2012年8月31日金曜日

月末に「多文化共生」考

今日で8月も終わりである。初旬はイスラエルにいたのでエントリーできなかったが、アホほどイスラエルの事をエントリーしたので、これまでで最高の月間エントリー数となってしまった。(笑)8月の最後に今回のイスラエル行のテーマともなった「多文化共生」という概念について、あらためて整理しておきたいと思う。

現代国際理解教育事典(明石書店/日本国際理解教育学会 編著)によると、『1980年代以降に見られる国際化・グローバル化の急激な進展の中で、(中略)地域在住の外国人は飛躍的に増大している。このような多文化状況は(中略)その対応方策が問われるようになっている。』とまず書かれている。要するに日本の多文化共生について書かれているわけだ。その上で、以下のように書かれている。

『多文化共生を国際理解教育の課題としてとらえれば、これまでの文化理解にみられがちな、文化を、静的固定的相対主義的に理解すること、文化の異質性・共通性・多様性を理解することだけでは、今の状況に対応できないことは明らかである。つまり多文化社会の進展に伴う文化的状況とは、個人レベルからみれば、複数の文化にまたがって生きる人々が急増し、個々の文化的アイデンティティの形成過程が多様かつ流動的になっている状況を示している。』

たとえば、生活言語・学習言語として言語の習得、さらには母語の維持・習得は、まさに言語そのものが文化なので言語的な生活環境・学習環境の構造が個々人の文化的アイデンティティ形成に大きなインパクトを与えるという。また地域的には、多文化が、対立・緊張関係から同化・融合・並存という動的な側面をもつという。

『したがって、教育的には、多文化共生は「文化間の対立・緊張関係が、個人レベル、地域レベルで顕在化する中にあって、私たち一人ひとりが、グローバル化が進む社会状況や地域社会に見る伝統性・社会慣習など、その対立・緊張関係の様相や原因を歴史的空間的繋がりの中で批判的に読み解き、より公正で共生可能な文化の表現・選択・創造に参加しようとしている動的な状態」ととらえることができる。』

そして、国際理解教育の立場からは、この「動的な状態」に主体的・批判的・協働的に参加していくことが求められていると結ばれている。

この項の担当は、早稲田大学の文化構想学部の山西優二教授(社会学)である。私などがコメントできる立場にはない。(笑)ただ、イスラエルの状況を考える時、日本との社会構造自体の差異を考えなければならないと思われる。『多文化共生』の概念を明確にできたということで、今日はここまで。

0 件のコメント:

コメントを投稿