2020年7月31日金曜日

追悼 李登輝は台湾の周恩来

https://talk.ltn.com.tw/article/breakingnews/1426787
李登輝氏と魁!男塾の江田島平八塾長が似ているということで、塾長に扮した時の画像
李登輝氏逝去の報が昨日流れた。中国の世界的孤立が進み、国内でも、疫病や大洪水、さらに来るべき食糧危機などで中国共産党への批判が高まっているこの時、台湾の偉大な巨星が逝った。

改めて、李登輝氏のウィキを読んでみた。台湾には、長く本省人と外省人に大きく大別できるが、李登輝氏は客家系の本省人である。一時はかなりマルクスを読み込み、共産党にも関わっていたこと、結局農業経済のテクノクラートとして国民党に入党し、蒋経国の後を継いで総統になっている。蒋経国は父蒋介石の長男。彼もソ連に留学しトロツキーに心酔いた過去があるらしい。この辺の2人の思想遍歴も面白い。

歴史にもしはないが、中国共産党が毛沢東ではなく周恩来の中国であれば蒋経国ももちろん李登輝も、忌憚のない意見が交わされたような気がする。私は、歴史を顧みて、蒋介石は、権力志向の強いヒールだと思っているが、この2人は違う。最晩年の蒋経国は長年台湾を抑圧してきた戒厳令を解除し、権力の世襲を否定し、李登輝の民主化の道を引いている。李登輝はその状況を最大限に生かし、台湾の民主化を推進した。おそらく、国民党とか民進党とかいう党の利益より、台湾、そして中国の国益をも重視した人だと思う。

それに比して、周恩来亡き後の中国は台湾への強硬な態度を取った。その中でも李登輝は公人として度々いう事が変化した。私は、公人としての李登輝の発言は、その時その時の現実的な対応だと思う。彼自身はぶれていない。

政治家と言うのは、聖人君子ではない。だが、公人であるべきだ。時には嘘も必要。策謀も必要。だが、それは全て国益のため、ルソーで言う一般意思を貫く志。ポピュリズムではない。私は李登輝から学ぶべきは。こういう政治家のあるべきスタンスだと思う。これは、私が敬愛するマハティール氏にも通ずるところがある。

巨星堕つ。公人であることを貫き、しかも現実主義者の李登輝氏は台湾の周恩来だったと思うのだ。ご冥福を祈りたい。

2020年7月30日木曜日

1年生のブイアート

昨夕、PTA会長のU氏が、中庭の木にブイを吊り下げていた。聞くと、ブイアートの準備とのこと。その後、地方創生の学習の中心者T先生とも会って、明日は未咲学輝で1年生全員でブイアートをすることになった旨を教えていただいた。先日私が全校生徒に講じたSDGsを受けて、1年生に最も気になるゴールを考えさせたところ、14の海洋問題にたどり着いたとのこと。そこで、漂流ゴミとなってしまったブイに”みきゃん”を描き、再生させるという授業をすることになったらしい。
今年の1年生は60名弱、なかなかたいへんである。私も開塾時間前に登校し、少しでもサポートさせていただくことにした。まず全体をオレンジ色(どっちかというと肌色に近いが…。変なペンキが来たとPTA会長は嘆いておられた。)で全員が1つずつ塗り、乾いたところで、さらに耳にあたる葉っぱ、さらに口元の白、葉っぱの葉脈の白、鼻の赤、目などの最後の仕上げと進んでいく。結局全て完成というふうにはならなかったのだが…。
普段は1年生から3年生までの班活動を見ているので、1年生だけなので作業の段取りなどはあまり上手くない。今日は特に暑かったし、陰で休む生徒も多い。だが、だんだん指示が少なくなり、自主的に動き出した。ああ、こうして”みさこう生”が育てられていくのだという実感を得たのだった。

SDGs都道府県ランキング

https://www.homemate.c
o.jp/town/pr-shimane/
WEBのダイヤモンドオンラインで、「SDGsへの取り組みの評価が高い都道府県ランキング2020年度版」という記事があった。これは、あくまで、都道府県「庁」の行政的な取り組みに対する評価である。SDGsは世界の目標であるが、各自治体の目標でもある。17のゴールで、自治体の政策との関係性の強弱も当然ある。私が興味深かったのは、持続可能な社会のためにどのような活動が必要かという問いの答えである。
https://diamond.jp/articles/-/244255

当然ながら、ゴール11/住み続けられるまちづくりが最も重要視されている。次がゴール3/全ての人に健康と福祉を、ゴール8/働きがいも経済成長も、ゴール1/貧困をなくそう、ゴール4/質の高い教育をみんなに、ゴール14/海の豊かさを守ろう、ゴール9/産業と技術基盤をつくろう、ゴール15/陸の豊かさを守ろうと続く。

ランキングの方は、住民目線で50項目不満を調査して数値化したもの。(各都道府県が地域の持続可能性に)配慮しているかという基本的な問いかけに、11.9%がとても配慮していると答えたのは、鳥取県。1割を超えたのは鳥取県だけだそうだ。2位の熊本県は8.0%だったという。やや配慮しているも含めての評価は3位が岩手県、4位が長野県、5位は高知県だったという。大阪府は15位、愛媛県は東京都に次ぐ22位と言う結果だった。(愛媛県は、都道府県ランキングでは、いつもだいたい中位である。)

これは、住民目線なので、政策の是非もあるだろうが、広報活動のうまさも影響しているような気もする。

2020年7月29日水曜日

我々は真理を断念する事は可能

マレーシアにいるD大のL君から、「我々は真理を断念することができるか?」というテーマの期末試験の小論が送られてきた。テクストがあり、もうすでに提出したものらしいので、テクストを知る由もない私としては、このテーマでちょっとばかり考えてみようと思う。

このテーマは真理の有無を問題にしているのではなく、断念することの是非を問うている。当然ながら、自然科学の世界の話ではない。真理を追究する事を断念することは自然科学の存在の全否定を意味するからだ。あくまで、哲学の世界で、という前提で論議を進めてみよう。

このテーマで私の脳裏に浮かんだのは、ヴィトゲンシュタインである。「語りえぬものについては、人は沈黙に任せるほかない。」ここでいう語りえぬものとは形而上学的な真理と読み取れる。真理を断念することを宣言したわけだ。

次に浮かんだのはデリダである。デリダもロゴス中心主義で形而上学を完全否定している。誤解を恐れずに言えば、コトバで構築されたそれまでの哲学を否定して見せた。

彼らが否定している真理は、相対主義批判とは違う。もっと本質的な哲学が言語によらざないと成立しえないという観点から否定している。新約聖書のヨハネの福音書の冒頭にある「初めにコトバ(ロゴス)ありき」を完全否定しているわけだ。

たとえば、カントが、相対主義(ヒューム)からの批判を受けて、それまでの形而上学を先天的認識形式で否定し、次に現象界における道徳形而上学を構築したように、真理の断念するのは哲学の世界では難しい。哲学の存在自体が、真理追及そのものだからだ。カントが苦労して物自体の世界=経験を超えた世界と形而上学を復活させたのも、相対主義=真理の断念は否であるという確信からであったといえる。

だが、ヴィトゲンシュタインやデリダにかかっては、一網打尽である。コギトの否定のみならず、ロゴスの否定は哲学の世界においての全ての真理追及の道を断ってしまうからである。よって、私は真理を断念する事は可能だと思う。

ところで、L君の結論は面白かった。なかなか味のあるいい小論だったと思う。かなり成長したなあ、文系の日本語を駆使しているところは流石である。ところで私の感想の返信によると、テクストはギリシア哲学の内容だったようだ。PBTで哲学史を講義しておいて良かったと思う次第。

