2018年4月30日月曜日

PBTの話(34) 突然サクラサク

http://www.sakurakaido.jp/f_ck/f_049.html
我がクラスにL君という学生がいる。彼は3月にPBTに入学してきた。いくつかの難関私大を受験したが合格の栄誉を勝ち取ることができず、捲土重来を期しての入学だった。担任としても、なんとかしてあげたいとずっと願ってきた。難関私大なら6月のEJUの成績が重要である。そこで、パワーポイントを制作して、少しでも早く学習を進めんと思って私なりに努力してきたつもりだ。

先週の金曜日、L君から「ICUの9月入学の試験に合格しました」との報を受けた。私は耳を疑った。彼は、PBTの入学前に書類申請をしており、それが実を結んだのだった。結局のところ、PBTでの学びは活かされないままだったが、早稲田・慶応に続く超難関私大であるICUに合格できたのだった。ともかくもめでたい。同時に私は拍子抜けしたし、大きな重荷を下ろせることとなった。さらにF40Aにとっても、幸先の良いスタートを切れたわけだ。

ICUは教養学部のみの、極めて個性的な大学である。このような大学に教え子を送れることは、実に嬉しい。渡日するまで、PBTで日本語を磨くとのこと。それも嬉しい。せっかくだから、L君の為にも精一杯授業を進めていこうと思う。本年度のサクラサク第一号は、突然やってきた。

2018年4月29日日曜日

ハウステンボス黒字化の術

https://www.huistenbosch.co.jp/event/hikari/
長崎にあるハウステンボスを、HISの社長が再建したという話を、ダイヤモンド社のオンラインで見つけた。19年間赤字だった巨大テーマパークを黒字化するとは凄い。残念ながら、ダイヤモンド社のオンラインは途中から有料記事になっていたので、PHPの方で黒字の術を確認した。経営学を志しているPBTの卒業生も多いので、参考になればと思い、エントリーすることにした。

このHISの社長、2度ほど再建を託されたが断っている。だが、3度目は受けるという三顧の礼には弱いらしく、念密なデータをもとに引き受けるのだが、就任前に出来る限りのことをしている。まずは負債60億の8割を放棄して貰い、残りの債務を出資金を使い就任までにゼロに。無借金経営がHISの方針だからである。佐世保市から固定資産税納付額に掃討する再生支援納付金、九州財界からも資金面以外にも協力体制を取り付けている。
これは、ハウステンボスが、長崎や九州にとってかけがえのない観光資産になってしまっていること、地元が三顧の礼でHISの社長を迎え入れたことが大きい。

その上で、2割売り上げを伸ばし、2割経費を削減することを打ち出している。細かな経費削減は当然のことであるが、広大な敷地(東京ディズニーランドの25倍)内に入場無料のフリーゾーンをつくる。これは、経費削減のため。ここの人件費や光熱費をある程度さげる。「広く薄く」を「濃く狭く」にして効率を上げたのだ。しかも有料ゾーンにはにぎわい感が出る。しかも全ての仕事・行動を1.2倍のスピードで行うことをスタッフに求めることも。

社長に就任した年の5月のGWには、入場料の値下げ、ミュージカル体験型宝塚のイベント、フリーゾーンには佐世保グルメストリート。マーチングバンドやパレードなども行い、集客が2割増。季節ごとの客層の変化に目を付け、夏は子ども連れが多いので、ワンピースやAKB、フジテレビと組んでのお化け屋敷などを設置。秋は熟年にターゲットを当ててガーデニングワールドカップを開催。冬はさらに厳しいが、光の王国で大盛況となった。多くの企業や、特にベンチャー企業の誘致で経費を掛けず集客を増やすという試みも行っている。

…結局、構想力なのである。このHISの社長はたいした人物である。ところで、この社長、大阪出身。私が15年勤めた工業高校のOBなのである。当時の工業高校は今よりだいぶレベルも高かったはずである。ちなみに笑福亭仁鶴も同校OBである。

PBTの話(33) 関西弁の話

PBTでは、当然標準語を教えている。全国各地から日本語の先生が集まっているが、見事に標準語である。おそらく、PBTの中で最も標準語に遠い存在が、大阪人の私である。
意識して標準語を使おうとするのだが、発音が逆の場合が多い。雨と飴は逆さまだったりする。日本語の先生方は、およそ標準語の訓練を受けておられるのだが、60年間大阪弁にどっぷりつかっていた私には、はなはだ難しい。
また、標準語だと思っていたら、それは関西特有の言い回しだったりする。なかなか難しいのである。(学生は、関西弁を学びたがっているが…笑)

妻が、変な漫画を教えてくれた。あるブログに載っていたもので、この「おっちんしい」というのは、座りなさいという意味であるが、だいたい小さな子どもに対してのシチェーションで使われる。この漫画にある関西人の女性はかなりディープで、ベタベタの関西弁を使っているわけだ。京都弁かな。
http://www.pandapanta.com/archives/8789372.html

もうひとつ、PBTの日本語の先生方は、学生を「さん」づけで呼ばれる。初期の授業で、そう教えておられるらしい。大阪市内で教鞭を30年近くとった私にとっては、きわめて「なんぎ(難儀)」である。もちろん大阪にも女性の先生で、さんづけで生徒を呼んでおられた方もあったが、男性教師は、フツーに呼び捨てである。昨年F38Aの途中から、K先生にさんづけをお願いされたのだが、途中からはかなり無理があった。この4月、F40から「君づけ」で呼んでいる。女子学生はともかく、男子学生をさんづけするのは、超ムツカシイ。

気取らないのが、関西。とはいえ、郷にいれば郷に従うことも大切である、まだ呼びやすい「君」で男女学生とも呼ぶようにしている。私なりのアウフヘーベンである。(笑)

2018年4月28日土曜日

ドイツ ユダヤ人のキッパ問題

http://www.spiegel.de/politik/deutschland/zentralrat-der-juden-raet-von-der-kippa-in-problemvierteln-ab-a-1020593.html
BBCのWEBニュースによると、ドイツ国内のユダヤ人は、ベルリンの壁崩壊後増加し、3万人から20万人ほどに増えているらしい。ユダヤ人の被るキッパは、まさに外観的にユダヤ人の証明になる。このキッパを被った人々への暴行事件が度重なっているらしい。大都市では、キッパを被らないほうがいいと主張するユダヤ人団体も出てきたというニュースだった。

