2019年10月31日木曜日

朝、また猪と出会う

星印あたりでガサガサ。移動して小道の男性に発見されたようだ。
先日、散歩に出かけて猪と出くわして驚いたが、今朝ゴミ袋をもっていこうとしたら、直線距離にして5mほどのところの竹林がガサガサ揺れていた。(ちなみに私は教職員住宅の2Fに住んでいる。)それが移動しさらにブゥーという鼻息が聞こえた。さらに移動してガサガサ。姿は見えないものの猪に違いない。ちょうどそこに小道を歩いてきた40代くらいの男性が通りかかり、ジーッと見ていた。彼もまた猪に気づいたようだ。挨拶をして、「猪ですね。」と共通の話題ができた。
先日の猪との遭遇場所(星印)猪はこちらをじっと見ていた。
猪との遭遇、今度はさらに近い。直接姿は見ていたないが、今朝の方が怖い気がする。要するに私の住処のごく近くまで猪の生活圏が接近しているということだ。ところで住処の周りには、カラスや雀といったメジャーな鳥だけでなく、様々な渡り鳥も飛来する。蜘蛛やカマキリ、バッタ、てんとう虫、さらに様々な種類の蝶もいて、数多くの生命に囲まれて暮らしているわけだ。我々は、彼らの生活圏で共存(おじゃま)していると言っていい。大阪の自宅も比較的自然が豊かなところだったけれど、こちらとはスケールが違う。都会は都会でいいが、田舎は田舎で、そういう大事なことを思い出させてくれる。

2019年10月30日水曜日

映画 "Most Likely to Succeed"

https://globe.asahi.com/article/12076800
今、未咲輝塾では、塾長のN先生中心にプリマ・ペンギーノ(公営塾を支えている会社。私はここに応募して三崎にやってきた。)が上映権を購入したドキュメンタリー映画を伊方町で上映する計画を立てている。"Most Likely to Succeed"という映画で、これを見て皆でこれからの教育について考えようというイベントである。

この新しい教育を実践している学校は、カリフォルニア州サンディエゴのチャータースクール(特別認可を受けて開校する公立学校)で「High teach High」といい、半導体企業のクアルコム(Qualcomm)の創業者の息子が設立資金を出して2000年開校した。学費は無料で、希望者の中から抽選で選ばれる故に、多様性が高く、また貧困層の子供も多い。(現在は幼稚園から高校まで13校と教育大学院を有している。)
https://www.hightechhigh.org/
今のアメリカの教育システムは軍隊や工場で活躍できる人材育成が主眼で100年以上前のものである。既存の教育を捨て、「AI(人工知能)やロボットが生活に浸透していく21世紀の子供たちに必要な教育」を施すというポリシーでこの学校は運営されている。
より具体的には、教師(彼らの雇用形態は1年契約であるが熱意のある教師がたくさん応募してくる。)1人ひとりに、どんな授業をするか完全に任されている。教科書も試験も成績表もない。試験の代わりに開催される学期末の展示会に向けクラス単位で作品制作などのプロジェクトに取り組む。完全なPBL(Ploject Besed Learning=課題解決型学習)の学校である。

PBLは、アクティブ・ラーニングのひとつである。アクティブ・ラーニングは、文科省の定義によると、「教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。」「発見学習・問題解決学習・体験学習・調査学習等が含まれるが、教室内でのグループディスカッション、ディベート、グループワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。」となっている。ここで述べられている「問題(課題)解決学習」がPBLであると言ってよいかと思う。この学習では、与えられた問題に、明らかな正解はない。学びのプロセスが能動的で重要な意味を持つ。

私がこれまで国際理解教育(実際には地理Bの授業)で実践した中で言うと、「私のPRSP(貧困削減文書)」のグループワークが挙げられる。課題はコートジボワールのPRSPを考えようというものだった。生徒はまず、PRSPとはいかなるものかを調べ、次にコートジボワールの地理・歴史・産業・文化などを個々に調べ、開発経済学を学び、次々に疑問がわき、さらに調べ、自分の意見を作る。それらをグループワークの中でまとめ上げていったのである。もし、私が英語が出来て、HTHの教員になることができたら、同じようなアフリカ開発経済学のPBLをやるだろうと思う。

ところで、私はアメリカの高校を5校ほど視察したことがある。ボストン(MA)・ミルウォーキー(WI)・デトロイト(MN)・ニューバーン(NC)・アーバンデール(IA)である。アメリカの教育事情は日本とはかなり違うことを認識している。まずカリキュラム(前・後期でそれぞれ数教科選択)的にも、授業時間(午前中だけの学校もあった)にもかなりゆとりがある。定教室はなく、授業担当者の教室に移動して授業を受ける。教科書もガイドラインはあるもののかなり自由度が高い。HTHのPBLの実践も、このような日本とは全く異なる教育事情を基盤としていることを記しておきたい。また、サンディエゴはカリフォルニア州最南部メキシコとの国境の街で、太平洋方面の重要な海軍基地であるとともに、前述のクアルコムを中心としたIT産業が集結しロスに次ぐ人口をもつ大都市でもあることも付記しておきたい。(私の印象では、風光明媚ないい都市である。)

さて、このHTH、州の標準テストでも平均以上の学力をキープしているし、大学進学率も98%と高い。前述のように貧困層が50%を占めていることを念頭に置くと、その学習効果を高く評価するのは当然だと思われる。この映画、私も楽しみにしている。

http://atcafe-media.com/2017/12/26/most-likely-to-succeed/
http://www.futureedu.tokyo/education-news-blog/2016/9/18/high-tech-high-3
https://globe.asahi.com/article/12076800
https://www.hightechhigh.org/

ピルグリム・ファーザーズ

http://rebolloushistory.blogspot.com/p/chapter-1.html
橋爪大三郎・大澤真幸の「アメリカ」を読んでいると、当然ながら一神教の歴史、特に宗教改革以後の世界の話題が出てくる。ある程度の知識がないと読めない本ではある。最初の方で、そういった歴史の概説の後、ピルグリム・ファーザーズの話が出てくる。実は私は、彼らピューリタンが非ピューリタンをメイフラワー号上で多く殺害した、とんでもない連中だと思っていた。「アメリカの作り方」という本に書かれていたように記憶する。それに、実際にアメリカは、彼らが最初に植民したわけではなく、ヴァージニアなどにイギリス国王の認めた植民地がすでに建設されていた。アメリカは、なぜ彼らを殊更に重視し神話化するのか謎であった。その謎を解くカギが示される。

