息子夫婦の出会いの場所がイエメンの首都サヌアである。(笑)初めてそのことを知った時は我が夫婦はのけぞった。(笑)長くフーシ派との内戦が続いており、世界遺産・サヌアの高層建築軍も破壊されたと聞いている。サウジとイランの国交回復で、内戦もようやく終わろうかとしている。マスターはそんなイエメン情勢の解説のためにYou Tubeに出演しておられたのである。

https://www.youtube.com/watch?v=qPdpKti-9Aw&ab_channel=%E3%80%90%E8%B6%8A%E5%A2%833.0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%80%91%E7%9F%B3%E7%94%B0%E5%92%8C%E9%9D%96

本格的なモカコーヒーの専門店で店舗は小さいが、You Tubeのお陰でかなりネット販売が好評らしい。ちょうと新たに入荷したとのこと。我が家は、モカではなくデーツを購入したのだった。色々話を伺っていたのだが、京都にある息子夫婦の中東カフェ「Finjan」のこともご存知であったのには驚いた。是非一度行きたいと言われていた。もしかしたら、なんらかのジョイント・イベントが行われるかもしれない。ちょっと楽しみである。

SALAM COFFEE 大阪府高槻市津之江1-60-1 050‐316‐38488 https://mochaorigins.com/ 

高槻に狂言を見に行く。

https://kyotokyogen.com/schedule/
前から楽しみにしていた茂山一族デラックス狂言会に行ってきた。高槻市の高槻城公園文化劇場南館のこけら落とし公演でもある。演目は、狂言らしい狂言で太郎冠者も出てくる「延命袋」と40人を超える狂言で最も演者の多い「唐(とう)相撲」である。

「唐相撲」は、唐の帝王が、日本に帰りたいという力士に、もう一度相撲が見たいというわけで、臣下を戦わせるのだが、全て負けてしまい最後は自ら相撲を取ると言い出す「曲」である。自宅に帰ってから、能舞台で行われている過去の唐相撲のYou Tubeを見たのだけれど、今日の舞台のほうが遥かに見応えがあった。https://www.youtube.com/watch?v=Yj3xlVkt728&ab_channel=clubsoja

というのも、能舞台に比べはるかに舞台面積が広いので、中央に玉座があり、三列に全出演者が座しており、迫力が違う。しかもホリゾントの照明もシンプルかつ効果的に使われていたのである。狂言にしては、衣装が中国風で派手なので、映えるわけだ。相撲と言っても裸ではない。(上記You Tubeや今日の画像を拡大するとわかる)相撲の内容が、コミカルで実におかしい。仕草の一つひとつも狂言であるので実に楽しい。

演者の中には、幼児も入っていて、頑張って大人に合わせていた。それが可愛い。今回は一般応募の出演者もいて、とにかく大人数なのだ。また日本人力士と通詞兼行事役以外の唐人役はすべて「唐音」という中国語風の発音を真似た創作の言葉を使う。これがまた意味もなくおかしい。

実に楽しい時間を過ごさせてもらった。

2023年6月3日土曜日

ベルギー国王の毅然

https://all-about-africa.com/africanews-219/
ベルギー国王が、中国に毅然と物申している。「文化の歪曲を止め、コロナ19に対する責任を取れ」このフィリップ国王は他のヨーロッパの君主国に比べて比較的政治的な影響力を持っている。と、いうのもベルギーはフラマン人とワロン人間の言語的な対立があるからだ。国王は両者を取り持つ要的存在である。

国王は、2020年6月30日、コンゴ民主共和国に対して、自筆の手紙を送り謝罪を行った、コンゴで2000万人を虐殺したと言われる当時の国王レオポルド2世の像に赤いペンキを塗り、アフリカの人々の人権を踏みにじった犯罪者である、と公式化した。珍しく気骨のある真っ当な人だ。

中国資本が多く入っていながら、臆することなくベルギー国会で中国批判の演説を行った。「日本を含む多くのアジア諸国に住む中国人の犯罪率が著しく多いという事実を根拠に、中国は人為的な愛国心を高めるための中華思想教育ではなく、国民に対する基本的な道徳教育を行うべきだ。」さらに、現地で婦人を助けた日本人青年に無実の罪を着せ”日本人は悪い”として逮捕するような、中国のやり方・嘘に対し毅然とした態度で発言している。ベルギー国民が賛同し、世界に拡散中である。
「ベルギー国王の断言に戸惑った中国政府」以下がYou TubeのURL。
https://www.youtube.com/watch?v=PrTZ4GG7uLU&t=357s&ab_channel=%E4%BB%8A%E6%97%A5%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC

中国共産党の本音

https://www.polandballwiki.com/wiki/Chinaball#/media/File:A_new_year_celebrating_PRCball.jpg
「不識塾が選んだ資本主義以後を生きるための教養書」(中谷巌/集英社インターナショナル)を,木曜日に市立図書館に返却したのだが、最後にこれだけはエントリーしておこうと思った内容がある。塾のメンバーが海外視察で中国を訪れた時に、某有名大学の副学長(法学専門)らと、知的所有権問題、国際市場でのダンピング問題、国際連合のあり方などについて議論した時に漏れた彼らの本音の内容である。(P118)