2020年7月28日火曜日

ナジブ元首相の有罪判決

https://www.123rf.com/photo_10
6011699_stock-vector-malaysia-
country-ball-voting-yes.html
マレーシアで、ナジブ元首相に有罪判決が出たようだ。マレーシアが民主国家である証のような話である。マレーシアの民主主義は、日本とは少しばかり違う。国王やスルタン制、国教、国語、ブミプトラ政策など「微妙な問題」に対する言論の自由はないし、開発独裁であることは間違いない。しかし、民主的な選挙で元ナジブ首相を退陣させたことは大きい。中国とは明らかに違う。

現ムヒディン首相の権力基盤にナジブ側だったUMNOが入っている。この新首相の舵取りは微妙だ。しかも、現政権は、選挙の洗礼を受けていない。これを機に政権基盤が悪化するかもしれない。コロナ禍で大変な時期だ。国内が不安定にならないよう努めてもらいたい。

2020年7月27日月曜日

クラスマッチ 7月

三崎高校では、大阪の高校で言う校内球技大会をクラスマッチと呼んでいる。1学期に1回くらい期末考査後に開かれる。クラスは全校で4つしかないので、大阪で考えれば1学年弱の単位である。バレーボールなどは、6人制だが、どんどん生徒が入れ替わる。男女ともバレー部があるので、どちらもちゃんとバレーボールになり、ラリーが続く。なかなか上手いのだ。午前中はソフトボールの予定だったが、雲行きとグランド状態から、柔らかいフリスビー2個を使ったドッジボールのような競技を行っていた。
結局、全ての競技で3年生が1位、2年生が2位だった。数の多い1年生に対して、先輩の意地を見せたと言ってよい。(笑)小規模校だからこそ、大いに盛り上がる。
学校長が、「感心したのは、誰もミスをした友人を悪く言ったりしないことです。」とおっしゃっていた。確かに、バレーなど競技力に雲泥の差があるのだが、みんなドンマイで笑ってすます。まじめ愛媛なのだ。

2020年7月26日日曜日

傷ついたコギトの証明

https://sn-jp.com/archives/4588
安倍首相が慰安婦像に土下座している像がつくられ、8月に公開されるそうだ。隣国の傷ついたコギトの異常性がこの像に現れている。もうあまりに幼稚な隣国に、コメントする気はない。そんなに影響力のない私のブログだが、拡散はしておきたい。どう感じ、どう考えるかは読者におまかせしたい。

2020年7月25日土曜日

大洲・肱川に行ってきた。

先日、大洲市肱川の道の駅まで遠出した。その時は緊急事態宣言中で休館だった風の博物館と歌麿館には行けなかった。今日、病院に行った後、久しぶりに青空も見えていたのでまたまた大洲まで行ってきた。普段行く買い物より少し遠いが、道が肱川沿いで平坦なので負担は少ない。何せ、中古の軽自動車なので上り坂でクーラーが使えないのだが、無料の高速を降りて肱川の道の駅までずっとクーラーつけっぱなしである。(笑)

風の博物館+歌麿館。奇妙な取り合わせである。特に何故歌麿なのか?その謎は実際行ってみてわかった。歌麿の版木は世界中で4枚しか残っていないそうだ。そのうちの2枚が肱川で発見されたということで、歌麿なのだ。たしかに由緒正しい。

ちょうど東海道五十三次展をやっていた。浮世絵では、国芳の大ファンである我が夫婦だが、当然ながら歌麿も大好き。期待以上に良かったのだった。風の博物館の方は、版画絵葉書コンテストの作品展示が行われていて、それなりに良かったのだが、私はボルチモアの鉄道博物館を描いた作品に目が留まった。懐かしい。写真を撮ったが、スタッフの方によると、禁止事項らしいのでブログには載せれない。残念。入賞作品ではないが、私はこれが一番好きである。最後にミュージアムショップに寄った。
ここでは、浮世絵=版画つながりで、大洲のレンガ館や内子の内子座などの版画を手掛けている山田きよ氏の作品や絵葉書を売っていて、思わず紙ファイル3枚セットと絵葉書を4枚も購入したのだった。

ストレス対策には、ドライブがいいと、昔、工業高校時代のI教頭が言っておられたことをふと思い出した。多忙な中、こうして妻と共に良い道を走りながら、いろんなところを回るのが1番だと思う。

2020年7月24日金曜日

三崎高校フェスティバル 2020

T先生のリンダリンダ。飛んでます。
三崎高校フェスティバルに行ってきた。吹奏楽部の演奏を中心に、他の部活の生徒たちも参加して、さらには先生方も参加しての楽しいイベントだった。もちろん、イベント班のみさこう体操も登場。
三崎高校のイベントといえば、地域の方との”みさこう体操”
今日は朝から、雨風が強く心配していたのだが、17:00には雨もやみ、風が強いのは涼風となって三崎小中学校体育館に入り込んできた。生徒たちの日ごろの行いのおかげかと思う。
最後は三崎高校へのエール、コンバットマーチ
私が深く感じ入ったのは、顧問の先生がされた今回の記念ポロシャツの話。雲外蒼天というテーマと三崎高校の校章の位置を三年生に聞いたとき、「校章を背負います。」と言ったという。凄いな。学校を背負うという気概。実際、生徒会長もせんたん部部長も吹奏楽部。学習面でも吹奏楽部が学校をリードしている。
3年生は、これで引退。来週からは、♪ここは塾の出番だ~。密かに準備を重ねているのであった。3年生、ご苦労様。進路実現に向けて共に頑張ろう。

2020年7月23日木曜日

在ヒューストン中国領事館考

https://japanese.joins.com/JArticle/268429
在ヒューストン中国領事館の閉鎖が米政府から命じられたというニュースが昨日流れた。今日はさらに様々な情報が出てきた。

中国のスパイ活動については、米政府は度々警告を発していたようだが、ついに堪忍袋の緒が切れたという感じらしい。軍事情報、産業情報だけでなく、最近はコロナ対応の医学情報に手を出しているらしい。中国のハッカー2名にも逮捕令状が出た。ヒューストンの領事館が、その情報収集の拠点になっている証拠を、CIAやFBIが完全につかんだのであろう。消防車が出動するほどの証拠書類の焼却は、彼らのプロパガンダを吹っ飛ばすだけの威力がある。一説には、在武漢の米国大使館員に対する入国手続き云々への報復であるという情報もあるが、相変わらずの中国の強がったプロパガンダ的な反応を見ていると、ヒューストンだけでは済まないような気がする。在米の中国公館を調べてみると、大使館はもちろんワシントンD.C.に、総領事館は、シカゴ、ロス、NYC、サンフランシスコにあるようだ。これら全てに退去命令が出れば、事実上の宣戦布告である。

すでに米軍は南シナ海に2つの空母打撃群を派遣中で、もう1つも合流が可能だ。台湾海峡や中国国内に新型かもしれない無人機を飛ばしたり、イスラエル軍のF35がシリアのロシア製・中国製レーダーでは捕捉できないことを証明したりしている。F22やB2ならなおさらであろう。おそらく米軍は、中国共産党要人は狙ったり、あるいは重要な拠点(たとえば南沙諸島)を占拠しても、中国本土全体を占拠するようなことはしないだろうし、人民解放軍も勝ち目のない消耗戦は避けるような気がする。WWⅡ以前の軍閥化する可能性もあるが、軍の階級を金で買った士官も多いらしく、その実態はかなり腐敗しているという情報もある。