前述のように、メイフラワー号には非ピューリタンも乗船していた。最初ヴァージニアに向かう予定で非ピューリタンはそこで働こうとする人々であった。ところが、北にそれ、現在のマサチューセッツ州のプリマスあたりに到着してしまった。ここは、イギリス国の特許状のない未開の土地であることが重要である。ヴァージニアなら、すでに法律も社会秩序も存在しているが、ここは無法地帯である。そこで、メイフラワー契約が結ばれる。契約によって社会を作ることになった。これがアメリカのひな型になる。だから、重要なのだというわけだ。こう記すと社会契約説の影響に思われるが、まだホッブズもロックも登場する寸前であるらしい。先んじて社会契約による社会を形成したわけだ。
…2人の社会学者の議論は、ここから始まっていく。

2019年10月29日火曜日

緒方貞子さんの訃報

https://www.bbc.com/japanese/50217539
緒方貞子さんの訃報が流れてきた。緒方さんの実績や賞賛については、朝日も毎日も産経も同様。こういう左右から毀誉褒貶のない人物は実に珍しいと思う。とにかく凄い方なので私などが講釈を垂れる必要もないだろうと思うのだが、是非エントリーしておきたい。

誰もが緒方貞子になれるわけではないと思う。緒方さんは、犬養首相の曾孫であり、外交官の娘であり、夫は緒方竹虎の三男で日銀副総裁。当然ながら戦前から戦後にかけての日本のエスタブリッシュメントである。だから上皇后様と同じS女子大学で学べたのだし、米国にも留学できたわけで、華麗な経歴を歩んでこれたのだと思う。しかし、出自が全てではない。彼女は国際関係学の優秀な学者であり、何より真のエスタブリッシュメントであった(=上流階級の人間として貧困に苦しむ人々のために最前線に立って戦った。)。それが最も顕著に表れたのが、UNCHRでの10年であったといえよう。(もちろん、JICA理事長をはじめ多くの公務をされている。)…日本が誇る地球市民である。

同時に、誰もが緒方貞子になれると私は思う。彼女のような立場ではないにせよ、あらゆる問題に我々は関わっていける。今の時代、一個人でもSNSで発信できるし、世界の事を考え行動することが可能である。もちろん、地球市民として生きることができる。

PBTで、日本人の偉人を調べて発表するという授業が行われていて、常に私が第一に推したのは緒方貞子さんだった。”The best of 地球市民 in Japanese.”だからである。ちなみに2番目に押すのは、イチローだった。彼は現代日本における”The best of サムライ in Japanese.”だからだ。我々は、”Best”ではないが、地球市民にもサムライにもなることはできると私は思っている。

まさに巨星墜つ。だが、彼女の後に、陸続と地球市民が続いていくはずだ。

2019年10月28日月曜日

八幡浜で新書「アメリカ」購入

マレーシアから日本に帰国して、メリット・デメリットがそれぞれあるのだが、メリットの1つが本屋で実際に買いたい本を手にすることができるということだ。先週の土曜日に八幡浜に買い物に行った際に、「アメリカ」(橋爪大三郎・大澤真幸/河出新書2018年11月)を購入した。この2人の社会学者の対談はすでに何冊も読んでいる。安心感とともに期待感を抱かせる。

大澤氏の「まえがき」を読んだだけで「買い」である。少し引用しておこう。(趣意)アメリカには極端な両義性がある。圧倒的な世界標準としてのアメリカ。もうひとつは西洋世界でありながら、違いが際立つ例外としてのアメリカ。この二重性によってアメリカが現代を代表している。一方、戦後の日本は、このアメリカへの愛着が強い。しかし日本ほどアメリカへの無理解が甚だしい国はない。これは、日本が一神教と最も縁遠い故である。

現在40ページほど読んだのだが、この対談は目次を見ると、およそ、①キリスト教理解から見るなアメリカ、②プラグマティズム、③奴隷制、非社会主義など現代アメリカとの関わりに分かれている。私はこの本の視点はすこぶる正しいと思う。一神教の理解無くしてアメリカは分からない。プラグマティズムを理解しないとアメリカ人の発想は分からないのである。

これまでアメリカ関係の本をどれだけ読んできただろう。この1冊はそれらを止揚するものになるのか、あるいは全く別のベクトルを提示してくれるものになるのだろうか。実に楽しみである。

2019年10月27日日曜日

散歩に出かけて猪と出会う

三崎から先に延びる佐田岬半島の風車(拡大できます。)
土日の休日は、だいたい八幡浜方面に買い物に出かけることが多くなった。三崎の物価は高いし、商品の種類が少ない故である。今の時期、八幡浜特産の富士という柿が美味しいく安いので、いきおい車を走らせることになる。トンネルも多いし、アップダウンもかなりある片道約45分のドライブである。ただ、車が少ないし、慣れてきたので、特に負担ではなくなってきた。…こちらに来て1か月を超えた。
裂織の展示コーナー
血糖値の事もあって、今日はジャランジャラン(マレー語で散歩の意)に出かけることにした。ちょうど体育館で三崎の文化祭が行われていたし、見物がてらである。体育館は舞台と展示スペースに分けられていて、絵画や工芸品などが地元の様々な団体によって展示されていた。伊方町地域おこし協力隊のHさんのやっている「裂織」の展示もあって、その出来栄えの素晴らしさが特に印象的だった。かなりの手間がかかるようで、テーブルクロスが欲しかったけれどなかなか高価であった。…あたりまえだと思う。(笑)
アマチュアバンドの演奏/気持ちよさそうだ。
舞台では、地元のアマチュアバンドが演奏していた。いい雰囲気だと思う。プログラムを見ると三崎高校の吹奏楽部も出演していたようで、来年はもう少し早く見に行こうと思ったのであった。体育館前の売店(焼きソバやカレーなど)も、すでにほぼ完売状態だった。バザーもあって、食器などいいものあったのだけれど、これから散歩することが主眼なので買えなかったのだった。こういう地元の取り組みはいいなと思う。枚方市などの大都会に住んでいると、こういう取り組みに関わることはあまりなかったからだ。ある意味、新鮮である。
このあたりの蒼い石垣も見事である。
さてさて、今日は三崎港から南の方に歩いて行った。4㎞先に海水浴場があるのでおそらく海岸沿いの道だろうということで歩き出したのだが、1㎞ほどで坂道になっていた。というわけで挫折したのだ。(笑)もう一度中心部に戻って、医院を探しに行った。いずれ今ある糖尿病の薬が切れるので、通院に備えての下見である。
私の住む教職員住宅の裏すぐそこで猪と遭遇した/この畑の裏である。
旧村的な路地を歩いて、教職員住宅のすぐ近くまで来た時、裏山で猪を発見した。彼と私たちの間には柵があり、こちらにはこれないようだが、ちょっとびびった。多くの人が「猪なんてそこらにいますよ。」と言っていたけれど、まさか住処から直線距離にして30mくらいのところで出会うとはかなり驚きだった。(残念ながら、カメラを構えたら逃げて行ってしまった。)

