2014年6月30日月曜日

ラマダン初日にカリフ宣言

最後のカリフ(スルタン)メフメト6世
TVや新聞ではお気楽なニュースが流れているが、我が家では夕食時、無茶苦茶緊迫したのである。イスラエルにいる息子からメールがあって、「カリフ宣言したらしい。」との情報がもたらされたからだ。
毎日新聞の夕刊にたしかに、「イスラム国樹立宣言」とある。イラクのISIS(日本ではISILと称している。)の中心者が、全イスラム国に対して忠誠を要求したというのだ。日本は、こういう一神教にまつわるニュースにうといので、はるかに信用できるウォール・ストリート・ジャーナルのWEBニュースを見てみた。

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303844704580000151170593066

妻とこれからどうなるのだろうと語り合いながら夕食となった。中田考氏は、カリフの復活を訴えていた。この本(5月21日付ブログ参照)を我が夫婦は読んでいた故に大論争になったわけだ。
オスマン=トルコ帝国の崩壊以来、空位になっていたカリフになったと、ISISの指導者が宣言したということは、16億人のイスラム教徒を統一し、イスラム国の再編を目指すということである。イスラムの本義は、欧米世界中心概念である個人主体ではなく、あくまで共同体の幸福追求である。中田考氏の言うイスラムの理想形は、我が夫婦が共通理解するところだ。だが、果たしてうまくいくのだろうか。

ISISはスンニー派の組織であり、アルカイダから過激派内での主導権を奪おうとしている、要するに、ひとつのパフォーマンスだというのが西側の理解だ。しかしスンニー派、特にワッハーブ派のサウジがこのカリフを認めた場合、どうなるのか。またイランをはじめとしたシーア派はどう動くのか。下手すると、イスラム世界の中で凄い戦いになるかもしれない。

「カリフが復活する」ということは、そんな簡単な話ではない。もし、反欧米(キリスト教)的なイスラム勢力が統一されれば、世界は大きく変わる。だが、諸刃の剣のようなもので、イスラム内の主導権争いが激化する可能性も十分あるわけだ。

毎日の朝刊には、29日、サウジアラビア内務省がラマダン開始にあたり、国内にいる異教徒に対しても断食をするよう要請、違反した場合処罰対象になると警告したという記事が載っていた。またマレーシアでは、23日、非イスラム教徒が「アラー」という神を意味する言葉の使用を禁止するとの最高裁判決が出た。これは、マレー語のキリスト教の聖書で神を意味する上で、どう表現するかという問題らしい。これらのイスラムの教義厳格化の動きは、もちろん今日のカリフ宣言の前の話だが、私は妙に気になる。ハンチントンの「文明の衝突」を読んで久しい。が、彼の予言どうりになっていくような危うい予感がするのだった。

2014年6月29日日曜日

モザンビークで対人地雷宣言

今は亡きダイアナ紀の対人地雷除去視察
http://www2.odn.ne.jp/~
cba31680/act28.html
毎日新聞の今日の朝刊・国際面の片隅に、モザンビークの首都マプトで、対人地雷禁止条約(オタワ条約)加盟国による第3回再検討会議が行われ、2025年までに条約が定める地雷の廃棄や除去などの義務履行を求める「マプト宣言」を採択したという記事を見つけた。この宣言には法的拘束力はないが、具体的な目標設定で加盟各国に一層の努力を求めるのが狙いだとか。未加盟のアメリカも、地雷の保有数を減らすと、「マプト宣言」に答えたようだ。

…対人地雷は、アフリカをはじめ、多くの被害を出している悪意の兵器だ。殺すより障害を残し、敵に被害を残す人道的に最も許されない兵器だ。戦闘員よりも、子供や農民に最も被害者が多い。除去には、莫大な労力と時間が必要である。CMCなど、カンボジアで頑張っている日本のNGOもある。

一方同じ朝刊の社会面で、中村哲さん(ペシャワール会現地代表)が、集団的自衛権行使の問題について、海外の紛争地で活動するNGOの対場から批判していた。ペシャワール会は、アフガンで医療活動や灌漑事業に関わっているが、対人地雷除去はしていないようだが、いずれにせよ、アフガンでは、日本人は「武力行使をしない国」故、特別扱いされているのだという。中村氏自身武装集団やタリバンに拘束されたことがあるが、日本人だとわかるとすぐ釈放されたという。

中村哲さんは「これまでの日本の国際貢献に感謝している人はたくさんいる。ODAやNGO活動で協力していくべきだ。日本はそれをできる数少ない国だ。」とし、今回の集団的自衛権の「駆け付け警護」に警鐘を鳴らしている。

…私も、そう思う。首相のいう「フツーの国」になる必要はない。戦争をしない国。平和を愛する国。特別な国であるべきだ。今回の集団的自衛権の問題は、世論がかなり反対している。国是ともいえる「平和国家」を変えるのならば、総選挙や憲法改正の発議、国民投票に問うのがスジだろう。姑息な手段で「国是」を変更していけない。

2014年6月28日土曜日

松田素二先生編のアフリカ本

以前から注目していたアフリカ本がある。「アフリカ社会を学ぶ人のために」(松田素二編/世界史思想社/14年3月20日発行)である。編者の松田素二先生の本は、「抵抗する都市ナイロビ移民の世界から」「呪医の末裔」などを読んで大いに感銘を受けた、昔から尊敬する文化人類学者である。松田先生は、京大の方なので執筆者も、重田先生、伊谷先生、山極先生といったいつも公開講座でお世話になっている京大の先生方が多く含まれている。これは、すぐにでも読みたいと思っていたのだ。ところが、何故かアマゾンで何度注文してもサインインできなかったのだ。うーん。と唸っていたら、今日梅田に行く用事(妻が三島由紀夫の写真展を見に行くとうのでついていったのだった。)があったので、J堂書店で直接購入できたというわけだ。

梅田からの帰りに松田先生の序文を読んだ程度なのだが、いやがおうにも期待が高まる。この本は、京大の公開講座で、多くの先生方が主張しておられた「アフリカの潜在力」を活かす方向で書かれた本だったのである。おいおい、その「学び」をエントリーしていきたいと思う。いやあ、楽しみである。
http://www.sekaishisosha.co.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&style=full&code=1616

2014年6月27日金曜日

日経 春秋 第一次大戦100年

http://daimaohgun.web.fc2
.com/mystery/file137.html
日経の今日の春秋は、第一次世界大戦100年を受けて、非常に示唆に富む内容だった。ちょうど、世界史Bでは、サラエボ事件から、三国同盟や三国協商などの流れを追って期末考査を迎える。また昨日は、サラエボ生まれの元日本代表監督・オシム氏が奔走して、チームを成立させたボスニア・ヘルツェゴビナがW杯に初出場し、予選通過はならなかったものの初勝利を挙げた。極めてタイムリーでもある。

春秋では、偶発的事件(サラエボ事件)が世界大戦に拡大したことをまず挙げる。「誰もが読み違えた。まさかという思いだったに違いない。その背景には欧州各国の相互依存が深まり、戦争は無益で意味のないものになったという時代認識があった。」「(戦争は無益だという論理展開があったのに)覇権国家だった英国の力が低下し、ドイツが膨張する中で力の均衡に変化が生じていた。国内の不満を解消するために関心を外に向ける内政的な思惑もあった。」

第一次大戦から学ぶこと。その第一は、偶発的な衝突は回避しなければならないということ。第二は、力の均衡の問題。バランスが崩れる時の危うさ。第三は、グローバル化が進む中でのナショナリズムの扱い。所得格差をはじめ社会の不満を外に敵をつくることで解消する動き。政治がナショナリズムを管理できるかという問題である。

…こうしてみると、まさに今、尖閣などで偶発的な事件が起こり、アメリカの覇権が中国によって崩されつつある時、内政の不満を外に向けるカタチで、無益だとわかりきっている戦争が起こる可能性を否定できないわけだ。危うい、と私は思っている。現政権も、中国も歴史に学ぶことをエポケーしている。いや、内田樹氏の言うように、そういう教養を持ちあわせていないのかもしれない。