一方で、ユダヤ人社会と連帯を表明する「キッパを被るベルリン市民」という集会も予定されている。
他方、メルケル首相は、反ユダヤ主義は右翼集団だけでなく、国内の一部のイスラム教徒の難民からも存在すると述べていて、最近のパレスチナ情勢は大きく関わっていることがわかる。ムスリム中央評議会の会長は、反ユダヤ主義、人種差別、憎悪はイスラムの教えではない大罪である、絶対容認しないと述べている。
http://www.bbc.com/japanese/43890043

…現在のドイツにこのような反ユダヤ的な状況があり、20万人のユダヤ人が存在することを確認できた次第。マレーシアでは、異教徒を尊重する徹底した教育がなされているので、こういう対立は全く見えないのだが、日本などではそういう異文化理解教育はまだまだ十分ではないと思う。

横浜の外国人子弟が半数という小学校のニュースを見たが、日本語に不自由な外国人の子どもへの対応で、(日本人の)自分の子どもが学力面で十分な教育が受けれないのではないか、といった懸念を持つ保護者も多く存在するらしい。その杞憂は理解できないこともないが、ドイツの反ユダヤの暴力事件とは、全く違うもののように見えて実は同根であるような気がする。異文化を排斥する方向性は、出来るだけ押さえなければ日本は生き残れないと思うし、これからの社会を背負う子ども達には、こういう異文化を理解できる能力が強く求められていくと私は思う。同時に教育行政は、様々な状況に素早く反応し、経験を積み重ねていって欲しいと強く願うものである。
https://www.huffingtonpost.jp/abematimes/school_a_23422457/

2018年4月26日木曜日

PBTの話(32) 歴史分野PP6

 6月17日のEJUまでに、パワーポイントを使って出来るだけ進み、難関私大対策としたいというのが、今年のコンセプトである。今日現在、我がAクラスの歴史分野は冷戦に突入し、1949年の中華人民共和国成立、朝鮮戦争を終えている。なかなかのスピードである。
黒・赤・黄色でドイツを表現。タイトルと合わせて見た
今週は、ナチスドイツの話をしていた。WWⅠ後のドイツの状況を教えていた。総力戦による莫大な賠償金とハイパーインフレ、1929年の大恐慌をケインズで乗り越え…。こうしてみるとWWⅠとWWⅡは完全に繋がっているわけで、いよいよ真打ち登場というわけだ。





ナチスのレトリック、ナチスの政権奪取の話、プロパガンダの話、全権委任法、バルバロッサ作戦の敗北、チャーチルのHELPに答えたF・ルーズヴェルトの戦略…。この辺の現代史はいやというほど読んだので、自由自在にパワーポイントを作れたのだった。まさにこれまでの教材研究の総決算である。

2018年4月25日水曜日

マルクスの0ユーロ紙幣

https://www.businessinsider.jp/post-166114
カール・マルクス生誕200年だそうだ。彼の出生地トリーアで、それを記念したユーロ紙幣がつくられたらしい。資本主義を批判したマルクス故、あえて0ユーロなんだという。当然法的にも、数学的にも使用しようがない。(笑)販売価格は3ユーロ。

この紙幣、私も手に入るのなら欲しいなと思う。別にマルクスの信奉者ではないけれど、0ユーロというのがいい。見事な脱構築だ。マルクスー最も資本主義的な存在・紙幣ー0ユーロ。実に面白いではないか。

2018年4月24日火曜日

「深夜特急5」を再読す。

この所、順調に来ていたのだが、昨朝は650番のバスが1本抜けていたようで、30分以上も待ちぼうけをくらった。とはいえ、あまり苦にならなかったのは、またまた日本人会の無人古本コーナーで手に入れたRM1の沢木耕太郎の「深夜特急5」のトルコ・ギリシア・地中海編を集中して読んでいたからだ。

愛読書を1つ挙げよと言われたら、やはり私はこの「深夜特急」を挙げる。細かいところは、忘れているが重要な部分は記憶の底にあって、うわー、なつかし。と思ってしまう。トルコ、イスタンブールの話で鰯のサンドイッチを食べる話や、熊男と出会う場面、チャイとティーの話、トルコとギリシアとの国境超えの話、オリンピアでの競技場の話など、ずっと記憶の底にあって、旧友と再会したかの如くに嬉しくなる。

それに、改めて読むと沢木耕太郎の文章は、すらすら読める、すなわち平易なのだが、やはり微妙に美しい。ディテールの表現が上手い。とくに各章の締めの言葉が心を動かすのだ。やはり、沢木耕太郎の筆力は尋常ではない。「心を残す」という表現をこの「深夜特急5」に発見したときは、思わず唸ってしまったのだった。

2018年4月23日月曜日

チキンラーメンの脱構築

クアラルンプールで、意外に手に入らないもののひとつに「チキンラーメン」がある。どの日系の食品を売っているスーパーにもありそうだが、ない。先週、日本人会のTという食料品店で、チキンラーメンを発見した。で、今日は、週に1度の職員連絡会がある月曜日。5限目から日本人会のPBTの本校に行く日である。妻が、チキンラーメンを是非とも購入すべしと言うので入手した次第。

ところで、このチキンラーメンのキャラクター、ひよこ君が最近不良となったらしい。これも情報通の妻に教えて貰った。日本のTVは見れないので、WEBでしか知らないのだが、いろんなメディアでかなり暴れているらしい。
https://youpouch.com/2018/04/04/501802/

おそらくは、日清食品のCM担当(広告代理店かな?)の、脱構築的な手法だと思う。チキンラーメンのひよこの良いイメージを悪にずらしてみたらどうだろうというアイデアだと思われる。この企画がうまくいくかどうかは、まだ定かではないが、マンネリの打破としてはなかなか面白いと私は思う。CMは、その時代を映し出すことも多い。これは今の時代の何を映し出しているのだろうか。

2018年4月22日日曜日

朝食はウナギ丼

妻が昨日はブキッビンタンにお出かけしていて、お土産にウナギ丼を買ってきた。RM36というから、日本円に直すと1000円ほどになる。ひえー。しかし、昼飯をたっぷりとった私には食べれなかったので、今日の朝食に回したのだった。朝からウナギ丼。なんとぜいたくな話だと思うが、せっかくなので、朝食シリーズの連作としたい。

マレーシアで、つつましく生活している我が夫婦だが、たまにこういうこともある。このところ、毎日猛暑で、しかも凄いスコールと雷が続いている。パワーをつける必要もあるのだと、無理矢理思う次第。