というような一日だったわけだ。猪…。また会いたいような、会いたくないような…。

2019年10月25日金曜日

PBTの話(76) 10月にサクラ満開

http://www.kohara.ac/blog/2016/04/05.html
ただ一人浪人生活を送っていたF40のエース・L君がD大学の渡日前入試に合格した。合否の資料となる昨年11月のEJUの結果や私といっしょに社会学を改めて学んで仕上げた志望動機の小論文から見て、合格は間違いなしと確信していたが、日本時間10時の発表から、なかなかメールが来ないのでヤキモキしたのだった。これは、私も探して結局分からなかったのだが、合格発表のWEB上のページがなかなか見つからなかったうえでのことらしい。(笑)

いやあ、実に嬉しい。ホッとした。某国立大学と某公立大学の不合格から7か月。あの時、WEB上で11月のEJUの素晴らしい結果を生かせるところを探しに探して、D大学のⅠ期入試に、たどり着いたのだった。メールのやりとをしながら、どれだけ探し、どれだけ心労を極めたか。これはL君と私の二人だけの歴史でもある。4月から日本人会の図書館司書のアルバイトをしながら、書を読み、日本語能力をキープして頑張ってきた。それがやっと今日報われたのである。

担任として、久しぶりに緊張し、胃の痛い思いをした。さて、彼は、11月のEJUも受ける予定だ。目的はただ一つ、昨年の6月・11月と連続して獲得したJASSOの奨学金の資格を獲得するためである。京都は生活費が高いので、是非ともまた獲得してもらいたいと思っている。(彼の実力からして、あまり心配していないが…。)

F40の仲間とともに、再会できるのを楽しみにしている。
おめでとう。L君。

2019年10月24日木曜日

雨の日に雑感4題

朝からシトシトと、いかにも日本という感じの雨である。血糖値が高めなので、できるだけ歩いたほうがいい。朝から散歩がてら、伊方町役場から三崎支所に届けられていた保険証を貰いに行った。その後すぐに郵便局へ。ゆうちょ銀行の口座の住所変更が必要だったからだ。その郵便局で面白いハガキを見つけ思わず買ってしまった。定形外の国内用のハガキで、ミカンの型である。他にも何種類かあったのだけれど、やはり愛媛=ミカンなのである。さっそく使おうと思っている。

ところで、エントリーしたいことがたくさんあって困っている。WEBのニュースで、ラグビーW杯のアイリッシュの記者が携帯電話を無くし、それが戻ってきたという話。「携帯を失くすなら日本で」と題された記事で、ホテルの応対も日本的だが、紛失した携帯をキープしていて、充電して待っていたタクシー会社も極めて日本的だ。この日本人の理気二元論・朱子学的な日本のプロフェッショナル精神は、やはり世界遺産レベルだといえる。
https://the-ans.jp/rugby-world-cup/90453/
今回のラグビーW杯はこういう良い話題が満載である。先日のカナダ選手の釜石でのボランティアの話も心にしみた。勝ち負け以上に、紳士の集うラグビーW杯、最高である。

その対極にあるのが隣国の話である。アメリカ大使公邸に侵入した学生の話にはさすがに腰が抜けそうになった。対外公館は治外法権であるのは国際常識である。警察が学生を入れてしまったことも信じられないし、これがOECDの加盟国で行われたということが信じられない。もちろん途上国でならOKだというのではない。先進国の(高等教育を受けているはずの)大学生が、この程度の思慮であることが信じられない。日本でも学生運動が盛んだった頃はあるが、在外公館に侵入するということは命がけ(撃ち殺される可能性が高い)であるという認識はあったはずだ。韓国のニュースからはそういう緊迫がない。稚拙すぎるのである。米国は次にこのようなことがあれば射殺だと激怒しているようだが、当然である。隣国の儒家のカインコンプレックスは、親である中国の中華思想が根底にある。NO2=兄としての変な自負が、弟の日本、他人の米国より上であるという感覚を呼び起こしている。異常に映るのはこういう変な思い込みの所業だといえる。最近、韓国の話をエントリーしようとも思わなくなったのは、疲れるからである。あまりに幼稚で無自覚で高慢であるから疲れるのである。どうも…先行きは見えない。

さて、未咲輝塾の私のスペースにいろいろとグッズを持ってきた。船便が届いたので、PBTの学校の備品も届いたからだ。こちらの生徒に興味を持ってもらえたらと、アメリカのカープレートやジンバブエの指ピアノ(ムビラ)などを持ってきたわけだ。ところが、コツコツと自学自習している生徒にはなかなか声をかけにくいのであった。まあ、焦らずに紹介していこうと思う。

2019年10月23日水曜日

最後のRM1古本「華僑・華人」

船便が届いて、読みたかった本を手に取った。「華僑華人」(可児弘明編/1995年3月・東方書店)である。この本は、PBTを去る前日くらいに日本人会の古本コーナーで最後の最後に手に入れたものである。つまり最後のRM1古本である。

マレーシアにあって、マレー系の政治や政策、あるいはイスラム教と国民国家の関係などについてはよく勉強したと思う。インド系についても本を求め勉強した。ただ中華系については、あまり勉強していないのが心残りであった。その想いがこの本を求めたのだと思う。F40の学生諸君とは、このマレーシアにおける中華系の問題について話し合った。想定外の発見も多かった。学術的に「華僑」の存在を学びたいと思っていた。道教についても同様だ。日本に帰国して、その想いは持ち続けている。

