2015年4月30日木曜日

村落開発普及員 武部氏の事

TVのHPより
さきほどTVで、たまたまガーナの貧村アチュワ村にJOCV・村落開発普及員として派遣され、活躍した武部寛則氏の話が放送されていたのを見ていた。アフリカを愛する私など、涙なしで見れようか、という内容だった。で、急遽エントリーしておきたい。

村落開発普及員というのは、専門性のないJOCVで、コミュニケーションを図りながら貧しい村を開発するという、言うは簡単、やるのは至難の仕事である。武部氏も何の専門性もなく、この村にやってくる。アクラに比較的近いので、最初養鶏による元気収入の道を探ろうと考えたようだが資金がなく挫折。その後少数の人々が自給とわずかな現金収入を期待して植えていたパイナップルに活路を見出し、徐々に村人の信頼を勝ち得ていく話だ。

私がこれまで出会った村落開発普及員で大成功した例は、マラウイの山田耕平さんくらいである。ディマクコンダというエイズ対策の歌をつくり、マラウイ全体に流行らせた人だ。昔JICA大阪で直接お会いしたこともある。その時、村落開発普及員という仕事に疑問を抱いたのも事実。専門性がないのに、開発のためにひと肌もふた肌も脱ごうというのだ。なまじっかな気持ちではなれないと思う。だからJOCVの中でも批判もあるらしい。

だが、今日のTVで見た武部氏の純粋な情熱は凄い。本当に感動した。しかも、病人の村人を運ぶさなかに交通事故で亡くなってしまっている。

この村では、彼は今も「長老」であり、彼への感謝の念は決して消えていない。こういうまだ知られていない凄いJOCVをこれからもどんどん紹介して欲しいものだ。

http://matome.naver.jp/odai/2140426454997701001
http://jiburi.com/takebehironori/
http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/150430_2.html

ケータイ安全教室

人権教育主担として、全校的な講演会を本校では年に3回やることになっている。今日はその第1回目、生活指導部との共催でケータイ安全教室を行った。NTTからTさんという女性講師に来ていただき、パワーポイントとVTRを使って約1時間講演をしていただいたのだ。

私は、こういう時こそ生徒の自主性を重んじたいと思っている。で、3年体育科の野球部のキャプテン、総団長(各クラスの団長8人のトップ・リーダー)の2人に、起立・礼・着席の合図を頼んだ。さらに3年生全体に協力を呼びかけた。普通科5クラスを教えていることも有利に働いたようで、彼らの号令に3年生はすばやく対応してくれ、1・2年生も慌てて起立してくれた。(笑)

これには講師のTさんもいたく感激していただけたようで、最初の出だしがよかったのか、静粛なまま充実した1時間が過ぎたのだった。

今日、3ランを打ったイチロー選手は、「特別な時間は自分でなく人がつくってくれる。」とチームやファンの喜びようを表現した。今日の講演会も、私はそう感じたのだった。ありがたいことだ。

その後、快晴の空の下、生徒はスポーツテストに取り組んでいた。私はというと、時間割の最終確認を教務部のメンバーとひたすらしていた。鼻炎で100回以上鼻をかむような体調の悪さであった。時間割のプリントアウトが終わった後、2年5組の卒業生のY君とSちゃんが来て顔を見せてくれたのだが、ゆっくり話もできなかった。今日は薬を飲んで早く休むつもりだ。

2015年4月29日水曜日

ブルンジの大規模デモ

http://www.africamission-mafr.org/fides150.htm
ブルンジが大統領三選を巡って混乱しているようだ。大規模デモが起こり、6人が死亡、2万5000人がルワンダなどへ避難したという。ブルンジは元ベルギー領。ルワンダ同様、支配階級としてのツチ、非支配階級としてのフツというふうに新しい民族区別によって植民地支配が行われた。このシステムが未だに尾を引いている。ツチとフツの対立によるルワンダ虐殺は有名だが、ブルンジも内戦を繰り返してきた。今回の三選問題は、ヌクルンジサ大統領が、憲法にある大統領の三選禁止を覆そうとしていることに由来する。

彼はフツ人である。内戦中、ツチが多い軍部がクーデターを起こし、大統領を出した。これには国連やAUが経済制裁をかし、どうにもならなくなったところで行われた総選挙で、最大与党の党首だった彼が大統領になった。彼は、最初議会で選ばれたので、大統領選挙自体は今回が2回目であると主張。同じフツの他党候補から批判されている、というわけだ。この混乱にツチ=軍部も動くと、避難民はおそらく考えたのだろう。

ブルンジは、アフリカでも最貧国として知られている国である。ガバナンスの悪さによって、紛争の罠に陥り、経済が悪化するというポール・コリアーの定義どおりの話である。深い溜息をつくしかない。

2015年4月28日火曜日

朝日 独紙記者への政府の攻撃

朝日の朝刊に興味深い記事が載っていた。内田樹先生のブログに、日本駐在員だったドイツのフランクフルター・アルゲマイネ紙の記者の「告白」が載っていて話題になっているというのである。あるべきことか、彼の書いた安倍政権批判記事に対して、在フランクフルトの外務省官僚が異質な抗議をしたというのだ。外国人特派員の中でも、最近の日本政府の変質に批判が集まっているらしい。
<内田樹先生のブログ>
http://blog.tatsuru.com/2015/04/10_1343.php
<朝日新聞の記事>
http://www.asahi.com/articles/ASH4P6GZ3H4PUHBI02T.html%20target=

民主主義国という大看板を掲げながら、国家権力が言論を抑圧するのは例のサンケイ新聞の件の韓国ぐらいかと思っていたのだが、日本も同じだ。先日のNHKと朝日放送を自民党が呼び出したり、この独紙記者への攻撃といい、どうも日本政府がオカシイ。

ネパール大地震の死者が4400人を超えたそうだ。現地では日本から派遣された方々の懸命な救助活動が始まった。そんな中、首相はワシントンDCで、ご満悦のようである。それはそれでいいのかもしれないが、わざとらしく、USホロコースト博物館に行っている。(この博物館は凄いし、私としては超オススメであるのだが…。)先日私が日経の記事を読んでエントリー(23日のブログ参照)したように、ユダヤロビーが今回の訪米・議会演説をバックアップしていることが、はっきり証明された。かの杉原千畝氏に助けられたユダヤ系アメリカ人まで登場させてのアピール。これらを演出した外務省の官僚はしてやったりだと思う。杉原千畝氏は外務省を追われて名誉回復が行われたのは没後14年もたってからのことである。この辺の厚顔には呆れかえる。

要するに、品性に欠けるのだ。ワシントンでも大阪でも。よく世論調査で、支持する、しないの理由で、「人柄が…」というのがあるが、まさにそれである。佐藤優の「世界史の極意」に出てくる新・帝国主義の品性そのものである。

2015年4月27日月曜日

今日嬉しかったこと。三題。

暑い一日だった。今年も月曜日は授業が多く、1・2・4・5限とわりとキツイ。そんな1日だったのだが、嬉しかったことが3つあった。

まずは、授業でのこと。世界史を教えている5クラスの中で、5組は進度が一番早い。私くらいのベテランでも、やはり最初に教えるより、最後のほうがうまくいく。5組には申し訳ないと思うのだが、仕方がない。世界史Bは、まず一神教を系統的に教えている。今までは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教と順に教えていたが、まずはその共通点を教え、次にその違いを教えていくという新しい方法だ。今日は、三宗教の律法についての捉え方を、神の定めた法という視点から話していた。高校生には、結構難解な話なのだ。