2018年4月21日土曜日

朝食は力餅うどん

一週間を乗り切って、今日は休日である。妻も休日で、ちょっと遅くまで寝ていた。妻は毎日5時起きで私の弁当作りをしてくれている。土日は私も朝食作りを手伝うのだが、今朝は、「うどんでいい?」と聞いてきた。ああ、桃太郎のてんぷらうどんだな、と思った。マレーシアで食べれる本格的なカップ生うどんである。妻が来馬するまで、お世話になり、以後もローカルのカップ麺より、桃太郎のてんぷらうどんを食することが多い。冷蔵庫に在庫が無くなると不安になる。日系の桃太郎食品製なので桃太郎。(笑)

すると、今日はお餅入りにすると妻が言い出した。「力餅。」なるほど。大阪人なら知っている大衆食堂というか老舗のうどん屋チェーンの餅入りのうどんのことである。このお餅は本帰国(一時帰国ではなく、マレーシアから日本に帰ってしまうことを意味する。)する知人のHさん夫妻からいただいたもので、極めて美味な純日本製である。桃太郎のうどん自体は、お湯を入れ、2分間チンして私が作り、その最後のお餅を妻が焼いてくれたのだった。

マレーシアに来て2年が過ぎた。ローカルのマレー料理や中華、インド料理ももちろん食べるが、やはり日本食はいい。妻と桃太郎食品とHさん夫妻に報恩感謝である。

2018年4月20日金曜日

スワジランドの国名変更

スワジランドが「エスワティニ」という国名に変わるそうである。英語から自分たちの言語に変えるわけで、私は覚えにくいことはともかく、国名変更自体は実に良いことではないか、と思う。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29648260Q8A420C1000000/

ところで、旧名スワジランドは、南アがアパルトヘイトの時、経済制裁を受けていた関係で、南アの企業が進出、スワジランドの企業として輸出をしていたこともある。実際のトコロ、南ア経済との結びつきが深い国である。また絶対王政の国で、エディーマーフィー主演の映画「星の王子ニューヨークへ行く」の題材にもなっていると私は思っている。王族の経済的な基盤は、南アにあるわけだ。

2004年の南ア・ジンバブエ行の時、シンガポールのチャンギ空港で、アフリカの民族衣装を着た大人数の集団と出くわしたことがある。聞くとスワジランドの人々だった。おそらくは王族に関係する人々だったのだと思う。極めて、経済格差の大きい国であるのは間違いない。いずれは変化が訪れると思うが、それも国民が望むならば、の話であると私は思っている。いたずらにリベラルを看板に正義を振りかざす気はない。

2018年4月19日木曜日

PBTの話(32) 歴史分野PP5

私たちの年代は、経済学部と言えばマル系が主流だった。まだまだ社会主義に対する期待も大きかったし、文化大革命も反スターリズムの感覚で共鳴する人々も多かった。まさに今は昔である。

剰余価値や唯物史観などは最近の教科書では、あまり大きな扱いはないような気がする。メンシェビキとボルシェビキの違いなどどうでもいいような扱いだ。でも私はマルクスの考え方は、学生に少なくとも基本的な部分だけでも知っておいて欲しいと思っている。もちろん私は左派ではないが、歴史を考える際にはやはり重要な問題提起をしていると思っている。
というわけで、今日はF40Aでロシア革命を講じたのだった。第一次ロシア革命からラスプーチンの話、マルクスの基本的な考え方は、「科学的社会主義」にしぼって剰余価値説と唯物史観を軽く教えた。本気で教えるとかなりの時間を要するが、パワーポイントは、そういう意味で有意である。まあ、ずいぶんと駆け足ではあるが、やむをえないところ。
今日の画像の最後のものは、レーニンが演説をしている写真からトロツキーが消されているものを使った。パワーポイントならではの授業かな、と思う次第。

2018年4月18日水曜日

PBTの話(31) 歴史分野PP4

総合科目の授業も歴史分野を軸にだいぶ進んできた。F40A の自分のクラスでは、今日の補習終了時現在で、WWⅠが終了、次回はロシア革命というところまで進んできた。先週くらいから3コマ(90分×3)くらいで、今週初めまでは、日本の近現代史もやってきた。
まずは、日本史の超概説。万世一系の天皇制が続いていること。平安時代の後期以降は、君臨すれども統治せず状態と説明すると、ヨーロッパ近代史をすでに学んだ学生にはわかりやすい。武士の発生と武士道も、日本理解の重要な部分だと思う。今回は山岡鉄舟を題材にした。武士道を理解してもらえると、日本が欧米列強の植民地にならなかったわけもよくわかる。やはり武士は危険(生麦事件を題材とした)だし、尊敬に値する(教養の高さや潔さ)存在で、後々戊辰戦争で英仏は代理戦争の危険を冒さなかった。まあ、学生には、この時のフランスは、ナポレオン3世なのだと言うと、「なるほど勝てない戦争はしませんね。」という反応が返ってくるのも面白い。植民地化を防いだ新政府だが、不平等条約で、1/5くらいは植民地化されたようなもんだと説く。この1/5植民地化から脱する為に、日本は岩倉使節団を送り、予備交渉を行うが、それ自体は不発ながらも近代国家化の道筋をさぐることになる。意外にも最先進国イギリスを岩倉使節団はよく思わなかったのも面白い。産業革命で繁栄しつつも、児童労働などの実態を見いだす叡智が日本の武士階級にはあったわけだ。このあたりも産業革命で語ってあるので、皆、納得の様子。
国民国家化=国民皆兵を最重要課題とするあたりも、すでにヨーロッパ近代史で学んでいるところで理解が早い。日本の近現代史は、まさに不平等条約からの束縛を逃れんが為の努力である。日清・日露戦争を語り、世界史上のイギリスの地政学的優位が、日本海海戦の勝利に結びつく話もよく理解してくれた。
思えば、これまでの私の学びの総決算。かなり精選して教えているが、今のところ十分満足している。

2018年4月17日火曜日

ボストンマラソンの快挙

https://www.nikkei.com/article/
埼玉県庁の公務員である川内選手がボストンマラソンで瀬古選手以来の31年ぶりの優勝を果たしたというニュースが飛び込んできた。凄いな。ボストンマラソンと言えば、国債陸連が公式記録云々と、どう言おうとも世界的にも歴史の古いビッグタイトルである。

異形のマラソンランナーである川内選手は、注目を浴びてきた。長距離の世界も、商業主義的になってきている中での快挙故に、判官贔屓の日本人には大いに受けるわけだ。私にも同様の傾向がある。それがまたスポーツの面白さでもあるのだろう。

ちなみに、このボストンマラソンの開催日は、独立戦争の開戦に由来している。ボストンの街はそういう独立戦争との関わりが深い。私自身はボストンの街は思い出深く大好きな街である。そういう意味でも、今回の快挙を言祝ぎたいと思う。やったね!