最初に教えたF36で、ある中華系の学生に将来のことを聞いた時、きっぱりと「マレーシアには戻る気はありません。」と言ったので、非常に驚いたことを鮮明に覚えている。今彼女の言うところは50%くらいわかる気がする。マレーシアの中華系の人々のアイデンティティの問題は、それぞれの家庭でかなり違うようだ。マレーシア人として生きる人もいれば、マレーシア在住の中華系、あるいは在マレーシア中国人として生きることを選択した人もいる。そしてF36 のOGのようにマレーシアの国籍をフリーハンドで考えようとしている者もいる。このあたりのニュアンスは実に微妙である。

宗教的、文化的に日本人に最も近いのが、中華系である故に結局、勉強不足のまま終わってしまった。それがちょっと悔やまれるのだが、日本にいる中華系の教え子も多いし、こっちでイロイロ教えてもらおうと思う。この本の書評については、いずれ書くとして、今日は、この本を手に取ってそんなことを考えていたという話である。

追記:香港総督も愛知県知事も即位の礼に参加したらしい。特に愛知県知事には、ネット上でかなりの批判が出ているようだ。

2019年10月22日火曜日

即位の礼をアフリカから見る

全国家出席の南アフリカ地域 (掲載アドレスは危険と判断されたので非表示。)
即位の礼でのアフリカの参加国を確認しようと、ふと思った。このような場合どのような立場の人が来たか、というのが重要なのだろうが、後発開発途上国が多いアフリカにとって、経済的負担の事を考えて在日大使でも私は十分だと思う。

では、確認開始。(21日外務省発表)来日したのは、アンゴラ、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、カーボベルデ、カメルーン、チャド、コートジボワール、ジブチ、エジプト、赤道ギニア、エスワティニ(旧スワジランド)、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、ケニア、レソト、マダガスカル、マリ、モロッコ、モザンビーク、ニジェール、セネガル、セーシェル、シエラレオネ、ソマリア、南ア、南スーダン、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ。
こここら駐日大使。アルジェリア、ボツワナ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、エリトリア、リベリア、リビア、マラウイ、モーリタニア、モーリシャス、ナミビア、ナイジェリア、ルワンダ、スーダン、チュニジアである。
WEB記事では、地理的にはバラバラなので、整理すると、こうなる。

ホワイトアフリカ地域/エジプト。リビア・チュニジア・アルジェリア・モロッコ・モーリタニア。全国家出席。

東アフリカ地域/スーダン、南スーダン、エリトリア、ソマリア、セーシェル、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア…。ん?エチオピアが来ていない。ノーベル平和賞の大統領が来られていない。

南アフリカ地域/アンゴラ、ナミビア、南ア、レソト、エスワティニ、ジンバブエ、ザンビア、モザンビーク、マラウイ、マダガスカル、モーリシャス。全国家出席。

中央アフリカ地域/コンゴ(民主共和国)、コンゴ共和国、ガボン、赤道ギニア、カメルーン、チャド。…中央アフリカとサントメプリンシペの名がない。

西アフリカ地域/ナイジェリア、ベナン、トーゴ、ガーナ、コートジボワール、リベリア、シエラレオネ、ギニア、セネガル、ガンビア、カーボベルテ、マリ、ニジェール、そしてブルキナファソ。…ギニアビサウの名がない。

というわけで、21日の新聞発表で名前がないアフリカの国は、エチオピア(何度もWEBを確認したが理由等がわからない。)、中央アフリカ、サントメプリンシペ、ギニアビサウの4か国である。中央アフリカは、シリアなみの半・内戦状態にあるので当然であるが、サントメプリンシペ、ギニアビサウは「?」である。赤道ギニアやエリトリアも来ているのに…。(これは良い意味ではない。)
サントメプリンシペもギニアビサウも今年夏のTICADで首相と会談しているのだが、それぞれ理由があるのだろうと言うことで整理完了である。

全世界的に見るのもいいが、「アフリカ留魂録」としては、アフリカにやっぱりこだわりたい。(ちなみに、マレーシアからは国王ご夫妻が来られていたようだ。)

ところで、香港総督や愛知県知事も参加したのだろうか?なかなか興味は尽きない。

追記:コンゴ(民主共和国)の大統領が国内で起こった40人も死亡したバス事故のため急遽不参加となったそうだ。

即位の礼の日に。

即位の礼の日である。国民の一人として心からお喜び申し上げたいと思う。とはいえ、秋の日本には、そのような想いを阻害するものがある。花粉である。東日本とは異なり、今日の佐田岬半島は晴天で、帰国後、最も花粉症がひどい日だと思われる。花粉症のないマレーシア万歳。

さてさて、マレーシアからの船便の中に、血糖値をはかるグッズもあった。早朝一番に計ってみたら、日本の基準に直すと180くらいの数値が出た。(日本の基準値は100である。)つまり、血糖値がかなり高いことが実証されたのである。考えてみれば、学校には車で通っているし、四国の食事は実に美味しい。魚が美味しいのはもちろんだが、漬物や野菜、そして柿が無茶苦茶美味しい。体重計はないのだが、80㎏台に戻っているようだ。実にいかんのである。

ところで、今日は近くの大久というところに行ってきた。これで2度目なのだが、今日はG1Xを持っていった。この陽光と穏やかな海を撮りたかったのである。
令和の時代が、このような平和を満喫できる時代でありますように。日本国民の一人として、また同時に地球市民の一人として微力ながら尽くしたいと思う次第。

2019年10月21日月曜日

やっとMYからの船便が到着

9月初めにマレーシアから船便で送った荷物が、今朝やっと到着した。ありがたいことに今日は12日(土)の振り替え休日である。箱を見ると、おそらく一切の中身を調べるような税関審査はなかったようで、全てのモノが揃っていた。ちょっと安心である。

さっそく整理作業が始まったのだが、収納のために大洲のリサイクル店まで行きたいと妻が言い出した。幸い明日は、陛下の即位の礼で休日であるし、大洲は八幡浜のさらに先にあるが、何度も往復していいるので慣れてきたので、もうそんなに負担ではない。快諾して車を走らせた。そしてありがたいことに、リサイクル店では、収納家具をかなり安く購入できた。