これらの軍事情報は当然中国共産党も知悉しているはずで、かなりビビっているようだ。一方でプロパガンダを繰り広げながら、外相や報道官はアメリカと敵対する気はないなどと弱気な発言も出てきた。国内でも反中国共産党的な発言が漏れ伝わってくる。先進国も中国共産党と中国人民を分け、批判を強めている。すでに、歴史的な大水害や食糧危機が迫っているのに、中国共産党政府は無力というか、人民を守ろうという姿勢を見せていない。ウィグル人弾圧の映像を見ての在英中国大使の発言などは、先進国の人権意識と中国のそれの格差を完全に露呈した。

中国共産党は、やりすぎたと私も思う。先の日本国憲法第一条の謎でも書いたが、アメリカという国を見誤ったのではないか。このヒューストン総領事館の閉鎖問題は、その分水嶺になる可能性が高いように私は思う。

日本国憲法第一条の謎(3)

https://page.auctions.yahoo.co
.jp/jp/auction/g283072080
日本国憲法第一条は、天皇について書かれてある。中学生の頃、それが不思議だった。何故なら天皇は全く身近な存在ではなかったからだ。なぜ、国民主権ではないのだろう?
一昨日から、この話をエントリーしている。いよいよ、何故第一条が天皇なのか?の私なりの結論を記したいと思う。

WWⅡは、まずイタリア、さらにナチスドイツが降伏した。その後、日本では国連と呼ばれる”United Nation”が事実上成立。(1945年6月)直訳すれば”連合国”である。余談になるが、日本は、ドイツ降伏後も多くの国(エクアドル・パラグアイ・ベネズエラ・ウルグアイ・トルコ・エジプト・シリア・レバノン・サウジアラビア・アルゼンチン・チリ、そしてイタリア)から宣戦布告された。これらの国の宣戦布告は、勝ち組である連合国=国連に加盟するための政治的措置といえるだろう。
そして、ナチの蛮行を糾弾するための政治的な裁判が行われることになる。1945年11月に開廷したニュルンベルグ裁判である。この流れの中で、8月にポツダム宣言を受け入れた日本でも1946年5月3日から東京裁判(極東国際軍事裁判)が行われる。戦争犯罪人は、A級・B級・C級に分かれるが、ここで問題にするべきは、A級である。国家の指導者層の戦争犯罪を追及するものだ。様々な論があり、純粋に法学的に見ればおかしい話が多い。ともかく、連合国は戦犯を指名し、裁判にかけることにしたのだ。裁判長はオーストラリアのウェッブ。検察官のリーダーはアメリカのキーナン。

さて、日本の占領政策をまかされたのは、周知のとおりマッカーサーである。マッカーサーは日本(厚木)に到着し、ジープに乗り、沿道の日本人を見下しながら進んだのだが、これを警備したのは日本軍であった。これはかなりのリスクを伴う話だと思うのだが、天皇の軍隊(誤解のないように注記すると、軍人訓で軍人自体が少なくともそう信じていたわけで、天皇が自分の私軍だと考えていたわけではないと思う。)は、車列に背を向けて3万もの兵士が立っていた。マッカーサーの天皇理解のプロローグである。

マッカーサーは天皇の生殺与奪を握っていたのだが、彼の元を訪れた天皇の人格に大きな尊敬の念を抱く。恐怖で人々を押さえつける独裁者ではない。日本人が天皇を慕っている理由を理解し、その利用価値をアメリカ人らしくプラグマティックに見抜いたのである。ちょうどその頃、東京裁判では、ウェッブが天皇の戦争責任を追及し始め、ソ連などがそれを支援していた。マッカーサーはキーナンを呼び、天皇制の存続を認める意思を示した。そこから、アメリカの天皇の戦争責任回避工作が始まる。

その中で重視されたのが日本国憲法の草案作成である。日本人の様々な草案は、国体護持=天皇主権から脱皮できないものばかりで、マッカーサーはGHQの民政局に草案作成を急がせる。民政局は、ニューディーラーが多く、社会主義的な立場をも許容する人が多かった。よって、日本国憲法の社会権・勤労権などに色濃く影響を残している。最大の問題は、天皇主権であった。日本人の憲法草案は、その「国体」(日本という国は天皇そのものであり、切り離すことはできない)というスタンスが貫かれていた。国民主権に転換するにしても、まず天皇を象徴=君臨すれども統治せず(日本国憲法には国家元首に関する規定すらない。)以下の存在に祭り上げることが、最重要課題であったのである。憲法で天皇を象徴にしてしまえば、戦争犯罪云々は消え去ってしまうからだ。

このGHQの憲法草案を最初に見たのは当時外相だった吉田茂であったようだ。草案は当然英語である。在英大使だった吉田にとって、それは問題はなかったが、臣茂(天皇の臣下である吉田茂)と記したような保守派であった彼にとっては驚愕の内容であっただろう。その現場(吉田の私邸)に、B29爆撃機が飛来し、超低空で通過する。これを拒否することはできないという暗示・威嚇である。アメリカと言う国は、こういう工作・演出が平気でできる国だ。その後、日本語翻訳や修正で様々な対立もあるが、日本国憲法はとにかくも公布、施行された。

この日本国憲法が公布されたのが1946年11月3日。(施行は翌1947年5月3日、東京裁判開廷の1年後)東京裁判の立証段階の中盤にあたる。結審は、憲法公布の366日後の1948年11月4日である。天皇の戦争犯罪云々への危惧は、東京裁判から消え去ったわけだ。この東京裁判における天皇の戦争犯罪忌避が日本国憲法の成立に大きな影響を与えているわけだ。第一条が天皇になっているのは当然である。

ちなみに、この東京裁判で絞首刑が言い渡されたA級戦犯7人は、1948年12月23日午前0時から執行されている。現上皇陛下の15歳の誕生日である。昭和天皇に皇太子の誕生日を祝う際にA級戦犯の事を思い起こさせ、戦争責任を彼らが背負って死んだと言うことを思い起こさせるためだったという猪瀬直樹の論に私も賛成である。重ねて記しておくが、アメリカは、(善悪や好悪を排除した上で)そういう工作・演出が大好きな国であると思う。

日本国憲法 第一条 天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

2020年7月22日水曜日

日本国憲法第一条の謎(2)

https://plaza.rakuten.co.jp/monochrome45/diary/200702110000/
昨日のエントリーの続きである。明治維新は、天皇制のある意味復活であったわけだが、「玉」として、「権威」としての復活であって、「権力」が復活したわけではない。大日本帝国憲法ができた時、天皇主権となったが、これはあくまで建前である。大日本帝国憲法のルーツは、岩倉使節団にある。この使節団がアメリカからヨーロッパを回る中で、不思議に感じたのがキリスト教の存在である。書記として参加した漢学者は、このキリスト教の不条理を指摘し、欧米人が信仰していることを不思議がっている記述がある。木戸孝允(桂小五郎)は、各国の憲法に非常な興味を抱き、留学生にその翻訳を命じている。大久保も憲法に着目していた。この二人に共通した認識は、先の漢学者と同様であった。各国憲法が、キリスト教の伝統下にあることを見抜いていたのは流石と言うべきか。二人は日本の憲法制定を考えるとき、神ではなく天皇をその中心に据えるべきだと結論付けた。

その後、木戸が病死し、(西郷が切腹し)大久保は暗殺される。木戸の子分で、木戸の精神的疾患もあって、後に大久保についた伊藤博文が、この天皇中心の憲法作成という衣鉢を継ぐことになる。大日本帝国憲法の天皇主権は、ブロイセン憲法がルーツではなく、はるか昔の岩倉使節団での木戸と大久保の共通のアイデアにある。