春秋の最後に五百旗頭・前防衛大学校長の、次のような第一次世界大戦から100年の歴史を総括した言を挙げている。「第二次世界大戦の教訓は力をつけて勢いづく国に融和策をとってはならない。途方もなく弾みを与え、事態の収拾を不可能にする。」おそらく、チェンバレンの宥和政策を意識したものと思えるが、この第一次世界大戦の教訓と第二次世界大戦の教訓の相克こそ、今日の春秋の筆者の鬱勃たる思いではないか、と私は感じた次第。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO73394900X20C14A6EA1000/

2014年6月26日木曜日

毎日 タリバンのワクチン禁止

ユニセフのHPより ポリオ予防接種の画像
http://www.unicef.or.jp/library
/pres_bn2012/pres_12_03.html
ナイジェリアのボゴハラムが活動している北部地方特有のポリオが、シリアやソマリア、アフガン・パキスタンなど、イスラム原理主義の活動するところで感染が広がっているという、京大の公開講座で聞いた衝撃的な話を以前エントリーした。(本年3月29日・5月8日付ブログ参照)

今朝の毎日新聞に、その感染地域のひとつ、パキスタンのタリバン掃討作戦が行われている北部ワジリスタン地域で、ポリオの予防接種を受けていない大量の避難民が流出しているというニュースが掲載されていた。この地域では、タリバンが、ポリオワクチンの接種を禁じているのだという。すわ、イスラム原理主義的な行動か、と私は思ったのだが、過去に米国が予防接種を装いスパイ活動を行ったということで、予防接種の従事者を狙ってテロ攻撃を繰り返し、これまでに60人を殺害。以来、接種は禁じられてきたのだという。宗教的な理由ではなく、軍事的理由だということだ。パキスタン政府は、検問所や難民キャンプなどで避難民の4割を占める子供らにワクチンを接種したらしいが、目の届かない経路で非難した人々には感染の有無や予防接種ができず、ポリオの拡大に懸念を抱いているという。

http://mainichi.jp/select/news/20140626k0000m030054000c.html

…ポリオによって、手足にマヒが残る人を、私はブルキナファソで直接見たことがある。ポリオは予防接種で十分防げる感染症だ。この米国のスパイ活動云々が事実なのかどうかもわからない。それが事実だったとしても、接種の禁止は、罪のない子供たちに理不尽な禍根を残すことだけは間違いがない。イスラムの大儀は、共同体全体の幸福にあるはずだ。その辺の深い思慮を望みたい。

2014年6月25日水曜日

ザックJAPAN ありがとう

http://plaza.rakuten.co.jp/
seibarstar/diary/201403090000/
今朝は5時からコロンビア戦を見ていた。前半終了間際、岡崎のゴールが決まり、同時に行われているギリシアーコートジボワール戦でもギリシアが勝っていて、これは「ミラクル」が起こるかもしれない、という大きな期待が沸き起こった。さっそく、後輩の口の悪いI先生(前任校以来、W杯の試合を見ながら連絡を取り合っている仲だ。)の携帯に電話した。こちらが何も言ってないのに「ゴォーール」と言ってきた。おいおい。(笑)さすがに今日は、I先生もも学校には試合終了後に行くつもりなのだ。

だが、結局コロンビアが本気を出してきた。控えの選手を入れ替え、一気に凄みが増す。これにザックJAPANは、引いてしまった。それが敗因らしい。3点目が入った時、ついにTVを見ながら着替えを開始した。…4点目。そしてホイッスル。

8時を過ぎて校門をくぐったのは、転勤以来始めてのことだ。残念だが、これが今の実力なのだろう。TVを通じて、本田が、体力をつけるため、ケニアの長距離選手とともに走りこみのための私的な合宿をしていたことも、長友がインテルの練習場に”長友坂”と呼ばれる坂を作ってもらって、毎日走りこみをしていたことも私は知った。まだまだ多くの選手が陰で努力を積み重ねていたのだと思う。だが、届かなかった。

今回のチームは、南ア大会より絶対強いのではないか、と私は今も思っている。その成長の代表的な証であった香川にはW杯で是非とも決めて欲しかった。パスをつなぎ、攻撃的な日本的サッカーをさらに精錬して、4年後の香川をまた見たい、と思っている。

ザックJAPAN、ありがとう。

2014年6月24日火曜日

朝日 ジブチにも中国進出

昨日に続いて朝日新聞では、中国のアメリカへの挑戦、いや挑発について書かれていた。今朝の記事は、紅海ぞいのジブチの話だった。ジブチは、かつてフランスの植民地だったトコロだ。エチオピアの外港としての価値をもっていて、中継貿易で成り立っている。フランス軍の基地もあるし、アメリカ軍の基地もある。日本の自衛隊もソマリア沖の海賊対策として駐留している、地政学上重要な場所でもある。ここに、中国が進出しつつあるというわけだ。ジブチには、死海以上の塩分濃度をもつ塩湖があり、そこに目をつけたらしい。もちろん、エチオピアの携帯電話業界は、中国によって独占状態にあり、このあたりの中国の進出はかなりのものだ。

とはいえ、ここはフランスとアメリカの基地がどーんと控える要地である。昨日エントリーしたパナマとニカラグアよりもはるかに密接した進出である。さて、この辺も大きな火種になる気配がする。フランスも、ある意味アメリカ同様に弱気を嫌う、プライドの極めて高い国である。変な摩擦が起こらねばいいがと思うのだ。

ところで、ジブチの人と私は少しだけだが、語らったことがある。東京のJICAで出合った研修員さんである。緑化を日本に学びに来たのだと言っていた。なかなかにこやかな人柄の方で、私がジブチという国を知っていたことを大変喜んでいただいたことを覚えている。

どうも、人間は「国益」などという不思議な概念を背負ったときに、互いの理解が遠ざかるような気がするのだ。地球市民は、ついついそう考えてしまうのだが…。

2014年6月23日月曜日

朝日 ニカラグアの中国運河

http://www.cubadebate.cu/noticias/2014/01/12/construccion-de-canal
-interoceanico-de-nicaragua-comenzara-en-diciembre-video/#.U6gbiZR_uss
先日TVで、パナマ運河の映像が紹介されていた。何度か見たことがあるが、改めて見るとなかなか面白かった。全世界的にパナマックス(パナマ運河を航行できる幅に合わせる)という船のサイズがあること自体が凄い。このサイズ、運河とは左右50cmの余裕しかなく、それを日本製の電気機関車が引っ張っているのだった。

ところで、今日の朝日新聞の朝刊に、中国資本(香港)が主導して、ニカラグアに新しい運河を建設する計画があることが大きく報道されていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140623-00000001-asahik-soci

このニカラグアに運河をつくる計画は昔からあって決して目新しい話ではないのだが、中国資本がこれを主導するとなれば、話は違う。中米は、モンロー宣言以来のアメリカの裏庭である。ニカラグアは現在反米政権なのだが、そこに中国が主導して運河を建設するとなれば、アメリカは黙認するとは思えない。スエズ運河にせよ、パナマ運河にせよ、政治的・軍事的に極めて高い地政学的な価値を持っている。ある意味、中国のアメリカへの挑戦と受け止められても仕方がない。

中国資本は、あくまでビジネスと主張している。パナマックスより大きな船舶の運用を可能にするという利点を掲げている。しかしアメリカは、この計画を全力で潰す方向で動くのではないか。もちろん軍事的行動はとらないと思うが…。オバマ政権の外交政策が、このところ極めて消極的ゆえに、挑発的な打ち上げ花火かもしれない。しかし、あまり、アメリカをなめない方がいい、と私は思っている。アメリカは、基本的に弱気を嫌う国だ。