2018年4月16日月曜日

カリフォルニア州3分割?

https://www.cnn.co.jp/usa/35117759.html
CNNでカリフォルニア州の3分割案が11月に住民投票される見通しだと伝えている。北カリフォルニアはサンフランシスコ、南カリフォルニアはサンディエゴ、そしてロス中心のカリフォルニアという区割りである。今回の3分割、以前は6分割案だったらしい。詳細は、ロス在住の方のブログに詳しい。
https://ameblo.jp/sweetpiesari/entry-12368731786.html

民主党支持層は、ロス・サンフランシスコ、シリコンバレー(サンノゼ)等の地域に多く、他は共和党支持者が多いらしいということ。シリコンバレーの税額が最も多いのに、受益率が低いという現実、そのシリコンバレーに住むティム・ドレイバー氏の提案であると言うこと、などが記されている。

CNNの記事では、州議会で承認されたとしても、連邦議会では民主党が反対するのではないか、との推測を憲法学者が述べている。少なくとも、州2名と決められている上院議員が4名増えるわけで、そのへんの政治的打算が必ず動くはずである。

私も何度か足を踏み入れているカリフォルニア州だが、結局のトコロよくわからないし、高額納税者の弱者切り捨てとも見える。アメリカの正義はすでに破綻しているようにも思える中、さてさてどうなるか注目していきたい。
https://www.cnn.co.jp/usa/35117759.html

2018年4月15日日曜日

マサイの本を購入す。

妻が、またまた面白い記事があるで~と教えてくれた。マサイの青年がスマホで綴った話が日本語の本になったらしい。私自身は、あまり詳しく読まなかった。なぜなら、購入すると決めたからだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/14579898/

マサイはケニアやタンザニアで自由に遊牧生活を送っている、いやいた、いやいやまだまだ送っている…と、複雑な事情を抱えている人々だ。アフリカ・ウォッチャーからすれば、伝統的な生活を送る彼らは魅力的だが、現実に観光業に依存している人々も一部(というには、少ないかもしれない)いる。まさに、市場経済と伝統の狭間で生きている人々であるからだ。

昔々、2003年にケニアに初めて行った時、コーディネーターのピーター・オルワ氏が、ケニア独立の時、もしマサイが戦闘に参加していれば彼らが政権を握ったと思うと言っていた。ケニアの人々にとって、マサイは特別なエスニック・グループである。彼らは少数派だが強い。半端無く強い。そう考えている。幸いと言うべきか、彼らはそんな政治的な問題には無関心で、結局多数派のキクユの人々が政権を握ったというわけだ。マウマウ団の乱を起こし、ケニアを独立に導いたのはキクユの人々だった。ちなみに、ピーター・オルワ氏はルオの人で、個人的に別にキクユを毛嫌いしているわけではないが、ケニアの政治的現状では常に野党側に位置する。

余談はさておき、この新刊本を注文した。明日には大阪の家に届くはずだ。これで何冊目になるのだろう。妻の一時帰国後に私の手元に届くはずだ。

731部隊の実名公表考

http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180414000132/1
中国東北部で、中国の人々やロシア系の人々に人体実験を行い、生物兵器(主にペスト菌入りの陶器製爆弾)を開発していた陸軍の関東軍防疫給水部、俗に731部隊または石井部隊の実名を記載した名簿を公文書館が公開したという報道が流れた。

この731部隊については、様々な著作があるが、どこまでが真実かはわからないことも多い。しかしながら、実際に日本軍が、石井という軍医(最終的には中将)を中心に多くの医師が人体実験を行ったことは確かであるらしい。なぜなら、この部隊のあったハルビンの指令部は、徹底的に彼らによって破壊され証拠が隠滅されたこと、石井は、東京裁判で戦犯指定を受けるが、アメリカに当時の資料を提供することで、公職追放で事なきを得ていることなどが挙げられる。私の知る限りでは、アウシュビッツでヒムラーらSSが行っていたユダヤ系の人々などに対する人体実験とあまり大差はない。

731部隊に関わっていた人物は、すでにもうこの世にはいないかもしれない。彼らがやったことは、戦時下ということを考慮しても許されることではないと私は思う。道具的理性で行った行為であることは間違いがないし、東北部の人々や政治犯とされた人々への人権感覚の欠如は、まさに一般市民を虐殺したことに等しい。

以前、私が勤めていた商業高校(奉職した40年近く前)、最も給料が高く人気があったのは、Mという医療品関係の会社だった。この731部隊の関係者が当時得た実験資料をもとに高価な血清をつくっているのではないかと噂されていた会社だ。いずれそれが真実かどうかも、この資料公開で明らかになるだろう。

いずれにせよ、日本の過去の恥部であることには違いない。私は、ことさらに、この問題を追及するのではなく、二度とこのような悲劇を繰り返さぬ為の教訓として、この名簿の公開を活かしてもらえれば、と思う。

化学兵器が使われたとして、シリアに大量のトマホークが打ち込まれたようだ。問題は、このような兵器の使用を考える人間にある。アサド大統領の父を権力に据えた宗主国フランスの責任は、この攻撃に参加することで消えるはずはない。

人間と権力の問題は、人類史始まって以来の問題である。フーコーの権力の研究や本多勝一の「殺す側の論理」「殺される側の論理」を読む以前に、人間の愚かさ、煩悩について考えてみるべきだと思うのだ。

2018年4月14日土曜日

大谷翔平のマンダラシート

http://u-note.me/note/47502826
MLBのエンジェルスに入った大谷翔平が頑張っている。二刀流で投手として2勝、3試合連続ホームランとは全く凄い。アメリカでは、カネではなく純粋に野球を愛してやっている姿に感動が拡がっているらしい。これからもイチロー共々大いに野球を楽しんで欲しい。

