2018年1月31日水曜日

幕末バトル・ロワイヤル 2

http://mamechishiki.aquaorbis.net/wp-content/uploads/2016/01/sen110806-090-30.jpg
さて、昨日のエントリーの続きである。譜代大名が幕府を運営するわけだが、譜代大名なら誰でもいいというわけではない。出世のコースが決まっていて、奏者番、寺社奉行、大坂城代、京都所司代などを経て、老中になる。家柄もあるが、問題なのは、そのために多大な賄賂が必要だったようで、天保の改革を行う水野忠邦は、一族の水野出羽守忠成(ただあきら)にかなりつぎ込んで出世したらしい。

さて、この水野忠成という人物、十一代将軍家斉の莫大な数の子女の縁談をまとめ役でもあった。水野忠成が嫁入りさせたのは、尾張・水戸など御三家、越前・会津などの親藩、伊達や鍋島、毛利そして前田などの外様など十三家。養子に入れたのは、尾張・紀州両家を始め、田安・清水の御三卿、鳥取池田家、津山松平家、石見浜田藩松平家、越前松平家、徳島蜂須賀家、川越松平家など十五家である。

だいたいどの藩でも将軍家からの縁談には腰が引ける。石高が増したり、持参金(化粧料)が入ったり、家格があがったり、松平姓になったりと表面上はいいのだが、それ以上の負担が重くのしかかったらしい。たとえば、加賀前田藩では、第24子の溶姫を迎えた際、その奥方御殿をつくることになった。しかも出入りのために特別な朱塗りの門を作る決まりだった。それが現在の東大の赤門らしい。…なるほど。

ところで、この水野忠成は、水戸家の相続争いにも関わっている。徳川斉脩(なりのぶ)の死去に伴って、家斉の第十四子恒之丞(御三卿の清水家を相続していた)を水戸藩主にしようとしたのである。この時、斉脩の弟の敬三郎を推す、藤田東湖ら40余人の国元改革派が江戸藩邸に乗り込み、敬三郎が「遺言」で藩主となった。この敬三郎が、かの烈公・徳川斉昭である。人間はこういう種類の恨みを絶対忘れないものだ。したがって、斉昭の深層心理には、反水野忠成がある、ということである。…なるほど。

「幕末バトル・ロワイヤル」にはこういう意外な話が満載である。人間の縁というのは意外な偶然によっているなあと思う次第。桜田門外で死す井伊直弼も、土佐の山内容堂も本来なら藩主になれないような境遇だったと記憶する。斉昭ともども、歴史に登場するためのなんらかの力が働いたのかもしれない、と思ってしまう。

2018年1月30日火曜日

幕末バトル・ロワイヤル

これまた日本人会の無人古本コーナーでRM1で手に入れた新書で「幕末バトル・ロワイヤル」(野口武彦/新潮新書)をほぼ読み終えた。著者によれば、幕末は天保の改革にまで遡るべきだと言う。天保の時代の様々な資料をもとに、教科書にはない江戸時代末期の姿を垣間見ることが出来る本である。登校時のバス車中くらいしか最近は読書の時間をとれないのだが、なかなか集中して読める面白い本であった。私は日本史の幕末以前はあまり興味がない。まさにその境界線あたりの本なのである。少しずつエントリーしようかと思う。

まずは、三方領地替えの話。封建社会は、地縁・血縁の地域共同体というのはむしろ例外(たとえば、毛利や島津)で大名はあらかた転勤殿様であるそうだ。なにか不始末をした藩、老中などの役職について出世する藩主の藩がからんでいるとのこと。国替えは、3つの領地で玉突きするカタチで行われることが多かったらしい。領民からしてみれば、領主は年貢を取り立てるばかりではなく、御用金やら無尽講やらの名目で多額の金を借り上げる存在である。領地替えということになれば借金を踏み倒されることもしばしばであったとのこと。天保の改革で有名な水野忠邦が寺社奉行に出世しての領地替えの時も、唐津の街は大騒ぎ、いや唐津神社の祭礼で賑わっていたのがいっぺんに冷め切ってしまったのだという。こういう話を聞くと、貨幣経済の浸透がかなり進んでいることが伺えるわけだ。

2018年1月29日月曜日

PBTの話(11)国費生卒業式'18

ラザク先生のご子息のスピーチ(マレーシア語だったので解らなかったが…。)
国費生の卒業式である。前年同様、みんなスーツ姿である。国歌の斉唱もあって、しかもスピーチの多くがマレーシア語である。日本語だったのは校長のスピーチくらいであった。今年は、私費生の卒業式に続いて、ラザク先生のご子息(タンスリという称号をお持ちだ。)がスピーチをしていただいた。ちなみに、今日の私の仕事は、正面玄関の担当であった。ご挨拶したら、ご子息から握手を求められ、大感激であった。
手前にいるのがパーカッショングループ
卒業式は、極めて厳かに進んだ。卒業生の歌は、なかなか趣向を凝らしたモノだった。アコースティックギター1本に、5人のメンバーがトレニアの上におかれた漫画本(ちなみにヒカルの碁だった。)を叩くパーカッション付き。文系の女子学生のM君の姿が壇上に見えないなあと探していたら、4人の男子の真ん中で叩いていたのだった。(笑)そう言えば、朝からスティックを寮に忘れた云々と職員室に来ていたのを思いだした。彼女は、なかなかのアイディア・ウーマンである。

いろいろあった国費生だけれど、私は最後にマレーシアの経済の現状を共に学べて満足している。頭脳流出を目差す中華系学生の多い中で、国のため頑張っていかねばならない国費生。まさに二律背反する立場の学生を私は教えているという認識を改めてした。どちらも、結局マレーシアのため、持続可能な世界のため必要な人材だと思う。私費生も国費生も、地球市民として活躍することを期待したい。

2018年1月28日日曜日

PBTの話(10)歴史分野PP

今年は、F40私費生の文系の地理分野以外をやることになっている。昨年は講義自体は公民分野だけだったが、歴史分野も入るわけだ。私の今のコンセプトでは、まず歴史分野をやりつつ、公民分野に関連して広げていこうと思っている。総合科目のシラバスでは、市民革命からであるが、中世と近世の概観をやりつつ、カトリックとルター派・カルバン派の宗教戦争の話をしないと、近代史も語れない。
というわけで、今の内にパワーポイントの制作に勤しんでいるというわけだ。本当は、もう少し簡単なものにしたいのだが、後々を考えるとそうもいかない。
今、アメリカ独立革命が終わって、フランス革命の背景まで完成した。これまでは、イギリスのピューリタン革命と名誉革命をやって、先にフランス革命に突入したのだが、歴史的には、この間にアメリカ独立革命が入る。経済学的な視点から見ると、年表どおりに教えた方がよさそうだ。それは、フランス革命の最大の原因・財政赤字を教えやすいからだ。と、同時に、戦争の費用の捻出方法が、立憲議会政のイギリスと絶対王朝のフランスでは違うからである。これは、後の国債の話に繋がっていく。市民革命の最後に、イギリスの市民革命とアメリカの独立革命の根本的な相違、さらにフランス革命とイギリスの相違をまとめればいい、そう思ったのだ。市民革命のスタンスは、それぞれ異なっていると思うのだ。

毎年、毎年教材研究が進歩し、さらなる工夫が加えられていくのは当然のことである。今年は、これに学生各人の日本語の習熟度の差をどう乗り越えるかという大きな課題が課せられている。こっちのほうが悩みが大きい。

2018年1月27日土曜日

Guggenheim Museumにイイね!

https://ameblo.jp/jnyer/
entry-12310385236.html
ホワイトハウスから、NYのグッケンハイム美術館に、大統領の寝室に飾りたいのでゴッホの絵を借りたいという申し出があったらしい。ゴッホの絵は貸せないが、黄金の便器「アメリカ」はいかが?と美術館と作者が返答したそうだ。
https://www.asahi.com/articles/ASL1V53J7L1VUHBI01T.html