2014年6月22日日曜日

”Big G” って格好いいやん。

http://www.80-808.co?m=201405
全米で「ドラえもん」が放送されることになったらしい。TVニュースで昨日見た。ディズニーの配信になるらしい。のび太はNobyという名前で、そのままだと女性名っぽくなるとのこと。スネ夫は、かたつむり(Snail)に音が似ているので、Sneech。ジャイアンは、ぼんやりしたとか、遅いという意味になるので、Big Gになるらしい。

どこでもドアは、まさにそのまま。Anywhere Door。タケコプターはHopterと呼ばれるそうだ。アニメの中では、円がドルになったり、アメリカ風アレンジされるとのこと。途上国などでは、日本のアニメはそのまま放送される。わざわざアレンジしないことが多いはずだが、アメリカ風に変えてしまうトコロがアメリカらしい。

アメリカでは、日本のアニメはかなり流行っている。初めてアメリカ訪問をした時、高校生とこうドラゴンボールの話で盛り上がったコトもあるし、ニューヨークで日本のアニメ専門店も見た。ドラえもんがアメリカTV初上陸というのも意外なくらいだ。

アメリカでは、子供が見る映画やTVには、かなり厳しい規制があると聞いている。しずかちゃんの入浴シーンはないだろうな。(笑)

2014年6月21日土曜日

佐藤優「外務省に告ぐ」を読む2

http://www.ism.ac.jp/ism_info_j/labo/visit/111-2.html
佐藤優の「外務省に告ぐ」を途中まで読んでいたのだが、妻が読みたいとのことで貸していた。そんなこんなで、先日やっと読み終えた。様々な外務省の醜態が書かれているのだが、その内容をエントリーする気はない。ただ、そんな外務省の幹部の一人が、最高裁判所判事に就任していることには驚いた。最高裁判事になるのに、司法試験合格(法律の専門家としての基盤だと思うが…)なんて関係ないんだ、ということを知ったのだった。司法権の独立は絵に描いたモチなのか、と思ってしまう。次の総選挙の時は、最高裁判事の経歴などもしっかり調べて審査に臨もうと思ったのだ。

最後の方で、民主党の鳩山元首相の話が出てくる。元首相の功罪は置いておいて、なかなか面白い話なのでエントリーしておきたい。佐藤優が、イスラエルのインテリジェンスの専門家の友人と、当時の鳩山首相について語り合う場面だ。佐藤優は、その友人から要人の行動様式を分析する方法として、20歳の頃何をしていたか?を調べるという方法論を学んだという。20歳頃に身についた思考方式はその後も基本的に変わらないのだ、という。

20歳頃の鳩山元首相は、東京工業大学で数学の演習に熱中していた。偏微分方程式の演習。マルコフ連鎖。要するに確率論らしい。おもしろい例が載っていた。1000人の女性と見合いをする場合、自らは断られないという条件のもと、次々に断っては見合いを続けるとすると、最初の368人を断り続け、369人目から最も良い人が見つかるのだという。1000人の中で最もいいと思われる人と結婚できる確立は3割6分8厘だという。

…全くそれがなんなんだ?という話なのだが、こういう思考方法で鳩山元首相は普天間問題を考えていたと佐藤優は読む。彼の経験則ではそれまで成功してきたので、直近の問題をこういう確率論で「科学的に」考えていたらしい。ふーんと思わず突き放したような感想が残ったのだった。

…ちなみに私は大乗仏教を学んでいた。たしかに、二十歳の頃の思考方式は今なお私の行動様式の基礎になっていると思う。

続 教育実習シーズンなのだ ’14

久しぶりの前任校
昨日は3週間、前任校で教育実習をしていた奈良教育大学のG君のご苦労さん会に行ってきた。担当していただいた化学のT先生によると、よくやっていたとのこと。大学の先生もこられていた授業では、T先生の質問にすこしパニクッたらしいが…。(笑)先週の日曜日(国際理解学会)にも会っているので、あまりなつかしくない。(笑)

3年前の自分のクラスだったN君、一昨年のI君と、教え子が教育実習に母校に帰ってきた際は、お疲れさん会をしてきた。やはり、同業を目指す教え子は一層かわいい。G君については、クラスの生徒ではないが、まさに前任校最後の教え子である。奈良教育大を勧めたのも私だし…。

これまでは、教育実習を司っている(教務部長である。)Y先生と、教科担当をしてもらった弟分のU先生とお別れ会を開いていたのだが、今回は、なんと全教育実習生が参加することになった。Y先生の配慮である。もちろん教頭のキノコ先生やU先生とともに、関わった先生方が参加していただいた。ちょっとした大宴会である。(笑)だから、G君ともY先生ともU先生とも話したいことはいっぱいあったのだが、かなり分散してしまった。(笑)

ところで、G君から、先日の日曜日、「こういうものを作ったのですが。」と、科学史のテキストをもらった。新理科教育Ⅴ「教科書研究」という講義でのものらしい。「科学史でたどる原子の教科書」~理科と社会科の複合領域における学習~と題された50ページもの大作だ。最初に科学史の扱いが、世界史などでは極めて少ないことを挙げている。全くそのとおり。私もあまり講じない。
テキストでは、古代ギリシアのタレス、ピタゴラス、デモクリトスなどの自然哲学とアリストテレス、エピクロスと、存在論の変遷を論じていく。(…G君らに倫理の補習をガンガンやったのを思い出す。)近世から近代と実験しながら、ブラウン運動の話に続いていくものだった。特に後半は全くの理科なので、全くよくわからない。(笑)これが中3から高1・2レベルのものらしいが、文系の大人でも難しいぞ。(笑)とはいえ、なかなかのものだった。G君は国語科出身なので、文章を書くことを苦にしない。こういうテキストを自分で書いていくという訓練を若いうちからやっていることはすばらしいと思う。何を教えたいのか。それをかなり練らないといけないからである。きっと良い理科教師になれると思う。

院に進む彼とは、また秋にでも会うことになると思う。さらなる成長を楽しみにしている。

ところで、宴会では最後に、キノコ教頭とY先生と腕を組んで校歌を合唱したのだが、五十肩とヘルニアで私だけ両腕が上がらなかった。なさけないかぎりである。(笑)

2014年6月19日木曜日

毎日 アフリカの記事・朝夕二題

紛争地域における性暴力撲滅を目指す国際会議 
共同議長のアンジェリーナ・ジョリーさん
このところアフリカのニュースが載らなかった毎日新聞に、ヨハネスブルグ支局の服部正法記者の記事が朝刊・夕刊と連続で載っていた。朝刊は、ロンドンで開かれた紛争地域での性暴力撲滅を目指す初の国際会議の話。夕刊は、ギニア・シエラレオネ・リベリアの三カ国で、エボラ出血熱が猛威をふるっていて、500人を超える死者が出ているというニュースだった。

どちらも今なお、アフリカの状況が厳しいというニュースだ。ウクライナ、シリア、イラク、南シナ海…そしてブラジル。今、世界が注目する地域ではないゆえに、メディア・リテラシーの観点から見ると、紛争に関する重要なニュースに押されて後回しにされていたのだろうか。性暴力の記事ではコンゴで東部の内戦での性暴力の様子が詳しく報道されていた。やるせない内容で、詳しくエントリーする気になれないほどだ。
http://mainichi.jp/select/news/20140619k0000m030047000c.html

また、西アフリカの参加国のエボラ出血熱の話は、以前私がエントリー(3月25日・4月5日)してから、ますます悪化の一途をたどっている。エボラ出血熱は、恐ろしい病だ。対応する医療関係者も万全の体制が必要である。関係各位のますますの努力を期待したい。
http://mainichi.jp/select/news/20140619k0000e030185000c.html

