2016年1月31日日曜日

今年も関テレでワンフェス

先日、奈良教育大学のG君よりメールがあった。「今年のワンフェスはいつ行きはりますか?会えたらいいなと思ってます。」そう、私も予定が立たなくて困っているのだった。ワンフェスのWEBページを度々覗いているのだが、詳しいプログラムがわからない。今朝見たら、ようやく参加団体の一覧がわかったくらいである。

こうして見ると長いことワンフェスに参加している。昔は、学校(前任校)に数はそんなに多くはないがチラシが送られてきた。プログラムの時間帯もかなり早くに決まっていたと思う。参加している側が、運営側を軽々と批判すべきではないとイベント屋の私は思うのだが、上六から関テレに場所を移してからどうも様々な問題が起こっているように思う。

ところで、今回はちょっと本気で、NGOのブースを覗こうかなと思っている。あと2年でいよいよリタイアである。まだその先は未定だが、教師を続けないのなら、”ナンラカノカタチ”でアフリカや持続可能な開発に関わっていきたいと思うからだ。G君、もう少し返信を待ってほしい。

追記:ようやく土日のプログラムがはっきりしたようです。(2月1日)
追記2:教え子各位。私は、日曜日の午後に行くことにしました。(2月2日)

2016年1月30日土曜日

世界史Bと仮想貿易ゲーム

昨日の1限目、5組で仮想貿易ゲームの第2回目を行った。以前日本史演習で行ったのだが、体育科では盛り上がったわりに、何かを学ぶという感じがなかった。(昨年11月12日付「新オリジナルゲームの実践(1)~(4)」のブログ参照)したがって私としては、オリジナルゲームの中でも何回目かの失敗作かもしれないと判断していた。

ところが、中世から現代まで世界史Bを学び終えた5組でやってみると、生徒が多くの発見をしてくれた。これは、世界史の追体験である、と。

このゲーム、今回は6カ国を設定した。各国はそれぞれ、小麦120とか小麦40+乳製品30とか、ワイン、野菜なども含め計4種類のモノを作れるが、生産力に差異がある。ゲームⅠでは、小麦50+野菜・乳製品。ワインを2種類10ずつ、貿易によってGETできればクリア。現金の残高が多いほど、新しい生産物をチョイスできる仕組みだ。私の意図としては、自由貿易による比較優位をイメージしている。ゲームが進むと、比較優位が明確になってくる。そのため、格差が生まれる。2回クリアできない国が出た場合、国際会議を行うことにしてある。本校の普通科は、運動部系男子も多いので、格差に悩む国は、紛争になることを恐れない。体育科ではもちろんだったが、普通科でも同様になった。

だが、面白かったのは、この国際会議で紛争時のルールがわかった昨日だった。「うーん、紛争のに参加するメリットがあまりありませんねえ。」と、二カ国が紛争に参加しないと表明した。そうなのだ。紛争はあまりメリットがない。しかも、ファシリテーターの私にいかに現金を支払うかで戦力が決定する。「中世の傭兵ですね。」という指摘あり。…そのとうり。結局紛争に破れた国は資金も生産力も失った。また国際会議。「どこか助けてやってくれるかあ。」と聞くと、「次のクリア条件は2倍(=2カ国分)にないりますよね。」「そうやな。」「うーん、そんなに生産力はないです。」「と、いうことはC国(紛争に破れた国)には小麦が…」「いきわたりませんね。」「と、いうことは…。」

C国  「我々は、自由な個人ではなくなるわけですか。」
私   「イエス。」
他の国「C国は不自由な共同体になってもたんや。」

と、ヨーロッパを中心とした世界史の基軸となった欧米の社会類型の成り立ちを再確認したのだった。案外、この仮想貿易ゲームというアクティビティ、使えることを再発見したのだった。

2016年1月29日金曜日

3年生の授業、最後の日に

1組最後の授業ウーリーシンキング
 3年生の授業が終了した。今年の3年生は、文Ⅰクラスの1組をはじめ、授業態度がなかなかよかったので、ついつい世界史Bに力が入ってしまった。結局中世から現代までガンガンに教えてきた1年だった。

昨年、自分の学年を卒業させて、クラス作りについては「理想」を実現できたと思っている。これまで、卒業生への最後の授業には座右の銘「理想に生きることをやめた時青春は終わる。」を贈るのだが、今年はどうしようかと思っていた。私の青春は終わったように思っていたのだ。だが、結局彼らのおかげで、私自身世界史Bの理想を追い求めるような授業ができた。今年の3年生には本当に感謝している。と、いうわけで、今年も各クラスで座右の銘を贈らせてもらい、「ありがとう」と礼を述べた次第。

ところで、以前私のクラスの副担任をしてもらった若手の常勤講師・N先生が、府立高校の採用試験に合格している。彼も3年生の授業が全てなので、今日が本校で最後の授業となったわけだ。3年担任のT先生の計いで、6時間目の最後の授業で、生徒にサプライズされ、目頭を熱くしたそうだ。私は、いつも思うのだが若い先生はこういう経験を積んで成長していくのだ、と思う。

教師は生徒を育てる存在であるが、同時に生徒に育ててもらう存在でもある。それは若いN先生もベテランの私も同じだ。

2016年1月28日木曜日

生徒とディベート3連戦

http://kokucheese.com/event/index/228006/
ディベートの3連戦をやってみて、大いに疲れた。私の立論をオープン・リーチしたことで、奮い立ってくれた生徒もいたことは嬉しい。担任の先生によると、夜の3時まで準備したのだという。うむ。ディベートというのはそういうものだ。準備しても準備しても満足できない。久しぶりにそういう話を聞いてなつかしく思った。

と、いうわけで、こっちも全力で生徒の論理をつぶしにいった。(笑)かなりの洗礼だったと思う。3つの論題を1人で立論し、質問し、反駁し、まとめていく。いやあ、3時間分ぐらいの精力を一気に使ったのだった。大人げないと言うなかれ。でもまあ、こっちの本気さは十分伝わったと思う。思考することの大切さという楔を打ち込んだというまでいかなかったかもしれないが…。

明日は、いよいよ3年生最後の授業である。5組で仮想貿易ゲームの第二回目、2組で最後の講義、1組で、2時間アクティビティ(南北貿易ゲームとウーリー・シンクング)の予定である。学年末考査も印刷し終わったし、悔いのないよう精一杯やっていこうと思う。

2016年1月27日水曜日

デンマークをちょっと擁護。

http://dontena.doorblog.jp/archives/45352726.html
世界史Bの最後に、ポスト=モダンのEUが、モダン=領域国民国家に回帰している話をしている。今日の日経などに、デンマークが難民申請をした人の所持金や所持品(腕時計や携帯電話など)が1万デンマーク・クローネ(日本円で17万円ほど)を超える場合、それを没収するという法案を賛成多数で可決したというニュースが流れた。これは、デンマークが、「魅力のない国」と思わせ、流入を抑えようとしているらしい。もちろん没収したものは、難民らの一時滞在期間に利用するという。