マレーシアからの荷物には、愛着のある品が多い。届いていなくて困ったものもたくさんある。たとえば、書籍。調べたいことがあったのでやはり常時手元に置いておきたい。ジャージ。三崎もだんだん秋の気配が強まり、唯一持っていたPBTの運動会用のジャージの到着を心待ちにしていた。その他言い出したらきりがないのだが、これでやっと引っ越し完了である。

ところで、昨夜、日本代表は南アに敗退した。前半5-3と食い下がっていたので、もしやと思ったが、後半に力の差を見せつけられることになった。26-3.これが優勝候補南アとの差なのであろう。だが、決勝トーナメントに進出したこと自体が凄いことである。惜しみない拍手を私も送りたい。前三後一。今回のW杯での大前進と南ア戦での敗北はまさに、これからの飛翔のためにあると私も思う。

2019年10月20日日曜日

愛媛人物博物館

松山に用事があって、愛媛県生涯学習センターというところに行ってきた。そこには「愛媛人物博物館」という博物館があって妻と行ってみた。愛媛県の出身者、あるいは関りのある人物の博物館である。総勢178名。もちろん知っている人も初めての知った人もあったが、なかなか興味深い展示が多かった。
http://i-manabi.jp/museum/index.php

陽明学の中江藤樹。蘭学者の高野長英、村田蔵六(大村益次郎)。大津事件の小島惟謙。建築家の丹下健三、同志社OBでジャーナリストの徳留蘆花、歌人の高浜虚子、種田山頭火、小説家の獅子文六、映画監督の伊丹十三等々。なかなかの陣列である。

そして何と言っても「坊ちゃん」の夏目漱石と「坂の上の雲」の正岡子規、秋山好古、秋山真之。この4人の展示スペースはかなり大きい。当然であると思う。

一番印象に残ったのは、正岡子規の晩年の食事の記録で、病床にあってもなかなか食欲旺盛だったことがわかる。しかも漬物が必ず奈良漬けであったことだ。愛媛に来て、この奈良漬けがスーパーや食料品店に必ず並んでいることには気づいていた。大阪人は、奈良漬けも好むけれども、どっちかというと京漬物の消費量が多いので意外に感じていた。子規が奈良漬けを愛したのは、愛媛の土壌によるものだったのだと思われる。

地域別では、松山が最も多いのだが、宇和島も多い。これは、幕末の四賢侯の一人伊達宗城の影響が大きいように感じた。宇和島にも一度行ってみたいなと思う。

クルドへの米国の裏切りⅡ

https://time.com/5303844
/donald-trump-king-cover/
今回の米国トランプ政権のクルドへの裏切りは、後に大きな代償を払うことになるのではないかと私は思っている。米国の信義が一気に失われた、と各国が見ているからだ。大統領閣下の人格に由来するこの裏切り行為は、他の多くの米国同盟国にとって看破できない事件である。

昔々、ワシントンD.C.の歴史博物館で、日系米国人の展示を見た。太平洋戦争勃発後、敵国人となった日系人は米国製籍を持つ2世3世もユタ州の収容所に入れられた。その後、彼らはヨーロッパ戦線で血を流し、多くの戦死者を出したが故に米国人としての地位を戦後確立した。アメリカ人は、こういう国家への忠誠を美徳としている。今回のクルド人は、米国の意を受け、ISと戦い血を流した。米国のためではないにしても、日系米国人との共通項はある。米国兵士の代わりに最前線で戦ったのだ。(日系の兵士も最前線に送られた。)

大統領閣下の判断基準は、金銭であって、アメリカのこれまでの経済的な問題を超越した伝統的精神ではない。おそらく、長い時間をかけてアメリカは没落していくような気がする。国家と言っても人間の集団であり、人間の心に刻み込まれた傷はそう簡単に癒されない。民主党政権ができたとしても、失われた信頼を取り戻すのは大変だろうと思う。
そんな中、米国のポチである日本はどう動くのであろうか。ポチの首輪が外され、銃で家を追い出される可能性もあるのではないか。そんな懸念が生まれたのだ。すでに首輪を外されようとしている国も近くにあるけれど…。

2019年10月19日土曜日

クルドへの米国の裏切り

https://polandball.fandom.com/wiki/Kurdistanball
米国大統領閣下の裏切り行為でクルド人に危機が迫っている。いつもながらの小学生程度の思い付きというか予測不能な判断で、また多くの死傷者が生まれた。早くウクライナ問題が進展してほしいと願うところだ。アメリカ・ファーストといい、トルコのエルドアンといい、シリアのアサドといい、今の世界の潮流であるSDGsとは全く反対のベクトルが強く働いていることに、いら立ちさえ感じる。

クルド人の独立は、オスマントルコ帝国末期に民族主義が高まり、第一次大戦後の1920年にスルタン・メフメト6世と連合国との間でセーブル条約で保障されたものの、希土戦争に勝利したケマル・アタテュルクとの権力闘争にメフメト6世が敗れ、新たなローザンヌ条約では独立が取り消された。この2つの条約には、日本も連合国の一員として批准している。これによって、トルコは近代国民国家となっていくのだが、クルド人はその犠牲になっていったわけだ。以来、トルコ、シリア、イラク、イランといった国々に分裂させられたクルド人は、独立を目指しそれぞれの国で組織を作り、自治権の獲得を目指していたわけだが、なかなか1つの組織にまとまれなかったことが悔やまれるのかもしれない。
https://jp.reuters.com/article/kurds-history-idJPKBN1WV07D

民族の自決などという言葉は、現実の国際政治の中では実に空虚である。結局は軍事力の優越という問題になる。私はクルド人と縁もゆかりもないが、歴史に翻弄されたこの民族の悲劇について世界が考えるべきことの一つだと思っている。例の国連総会のスウェーデンの怒れる少女ではないが、クルドの怒れる青年の声も国連の場で聴いてみたいと思うのだ。

2019年10月18日金曜日

SDGsターゲット 9-2

3年生の中間考査が全て終わって、T君が塾にやってきた。ロンドン行きを目前に控えてのSDGsの講義を行った。私は、昨日も書いたが、17の目標を知っているだけではSDGsを理解したとはいえないと思う。ターゲットに目を通すことが必要だ。でないと世界が抱えている問題が見えてこないと思っている。彼には英文と和訳の資料を手渡した。