2014年6月18日水曜日

野球部の一番辛い日

6限目LHRにてダンス練習
昨夜は20時に床に就いた。土曜日からの疲れがついに限界に達したようだ。今朝は通常どうり登校した。途中で野球部のN君と会った。「おはようございます。」と爽やかな笑顔だった。私は、「よかった、背番号をもらえたのだ。」と思った。昨日は、野球部の夏の大会・大阪予選のメンバー発表の日だったのだ。春の大会で、N君は普通科ながら背番号をもらっていた。私が応援に行った試合では出番はなかったが、少なくともベンチ入りしていたのだ。

学校に着いて、野球部顧問の若手のU先生に昨夜のことを聞いた。まるまる1時間、監督のI先生が全3年生相手にノックをしていたのだという。今日でユニフォームを脱ぐ生徒もいる。いる、というより脱がない生徒の方がはるかに少ない。I先生の心中を思うと辛い。様々な思いがノックする一球一球に、こもっていたと思う。

ノックの後、メンバー発表をして、多くの生徒が涙したそうだ。

実は、N君はメンバーから漏れたそうだ。N君は気性の激しい子で、1年で担任した時大いに心配した。シャイだが、男気があり、私の美学に一致していて、クラスが変わっても可愛がっていた。今日の朝の私への笑顔の挨拶は、彼の成長を如実に物語っていた。

団活動の討議やダンスの練習を終えて我がクラスの終わりのSHR後。3人いる野球部は、いつもすぐにユニフォームに着替える。だが、今日はM君一人である。制服のままのT君と少し話した。「1年の時と同じように、応援するお前らを応援に行くなあ。」「はい。みんな、案外すっきりしています。大丈夫です。」もう一人のT君は、1人、着替えて校舎の周りを走りに行ったそうだ。何かを振り払うためなのだろう。それもいい。

こうして、みんな大人になっていく。

2014年6月16日月曜日

司馬遼が書かなかった幕末

昨日の国際理解教育学会。早く会場に着きすぎたことを書いた。私の次にやってこられたのが、山口県・岩国市のM先生だった。国際理解教育の話題の後、少し幕末期の長州の話になった。当然、よくご存知であった。私たちが「長州」とひとくくりに言うけれども、本藩と支藩があって、出身地からくる人間関係もなかなか複雑らしい。勉強になったのだった。私が何故こんな話を出したのかと言うと、「司馬遼太郎が書かなかった幕末」(一坂太郎/集英社新書・13年9月18日発行)を最近読み終えたからだ。

本書の最後には、こうある。『よく、司馬遼太郎作品の読後感として聞くのが、「元気が出る」「勇気が湧く」「日本と言う国に誇りが持てる」しかしそれはある意味当たり前で、明るく、楽しく、勇ましい「歴史」を選って描いた「物語」だからである。』

この本は、司馬遼の「竜馬が行く」「世に棲む日々」における、坂本竜馬、吉田松蔭、高杉晋作らの史実との違いを、これでもかと暴いていく。たしかに司馬遼の筆力は凄いので、普通に読んだら、フィクションとは到底思えない。私は大佛次郎の「天皇の世紀」も読んだので、また違う観点から語ることも出来るのだが、それでもつい、司馬遼の描いたフィクションを史実と信じて授業で語ることもしばしばである。

竜馬は、ペリー来航を受け、西洋砲術を学ぶため、佐久間象山の塾に入門しているのだが、それは「竜馬が行く」には出てこない。ということは、ここで吉田松陰と出会っている可能性がある。しかし、全く作品にはふれられていない。これは私も知らなかった。

吉田松陰の天皇崇拝は「天皇の世紀」に詳しいが、司馬遼の作品では触れられていない。また松下村塾では身分を越えた塾と言うイメージがあるが、松蔭は身分制を重視していたようだ。高杉晋作の奇兵隊もしかりである。「草莽」と呼んだのも、民衆や庶民ではないようだ。奇兵隊の戊辰戦争後の話も悲惨である。

高杉晋作の上海渡航は、ヨーロッパ渡航が流れた故の話だったようだし、英国公使館焼き討ちの話では、いかにも幕府が長州に遠慮して老中レベルで政治的判断から下手人探しを打ち切ったように書かれているが、この英国公使館建設については、幕府も苦慮していたのだ。孝明天皇からも勅命があって建設を中止するように言われていた。英国と天皇の板ばさみである。それが、高杉らによって焼き討ちされたのだ。高杉らは、命がけで幕府を救ったことになったのが事実である。下手に下手人を探すと薮蛇となるわけだ。

長州の白石といえば、司馬作品によく登場する志士を支えた豪商ということになっているが、支藩ご用達の、政治力の弱い商人だったようだ。だからこそ情報力を武器に生き延びようと必死だったようで、司馬作品のイメージとは大いに異なる。

と、いうように書ききれないほど多くの史実との相違が書かれている。だからといって、司馬遼の作品としての価値が損なわれるわけではない。と、筆者も書いている。あくまでフィクションとして読むべきだというわけだ。…私としては、大佛次郎の「天皇の世紀」とあわせ読むことを、教え子たちには是非とも勧めたいと思う。

2014年6月15日日曜日

国際理解教育学会 ’14 奈良

誰もまだ来ていない奈良教育大学
金曜日は、放課後バタバタしていて、今日の研究発表大会の関係書類を学校に置いたまま帰ってきてしまった。奈良教育大には何度も行っているし、問題ないと思っていたのだが、なんと開始時間が私の意識(9:00開始)と30分ずれていたのだった。だから6時に家を出たのだ。誰もまだいない会場で、タバコをすっていたら、前任校OBで現在教育実習中のG君が自転車で現れた。彼は今日のスタッフらしい。話をしていて、9:30開始だということを知ったのだった。(笑)…もう少し寝ればよかった。

今回の発表は、「W杯・日本対コートジボワール戦の開始まであと少しですのに、お集まりいただきありがとうございます。」と笑いを取って、始まった。しかし正直なところ、もう一つ上手くいかなかった。「イスラエル考現学」のスライドが多すぎたし、肝心なことをうまく伝えれなかった。歳をとったのか、弁舌も軽くなかったような気がする。ようするに疲れが溜まっていたのだった。

質問時間では、「19世紀までユダヤ教徒とイスラム教徒はうまく共存していたと主張する本を読んでいただきたい。」という、私が一神教を比較宗教学的に見ると多文化共生は難しいと思うという今回の発表の核心部分への批判がでた。共存していた事実は知っているし、そんなことは大前提である。この批判の「19世紀まで」というのがミソだ。その後、イスラムの経済的・政治立場は大いに減退し、欧米・キリスト教世界と経済格差が開く。だからこそ、イスラム原理主義が台頭するのだ。ただし、三宗教とも世俗派というか、信仰にあまり熱心でない人々の多文化共生は十分可能だと思う。この辺をもう少し語っておくべきだったと反省する。少なからずコトバ足らずだったと思うのだ。

ところで、私が発表した第11分科会での後の3本の発表は、どれも素晴らしいものだった。福島県の私立中学校のK先生の発表では、かなり先進的な取り組みをされていた。私が後でご本人に質問したのは、これから考えているという「パキスタンのマララさん」の問題についてだ。「中学生にどこまで説明できるでしょうかねえ。」と不安も口にされていた。私の一神教の話をよく理解していただいたようだ。たとえ優秀な中学生でも、かなり難しい論議になると思う。K先生とは、結局のところはこういう根本的な深い理解がないと、多文化共生を語れないということを確認し合ったのだった。

東京の国立大学付属高校のK先生の発表も、面白かった。外国人の刺青の話を題材にしてディスカッションされていた。マオリ族の顔に入れられた刺青のため、北海道の温泉に入れなかったケース。外国や日本の様々な刺青についての調査も含めて、緻密に実践されていると思った次第。

京都の日本学術振興会特別研究員のSさんの報告も面白かった。在日3世として教育学を研究されている中で、困難校を訪問しながら多文化共生教育をされている実践報告だった。プレゼンが極めておじょうずで、パワーポイントなしでも、ぐいぐい引き込まれていく。私文化という概念を教えてもらった。卵焼きの私文化。Sさんのご家庭ではごま油を使われていて、それが当然だと思っておられたようだ。それぞれの家に私文化がある。そこを糸口に生徒に迫っていくのだ。