ユダヤ教は多くの預言者が神のコトバを預かり聖書化した。さらに律法学者がそれを膨大なものにしていく。とはいえ、これを学び守るのが信条だ。一方、キリスト教では、ユダヤ教の形式主義をイエスが批判し、律法の成就という概念が生まれる。キリスト教は律法を守る必要がないのだ。「だから、豚を食べれるのだ。」と言うと皆うなずく。(笑)イスラムは、最後の預言者・ムハンマドによりコンパクトにまとめられている。てなことを教え、キリスト教は、神から与えられた法がないし、イエスの福音書も明確なコトバではないことが多い。だから、キリスト教徒は、神の設計図を求めることになる。神はどんな世界をつくろうとしているのか?近代科学や民主主義はここから生まれることになる…。後ろに座っている男子諸君が、なるほどと頷いている。授業の最後に、コーランを持って行っていたので見せた。チャイムが鳴ってしまったので、「興味がある者は見においで。」と言ったら、彼らが来た。「意外に小さい本ですねえ。」「イスラムは神の法がコンパクトにまとめられているのだ。」と言うと、なるほどと目が輝いていた。嬉しいではないか。「授業、面白いかあ?」と聞くと「ハイ。面白いです。」教師冥利につきるではないか。

放課後、T君というよりR君、H君というよりHちゃんが、職員室を覗いてくれた。先日I君が来てくれて、これで里帰りしてくれた4組の卒業生は3人になった。みんなすっかりレディになっている。(笑)嬉しいものだ。私の机上のパソコンの壁紙は卒業式の最後の記念写真である。これを見て、「うわー、懐かし!」と言ってくれる。正直、卒業生を出した後は寂しいものだ。元気そうな卒業生の顔を見て、疲れが吹っ飛んだ。これも教師冥利につきる話だ。

最後に嬉しかったこと。大好きなマリーンズのイチローが頑張っている。先日、日米通算で王さんの得点記録を抜いたのだ。控えという立場をひっくり返し、今や先発。3割の打率を叩きだしている。チームにも溶け込んでいる。記念にホームベースを皆から送られたという。もちろん、ファンも記録をたたえてスタンディング・オーベーション。アメリカ人の率直さを感じる次第。こういうシーンを見させてもらうと、やっぱりアメリカを嫌いになれないんだなあ。

…ところで、ネパールの大地震、世界中の救助隊の方々の奮闘をお祈りしたい。1人でも多く助け出してあげてほしい。そう祈らずにはおれないのだ。

2015年4月26日日曜日

ネパールの地震

衝撃的なニュースだった。ネパールで(現在のところ)2000人を越える死者が出た大地震。日本政府も今日の午後、救援隊が出発したらしい。こういう災害の時こそ、各国のガバナンス能力が問われる。日本で研究を進めてきた災害対応を発揮できる時でもある。日本の災害では行方不明者発見犬が使われたり、今話題のドローンの利用など様々な研究が進んでいる。一刻も早く現地に到着してほしいものだ。

東北大震災のとき、世界中から支援を受けた日本。関係各位の無事と貢献を祈りたい。また、これからのネパールの再建にも大いに貢献して欲しいものだ。

ネパールを愛する日本人は多い。私は行ったことはないが、ネパール本はかなり読んでいる。1000人以上の滞在者がいるというのは、なかなかのものだ。

バヌアツのスーパーサイクロン、チリの火山噴火、そしてネパールの地震と、まるで地球が怒っているような日々が続く。

2015年4月25日土曜日

佐藤優 「世界史の極意」を入手。

佐藤優の「世界史の極意」(NHK出版新書・本年1月10日発行)を入手した。以前から気になっていたのだが、やっと手にできたという感じである。まだ序章しか読んでいないが、既に佐藤優の箴言がいくつか書かれている。

この本の趣旨は、アナロジカルに歴史を見ることが今、必要だということである。アナロジーというのは、日本語に翻訳すると「類比」となる。似ている事物を結びつけて考えることである。別の時代、別の場所で生じた別の状況との類比に基づいて理解する方法で、今の世界を見る=アナロジカルな世界史について書かれているわけだ。

佐藤優は、なぜこのような本を書いたのか。それは、知識人によるアナロジカルな世界史によって作り出される「大きな物語」に対して、日本人が禁欲的であり批判ばかりしてきたことへの反省である。たとえば、「民主主義や科学技術の発展が人々を幸せにする。」という大きな物語に対して、民主主義かナチズムを生んだ、科学技術が原爆を作ったというように、である。しかし今、日本には「大きな物語」を再構築する必要がある、というわけだ。

佐藤優は、「大きな物語」が提示されないゆえに、排外主義的な書籍やヘイトスピーチの氾濫が起こっていると言う。人間は本質的に物語を好む。知識人が「大きな物語」をつくって提示しなければ、その間隙をグロテスクな物語が埋めてしまう。
具体的には、「在日外国人の特権によって、日本国民の生命と財産がおびやかされている」というような稚拙でグロテスクな物語であっても、多くの人々が簡単に信じ込んでしまうようになるという。(P11)

さらに、安倍政権が日本の孤立をまねくような対応を繰り返すのは、アナロジカルな思考や理解が欠如しているからである。慰安婦問題について欧米の人々は「自分の娘や妹が慰安所で性的奉仕に従事させられたとしたら…」という思いでこの問題を見ているが、だから、かつてはどんな国ににも公娼制度があったと主張しても、それ自体が人権を踏みにじるものだと理解される。こうした類比的な思考を一切考慮せず「私たちは間違えていない」と言い張ったところで、国際社会からの理解を得ることはできない。言ってみれば、安倍政権は、コンビニの前でヤンキー座りをして、みんなでタバコをふかしている連中と同じ。仲間同士では理解しあえても、外側の世界が自分たちをどう見ているのかわからない。アナロジカルに物事を考える訓練をしていないと、外部の世界を失ってしまう。(P25)

…このあたりの文章を読んで、なるほどと膝を打ったのだ。

2015年4月24日金曜日

朝日 南アの移民排斥

https://www.flickr.com/photos/53911892@N00/2523578806/
朝日新聞の朝刊に大きく南アの移民排斥の記事が載っていた。ダーバンでの暴動が、ヨハネスブルグにも飛び火しているようだ。ズールーの指導者が「南アの高い犯罪率は移民が原因であり、移民は南アから出て行くべきだ。」という趣旨の演説をしたのがそもそもの暴動の原因らしい。ヘイトスピーチだったと表現する論評もある。この指導者、暴動後「移民への暴力は恥ずべき行為だ」と訴えたらしいが、混乱は収まっていない。すでに7人が死亡し、300人以上が逮捕されたという。

モザンビークやマラウイ移民は、故国がチャーターしたバスで国外に出ようとしている。近隣諸国では、この南アの状況に激しい抗議デモが発生し、国際問題化している。

南ア経済は、このところ鉱業労働者賃金が上昇下関係でコスト高になり、競争力が低下した関係でが失速している。とはいえ、近隣諸国との格差は大きいので移民が押し寄せているのが現状である。

こうした移民、特に不法移民が雇用され低賃金で働くゆえに、南アの人々の失業率が上昇し、不満を持つことは当然のなりゆきだと思われるが、虹の国を自称する多民族国家である南アにはふさわしくないことも自明の理である。まして、責任ある立場の人間の心無い発言から、このような暴動が広がったことに、大きな憤りを私などは感じてしまう。今更「恥ずべき行為だ」と言って、自分の責任回避をしてもも遅い。大阪人の私などは、それ自体が恥ずべき行為だと思うのだ。