たとえばターゲット9-2。「包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに、各国の状況に応じて雇用およびGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については、同割合を倍増させる。」

「包摂的」という語彙はSDGsによく出てくる。高校生向けに説明すると、マニファクチュア時代の熟練工は、その技術力故に力を持っていたが、工場制機械工業に進化してくと、熟練工でなくとも生産が可能になり、熟練工の地位は下がっていく。こういう事例のように、多くの人々が関わることができるようになるという意味である。
さて、このターゲットの中心的な命題は、「GDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる」という一文であると思う。これは、日本の高校生には不可解な一文であると思う。開発経済学をやっていないとわからない。すなわち、産業セクターの反対語を知らないと意味不明なのである。それは、「インフォーマルセクター」である。要するに、非公式な(政府の経済統計に表れないような=税を納めることもない)その日暮らしの都市生活者の生業のことである。

私のアフリカ開発経済学の講義を聞いたことのある教え子諸君は、ケニア・ナイロビでの交差点の花売りや、タンザニアの町で服をを売り歩くマチンガと呼ばれる人々の話を思い出してほしい。SDGs9-2は、そういう非公式な生業を大幅に減らそう、正規の雇用を生み出そうと言っているわけだ。

と、こういった開発経済学の話をしていたのだった。久しぶりの濃い講義をして私自身は嬉しかった。彼が塾を去る時、海外に教え子を送り出すときの決まり文句「グッド・ラック、メイビー・ノープロブレム」を今回も贈ったのだった。T君、実りの多い旅でありますように。

2019年10月17日木曜日

SDGsのパワーポイント完成

来週、ロンドンに旅立つT君とのミーティングに間に合うように、なんとかSDGsのパワーポイント教材を完成させた。T君は英語もできるし優秀な生徒だが、世界ユースサミットに参加にあたり、SDGsの理解が不可欠である。無知の知に追い込まれるのもいいが、優秀な高校生としてのSDGsについては最低限レベルまで引き上げておく必要があるのではないか、というのが塾長のN先生と私の共通認識だ。
いずれ、SDGsについては、塾として勉強会を開きたいと思っていたので、ちょうどいい機会になった。ついでに、11月中旬に、N先生と相談して勉強会を開くことになった。実は、このパワーポイント、明日用の若干難しい「基礎編」と、もっと優しくしてある「基礎の基礎編」の2種類用意してある。17の目標だけでなく、代表的なターゲットも学んでほしいので、いくつかチョイスしてあるのだが、その数に違いがある。SDGsは17の目標の理解も大切だが、私は自分に関わりのある、あるいは興味を感じたターゲットについてじっくり考えることが大事だと思っている。

2019年10月16日水曜日

おにぎりアクション in 三崎

三崎高校の文化祭は11月3日だそうで、未咲輝塾も参加するとのこと。塾長のN先生と私は、「おにぎりアクション」をすることにした。この「おにぎりアクション」は以前からN先生が推奨していたイベントである。

おにぎりを持っている、あるいは食べている写真をサイトに投稿したり、ハッシュタグを付けてSNSに投稿すると、画像1枚につき5食分の給食費が協賛企業からアフリカやアジアの後発開発途上国に贈られるというプロジェクトである。これも当然ながら企業のSDGへの貢献という側面があるはずだ。
https://onigiri-action.com/?gclid=EAIaIQobChMI0ZLJp4Gg5QIVDa6WCh05TQIwEAAYASAAEgJ6e_D_BwE

このプロジェクトには、開発経済学から見てガバナンス面で不安(ちゃんと給食費が行くか?という懸念)があるし、給食が行われることで出席率が上がることは事実だが、それが万能薬ではないことは昨日エントリーした「実験経済学」で証明されているはずだ。意外に虫下し薬などの摂取の方が出席率や学力向上に役立ったりするそうである。

ともあれ、文化祭当日は、塾のある教室に籠るのではなく、カメラとおにぎりを持って、校内を写真を撮って回ろうというわけだ。おにぎりは本物でなくてもいいらしく、ボール紙工作で大きなものを作ろうかと考えている。ちょうどリキテックスもジェッソ(下塗り剤)もあるし…と、世界食糧デーの今朝に思いついたのだった。
(今日の塾の仕事は1・3年生の中間考査の関係で、11:00~19:00だったので、夕食後、19:40分過ぎの更新と相成った。)

2019年10月15日火曜日

2019年 ノーベル賞考

今年のノーベル賞が次々発表されてきた。このノーベル賞には「?」と思うことも多いのだが、HDIの高いスウェーデンやノルウェーの思考回路が理解できることは間違いない。
日本国内では当然ながら、リチウムイオン電池を開発した吉野さんの化学賞の話題で盛り上がっている。このリチウムイオン電池は、携帯やノートパソコンなどに使われるバッテリーと言ったほうが分かりやすそうだ。電気自動車のバッテリーにも利用されている。すなわち、SDGs(国連の持続可能な開発目標)に十分貢献しているわけだ。

さて、経済学賞は、MITの教授ら3人が受賞したが、貧困問題をフィールドワークからとらえるという立場であるとのこと。実験経済学のカテゴリーに入るのかどうかわからないが、「貧乏人の経済学」を手に取ってみたいなと思った次第。この3人も、SDGsに大きくかかわっていると言える。
https://www.asahi.com/articles/ASMBG6J7DMBGUHBI00R.html
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00059/101500210/?P=1

最後に、平和賞がエチオピアのアビー首相に送られることになった件。超独裁国家エリトリアとの和平、ナイル川の水利用をめぐるエジプトとの協議成立、スーダンなどの調停といった外交手腕は素晴らしいし、(受賞に対して)「恐縮している」と述べるなど好感度抜群である。ただ、エチオピア国内の民族対立にこれから立ち向かっていかねばならない氏にとって、さらなる試練が待っているようだ。とはいえ、SDGsの立場から文句なしの人選だといえるだろう。
https://www.newsweekjapan.jp/mutsuji/2019/10/post-78_1.php