大日本帝国憲法は、欠陥憲法であると私は思う。天皇主権を主張するあまり、内閣の各大臣の任命まで天皇としたことが、統帥権と相まって軍部独裁への道を開いたことは間違いない。つまり、陸軍大臣、海軍大臣が内閣不一致な意見を持つと、内閣総辞職せざるを得ないシステムであったからだ。天皇は、「玉」である。天皇主権は、極めてあいまいなカタチであって、昭和天皇は何度か、自分の持つ「権威」の威力を知ることになる。軍部やそれを許した首相(張作霖爆殺事件時の田中儀一内閣)を下問した際、辞表が提出され、以後自分の意見を押し通すことを極力避けるようになった。2.26事件の際は激高したらしいが、これはあくまで信頼する臣下(高橋是清ら)を殺され、首相、侍従長、内大臣等が不在となり天皇が(内閣の輔弼なしで)裁可せざるを得ない状況におかれたこともある。昭和天皇は君臨すれども統治せず=「玉」の原則を叩きこまれていたようだ。

さて、「玉」の則を超えたのは、2.26事件と、もう一つある。終戦の御前会議である。ポツダム宣言の受諾を昭和天皇自らが決めたのである。

私は、天皇に戦争責任がるか否かを論じるような力量はない。ただ、これまで読んだ大量の本を基準にすると、大日本帝国憲法の天皇主権は、多分に概念的で、実質は「玉」であったと思っている。その意味では天皇機関説の美濃部達吉派かもしれない。(笑)…つづく。

2020年7月21日火曜日

日本国憲法第一条の謎(1)

https://www.ibarakiguide.jp
/kodokan/document.html
中学生の時、日本国憲法の第一条が天皇であることを不思議に思った。てなことを塾のLINEのコラムに書いた。何故天皇なのか?教師になって政治経済を何度か教え、天皇に関する本、幕末史や近現代史の本などを何十冊と読むうちに、私なりの結論を得た。今日から何回かに分けて私論を展開しようと思う。マレーシアのPBTでも学生たちに語った内容でもある。(ほとんど試験には出ない話ばかりだが…。)

そもそも日本史は天皇を中心とした歴史である。平安期、平氏くらいから天皇は「権力」から「権威」すなわち「玉」(覇権者が天皇の権威を借りるというシステム)となったが故に、万世一系、今やエチオピアを抜いて世界一長い王朝となっているのである。武士もまた清和源氏、桓武平氏というように、天皇の一族出身である。

江戸期は、天皇受難の時代であった。しかしこの状況を破ったのは、御三家の一つ水戸藩であった。江戸初期の超有名な水戸黄門=徳川光圀は大日本史の編纂を始めたことで歴史に名を遺した。水戸藩は御三家でありながら貧乏な藩で、しかも尾張・紀州と違い、徳川将軍家の世継ぎになることは家康に止められた藩である。(水戸黄門が天下の副将軍だと言うのは間違っているのだが、世継ぎになれない、ということの表現と読み取れるので面白い。)しかも家康からは、天皇家を護持することを命じられている。不思議な御三家なのだ。やがて大日本史は完成し、そこで大きな疑問点を提起することになる。当時の最高権力者は、当然ながら将軍である。将軍=征夷大将軍は、天皇によって東北地方の平定を命じられた坂上田村麻呂が起源である。すなわち、天皇に任命されるわけで、天皇が上位にあるのは自明の理である。大日本史を読んだ水戸藩士は尊王主義者となる。彼らが江戸の道場(桃井道場や千葉道場など)で諸藩の若者にこのイデオロギーを伝播することになる。ところで、当時の水戸藩藩主は、裂公=徳川斉昭である。彼は攘夷を勇ましく唱えていた。尊王と攘夷というイデオロギーがやがて一体化する。尊王攘夷の志士たちをつくったのは、御三家の水戸藩なのである。

ところで、徳川斉昭は、藩の伝統にしたがい朝廷から正妻を迎えているが、とにかく多くの子供がおり、親藩に養子に出しまくっていた豪傑であった。中でも優秀だったのが慶喜である。水戸藩から徳川将軍家に世継ぎとしては出せないので、御三卿(御三家以外に世継ぎを出せる名家)のひとつ一橋家に養子に出した。その後、結局、慶喜は第15代将軍となる。彼は優秀な人物であった。それは間違いない。だが、岩倉具視と大久保利通の狡知に敗北する。鳥羽伏見の戦いで、錦の御旗が掲げられたからだ。これは偽モノだが、少なくとも、天皇家を守るという家康以来の水戸藩のDNAは、慶喜にとって朝敵になることをゆるさなかった。で、兵を置いて密かに江戸に逃げるのである。慶喜殺すにゃ刃物はいらぬ、錦の御旗で十分だというわけだ。アームストロング砲の威力をはるかに超えた薩長土の倒幕派の秘密兵器だったのだ。

幕末史を理解する上で、家康以来の天皇家を守る宿命と尊王の水戸学(=大日本史)・水戸藩は、実に重要なキーワードなのである。この流れがあってこそ、天皇が将軍を凌駕したわけだ。…つづく。

2020年7月20日月曜日

第二の周恩来はいないのか。3

https://www.easyatm.com.tw/wiki/%E5%9B%9B%E4%BA%94%E9%81%8B%E5%8B%95
周恩来は、私が尊敬する中国人の一人である。評伝も何冊か読んだ。毛沢東は、たしかに英雄だが、ファザコンで好色で、実にとんでもない男なのだ。そんな彼の右腕として実にうまく現実的な実務で中華人民共和国を支えた。建国当時、ある工事現場で自ら人民と共に汗を流したことが語られている。これは儒教の伝統からは考えられないことである。序列を重視する中国で、首相自らが工事現場で汗を流すなど考えられないことである。死の直前にも、中国で最も優秀な医師団に、「私以上にあなたがたを必要としているところに行きなさい。」と述べたという。「人民第一」を貫いた歴史上でも有数の宰相であったと言える。

中国の人民もそれをよく知っている。天安門事件といえば、鄧小平が民主化を踏みにじった事件だと思われているが、これは第二次天安門事件であって、第一次天安門事件は、周恩来の死を悼む人々の花輪を北京当局が撤去、これに抗議する人々が暴力的に鎮圧された事件である。
文化大革命の失敗、林彪の墜落死の革後、四人組の台頭等を背景に起こったこの事件は、結局周恩来が再び要職につけた鄧小平が責任を押し付けられ失脚、人民は毛沢東と四人組に対し怒ったが、この後すぐに毛が死去、後ろ盾を失った四人組が華国鋒によって失脚させられることになる。その後、鄧小平が復活していくのである。

歴史に「if」はないけれど、もし毛沢東より、周恩来が長生きしていたらと思う。文化大革命は確かに毛沢東の権力闘争であり、中国の発展を阻害した災害であったが、純粋に青年たちが、平等を最大の価値とする社会主義の理念に忠実に生きようとした一面がある。その文革の失敗後、周恩来が生きていたら、中国をどう立て直していったのだろう。鄧小平のような、金持になれるものは先に金持ちになれというスタンスをとっただろうか?