2015年4月23日木曜日

首相の米議会演説 考察

http://smhn.info/201407-unlocking-consume
r-choice-and-wireless-competition-act
安倍首相が、AA会議に続いて渡米する。日経の某J・ホプキンズ大学教授の論説記事を読んでいて、この米上下院の合同議会での演説が、首相にとっていかに重要かを直感した。これまで、日本の首相がこのような上下院が集まった場で演説した先例はないそうだ。意外だが、これは日本が希望しなかったことが最大の理由らしい。ちなみに最も多く演説しているのは、アメリカの盟友イスラエルで6回あるそうだ。ユダヤロビーの力は米議会では未だに大きい。アメリカの議会は、こういうロビー活動の影響を常に受けている。(韓国などはロビー活動に力を入れているからこそ反日・親韓的な法案を議会で可決させているのである。)今回の安倍演説の実現に、ユダヤロビーが協力したというのは事実らしい。

ユダヤロビーを味方につけた最大の理由は、先日のイスラエル訪問である。(これは以前からイスラエル訪問を首相が約束していたのを実現したかららしい。こういう約束を守ることは外交の鉄則で、保守的な立場のTV解説者などからは大いに評価されている。)しかし、イスラエル国旗の前で中東の平和と貢献を語った首相に突きつけられたのは、例のイスラム国人質事件である。

この時、安倍政権はイスラム国に敵対するヨルダンに対策本部を置いた。この時点で日本人人質を助けるという目的は失われたと見る論説もある。トルコに対策本部を置いていれば、救出の可能性はあったはずだ。これは恐ろしく冷徹な戦略であった可能性もある。イスラム国への日本国内の憎悪を煽り、日本の近隣地域以外の集団的自衛権の法制化促進に利用しようとしたのではないか、という疑念が生まれているのだ。

政府は、イスラム国人質事件後、反対意見が多数を占める中、妙に急いで法令化を進めている。沖縄の普天間基地問題も然り。沖縄のあれだけの民意を全く「粛々」と無視している。民主主義もクソもない。私は左翼ではないが、この政治状況はあまりにおかしいと感じている。だが、訪米・議会での演説の「オミヤゲ」なのだと考えれば、十分(あくまで理論的には)納得がいく。

…これにTPPの譲歩が加われば万全である。粛々と、歴史的な議会演説のために邁進している首相。改憲への強い意欲は、(自主憲法制定という)日本の真の独立を目指すものではなく、今や世界の不人気を独占しているアメリカとの運命共同体化のようである。やはり、日本はポチなのかと思う。

…既に、世界はアメリカを以前のように、正義の保安官だと思っていないし、民主主義の総本山だとも思っていない。国益重視のダブルスタンダードのわがままな国だと思っている。EUも中国もロシアも、タイガイだが、それ以上にアメリカは好かれていない。(と、言いつつ私はアメリカという国を嫌いになれない。友人も多いし、あの無邪気な人の良さが好きである。)

…そのアメリカにの国益にひたすら添い続けるしか日本の未来はないのだろうか。親米でポチっぽいけど平和主義で人のいい日本は世界から好かれている。70年かけて醸造してきた貴重な信頼を捨て去るのは得策ではないと私は思っている。

2015年4月22日水曜日

立川・高円寺・吉祥寺

6月に国際理解教育学会で、東京に出る。今回は中央大学の多摩キャンパスである。弾丸ツアー(夜行バス+新幹線)になると思うのだが、ちょっとだけ東京を感じたいと思っている。

期日にあう東京での展覧会も調べてみた。食指が動いたのは、大英博物館展とマグリット展だが、どちらも後日、関西(京都や神戸)に来るらしい。結局妻と行く事になるので今回はパスだなと思う。

夜行バスは立川に着くものをチョイスしようと思っている。立川は、漫画・聖✩おにいさんの舞台である。立川は盛り上がっているらしい。(笑)しかも、JR中央線沿いには、高円寺と吉祥寺がある。高円寺は吉田拓郎の、吉祥寺は斉藤哲夫の曲の舞台で、私には強い属性があるのだ。今のところ、できれば途中下車してブラブラしてみようかなと思っている。

一昨年の広島・弾丸ツアーでは、午前のプログラムが終わって、どこへも寄らずに新幹線に飛び乗った。その前の埼玉大学は、往復夜行バスという無茶をしたので、埼玉で、ウルトラマン展と交通博物館を見れた。今回は、その中庸をめざしたい、などと考えているのだった。(笑)

2015年4月21日火曜日

「嘘みたいな本当の話」を読む。

内田樹先生と高橋源一郎氏が選んだ日本版の「嘘みたいな本当の話」(文春文庫/本年3月10日発行)を読んだ。アマゾンで内田樹先生の本を注文することが多いので、オススメされていたのだ。(笑)

紹介したい話もたくさんあるし、内田樹先生の解説で、アメリカの「嘘みたいな本当の話」との対比・日本人文化論も興味深かった。しかし、出たばかりだし、この本はについては、あまり紹介すると営業妨害になりそうな気がする。そこで、私の「嘘みたいな本当の話」をエントリーしたい。今年の3年生の世界史で紹介した話である。

昔、LAX(ロサンゼルス空港)からダウンタウンへ、地下鉄で向かった時の話。地球の歩き方には、ロスの地下鉄は治安が悪いので使わないようにと書いてあった。だからこそ乗ってみた。LAXの駅で背広姿のスパニッシュの青年とアミーゴになり、彼とダウンタウンへ向かった。身なりのいい人といると治安の悪いアメリカの地域でも多少安心である。(笑)
ある駅で、でっかいアフリカ系の青年が乗ってきた。なんと、首に大蛇を巻いている。ちょうど、ボックス席にアフリカ系の家族が乗っていて、小さな女の子が「にいちゃん、それ本物?」と大人が聞きにくいことをズバリと言ってのけた。すると、二ヤッと笑って、その青年は蛇の頭が入っていたシャツの胸ポケットからそれを出した。例の先の別れた舌がチョロチョロと出た。「ギィャァァー!」とその女の子が叫び、車内は騒然となった。私もアミーゴも思わず引いてしまった。蛇男は次の駅で降車したが、さすがに、身なりの良いアミーゴも全く役に立たなかったのだった。

2015年4月20日月曜日

日経 春秋 大きな変化を捉える目

日経の今日の春秋。なかなか示唆に富んでいた。ちょっとエントリーしておきたいと思う。

欧州の社会が中世からルネサンスへと移っていく様子は極めてゆったりしていた。オランダの歴史家ホイジンガが「中世の秋」の締めくくりの章に書いている。あるとき突然、人々が何か悟ったかのように、ギリシア・ローマの古典古代に回帰したわけではないのだ。

登場した頃の人文主義は博学を重んじる中世の伝統と見分けがつきにくかった。儀礼を重視する貴族社会にもときおり、敬虔な文言を描いた帯をつけずにいる者が現れるが、不興を買って目立たない。一つ一つが近代の幕開けにつながる動きだった。だが中世の空気の中で、当時の人たちが変化を感じるのは難しかった。

じつは大きな変化が起きているのだが、はっきりとは、とらえにくい。時代を超え、今も往々にしてみられることだ。産業界では例えばシャープ。業績悪化の原因の一つは新興国企業の技術革新をつかめなかったところだろう。スマートフォン向けなど中小液晶の好調は続かず、屋台骨の液晶部門は荒療治を迫られている。

ドイツでは工場、取引先、顧客などを通信技術で結んで、生産効率を大幅に高める改革が進む。蒸気機関、大量生産、コンピュータによる自動化に続く「第4次産業革命」ともいわれる。が、何が進行中なのか把握しきれていない日本企業は多い。ぜひ注視したい。欧州はルネサンスなど大改革を起こしてきたのだから。