その大谷翔平が高校一年生の時に、マンダラシートというものを書き、それを実践に移してきたという記事があって、大変興味深く読んだ。彼は8球団にドラフト1位指名してもらえるような選手になるというのが夢だったらしい。そのために必要なことは何か?彼は、体作り・コントロール・(球の)キレ・スピード(160km/h)・変化球・メンタル・人間性、そして運と記入した。(上記画像参照)さらに、この8項目を実践するための練習や必要事項などを書き込んでいる。したがって、8×9の72項目の実践目標を設定したわけだ。阿弥陀の四十八誓願ならぬ大谷翔平の七十二誓願というわけだ。

このマンダラシート、受験生にもかなり役に立つような気がする。F40Aでもやってみようかな。

2018年4月13日金曜日

PBTの話(30) MBMRカート

https://www.edgeprop.my/listing/444092/Menara-MBMR
PBTの分教室のあるMBMRは、ミッドバレーにあるなかなかのビジネスビルである。車では容易に来れるが、たとえばミッドバレーの駅やメガモールからは適当な徒歩経路がない。それで、無料のカートが用意されている。正面玄関から駅やモールのすぐ近くまで運んでくれるのである。電気自動車で小回りもきく。運転手以外に5人乗車できる。待っていると無線で連絡を取ってくれるので、すぐに利用できる。

私は650番のバスに乗って、ミッドバレーに着いたら行きは徒歩で(バス停からは徒歩の方が早い道があるので、鍵を開けるために時間短縮している。)、帰りはカートを利用している。このカート、なかなか乗りごごちもいい。

今日の帰りは我がクラスの学生といっしょにカートに乗って帰った。こういうシチエ-ションも新鮮でなかなか良いものである。そんなこんなで、新校舎の一週間が過ぎた。

2018年4月12日木曜日

PBTの話(29) 日本語で笑え

MBMRの分校舎に移って、今日で4日目になる。教師の中で私が最も早く朝到着するので、鍵を開けるのも慣れてきた。学生諸君は、以前何ヶ月かこちらで学んでいたので私などよりいろいろなことを知っている。(笑)冷房のスイッチなど、彼らまかせである。

慣れないのは、エレベーターである。全面鏡張りなので高級感はあるが、自分の姿を出来るだけ見ないように視線を斜め上に向けて乗っている。あまり美しいとは思わないからである。(笑)

さてさて、日本人会の本校舎を離れる1週間前から、我がF40Aの教室には、私の「責任ある行動」の指針とともに、クラスのスローガンが貼られていた。もちろん、分校舎でも貼っている。『日本語で笑え』というのがそれだ。(画像参照)前担任のS先生の許可を得て、クラスのスローガンを考え、世話役のA君が書道でしたためたものだ。中華系なら納得の筆遣いだが、A君は意外なことにマレー系である。
「日本語を上達させて、大いに笑えるようになろう。」という意味で、私は非常に気に入っている。私も授業中、様々な歴史のエピソードやギャグを飛ばして笑いをとっている。やっぱり、笑いのある授業がいい。F40Aの学生諸君は真面目だが、大いに反応してくれる。教師からすると、実にやりやすいクラスなのである。この調子で6月、11月のEJUを乗り切りたいと思う。

2018年4月11日水曜日

東京産 レアアースの話

http://www.hasegawa-model.co.jp/hp/catalog/sw_series/sw1/sw1.html
ニュース記事を見て飛び上がった。東京都・南鳥島の排他的経済水域の深度5600mの海底にレアアースが2013年に発見され、今回は極めて有効な採取方法が可能で、その資源量は世界需要の数百年分もあることがわかり、10日付けのイギリスの科学雑誌で発表されたとのこと。
https://ryukyushimpo.jp/mainichi/entry-698377.html

レアアースの種類など細かい話はさておいて、この鉱産資源がほとんどない国・日本の、このようなニュースを聞くとただただ驚くしかない。まさに排他的経済水域様々である。海底5600mで泥をすくい上げるという技術の進歩も凄い。

私が子どもの頃、「しんかい」という潜水艇が造られて、600m潜れるという話に感動したことを覚えている。それが、今はしんかい6500が6527mを記録したそうだ。海洋学の世界はまだまだ未知の世界。もしかしたら、いつか日本が海底資源大国になるのかもしれない。

2018年4月10日火曜日

ガザの悲劇とサウジアラビア

https://news.sky.com/video/snipers-shoot-palestinian-protesters-near-gaza-border-11319849
日本では、あまりガザのニュースが出てこない。「オリーブ山便り」が最もイスラエル関係の情報源として貴重である。シリアの化学兵器も重大なニュースだが、ガザでもデモで多くの死者が出ている。イスラエルは戦争と平和が共存する国だ。ガザで国境警備の軍が狙撃をしているすぐ近くで、万単位の海水浴客が楽しんでいたりする。実際、イスラエルに行ってみて、そういう実感を得たが、何とも複雑な心境である。私は、パレスチナにもアラブにも中立の立場でエントリーするが、やりきれないニュースばかりだ。上の画像は、オリーブ山便りにある狙撃兵を混乱させるためにタイヤを焼いている様子。
http://mtolive.blog.fc2.com/

さて、このガザの問題に関して、アメリカは当然のようにイスラエルよりの立場で、国連安保理でのイスラエル非難決議は拒否権を発動した。さて、今日エントリーした最大の理由は、サウジアラビアのビン・サルマン王子がアメリカ誌へのインタビューで「パレスチナ人が国を持つ権利があると同時に、ユダヤ人は、少なくともその祖先からの土地に国を持つ権利がある。」と発言したらしい。湾岸アラブ諸国がイスラエルの存在を認めるのは初めてのことである。

エジプトが以前、イスラエルの存在を認めたが、湾岸諸国、そしてアラブのの雄・サウジがこのような発言をするとは驚きである。UAEなどの他の湾岸諸国も、サウジには右にならえなので、同調する可能性が高いと思う。サウジは親アメリカであることは間違いないが、アラブの大義の大きな転換であるといってよい。

かなりアメリカのシェールオイル・ガスの攻勢に追い詰められているのだろうか。そういう伺った見方もできる。また、自国ファーストの偏狭なナショナリズムの影響も見逃せない。たしかにイエメンでフーシーと戦うサウジにとって、ハマス政権下のガザは、ある意味同調しがたい、という感情もあるかもしれないが…。

2018年4月9日月曜日

米中貿易戦争は中国絶対有利

http://www.thedailyeconomist.com/
2017/12/yuan-denominated-oil-contract-
finally.html
News Weekの「中国が強気なわけー米中貿易戦」という遠藤氏の論文が面白い。12点男(2月21日付ブログ参照)が次々とチキンゲームのように仕掛ける対中国貿易制裁措置に対して中国は一歩も引くこともなく対応している。この論文で、その対応の違いがあまりに明確で面白い。はっきり言ってアメリカに勝ち目はなさそうだ。