北京大学の図書館助手出身で海外経験のない毛沢東とは違い、周恩来は鄧小平と同じく元フランス留学生である。2人とも第一次世界大戦後のフランス、もっと言えばベルサイユ条約でアジア・アフリカ諸国の権利を全く無視されたフランスで、ホー・チ・ミンらと共に共産主義に出会った筋金入りの革命家である。周恩来なら、ある程度の修正主義を入れながらも社会主義における平等の正義を守ったように私は思う。

何度も書いているが、私は左翼ではないし、右翼でもない。そんな中間派の私でも、今の中国共産党は、共産党を名乗るのが不自然であると思っている。周恩来の様な人民第一の姿勢が全くない。アメリカが共産党員の在米の資産凍結をアナウンスしただけで大騒ぎだ。まさに汚職にまみれたノーメンクラツーラの独裁政権に過ぎない。

「第二の周恩来はいないのか?」私のこのコメントは三度目になる。故事に習えば、三度諫めても変わらなければ、もう何も言うことはない。

2020年7月19日日曜日

地域協働学習実施支援員

昨年9月のせんたんミーティング
先日、事務長から履歴書を渡され、写真と共にお渡しした。で、学校長と面接があるという。何のことだか分からないまま面接を受けた。その謎が解けたのは、文科省の「地域との協働による高等学校改革推進事業」の本年度第一回コンソーシアムに出席した時だった。このコンソーシアムは未咲輝塾の塾長として参加していると思っていたら、参加者名簿の私の欄に塾長と共に「地域協働学習実施支援員」とあったのだ。
つまり、この地域協働の学習を正式に支援する資格を得ているわけだ。総合的な学習(探究)の時間あるいは学校設定科目の未咲輝学の時間、私は先生方同様に、いかようにも協力できるというわけだ。未咲輝学の第1回授業でSDGsを講義したが、これは地域協働学習実施支援員として行ったのである。学校長に、そういう配慮をして頂けたのである。「まじめ愛媛」である。(大阪なら、こういうことはうやむやにするだろうと思う。)

また、そういう信頼を得ているというわけで、実にありがたいことだと思う。学校長にはユネスコスクール申請の件も幾度となくお話している。志の実現に受けて、一歩一歩、進んでいることを実感する。

2020年7月18日土曜日

福引な日

https://tokubai.co.jp/%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B
9%E3%83%AF%E3%83%B3/172257/leaflets/18331661?from
=leaflet_navigation&origin_shop_id=172257
土曜日は、妻との買い出しの日であるが、今日は特別な日だった。よく行く八幡浜のスーパーでガラガラ福引があったのだ。何角形かの木箱を回す昭和的な福引である。

未咲輝塾ではお菓子を常備する伝統がある。塾のリーダーとしては、部活で腹を空かせてやってくる塾生たちのためお菓子を常備するののは私の役目だと思っている。塾生が喜ぶようなお菓子を買うのに、このスーパーが最も適している。毎回かなりの量のお菓子を買う。せんべいや飴類、甘い茶請けのようなお菓子などである。

もちろん、妻は料理人として様々な買い物をするわけで、抽選券は11枚にもなっていた。つまり、チャンスは11回。妻が回す。彼女はビールを狙っていた。(笑)
なんと1等が当ったのだ。国産牛・サーロインステーキ約200g2枚入り。妻よ、良くやったー!カランカランという鈴の音も実に昭和的だ。(笑)

塾生への想いが、ご褒美としてサーロインステーキとなって返ってきたような気がする。ありがたや、ありがたや。

2020年7月17日金曜日

ボツワナの象 大量死

https://news.yahoo.co.jp/articles/98dc43bb6e906a7532f661515037cf28683a5cd7
ボツワナのオカバンゴデルタ北東の辺境で、数百頭の象が不審死していると、ナショナル・グラフィックが報じている。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/071600426/?P=1

ボツワナの象は有名で、もしアフリカに行けるパワー(体力と資金)が私にあれば、ボツワナとナミビアを訪れたいと思っていた。この象の不審死の原因は、コロナ禍の中、様々な細菌によるものではないかというこの記事、十分に恐ろしい。なぜなら、一部の象がめまいが起こしているようにクルクル回り、突然倒れて死ぬところが目撃されているからだ。

象の死因として考えられるのは、水に含まれる有毒な細菌た炭疽菌、齧歯類(ネズミやリスなど)からのウィルスの感染、あるいは未知の病原体などが挙げられている。

藍藻(シアノバクテリア)は象の命を奪うことはよくあるらしい。しかし、象は水域の真ん中で飲む。藍藻は周囲に生息し、雨で洗い流されるということだ。よって、水場に象の死骸が多いが、藍藻が原因ではなく、発熱した象が水を求め、その後力尽きたのではないかというのが専門家の意見である。

クルクル回るというのは、神経症状で、炭疽菌に感染した可能性を示唆しているそうだ。炭疽菌は、全世界の土壌の中にある常在細菌で、家畜や野生動物への感染も確認されている。汚染された土壌や植物、水などを取り込めば象の感染もありうる。もし、炭疽菌なら可能な限り死骸を燃やす必要があるそうだ。

神経症状の急死は、齧歯類を宿主とする脳心肺炎ウィルスの感染かもしれない。このウィルスは齧歯類の糞とともに排泄され、糞やその汚染された土を摂取した可能性がある。象は地面を掘り下げ、草むらごと丸ごと食べるからである。

また未知のウィルスやダニなどの節足動物によって媒介された可能性を示唆する専門家もいるようだ。

…いずれにせよ、コロナ禍の中で、このような記事を読むとビビってしまうのである。私はアフリカに3回いったが、黄熱病はもちろん、破傷風や肝炎などの予防注射を打って出かけたことを思い出す。アフリカは、その他にもマラリアや様々な危険性をはらんでいるわけだが、今の日本、いや世界中がコロナの恐怖に苛まれている。科学が進歩したとしても、まだまだ未知のウィルスが存在していることは間違いない。

…この象の話、辺境であり原因をつかむのはかなり困難を伴うらしい。関係者のご苦労を想う。と同時に決して遠いアフリカの話ではないと私は思うのだ。

みさこうフェスティバル

職員室前の窓ガラスに、ポスターが…。(画像参照)
吹奏楽部が24日(金:スポーツの日/本来なら東京オリンピックの開会式の日で休日)に、近くの小中学校の体育館で演奏をするそうだ。そういえば、吹奏楽部は、期末試験の一週間前から今日にいたるまで、他の部活は休みだけれど短時間練習を重ねていた。吹奏楽部には、うちの塾生も多い。特に3年生は最後の舞台らしい。

これは絶対に見に行かねばならない。正直なところ、7月の4連休はちょっと大阪に帰ろうかと言う話も妻との間であったのだが、東京同様、大阪もコロナ禍が再燃しているようだ。実にまずい展開である。と、いうわけで大阪行はぶっとんだので、歩いて5分の体育館に夕方行くことが決定である。生演奏は、やはりいい。うちの吹奏楽部は少人数だけれどなかなか上手いので楽しみだ。どんな曲を演奏するのかは、ほぼ毎日聞こえてくるのでわかっているけれど…。

2020年7月15日水曜日

書評 最後の秘境 東京藝大

先日、買い物に行った時八幡浜の本屋に寄った。大阪にいた頃はよく新刊の文庫本を物色したものだ。今回購入したうちの1冊は「最後の秘境 東京藝大」(二宮敦人著/新潮文庫)である。これまで東京芸大とは3回、関わった。だからこそ興味があったし、購入したのである。

1回目は、中学卒業後高校入学までの期間、東京の親戚に遊びに行ったとき、上野公園の東京芸大を見に行ったことだ。私は高校入学前、美大に行きたかった。普通科に行って目指すのが王道だと思うが、私は図案科(今で言うグラフィックデザイン科)に進学した。これが間違いのもとで、結局美大進学を諦めた。世の中には自分より上手い奴がたくさんいることを知ったのだった。