このグッケンハイム美術館は、NYCのミュージアムマイルにある有名な美術館。かたつむりのような代わった建築物である。私も、昔、メトロポリタン美術館鑑賞の後に訪れたことがある。ちょうど夕方からは無料になっていて、おまけにジャズコンサートまでやっていた。NY市民と共にある粋な美術館だ。

今回のニュース、まさにグッケンハイム美術館に「イイね!」を差し上げたい。他国を「便所」などと平気で言ってしまう幼稚で下品な男に、アメリカの冨の無駄遣いを象徴したこの作品を、というのは極めて妥当な回答だ。

The GODs must be crazy

朝からPBTに、昨日忘れたスマホを取りに行った。今日はハノイでI君のF大の入試である。幸い、ベトナムはマレーシアより1時間遅いので、うまくいけば「檄」を送るのに間に合う。8:00に住処を出たら、650番のバスが最寄りのバス停を出たところだった。そこで、タマンデサの病院前まで歩き、このバスが街をぐるっと回ってくるのを待った。土曜日なので道がすいていて、比較的スムーズに乗り遅れたバスに乗れたわけだ。帰宅して「檄」を送るのに十分間に合った。I君の小論文・面接の時間が終わってから、妻と買い物に出かけたのだった。

エレベータに、新しく出来たコンドの住民ホールで「The GODs must be crazy.」という映画を15:00から上映するとある。妻は、「きっと大魔神をやるねんで。」と言う。…なるほど。あの「ガメラ対バルゴン」と同時上映された埴輪のような神が「大魔神」となる時代劇。「他に神がクレージーになるっていう映画ある?」と妻。私も、間違いなく大魔神をやるのだと思っていた。買い物から帰宅後、一応調べてみたら、全く違う南アの映画だった。南アだけに、なーんあ。と洒落てみても仕方がない。結局映画を見に行かなかった。明日の上映作品はチャップリンの「街の灯」らしい。

2018年1月26日金曜日

肉付きすぎブタ玉

今日は、LINEでAクラスの学生とずいぶんやりとりした。授業でLINEが鳴っては大変とスマホを机の上に置いたままにしていて、下校時に職員室に忘れてきてしまった。もしかして、夕方以降LINEで連絡を取ろうとしてくれた学生諸君がいるかもしれぬ。明日は休日だが、スマホの救助に向かうことになった。やれやれである。

今日は国費生Bクラスの最後の授業だった。昨日のエントリーにあるように政策金利の話をして、さらにマレーシア経済の現状を述べたのだった。最後の最後に、私自身は健康が続く限りPBTで頑張りたいと思っていることを最後に述べたのだが、今日のスマホの件にしたって、爺さんになったなあとつくづく思う。

最近、妻が私のお腹を見て「肉付きすぎブタ玉」と揶揄した。大阪に「金太」というお好み焼き屋のチェーン店があって、「肉入れすぎブタ玉」という看板メニューがある。そのパロディーである。

確かに…。とはいえ、今日の夕食などは、妻がミッドバレーの4Fのフードコート(実はミッドバレーのメガモール内では最も高級である。とはいってもRM15~20くらいだけど)の、経済飯屋でおかずだけテイク・アウェー(マレーシアではテイクアウトとは言わない。)してきた「自家製のナシレマ」である。うーむ。美味。毎回妻の残した分まで食べることになるので、当分「肉付きすぎブタ玉」状態から脱することは出来そうにもない。

2018年1月25日木曜日

マレーシアの政策金利UP

マレーシアの中銀が政策金利を、今日0.25%引き上げ、3.25%にした。利上げは3年半ぶりのことらしい。経済が順調で、金融緩和を正常化するという。
https://jp.reuters.com/article/malaysia-central-bank-idJPKBN1FE0P9

国費生が3日間のJPAのキャンプから戻ってきて、今日は卒業式のリハーサルが午前中行われた。私はまた校長先生役であった。(笑)明日はいよいよ、最後の授業となるのだが、リアルなニュースが飛び込んできたわけだ。リンギは、このところ順調に高くなってきている。消費もローンをすこし規制する必要があるくらい好調なようで、政策金利の引き上げは、貯蓄を殖やし、インフレを抑制しようとするもののようだ。

と、こういう基本的な見方が、国費生に出来るか否か、明日の最後の授業で試してみようと思う。

2018年1月24日水曜日

PBTの話(9)N1の結果

昨年、EJUの後で、日本語能力試験があった。F38AクラスでもN1(1級)に挑戦したメンバーが多くいて、今日が結果発表だった。ラインで、合否とスコアの報告を求めたところ、数多くのメンバーが合格していた。特に、明日受験でマレーシアを発つI君は、あと1点で満点という凄い結果だった。彼女はN2も満点だったので、自信を持って受験に臨んで欲しいものだ。

一方、今日からF君がPBTの事務のアルバイトに来ることになった。私は知らなかったのでビックリした次第。さっそく、国費生の卒業に関する仕事を懸命にしていた。なんか嬉しい。ホテルマンになるべくL君は、日本人会のカフェでウエイターのアルバイトをしているし、教え子が少なくとも当分近くにいるし、顔を見るとほっとする。

授業がこの3日間ないので、いろいろな調べ事をしていた。日本の法律では、本人以外の人間が高額の振り込みができないことになっているらしい。たとえ、それが大学の入学金であっても代理人が振り込むのは無理らしい。マレーシアから受験すると、合格後も困難が待ち受けているわけで、うーん。私費留学生は大変である。と、今日はまさに雑感のエントリー。

2018年1月23日火曜日

韓国のイスラム教徒差別の記事

韓国日報より ムスリムの観光客は増えているのに…。http://www.hankookilbo.com/v/eb318713e53b49388d832f089d70f652
妻がまた、興味深いWEB記事の話を2つ紹介してくれた。韓国でのイスラム教徒への無理解と差別が横行している話である。韓国日報の記事を日本語に訳したものだった。地下鉄で高齢者が、観光客のムスリムの女性のヒジャブを無理矢理はぎ取ったり、レストランで豚肉を食べれないと言ったにも関わらず、店員は豚肉入りの調味料を使ったと暴露して面白がったり…。極めて異文化に対する理解が幼稚であるとしか言えない、実に不愉快な記事だった。現時点では、ムスリムの教え子には、あまり韓国に近寄らない方が良いとしか言えない。
http://news.livedoor.com/article/detail/14088756/

とはいえ、日本でもムスリムの墓地が不足しているそうだ。土葬を禁止している都道府県もあるらしい。日本でも、ハラルなどの取り組みはともかく、ムスリムの土葬に対する理解までは進んでいないようだ。
http://www.asahi.com/special/playback/TKY201010170288.html

同じ単一民族国家である韓国と日本、程度の差はあれ、グローバル化の中で異文化理解を進める必要性に迫られていると私は思う。これは、人権問題や環境問題のように、長い時間、世代の交代が行われるような10年20年と長いスパンをかけて行うべき、教育の責任だと私は思う。ESD(持続可能な開発のための教育)を実践する先生方が増えないとどうしようもない話だ。