その最大の武器は「大豆」である。現在、中国がアメリカから輸入している大豆は、総輸出量の57%~62%にものぼる。これに25%の関税を中国はかけるというカードを切った。中国にとっても大豆輸入量の85%にあたるわけだが、国内の増産体制を推進すると共に、アメリカの代わりにブラジルやアルゼンチンなどからの輸入を進めるのだろう。これによって、最大の損害を受けるのは、共和党の地盤・ファームベルトである。反トランプに動いたら、中間選挙のための打ち上げ花火が落下して大やけどを負うわけだ。(ただし、もし中国が南米から大豆を大量に輸入した場合、価格が高騰し迷惑するのは日本であると思うが…。12点男はポチである日本にアメリカ大豆を無理矢理、買わせるかもしれない。)

中国は、行政機能不全に陥り、ツイッターでどんどん発信するだけの12点男とは違い、こういう状況を想定して、商務部・外交部・財政部などの行政組織が万全の準備を進めてきたというのがこの論文の主旨だ。しかも習おじさんの母校清華大学経営管理学院に顧問委員会というのがあって、国家副主席でやり手の習おじさんの右腕・王岐山、アメリカのゴールドマンサックス・アップル・マイクロソフト・フェイスブック・モルガンチェースなどのCEOらがこのメンバーであるという。この顧問委員会の人脈を使い、これからの戦略を練ると共に仲介を得て話合いで落ち着くだろうと考えているらしい。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-9912.php

…この米中の貿易戦争、普通に考えれば中国に正義がある。自由貿易を守るために中国は戦うという姿勢は、これから先の世界をリードする姿と重なっていく。このままいくと、世界の覇権を握っていたアメリカの破局点があの12点男によって創られるのかもしれない。

2018年4月8日日曜日

シリア難民認定を退けた日本

https://www.buzzfeed.com/jp/yoshihirokando
/syria-refugee?utm_term=.bjwjJoj9A#.ptlvY7vZL
「裁判所がシリア人の難民認定を退けた。では日本ではだれが難民なのか」という記事を妻が教えてくれた。妻は、シリア難民問題に大きな危惧を抱いている。私も全く同感である。この私の小さなブログでも、1日100人くらいの人が見てくれている。記事の紹介だけでも意味があるのではないかと思う。

この難民申請をした原告の1人は、クルド人。反政府運動に積極的に参加し、治安部隊に睨まれ、危険を感じた彼はブローカーの指示で同じくイギリスに渡った弟(彼は難民認定されている。)を追うことにした。ダマスカスから成田経由でフランスに着いたが、ブローカーはパスポートを持ったまま姿を消し、フランスでの難民申請を希望しなかった故にその前の乗り継ぎ地成田に戻り、日本で難民申請をした。入管は「人道的配慮による特別在住許可」を与えたが、難民とは認めなかった。収容や追放は免れたものの1年ごとに更新が必要である。

裁判長(東京地裁の林俊之という人物らしい。ここは、はっきりさせておくべきだ。)は、彼が影響力のある家柄であることや反政府活動に参加していることは認めたが、逮捕状や判決文などの反政府活動により政府から迫害を受けたという「客観的証拠」がないとして、請求を退けたという。逮捕状や判決文をっだせと言うのは、シリアの現状を知らなさすぎる無知のなせる理不尽だと私も思う。しかも彼には、日本で生まれた9ヶ月になる娘がおり、どこの国にも行けず、国籍も定まらない娘と共に、彼は日本で生きていくしかないのである。
https://www.buzzfeed.com/jp/yoshihirokando/syria-refugee?utm_term=.bjwjJoj9A#.ptlvY7vZL

…彼は控訴したらしい。六法の世界しか知らない狭い度量の法律屋ではなく、国際的な知識をもった日本を代表するにふさわしい裁判官に担当してもらえることを祈るばかりである。

ケニアのインフォーマル工業考

https://thepage.jp/detail/20180403-00000016-wordleaf?pattern=2&utm_expid=90592221-90.LNdTmeJYRGyCrKRhiosRkg.2&page=1&utm_referrer=https%3A%2F%2Fthepage.jp%2Fdetail%2F20180403-00000016-wordleaf%3Fpattern%3D2%26page%3D3
アフリカ開発経済学の高橋基樹先生の「インフォーマル部門はアフリカ工業化の希望となるか?(下)」の記事を読ませてもらった。ケニアにおける裁縫業・道路工事・家具製造という三業種のレポートを通じての考察である。(THE PAGEの記事による。アドレスが上記画像の下にあるように極めて長いので省略させて頂く。)

インフォーマルというのは、非公式なという意味で、政府のGDP統計や税金とは無縁な存在の経済活動を意味する。アフリカ開発経済学において、実に重要な問題なのである。アフリカの庶民のニーズに合わせた安価な商品を製造する現場が多くレポートされていて、実に興味深かった。

2003年にケニアに行った時、AMDAという日本のNGOが、キベラスラムの近くで職業訓練をしていたが、これがまさに裁縫と木工技術であった。この視察をふと思い出した次第。

このレポートで、インフォーマル成功の意外な側面が指摘される。それは、同じエスニックグループで仕事をした場合の方が成功率が高いということである。ケニアには、60ほどのエスニックグループがある。高橋先生は、このグループ間の軋轢に焦点をあてて論じられるらしい。実に楽しみである。

2018年4月7日土曜日

ヨーロッパの新宗教事情

プロテスタントの先駆者・チェコのヤン・フス
https://matome.naver.jp/odai/2142698044305056201/2142699668421258403
妻がまた(私好みの)面白い記事を探し出してくれた。タイトルは、「キリスト教への信仰心が消える欧州 ムスリムも増加 変わる宗教地図」である。http://blogos.com/article/288563/

今後数十年で、劇的にヨーロッパの宗教地図が変わるという予想が、レポートされている。ロンドン・セント・メアリー大学の神学および宗教社会学の16歳~29歳の若者の調査では、最も信仰心の薄いのはチェコで91%が宗教を持たないと回答。エストニア80%、スウェーデンの75%、オランダの72%と続く。その逆は、ポーランドの82%が自らをカトリックだとし、宗教を持たないと答えたのは17%。フランスでは、カトリック23%、64%が宗教を持たないとした。イギリスでは、英国国教会は7%。70%が無宗教だと答えたという。