…大きな変化がはっきりと捉えられていないこと。これは非常に重要な指摘ではないかと思う。日経らしく、シャープの視界の狭さとドイツの改革の話が出てくるが、こういう視点を常に持っていないと企業経営は困難に直面するのだろう。情報化社会だからこそ、その情報の裏にあるものを見抜く力が試されているわけだ。

2015年4月19日日曜日

今年も国際理解教育学会へ’15

国際理解教育学会の第25回研究発表大会のプログラムが届いた。先週、授業の合間にA4見開き2Pの抄録を書いていたところだ。タイトルは、「アフリカSDゲーム2014実践報告」。この3学期に政治経済で実践したオリジナルゲームの実践報告である。締切は4月末日。

今年も発表は、またまた日曜日、それも2番目。レギュラーポジションである。(笑)今年の発表は、久しぶりにアフリカ三部作となっていた。(笑)私の発表をはさんで、「日本のアフリカ観~中学校社会科カリキュラム・教科書の影響と課題」というJ大大学院のYさんの発表、「グローカルな視点から生まれる大陸間教育活動のための現地調査~タンザニアの事例を中心に」という名古屋のS大のU先生の発表。対象が中・高・大という順番だ。

研究発表の日は、だいたい同じ教室で他の方の発表を聞くことが多い。移動が邪魔くさいのが最大の理由であるが、同じ部屋で、昔府立高校の教員で今は大学で教えている旧知のM先生の発表もある。おそらくそのまま移動しないと思う。

今年の会場は、中央大学の多摩キャンパスである。またまた弾丸ツアーになりそうだ。

「哲学用語図鑑」を入手する。

このところ、専門である「倫理」を教えることがない日々が続いているが、先日日経の新聞広告で、「哲学用語図鑑」(田中正人著/プレジデント社・本年3月1日発行)という本がベストセラー化していることを知った。哲学をイラストで解説している本らしい。図鑑という表現にも興味を持った。授業でいつか使えるかも、と本能的にアマゾンで注文したのだった。

それが今日届いた。期待どうりの図鑑であった。「ご案内とあとがきめいたもの」というWEBページに、内容が少しばかり紹介されていた。下手に説明するより、一目瞭然なので紹介しておきたい。
これは、ギリシアの哲学者を紹介したページ。プロフィールやアフォリズムが簡潔に紹介されている。この銅像っぽいイラストが、各用語のページにも登場し、誰の思想かわかるようにもなっている。シンプルながら雰囲気もよく出ていてなかなかカワイイ。

ヘーゲルの弁証法のページ。正・反・合と止揚がうまく解かれている。お気づきかと思うが、全編黒とピンクの2色刷である。

およそ、高校倫理の西洋哲学の範囲を十二分にカバーしている。特に実存主義以降の現代哲学は難解だし、センター試験の比重も上がっている。この図鑑、現代哲学にも多くをさいているので受験生にも特にオススメである。

2015年4月18日土曜日

ブラタモリ#2長崎を見る。

楽しみにしていたブラタモリの#2。長崎の続編である。今日のテーマは、長崎がなぜ近代化の先鞭となったかを海から探るということであった。

面白かったのは、明治の初期にスコットランドの技術が輸入されていたことである。世界遺産になるかもしれないとのこと。長崎港の南南東に、小さな入江があり、そこに小菅修船場というのがあった。ここにもスコットランドから来た日本最古の蒸気機関があり、修理する船をロープではなく、鉄の棒とチェーンで引き上げる際に使われていたという。その機械音は、タモリによると、男子・女子・ダンシ・ジョシという音らしい。(笑)

後半は、池島の探索であった。池島という名は、そのままで、池があった島なのだが、その池の淵を破壊して、「湾」とした港にしているのだ。すごいな。環境への配慮もくそもない。開発バリバリ。(笑)ここは、三井の炭鉱らしい。九州で最後まで操業されていた島である。火力発電所があり、売り物にならない小さな石炭を使って稼働していたという。島内のアパートや炭鉱の風呂場などに蒸気を送り、そのパイプが島内に張り巡らされている。これもすごい景観である。
そいていよいよタモリが、坑内に入る。立坑のエレベータは止まっているので、トロッコで斜坑から入った。TVを見ていると、どうも観光客が体験できるようになっているのではないかと思った。ブラタモリのために特別に準備しているように見えなかったからである。あとで調べたら、観光ツアーがあった。ならば私も実際に体験できるわけだ。北海道・夕張で疑似体験をしたことはあるけれど、これは本物である。また長崎に行くという楽しみができたのだった。

池島ツアー:http://www.saruku.info/course/G002.html(今日の画像も)

毎日 ケニアの難民キャンプ問題

http://pennsid.org/2013/03/entrepreneurship-in-the-worlds-largest-refugee-camp/
先日のアルシャバブによる大学襲撃事件を受けて、ケニア政府はダダーブ難民キャンプ(ソマリア人を中心に、5箇所に別れ、約35万人が収容されている)を閉鎖する意向を明らかにした。国連が別の場所に移さない場合、ケニア政府が移住させるという。国連は、再考を促している。

ケニア政府としては、この難民キャンプが、アルシャバブの温床となっていると考えているようだ。しかしながら、ケニア北東部にはソマリ系の人たち(250万人)が住んでいるし、インド洋沿岸のムスリムが多い地域、さらにはナイロビのスラムからもアルシャバブに参加している若者がいるのではないか、と言われている。

…「難民に罪をきせるな。」という人権団体の主張は正しいと私も思う。ロイター通信の「絶望し何もすることがない若者を戦闘員としてアルシャバブに差し出すことになる。」という懸念も正しいと思う。このダダーブ難民キャンプ、実は私が、2年前にユニクロのプロジェクトで本校生に古着を集めるキャンペーン(ハランベー・プロジェクト:ラベル参照)を行った時の送り先に私が指定したキャンプの1つなのである。いろいろ調べもした。周囲は、遊牧民が住む厳しい乾燥地帯にある。人間の安全保障の最前線のようなところである。ケニア政府の閉鎖・移住施策は、感情的すぎると言わざるを得ない。大阪でもそうだが、感情的で性急な施策は、新たな憎悪と対立を生むだけだ。

一方、地中海でもアフリカからヨーロッパに向かう密航船の中で、コートジボワールやマリ、セネガルなどのイスラム教徒が、ナイジェリアやガーナのキリスト教徒15人を海に落として殺したという記事も隣に載っていた。昨日のエントリーでも主張したが、宗教的な不寛容が、世界をおかしくしている。このケニアの難民キャンプ閉鎖問題の根底にも、不寛容がある。

宗教的不寛容の問題の奥には、グローバル化の中で進む経済格差による「余裕のなさ」が潜んでいると私は思う。アフリカ人同士で殺し合う不合理の影で、真犯人は別にいるはずだ。

2015年4月17日金曜日

サウジとイラン 巡礼問題

メッカ最寄りのジッダ空港 http://inlinedive.seesaa.net/category/9053282-5.html
イスラム教徒のメッカへの巡礼には、有名な大巡礼(ハッジ)と通年行われる小巡礼(ウムラ)がある。今年3月、この小巡礼に参加したイランの少年2人がサウジアラビアの警官に、性的いやがらせを受けたらしい。帰国後、この事実が発覚し、イランでは、今月11日にサウジ大使館を取り巻いて大規模なデモが起こった。サウジ政府は、すでに容疑者を逮捕、適切な措置を取ると約束している。イラン政府は、犯人に罰せられるまで、巡礼を中止するとともに、巡礼用の航空機運用中断を発表した。