2018年1月22日月曜日

PBTの話(8)F40向PP 改編

F38国費生が、JPAのキャンプに行って3日間授業は休講である。したがって今日から3日間は授業がない。こういう時こそ、普段出来ない教材研究に励むことになる。昨年F38では、私は最初に世界の多文化について、パワーポイントで授業を進めた。意外に好評だった。まだ日本語能力が政治経済の用語に追いついていない時期故に、画像でカバーするのだ。今年は、特進クラスが出来た関係で、私がF40の私費文系2クラスの地理以外を担当することになっている。この際、歴史のパワーポイントも作ってしまおうかと思っているのだった。高校時代にデザイン科だった私は、パワーポイントについては、どうも凝ってしまうので、時間が必要なのだ。
まずは、文化のパワーポイントを見直した。F40の学生の中にはマレー系の学生も意外に多くいるそうなので、一神教についてはもう少し詳しくやろうかと思っている。世界史も、政治も経済もかなり一神教理解がベースになってくるからである。

ユダヤ教が、神定法の宗教でありながら、これを吟味することが盛んであること(今日の一番上の画像参照)が、後のユダヤ民族の優秀さに繋がっていくし、クルアーンの第1章に、ユダヤ教・キリスト教批判が最後にあることなどなどを述べるのは、実は私の趣味以外の何者でもないか、と思うが…。(笑)

2018年1月21日日曜日

マレーシアのリンギ高政策

最近のマレーシア・リンギと日本円の推移
http://myr.jp.fxexchangerate.com/jpy-2017_10_13-exchange-rates-history.html
先日、国費生の文系の授業でマレーシア経済の現況について講じているというエントリーをした。この中で、「マレーシアの金融当局は、インフレよりもリンギ安を強く警戒していること。2016年12月に輸出産業の代金については75%をリンギ支払いとするなどの措置をとってリンギ安を警戒していること。外国企業は為替リスクのヘッジがしにくくなったとの声があること。」について、もう少し詳しくエントリーしたい。

この輸出産業の75%の(マレーシアの通貨である)リンギ支払いというのは、なかなか凄いというか凄みのある政策である。輸出する企業はリンギを買う必要に迫られる。すなわち、リンギの価値が高くなり、リンギ高を招く。これは道理であろう。金融当局は、なによりリンギ安を警戒しているわけだ。これは、アジア通貨危機でかなり痛い目にあったトラウマのような気がする。当時のマハティール首相は、IMFの融資を断り、マレーシアの独力でこの危機を脱した。欧米のファンドなどに、血と汗で築いたマレーシア経済をおもちゃにされてたまるかという強い意志がそこにある。以来、リンギは、紆余曲折するけれど、バスケット制を取り入れて安定した通貨となっているようだ。

国費生で経済学部に進むF君が授業の後質問に来た。「この政策は正しいのですか?」私は、「それは歴史が判断するんじゃないかな。」と答えたのだった。文学部出身の私にそのような高度な判断は出来ないし、経済学は社会科学であるから、絶対的・普遍的な「正解」と呼べる経済政策はないと私は思っている。何事にもメリット・デメリットがある。エコノミストでも、自分の見解は出せても、絶対的・普遍的に「正解」だとは言えないだろう。
また、私のクラスの私費生で、S大学の経済学部合格が決まっているK君は「マレーシアは社会主義国ですよねえ。」と感想を述べた。(彼はビザの関係で投稿していたので、せっかくだからプリントを渡し解説していたのだった。)私は、大笑いしたのだが、確かにそういう側面も否定できない。未だ開発独裁的な部分を残していることは確かだ。
さて、現場の日本企業(東証一部上場企業である)で重要な立場にいる友人にこの75%の件を聞いてみた。彼の見解は、大変好意的なモノだった。いわく「良い政策だと思いますよ。」おおお。簡単に言ってのけたのにはビックリした。詳しく理由を聞いたわけではないのだが、マレーシアのリンギが安定していることはそれだけ重要なことであることだけは確かだということが解った。うーん、経済学は奥が深い。まだまだ勉強が全然足りない…。

2018年1月20日土曜日

恩人 夏木陽介氏 死す。

https://blogs.yahoo.co.jp/f
usacyuu3536/12519300.html
日本語を学びに来るPBTの学生に、何故日本語をやろうとしたのか?と聞くと、アニメや漫画、ドラマなどの影響である場合が圧倒的に多い。これは、前々任校の姉妹校・アメリカの日本語コースの生徒達とも共通している。私は、これは十分な動機だと思うし、何を隠そう私が教師になろうとしたのも、子どもの頃に見たドラマの影響なのである。

「これが青春だ」というTVドラマ、「これが青春だ!」という東宝の映画。この青春シリーズの影響が最も大きい。前者の方は竜雷太主演であり、後者は夏木陽介主演である。破天荒な主人公が劣等生を部活動を通して、自信を持たせていくところなどは、実に良く似ている。前者はサッカー部であり、後者はラグビー部である。実は私は運動の方はかなり苦手で、結局運動部には所属しなかった。もし、私に運動能力があれば、ラグビーを選んでいたと思う。それは簡単な理由で、竜雷太もいいが、私は夏木陽介になりたかったからである。結局、指導できるほどではなかったけれど、サッカー部やラグビー部の顧問をしていたのはそういう理由なのである。ドラマでは英語の教師であるが、私は社会の教師であり、だいぶイメージは異なる。だが、夕日が沈む海辺で、生徒を引き連れて夕日に向かって走っていくような「教師の感覚」は、マレーシアに来てからも持ち続けていた。(かなりエアーギター的ではあるけれど…。)

そう、私がなりたかった夏木陽介が死んだ。81歳だという。彼は自分の演じたドラマのお陰で教師になった人間がいると思っていたかどうかはわからない。だが、一言、「あなたがいなければ今の私はありません。ありがとうございました。」と恩人に言っておきたい。心から、ご冥福をお祈りいたします。

2018年1月19日金曜日

PBTの話(7)M君の「志」

サラワクと言えば世界最大の花・ラフレシアかな
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昨日、国費生のムハマド君(男子学生はほとんどムハンマド君なので匿名性をもって、そう呼ぶことにする。)とゆっくり話す機会があった。国費生は、志望理由を3つ書き、大学の志望も書くが文部科学省の指示に互い留学先が決まる。第一の志望理由に書かれていたのが、文化人類学なのだ。

彼はボルネオ島のサラワク州の先住民の村(川を三時間もさかのぼったというからかなりの奥地だ。)を訪れたことがあって、その生活に驚いたのだという。ちなみに彼はKLの出身で、都会人である。かなりの差異を見いだし、純粋に彼らの生活改善をしなければと考えたのだという。

ここには、大きな落とし穴がある。開発の側からの「上から目線」で見ることの恐ろしさがある。彼らにとって幸福とは何かを共に考えるというパートナーシップを忘れると、独善に陥りやすい。それは彼も十分承知していた。彼は、志望理由の中で、沖縄は独自の文化を維持しながらも、近代的な生活を営んでいる、沖縄人のそういう知恵を学び、サラワクの先住民に活かせないかと今考えている。

なかなか面白い発想である。アイヌの人々はどうだったのか?沖縄とどう違うのか?といった質問を受けた。開発と先住民の文化を守るということは二律背反している。それをどう止揚するかであるが、これまで私に開発経済学や歴史、哲学を含め、様々な講義を受けてきている彼は、十分に納得してくれたのだが、彼の「志」は大したものだと思う。将来は研究者となって、大学やサラワクの開発政策に関わっていきたいと考えている。面白い。実に面白いと思う。マレーシアの国費留学生として、真剣に国の行く末を、サラワク開発というフィールドで考えているわけだ。是非とも「志」を全うして貰いたいと思っている。

2018年1月18日木曜日

PBTの話(6)手塚治虫考

http://artgallery.co.jp/shop/tezuka_hanga.html
国費生の研究発表が、今週はずっと5限目に行われていた。私も出来るだけ参加するようにしたのだが、今日は手塚治虫の研究発表の最終局面に間に合ったというのが実際のトコロである。(今年は我がクラスの進学の関係で抜けられないことが多かったのである。)