これに対し、「WWⅡ中のナチスドイツによるユダヤ人の財産没収を思い出させる。」という批判が起こっている。

うーん、それではちょっとデンマークが可愛そうだ、と私は思う。デンマークは、他の国がかなりえげつなくユダヤ難民受け入れを拒否したのに対し、最も多くのユダヤ人を国単位で匿ったほぼ唯一の国である。また、ナチのユダヤ人の財産没収はもっともっとおぞましい。悪意に満ちている。今回のデンマークの法案どころではない。

まあ、どっちかというとデンマークはイスラム教徒にはあまり優しくないかもしれないが…。(2005年にムハンマド風刺漫画掲載で大騒ぎになった歴史をもっている。)ともかくも、私は上記の批判は、あまりあたっているようには思わないのだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM26H8A_W6A120C1FF1000/

2016年1月26日火曜日

ディベートの立論を3本書く。

https://twitter.com/dkoshien
異なったアクティビティを3種類も昨日はすることになってしまった。それは同時に、準備に時間と手間がかかるということである。今日は講義1時間、ウーリーシンキング1時間と余裕のある時間割だったのだが、空き時間は木曜日のディベートのために立論を3論題書き上げることになった。
フツーにディベートで対決したら、生徒をコテンパンにして終わりになりそうだ。ならば、私の立論を生徒にオープンリーチしてみようと思い立ったのだ。昼休みも放課後も受験の個人的補習があったりしたのだが、なんとか3論題の立論を仕上げた。昨日のエントリーで少しふれたが、刑事事件の実名報道の実施・肯定派立論に続いて、救急車の有料化・否定派立論、さらに死刑制度廃止の否定派立論。わりと本気で書いたので、資料集めも含めて、そこそこ時間がかかった次第。

これで、私の立論をバラしたので、本当なら生徒は一気に有利になるはずだ。質問も反駁も明日の朝渡せば、まだ1日あるので、じっくり用意することも可能だ。…が、さてさてどうなるか。体育科や武道科は自分の頭で考えることが苦手だ。ノリで突っ込んでくる。私としては、最後の授業で、それに楔を打ちたいのだが…。

2016年1月25日月曜日

3つのアクティビティをした日

いよいよ3年生の授業も最後の週となった。1限目の2組の世界史Bは講義。中東の現代史の流れ(イラン革命からイイ戦争・湾岸戦争・イラク戦争・アラブの春の流れとイラク・シリアの多数派・少数派の対比など)を講じた。2限目は、日本史演習だが、最後の時間(木曜日)にディベートをしようと思う。生徒同士だと上手く噛み合うことは難しい。そこで各クラス(6・7・8組)に、ディベート甲子園のこれまでの論題から1つずつ選ばせ、肯定側か否定側かも生徒が選び、これに私が対戦するということにした。一応、立論、質問・反駁、まとめというタイムスケジュールを組んだ。4限目は、5組である。世界史の講義が終了しているので、仮想貿易ゲーム(昨年11月12日付ブログ参照)のアクティビティを行った。なかなか盛り上がった。金曜日に最終授業だが、みんな楽しみにしている。5限目は、4組。こっちは南北貿易ゲームである。(5組は理系がいなので生徒が26名と少ないので、南北貿易ゲームをするには少なすぎるのだ。)これまた、大いに盛り上がったのだった。ふう。クタクタである。その後、ディベートの立論を書き始めている。久しぶりやなあ。まずは、刑事事件の実名報道実施について否定派の「立論」である。(笑)

ところで、帰宅後、パナソニックのLet's noteという1.1kgの軽いノートパソコンを購入することにした。(正確に言うとヤフオクで落札したと言ったほうがいい。)このパソコンは、ウルトラブックみたいに薄くないのだが、アルミ製で軽いので持ち運びに極めて便利だ。新品はすごく高い。(発売当時220000円:26日記す。)それをWin10&Office2013が入って、しかもまあまあのスペックで15800円で手に入れたというわけだ。私としては、発表の時、パワーポイントが使えたらそれでいいのだ。

先日のボーナス闘争の時も、別にこれといった物欲はなかったのだが、ウルトラブックはできれば欲しかった。とにかく学会に行く時パソコンが重いのだ。おそらく、ここぞという時にしか使わないと思う。それにしては手頃な価格だと思うのだ。

ちょうど、禁煙した関係で、タバコ代がPCに変わったという感じ。(笑)ますます復煙できなくなった。

2016年1月24日日曜日

「アメリカの鏡・日本(完全版)」

「占領が終わらなければ、日本人はこの本を日本語で読むことはできない。」(ダグラス・マッカーサー1949.8.6)

だいぶ前に、京橋のK屋書店で、「アメリカの鏡・日本(完全版)」(ヘミン・ミアーズ著/角川ソフィア文庫、27年12月25日初版発行)を手に入れた。この本は、WWⅡ以前は東洋学の研究者として日本と中国を訪れていた著者が、46年にGHQの「11人委員会」のメンバーとして来日、労働基本法の策定に携わった後48年に本書を著したが、日本での出版は許可されなかったという本だ。

国会で「改憲」が語られはじめている時期に、この本が出版されたことは偶然ではないのかもしれない。アメリカの占領政策の是非が同国人の東洋学専門家である著者に鋭く問われている本なのである。改憲派には絶好の座右の書となりえる。(私は中間派なので、あくまで歴史の実相の1ページとして読ませてもらった。)

すでに、GHQの占領政策(戦略的に、この戦争の本質を陸軍=悪=東条親玉としてしまうこと)の傲慢さも、オレンジ作戦などアメリカの対日戦略の狡猾さも、様々な(日本語で書かれた)本で描かれている。私としては、佐藤優が大川周明について書いた「日米開戦の真実」(2011年3月10日付ブログ参照)をイチオシしたいが、この本は、大川周明のちょうど対蹠点にある人物から見たものだ。いかに米軍・米政府・米メディアのプロパガンダが歪曲されたものであるかが、これでもかこれでもかと描かれる。うーん、たしかにマッカーサーは日本語の出版を許可することはできなかっただろうと思う。

2016年1月23日土曜日

毎日 アフリカの過激派分類

http://www.123rf.com/photo_
31639902_isis-and-al-qaeda
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ブルキナの事件から1週間を経て、今日の毎日新聞の朝刊に、IS系とアルカイダ系のイスラム復古主義の過激派を分類する記事が出ていた。ブルキナの事件は、アルカイダ系のイスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)が起こしたとされる。世界史Bの授業でも、最後の着地点となっている話であるので、エントリーしておこうと思う。

アルカイダとISは、スンニー派・イスラム復古主義の過激派であるという共通点があるものの、攻撃対象や戦略を異にする。ISは、カリフ制のもとイスラムの共同体復活を目指している。主な攻撃対象は、イスラム国家なのに領域国民国家となっている国々の指導層とシーア派である。アルカイダは、アフガンで訓練を受けた伝統を持っているので、反欧米というスタンスが強い。主な攻撃対象は欧米・異教徒である。