東京芸大との関りの2回目は、私が大阪市立の社会科高校教師になり、母校を訪れた際、図案科に東京芸大出身の新任の教師が来ていて、紹介された事である。彼がその後どうなったのかは知らない。

3回目の関りは、マレーシアでF40の学生Y君が、東京芸大の美術学部芸術学科を受験したことだ。芸術学や美術史と実技を並行してやりたいというのが本人の希望だった。国立ではその条件にかなうのは、東京芸大芸術学科しかない。K先生も受験には反対されていた。常識的にもそうだろうと私も思う。その困難さを知っているからだが、本人と家族のたっての希望で出願を許可したのだった。結局敗退したが、今は別の大学で留学生活を堪能している。

東京芸大の芸術学科、いいよなあ。一時期私も受験を考えたのだが、ラオコーンの石膏像があったりするのを見て、こりゃあかんと思ったのだった。ラボルドでさえ自信がなかったのに、ラオコーンのデッサンをやらされるのは、まっぴらごめんである。何日かかるのかわからない。(笑)結局、私は社会科の教師になってよかったのだ。

まったく書評になっていない。書評はまたいずれ…。

2020年7月14日火曜日

揺れるレッドスキンズ

https://topic.yaoyolog.com/
アメリカの空港には、必ずと言っていいほどご当地のスポーツチームのグッズを売る店がある。スポーツチームと記したのは、野球、バスケットボール、アイスホッケー、そしてアメリカンフットボールの4競技があるからだ。

アメリカ人は、この4競技が大好きである。中でも最も人気があるのは、アメフトではないかと思う。私はこの複雑な競技はよくわからないので、あまり興味がないのだが、今首都ワシントンD.C.のアメフトチームが揺れている。
https://www.bbc.com/japanese/53399434

レッドスキンズというチーム名がネイティブ・アメリカンへの差別的な意味合いを持っているという批判が、以前からあって、今回のBLM(Black Lives Matter/ 黒人の命は大切)運動の盛り上がりの中、主要スポンサーのフェディクス、ナイキ、ペプシ、バンクオブアメリカがチーム名変更を強く求めたようだ。企業イメージが重要な時代である。

このチームの創設者は人種隔離政策の支持者で、黒人選手の受け入れも最も遅く、政府からスタジアムの貸し出し禁止の圧力を受けやっと門戸を開いたようなチームだ。スタジアム内にあった創設者の像は損壊を受け、その後撤去されたという。

…9月からのシーズンに合わせて新チーム名がつけられることになるのだろう。アメリカは民主主義の国だし、人権の概念も明確である。同時にこのような人種差別・民族差別に対しての保守的な意識もまた根強い。アメリカをステレオタイプで一言には言えないのである。ただ、今回のBLM運動の波動は、今までとはちょっと違うと私は感じている。

…ダレス空港のスポーツグッズ店では、レッドスキンズのグッズをまだ売っているのだろうか。

2020年7月13日月曜日

中国のビブリオコースト

自作のホロコーストのPPより
9日のロイター電によると、中国の学校で一斉に有害図書を処分しているようだ。教育に携わる者の一人として、教育が国家権力に左右されることは当然だとしても、このような焚書(ビブリオコースト)は決して良いことだとは思わない。
https://jp.reuters.com/article/china-books-idJPKCN24D02D

昔、世界の教科書シリーズで中国の歴史教科書を手に入れたことがある。文革直後くらいの時期だったと思うが、かなり社会主義の色が濃かった。今の中国とはかなり状況が違う。果たして、現中国は社会主義国なのか?プロレタリア独裁ではなく、共産党のエリート層独裁ではないかのか。人の支配は甚だしい。

愛国主義を強調することは、決して悪い事ではないと思うが、隣国のように歴史的事実と違う「物語」を強要することは、子供たちにとって反対に有害であると感じる。世界は、SDGsについて学び、地球市民となっていくことを求めている。まさに対極の時代錯誤であると言わざるを得ない。

「本が焼かれた後、次に焼かれるのは人間である。」これは、ナチスドイツのビブリオコーストの1世紀も前にユダヤ人の血を引く詩人ハイネの言葉である。ハイネの予想は実際の事となったのは周知の事実である。

中国の人々は、習政権がどんどんナチズムに相似していっていることに気づくべきであると私は思う。

2020年7月12日日曜日

コロナ禍第二波に想う。

https://www.google.com/search?q=%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A
%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%80%85%E6%95%B0&rlz=1C1QABZ_
jaJP860JP860&oq=%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A&aqs
=chrome.5.69i57j0l7.4760j0j8&sourceid=chrome&ie=UTF-8
東京、神奈川、大阪とコロナ禍の第二波が来ているようだ。私を含めた塾の講師陣もこの夏は帰りたいなと思っていたのだが、どうも雲行きが怪しい。マレーシアに足止めされている学生たちも心配だし、東京や神奈川出身のの寮生たちの夏休み帰省にも影響するかもしれない。実に心配である。

経済活動と罹患リスクとのバランスをとることはかなり難しいようだ。ウィルスの方もどんどん変化している可能性もある。おそらくワクチン開発や特効薬の開発に、世界中の関係者は躍起になっているだろうし、人類の英知が勝つはずだ。

私など、62歳で高齢者ではないけれど、上等な身体ではないので、罹患したらかなりアブナイ。(笑)今こうして、四国の最西端で、コロナ禍とは非常に関係性の薄い場所にいるので助かっているのかもしれぬ。

医療関係者をはじめ、行政も企業も気が気ではあるまい。関係各位の努力に期待するしかないのである。頑張って下さいとしか、言いようがないのであった。

2020年7月11日土曜日

午睡4時間

先週、地元の方と共にどぶ掃除をした際のスナップ
先週は期末考査前の一週間。大雨と避難勧告の事もあって、7日の午後臨時休業になり、翌日解除されて4限目から授業というイレギュラーもあったけれど、未咲輝塾の方は1日閉塾したものの、あいかわらず大忙しだった。8日などは、午前中地域おこし協力隊の会議があり、そのまま夜9:00までの12時間勤務だったりして、なかなか疲れる。(笑)

というわけで、今日はゆっくりと休息をとろうと思っていた。用事で八幡浜まで行って、買い物をした後、午睡をとったのだが、なんと4時間も寝てしまった。往復で1時間半ほど霧の中を運転したこともあるけれど、さすがに4時間は長い。(笑)

地元のK医院で、先生に「上等な身体ではないんだから」と言われていて、まさに実感するところである。血糖値は一時期、400近くに上がっていたのだが、妻の食事療法で100台、それも正常値にまで戻りつつある。

62歳。考えてみれば無理が効く年齢ではないよなあ。今日あげた画像は先週、地元の方と寮生が協力してどぶ掃除をした様子。この後7日に大雨警報が出て愚後いことになったのだった。掃除をしていなかったら、もっと酷いことになったと思う。私は、このどぶ掃除はほとんど何もしなかった、というよりできなかったのだった。

2020年7月10日金曜日

BLMの波動

https://www.tokyo-np.
co.jp/article/37407
BLM(Black Lives Matter/ 黒人の命は大切)運動は、全米そして世界中に拡大している。米国では、NYCの自然史博物館前のT・ルーズベルトの乗馬像(左右にネイティヴ・アメリカンと黒人を従えている)の撤去や、南部の将軍の名を冠した米軍基地名を改称する動きがあるが、イギリスの皇籍離脱したヘンリー王子が、イギリス連邦の若者を支援するビデオ会議で、「イギリス連邦を見渡すと、私たちに過去を認めることなくして前進できる道はない。」と語ったようだ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/37407
https://www.afpbb.com/articles/-/3292399?cx_part=logly