今年は昨年と違った日本の人物が研究発表のテーマになっていた。その中でも手塚治虫というのは、なかなか面白いと思う。彼らが研究発表時に挙げた代表的作品は、鉄腕アトム、ブラックジャック、リボンの騎士であった。うーん。手塚作品は莫大なので、どれを選ぶかとなると悩むが、私はリボンの騎士を外して「火の鳥」を入れるべきだと思う。

手塚作品は重要なテーマがそれぞれあって、その内実に迫るモノが多い。私は手塚ファンであるとは言えないが、「火の鳥」の大テーマである「生命」はかなり重く、各編もシチエ-ションがそれぞれ豊富で名作中の名作だと思う。

鉄腕アトムに関しては、「少年」という価格の高い月刊誌に連載していた関係で、実はあまりなじみがない。有名な割にアニメも案外見ていなかったりする。当時の労働者階級の息子には高嶺の花のような漫画だった。

不思議なテーマだと思うのは「ジャングル大帝」である。あえて、生態系の頂点に立つ肉食獣のライオンが草食に移行するという、かなり無理なテーマである。トップに立つということの苦悩を手塚治虫は描こうとしたのかな、などと邪推する。

意外に研究発表するのには難しい人物のような気がするのだ。

2018年1月17日水曜日

日本の女子高生の社会学

妻は面白いWEB記事を探し出す達人である。今日も「ダイヤモンドの記事読んだぁ?」ときた。「日本の女子高生は、儒教の影響から脱して、男子高校生より幸福度が高いねんて。」と、その記事の核心を教えてくれる。なるほど、面白そうな記事だ。

今日は、我が文系私費生の面接指導の最終日だった。昨日のブログの「島の規則」を面接指導で使った。(M君はすでに今日の昼に日本に渡った。)昨日はH君が社会学のレポートの件で相談に来た。就学ビザ申請のために来たK君やJ君といった経済学部志望者には一昨日のブログの内容・マレーシアの経済の現況について、国費生へのプリントを元に少し講義した。と、いうわけで我がブログは、このところ受験する私費生の小論文や面接、課題などのヒント集と化している。(笑)

今日のエントリーは、社会学をやりたいH君を始め、経済に関わる学生の分析手法と大いに関係があると思う。WEB記事の順には従わず、先に成人の「幸せはお金で買えるか」というグラフを提示しよう。日本はGDPのわりに幸福度が低い。マレーシアの方がGDPが低いのに幸福度が高い。これは多分に6割を占めるマレー系のイスラム教が関係していると思われる。(これは記事にはない。私感である。)この分析が面白いのは、東アジアの儒教文化圏が固まっていることだ。儒教が、幸福度に少なからず影響を与えていると見ることができるという記事の分析には説得力がある。

さて、記事のタイトルは「日本の女子高校生がやたらと楽しそうな理由」である。このグラフは少し複雑で、横軸は満足度(最高は10)を示している。(グラフは6~9/10に設定されている。)縦軸は満足度の男女の差である。ここでも、文化的な地域区分が読み取れるわけだ。日本は、儒教圏のグループにあって、男女差が最もあるところに特徴がある。ほとんどの国が男子の方が満足度が高いのに、日本だけは女子の方が満足度が高いという特徴が見られるわけだ。その理由の核心は妻の言が核心となっているが、他の文化圏との比較などは、かなり長くなる。興味のある方は、是非ともWEB記事を参考にしてほしい。
http://diamond.jp/articles/-/156079

こうして分析をする仕事というのは、ホント面白いだろうなあと思う。社会科学ここにあり、という感じだ。ただ、様々な視点で見ないと真実のところを見落としてしまう。さてさて、教え子の学生諸君にはちょっとでも参考になっただろうか。今日も面白い記事を見つけてくれた妻に感謝である。

2018年1月16日火曜日

「島」の規則

先日、日本人会の無人古本コーナーで、「ゾウの時間ネズミの時間」(本川達雄著/中公新書)を見つけた。前々から読みたいと思っていた新書だったのが、授業の教材研究には「不急」故に、これまで手に取ることはなかったのだった。ところが、読んでみるとなかなか面白い。

体重が増えると1/4乗で時間が長くなるという話、体重の1/4乗に反比例して酸素消費量は減り、小さい動物ほど細胞の中で酸素をATP(アデノシン三リン酸:エネルギーを蓄える物質)を作り出すミトコンドリアが多いという話も面白い。しかし、私が最も面白いと思ったのは、「島」の規則という古生物学の法則だ。

島に隔離されて住んでいる動物は、大きなゾウではサイズが小さくなり、小さなネズミやウサギは大きくなるのだという。これが、「島」の法則である。島というのは捕食者が少ない環境である。1匹の肉食獣を養うためにはそのエサとして100匹の草食獣が必要になる。ところが、島は狭いので草の量が10匹分しかなければ肉食獣は生存できないわけで、草食獣だけが生き残ることになる。ゾウが大きくなった理由が捕食者に食われにくいからであり、ネズミが小さいのは物陰に隠れるためである。
ゾウは、大きくなるために骨格的にもかなり無理をしている。だから島では大きくなる必要はないのである。そのゾウは同時に1世代の時間が長い。その結果突然変異により新しい種を生み出す可能性を犠牲にしている。進化の袋小路に入っているといってよい。(事実、ゾウはアフリカ象とインド象の2種類になってしまった。)ネズミも小さい故にしょっちゅうエサを食べねばならず、心臓もいつも早く動いているので、血管に大きな負担をかけている、だから両者とも「普通の動物」に戻りたい、よって捕食者がいないなら、ゾウは小さくなり、ネズミは大きくなる。これが「島」の法則の一つの解釈であるそうな。
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0912/25/news046.html
これだけの話ではない。筆者はアメリカで研究生活を送っていて、ふと人間界に於ける「島」の法則に気づくのである。知り合いの学者は、極めてスケールが大きい。偉大な学者が多かったそうだ。しかし、大学の一歩外に出ると、感じが違う。スーパーのレジにしても、車の修理にしてもあきれるほど対応がのろく不適切であったりする。これに対し、日本人の有能さに気づかされる。その時に、著者は「あっ、これは島の法則だ。」と気づくのである。島国という環境で、エリートのサイズは小さくなり、ずばぬけた巨人は出てきにくいけれど、逆に小さい方=庶民のスケールは大きくなり、知的レベルは極めて高い、というわけだ。大陸に住んでいれば、とてつもないことを考えたり、常識外れのことをやることも可能だ。周りから白い目で見られてもよそに逃げていける。しかし島ではそうはいかない。出る釘は打たれる。だから大陸ではとんでもない思想が生まれ、またそれに負けない強靱な思想が生まれる。しかし、これはゾウの思想である。動物に無理のないサイズがあるように、思想にも人類に似合いのサイズがあるのではないか?地球がだんだん狭くなり、大陸時代から島の時代へと映っているように感じる中で、日本人が培ってきた島で生活していくうえでの知恵は、これからの人類に役立つのではないか?こんなことを著者は考えていたというのだ。

もちろん論理的な繋がりはないけれどとあるが、生物学の社会学とのコラボのような話であった。完全文系の私には、生物学は縁遠いのだが、実に示唆に富んだ話だったと思う。

2018年1月15日月曜日

PBTの話(5)マレーシア経済考

国費文系クラスで、いよいよ最終講義に入った。三菱UFJ銀行の最新のリサーチのレポートをもとに、マレーシア経済の現状と問題について考えていくという、極めて大学っぽい講義である。

今年の国費生は、意外と人文系への進学希望が多く、経済学部や経営学部、政策関係・国際関係が少ない。とはいえ、マレーシア政府の税金で日本留学するわけであるから、マレーシア経済の現状を理解しておくことは極めて当然であり、その使命から言っても知っておくべきことだと私は思ったのだ。当然ながら、このレポートの日本語はかなり難解である。今日のエントリーは、最初に提示されている要約を記すことにしたい。