アルカイダ系は、先のAQIM、ソマリアのアルシャバブ、イエメンのAQAP(アラビア半島のアルカイダ)、シリアのヌスラ戦線(ちなみにヌスラ戦線の一部とバース党が合流したのがISの源である。)
IS系は、いわゆるIS、リビアにもIS、ナイジェリアのボコハラムという感じである。ISの場合、特にカリフに忠誠を誓えばISなのだ。アルカイダは、特定の地域をもつというよりは、ネットワークと見たほうがわかりやすい。

この記事と同じ国際面には、ソマリアでの(アルシャバブによる)レストラン襲撃の報道、イラクでクルド部隊がアラブ人の集落をISに協力したとして襲撃しているという報道、アラブの春の震源地・チュニジアで夜間外出禁止令が出た記事、アメリカの入国審査が厳しくなる記事、そしてイスラエルがヨルダン川西岸のエリコ近郊の土地を摂取するとの記事など、きな臭いものばかりだ。

今や、イスラムを正しく理解しないと国際情勢がわからない。35年間授業で教えてきたが、これほど重要になるとは思ってもみなかった。感無量である。

モザンビークの寺子屋

http://asahi.co.jp/konnatokoroni/
afrika/index.html
昨夜、疲れきっていたのでエントリーしなかったが、”千原せいじ”が”ジミー大西”とともにモザンビークの北部ペンバのスラム街を訪れる番組はなかなか興味深かった。

マプト(首都)からの飛行機がその日なかったので、市場をひやかしにいく。わかるわかる。市場は楽しい。市場にはアフリカの生活がある。面白かったのは、呪術の材料の店があったことだ。私は一目でわかってしまった。南アのヨハネスブルグでそういう店に入ったことがある。私はもちろん買わなかったが、この二人はTVロケということもあって、精力剤を求めようとする。面白かったのは、店員が最初に出した木である。「これ何?」と聞いたら、「知らん。」(笑)次に出された粉末をジミーが買うと言い出した。日本円で1000円強。モザンビークだと、おそらくかなりの高額である。煎じて飲めば4分できくという。まさに眉唾。(笑)地元の呪術師が、地の霊とかを呼び出して、それなりの祈りを添えるときくのかもしれない。漢方薬のようにフツーにホテルで湯で煎じて飲んでも効果なしはあたりまえかなと思う。(私はアフリカの呪術の威力を否定しない。)

さて、ペンパのスラム街。ここで子供の教育に携わっている女性を見つけ出す。ケニアのキベラスラムと比べると、ずいぶん静かだ。(キベラでは、レゲェなどがガンガン流れている。)せいじのスーツケースは、知らぬうちに地元の子どもが運んでいた。日本人女性をよく知っているこどものようで安心だが…。とはいえ、夜は極めて危険だという。

スラムに住む日本人女性はたいした人物だった。こういう人がいること自体が嬉しい。失礼ながら見た目のイメージは、トミーズの健ちゃんなのだが…。普段は何でもボロクソなせいじが、意外にその話に聞き入ったり、ジミーが寺子屋の看板を描いたのは、彼女の人間力だと思う。いい番組だった。相変わらず、アフリカにスーツケースで行くのは無粋だと思うけど…。

2016年1月21日木曜日

F22が横田基地に来た意味。

NHKのニュースで、東京の横田基地にF22が派遣されてきたことを知った。横田基地には、朝鮮戦争の国連軍後方司令部が置かれている。意外なハナシだが、朝鮮戦争はまだ終わっていない。停戦中で、たった4人の司令部が今なお置かれているのである。こんなことを先日世界史の授業で話したばかりだ。その横田基地に、米軍の虎の子のステルス戦闘機(もちろん空爆も可能な攻撃機でもある。)F22がやってきたわけだ。

これは、北朝鮮への明確な米軍のメッセージである。沖縄ではなく、横田に来たことが大きい。一応沖縄方面で訓練するとか広報は言っているらしいが、それだけが目的なら直接沖縄に行っていたはずだ。

オバマ大統領が「世界の警察」をやめたと発言し、バクス・アメリカーナの時代は終わったと言われる。それがまた世界を大いに不安定にしている。これも世界史の授業で話したばかり。
しかし、こういうわかりやすい抑止的行動は、どうしても必要な気がする。F22の編隊が北朝鮮の核関連施設を爆撃したとしても、北朝鮮軍はおそらく何もできないまま、何もわからないまま終わってしまうだろう。北朝鮮が冷静に考えれば、それはわかるはずだ。F22の性能は、それくらいすごいのだが、同時に莫大な維持費がかかるのである。(出撃ごとにステルス用の塗装を塗り替えねばならない。)現在のところ、究極の抑止力だと私は思う。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160121/k10010380431000.html

2016年1月20日水曜日

日経 私の履歴書 小椋佳

今月の日経の「私の履歴書」は、小椋佳氏である。
私は、完全なる「拓郎・陽水・かぐや姫」世代であるのだが、小椋佳氏の曲は、そんな私でもなぜか大好きである。いつだったか忘れたが、その小椋佳氏は東大出の銀行マンで、見た目はただのオッサンであることを知った。曲の素晴らしさや声の良さとかけ離れたハナシに驚いたのを覚えている。極めて希な人生を送った人であることは間違いない。

これまで、小椋佳氏の幼少期から青年期、そして銀行に入り米国留学中に初アルバムが出るところまで進んだ。
印象に残っているのは、野球少年からバスケットボール、そしてボートと、わりと熱心にスポーツをするわりに途中でコロコロとやめているという意外性と、小学校時代はそんなにできるほうではなかったのに、家庭教師に中学で習う数学と英語を事前に教えてもらってからというもの、抜群の成績になったハナシ、大学2回生の時に海外旅行の会社を起こし、まさにいい加減な添乗を行ったハナシなど、なかなか波乱万丈。いつもなら、箴言満載の「私の履歴書」がニトリの社長以来の面白い読み物になっているのだった。

2016年1月19日火曜日

社会主義者・サンダースの挑戦

https://www.reddit.com/
r/SandersForPresident/
comments/3laik5/bernie_
sanders_on_the_cover_
of_time_magazine/
今回のアメリカ大統領選挙は、民主党のクリントン候補が初の女性大統領となるという物語だったはずだ。

ところが、共和党では、アメリカの反知性を代表している泡沫候補・トランプ氏がえらい人気を維持している。共和党の代表になるかもしれない。一方、民主党の方も、大本命・クリントン氏にここにきて、サンダース氏が追いついてきたのだと報道されている。

サンダース氏はヴァーモント州の無所属(民主党の応援を受けている。)上院議員。(それ以前に下院議院を16年勤めている。)ユダヤ系ポーランド移民の息子で、シカゴ大学卒業後イスラエルのキブツで過ごしたという。自ら、民主社会主義者だと称している。ここにきて、格差是正を前面に出して戦ってきた彼が、青年層に支持されているようだ。