2019年10月14日月曜日

遠足 佐田岬灯台

四国最西端・佐田岬灯台に行ってきた。三崎からウェンディングロードを走り、駐車場に着いた後、さらに30分弱歩かねばならない。小ハイキングというところだ。
今まで、北海道の宗谷岬や納沙布岬、襟裳岬など回ってきたが、だいたい駐車場からすぐであることを考えると、かなり異質である。案内板などは整備されているが、観光客がそこそこいるわりに、観光地化していない。佐田岬ブルーの石垣や地層がそこらにあって、半ば秘境的なムードを感じた次第。
地元のバードウオッチャーさんが展望台にいた。小さなヒヨドリが大量に集まって九州に渡る時期らしく、それを求めて猛禽類が来ているらしい。佐田岬灯台はバードウオッチャーの聖地でもあったのだ。
戦時中の軍の施設跡もある。灯台のすぐ北にある御籠(みかご)島という洞窟式砲台跡があって、そこに行くには短い洞窟があったりして気分を盛り上げてくれるし、空襲時にサーチライトを照らす施設の後もあったりする。佐田岬は軍の史跡でもあるわけだ。

同時に、この御籠島は戦後三崎漁協によって作られた、イセエビやアワビを採って入れておくコンクリート製の蓄養池(今は使われていない)によって三崎と繋がっているのも面白い。戦争の記憶と生業が共存して人工の陸繋島になっているわけだ。
ところで、こんな発見も。三崎から少し行った地域で養蜂の箱を発見した。実は初めて実物を見た。こういう発見がたまらない。

2019年10月13日日曜日

八幡浜市まで買い物に

台風で、日本各地に大きな被害が出ている。静岡、東京、長野、群馬と各地にPBTのOB・OGがいるし、ピーター会の友人もいるし、大阪での卒業生で東日本に居住している教え子もたくさんいるので心配している。こちら愛媛県・三崎は風は強かったが、雨もなく被害らしい被害は出ていない。

というわけで、今日は近くに用事もあったので、八幡浜市まで買い物に出かけた。先週は松山市まで買い出しに出かけたが、今日は近場でというわけである。この八幡浜市は、佐田岬半島の付け根に位置する「市」で、三崎から見ると十分「街」である。

八幡浜市の最大のウリは、八幡浜港にある「道の駅みなっと」である。三崎港同様九州へのフェリーがこの近くから出ている。(三崎の方が本数が多いし所要時間はかなり短い。ただ大分市に直接着くので、どっちがいいのかは私はよくわからない。)その道の駅、なかなか面白いのだ。大阪からこちらに来て以来、かなりの回数寄っている。港でとれた新鮮な魚が安い「どーや市場」があるし、地元の第6次産業化で生まれた様々な製品が並んでいる「アゴラマルシェ」もある。ミカンを使った食品以外の製品も多く、こんなものにミカンを使っているのかと驚くこともある。
意外な発見もある。郵便ポストがミカン色だっり、柱には変な広告が貼ってあったりする。別府のライダーハウスらしい。1泊1000円って安いなと思ったら、カブに乗ってくる人だけのライダーハウスらしい。凄いな。(笑)
もちろん、八幡浜市の買い物は「道の駅」に行くだけではないのだけれど、毎回発見があるので、必ず寄ることになっている。

気楽なことをエントリーしたけれど、東日本ではかなりの被害が出ているらしい。改めて、被害を受けた方々にお見舞い申し上げたいと思う。

日本 スコットランド戦勝利

台風で日本中が大変な状況ではあるが、ラグビーW杯で日本が勝利した。後半は最後の最後まで攻められて、1トライとゴールキックで同点というところまで追い詰められたが、なんとか勝利した。こう書くと、TVを見ていたみたいだが、私が見ていたのは、ネットのLIVEである。(画像参照)
どこにボールがあるか、トライしたのか。キックは決まったのか、どっちのボールでスクラムしているのか、ラインアウトしているかはわかるけれど、あとは全く不明。

…これはこれで心臓に悪かった。

日本代表、初のベスト8。相手は南ア。前回奇跡の勝利と言われた南ア戦だが、今度は全勝で南アの前に立つわけで、いやあ、とにかく凄いことだ。

2019年10月12日土曜日

地域おこし協力隊ミーティング

三崎高校4F(塾の上の階)から撮った三崎の夕暮れ
地域おこし協力隊のミーティングがあり、昨日朝から町役場まで行ってきた。伊方町の地域おこし協力隊員は、未咲輝塾の我々3名の他に4名おられる。産業課農業支援センター所属のOさん、産業課農林水産室で漁業振興をされているTさん、自然体験学習指導を担当されているKさん、そして総合政策課街づくり全般を担当しているHさんである。

月例の報告書を一読したが、みなさん、なかなか個性的で、経歴も取り組んでおられることも、実に興味深い方々だ。少人数なので職種は違っても仲良く団結されているようである。私の仕事は塾の講師であるから、塾の生徒の学習指導が第一、ユネスコスクール申請に取り組んでいくことが第二だが、地域おこし協力隊としての仕事も関わっていくことになりそうだ。できれば、町の方々にSDGs、持続可能な開発の概念を広く啓蒙できるといいなと思っているし、国際理解・国際交流などのお手伝いもできればいいなと思っている。塾でもそうだが、どんどん自分でアイデアを出して能動的にやっていく必要があると実感した。そんな1日だった。

2019年10月11日金曜日

アフリカの知がボードゲームに

アフリカのちょっと変わった話題もエントリーしておきたい。コンゴの伝承を元にしたボードゲーム(ブムントゥ~アフリカの夜明け~)の日本語版が11月に発売されるいう、
アフリカの民間伝承では、動物が人間に善き行いやモラルを授けるという伝承があり、その導きに従って旅をするという30分くらいでできる難易度の低い戦略ゲーム。
百聞は一見にしかずなので、Youtubeを見たほうが早いと思う。(説明は英語だがなんとなくわかる。)
https://www.youtube.com/watch?v=49aMD5IBhTM

ゲームデザインはTim Blankさん。どんな人物か興味があったので、調べてみるとMA・ボストン在住らしい。アフリカをモチーフにしたゲームというのが面白いし、それも「アフリカに学ぶ=アフリカの知を知る」というコンセプトが嬉しい。ちょっと日本語版を買ってみて未咲輝塾でやってみたいなと思った次第。あ、英語版の方がいいのか…。
https://www.4gamer.net/games/138/G013826/20191009060/