1.マレーシア経済はこのところ5%前後の経済成長率で堅調である。1990年代前半までは、主に電気製品の輸出が牽引してきたが、現在は個人消費の拡大に支えられている。
2.この個人消費については、家計債務残高が増加し、中央銀行によって半数の住宅ローン申請の却下という事態が見られる。乗用車の新車販売台数も昨年は減少した。
3.マレーシアの物価は他のASEAN諸国に比べ安定しているが、金融当局は、インフレよりもリンギ安を強く警戒しているようである。2016年12月に輸出産業の代金については75%をリンギ支払いとするなどの措置をとってリンギ安を警戒している。外国企業は為替リスクのヘッジがしにくくなったとの声がある。
4.マレーシアの財政赤字の対GDP比は近隣諸国に比べて高い。その理由は、石油・天然ガスの価格低下、天然ガスの日本への輸出減少(1/3になっている。)などの要因で、国営企業ペトロナスの収益が減り、=国庫収入の減少となっていること、中進国の罠を抜け出すためのインフラ整備で歳出増になっているためであるが、政府は健全化をはかっており、その憂慮は比較的小さい。国債も対GDP比で近隣諸国より多く発行されているが、外貨の保有も十分であるので、ほぼ問題はない。
5.現在のマレーシアの輸出の最大品目は、集積回路であり、主な輸出先は中国である。マレーシアの為替政策は、中国の元と同様の動きを見せており、対中国に配慮している。
6.マレーシアの経常収支は減少傾向にある。最大の理由は、パーム油の価格低下、天然ガスや石油関連の輸出減少による。
7.マレーシアの1人あたりの名目GDPは$1万に近づいており、OECD加盟国であるメキシコを抜いているが、所得水準が上がり、これまでの低コスト生産の強みは消えかけている。成長戦略としては、イスラム金融やハラル認証と言ったイスラム関連ビジネスへの移行が有望視されている。

と、こんな話を学生と共に読み、解説している。私自身も今まで接したことのない経済学用語が出てきたりするので、実に勉強になっている次第。

2018年1月14日日曜日

センター試験 ムーミン問題考察

昨年度で、センター試験とは縁が切れたと思っていたのだが、地理Bでムーミンが出題されたというニュースが出たので、問題を見てみた。第5問で北欧の地誌を問う問題である。

この問題に対して、受験生からSNS上で個人的な批判が出ている、ということだが、このことを私なりに考察してみた。

実は、地理Bを選択する生徒は、理系志望が多いのである。地歴3科目の中で最も理系に向いているのは、地理Bなのである。自然地理などは、かなり理系的であるし、グラフや統計資料を読解する能力も問われる。地名さえ暗記できれば、後はそういう能力がモノを言う。

ただし、地誌はそうはいかない。北欧、フィンランドとくれば、私は「ムーミン」と「サンタクロース」の故郷の森と湖の国、ノキアなどの携帯電話でも有名、教育立国、ロシアとは歴史的に対立している、などど次々出てくる。地誌を教えるのには、「属性」が大切である。生徒個人との関わり、それを地理の教師は掘り起こしていかねばならない。イギリスの湖水地方に本当に「機関車トーマス」が走っているとか、「フランダースの犬」のフランダースは、フランドル地方のことだとか。(但し、完全なフィクションなのでフランドルに行っても現地の人は全く知らない。)アニメの話題に触れることは、非知的でも非生産的でもなんでもない。重要な属性の発掘作業なのである。おそらく、私の地理Bの講義を受けたOB・OGなら、このムーミン問題を見て間違いなく「やったーっ。秒殺問題!」と思ったはずだ。文句を言っている生徒は、そういう授業を受けれなかったにすぎない。

センター試験の出題範囲を全て教えることは、いかなるプロでも不可能に近い。教えてもらっていないこと自体は、理不尽でも何でもなく、自然なこと、普通のことである。

理系の人々は、答えが1つであると信じている。数学や理科などの自然科学の教科は答えが1つでなければならない。それは当然だ。しかし往々にして、社会科学や人文においても、そうだと勘違いすることがある。英文の和訳も正解はひとつではない。この理系と文系の違いを知ることは極めて重要で、それを補うのが教養というものである。受験はまさに、1点2点の差が人生を決定する。故に不満も大きいことは理解できる。だが、こういう考え方もあるのだよ、ということを指摘しておきたいと思う。

2018年1月13日土曜日

JR信越線のサムライ

https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0111/kyo_180111_4468176022.html
先日から、15時間半もJR信越線の電車が立ち往生したニュースが流れていた。マスコミは、その対応のまずさを指摘していたようだが、乗客のツイッターで、実は運転手が一人で除雪作業をしながら、マイクで乗客を激励していたということがわかったという。
この運転手のお陰で、おそらく長時間閉じ込められはしたものの、全員無事だったというのが事実らしい。何より、一人で黙々と除雪作業をしていたということが凄い。乗客は彼を応援し、席を譲り合いながら車内で頑張りとうせたのだという。

国費の理系の授業で、日本の文化・日本の近現代史を語っているが、この「武士道」というのは、過去のモノではないと私は力説している。今も日本人のDNAの中に流れ、外国人もまた武士道を自分のモノと出来ると話している。

この運転手の責任の取り方はまさしく武士道だ。命がけで乗客のために1人で除雪を行った姿はまさしくサムライである。おそらく、乗客からも手伝いたいという声もあっただろうと推測されるが、彼はそれを受けなかったのではないかと思う。ほんと、よく頑張っていただけたと思う。JRは国鉄解体以後、どうしても効率優先で人員削減もされて苦しい状況に立たされている。そんな中で、本物の「ポッポ屋」がいたのだった。きっと、全国には、同様の志をもった鉄道マンがいるだろうし、様々な職種でも志を持ったサムライがいるはずだ。これこそが、日本の強みだと思う。まさに人は石垣、人は城である。

KLの異常気象?2日続けての雨

クアラルンプールでは、一昨日・昨日と、まるで日本の梅雨のような日が続いた。幸い今日は雨が上がったが、気温が低い。朝23℃くらいで肌寒かった。普段は日中が30℃くらいなので、本来は過ごしやすい気温なのだが、Tシャツ1枚では肌寒い。

学生に聞いてみても、KLで2日続けて一日中雨というのは極めて珍しいとのこと。マレーシアでも東海岸の地域ではよくあるそうだが、初めての経験だという。世界的に、シドニーで40℃を越えたり、反対にアメリカ東海岸で-40℃になったりと、地球温暖化による異常気象が、ここマレーシアにも起こったのかもしれない。妻によるとバリ島の火山噴火の影響じゃないかとのこと。なるほど、そうかもしれない。

私費生の理系国立大学志望者へ講義の中で地球温暖化については触れようと思っていた。先進国の経済的発展が化石燃料や化学物質の大量使用を呼び、地球温暖化を促したのは間違いない。この影響を途上国との関係の中で見ながら、考えていこうと思っている。

思えば、国連のSDGsは、先進国の問題も途上国の問題もグローバリゼーションの中で互いに大きな影響を与えていることを前提に作られている。アメリカが、アメリカ・ファーストを唱えること自体が大きな時代錯誤なのだ。

2018年1月12日金曜日

アフリカは”shithole”か?