アイオワ州ではほぼ互角、ニューハンプシャー州では(ヴァーモント州に近いので)サンダース有利なのだ、という。前回、クリントン氏はアイオワで3位と出遅れて結局敗北した。実は、かなり追い詰められているのである。

もし、サンダースVSトランプなどという大統領選挙になったら、まさに漫画である。私としては、”持続可能な世界”を考えるので、サンダース氏に期待することになるのだが、ただ、そんな”サンダースのアメリカ”をイメージすることは難しい。

2016年1月18日月曜日

日経 空洞化する米欧同盟

日経のグローバル・オピニオン、今日は米ユーラシアグループ(調査会社)社長のイアン・ブレマー氏であった。なかなか面白い視点だったので、昨日の体調不良で抜けた分を取り戻してエントリーしておきたい。以下私なりの要約。

2016年最大のリスクは、弱まる米欧同盟である。新興国の影響力が拡大していること、米国民がイラク・アフガンなどの長期の戦争によって海外での新たなコストやリスクを引き受ける意思をなくしていること、こうした変化が米欧同盟に楔を打ち込んでいる。欧州は深刻な宿題を数多く抱え注意がそれてしまっている。(…実に面白いレトリックだ。)欧州は分裂し、脆弱で臆病になっている。その結果、各国は、米国ではなく、他の政府に頼ることで問題に対処しようとしている。

英国は、21世紀も経済大国に留まる方法を模索する中でEUにおける同国の将来が不確かなこともあって、中国のご機嫌取りをする経済的動機をもつ。(…これも面白いレトリックだ。)米国の反対を押し切ってAIBBに参加し、中国の人権問題や安全保障、香港の民主主義さえもさほど気にかけない。

フランスは、ロシアに目を向ける安全保障上の動機がある。ロシアはシリアのアサド大統領を支援している。これによって、ISが壊滅し、欧州への難民流入に歯止めがかかることを期待している。パリ同時テロの後、フランスはNATOではなく、EUに集団的自衛権の行使を求めた。(フランスは、ドゴール時代にNATOを脱退したが、サルコジ時代に復帰している。)NATOに頼れば、ロシアとの積極的な協力はできなかっただろう。

ドイツにはトルコと協力する政治的動機がある。メルケル首相は難民の波が洪水にならない限り、難民への門戸開放政策は機能することを理解している。だから、欧州に押し寄せる難民の門番としてのトルコの役割を重視している。だからこそ、トルコのEU加盟交渉再開、トルコ人のビザなし渡航を検討すると提案した。

米国と欧州の分裂が明確に露呈するのはウクライナとシリアである。米国は高みの見物よろしく原則に固執するだろう、しかしまともに影響を受ける欧州は現実路線をとることになる。この米欧同名の空洞化は、さらに進み経済的現実が政治的現実を踏みにじるだろう。様々な欠陥や限界があっても、民主主義、表現の自由、法の支配の推進に寄与してきた米欧同盟にとっては損失である。

…英中・仏露・独土。なかなか面白い視点であった。さすが、「Gゼロ後の世界」の著者である。ところで、ブルキナのテロについて、専門家の荒熊さんがブログで詳しく論じておられるので紹介したい。http://cacaochemise.blogspot.jp/2016/01/1.html

センター試験 倫理 について

1 東進のいう難問
朝から、本校でも3年生のセンター試験の解答、バンザイシステムへの資料申請などが行われていたようだ。私が夏から倫理を補習したA君の顔色が冴えない。全体的に思ったより出来なかったようだ。クヨクヨしていても仕方がない。冷静に結果を見つめ、立て直すために小論文試験の過去問をWEBから一気に引っ張り出して、「補習したるから。」と激励した。そう、「諦めの悪い奴が勝つ。」それが前任校で学んだ受験の鉄則である。入試の仕事合間に、過去問を基にアホほど予想問題をつくってやろうと思う。(笑)前任校で、よく作ったもんだ。

ところで、今年の倫理の問題、私の感覚では、更に習ったことのない思想家等が出てくるようになったように思う。最前線にいないからなのか、そんな感覚である。東進の解説では、上記の問題1は難問扱いだった。要するに、ユダヤ教の律法(ここでは十戒)が、エジプト以前か以後かという知識を問うことが難しいらしい。うーん、笑止。旧約聖書の基礎ではないか。なんだか、何が難問で、何が秒殺問題かわかならくなってくる。
2 私が考える秒殺問題
ちなみに画像の2は、私にとっては秒殺問題(すぐ回答がわかる超カンタンな問題)なのだが、みなさんいかがでしょうか?

2016年1月16日土曜日

センター試験の日にワガでテロ

http://jp.sputniknews.com/incidents/20160116/1443055.html
センター試験当日である。今年は本校に転勤して初めてセンター対策で倫理を補習し、教え子を送り出した。予備校の速報を見たが、詳細はまだわかならい。明日以降に、例年同様感想を述べたい。ところで台湾では、独立志向の強い民進党が大統領選を制したようだ。さて、どうなることか。日本ではSMAPが解散するかもしれないというニュースに、自民党の石破氏が「キャンディーズ解散に匹敵」と述べたらしい。(毎日新聞朝刊)うーん、石破氏と同世代のキャンディーズファンであった私は大いに納得した。(笑)

しかしTVでは、笑い事ではないニュースが流れた。(毎日の夕刊にも出ていた。)ブルキナの首都ワガのホテルでテロがあったらしい。アルカイダ系の組織が犯行声明を出したとか。詳細はまだよくわからないが、どんでもない話である。ブルキナファソの大ファンであり、同時にイスラム復古主義の理念をも若干理解している私としては、大いに理解に苦しむ。

まず、ブルキナは観光地ではない。外国人は多くは国際支援関係の人が多い。かくいう私もNPOのスタディツアーの徒として入国した。ワガで外国人相手のテロを起こしても、観光業自体が発展していないブルキナに打撃を与えることにはならない。なぜだ?なぜワガを狙う必要がある?