その前の8日には、サウジは、イランの巡礼団が乗る航空機の領空侵入を拒否している。事前の許可がなかったからだというのが理由。

スンニ派のサウジとシーア派のイランは、中東の諸問題でことごとく対立している。それにしても巡礼にまで飛び火するとは。異教徒ながら、ちょっとショックである。

2015年4月16日木曜日

名古屋にレゴランドができる?

http://www.thebrickfan.com/legolan
d-california-water-park-expansion-2014/
日経の朝刊に、名古屋でレゴランドの建設が始まったとの記事が出ていた。東京と大阪に屋内のレゴ施設はあるが、名古屋のは屋外の遊園地、本物のレゴランドである。

レゴファンの私としては大いに期待するところだが、名古屋に建設が決まったのは、東京のディズニーランド、大阪のUSJとの競合をさける意味合いもあるそうだ。

私は、本国のデンマークのレゴランドは知らないが、アメリカのカリフォルニア、もっと詳しく言うとサンディエゴ郊外の、レゴランド・カリフォルニアに行ったことがある。車がなければとても行けない。かなり辺鄙なところにある。しかし、ファンとしては、大いに満足したのだった。私はアメリカに6回行っているが、アナハイムのディズニーランドは行っていない。なんと東京ディズニーランドにも行ったことがない。遊園地にあまり興味がないのだ。だが、レゴランドは違う。レゴでつくられた街をじっくり見るのが目的。レゴランド・カリフォルニアには、アメリカ各地の名所が作られていて、それはそれは見事なものだ。地元のカリフォルニア(ロスやサンフランシスコ)、ニューヨーク、ワシントンDC、ニューオリンズなど、2時間近く眺めていた。下の画像のような感じである。
http://www.theguardian.com/world/gallery/2009/jan/16/barack-obama-lego-legoland
記事によると、名古屋城が2mくらいの規模で作られるという。地元の名所だから当然だと思うが、出来れば日本全国の名所を、アメリカに負けない規模で作って欲しいと思う。海外からの観光客の入場を見込んでいるだろうから、実現しそうに思う。そうなれば、私も足を運ぼうかな、と思う。

2015年4月15日水曜日

久々に仕事の話なのだ。

昨年度入試の仕事が今日ようやく終了した。最後の仕事は、中学校から送られてきた指導要録や保健の書類を整理することだ。5・6限を使って、開封、受領書の発送準備をした後で、全ての書類をクラスわけしていく。出席番号順にしたものを担任に渡す準備と金庫保管で完了である。

時間割の方も、授業が始まって1週間、様々な問題点や要望を一つずつクリアしてある。再度点検した後、改訂版の時間割をGW後を目処に配布する予定である。

教務の仕事は、こういう学校の縁の下の仕事だ。直接生徒に接することは少ないが、100点満点を常に期待される。ミスがあると学校運営に直結するのである。教務の仕事は久しぶりである。35年も教師をしていると、様々なことに気づくし、段取りも見当がつく。部長のH先生をS先生共々サポートすることを心がけている。私は、こういうサポートの仕事は嫌いではない。

一方、人権主担の仕事も始まった。昨日は市の教育センターに出張であった。第一回の委員会の書類もすでに作ってある。こちらの方は、一人でコツコツとやることになる。委員会を開いた後、さっそく人権講演会の準備にかからねばならない。

人権主担の仕事とからむのだけれど、今年は「世界一大きな授業」に参加することにした。先日申し込みをして、今日自宅のメールで教材をGETできた。人権主担としては、学校全体で取り組みたいのだけれど、まずは自分の授業でこそっと試してみようと思っている。

2015年4月14日火曜日

日経 埋蔵量置換率

http://www.foxbusiness.com/industries/2014/03/05/exxon-mobil-
sees-less-spending-more-projects-in-2014/
日経朝刊に面白い記事が載っていた。ロイヤル・ダッチ・シェルがBG(英国の天然ガス生産大手)を買収し、国際石油資本(メジャー)の再編機運が高まっているという記事だ。特に注目されているのは米のエクソン・モービルである。ライバルのシェルがBGを取り込んだことで、原油・天然ガスの生産量は369万バレル(原油換算・2014年平均)となり、エクソンの397万バレル(同)に迫ってきたのだ。

キーワードは「埋蔵量置換率」という聞きなれないコトバだそうだ。これは、1年間に追加した原油やガスの埋蔵量を生産量で割った値で、100%を切れば、自社で持つ埋蔵量を取り崩していることになるわけだ。資源生産会社の潜在的な成長力を測る数値で、メジャーの経営者が最重要視しているらしい。

エクソンは14年、104%で、100%を21年連速で上回った。シェルやBPが100%を下回る年があるのに対し、安定した埋蔵量置換率を誇り、最強メジャーとしての地位を確立している。しかし、ここにきて、米国のロシアへの経済制裁で北極海の資源探査が中断した。ロシア開発の先行きに懸念が高まっている。そこで、M&Aによるイージーな埋蔵量追加に動くのではないかというわけだ。その相手は、メキシコ湾岸で原油流出事故で経営が悪化しているBP(英国のブリティッシュ・ペトリアム)である。また、エクソンがシェール・ガス開発に遅れを取っているので、国内の生産会社を狙っているとの憶測もあるらしい。

とはいえ、かつてはセブンシスターズと呼ばれたメジャーも地位が低下している。今は、エクソンでさえ、世界生産の2%、メジャー全体でも10%に過ぎない。資源ナショナリズムで台頭してきたサウジのサウジアラムコやロシアのロスネフチ、中国のペトロチャイナ(中国石油天然気)などと競合しているとのこと。

…私にとって初めての”アメリカ”は、メリーランド州のボルチモアで空港からホテルに向かう道で見つけたEXXONのガスステーションだった。何よりもアメリカに来たと感じたのだ。当時、エクソンは押しも押されぬ世界最大の企業であった。(2014年では5位。シェルは2位。ペトロチャイナが4位。BPが6位。)セブンシスターズも大きく様変わりした。私が教師になった頃、一生懸命、スタンダート石油がどう変化したかを語っていたものだ。もちろん、EXXONは、ロックフェラーのスタンダード石油の末裔である。蛇足だが、日本ではエッソである。

…ケニアでは、BPのガスステーションを見て感激した。英国の勢力圏に突入したことをなにより認識したのだった。超個人的には、EXXONとBP、M&Aはしないで欲しいな。(笑)

2015年4月13日月曜日

下川裕治の新刊文庫本を読むⅡ

ラオス ルアンパバーンの街並 http://ameblo.jp/kuraicco/theme-10062067942.html
下川裕治の「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦(新潮文庫/本年4月1日発行)の書評続編である。下川裕治は、長年タイを愛し、足を運んできた。そのタイをこう表現している。印象深いので是非エントリーしておきたい。

タイのカプチーノ
「タイという国は、東南アジアでは頭ひとつ抜けた国になったことを、(ラオスとの)国境のカプチーノは教えてくれるのだった。」ラオスの高地では、動物の血を飲んだりしていた下川裕治は、国境を越えた田舎の食堂でコーヒーを頼む。すると出てきたのは、カプチーノだったのだ。仏領インドシナだったラオスも、ベトナムもカンボジアもコーヒー文化圏である。どこもコーヒー豆はある。問題はミルクである。どこもコンデンスミルクの世界である。カプチーノは、それ用のコーヒーマシンが必要。それを動かす電気が必要で、生の牛乳を保存する冷蔵庫、そして牛乳を腐らせず運ぶ流通が必要である。カプチーノの背後には、そんなインフラが控えていた、というわけだ。