人種差別主義者が世界で最も権力を握っているという事実が、またまた報道されている。様々な理由で米国に逃れて来た移民への政策についての上院議員との会合での発言らしい。ハイチやエルサルバドル、アフリカ諸国は**のような国だと表現したという。(ホワイトハウスの広報はこの発言を否定していない。)

調べてみると、それは”shithole”というかなり下品な米語らしい。私は英語が苦手だが、報道によって、その日本語表現が違う。「便所」「肥だめ」「不潔な諸国」「汚い国」「野外便所」「汚い便所」などで、この語は禁句であるという記事もあった。Googleの翻訳ではシトーレという意味不明なカタカナ表記で終わってしまう。YAHOOの辞書も対応しない。weblio辞書では、「劣悪な場所」「粗末な建物」とあった。信じられない暴言だ。

日本でアフリカ学会が批判した国会議員レベルをさらに2段階ぐらい超えている差別発言だ、と私は思う。日本なら凄い批判を浴びて辞任モノだが、米国では、そう簡単に引きずり下ろせないのだろう。ナチスの時は、無批判なドイツ国民が、ユダヤ人や東欧の人々を巻き込み、さらに他の多くの国を巻き込み、結局不幸な結果に陥った。米国国民は、今こそ世界史に学ぶべきだと私は思う。このような差別主義者がトップにいる国の国民であることは恥以外の何者ではないと私などは思うのだが、米国人の友人達(前々任校のALTやアイオワ州の姉妹校の先生方)はどう思っているのだろう、とふと考えてしまった。

http://blogos.com/article/270723/
http://www.sankei.com/world/news/180112/wor1801120026-n1.html
https://www.cnn.co.jp/usa/35113086.html
http://news.livedoor.com/article/detail/14148971/
http://parstoday.com/ja/news/world-i38791
http://news.tvasahi.co.jp/news_international/articles/000118544.html
http://jp.wsj.com/articles/SB11358320518611063672504583632871344886556

2018年1月11日木曜日

米韓大統領の共通点

昨年、米国大統領がパリ協定離脱を表明して大騒ぎになったが、ここにきて復帰もあり得るという発言をしている。全くもって意味不明。ならば、軽率な離脱だったのか?米国に不公平というのは、どういうことか。要するに前オバマ政権の批判のための離脱だったのか?という疑問を呈してしまうわけだ。こういう話、どこかで聞いたことがある。隣国韓国の慰安婦問題と同じだ。前朴政権は間違っていたから、日本との約束事を違える、しかし状況が悪くなったので、10億円を肩代わりする…。全く意味がわからない。

こういう幼稚な政治が世界を動かしていると言うこと自体が摩訶不思議だ。周りは振り回されるばかりである。それも自政権の保身のために、である。全くもって、仁義なき世界である、私などは暗澹たる思いでいるのだが…。

2018年1月10日水曜日

PBTの話(4)南北貿易ゲーム'18

今年の国費文系は総勢15名と少ないが盛り上がった。
私費生には時間がなくて出来なかった南北貿易ゲームを、国費生文系のBクラスで今年もやってみた。資本主義のえげつなさを実感できる、このゲーム、昨年は、私費生の中華系はかなり燃え上がったが、国費生は淡々とこなしたという感じだった。さてさて、今年はどうだろうか。

90分+50分の2限・3限の授業。じっくりと打ち合わせできるように配慮した。すると、今年の国費生はなかなか面白い動きを見せた。先進国のドイツが、製品をいくつか完成させるという契約で、途上国から雇用していたのだ。時間ではなく、製品の数である。この動きは、実に有効である。アメリカは、他と基本的に交わらない保護主義に走った。後で理由を聞くと「アメリカ・ファーストですから。」とナイスな回答が寄せられた。途上国の2チーム(ケニアとブルキナファソ)は、結局連合してゲームを乗り切った。ゲーム後獲得した貨幣を書きに来た後、「AUとしては、アメリカに勝った!」という台詞を残した。つまり、2ヶ国合わせればアメリカに勝利したというわけだ。(笑)

と、いうわけで今年の国費生文系は意外に、様々な戦略があって大いに盛り上がったのだった。EJUの成績は昨年度の国費生より厳しかったが、こういう面では力を発揮する。ちょっと嬉しかったのだった。(私費生でもやりたかったなあと思う。)

2018年1月9日火曜日

PBTの話(3)サクラサクⅠ

https://azumino-ijyu.jp/wp/wp-content/uploads/2016/03/slide_img_01.jpg
いよいよ、国立大学の結果が開きだした。まずは、K君が受験していたS大学である。この入試は本校内でスカイプで講義を数日受け、面接や数学のテスト、EJUの結果などを総合的に判断する特別入試である。文系は初の試みということだった。

面接は、個人的なこともさることながら、経済問題について様々な角度から質問を受けるという厳しいものだった。昼休みに行われる面接のために、始業前、事前に提出した経済問題に対するK君の小論をもとに2人で論議を交わした。アベノミクスの是非についての小論で、おそらく厳しい批判がなされるだろうと私は思っていたのだが、まさにその通りにコテンパンにやられたようだ。だが、日本の高校生でも同じはずだ。大学の先生方に勝てるわけがない。おそらくは、議論の素養について見ておられたのだろう。小論の内容を自分のものにしているか否かが重要だったと思う。

私は、このS大学に憧れを抱いていた。素晴らしい自然環境に恵まれた大学だ。妻とバス旅行で何度も旅した。北アルプス、安曇野、軽井沢…。中山道沿いの歴史のある宿場町も最高だ。自分の行きたかった大学に教え子を送れるのは、この上ない喜びである。K君には豊かな自然の中、青春を謳歌してもらいたいものだ。

2018年1月8日月曜日

大学・高校ラグビーの話題

https://ameblo.jp/sanpurena/entry-12342578738.html
マレーシアにあって残念なことはラグビーの試合をLIVEで見れないことかもしれない。私の正月の楽しみは、箱根駅伝ではなく大学ラグビーの試合だった。当然ながら、花園も大好きである。

大学の方は、今年も帝京大学が優勝し、9連覇である。明治大学にハラハラするような一点差の勝利。もしLIVEで見ていたら感動モノだったと思う。一応私も帝京大学グループの一員である。実に嬉しい。奈良出身の竹山は次の五郎丸になる男だと思う。おそらく彼がキャプテンになるだろう(WEB記事による)が、来年も頑張って欲しい。

花園の方は、大阪同士の戦いになった。東海大仰星と大阪桐蔭。前任校では、ラグビー部の顧問をしていたが、この両校と対戦する時には、「怪我するなよ。」としか言えないほどの強豪である。で、結局、大阪の実家がある枚方市の東海大仰星が勝った。うん、ちょっとめでたい。最後に河瀬という選手がトライを決めたらしい。WEBの記事を読んでいてびっくりしたのは、彼は私の中学の後輩だった。昔、前々任校で生活指導部長をやっていた時、母校のラグビー部を指導しているという中学の先生(彼も中学の生活指導関係の仕事をしていた。)と知り合ったことがある。かなり前のことなので、おそらく違う先生が今は指導していると思うが、母校にラグビー部ができたことにびっくりしたことを覚えている。ちなみに後輩の河瀬君は早稲田大学に進むらしい。私の母校もラグビーで有名になっているのかしらん。

バッタを倒しにアフリカへ 3

ティジャニ君が運転する4WD 
http://d.hatena.ne.jp/otokomaeno/20110520/1305914965
「バッタを倒しにアフリカへ 」の書評の続きをエントリーしたい。今日は、モーリタニアの状況について、である。強烈に印象に残っている話は、著者の選任ドライバーとなったティジャニ君の家庭の話である。モーリタニアでは、太った女性がもてるそうだ。そこで、まるで清時代の纏足よろしく、女児に無理矢理食事させ太らせる習慣があるらしい。ティジャニ君は、それがかわいそうで奥さんと不和になる。結局離婚するのだが、こういう民族的な文化の伝統は面白い。(女児はたまったものではないだろうし、ジェンダー的にも問題があるが、文化人類学的に興味深いという意味である。私は西欧的な尺度で全てを測るべきではないと思っている。)