…このBLM運動は、様々な角度で拡大している。黒人だけではなく、ネイティヴ・アメリカン、さらに世界各地のマイノリティへと拡大している。私自身は、この動きを好感を持って見ている。

…日本は多分に自虐史観で戦後教育を行ってきた。私もその教育を受け、その立場で長らく教えてきた。南京に立った時、銃痕を見て今は亡き中国の人民に対し合掌した。このような過去を認めてきた国は欧米では少ない。

…これの差は如何に生じたのかという問題は実に難しい。所説があるだろうが、キリスト教的なるなにかが関係していると思われる。特に予定説が影響を与えているような気がする。アメリカでのネイティヴ殲滅、奴隷導入も帝国主義的なるものも、そういう予定説に支えられた選民主義のような感覚があったような気がする。

…中国でウィグル人へのかなりの弾圧が注視されている。中国にも選民思想に近い中華思想があるわけで、こういう感覚が数々の不幸を再生産しているのではないかと思うのだ。仏教では、縁起(因果)を重視する。過去は現在に繋がり、未来も現在から発展する。こういう思想から、日本人は過去を振り返ることが、自然であり、故に我々には可能なのであるような気もする。

2020年7月9日木曜日

米中冷戦下のアフリカ

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20095
今、中国が孤立しつつあるという感覚が強いが、アフリカ諸国は中国についているとアメリカが非難していることに、6月11日の英ファイナンシャル・タイムズが、アフリカの実情を無視したアメリカの批判は誤りであると論じたらしい。この記事のタイトルは、「コロナ禍でも着実にアフリカを従属させていく中国」である。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20095

この中国のアフリカへの支援については、開発経済学の世界では様々に論じられてきた。西側先進国のように、民主化や人権問題などの改善要求などせず、あるいはPRSP(貧困削減戦略文書)を出させたりすることもなく、どんどんインフラ設備を建設していくのだが、現地の雇用をせず、中国人労働者を引き連れての支援事業であった。おそらくアフリカの多くの一般の人々は中国にあまり良い印象を持っていないはずだが、権力層は違うと思う。アフリカのエリート層と一般の人々の感覚は、様々な面でかなりの格差があることを私は見てきた。

とはいえ、誰が彼らを責めることができるだろうかと私は思う。アフリカ諸国は意外にしたたかである。これまで欧米諸国や旧ソ連などにもいいように利用されてきた。その不信感から中国の様々な支援を受け入れ、うわべだけでも中国を支持している状況は、むしろ当然に思える。この記事のタイトルにある従属という語彙には、不快感を感じる。

日本の国際協力は、以前までそのスタンスは正義そのものであった。以前までと書いたのは、最近日本の国益優先の色が濃くなってきたことが挙げられるからだ。同時に、正義=最善ではないということを、最近私は痛感することがあったので、余計にそう思うのかもしれない。

記事は、アメリカのアフリカ批判を批判しているのだが、米中冷戦にアフリカを巻き込まないでほしい、というのがアフリカ諸国の本音だろうと私も思う。

2020年7月8日水曜日

イランの核とイスラエル

https://www.jnfl.co.jp/ja/business/about/uran/summary/centrifuge-cascade.html
先日、イランの核施設(ウランの濃縮を行う遠心分離機を開発する施設)で火災がおきたが、イスラエルのモサドによる破壊工作だとニューヨークタイムズが報じたそうだ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200706/k10012499721000.html

遠心分離機は、ウラン濃縮の核心的な装置で、マンハッタン計画では様々な形態のの分離機を同時に試し、最も生産性の高い装置を大量生産し、濃縮に成功した。日本でも理研で軍の要請を受けて核開発に着手したがこの分離機をどういう形態にするかで迷っているうちに空襲で破壊され、核開発は頓挫した。それくらい重要な施設なのである。

核施設内に侵入し、強力な爆弾を仕掛け、脱出するためには、極めて優秀で訓練された人間集団が必要である。これができるのは、イスラエルのモサドしかいないというわけだ。なるほどと納得するしかないが、イランは報復に出るだろうか。直接攻撃に出ないまでも、レバノンのヒズボラやガザのハマスを使って代理攻撃を仕掛ける可能性が強いが、イスラエルは倍返しで報復するだろう。
中東世界に核を保有させるわけにはいかないという信念がイスラエルにはある。自己が生き延びるためには、あらゆる手段を取るだろうと思う。その善悪は別として、それがイスラエルなのである。

現在の世界は、中国へ視点が集まっているが、中東でも新たな火種がついた。さあ、再選に向けて大統領閣下はどう対処するのだろうか。

2020年7月7日火曜日

大雨の七夕の日

私の2階の玄関から撮影した「滝」
昨夜からひどい大雨で、私の住む教職員住宅も、凄い状況になった。前の畑脇の小道が浸水し、滝が出来ていたのだった。上記画像で言うと、この道に左上の方から水が流れ込み、右の方からは、下の画像のように山からの水が流れ込んで、最も低い部分が滝になったいうわけだ。
上記画像で道を右にいくと、山からの水が激しく溢れていることがわかる
九州では、もっと酷い状況になっているようで心配である。我が三崎高校も、午後から休校になり塾も休みになった。体育館は避難所となっている。これ以上の被害が出ないよう祈りたい。

2020年7月6日月曜日

新規入塾生の集計2

新規入塾生が、締切以後もぼつぼつと続いていて、ほぼ毎日集計表や出欠表を修正している。先日全校生徒の50%弱と書いたが、ついに50%を超えてしまった。

嬉しい話ではあるのだが、この修正作業は意外に手間のかかる仕事なのだ。しかも、この入塾願は、町教育委員会に提出し、保護者宛に塾費の請求に使われる。今朝、もうないだろうと霧の濃い国道197号線を走って町役場に持参したのだが、今日もまた1枚出てしまった。うーん。というわけだ。

我々講師が危惧しているのは、多人数になりすぎると手が届かないという問題がある。積極的に質問してくれる生徒は良いのだが、講師と関りのないままに時間を過ごす生徒も出てしまう。それを避けるために机間巡視をしているのだが…。

ところで、明日はみさこうDAYである。同時に期末考査の一週間前なので部活が無い。だが、みさこうDAYは、塾のイベントの日と決めているので試験前だがイベントを行う。といっても、塾講師が語る試験勉強のコツというテーマだ。さて、講師陣がどんな話をするのか私も楽しみにしている。

2020年7月5日日曜日

続マウントラッシュモアの7月

https://www.kirkpca.org/
先日、エントリー(6月26日付 マウントラッシュモアの7月)したが、かの大統領閣下は、マウントラッシュモアで、それまで禁止されていた花火を前夜祭で打ち上げ、独立記念日を祝い、コロナ対策もせず7500人を集めたらしい。抗議行動をしていたネイティブ・アメリカンの人々は道路を封鎖したらしいが、排除されたようだ。

大統領閣下はコロナの話は一切せずに、「キャンセルカルチャー」の話をしたようだ。南部連合の指導者の彫像を各地で引き下ろしている運動を非難し、彼らを「怒りに満ちた暴徒」と呼び、「この国の歴史を消し去り、英雄たちを侮辱し、我々の価値観をかき消し、子供たちを洗脳しようとする、情け容赦のない運動だ」と述べた。さらに大統領令で、記念碑や彫像の破壊を処罰する大統領令を出し、彫像の破壊は最長10年の禁固刑とすると強調した。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20121