ミャンマーからの出稼ぎ者
後半のミャンマーのへの旅では、バンコクからミャンマーに帰る多くの人々と遭遇する。彼らは出稼ぎにきていたのだ。この道筋をつけたのが、かつてのタイの首相・タクシンであった。タクシンは、最低賃金の段階的引き上げ政策を取っていった。例の赤シャツ派と黄シャツ派に別れ大騒ぎになった赤シャツ派(賃金の低い人々)優遇政策である。反発したのは企業や工場をもつ富裕層で、とてもこんな高い給料は払えないと悲鳴をあげたのだ。そこで、タクシン政府は外国人労働者のビザ枠を広げていく。多くのミャンマー人、カンボジア人、ラオス人が合法的に働けるようになっていったのである。今では、タイのATMではミャンマー語を選択できるほどになったのだ。

…こういう隣国同士で、強者と弱者の格差があることは周知の事実である。良い悪いは別にして、陸の国境を接するトコロでは十分ありうる。海に囲まれた日本ではわかりにくいのだが、教え子にはこういう経験もして欲しい。これが世界の現実なのである。

…ところで、コンデンスミルク入りのコーヒーは、糖尿病の私には毒以外のないものではないが、ブルキナファソで飲んだ。最高においしかった。コンデンスミルク入りのコーヒーとフランスパン。最高の朝食のコンビであると私は思う。

2015年4月12日日曜日

下川裕治の新刊文庫本を読む

下川裕治の「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦(新潮文庫/本年4月1日発行)を読んでいる。何度か書いているが、私は東南アジアにはあまり属性がない。バンコクとシンガポールの空港しか知らない。東南アジアの情報はだいたい下川裕治のバックパッカー本によっている。新刊の文庫が出たら、すぐ買って読むようにしているのだ。これはもう習慣である。(笑)

下川裕治の本はすこぶる自虐的である。私と同世代ながら、貧乏旅行を続けていることに誇りを感じていないらしい。私などは、多少の金と暇があれば下川裕治のように貧乏旅に出たいと思っている。ただ、本で追体験してみると、やはり年齢的にもかなりキツイだろうなと思う。今回の本は、東南アジアのマイナーな陸路の国境を超えていく旅である。もちろん夜行バスが中心である。行間に、教材研究に役立ちそうな情報が含まれている。そんな情報を少しエントリーおきたい。

東南アジアの洪水認識
日本では、洪水という急な増水であるが、メコン川などの洪水はゆっくり増水する。極めて現地の人はのんびりかまえているということ。昔は高床式の住居が中心だったが、タイなどでは豊かになった関係で1Fに自家用車があったり農業機械が置かれていたりするし、また欧米的な住居に変わり、その被害が拡大していること。カンボジアでは、かなり大らかで笑顔で洪水の中、中洲で酒盛りしていたりする(日本から見れば)不謹慎者もいること。(笑)…こういう観察眼は下川裕治本の魅力の一つである。

ディエンビエンフー
この本には、ディエンビエンフーの街のことが書かれていた。私がこれまで読んだ(下川裕治以外も含めて)紀行本でおそらく初めてではないかと思う。WWⅡ後、宗主国だったフランス軍の要塞にホー・チ・ミンの軍が挑み歴史的な勝利を得た、あのディエンビエンフーである。街全体が軍事公園のようになっているという。ここで、下川裕治は書く。
ディエンビエンフーでベトナムはフランスに勝ち、その後ベトナム戦争でアメリカに勝った。政府はこの勝利を社会主義の勝利ととらえた。その後大きな代償を払うことになる。戦争というものは敗戦国を悲惨な状況に陥れてしまうが、戦勝国もまた大きな負担を背負ってしまうものらしい。ベトナムはカンボジアに侵攻した。そこには中国の覇権主義への対抗という軸はあったものの、戦争に勝ったという自信に裏打ちされた選択であった。ASEAN諸国はベトナムへの経済制裁に舵を切る。ベトナム経済は破滅寸前まで追い込まれていくのだ。ドイモイという市場経済の導入は、国民にとってはやっと命が繋がった政策だったが、社会主義を標榜する政府にしたら苦渋の選択だった。
…ディエンビエンフーは、下川裕治にとって、活気を取り戻したベトナムの中で、(その対極にある)社会主義の勝利を背負わされた街と感じられ、市場経済との不協和音を感じる場所でもあったわけだ。

…この本、タイからカンボジア、ベトナム、ラオス、タイ、そしてミャンマーへと巡る旅を描いている。もう少しエントリーしたいこともあるので、つづく。

2015年4月11日土曜日

ブラタモリ#1長崎を見る。

真孤 http://www.tasukijapan.com/archives/products/%E7%9C%9F%E5%
BC%A7%E3%80%80%EF%BD%8D%EF%BC%8D%EF%BC%92%EF%BC%90
NHKの”ブラタモリ”がレギュラー番組になるようだ。第1回目は、妻が大好きな長崎なので、夫婦で見た。もちろん私も昨夏行ったので、興味深く見た。”ブラタモリ”は、観光番組ではない。無茶苦茶地味な歴史発見番組である。

私が特に面白かったのは、出島の発掘現場で、古伊万里が出てくるのだが、その図面化に使われている道具だ。「真孤」というらしい。文化財の形をそのままに再現できる凄い道具である。(画像参照)この真孤を茶碗の欠片に当てると、櫛のような部分がそのままに残るのだ。

…長崎に行って、坂の街であることはよくわかった。特に亀山社中に行ったとき、えらい目にあった。ゴミ収集に使われる坂道専用のBOXも面白かった。出島がすでに市街地に組み込まれていたので、埋め立てが進んでいることもよくわかっていたが、番組の最後に、戦後川の上に道路をつくり、石橋がその下にあることを知った。そこだけ道が膨らんでいたりする。長崎は面白いなあ。

次回の”ブラタモリ”#2も長崎らしい。楽しみである。

追記(12日):Miyaさんからコメントをいただきました。そこに真孤の使い方のよくわかる画像のアドレスがあります。よければご覧下さい。

2015年4月10日金曜日

日経 ロンドン郊外で大油田発見

ガトウィック空港 http://www.england-travel-tips.com/london/gatwick-airport.html
ロンドンの郊外で、北海油田の埋蔵量(過去40年で450億バレル)の2倍以上(最大で1000億バレル)の油田が発見されたという。日経らしい記事だ。商業生産が実現すれば、北海油田の生産量の減少を補えるだろうと言われている。

…ロンドン郊外というのが凄い話だ。かなり驚いた。ちょうどガトウィック空港(ロンドンの第二の空港)の近くだという。空港はロンドンの南46Kmにあるというから、大阪で言えば関空の近くの阪南町くらいになる。当然大阪府内である。近い。

…意外に知られていないが、イギリスは産油国である。ほとんどが北海の海底油田である。OPEC諸国の標準的な産油量(約21億バレル/日)があり、十分国内消費量(約19億バレル/日)を賄えるのだが、BP(ブリティッシュ・ペトリアム:石油メジャー)の戦略もあるようで、輸出国であると同時に輸入国でもある。
…この新油田の産出は、オランダ病にならないように、うまく活かしていくだろうと思われる。この辺が、まさに先進国の経験というものだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H84_Z00C15A4FF2000/

2015年4月9日木曜日

天皇皇后両陛下のパラオ訪問

http://www.huffingtonpost.jp/2015/04/08/emperor-peleliu-island_n_7029948.html
天皇・皇后両陛下が昨日から今日にかけてパラオを訪問された。フィリピンの東に位置するとはいえ、80歳を超えられたご高齢の両陛下にとって、海上保安庁の巡視船内に泊まられ、ヘリで島に向かわれたりする異例のスケジュールである。

