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https://www.terra-r.jp/blog/20240618.html |
この現金収入で主食を得、飢餓を回避できそうである。とはいえ、課題は山積み。未知数のトラブルもまだまだ起こり得るだろうが、主人公の青年の1年半の戦いは勝利したと言っていいだろう。彼は、飢餓の克服とともに「平和」をカラモジャの地に根付かせようとしている。彼が「失業することが最終的な勝利である」という記述は正直な吐露であると思う。
昔、大阪の京橋駅で、救済を訴える難民申請をしているウガンダ人と邂逅したことがある。スワヒリ語で挨拶したら。実に喜んでくれた。彼の英語も私の英語も大したことがないので、彼がなぜ難民になったのかはよくわからないままであったが、おそらくは、このカラモジャに近い北部で武装闘争を続けている「神の抵抗軍」(LRA)との関連ではないかと思っている。LRAは、子ども兵と残虐行為で有名である。このプロジェクトを推進しているNGO、テラ・ルネッサンスは、子ども兵に関しても様々な国際協力を行っている。
ウガンダは、国内避難民も多く、しかも南スーダンやコンゴ民主共和国からの難民の受け入れも行っている。https://www.japanforunhcr.org/activity-areas/uganda
本書は、まさにアフリカの国際協力の暗黒面をも正直に書き記したノンフィクションで、実に貴重な一冊だと思う。新刊書である。一冊でも多く売れて欲しいと思うし、多くの人に読んで欲しいと思う。
アフリカの「平和」。主人公の青年の挑戦はまだ始まったばかりである。小さな一歩かもしれないが、援助依存構造や汚職利権構造に抵抗していくことで、少しずつ変わっていくことを期待して、書評を終わりたい。
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