2025年7月21日月曜日

自然と化学の合間で

https://www.terra-r.jp/activity_karamoja.html
「荒野に果実が実るまで」(田畠勇樹著・集英社新書)の書評第4回。自給的農業の代表的作物であるトウモロコシ(”メイズ”とクーンズ・イングリッシュで呼ばれることが多い)が害虫にやられ、主人公の青年は、やむを得ず農薬を1度だけ撒くことを決断する場面が描かれている。

彼は、自給的農業において、このような商業的農業の農薬・肥料、さらには生産性の高い種子などアグリビジネスに関わることを忌避したいと考えている。なぜなら、持続性のある種子を保存することができなくなることを恐れていたからである。これは、実に正しい選択だと私は思う。生産性より持続性が、特にカラモジャのような飢餓地域では重要だと思う。

そもそもこのトウモロコシ、灌漑工事の関係で、一時引き抜くことが想定された。青年は住民の声を聞いて周り、彼らの反対意見をしぶしぶ尊重することになる。この時の住民の主体性を守ったことが、後の援助依存ではないカラモジャの灌漑農業に繋がっていく。後に、この決断が分岐点だったと回想している。

ケニアで園芸農業を推進したJICAの専門家を知っている。花卉をオランダ等に輸出するバリバリの商業的農業であるが、どうやって現地の人々の主体性を引き出したのだろう。主体性がなかれば発展はない。かの専門家はまさに熱血漢で革命家然とした方だった。その人間力こそが主体性を引き出したと私は感じている。

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