…いかにもブレスビテリアン(スコットランドのカルヴァン派:長老派)の信徒らしい発言である。大統領でありながら、黒人やネイティブアメリカン、ヒスパニックは天国に行けない、切り捨ててよい「非隣人」であるという信念を私などは感じる。大統領閣下は選民意識を強烈に持っている。しかも反知性的だから、このような発言が可能なのだろう。
https://president.jp/articles/-/27104

…アフリカ系アメリカ人である黒人には彼らのDNAに刻まれた意識がある。ネイティブ・アメリカンにもDNAに刻まれた意識がある、もちろんヒスパニックにも。白人でもカトリックやモルモンなど多種多様なDNAに刻まれた意識がある。かれらのコギトは、隣国のように嘘で固められ、教育で洗脳された「傷ついたコギト」ではない。現実の歴史を多くのアメリカ人は知っている。

…アメリカは多文化共生を「人種のるつぼ」という表現から「人種のサラダボウル」という表現に変えた。これは、決して完全に混じり合うことはできないという悲観ではなく、互いの良さを認め合うべきであるという前向きな楽観だと私は思っている。アメリカでは、教育の場で、ネイティブとの歴史、アフリカ系アメリカ人の奴隷労働や解放、公民権運動についてもきちんと教えている。だからこそ、知性的な白人の人々も、今回のミネソタ州の事件に立ち上がったのだ。こういう事実を大統領閣下は認識してるのだろうか?と思う。まあ、知性的な白人は大統領閣下の支持層ではないだろうが…。

2020年7月4日土曜日

ロレンスになれなかった男

妻が、面白い記事があると紹介してくれた。シリアに1970年5月、JOCVとして赴任した空手家の話である。https://news.yahoo.co.jp/articles/660aea8947f8f2e0a6b9c861a993855bb50e3112

おそらく今では考えられないような武勇伝が語られていて、実に面白かった。今ならJICAでは大問題になっていただろうと思う。この記事の内容は、要するに新刊本の紹介であるので、詳細は興味のある方は上記の記事を見ていただくとして、私が感じたのは、今と昔の差である。

昔は、実におおらかだった。今は窮屈な時代になったものだ。この主人公は破天荒であるが、それを愛する人々が、アラブ人側にも日本人側にもいた。ある意味幸せな時代だったような気がする。

私が教師になった頃、様々な個性をとがらせた先輩教師がたくさんいた。とんでもない人もいた。生徒もいろいろで個性派が多かった。かくいう私も若い頃は、かなりとんがっていたように思う。それを活かし育てていただける度量のある先輩教師がたくさんおられた。

現在お世話になっている三崎高校には、未だにそういう教員集団があって、先日も年配の先生方と天然記念物のようだと論評し合ったこともある。小さくまとまるより、失敗してもいいから思い切りやりたいことをやれという環境は、今では貴重な存在になったような気がする。

2020年7月3日金曜日

香港経由便にはもう乗れない

https://nomad-english.com/archives/26703
香港の国家安全法を読んでみると、中国に対して批判をした人間は、たとえ表現の自由が保障されている外国人でも公安に逮捕されるらしい。もちろん中国本土もだが…。

正直なところ、もう香港にも中国にも行く機会はないだろうと思う。だが、香港経由の航空機に乗る可能性はありそうだ。実際、キャセイ・パシフィックにも何度か乗ったことがあるし、イスラエル行ではエルアル航空は香港発だった。

私はこのブログでいろいろ中国の事も書いているのでアブナイような気がする。もう香港を経由する航空機には乗れないなと思う。というか、他国の言論の自由を脅かすどんでもない法だと思う。早速、アメリカ政府は非難声明を出した。日本政府の「遺憾砲」はたいしたことはないが、G7の一員として非難することにはなるだろう。民主主義国家として当然である。

日本の民主主義は、敗戦によって天から降ってきたモノなので、欧米諸国の様な、戦って勝ち取った自由ではない。だから自由の重要性について意識が薄い。ニューハンプシャー州のモットーは「自由を、然らずんば死を」という過激なものだ。アメリカ独立革命において、最初にイギリスからの独立を宣言した州でもある。アメリカにはこういう精神が溢れている。イギリスやフランスなど市民革命を経験した国や、諸国民の春で自由を求めたヨーロッパ諸国も然りである。中国政府は、この辺をかなり読み違えていると私は思う。アジアでは、そんなに驚かれないだろうが、欧米の最も大切なものを踏みつけたわけだ。

私の「香港を経由する航空機には乗れないな。」などという感想は、実にアジア的と言うか日本的な感想だろうなと思うのだ。

2020年7月2日木曜日

モザンビークのLNG開発

https://www.mitsui.com/jp/ja/release/2019/1228888_11203.html
モザンビーク北部で、かなり優良な天然ガス田が発見され、日本の三井物産などが他の海外企業と共に開発を最終決断したようだ。モザンビークと言う国は、元ポルトガル領である。大体ポルトガルは最後の最後まで植民地を手放さず、しかも手放し方が実にいいかげんで、多くの国々で民族間の主導権争いで紛争が起こり内戦に発展した。アンゴラしかりモザンビークしかりである。モザンビークは少年兵でも有名になってしまうほどのありさまであったが、落ち着いてからは日本も国際協力にかなり力を入れている国だ。経済回廊の建設や、これは南南協力(ブラジル=モザンビーク)の失敗例ともなった熱帯草原の農地化プロジェクトなど、日本はいろいろやっている。ただ、様々な問題も出てきていることは間違いない。人間のやることである。失敗もある。予測不可能なこともある。善意の協力が地元の悪意を生むこともある。

三井物産のHPにあった開発イメージを見ると、地元の人々の雇用はあまり望めないような感じを受ける。しかしながら、出来るだけ雇用を増やしてほしいものだ。地域と共に発展するよう、SDGsの理念に沿った開発をお願いしたい。
https://www.mitsui.com/jp/ja/release/2019/1228888_11203.html
今回のガス田開発もモザンビークの人々のためになる開発であればいいのだが、このレント(鉱産資源の利益)を巡って、ポール=コリアの言う資源の罠や紛争の罠に陥らないことを祈るばかりである。これが私の老婆心に終わりますように。

2020年7月1日水曜日

新規入塾生の集計

6月中で無料体験入塾期間が終わり、塾の責任者としては入塾願をかき集め、集計・整理する作業に追われていた。集計後も、入塾願を出す生徒もいて、2度、3度と集計のやりなおしをして大変な一日であった。寮生の比率やバス利用者の比率をいちいち計算しなおしていたのだった。

もちろん、今日も塾には36名の生徒が来てくれている。激励を行いながらの作業である。結局のところ、1年生は36名、2年生の新規入塾生は4名で、これまでの塾生と合わせて52名となった。(閉塾時現在である。事前にアップした未咲輝塾のFacebookの数値より増えている。)全校生徒の50%弱が塾生ということになる。それだけ責任も重くなったということである。

昨年度は、せいぜい多い時でも10人ほどだった。今年度は、30名前後の日が続いている。今日も36人も来てくれた。講師のチームは順調に動いてる。各講師が最も価値的な行動をとってくれていて頼もしい。2・3年生は、去年と全く違う塾になったと言っていた。私もそう思うし、そうであらねばならない。試行錯誤しながら、前へ前へ進んでいこうと思う。