2018年1月7日日曜日

バッタを倒しにアフリカへ 2

http://president.jp/articles/-/10660?page=2
「バッタを倒しにアフリカへ」(前野ウルド浩太郞著/光文社新書)の書評の続きである。私は昆虫は大の苦手なので、まずはモーリタニアの興味深い話をアトランダムに記しておきたい。モーリタニアは一応サブ=サハラアフリカの区分に入る。イスラム教国だがブラックアフリカである。

モーリタニアとくれば、連想されるのは「蛸」である。不思議にアフリカでは、「モ」で始まる国で蛸が取れ、日本に輸入されている。モロッコ、モザンビークとともに大産地である。モーリタニアの蛸は日本の真蛸と食感がそっくりで、日本では大変重宝されているとのこと。「プルプル」と呼ばれているこの蛸だが現地人は食べない。(イスラム教徒のハラルでは蛸は食べることは可能だと思うが…。)蛸壺漁を日本が伝え、JICAが中心になって冷凍庫をつくり、加工技術なども伝えて大いに繁盛しているらしい。

ところで、著者の「ウルド」というミドルネームは、バッタ研究所のババ所長から与えられたもので、Ouldと書く。モーリタニアで最高に敬意を払われるミドルネームで「○○の子孫」という意味らしい。帰国前にこのウルドの使用は法的に削除するように政府から指示が出たそうで、ババ所長は著者に自分のウルドを引き継いでくれと言っている。この所長さん、たいした人物だと思う。

この所長の話はいろんなところに登場する。「問題。電線に小鳥が5羽止まっている。銃には弾が3発。何羽仕留められるか?」著者が「もちろん3羽」と答えると、「ノン、正解は1羽。他の鳥は1発目の銃声を聞いたら逃げる。いいか、コータロー、覚えておけ、これが自然だ。自然は単なる数字じゃ説明できないのだよ。自分で体験しなければ、自然を理解するすることは到底不可能だ。自然を知ることは研究者にとって強みになるから、これからも野外調査を頑張ってくれ。」…至言であると私も思う。これは社会科学でも同様だ。…つづく。

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