2016年1月14日木曜日

「グローバル教育の実践」を注文。

先にエントリーしたJICAのmundi今月号に、イチオシのBOOK情報として、「生徒の生き方が変わるグローバル教育の実践」という本が載っていた。以下、原文のママ。

生徒や子どもと一緒に世界について学びたい。でもどうすればいいのか-。授業実践や研究で多くの賞を受けた著者が、その経験を基に、生徒に生きる喜びを与えるアクティブ・ラーニングを提案するのがこの本だ。実際の生徒たちの声や実例を数多く織り込み、生徒の人生を豊かにする授業を作るヒントが満載。この本を片手に、教育への新たなアプローチを見つけて欲しい。

おお、なかなか面白そうだ。購入しようかなと思ったのだが、思い直した。買わねばならない。(笑)それは、著者が、石森広美先生だったからだ。仙台の高校の先生である。前任校の時、石森先生から前任校の国際教育の取組について質問の手紙を受け取りアンケートに答えたことがある。国際理解教育学会の研究発表大会でも、直接発表を聞いたこともある。私のような市井の高校教諭の研究発表ではない。かなり専門的な研究発表であった。

と、いうわけで、アマゾンでさっそく注文した次第。到着までにはすこし時間がかかるようだ。

2016年1月13日水曜日

毎日 マラウイのエコサントイレ

http://prtimes.jp/main/
html/rd/p/000000033
.000006317.html
食料・水・環境の分野で問題解決に取り組む個人や団体を検証する第5回毎日地球未来賞に、NICCOのエコロジカル・サニテーション・トイレ(エコサントイレ)が選ばれたという記事が今日の毎日の朝刊に載っていた。二日続けてマラウイの話題になるが、なかなか嬉しい記事だ。

このエコサントイレは、高床式で、大便は木炭を混ぜて乾燥させ堆肥にし、小便は希釈して液肥に活用する。このトイレは、現地の資材で建設でき修繕も自分たちで行える。懐疑的だった村人もできた肥料でトウモロコシの収穫量が増え、意識が変わったという。2007年以降、14年までに、マラウイ各地で1000基を超え、マラウイでトイレ建設の技術を習得した村人がケニアでも建設で携わったり、人材育成にもつながっているという。

私は2003年、ケニアの田舎の学校でトイレをした経験があるが、極めてシンプルなだけのトイレだった。現地で建設でき、メンテナンスもできるというのがいい。これこそ持続可能な開発である。

2016年1月12日火曜日

マラウイ・カムズ空港への貢献

マラウイ カムズ国際空港
https://www.flickr.com/photos
/abbydyson/5356461200
JICAが発行する月刊誌mundiが手元に届いた。このところ、アフリカの話題が少ないので、ここに載っていたマラウイの話をエントリーしたい。首都リロングウェのカムズ国際空港の拡張にJICAが貢献しているという話だ。

1978年・80年の円借款でこの空港は建設されたそうだ。だが、この10年間で取り扱い旅客数が10万人以上増加し、チエックインカウンターや出入国管理カウンターなど旅客ターミナルの混雑緩和が問題化しているらしい。加えて、航空機運用の安全性確保のために、新たに航空機監視システムの導入も必要なんだとか。

それで、昨年11月に新たな無償資金協力の贈与が行われたということらしい。この事業計画で、取り扱い可能旅客数は21万5000人から30万6000人まで増加するとのこと。さらにJICAは、航空管制に携わる人材位育成などにも協力し、包括的な支援を行っていくとのこと。

30万人強の乗客数といえば、鳥取空港(33万5000人)と対馬空港(26万1000人)の間くらいの空港ということになる。日本の空港の中でも46~47位というところである。ちなみにブルキナのワガドゥグ空港の旅客数は34万7000人。ワガの空港には、エールフランスなどがヨーロッパから乗り入れていて、国際線も多い。カムズ空港は、マラウィアン航空(マラウイのナショナルフラッグである。)が、ダルス(タンザニア)、ハラレ(ジンバブエ)、ヨハネスブルグ(南ア)、ルサカ(ザンビア)、マプト、ベイラ、ナンプラ、テテ、(モザンビーク)などどと結んでいる。エア・ジンバブエ、エチオピア航空、ケニア航空、南ア航空なども乗り入れている。

ワガの空港は、エールフランスに乗って帰る時、無茶苦茶時間がかかった。と、いうのもX線の荷物検査のマシンが1台だけだったのだ。まあ、着いた時もイミグレ通過に2時間弱かかったけど。(笑)まあ、これがアフリカである。こんなことにメゲていてはアフリカを旅できない。

日本からこの空港に行こうと思えば、やはり南アのヨハネスブルグ経由かなと思う。あ~、もう~だんだん行きたくなってきた。

2016年1月11日月曜日

使用頻度の低い消耗品「BB8」

スーツのBB8型を検索したら、スターウォーズが出てきた。
https://www.youtube.com/watch?v=ga_MPEQuL84
三連休の最終日である。妻が「スーツを買いに行くで。」と言い出した。先日、スーツを着ようとしたら、上着のボタンが閉まらない。パンツの方も、かなりキビシイ。要するに、また太ったのだ。

3学期は、入試や卒業式があって、その運営を私が所属する教務が行う関係でスーツは必需品なのである。全くの裏方の場合もあるが、緊急時にスーツを着てないから動けないというのでは、やはり困る。で、妻が「買いに行くで。」と私を促したのだ。大体、スーツを買うということは、我が家では、私の体型が変わったことを意味する。決しておしゃれでない私にとって、あまり喜ぶべきことではない。妻も文句タラタラである。あ~あ。じゃまくさいなあ。妻は、私のような肥満体の最も安いスーツを売っているのは専門店ではなく大型スーパーであるということをよく知っている。我が家ではスーツは使用頻度の低い消耗品扱いなのである。安ければいい。そういう商品なのだ。

結局、1軒目の店では、私が着ることができるスーツはなかった。BB7型。Bというのは、AやYが入らない太めの人の体型を意味する。2軒目の店に、BB8型があった。店内には7型が最も腰まわりが大きいと表示されているが、その上が8型である。色合いを選ぶとか、私にそういう選択肢はない。BB8型は、これしかないのである。で、これはなんとか入った。これを着て仕事をすることは可能である。やったー。バーゲン中なので2割引で12000円ほど。安い。嬉しいような、全く嬉しくないような。(笑)

追記:ishwn1.さん、読者登録ありがとうございます。本年最初、しかもかなり久しぶりの読者増だと思います。

2016年1月10日日曜日

胸が痛い。-I accept all-

胸が痛い。…禁煙が今だ続いている。Y先生の手術のショック。そして自分自身の体調。ちょっとの我慢。それらが私に禁煙を続けさせているといっていい。

ところで、年末から正月にかけてTVを見ていて、妙に気になったCMがある。パックンが年越しそばにカップ麺を選ぶことについて、自論を述べているインタヴューのようなCMだ。

「ずっと疑問でした。年越しそばというカルチャーが。でも緑のたぬきのダシのしみたテンプラを一口食べた時に…全て受け入れました。」
https://www.youtube.com/watch?v=cU-BmYjiRnM

なぜ気になったのか。それは、パックンの最後の言葉、「…全て受け入れました。」にある。日本人は「(その理由を述べた後で)…全て受け入れました。」というような言い回しを決してしない。英語には、「I accept all.」という慣用句がある。それをパックンは日本語で言い切っているわけだ。極めて(神と人間が対立する欧米的な)二元論的なスタンスに立つコトバだ。

これをパックンという、インテリ(彼はハーバード出身だ。)の”芸人”が語るところがミソである。もし、同じ日本語を日本に詳しい外国人”学者”が述べたとしてもきっと違和感があると思う。インテリだが、親しみのあるパックンだからこそ、インパクトを与えているような気がする。そういう絶妙なバランスが、このCMにはある。

哲学的に見れば、既成の価値観(外国人が使う可能性がある非日本語的な日本語)を脱構築したCMであるわけだ。渋くて、CMの出来としては私はナカナカノモノであると思うのだ。