そのティジャニ君、なかなかの名ドライバーぶりが本書の中に出てくる。サッファという砂漠にある塩分の多い土地を避けるシーンがある。夜になると水が地面から出てきて車が抜け出せなくなるそうだ。また地雷原の位置もよく知っている。バッタを追う著者を救うこともしばしばである。このティジャニ君を著者は極めて厚情を持って接している。決して、上下関係ではない、まさにパートナーである。著者の人情の機微は見ていて嬉しくなるほどだ。

また、砂漠の民と共に山羊を屠って、食す場面も興味深い。最後に骨にのこる髄液を米に混ぜ炊き込んだ肉飯をいただくシーンがある。これが実に美味らしい。アフリカの食事はシンプルだが、旨いと私も思っている。いやー、食べてみたいもんだ。

2018年1月7日日曜日

私家的 都市の文化人類学資料

我がコンドミニアムには、エレベーターのガラス付きの掲示板に様々なお知らせが載っている。何時いつに防虫剤を撒きますよとか、何階の何号室でメンテナンスをしますよとか、の情報が英語と中国語で記されている。昨日、妻と買い物に出かけようとエレベーターに乗ったら、このコンド全体の統計資料が載っていた。なかなか興味深いのでエントリーしておこうと思う。

我がコンドは3棟あるのだが、3棟全体の合計資料だけを記しておこうと思う。買い取って住んでいる世帯は170(46%)、賃貸契約で住んでいる世帯は129(35%)、空き部屋が71(19%)である。(棟によってほとんど比率は同じ。)

空き部屋比率の約20%というのは、他と比較したわけではないが、予想どおりかなと思う。我がコンドは歴史があって(悪く言えば古い)、賃料も妥当なので意外に人気のコンドなのである。最近はどんどん突貫工事で新しいコンドが建てられ、工事の不備がそこかしこに出てきて、住んでいる人は大変らしい。タイルがはがれたとか、水回りが悪いとか、新しいが故に様々なトラブルがあると聞く。KLのコンドをよく知る人は、新しいから良いとは思っていないようだ。我がコンドは古いのにメンテナンスがいいという評判である。と、いうわけで稼働率はまあまあというわけだ。それより、買い取って住んでいるオーナーが多いのにびっくりした。

次に、マレーシア国籍と外国人の比率。これが面白い。3棟トータルで、44世帯(34%) VS 85世帯(66%)で、外国人の方が多い。ということは外国人で買い取って住んでいる世帯もあるわけだ。さて、その国別。1位は我が日本人。47世帯(55%)である。続いてインド人24世帯(28%)、中国人7世帯(8%)、イラク人・パキスタン人が2世帯ずつ(2%)、1世帯(各1%)なのが、北朝鮮、イギリス、フィリピンとなっている。妻と2人で驚いたのは北朝鮮の住人がいたことである。

ちなみに、中国人やインド人はマレーシア国籍か否かは全く概観では解らない。よって、我がコンドは、とにかく日本人世帯が33%を占めている、ということがわかった次第。意外に多いのだが、同じPBTの先生方以外はあまり合わない。車で外出する人がほとんどだからかもしれない。

私の住むタマンデサは、日本からの駐在員が多く住む高級住宅街のモントキアラにつぐであろう日本人の多い地域である、ということの1つの実証資料になるとは思う。私家的なマレーシアの都市の文化人類学資料である。

バッタを倒しにアフリカへ 2

http://president.jp/articles/-/10660?page=2
「バッタを倒しにアフリカへ」(前野ウルド浩太郞著/光文社新書)の書評の続きである。私は昆虫は大の苦手なので、まずはモーリタニアの興味深い話をアトランダムに記しておきたい。モーリタニアは一応サブ=サハラアフリカの区分に入る。イスラム教国だがブラックアフリカである。

モーリタニアとくれば、連想されるのは「蛸」である。不思議にアフリカでは、「モ」で始まる国で蛸が取れ、日本に輸入されている。モロッコ、モザンビークとともに大産地である。モーリタニアの蛸は日本の真蛸と食感がそっくりで、日本では大変重宝されているとのこと。「プルプル」と呼ばれているこの蛸だが現地人は食べない。(イスラム教徒のハラルでは蛸は食べることは可能だと思うが…。)蛸壺漁を日本が伝え、JICAが中心になって冷凍庫をつくり、加工技術なども伝えて大いに繁盛しているらしい。

ところで、著者の「ウルド」というミドルネームは、バッタ研究所のババ所長から与えられたもので、Ouldと書く。モーリタニアで最高に敬意を払われるミドルネームで「○○の子孫」という意味らしい。帰国前にこのウルドの使用は法的に削除するように政府から指示が出たそうで、ババ所長は著者に自分のウルドを引き継いでくれと言っている。この所長さん、たいした人物だと思う。

この所長の話はいろんなところに登場する。「問題。電線に小鳥が5羽止まっている。銃には弾が3発。何羽仕留められるか?」著者が「もちろん3羽」と答えると、「ノン、正解は1羽。他の鳥は1発目の銃声を聞いたら逃げる。いいか、コータロー、覚えておけ、これが自然だ。自然は単なる数字じゃ説明できないのだよ。自分で体験しなければ、自然を理解するすることは到底不可能だ。自然を知ることは研究者にとって強みになるから、これからも野外調査を頑張ってくれ。」…至言であると私も思う。これは社会科学でも同様だ。…つづく。

2018年1月6日土曜日

バッタを倒しにアフリカへ

以前アマゾンで注文し、昨年11月の一時帰国の際手に入れた「バッタを倒しにアフリカへ」を読み終えた。市井の自称アフリカ研究家としては、サバクトビバッタによる虫害で西アフリカを中心にえげつない被害が出ていることは知っている。この本はその研究に行った人物の本だとタイトルだけでわかった。ただ、本のカバーに緑の服を着た不真面目そうな(実はそうではいのだが…)著者の写真が載っていて、手にとってからなんとなく読むのが後回しになっていたのだった。

この本は昨年5月発行で、今やベストセラーになっているそうで、いまさらの書評になってしまうが、著者の筆はディティールに凝っているというのが第一の感想。面白い表現が多い。第9章の表題、「我サハラに死せず」などは、「サハラに死す」という上温湯隆氏の有名な本のタイトルを見事に逆手に取っている。こういうちょっとした表現が、これまでのエッセイ風アフリカ本(「アフリカにょろり旅」や「モザンビークの青い空」など)との差異であると思う。

ポスドク(博士課程を終了した研究者)の悲哀がこの本の主軸だ。我が息子もそうだし、マレーシアに来て大学に勤める研究者の方も何人か知遇を得たので、このあたりの状況説明には属性がある。研究者の道はたしかに険しい。

だが、著者はモーリタニアでも実に良い人々に恵まれている。バッタ研究所の所長もそうだし、日本大使館の方々。さらに無収入になってから支援の手をさしのべてくれた日本の方々もそうである。中でも白眉プロジェクトでの京大総長の面接のシーンは圧巻だ。「過酷な環境の中で生活し、研究するのは本当に困難なことだと思います。私は一人の人間として、あなたに感謝します。」と言われるのだ。

この当時の京大総長は調べてみたら、松本紘氏である。宇宙科学・宇宙電波工学がご専門の凄い方だ。私にも縁がある奈良女子大付属高校(現在は中等教育学校)のご出身でもあった。やはり、超一流の人物の言葉は深さが違う。

このシーンを、私は通勤時、バスがミッドバレーに着く手前で読んでいた。突然涙が出そうになった。マレーシアは、モーリタニアと比べ、100倍も1000倍も生活が楽だと思う。だが、この言葉をまるで自分にもいただいたような気がしたのである。思い上がりだとは思うが、海外で生活することには、たとえ中進国マレーシアであるといえどそれなりの苦労もある。志をもって海外で生きていることに対するありがたい言葉として、心に響いたのだった。