私の発表はともかく、後の三本の発表は女性だし、さわやかで面白かった。最後に司会の東京学芸大のN先生から面白いまとめをしていただいた。「今日の4題の発表は、異文化への対応をそれぞれ分けて発表していただいたように想起しました。それを図にすると次のようになります。同情・差別・排除、そしてもうひとつは?です。以前、この図を使ってアクティビティをしたことがあります。皆さんは、この?に何を入れますか?」うーん。私は、「理解と共感」だと思う。それが、多文化共生の肝要だと思うのだ。

ところで、私の発表後少したって、着信とメールが携帯に届いた。(もちろんマナーモードにしてある。)「ゴール!」後輩の口の悪いI先生からだった。だが、その後、I先生からのメールはなく、日本がコートジボワールに敗戦したことを推測できたのだった。

2014年6月14日土曜日

弓道部IH予選を応援に行く

弓道部の試合会場は、大阪城公園にある。JR環状線の駅からも近く、こういうIH予選のハシゴ行には大いに助かる。(笑)あわてて駆けつけたら、なんと昼休み休憩中だった。(笑)おかげで、多くの弓道部の生徒と話をすることができた。弓道部の応援に行くのは初めてなので、いろいろと教えてもらう。今日は個人戦で、午前中に四射ずつ順に射るらしい。的を射た数(スコア表を見せてもらったら、個人票に○と×が細かくつけられていた。)で競うのだとか。我がクラスのU君は、5月の予選会で最高の成績だった。U君はどうかと見てみたら、7/8というスコアだった。他の選手よりかなり抜きん出ていた。うん、たいしたものだ。普段は目立たないし、凛という感じには見えないのだが、袴をはいて、弓を持つとなかなか、かっこいい。(笑)

3回戦・4回戦を見せてもらった。3回戦は立射というスタイルで、次々射ていく。4回戦は射ては座ってを繰り返し、比較的ゆっくりだった。ここでもU君はなかなかの成績だった。最後まで見届けるつもりだったが、頚椎ヘルニアで、左肩が強烈に痛んできたのだ。明日の学会発表のことも考えて、ここでリタイアさせてもらった。

本校の弓道部は、競技で好成績をあげているだけでなく、弓を的からはずす作業をしたり、審判のお手伝いをしたりと、かなり貢献していることもよくわかった。後は、朗報を待つのみである。

<追記>先ほど、U君から連絡があって、残念ながらIH出場は逃したとのことだった。しかし5位だったので、近畿大会に出場できるということだ。明日の団体戦は、気持ちを切り替えて頑張って欲しいと伝えたら、「頑張ります。」との返事がきた。うん、うん。明日は行けないが、さらに朗報を待つのみである。

追記(16日):結局、U君はIT出場は逃したが、個人・団体とも近畿大会出場を勝ち取った。おめでとう。月曜日の今朝、クラスの黒板に、その報告を書いておいた。SHRでは、皆の拍手を受け、少しはにかんでいた…。
追記(22日):U君は、国体の大阪代表にも選ばれた。いやあ、めでたい。

柔道部男子IH予選’14

見事な一本勝ち
先週の女子に引き続いて、今日は柔道部IH予選の団体戦、明日は個人戦である。昼から弓道部のIH予選も見に行く約束なので、IH予選のハシゴというわけだ。こういう時にかぎって、本校の出番が遅かったりする。四試合目である。しかもその前の試合が熱戦で、なかなか始まらない。

ついに本校の出番がやってきた。去年よりは身体は大きめなので、さすがに私立強豪校には見劣りするかもしれないが、全員五厘刈で、いかにも強そうだ。実際、公立の雄。強いのだ。(笑)
一回戦は、先鋒がすぐに技有りをとった。だが、相手校もポイントゲッターなのだろう、有効を奪うものの、なかなか一本とれない。しかし、結局、合わせて一本勝ち。幸先良いスタートを切った。うん、いける、と思ったら、なんと後の4人は開始早々一本勝ちを次々に決めていく。結局、さっと終わってしまったのだった。時計を見ると、11時30分近い。昼過ぎに行くと約束していたので、移動時間を考えると、1回戦しか見れなかったのだった。

でも、本校柔道部の強さを今年も見せつけてもらえた。十分満足して、なみはやドームを後にしたのだった。

追記(16日):団体戦は2回戦、大接戦で私立高校に敗退したそうだ。個人戦では主将がベスト8に食い込み、他の選手もベスト16まで進んだという。行けなかったが、剣道部の団体戦では、女子が近畿大会出場を勝ち取ったが、男子はベスト16で涙を飲んだそうだ。

2014年6月13日金曜日

教育実習シーズンなのだ ’14

先週の月曜日から2週間、1年生の時と同様に、大阪市立大学医学部看護学科のKさんを我が3年4組に迎えていた。本校では社会科の教育実習生は少ないし、私の担当する世界史や政治経済で実習する卒業生もいないので、またまた私に回ってきたというわけだ。(笑)

Kさんは、いつも笑顔の快活なお嬢さんである。どんどん生徒の中に入っていく。養護教諭の実習ながら、今回は保健体育の実習生が、それこそ履いて捨てるほど(失礼)来ているので、保健の授業はできないそうで、ひたすら保健室で実習を積まれていた。生徒に接するのは、保健室と、我が3年4組だけである。

大阪市立大学では、水曜日に大学に帰り、報告会があるそうなので、2週間といっても実質8日間である。水曜日は、団活動もLHRもあるので、生徒と接するには格好の機会なのだが、その日にいないのは残念である。団長に聞いたら、今日の昼休みはダンスの練習をするとのこと。生徒にKさんを呼びに行くように伝えておいた。

昼休みなのに、男女とも楽しく練習しているので、感激した様子だった。女子の進学校出身でバレーボールばかりやっていて、こういうイベントは馴染みが薄いらしい。生徒も礼儀正しく、本校の印象はすこぶるいいらしい。ありがたいことだ。

今回も、最後のSHRで全員で写真を撮る事にした。5組にも同様の実習生がおられるので、5組の担任のS先生と連携プレーで写真を撮り、プリント、額に入れてお二人に贈呈した次第。たいへん喜んでいただいた。看護士の仕事もいいだろうし、こういう学校現場での養護教諭という仕事もいいなあと思っていただければ、嬉しい。

K先生、2週間ありがとうございました。生徒も淋しがっていましたよ。また体育祭、文化祭に来て生徒の姿を見てやってください。

2014年6月12日木曜日

国連総会新議長にウガンダ外相

JICA HPより
このところ、アフリカのニュースは、またナイジェリアのボゴ=ハラムが女性を拉致したとか、コンゴ民主共和国とルワンダ軍がぶつかったとか、そういう暗い気持ちになるようなものばかりだった。今日の毎日の夕刊に、国連総会の議長にウガンダの外相が選ばれたという報道を見つけた。
WEBで確認したところ、国連総会の議長は、各地域で持ち回りとなるそうで、今回はアフリカから選ばれることになっていたらしい。そこで、アフリカは、ウガンダの外相サム・クサテ氏を選んだのだという。さっそく、ウガンダ国内における同性愛への厳しい処分に対して、欧米から非難がおこっているようだが、それを、外相はさらりと流したようだ。

毎日の報道では、クサテ氏は「ポスト・ミレニアム開発目標」(MDGs)と、その効果的な履行方法への合意に取り組むことを強調したとあった。私などは、このことのほうがはるかに重要なメッセージだと思うのだ。このMDGsは、2015年をメドに設定されたものだ。いくつか、達成されたものがあるが、まだまだ多くの問題が取り残されている。

