2026年4月14日火曜日

沢木『天空の旅人』断片5

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沢木耕太郎の『天空の旅人』の断片エントリー5回目。西川は、日本の情報を得たいがために、カルカッタ(現コルカタ)に向かう。同行者のバルタンにとって、自動車や鉄道は人生初の経験。見るもの全てに感動する彼を見て、旅の根源的な喜びを感じ取る。

このあたりから、西川は担ぎ屋として生き抜いていく。煙草を積んでヒマラヤを越えるのである。ところが三度目のヒマラヤ越えで、凍傷になってしまう。カリンボンという街で物乞いの巣窟に潜み、物乞いたちに助けられた。インド人はチベット人以上に「喜捨」の精神に富んでいた。しかもキリスト教の伝道所にある無料の診療所に連れて行ってくれ、凍傷は回復する。しかし托鉢と物乞いは違うと意識した西川は、ラサに戻りラマ僧としての修行を選ぶ。

西川は、ラサに戻りデブン寺(画像参照)の蒙古人のイシ師に弟子となる。経典を暗唱する多忙な修行の毎日を過ごすが、8月1日から一週間は僧衣を脱いでも違法ではない。チベット人は猿の後裔(チベットにもトーテミズムが存在するようだ。)なので、林や河畔で過ごすのが好きだった。西川は、仲間の僧に泳ぎを見せてくれとせがまれる。蒙古人ラマ僧の間では、前述のヤクを連れ戻した話が有名だったからで、後に西川は、泳ぎの上手い蒙古人はやはり疑わしい存在だと後悔したという。

西川が不当なほど廟の徴用に駆り出され、先輩のラマ僧が憤慨していたが、イシ師は、ひとり「人の嫌がる労役に出ることは良いことだ。」と日本人には慣れ親しんだ考えを示してくれた。遊牧民的な蒙古人にはない考えで、西川を感激させた。零下20℃にもなる冬も裸足だった西川に合う靴を買ってくれようとしたが、大足の西川に合う靴がなく諦めざるを得なかったが、師の想いやりも嬉しかった。

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