この本の中にあるアフリカ・モーリタニアの話は貴重なものなので、備忘録的に後述したいと思う。

2018年1月5日金曜日

冷蔵庫クライシス

昨年、電子レンジが壊れて、何日か不便した。年末には、換気扇が壊れてしまった。これも先日新しい換気扇がつけられてメデタシ・メデタシとなった。マレーシアのコンドミニアムは、オーナーがこういう壊れた機器の付け替えを行うシステムになっている。借りている方には、消耗品以外は基本的にお金がかからないわけだ。

さて、一昨日くらいから今度は、冷蔵庫の調子が悪くなった。電化製品の調子は伝染するようだ。何か変な音がすると妻。案の定、冷凍庫も冷蔵庫もあまり冷えない。南国マレーシアにおいては、電子レンジや換気扇と冷蔵庫は根本的に重要度が違う。冷凍庫の中には買い置きしてある肉類などが満杯である。さすがにアイスクリームはないけれど、冷蔵庫が冷えない=食料が腐り、病気にもなりかねない。

えらいこっちゃ、というわけで妻が朝からエージェントに連絡したら、昼過ぎに電気関係のワーカーさんがやってきたそうだ。我が住処の冷蔵庫は東芝製なので、わざわざ部品を東芝のセンターまで取りに行って夕方には修理してくれた。なんとか我が住処の冷蔵庫は息を吹き返したのだった。普段は、何かと時間のかかるマレーシアだが、今回はなかなかスピーディーだった。

今のところ、冷蔵庫は順調に回復していいるようである。

2018年1月4日木曜日

PBTの話(2)理系の面接指導

https://thenypost.files.wordpress.com/2017/12/171206-google-smart-ai-child-feature.jpg?quality=90&strip=all&w=664&h=441&crop=1
1月は意外と忙しい。これまで関わらなかった理系の学生を教えることになるからである。朝2限目は、国費の理系のクラスで初授業を行った。まずは都道府県の紹介から。昼からは私費の理系学生の国立大学対策の面接指導であった。私は文系の面接指導が主なので、この1回だけである。初めて話をする学生も多かったのだが、なんやかんやと顔なじみである。情報工学を志望する学生は、なかなか面白い。将来の夢を聞いたら、AI関係の仕事を希望する学生がいて、AIの功罪について突っ込みたかったが、後に小論文関連で社会の授業をもつので、その時のお楽しみとにした。(笑)

なかなか私費理系の国立大学をめざす学生は優秀である。話していて面白い。理系の学生こそ、哲学を持つべきである。科学技術は両刃の剣であるからだ。AIにしても、大変有用な技術であると思う。グーグルの翻訳機能などはかなりレベルが上がっている。しかし、自動運転や様々な情報の処理をAIが行った際の責任の所在をはじめとした法的な整備はまだまだ進んでおらず、後手にまわるとかなり多くの問題を生みそうだ。

理系の学生と接するのも、私にとっては新鮮な触発の機会である。明日金曜日は、我が文系の学生の小論文指導である。来るのは女子学生3人だけだが、顔を見るだけでホッとするだろうなあと思う。

2018年1月3日水曜日

正月早々、怒りを込める。

https://pbs.twimg.com/
media/C4tPwvCVcAAAUBS.jpg
私はツイッターが嫌いだ。短い文章で何を表現し、何を発信できるのだろうと常々思っている。一般人のたわいもない話題も電波と電力の無駄遣いだと思うのだが、これが世界に影響力をもつ者が、言語道断なツイッターをまき散らすという事態は異常すぎる。こんな世界を誰が想像できただろうか。

正月早々、パキスタンを批判したと思ったら、今度は北朝鮮への幼児的な挑発である。北の新年の辞の「核兵器発射のボタンは常に自分の机の上にある。」という発言に対し、自分の核兵器の方が「はるかに大きく強力だ。」と投稿したという。全く信じられない。まるで、幼稚園児が自分のおもちゃの優劣を競い合っているかのような台詞ではないか。
http://www.bbc.com/japanese/42550711

いみじくも、ローマ法王が長崎の被災者の少年の写真を昨年末世界各地の教会に核兵器廃絶へのメッセージとともに配布したばかりである。

こういう幼児のような男に、東アジアの平和が蹂躙されていいわけがない。怒りを込めて、その幼児性を糾弾したい。

2018年1月1日月曜日

PBTの話(1)新日本地理教材

1月2日から授業である。今年も文系の国費生に加えて、理系の国費生も教える。卒業した私費生の理系学生の国立大学受験の特別補講もある。パワーポイントの教材もできて、プリントを用意しようとして、ふと気がついた。国費の理系はまったく日本の地理、都道府県名も知らない。昨年そのためのパワーポイントも作ったので、それを使ってもいいのだけれど、結局新しく作り直すことにした。大晦日は、コツコツとPCに向かっていた。
大きな改訂点は、その県の特徴を考えながら摑ませたいと考えたのだ。WEBには、様々な都道府県ランキングも載っている。まずは、在日マレーシア人の人口ランキング。マレーシア人がどれくらいいるかは彼らの大きな関心事でもある。やはり東京近郊の大都市圏が多いのは当然である。さらに面白い記事を見つけた。各都道府県の種々のランキングで1位と47位の事項だけを併記してあるものだ。
たとえば、岩手県。農業就業人口が第1位。教育県らしく小学生の読書率や中学生の部活参加率も1位でセンター試験でも浪人率が第47位。つまり現役合格が多いわけだ。マクドナルドの店舗が少ないというのも面白い。画像は今回は1点ずつ。小岩井農場の一本桜である。(ちなみに、小岩井農場の小は土佐・陸援隊出身の小野義眞、岩は岩崎弥之助、井は長州ファイブの1人で英国で鉄道を学んだ井上勝である。)
山梨県。旅館数第1位。旅館という日本式ホテルについて説明が必要だが、こういうプレゼンも日本理解のために重要だと思う。年間日照時間第1位はブドウ栽培に結びつく。セブンイレブンはマレーシアにも多いので載せた。卵消費が少ないのは意外。画像は静岡県からの富士山(静岡は茶畑からだ。)と対比させてみようと思っている。

さて、今日・元旦は残ったの中国・四国地方からスタートである。

「諦」から「安」に向かって

マレーシアのウユニ湖?での夫婦記念撮影
2018年の新年を日本より1時間遅れで迎えました。新年と同時に数カ所で打ち上げ花火が上がり、住処の窓から夫婦で見下ろして鑑賞しました。マレーシア人は打ち上げ花火が大好きです。近隣の犬たちもワンワンと大声で吠えています。日本の「行く年来る年」といった厳かさはありませんが、これまたマレーシアなのだと思います。(笑)

幸い、PBT(旧IBT)の我が私費文系クラスでは各大学の留学試験に対して全戦全勝中です。これから国公立大学を中心にさらに戦いが進みますが、気を緩めずに祈っていきたいと思います。一方で国費生のEJUの結果が意外なくらい低迷しました。私の戦略ミスかもしれません。

新年は、何より夫婦共々健康に留意していきたいと思っています。やはり年齢を感じることが多くなりました。

昨年の国際政治の漢字を私が選ぶとすれば、「諦」でしょうか。米国や北朝鮮、韓国などの非理性的な政治姿勢に「諦」。365日怒りを通り越して「諦」の日々でした。今年は、東アジアに平和を、アフリカに平和を、そして全世界に平和をと祈らずにおれません。2018年は「諦」から「安」へ、自他共に向かう年であるようと念願しています。

最後になりましたが、新年を迎え、読者の皆様とともに言祝ぎたいと思います。今年もよろしくお願いいたします。