胸が痛い。私も、Y先生の手術の話を聞いて…全てを受け入れることにした。

2016年1月9日土曜日

胸が痛い。-喫煙0本の日-

昨日のY先生が手術を受けることのショックが大きい。実は、朝からまだ1本も喫煙していないのだ。このまま、禁煙できるかもしれない。

Y先生は、私が前任校で担任をしていた時に転勤してきた。同時期に、私は前任校で、Y先生は他校で生活指導部長を共にしていた時期もある。その後3年間の担任生活を終えて転勤してきたのだった。1年後、私が3年の担任を終え、Y先生と新しい教務部長M先生の下で仕事をすることになった。まあ、2人でM先生を支えようという感じの1年だった。私は正直、生指畑(業界用語で生活指導部の経験が長い、ということ。)で教務の仕事は苦手なのだが、Y先生は、温厚だし真面目な君子なので、教務の仕事を覚え、結局M先生の後継者になってしまった。

Y先生は決して望んだわけではない重責を担うことになってしまった。実は、私同様、権力が好きではない。権力から離れていたい方だ。ただ、責任感が強いし、温厚なので仕方なく重責を担ったのだ。その2年後、私は前任校を離れた。しかし、Y先生はそのまま重責を担い続けた。なんとか後継者も立てることができた。やっと担任ができると喜んでいたのだ。しかし、その後継者は、たった1年で転勤になってしまう。担任への希望もぶっとび、また重責を担うことになったのだ。そのストレスたるや、どれだけ大きかったか、と思う。私も一度は禁煙したが、修学旅行前にストレスが貯まり復活してしまった。Y先生は、きっとやめる余裕さえなかったと思う。その喫煙が、Y先生を手術にまで追い詰めたのだと思う。

先日(木曜日だったと思う)、TVで「Legends oh the Fall」という映画を見た。アンソニー・ホプキンス演じる父親は、元陸軍大佐。だが、ネイティブ・アメリカンを虐殺することを拒否し退役。田舎に牧場をつくり、ネイティブ・アメリカンと共生を選んだ人物である。彼には3人の息子がいる。WWⅠ、禁酒法の時代の話なのだが、この大佐、WWⅠに息子たちが行くことに強く反対する。「政府に騙されるな。政府のためなんかに死ぬことはない。」しかし三男が戦死することになる。また、長男が下院議員に立候補してからは、口も聞かないようになる。「政府側につくような奴は私の息子ではない。」徹底した権力嫌いなのだ。権力に、自らの自由や立場を左右されてたまるかという、彼の姿が強く印象に残ったのだった。

私は、結局のところ、(転勤してしまったから仕方ない、とはいえ)何もY先生の力になれなかった。Y先生が後継者を転勤で失い苦闘してる中、本校で充実した担任生活を送らせてもらったわけだ。今、私がY先生にできることは何もない。いや、私自身が禁煙し、Y先生と同じような手術を受けないようにすることかもしれない。そんなことを考えている。

2016年1月8日金曜日

胸が痛い。-Y先生の手術ー

前任校で「相方」と呼んでいたY先生が、来週手術をすることになった。大きなショックを受けている。Y先生は、前任校でも重要なポストにある。手術を受けることになった故を朝の職員朝礼で自ら発表したとのこと。弟分のU先生が、私にメールしてくれたのだ。それに気づいたのは16:00すぎ。

いてもたってもおれなくなったので、Y先生に電話した。「そう…。もう流れているんや。」

意外に元気で、「保険金がいっぱい入った。」とジョークを飛ばしてくれた。Y先生とは、昔から何も語らなくとも、言いたいことが分かり合える仲だ。同じ昭和33年3月生まれ。私のほうが少しだけ兄貴だが、どうみてもY先生のほうが落ち着いて見える。温厚な君子である。無制限に信用できる仲間である。こういう人間の絆こそが、私は財産だと思う。

よくカラオケに行って、みんなを楽しませた。自分が主人公になるのではなく、といって影に徹するのではなく、自らも楽しみながら、みんなを盛り上げる。K先生との共通認識だ。

「カラオケ、手術前に行っておいたらよかったねえ。」と私。「…そうやね。」とY先生。

今日は特別、胸が痛い。Y先生はセブンスターを吸い続けていた。よく二人で喫煙したものだ。おそらくY先生と共に喫煙することは二度とあるまい。Y先生の禁煙に私も殉じてもいいか…、と思っている。…胸が痛い。

2016年1月7日木曜日

始業式なのだ。

府立高校より、一日早い始業式である。私自身は4日から、センター試験(倫理と政経)のための補習をしていたので、始業式が早かろうが遅かろうが特に問題はないのだが…。

さて、始業式の前に全校生徒で大掃除である。今回の私の担当は、校外であった。つまり、学校の周囲の清掃である。登校時に自転車で、一周してみた。植え込みのあるところには枯葉、ないところにはタバコの吸殻などがあるくらいであった。

この周囲を3年生の1クラス4名×8で掃除するのだ。保健室で、段取りを組む。枯葉のためには竹箒も必要だ。植え込みのある場所は3クラス分くらいだから3本でいい。と、こんな感じで3学期が始まったのだった。本校生は、こういう掃除などはきっちりやってくれる。自転車で一周しながら指揮をしたのだった。

ところで、冬季休業の期間中、ひとつ私に課せられた宿題があった。府立高校では「志学」という取り組みをしている。その研究である。今日の午後、教務部で、この研究結果を討議していた。本校の総合的学習の取り組みとして活かせるかもしれない。

定年まで残すところ、あと2年と少し。自分に求められていることを常に探しながら日々を過ごしている。

2016年1月6日水曜日

日経 田中明彦氏の脆弱地域論

脆弱国家2013
前JICA理事長の田中明彦東大教授が、今朝の日経朝刊「経済教室」に寄稿していた。2016年の国際政治の3つの観点を論じたものである。ロシアや中国など地政学的軍事行動をとる可能性、ISなど超域テロの問題、ISなどを現に呼び込み、あるいは呼び込みかねない脆弱地域の問題である。

中でも田中氏が強調しているのは、脆弱地域の問題である。パワーという観点からすれば、脆弱地域は、統治能力というパワーが存在しない地域のことである。何としても機能する国家を作っていかねばならない。「言うは易く行うは難い」難題であるが、これら脆弱地域の縮小なしには、ますますIS勢力を広める。仮にISをシリア・イラクから駆逐しても、またどこかに根拠地ができてしまう。この点でも国際協力が必要である。人道的にも必要だが、安全保障に直結している。

…まあ、当然と言えば当然の話である。しかし、欧米をはじめ、多くの国の視点は、ISへの直接的な攻撃に絞られ、脆弱地域のことなど振り返りもされていないのが現実である。まさに、「言うは易く行うは難い」話なのだが、正論はこれしかない。