<MDGsの2013年現在での達成報告>
http://www.unic.or.jp/files/MDG_Report_2013_JP.pdf

…もともと、このクサテ氏は欧米の方に目を向けて、ウガンダの外交をひっぱっていた人物らしい。様々な価値観がぶつかりあう国連にあって総会をどうひっぱっていくのか、期待したいところだ。

2014年6月11日水曜日

剣道部の稽古を見に行く

一昨年度IH予選にて本校剣道部の写真
http://shashinkan.rakuten.co.jp/my-page
/community/top/c/han-ai-kendo-h24/
放課後、少し時間があったので、久しぶりに剣道場を覗きに行ってきた。今週の土曜日の私の予定は、まず柔道部のIH男子団体戦を見に行って、その後弓道部のIH予選を見に行く予定だ。剣道部の団体戦もあるのだが、会場が岸和田だし、さすがに無理だ。朝の授業の時、剣道部主将のF君に、「応援に行けず申し訳ないなあ。」と話していたのだった。

個人戦はすでに先週行われ、IH出場はならなかったらしい。何と言っても、個人戦出場枠は一校たった2人である。本校では、その2人に入ること自体が至難である。それでも一昨年は、本校から大阪チャンピオンを生んだのだった。団体戦は5人。こちらの方が、今年は可能性があるそうだ。なんと言っても学校自体のレベルの総合的な力量がものをいうからだ。

応援に行けないのなら、せめて稽古を見に行こうと覗いたのだが、うまいこと本番さながらの試合形式の稽古が始まるところだった。顧問のK先生の横で見せてもらう。「ちょうどいい時に来ましたねえ。」とK先生。しまった。マイカメラを持ってくればよかったと思ったが、後の祭りだ。

先鋒は、昨年私が担任したK君である。普段はひょうきんで人気者なのだが、剣道着に身をつつむと、全然違う。すばやい動きで下級生と打ち合う姿は感激ものだ。ふと、赤の旗が上がった。審判も生徒だが、凛としている。何が起こったのかはわからないが、K君が一本取ったようだ。この辺が、剣道の難しさである。素人には何が何だかわからない。(笑)

「時間です。」試合が終わって、2人が、顧問のK先生の下に駆けつける。指導を受けるのだ。厳しい指摘がでる。ピーンと張り詰めた空気。指導後、K君は道場に入るときに私が脱いだ靴を、道場内の下駄箱にそっと置いてくれた。あれだけの試合の後、それに気づいて反応する。剣道の技だけでなく、生き方の全てを学んでいるのだなあと感銘を受けた。「ありがとう。すまんなあ。」とK君に言うと、面をつけたまま、「いいえ。」と一言。その短いやり取りの中に、今日見に来てくれた元担任への深い感謝が感じられた。嬉しいなあ。

その後、H君、F君、T君と、私がかわいがっている武道科の生徒が真剣に試合しているところを見せてもらった。どこがどう良いのか、悪いのかは全くわからないし、意外なところで旗が上がるのはいつもと一緒だ。だが、3年生にとってはこれまでの集大成の戦いが迫っている緊迫感がひしひしと伝わってきた。すがすがしい思いで、剣道場を後にしたのだった。一階の柔道場では、柔道部が寝技で汗をかいていた。グランドでは、野球部が背番号をかけて最後のレギュラー争いをしている。ラグビー部は泥まみれだし、陸上部もグランドを駆け回っていた。

2014年6月10日火曜日

オスマン帝国の没落を熱く語る

ベルリン条約
蒸し暑い一日だった。火曜日は、世界史Bばかり4時間というのが、私のヘビーローテーションである。(これでも5月以降、1時間だけ木曜日に移動したのだ。)汗だくになって世界史の授業をしていた。

期末考査の着地点は、第一次世界大戦に置いている。まずアメリカの南北戦争の話から始めた。保護貿易と自由貿易という南部と北部の対立を語っておく必要があったのだ。次にイギリスのビクトリア時代。自由主義と帝国主義の並立時代だ。さらに、少し時代をさかのぼってロシアの南下政策とオスマン=トルコ。バルカン問題は、この両者の熾烈な勢力争いに他の国がからんでくる。特に露土戦争後のビスマルク外交。こういう上部構造に、今再び、保護貿易と自由貿易の下部構造の話がかかわってくる。帝国主義と言うのは、イギリスの労働者賃金の上昇によって、ドイツに工業生産額で上回れた故に、保護貿易化したという視点が面白い。植民地を囲い込むという保護貿易体制こそ、英仏の帝国主義だ。これに挑戦するドイツの3B政策とバルカン問題が、第一次世界大戦勃発に発展するのだ。

今日の授業の主役はオスマン=トルコである。ベルリン条約で、ボロボロにされたイスラムの盟主。なぜ、こうなってしまったのか?という話をしていた。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の一神教を軽く復習してから、ユダヤ教で言う律法という神の教えについての捕らえ方を比較してみた。多くの預言者によって、神のコトバを蓄積し、律法学者によって膨大なタルムードとしたユダヤ教。その形式化を批判し、律法の成就を説いたキリスト教。キリスト教では、律法よりイエスの福音を重視する。この福音、極めて柔軟で、ルネサンス以降、神の言葉・神の設計図を知ろうと言う自由な意志が容認されていく。もともと公会議でも多数決を主旨とするキリスト教には、近代科学を発展させる素養があったわけだ。民主主義も資本主義も、それによって爆発的に発展する近代科学もキリスト教を土台にしている。
一方、イスラム教は、ユダヤ教・キリスト教を批判する形で生まれた。ムハンマドが示した神のコトバであるコーラン、彼の言行録であるハディースは、ユダヤ教の律法・タルムードに比べコンパクトだ。だからこそ、この啓示に含まれないものは、イジュマー(共同体での神学者の合意、ただし全員一致でないと神の意志とは認められない。)・キャース(類推)というシャリーアの法体系も、極めて合理的だ。だからこそ、イスラムは神に服従できるわけで、キリスト教に対して、人間個人の可塑性は極めて小さくなる。すでに神によって定められた政治・経済のあり方もきっちり存在している。近代国家の基礎となる、民主主義や資本主義が発展していく必要がない。

世界史的に見て、イスラム圏が近代以後、キリスト教圏に席巻されてしまった理由がここにあるように思う。(ずいぶん乱暴な理論かもしれないが…。)そんな話をしてから、イスラム原理主義の論理やボゴ・ハラムの女子生徒拉致の話などを熱く語っていると、さらに汗だくになるわけだ。

まったく、暑く、そして熱い一日だった。次の日曜日の国際理解学会での研究発表も念頭にしていたのだけれど、とても20分で語れる内容ではないことだけは、よーくわかったのだった。(笑)

2014年6月9日月曜日

明雄さんへの レクイエム

鉄腕DASH HPより
昨夜、鉄腕DASHを見ていて驚いた。番組の最後に”明雄さん”(86歳)が突然逝去されたという報が流れたのだ。明雄さんは、DASH村で、TOKIOの農業作業を指導していた”おじいちゃん”である。

鉄腕DASHという番組を、もうずいぶん長い間見続けている。TOKIOがまだ若々しく通勤電車と競争していた頃からだ。DASH村も、候補地探しの頃から見ている。TVらしからぬ凄い企画だと思っていた。それが、明雄さんの指導の下、どんどん荒地が開発され、男米をはじめ、様々な作物を育てていったのだ。地理を教える上でも、ずいぶんと勉強になる。地理を選択した生徒に必ず見るように指導していたくらいだ。

私はもちろん”明雄さん”にお会いしたこともない。TVの中でしか知らない。だがTVを超えて、親しみをずっと感じていた。私には、田舎がない。母は大阪生まれだし、父も神戸生まれで、祖父母とも早くに亡くなられた。だからこそかもしれないが、深層心理の中でDASH村のような田舎が欲しいと思っているのだと思う。明雄さんへの親しみは、そういう”田舎のじいちゃん”へのあこがれだったのかもしれない。