キリスト教では日曜礼拝が主だが、アイルランドは10%以上が参加、チェコでは70%以上が一度も教会に行っていないし、80%はお祈りをしたことがないと回答。イギリス・フランス・ベルギー・スペインでも56%~60%が教会に行かない、63~66%がお祈りをしないと回答した。

…イギリスがアメリカよりはるかに信仰心が薄いこと、フランスがことさらに政教分離して意識的にカトリックを忌避してきたことなどは、世界史的に明白で驚かないが、チェコはフスの宗教改革など独特の宗教観を持っているはずだが、社会主義時代を経て、最も信仰心を持たない国に変化したのだと思うと感慨深い。反対に社会主義をカトリックの力で覆した歴史をもつポーランドでは、チェコとは反対のベクトルが働いているのかもしれない。宗教社会学としては、極めて面白いレポートだと思う。
…この後は、ムスリム移民の増加、また移民が制限されたとしても、先進国的な産児制限を設けないムスリムは自然増加がキリスト教徒を遙かにしのぐので、パーセンテージが上がるという当然の話になる。で、私のブログでは詳しく紹介する必要がないと判断した次第。

信教の自由は重要な人権の一つである。社会構造の変化の影響を受けて、その信仰心が変化していくのも当然のことだと私は思う。マレーシアにいると、そういう信仰の違いを十分に認識しながら、寛容に共生することが当たり前であると感じる次第。無宗教の若者が増えたとしても、彼らがそういう寛容さを持ち合わせること、そういう教育を施すことのほうが重要な気がする。

2018年4月6日金曜日

PBTの話(28) レクリェーション

日本人会での授業最終日?である。5限目は、レクリエーションの時間にあたっていた。クラスの中心者A君によると、みんな外には出たがらないのだという。F38Aと同じだ。(笑)で、2人で相談して、フルーツバスケットをやることにした。

これが実に盛り上がったのだった。ちょうどその直前に大スコールと雷が来襲していた。当然外ではドッジボールなどのレクリェーションはできなかったと思うが、このフルーツバスケット、意外に運動量が多い。マレーシアで初めて、このフルーツバスケットをしたのだが、様々な条件を提示して、その条件にあてはまる者は移動する。参加者よりイスが1つ少ないので、座れなかった者が新しい条件を出すのがルールだ。眼鏡をかけている人、ジーンズの人などフツーの条件もあったが、面白かったのは、「仏教徒の人!」これは日本ではありえない条件だ。私も慌てて移動した。(笑)特別ルールもある。ムスリムの女学生には男子生徒は触れてはならない。これもマレーシアルール。
みんな汗だくになって頑張っていたのだった。(笑)途中からAクラスに入ったR君もI君も、十分みんなと解け合っていることがよくわかった。普段大人しい女子も大活躍だった。みんなで、笑い、そして動きまわった。これぞレク!という時間だった。

放課後、我がクラスにあった掲示物などをMBMRに運ぶ準備をA君達と進めた。みんな協力的でなかなか嬉しい。MBMR・分校長のT先生が本校に来られたのは6時を過ぎていた。その後、宿題提出用のカゴや出席と授業の状況をつけているノートなどと共にMBMRに搬入、T先生に送って頂き、自宅に帰り着いたのは8時前だった。ちょっと長い1日が終わり、いよいよ来週から新しい日々が始まる。

2018年4月5日木曜日

PBTの話(27) MBMR分校へ引越

MBMRの分校舎職員室からKL中心部を望む
(照明が映るのは、妻のカメラ故、仕方がない。)
来週から、F40A・B両クラスは、PBTのある日本人会から、近くのMBMRビル16Fにある分校舎に移ることになった。私はだいぶ前にこの話を聞いていたのだが、学生諸君には今週の火曜日に伝えた。新しい校舎だし、綺麗なのだが、学生の評判はあまりよくない。最大の問題は、日本人会のように、気軽に利用できる売店やレストラン・カフェがないことのようである。

私も2年間過ごした日本人会には愛着があるし、進路指導上の問題を含めデメリットの方が多そうだ。とはいえ、PBTの方針なので、腹を決めて行くしかないのである。

そう、良き処、良き処と心を定めることが大事である。不満ばかり言っていても前に進まない。F女子大に進んだI君から、何回かLINEのメールが来た。毎回、大学の良さを私に伝えてくれる。「近くの桜」「寮の食堂で出た卵かけご飯」「大学の食堂ではクラシック音楽が流れていること」「綺麗で大きな図書館」…。きっと彼女は、この大学で幸せを摑むに違いない。小さな事のようで、実は極めて大事な事だと私は思う。

2018年4月4日水曜日

PBTの話(26) パリの廃兵院 

https://www.hotelarcadie.com/247-visite-de-paris/264-l-hotel-des-invalides.html
4月に入って、一気に授業が増えた。F40のA・B両クラスの総合科目は全て私が教えることになる。授業が少ない間、ため込んできた歴史分野のパワーポイントは10編。政治分野が2編。これを一気にやろうとしている。授業の進度を見ながら学習用のプリントと宿題を編ごとに作成するので、意外と大変である。

今のところ市民革命編でフランス革命をやっている。フランス革命を簡単に説明するのは反対に難しい。画像を観ながらの授業は有効だ。ところで、バスチーユ監獄襲撃は、超有名な事件だが、パリの市民は、その前に廃兵院に銃を入手しに向かっている。このことはあまり知られていない。

その廃兵院、私にはちょっとした思い出がある。ブルキナに向かう途中、パリで一泊したのだが、凱旋門からホテルに向かうタクシーの運転手は貴重な英語を話すフランス人だった。(結局、空港とこのタクシーとホテルの従業員しか英語を話すフランス人と出会わなかったのだ。)で、この廃兵院の外観が車窓から見えたので、「あれは何?」と聞いたのだ。彼は一言、「ナポレオン・スリーピング。」と答えたのだった。なかなかエスプリの効いた回答である。そうか、ナポレオンの墓なのかと私は納得したのだった。もちろん、ナポレオンの墓がつくられたのはフランス革命後のことだが、実はここがフランス革命の発祥の地のひとつであることは間違いがない。

そんな話をして、ちょっと盛り上がったのだった。やはり、社会科の教師にとって、こういう海外経験は貴重だと思う。貧乏教師だった私が海外に足を踏み出したのは35歳。決して早くはない。今の学生諸君がうらやましい限りだ。