ところで、サウジとイランの断交に続いて、今日は北朝鮮の水爆実験ときた。年明けから不安の煽られ方が凄いな、どうなっているのだろう。この3日間、センター試験の倫理と政経の補習をやってきた。ついつい、世界情勢が大きく転換した話になるのだが、現実はさらに早い。早すぎる。

2016年1月5日火曜日

朝日 内田樹氏の「2016考」

ジャスティン・トルドー首相 http://jp.ibtimes.com/articles/1597812
朝日の今日の朝刊に、2016年考の第一回として内田樹先生に『今』を聞くという記事が載っていた。元旦にエントリーしたように、様々なコトに「不安」を感じざるを得ないわけだが、この辺を例によって内田先生は的確に説いている。以下、整理してみた。

(今の時代)は移行期である。地殻変動的な移行期の混乱の中にある。グローバル資本主義はもう限界にきている。右肩上がりの成長はもう無理。収奪すべき植民地も第三世界ももうない。投資すべき先がない。だから、自国民を収奪の対象にするようになった。貧者から吸い上げたものを富裕層に付け替えあたかも成長しているかのような幻想を見せているだけである。若い人の賃金は下がり、法人税を下げ、株の配当を増やす。株をやっている人からすれば、本来なら社会福祉や教育や医療に使うべき税金を株の配当金に充ててもらっているわけで、こんなありがたい政権はない。

左右を問わずメディアは「経済成長せねばならない。」を前提にしてきた。経済成長は良いことだと信じてきた。それは違うと思う。成長がありえない経済史的段階において、まだ成長の幻想をみせようとしたら国民資源を使い果たすしかない。今はいったんブレーキを踏むべき時だ。成長なき世界でどうやって生き延びていくのか、人口減、超高齢化の日本にどういう国家戦略がありえるのか衆知を集めるべきである。
世界は今、左翼のバックラッシュ(反動)が起きている。米国大統領選で社会主義者を名乗る民主党のバーニー・サンダース。カナダではリベラルのジャスティン・トルドー(首相)が成長よりも融和を提示した。どうやって成長させるかより、限りある資源をどう国民に公正に分配していくかに社会的関心が移りつつある。
昨夏の国会前デモ。国会内では「システムを今すぐ根本から変えなければ変えなければ大変なことになる」と叫び立てるおじさんたちが暴走し、国会外では若者たちが雨に濡れながら「憲法を守れ、立憲デモクラシーを守れ」とそれをたしなめているという不思議な構図だった。後先考えず、目先の変化を求める大人たちの身振りそのものが硬直化して体制化し、若者たちは暴走が常態化した体制に「熟慮」を対抗させていたといえる。

小泉政権以来、行政府の暴走を制御する装置(憲法や三権分立、両院制、内閣法制局など)がひとつずつ解除されている。民主主義は暴走しやすい。ねじれ国会の解消から独裁制までは論理的に一本道。だが、歴史には補正力が働く。ある方向に極端に針が振れた後は、逆方向に補正の力が働き、歴史はジグザグに進む。今は、その補正段階にあるのではないか。世界的なスケールの「左翼のバッククラッシュ」も日本の「暴走する老人を制止する若者たち」という逆説的構図もその釣行ではないだろうか。

…年末から「持続可能な開発」というコトバが私の前に大きな壁として立ちはだかっている。これまで、私は開発経済学を学び、それをシミュレーションゲーム化しようとしてきた。この「持続可能な開発」というコトバのシニフィエには”経済成長=善”が含まれている。しかし、それは幻想である、ということを内田先生はまず言われているわけだ。昨年、MDGsがSDGsとなり、国連は、第三世界から先進国も含めた全ての世界をその対象として、持続可能な開発を目指すこととなった。これこそが”地殻変動的な移行”なのである。世界はこれ以上の経済成長は望めない、共生のために、途上国も先進国も融和し、限りある資源を公正に分配していくしか持続可能な未来はない。

内田先生は、このSDGsについては言及していないが、国連が定めた「左翼的バッククラッシュ」そのものであるといってよい。まさに2016年以降の世界のコードを示している、と私は思うのだ。

2016年1月4日月曜日

毎日 サウジとイランの断交考

http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-469.html
正月早々、不安が的中した。サウジ政府が国内で活動していたシーア派の指導者をアルカイダ関係者とともに死刑に処したことに対して、イランで抗議に立ち上がったデモ隊がサウジ大使館を襲撃、これに対しサウジ政府はイランと断交すると発表した。

スンニー派とシーア派の対立がさらに加熱することは必至である。すでに、サウジ、イランにそれぞれ味方する勢力が各地で抗議デモを行っており、中東はさらに混迷を深めている。
http://mainichi.jp/articles/20160104/k00/00e/030/123000c

…スンニー派・シーア派の対立は、どうしようもなく根が深い。かの中田考氏は、スンニー派の法学者故に、少数派のシーア派が対立から手を引く以外にないと言っているほどだ。神定法の根本的なところで互いに対立している以上、仲裁する立場も存在しない。

…サウジとイランが直接戦争することはないと信じたいが、アメリカやロシア、はたまたイスラエルが絡んでくると極めてややこしくなる。イスラエルは以前、ちょうどイランの核施設とほぼ同じ距離にあるスーダンの軍需工場を空爆した前例(2012年11月)がある。(画像参照)イスラエルにとって、イランの核は最大の脅威である。自らの生存のために、この機を先制攻撃に使うかもしれない。

いずれにせよ、えらいことになった。南シナ海では、中国艦船がベトナム船を沈めているし、こちらの方も正月早々まさに不安的中である。

2016年1月3日日曜日

100分 de 平和論を見る。

せっかくなので昨夜のEテレ「100分de平和論」についてもエントリーしておこうと思う。4人のコメンテーターが、それぞれ1冊の本を提示して、平和について提言するという趣向である。

最初は斎藤環氏で、フロイドの『人はなぜ戦争をするのか』である。アインシュタインが国際連盟から、平和について著名人との往復書簡を求められた。彼が選んだのが同じユダヤ人のフロイドで、それに対する返信がこの本である。フロイドは、人間の暴力性について、生の欲動と死の欲動について分析した上で、これらは抑えきれないと結論づける。しかも、共同体感情は、生き残ることを求める生の欲動から生まれ、共同体のために死を選ぶという死の欲動を喚起すると述べている。まさに後のWWⅡを示唆していた。これらを抑えれるとすれば、感情的な絆、あるいは文化の力ではないかと述べている。だから、意外にも、第九条で戦争=悪という日本の国是はすでに文化となっていて大いに有効ではないかという話になった。なかなか面白い。

水野和夫氏は、ブローデルの『地中海』を挙げた。フランスの歴史学者であるブローデルは、WWⅡ中捕虜となり収容所で 16世紀の地中海世界を描くアイデアを温めていた。この16世紀に資本主義の萌芽、グローバル化の萌芽が見られる。特に、ジェノバの手形の発明、金融資本の成立が、スペインの戦争を助長し、富の集中と貧困の周辺化を生んだという。資本主義の根底に流れる経済的欲望は、平和へのアンチテーゼであるとする高橋氏は、年収800万円くらいがちょうどよい収入で、それ以上は人間を不幸にするだけだと述べたところが、実に面白かった。