パラオは、WWⅠ以後、ドイツ領だったものを日本が委任統治した歴史がある。帝国主義の時代のことだし、決して褒められた関係でではないが、パラオが現在も親日的であるのは、何も日本が豊かになってからの賜物ではないようだ。先人のおかげである。率直にありがたいことだと思う。

ペリリュー島の戦いは、まさに硫黄島・沖縄戦の先駆けのような壮絶なものだった。以前NHKで特集されているたものを見た。両陛下が、追悼の旅を長年強く望まれていたのも頷ける。

思えば、今上天皇は、昭和天皇の出来なかった贖罪をご自身の使命として、身を呈してこられたと私は思う。今日のTVでも、両陛下の深い深い私心のない追悼の思いを感じ得たし、共に追悼にこられた高齢の元兵士やご遺族の方々とのやりとりを見ていると、まさに陛下ご自身が背負われているものの大きさを感じずにはおれなかった。両陛下は、アメリカの慰霊碑にも行かれ、追悼されている。平和を念願するという陛下のスタンスも極めて明確である。

私が最も感激したのは、陛下が慰霊碑から去られる際も、動くバスの中でお立ちになったまま、元兵士やご遺族、さらに現地の方々に、手を振られていたことだ。陛下は81歳。皇后陛下は80歳。そこまでされるのか、と痛みいったのだった。

陛下がパラオに訪問されること自体が、宿泊場所をはじめ様々な困難があったと思う。担当者や現地の方にも多大な苦労をかけたに違いない。それを両陛下はよくご存知だからこそ、出来うる限りの行動をとられたのだと思う。

天皇陛下は最近までお風邪をひかれていたという。そのせいか少し顔が赤らんでおられた。ご高齢の中、かなり無理をされたのではなかと心配である。ゆっくりとご静養されることを祈るばかりである。

2015年4月7日火曜日

毎日 シエラレオネ学校再開

シエラレオネの小学校 イギリス風で制服がある
http://happymilk.coopnet.jp/hmblog/201411/6-1/
エボラ出血熱の影響で、全土で7ヶ月にわたって閉鎖されていたシオラレオネの学校(小学校から大学まで)が、予防体制が整ったという理由で、今月中に再開されるという記事が毎日の夕刊に載っていた。すでに、ギニア・リベリアは2月に再開していて、これで3カ国揃って再開となった。学校再開をめぐって与野党で対立していたようで、そもそも閉鎖自体にも問題があったという指摘もある。

ユニセフなどの調査によると、ギニア・リベリアでは再開した学校に戻った子供は8~9割で、閉鎖中に親が子供を働かせ始めた可能性や、未成年者の妊娠が前年より3割増加したというデータもあるらしい。

3カ国の教育システムは脆弱で、立て直しが急務という声や、今回の危機を教育などのシステムを立て直すチャンスに変えるべきだという声が上がっている。

…アフリカの教育については、おしなべて脆弱であることは事実だ。先年少しだけ覗かせてもらった地球研のアフリカの教育研究フォーラム(昨年10月25日付ブログ参照)でも、様々なな問題が提起されていた。特に、未成年の妊娠の増加について、広島大学のOさんがザンビアの問題を語られていた。英語による発表だったので、私のリスニング能力では詳細まで聞き取れなかったのだけれど、学校が閉鎖された間に、そういう問題が起こりうることは十分ありえる話である。そこからまた様々な差別や貧困、格差などの問題が生まれることは必定である。

…たしかに危機であるが、立て直しのチャンスである。関係者の皆さんがポジティブに取り組もうとされていることに敬意を表したい。

2015年4月6日月曜日

地獄八景亡者の戯れ

上方落語の至宝、桂米朝さんが亡くなってからというもの、我が家ではTVの特集をよく見ている。今晩もNHKのクローズアップ現代で特集をしていた。直接高座を見に行ったこともないのだが、大阪人は、みんな米朝さんのことが大好きで尊敬していると言っていいだろう。

私が子供の頃は、笑福亭仁鶴さんが、深夜ラジオで大活躍していた。桂三枝もばんばん新作落語をやり始めていたし、さらにヤング・オーオーという変な若者向けの番組があって、若い落語家(桂文珍さんなど)なんかが一気に登場し笑福亭鶴瓶さんもあっという間に全国区になった。上方落語全盛の時代を生きてきたわけだ。だから、米朝さんの上方落語再建の苦難の時代は知らない。

米朝さんの一番弟子、桂枝雀さんは、ほんと面白かった。仁鶴さんも好きだし、文珍さんの落語も、鶴瓶さんも好きだが、その「味」では今でも枝雀さんが最高であるというのが、我が夫婦の結論。桂米朝さんの落語は、これら上方落語の弟子や後輩とは気品が違う。これも夫婦の結論。

ところで、昔々、私が最初に赴任した商業高校では、教員の劇を毎年文化祭で上演していた。最も若手だった私も、美術担当をしながら出演を重ねた。その中で、「地獄八景亡者の戯れ」というのをやったことがある。米朝さんの落語を元にしたものだった。私は、三途の川を渡る船の船頭の鬼役だった。(笑)船の下部にドライアイスの効果を使い、なかなかの舞台だった。

ふと、そんな昔のことを思い出した次第。

2015年4月5日日曜日

現代アフリカ経済論 学習ノート3

シャカ王
http://zar.co.za/shaka.htm
「現代アフリカ経済論」(北川勝彦・高橋基樹著・ミネルヴァ書房/昨年10月15日発行)の昨日のエントリーの続きである。今日は、ちょっと小タイトルをつけてみた。

ムフェカネ
サヘル(サハラ南縁)でもイスラムの聖戦が行われている時期、南部アフリカでムフェカネ(あるいはディフェカネ)と呼ばれる大変動があった。戦闘的なズールー王のシャカが台頭し、戦乱が広がるのである。この戦乱で、多くの避難民が発生、大混乱になる。この緊張した状況の中、イギリスは1884年から10年間の間に自らの植民地を形成する。ムファカネが引き起こした重大な結果は、一部の支配者による機微な指導力でアフリカの黒人の連帯が生まれたことで、スワジランドは、ムファカネから無傷で、白人支配を受けながらもまとまりを維持する。難民の逃げ場となったバソト王国はこの時代に生まれ、後にレソトとなった。

シエラレオネとリベリアの相違
奴隷貿易をイギリスが禁止するようになって、イギリスは拿捕した奴隷船の人々をシエラレオネのフリータウンで釈放した。したがって、フリータウンは最初のパンアフリカ社会となった。その中でもマジョリティだったのが、ナイジェリアに多く住むヨルバ人であった。彼らはヨーロッパ要素(宣教師の教育)の混じった新しい文化と言語を作り出し、クレオール社会を形成した。彼らは新たな合法的貿易の仲介者となったし、その教育の成果を生かすべく故国に帰国した者も出た。
一方、リベリアは米国から解放された奴隷たちが入植して生まれる。入植者たちは、いったんアフリカとの絆を絶たれた世代であり、現地のアフリカ人とは切り離されたアイデンティティと文化をもっていた。米国の支援のもと、現地のアフリカ人を支配する。

黒いコメ
アメリカ大陸産の食料作物が世界に拡大した「コロンブスの交換」は世界史でも有名であるが、アフリカの食料作物も他大陸に伝播している。それはコメである。当時、コメの生産は東アジアと西アフリカで盛んで、奴隷としてブラジルや米国に連れて行かれたアフリカ人によって栽培された。これは西アフリカのグラベリマ米である。初期のコメ栽培は自家消費のために行われたらしい。ブラジルや南カロライナで河口の満ち干に適合させた西アフリカの技術(マングローブ・ライス)が行われたという。