2018年4月3日火曜日

13歳からの法学部入門を読む。

これも、日本人会の無人古本コーナーでふと手にとって買った本である。「13歳からの法学部入門」(荘司雅彦著/幻冬舎新書2010年5月発行)。F40Aの学生で、法学部(といっっても政治学だが…)に進みたいと考えている学生がいるので、ちょっと読んでみようかなと思ったのだが、この本、私自身にとっても実に面白い。文章や例が平易だし、意外に刺激的でもある。表題の13歳・中学生にはおそらく無理だと思うが、政経を学んだ高校生くらいなら、十分理解できると思う。すなわち、私のIBT(現PBT)の教え子諸君にもわかるはずだ。特に社会科学系に進んだF36・F38の学生諸君にも是非とも一読を勧めたい。

私がバス車中で読んだのは、まだ半分なのだが、社会契約説で、ホッブズを狼説、ロックとルソーを羊説と、自然状態のとらえ方で区分するのは分かりやすい。狼説は経済学で言う財は希少であるという原則から見ると、狼説は奪い合いを始めるが、羊説は法律や国家が無くとも、平和的に交換すると考える。ロックは私有財産を自然権の一つとした。経済学的に見ても、ロックは重要人物であると言えるわけだ。社会契約説全般として、この思想は税金を納める代わりに、自分たちの生命や財産を国家に守ってもらうことと同義であり、これはアダム=スミスの夜警国家と結びつく。

我々社会の教師は、政治分野で社会契約説を、経済分野でアダムスミスを教えることが多い。これらを結びつけている説明を文学部出身の私は、恥ずかしながら初めて聞いた。なるほどなあ、と引き込まれていったのだった。そもそも、この頃から政治学や法学、経済学、社会学などといったカテゴリーはなかったのである。当然の話なのだが、少し目から鱗が落ちた次第。還暦を過ぎて、新たな発見をしているようでは、今までの授業は何だったんだ?と思ってしまうが、後悔するより精進し、前進するのが私の美学である、とちょっと反省を込めてごまかしておく。(笑)

2018年4月2日月曜日

過酷な過去の歌人と夜間中学

教師として、様々な現場を経験してきた。商業高校・工業高校・進学校・体育系の普通科高校…。そしては今はマレーシアの地で、日々新たな挑戦をしている。とはいえ、私は夜間中学は知らない。本来は、様々な理由で教育を受けれなかった人々が通う学校なのだが、最近は日本語学校化しているらしい。もちろん、様々な人々のニーズがあるからだろうが、理由はともあれ形式的に義務教育は卒業させてしまう制度がある故に、学びたくても中学卒業の資格を得ているために、本当に学びたくても入学できないこともあるそうだ。本末転倒な法的根拠なのだが、それがやっと議員立法で是正されたという。
https://toyokeizai.net/articles/-/214218

この記事に登場する鳥居さんという歌人の過去はあまりに過酷である。
https://toyokeizai.net/articles/-/189328

前文部事務次官との対話など、教育に携わる者、社会福祉に携わる者、そして全ての人々が読んでおくべき記事であると思う。この前文部事務次官、毀誉褒貶の多い人物らしいが、少なくとも財務省の某よりは人間として信用できそうである。なぜなら国家権力から睨まれた人間に対する仕打ちは、佐藤優の著作でいやというほど読んできたからだ。退職後に特別講師として講演した内容まで元事務次官は古巣に調査されている。国民に奉仕する官僚という存在を久しぶりに想起させてもらった。

そういう権力から最も遠い周縁部に属する夜間中学の人々に目を向ける議員も官僚もいるわけで、そういう事実こそが嬉しいではないか。同時に鳥居さんの過酷な過去を知れば、これが福祉国家日本の現実かと嘆かざるを得ないのである。WEBの東洋経済の記事を是非呼んで頂きたいと思う次第。

2018年4月1日日曜日

マレーシア現地法人起業本

4月1日。新年度である。(PBTは、1月入学・4月入学があり、日本ほどはっきりとしていないのだけれど…。)F38文系の学生達の多くは、日本へ旅立っていった。多くの学生から、その連絡・報告をLINEで受けた。とはいえ、様々な理由でマレーシアに残っている卒業生もいる。L君もその一人である。現在ある日系企業で契約社員として働いている。先日、文集を取りに来てくれて、その際2冊の本をプレゼントしてくれた。彼女の勤める日系企業で蔵書を従業員にフリーで持っていっていいよ、と言う話になったそうだ。で、L君が私が喜びそうな本を選んでくれたというわけだ。その1冊が、「ドリアン国で大奮闘」(長谷川正博著/文芸社・2006年発行)である。

この本は、H社(おそらく日立だと想像できる)の電器部門のブラウン管の工場ならびに物流関係企業のマレーシア現地法人立ち上げにまつわる体験記である。2006年の発行なので、ほぼ20年前の話である。現在とは、事情や法的な規制も変化していると思われるが、なかなか面白かった。ほぼ1日で読み切れる本である。

ブミプトラ政策が、外資企業に落とす様々な規制は、ある程度知っていた。PBTにも、ダトゥー(称号)を持つブミ・パートナーがおられるからだ。新会社設立にあたって、このブミ・パートナーに、日本から長期貸し付けというカタチで口座に入金する。その口座からすぐ新会社の出資金のカタチで会社の口座に移すらしい。これを「アリ・ババ商法」という。「アリ・ババ」のアリは、マレー人によくある名前で政府から優遇されているマレー系を意味する。ババは、明王朝時代にマラッカに移った中華系の男性の意味(女性のニョニャの方が料理で有名だけれど…。)で、アリが名目上のトップだが、中華系が実質カネを出しているということである。うーん、マハティール前首相が、「マレージレンマ」の中で嘆いていたこのアリババ商法、2年もマレーシアにいればよくわかってきた。

その他にも、現地法人立ち上げで、様々な艱難辛苦が書かれている。様々な申請で苦労するわけだ。経営学部に学び、起業するとなれば、こういう事を1つ1つクリアしなくてはならないわけで、実に大変であるというのが正直な感想。ガンバレ、経営学部生。

また、ローカルの人々の社員教育の話が出てくる。日本とは異なる宗教・習慣・文化に配慮しつつ、いかに日本式の企業人を育てるか?これも実感を伴って納得するところである。マレーシアの人々にも日本人同様、良い面も多いし、悪い面も当然ある。まだまだわからないことも多いし、それが面白い。

…そう、今日でマレーシア3年目に突入である。