DASH村は、原発事故以後、浪江町にあることが発表された。今は村に当然入れない。あれだけ手塩にかけた村は死の村と化してしまった。浪江の人である”明雄さん”も避難を強いられた。だが、TOKIOとともに全国の農業を体験・紹介するコーナーで元気な姿を見せてくれていた。それが急に逝去されたのだ、という。

妻と私は、その逝去の報に一瞬固まった。そして涙したのだった。
ありがとう、明雄さん。安らかに。…明雄さんへのレクイエム。

2014年6月8日日曜日

毎日 タンザニアに放置自転車

自転車が送られるシーハ県はこういう風景らしい
もうかれこれ5日ほど前になるだろうか。茨木市の放置自転車がタンザニア・キリマンジャロ州シーハ県に送られることになったというニュースを毎日新聞で報道していた。JICAで研修に来ていた行政官が、茨木市で行政プログラムを研修している中で、この放置自転車を本国に送るアイデアを出し、本国の了承を得たものと思われる。

…昔、JICA大阪で、よくこういういうアフリカの行政官の研修をしていた。彼らは本国ではかなり高いポストについているエリートである。喫煙所やレストランで、タンザニアやウガンダだったらりすると、「ジャンボ、ハバリガニ~」などと片言のスワヒリ語を使い、高校生とともに談笑したものだ。(笑)普通なら、こういう交流ができないような人たちである。スーツ姿をビシッと決めている。JICAの研修旅行でケニアに行った時、こういう偉いお役人と会う機会が多かった。だからケニアでは、スーツ姿が我々の研修時におけるフツーの姿であった。(笑)

…ともあれ、その行政官は州の副知事だからできたのだと思う。なぜなら、その輸送費をタンザニアが負担して、500台を送ると書いてあったからだ。今は、だいぶマシになったかもしれないが、アフリカの関税は高い。また輸送費も船であったとしても500台ともなると、コンテナで何台になるのかなあなどと考える。決して安くはないと思われる。

「アフリカでは自転車は重要な移動手段だ。」というのは、本当だ。ケニアでもブルキナでもジンバブエでも、自転車は数多く見た。車やバイクが欲しいとみんな考えているが、まずは自転車をGETして商売を始める人々もいる。私をサヘルにガイドしてくれたオマーン氏も、若い頃は自転車ひとつで商売して、今の地位を築いたと言っていた。

茨木市の放置自転車は、これからもタンザニアに送られるのだと言う。オマーン氏のように、自転車1つから身を起こす若者が出てくるのではないか、私はそんな希望の光を感じて、この記事を読み終えたのだった。

http://mainichi.jp/select/news/20140603k0000e040172000c.html

追記:自転車が送られる、タンザニアのキリマンジャロ州・シーハ県について、画像はないかと調べていたら、キリマンジャロ登山のモシと、かのタンザニア社会主義の聖地アルーシャの中間にあるということがわかった。下記HPによると、2011年現在、苦学した女性の知事さんがいるらしい。象やライオン、暴漢の被害に悩む女子中学生のために女子寮建設に奔走しておられるようだ。(日本のODAで、すでに完成したようだ。下記参照。)寮に入れなかった女子中学生の通学にも自転車を使って欲しいと思ったのだった。もうひとつ、興味深かったのが、この女性知事さん、アングリカン(英国教会徒)だということ。タンザニアのキリスト教は、昔々の宗主国だったドイツの影響で、カトリックとルター派が多いのに、という話だった。なかなか面白いHPだった。勉強になった。

http://www.ocada.jp/article/siha.php
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/ggp_m/h22/africa/tanzania/110301_03.html

2014年6月7日土曜日

柔道部女子IH予選’14

2回戦 中堅R君の勝利の判定
今年の柔道部のIH予選、まず女子の団体戦である。今週と来週、女子・団体/個人、男子・団体/個人と続いていく。昨日の放課後、久しぶりに道場を覗きに行ったら、ちょうど女子が稽古を終えて明日に備えるというトコロだった。R君から「先生、明日は10時から開会式です。」とのこと。今回は、大阪市中央体育館の柔道場が予選会場。前任校の体育祭の会場なので旧知だ。

今年のメンバーは全員3年生。良く知っているメンバーだけに、よけい応援に力が入る。彼女らは体重別では、これまで良い結果を残している。ところが、団体戦は体重制限がないので、重量級の多い私学が優位だ。

女子の団体戦は、3人制なので、1回戦は2-0で危なげなく勝利した。うんうん。ところが、2回戦。先鋒のI君が負けてしまった。最後まで、凄い気合で頑張っていたのだが…。中堅のR君が、それを取り返す。いいぞぉ。大将勝負となった。H君も凄い気合でいい勝負をしていた。しかしながら、試合終了直前に一瞬の隙をつかれ一本負けしてしまったのだ。やはり、身体能力の差のようだ。いつもは厳しい指導をされている顧問のS先生も、「あれは仕方ないです。3人ともよく頑張ってくれました。」と一言。「明日の個人戦、頑張れよぉ。」と、激励して、体育館を後にしたのだった。

柔道部は、毎朝、中庭で柱にチューブを巻いて、打ち込みの練習をしている。稽古も、寝技をいやというほどやってから、やっと立ち技。毎晩、遅くまで稽古をしている。それを知っているだけに、彼女たちの無念さが伝わる。だが、泣いてばかりでは明日はない。今日の悔しさ、これまでの鍛錬を明日に活かして欲しいと願うばかりである。

追記(9日):R君が、個人戦でインターハイ出場を勝ち取った。やったなあ。1年前は団体戦で負けてS先生に、こっぴどくしかられていた。修学旅行の時も夜にS先生と打ち込みの稽古していた。この1年で、ずいぶんと強くなったのだと思う。いやあ、嬉しい。

2014年6月6日金曜日

日経 石炭・火力発電 IGFC

IGFCのシステム図 http://www.jcoal.or.jp/coaldb/shiryo/other/2_2B4.pdf
今朝の日経に、火力発電の新しい技術革新の記事が載っていた。ともすれば、地球温暖化、また電力費高騰のの元凶扱いされている火力発電だが、石炭を使った発電方法は、新たな技術革新が進んでいるようだ。

IGCCという発電方法は、まず石炭を蒸し焼きにして生じたガスを燃やしタービンを回し発電。さらにその排熱で蒸気を発生させ、再発電するのだという。これまでの石炭を単に燃やし、蒸気タービンを回して発電する方法より、46~48%も効率が良いらしい。これは、LNG(天然ガス)をしのぐ効率だという。凄い技術だ。もちろんプラントの建設コストは高くつくが、この方式が一般化すれば、かなりコストは下がるようだ。

さらに、IGFCという発電方法は、石炭のガス化の際発生する水素を使い、酸素と電気化学的に反応させ、発電するという燃料電池で電気をつくるのだという。さらに効率がアップするわけだ。一方、CO2を地下に溜め込む技術も進んでいるようだ。

…原発再稼動が、かなりの問題を含んでいる中、人間の英知を感る朗報だと思った次第。

2014年6月5日木曜日

”WICKED” その3 黒子

昨日は、内科検診がある関係で、団活動がなく、LHR2時間連続という感じの5・6限だった。男女別に内科検診の時間がずれてしまうので、全員が集まっている時間が限られている。まずは、舞台の配役を決めようというコトになった。
シナリオ担当や団長・総務が前に出て、決めていく。主役の魔女2人は、最終的に「歌」の上手さで決めるそうだ。我がクラスの副担任は、音楽のY先生である。Y先生にすでに歌う曲のCDを渡してあると言う。凄いな。オーディションで決めるんだ。

とりあえず2名の女子が名乗りを上げた。歌で、どっちになるかを決めることになった。それは後日。(笑)最初に登場するOZのドロシーや、かかし、ライオンなど、悪役のOZの大魔法使い、主役の二人にまつわる貴族の青年や、二人が学ぶ魔法の学校の山羊になる教授など、次々と決めていく。