田中優子氏は、井原西鶴の『日本永代蔵』であった。江戸時代の商いの知恵を説く。永代=持続、始末=循環を意味するという。江戸は参勤交代で、戦費となる貨幣を循環させ、平和を維持した。持続に大切なのは信頼関係であり、平和を持続させるのは信頼関係しかないと説く。

高橋源一郎氏は、ヴォルテールの『寛容論』である。1761年トゥールズで起こったプロテスタントに対する冤罪について告発したのがこの本である。理神論の立場から狂信を打ち破るのは人間の理性であり、自分にして欲しくないことは自分もしてはならないという単純な原理を説く。憎しみの連鎖を断ち切るという理性的個人主義に対して、日本は共同体感情に負けてしまうことが多いという話になる。自然な感情に逆らわねばならないというところについても議論が起こった。 

正直なところ、この番組の後に控える『大人のピタゴラスイッチ』(可視化をテーマにした第4回目)を見るために時間つぶしで見ていたのだが、なかなか面白かったのだ。こういうEテレを見るのも、不可解なバラエティー番組からの逃避故のこと。ホント、正月である、と思う。(笑)

平和度指数ランキング

昨夜、Eテレの「100分de平和論」を見ていたら、2015年度版の平和度ランキングが最初に発表された。詳しく調べてみるとなかなか面白い。

アイスランド、デンマーク、オーストリア、ニュージーランド、スイス、フィンランド、カナダ、日本(8位)というのが上位常連国。アジアの第二位は18位のブータン。そこまでは、ほとんどがヨーロッパの国々である。(ちなみにドイツは16位、イギリスは39位、フランスは45位)

アフリカの最上位は25位のモーリシャス。次は31位のボツワナ。アフリカの優等生である二カ国が平和度でも上位だ。48位にナミビア、49位にセネガル、50位マラウイ。54位ガーナ、55位ザンビア。なんとなく分かる気がする。ちなみにブルキナファソは83位。(国内のクーデター問題で前年より5P下がっている。)

アフリカの最下位は、南スーダン(159位)である。世界でその下はアフガニスタン(160位)、イラク(161位)、シリア(162位)しかない。アフリカの下位は、世界の下位で、148位のイスラエルから順に、リビア、ウクライナ、ナイジェリア、ロシア、北朝鮮、パキスタン、コンゴ民主共和国、スーダン、ソマリア、中央アフリカ(158位)…。新聞で、常に内乱やテロなどが報道されている国々である。当然といえば当然だが…。

http://ecodb.net/ranking/gpi.html
http://www.visionofhumanity.org/#page/indexes/global-peace-index/2013

2016年1月2日土曜日

大学ラグビー準決勝を見る。

帝京大 竹山選手
http://tweez.net/isacBarrichello/
正月は、意味不明のバラエティ番組が多い。で、昨日は、Eテレでピタゴラスイッチの再放送(ピタゴラ装置大解説スペシャル)などを見たり、英国一家”正月を食べる”というアニメを見たりと、もっぱらNHKを見ていた。Eテレの「日本のジレンマ」という若い論客の討論番組も最初だけ見た(夜遅くなったので寝てしまった。)けれど、なかなか面白かった。

今日は、なんといってもラグビーである。大学選手権・準決勝二試合の中継。私はラグビー中継はできるだけ見るようにしている。サッカーの日本代表の戦いは大好きだけど、贔屓のチームがないのでフツーは見ない。ラグビーは、知らない選手が出ていても、その動きだけで十二分に楽しめるのだ。だから大好きである。

第一試合は、明治大対東海大。明治大が前半リードしていたのだが、後半東海大が逆転した。東海大は、東海大仰星高校出身者が多い。自宅の近く(同じ市内にある)なのでつい応援していしまう。もちろん、明治にも大阪出身者もいるのだが…。大学ラグビーは、こういう、出身高校がどこなのか、というのも気になるところである。第二試合の帝京大は、意外に伏見工出身者が多かった。赤のジャージーがやはり好きなのかなと思ったりする。(笑)相手は大東文化大である。帝京大の強さは6連覇中だし、知っているが、見るのは初めてだ。凄いな。早い。1分かからないうちにノーホイッスル・トライ。立て続けに3トライ。こりゃ、大差になるなと思っていたら、大東文化大も伝統校である。食らいついていく。点差はともかく、素晴らしく凄い試合になった。ところで、帝京の11番竹山選手は奈良の御所実業出身の1年生らしい。1年で帝京大のレギュラーというのも凄いが、ホント上手いバックスだ。まさにこれからのスターだなと思った。

W杯で日本は、南アに勝利して一気にラグビー人気が戻ってきた。あの試合の素晴らしさについてはいまさら言うまでもない。新日鉄釜石や同志社大、神戸製鋼が強かった頃に戻ってきた。いや、それ以上かも知れない。五郎丸選手がやたらTVに露出しているが、これもラグビー人気を高めるため。サッカーも、女子サッカーも、やはり実績と共に、カズや澤みたいな華が必要だった。今日の二試合を見て、そういう新たなスターの胎動を感じた次第。

2016年1月1日金曜日

ナントナク不安ナ正月デス。

例年になく、今年の正月は「不安」な気分なのである。私生活においては、まず健康に不安を抱いている。離煙パイプで1mmのタバコをふかしながら、自分の体力の著しい低下をひしひしと感じている。一方で、定年まであと2年と3ヶ月となった。いまだ、定年後のことは全く未定である。再任用という道はあるのだけれど、うーん、と唸ってしまう。

毎日の社説には、民主主義を問い直す1年になるとあった。確かに日本国内でも、世界でもそういう1年になるだろうと思う。これにも大きな不安を抱かずにおれない。社説では、国家主導型の日本になることへの懸念と多様性を重視する必要性が説かれていた。私の不安を代弁するような内容であった。国際的にも、ポストモダンからモダンへ、モダンからプレモダンへの回帰が進み、ますます世界平和への道が閉ざされていっている。日本もアメリカもEUも、ロシアも中国も、そしてアフリカも、どうも閉塞感に包まれている。

昨年MDGsに代わるSDGsが発表された。私自身、このSDGsについてもじっくり研究していきたいのだが、年末から大きな壁にぶつかっている。(昨年度12月30日付ブログ参照)持続可能な開発とは何なのか?あらためて問い直していくと、大きな不安にぶつかってしまうのである。この件についてはまたじっくりと学び、考えた上で述べたいと思う。

今年、決まっているのは、上越教育大学で国際理解教育学会があって、昨年制作したホロコーストの人権教育教材を発表するだろう、という一点だけだ。

シンネン、アケマシテオメデトウゴザイマス。というには「不安」が重くのしかかる、2016年の幕開けである。とはいえ、読者の皆さん、今年もよろしくおねがいします。