2018年1月19日金曜日

PBTの話(7)M君の「志」

サラワクと言えば世界最大の花・ラフレシアかな
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昨日、国費生のムハマド君(男子学生はほとんどムハンマド君なので匿名性をもって、そう呼ぶことにする。)とゆっくり話す機会があった。国費生は、志望理由を3つ書き、大学の志望も書くが文部科学省の指示に互い留学先が決まる。第一の志望理由に書かれていたのが、文化人類学なのだ。

彼はボルネオ島のサラワク州の先住民の村(川を三時間もさかのぼったというからかなりの奥地だ。)を訪れたことがあって、その生活に驚いたのだという。ちなみに彼はKLの出身で、都会人である。かなりの差異を見いだし、純粋に彼らの生活改善をしなければと考えたのだという。

ここには、大きな落とし穴がある。開発の側からの「上から目線」で見ることの恐ろしさがある。彼らにとって幸福とは何かを共に考えるというパートナーシップを忘れると、独善に陥りやすい。それは彼も十分承知していた。彼は、志望理由の中で、沖縄は独自の文化を維持しながらも、近代的な生活を営んでいる、沖縄人のそういう知恵を学び、サラワクの先住民に活かせないかと今考えている。

なかなか面白い発想である。アイヌの人々はどうだったのか?沖縄とどう違うのか?といった質問を受けた。開発と先住民の文化を守るということは二律背反している。それをどう止揚するかであるが、これまで私に開発経済学や歴史、哲学を含め、様々な講義を受けてきている彼は、十分に納得してくれたのだが、彼の「志」は大したものだと思う。将来は研究者となって、大学やサラワクの開発政策に関わっていきたいと考えている。面白い。実に面白いと思う。マレーシアの国費留学生として、真剣に国の行く末を、サラワク開発というフィールドで考えているわけだ。是非とも「志」を全うして貰いたいと思っている。

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