私が気にしていたのは、黒子(くろこ)をしてもらう男子の数である。シナリオを担当するS君やO君と話していたのだが、かなりの人数が必要だった。しかもちょっと体育会系が必要なのだ。男子の出演予定者を何人か黒子に回すことにした。

そうこうしていると、女子が内科検診になってしまった。結局、シナリオチームに最後は一任ということでLHRは終わったのだった。男子だけになって、「なかなか黒子、面白そうですねえ。」という雰囲気にしておいた。そう、良い思いは女子に。男子はその陰で頑張るのが美しい。

2014年6月4日水曜日

読売 天安門事件25周年

在ワシントンDC中国大使館
天安門事件から25周年の今日は、水曜日だ。いつも行くモーニングの店が定休日なので、学校近くの喫茶店に行った。ここには、いつも読んでいる日経がない。読売だけである。で、仕方なく読売新聞を読んでいたのだが、思わず目がテンになるような記事を見つけた。

ワシントンD.C.の中国大使館前の道の名を、ノーベル平和賞受賞者の民主活動家劉暁波(リウシャオボー)氏にちなんだ名前に変えるよう、民主党・共和党の連邦下院議員から市長に書簡が送られたというのだ。「基本的人権や民主化を求める中国の人たちに希望を与える」のが目的だと言う。ワシントンD.C.市長が、これを受けるかどうかはわからないが、現在書簡の中身を検討しているとのこと。冷戦時にソ連のノーベル平和賞をうけた反体制の民主運動家・サハロフ博士の名前をソ連大使館前の道路につけた前例があるらしい。

さすが、アメリカは民主主義という設計図でつくられた国である。良くも悪くも、自らの意見を前面に押し出してくる。その意見は個人の責任として完全に帰結している。日本では、いくら中国への反感や、民主化を指示する気持ちが強くとも、中国の反応をまず想定するので、こういう話は出てこないだろうと思う。アメリカの民主主義には、こういう日本人の「空気を読むという感性」はない。反対に言えば率直でわかりやすいともいえる。

このところ、中国の南シナ海でのベトナムとの衝突には、さすがの私もあきれている。現在の中国政府には、「仁」が欠けすぎている。日本の「空気を読む感性」は、相手の立場を慮る事である。これは、中国から学んだ「仁」のことでもある。(現状を鑑みて当分)民主化を否定するとしても、せめて「仁」だけは(儒家の)本家には、否定して欲しくない、と思ってしまうのだ。

天安門事件25周年。その前の、(周恩来首相の死去に際して花輪をささげ、撤去されたことに対し暴動が起こった)第1次天安門事件からは、39周年となる。人民に奉仕することを最優先した君子・周恩来氏が、もし生きておられたなら、今の中国に対してどういう思いをもたれるだろうか。

http://www.yomiuri.co.jp/world/20140604-OYT1T50034.html

2014年6月3日火曜日

「世界一周デート」後編を読む。

「世界一周デート」の後編、ヨーロッパ・北中南米編をほぼ読み終えた。著者のお二人(吉田友和・松岡絵里氏)は、サンフランシスコからニューヨークまで、大陸横断ドライブを行っている。出来るだけ安くすませるために、安モーテルやキャンプ場に泊まりながら…。うん。アメリカは絶対、車で移動、というのが正しいと思う。CAからNV、AZ、TX、LAと南方面を横断している。

もし、私が横断するとしたら、どういうコースを取るだろう?と考えた。(笑)かなり難しい。まだまだ行っていないトコロが多すぎるのだ。ヨセミテも、グランドキャニオンも、イエローストーンも行っていない。オレゴンもシアトル、セントルイスもまだ行っていない。何より、オハイオ州デイトンにある空軍博物館に行っていない。デイトンは、かのライト兄弟の生まれ故郷である。

首の頚椎ヘルニアや五十肩をかかえつつも、こういう本を読んでいると旅にあこがれてしまう。ちょっと行った気になれるので、よけいつらいかもしれない。(笑)妻が「夏はどっか行こうぉ。」と何度も誘い水を浴びせてくるのだが、どうも肩の痛みが、興をそいでしまい、返事できない。うーん。歳をとるというのは、こういうことなのかなあと思ったりするのだった。

2014年6月2日月曜日

「超」となりの人間国宝さん

http://news-labo.net/baseball/?p=4550
昨日、関西では有名な「となりの人間国宝さん」というコーナーがある「よーい!ドン」という番組の総集編をなんとなく見ていた。このコーナーは、円広志と月亭八光の2人が、関西の様々な駅周辺を回って、庶民のなかの凄い人を紹介するというものだ。

その中で、平安高校の野球部の専用バスの運転手さんが登場した。おそらく番組スタッフが事前にリサーチしていると思うのだが、この運転手さん、ホントに凄い人だったのだ。以前は観光バスの運転手だったという。それも、阪神大震災の時、崩落した高速道路にひっかかった超有名なバスだったのだ。凄い強運の持ち主である。スキー場からの帰りで神戸に送りとどける女性3人を乗せていて、震災に遭遇したのだという。サイドブレーキを使い止ったところで、前の高速道路が崩落したのだという。
http://mokuromi.com/neta/4096
この運転手さんの強運が平安高校の今春のセンバツ優勝に影響したのかもしれないと、八光が言っていた。私も、そういうコトもあるのでは、と思うのだ。まさに「超」となりの人間国宝さんである。

2014年6月1日日曜日

ブルーインパルス 理不尽な試練

http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:http://prestigebike.hamazo.tv/e4849719.html
昨日、来る東京オリンピックの立替工事のため、現・国立競技場の最終日とかで、TVで特番をしていた。関西に住む私としては、行ったこともないし、ことさら惜別の情もわかないのだが、1964年のオリンピック開会式での見事な五輪を描いたブルーインパルス秘話は興味深かった。
当時私は小学一年生。記録映画で見た覚えがある。(自宅にTVなどなかった時代だ。)現ブルーインパルスなら造作もないことだ(ブルーの演技でハートに矢を突き刺す演技もある。)と思うのだが、当時としては画期的なことだったようである。

http://shougo.air-nifty.com/blog
/2011/01/post-dd1a.html
時代を考えれば、あたりまえのことだが、機体がF86セイバーだったことに改めて感慨を深めた。セイバーは朝鮮戦争で大活躍した旧式機だ。当時はまだレーダー機能も未発達で、肉眼でアクロバット飛行を行っていたらしい。熟練などというコトバで表すこともはばかれるほど危険な行為である。当時は、世界的にも空に五輪を描くなどということは至難のわざであったようで、それを緻密な計算と徹底的な練習で克服しようとしたという。東京上空でのリハーサル無し。最後の最後までうまくいかないままのぶっつけ本番。

いろいろ、この飛行について調べてみると、源田実氏の影が浮かび上がる。あの源田サーカスの源田実氏である。、私は子供の頃、ちばてつやの漫画(紫電改のタカ)で、その名を知った。真珠湾攻撃をはじめ、様々な場面で海軍航空隊に参謀として影響を与え、戦後空自に入り、退役後参議院議員を務めた人物だ。毀誉褒貶の多い人で、私などがどうのこうのといえないが、源田実氏がブルーインパルス生みの親。このオリンピックの飛行も、開会式では陸自、海自の出番があるのに、空自が無い故、空自の出番をつくらねば面目がたたない、との話だったそうである。当然、そんな逸話はTVでは放映できない。ともかくも、空自は、ブルーインパルスで一か八かの大勝負に勝ったわけだ。

この大試練を乗り越えたブルーインパルスに、率直に改めて拍手を送りたい。理不尽な命令だったと思うが、それを乗り越える美学を私は感じだ次第。上がどうであれ、隊長は部下とともに最善をつくさねばならない。人生においては、こういう理不尽な試練もありうると私は思うのだ。