「我々は、火薬や印刷、羅針盤などの特許料をいまだもらっていない。欧米人こそ知的所有権を侵害している。」「そもそも中国は欧米的な法治国家を目指していないし、法治国家はおろか民主国家にも絶対ならない。」「WTOのルールはこれまで米国が主導してきたが、これからは中国と米国で作っていくので日本に文句を言われる筋合いはない。」「国際連合は戦勝国連合だから日本とドイツは永久に常任理事国にはなれない。」

これが中国共産党の本音であるらしい。

2023年6月2日金曜日

大雨警報 奇妙な一日

気象庁HPより 18時現在
台風の影響でまたJRが遅れたり止まったりする可能性が高いので。今朝はいつもよりだいぶ早く妻の運転で駅に向かった。6時10分発の新三田行き普通が来たので飛び乗った。まだすいていたので座って三田まで。ひたすら昨日市立図書館で借りた「メディアが報じない戦争のリアル」(小川和久/SB新書)を読みふけっていた。順調に進んでいたのだが、携帯のアラームが鳴った。枚方市に大雨警報が出た。三田市を見たら同じく大雨警報。学園が休校になる可能性が出てきた。

伊丹、川西池田、宝塚を過ぎても学園生の姿はない。結局三田に着いても姿はなく、休校を確信した。とはいえ、万が一のこともあるのでそのまま学園に向かった。結局、教頭先生に確認したが、大変申し訳無さそうに、「10時に警報解除はないと思いますので、JRが止まらないうちに御帰宅ください。」と言っていただけた。このような場合、遠距離通勤の私に学園からの休校連絡は間に合わない故である。(笑)いつも教頭先生には気を使ってもらい、反対に申し訳なく思うのである。

とはいえ、急いで戻ることにした。幸い、朝なので、同志社前行きの区間快速が三田駅から出るようだ。帰路はいつも尼崎や宝塚で乗り換えるのだが、珍しく直通で帰宅できた。妻に連絡すると、タクシーで帰ってきても良いということで、かなりの強い雨脚だったし、数年ぶりに最寄り駅からタクシーに乗った。

その後、我が自宅は土砂崩れ警報もだんだん上がっていき、レベル4まで上がった。幸い我が自宅は山肌に面していないので全く心配しなかったのだが、近くの山肌を背にしたお宅は不安だったのではないかと思う。先程、その警報も解除された。奇妙な一日だった。

2023年6月1日木曜日

しめやかな激情 戦闘的な恬淡

https://forzastyle.com/articles/-/62236
ハーバード大学のサンデル教授が大谷翔平君のある日本人ならではの能力(謙虚な姿勢)を大絶賛しているというYou Tubeを今日見た。https://www.youtube.com/watchv=SgP9u21DZ0w&ab_channel=%E3%82%A8%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%AB%E5%88%97%E4%BC%9D

先日、「西田哲学の絶対矛盾自己同一」の最後に、和辻哲郎が、日本人の特性を「しめやかな激情、戦闘的な恬淡」と表現していることをエントリーした。(5月24日付ブログ参照)まさに、大谷君は、この日本人の特性を体現しているといえるだろう。

しめやかな激情…さすがにWBCのメキシコ戦では、2塁打を打った後、大きなジェスチャーで味方を鼓舞したし、アメリカ戦でトラウトを見逃し三振に討ち取った後、帽子を飛ばし喜びを表現したけれど、MLBでは、勝ちたいという闘志をうちに秘めている。だからこそのストイックな、ハード・トレーニング、食事管理・体調管理をしているわけだ。

戦闘的な恬淡…大谷君は、対戦相手を常にリスペクトしている。審判に対しても、審判の名を呼び、きちっと礼を尽くしている。これは、様々なインタヴューでもそうだ。「なおエ」が流行語になっているが、先発して勝利投手の権利を得ても、ホームランを打って打撃で貢献しても、後続のピッチャーが打たれ、「なおエンゼルスは負けました」が多い。だが、それを口に出して非難することはない。(本当はしたいだろうけれど…。)まさに、柔道や相撲の礼に始まり礼に終わるという、相手をまた味方をリスペクトする姿勢を貫いているようだ。

授業で、私は「しめやかな激情」については、「目は口ほどに物を言う」という日本人的な感覚を、「戦闘的な恬淡」については、敗戦直後、マッカーサーが厚木に到着し、皇居前のGHQ本部に移動する時、オープンカーのジープに乗り、凱旋パレード的に移動したのだが、これを見に来た群衆からマッカーサーを守るために、つい先日まで戦っていた日本陸軍が、天皇の命を受けマッカーサー背を向け警護したという事実を伝えた。マッカーサーも豪胆だが、天皇の指示を受けて恬淡を貫いた軍も凄いと私は思う。

この和辻哲郎の言葉を実践する大谷翔平君、絶対矛盾自己同一を成し遂げている姿に、サンデル教授を筆頭に世界中が感動しているのだろう、と思う次第。