…こういう細かな補足事項が面白いし、嬉しいのだ。

2015年4月4日土曜日

現代アフリカ経済論 学習ノート2

ハイレ・セラシエ
http://www.steelpulse.com/culture.shtml
「現代アフリカ経済論」(北川勝彦・高橋基樹著・ミネルヴァ書房/昨年10月15日発行)を通勤時に、三色ボールペンで線を引きながら読んでいる。面白くて仕方がない。印象に残った内容をまたエントリーしたい。今日は、「アフリカ経済と世界史」の部分からである。

アフリカでは家畜の飼育が作物の栽培に先行した。牛を含む家畜は中東から地中海沿岸にもたらされ、南のサハラに入りさらに広がっていった。その後も大陸外から多様な家畜が流入する。サハラがオアシスを除いて約4000年前に定住できなくなると、かつてサハラで栽培された小麦や大麦が生育せず、ソルガム、ミレットなどとアフリカ在来種のコメが、ナイル上流やチャド湖周辺で栽培されるようになる。さらにこれらの地域で綿花・ゴマも栽培されるようになる。

エジプトで著された初期のキリスト教の著作はコプト語で書かれており、ギリシア語版聖書に先立つものであった。また北アフリカ、ナイル渓谷とクシュ、エチオピアにはユダヤ教徒が暮らしていた。紀元1世紀、エジプトの人口の約15%はユダヤ人だった。またエチオピアのユダヤ人は高地に長く居住しており、クシュ語の変形を使用して自らの礼拝式(典礼)を発展させてきた。アフリカにおけるユダヤ人の存在はキリスト教が広まる一要因になった。

…エチオピアの歴史は、シバの女王とソロモン王の神話をもっている。彼らの息子であるメネリクがもたらした「契約の箱」は、現在でもユダヤ教とキリスト教、イスラム教の共通する聖なる遺物であり、ソロモンの血統と契約の箱があることで、ゼオン(天のイスラエル)と呼ばれた。このアクスム王国、さらにその流れを引くソロモン朝は、途中何度か政権を失うが、1974年のハイレ・セラシエ皇帝が国外退去するまで続いている。日本の神道と皇室の関係を彷彿とさせるような話である。

アフリカ東岸には8世紀から9世紀にかけて、サンゴ石でできた都市があった。この都市を作ったのはアラビアからの移民だと言われてきたが、古代ギリシア時代からここに定住し、アラブ人と交易していたパンツー系の人々であった。20世紀前半の欧米の研究者たちの偏見であったようだ。

2015年4月3日金曜日

ケニア 大学襲撃事件に思う

ケニアのガリッサ大学でソマリアのアルシャバブが、キリスト教徒の学生を人質に立てこもり、銃撃戦となり150弱の人々が犠牲になったようだ。ソマリアの内戦にAUの一員として従軍しているケニア軍への報復であることは間違いない。

アルシャバブの復古主義的ジハード派の立場からすれば、彼らの地に侵攻してきた異教徒へのジハードという論理が成り立つことは、このところの学びで理解したつもりだ。人定法を定めるキリスト教世界が構築した法治国家という概念も、人権などという概念も、神の定めたシャリーアの前には不正義でしかないというわけだ。

もちろん、これは、復古主義の人々の「正義」である。一般のムスリムは、そこまで突き詰めて考えていない。一神教世界であるイスラエルに行ってみて、よくわかったのだが、イスラエルのユダヤ教徒のマジョリティは世俗派という、ユダヤの律法に対して全てを守っているわけではないという人々である。彼らはユダヤ教というアイデンティティを保持しつつも、突き詰めて信仰生活を送っているわけではない。

イスラムの復興主義者と好対照なのは、黒いスーツとコート、帽子を身にまとった、徴兵されない律法学者でもある超正統派ではない。超はつかないがシオニズムの推進者である正統派だと私は思う。彼らは、危険を顧みずパレスチナの地に入植し、実効支配していく。

単に「ユダヤ人は…」とくくれないのと同様、ムスリムもステレオタイプで括ることはできない。少なくとも、高校の倫理や世界史の学習でフォローするくらいの知識では、現在の状況を把握することが難しくなっていると私は思う。

ブティストの私からすれば、暴力的な報復が、また因となり縁となって負のスパイラルを生むだけだと思うわけだが、先日読んだ中田考氏の本では、一神教世界は神によって成り立っており、原因も結果もないらしい。一神教を勉強すればするほど高い壁にぶち当たる。

だが、国際理解教育を推進する立場からも、一神教理解は異文化理解の核心であるとえいる私は考えている。なんとかして、生徒諸君に理解の緒をあたえたいと悩んでいるところである。新3年生の世界史は、一神教の話から入るつもりだ。

2015年4月2日木曜日

選手宣誓とナチス式敬礼

http://vivitrend.net/wp-content/uploads/2015/03/sensei03.jpg
先日、毎日のスポーツ欄だったかで、浦和レッズの人種差別事件を論じた記事があった。そこで知ったのだが、よく体育祭などで行われる右手を高く上げて選手宣誓をすることが日本ではフツーだが、これはナチス式敬礼を源流(オリンピックのベルリン大会以来)としているということだった。

ギリシアのサッカー国内リーグで、ギリシア代表でもあったヨルゴス・カティディス選手が、ゴールを決めた際、このポーズをとって喜びを表現。これが大問題となって代表から永久追放になったという。ドイツでは、このポーズをとると犯罪であるらしく、高校野球でもいつしかこういう右手を挙げるポーズをしなくなった。画像は今年の選抜。手を挙げていない。こういうスタイルが、今やグローバル・スタンダードなわけだ。

まさか、ナチスの功績を称える意味で、右手を上げて選手宣誓するわけでもあるまいが、止めたほうがいいと私も思う。今年は人権主担でもあるし、体育祭での宣誓のポーズについて体育科に確認してみようかなと思う。

ところで、本校の新年度時間割も今日一日中かかって、やっと三学年分、全て完成した。いやあ、疲れたのであった。明日は、確認作業とPCによる書類化作業である。

2015年4月1日水曜日

ナイジェリアの大統領選速報

新大統領 ムハンマド・ブハリ氏
http://africajournalismtheworld.com/
tag/maj-gen-muhammadu-buhariretd/
日経や毎日の、朝刊・夕刊それぞれで、ナイジェリアの大統領選挙の報道がなされている。要するに、野党候補者で、以前クーデターで政権を握ったこともあるプハリ氏が当選した模様だ。ブハリ氏は、民政移管後、3度も大統領選で敗北している。現大統領は南部出身のキリスト教徒、ブハリ氏は北部出身のイスラム教徒と、好対照である。

日経・毎日とも、北部で暴れているボコハラムへの憂慮から、国民は、南部の人々も含めて強いリーダーを求めたのではないかという論調である。たしかに、現政権は手をこまねいていたように見える。その反動であるのは間違いあるまい。

同時にナイジェリアは、石油産油国として世界中の注目を集めているアフリカ最大の人口大国であり、GDPでも南アを追い抜いたという観測もある。ナイジェリアの経済成長は、サブ=サハラ・アフリカ諸国にも大きな影響を与える。プハリ氏の手腕に期待するところであるが、これまでの実績を見ると保守派で、強権主義的政策を打ってきている。今ナイジェリアに必要なものは、ボコハラムの掃討だけでなく、国民一人ひとりを豊かにする政策である。すなわち投資を拡大できる金融政策をはじめとした良きガバナンスの構築がなにより求められている。新政権を注視していきたい。