2019年10月10日木曜日

久しぶりにマレーシアの事。

https://www.picbear.org/media/B23QU9ug88l
こちらに来て、ひたすら伊方町や三崎のことをエントリーしてきた。ここらで、世界に目を向けておきたい。当然ながらアフリカやマレーシアのことが気になるし、中東情勢も緊迫している。まずは、マレーシアのことをエントリーする。F42の国際関係志望学生や、PBTの関係OB・BGの学生に贈りたい。

先日マハティール首相が、混乱する香港情勢に触れ、香港総督は辞任すべきであると述べたというニュースが流れた。要するに、マレーシアは香港の民主化勢力を応援しているというスタンスを明確にしたわけだ。マレーシアにとって、混迷する世界情勢の中でも香港の騒乱を最も気にかけている。改めて香港の人々と資本の受け入れ先としてマレーシアがありますよと示したと言える。ブミプトラの国是からは、マレーシアにとって中華系の生産年齢人口が増加することは望ましいことではない。特に大陸の中華系の人々には大きなリスクを感じているはずだ。しかし、香港や台湾などの中華系については、民主主義的を十分理解していること、しかも彼らの持つ資本は魅力的なのではないだろうか。痛しかゆしというところなのだが、この辺の外交術はさすが老練なマハティール首相だと言わざるを得ない。
https://jp.reuters.com/article/hongkong-protests-malaysia-idJPKBN1WJ0R7

同時に、マレーシアを拠点とする企業に対しての優遇措置を打ち出している。中国や香港から移転を考えている企業に対し、マレーシアへの移転を促そうというわけだ。マレーシアの四下半期の景気指数も回復しているようで、香港情勢を心配しながら、自国の経済発展につなげようとしているのではないだろうか。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-malaysiamalaysia-idJPKBN1WN0XF
https://www.nna.jp/news/show/1960001

もう一つ。前回の総選挙直前に、フェイクニュース対策法をナジブ政権が成立させた。当時の政権に不利なニュースをフェイクだと認定し、マスコミが流さないようにするという趣旨の悪法で、デモクレイジー(一応民主主義的だが開発独裁に有利な施策)の一種だが、これが廃止された。面白いのは、下院(一般人の選挙で議員は選ばれる)が可決後、上院(各州のスルタンや州政府が任命/下院とは違い旧ナジブ政権側の議員が多い)では否決され、下院で再可決したとのこと。マレーシア連邦憲法を読むと、圧倒的に下院が優越なのである。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50821000Z01C19A0000000/

さて香港はどこに行くのだろう。これはマレーシアにとっても大きな関心事である。日本では、民主主義の危機、あるいは大陸の政治情勢の大きな変化という視点で捉えられているが、マレーシアではかなり視点が違うように思われる。PBTの学生諸君はどう考えるのだろうか。

2019年10月9日水曜日

三崎の秋祭りなのだ。

毎年10月9日に行われる三崎の伝統の秋祭り行事が、三崎港でおこなわれた。牛鬼と呼ばれる黒い牛と、四ツ太鼓と呼ばれる一方が長い神輿が戦うのである。(この神輿には太鼓を叩き掛け声を発する子供が2人乗っている。)三崎港に海をバックに足場が組まれていて、牛鬼が幾本もの棒によって逆さに立たされる。そこに、神輿が立てかけられる。牛鬼が下から綱で引っ張られ落下、これを神輿がこらえる。勝敗は上になったほうが勝ちだという奇祭である。
牛鬼は平家、四ツ太鼓は源氏で、源平合戦らしい。互いの陣営には大阪で言うだんじりのようなものがあり、平家と源氏を象徴していた。三崎を東組と西組に分けて東組が牛鬼、西組が四ツ太鼓となっているそうだ。これは、祭りの1時間ほど前に西組のおじさんに聞いた話で、私たちの住む教職員住宅は東組で平家になるそうだ。東組=平家が勝つと漁業が大漁、西組=源氏が勝つと農業が豊作になるといわれているらしい。

さてさて、私たち夫婦の感想。その1。四ツ太鼓には4人ではなく2人の小学一年生の男子が乗ってずっと太鼓を叩き、掛け声をかけ続けていた。約1時間休みなし。しかもシーソーのように動いたり、ぐるぐる回されたり、勝負の時には凄い角度で太鼓を叩き続けていて、夫婦ともども心配していた。ちょうど隣にその男子のお母さんがいて、よけい心配になったりした。牛鬼は小さな子供はいないので、ついつい敵ながら西組=四ツ太鼓を応援していしまうのであった。(笑)
話を聞いた西組のおじさんによると、昔は骨が折れようが関係なしの勝負。地域で年少者が大人に指導されるという良き地域の絆が、この祭りで培われ、今はソフトにはなったもののそれは生きているらしい。また昔は長男だけが、この四ツ太鼓に乗る資格があったらしいが、少子化で、そのような制限はなくなったとのこと。
私たち夫婦の感想、その2。牛鬼を足場に設置するのにかなり時間がかかる。当然の話なのだが、なかなか始まらなかった。(笑)勝負は一瞬で、まさに相撲。呼吸を合わせて牛鬼は綱を引き、四ツ太鼓は踏ん張る。四ツ太鼓の一番下には、まさにラグビーのスクラムのようなフォワード陣が支えていた。うん、まさに相撲である。だから、相撲甚句が歌われるのだと思う。

この戦い、3回勝負らしい。1回目も2回目も四ツ太鼓が勝って中休みに入った。物理学的に考えて、竹や藁、そして布で作られた牛鬼の重量より、しっかりした木でできた四ツ太鼓の方が勝っているような気がする。この推察にはおまけがあって、後で寄ったローソンで、ばったりと学芸員のTさんにお会いしたので、その話をすると「昔は牛鬼が10mくらいあって強かったらしいです。」なるほど、西組のおじさんは、「最近真竹も買うようになったし、竹職人もいなくなったって…云々。」と言っていた。牛鬼が予算や技術面で小さくなっているらしい。そいいう社会的な側面もあるのかもしれない。

今日は三崎高校は3限目で終了なのだが、塾のこともあり、中入り後を見ずに帰ってきたので、三回戦はどうなったのか知らない。三崎高校の若い先生方が東組で参加しておられたので、いつか聞いてみようと思う。
参考:http://www.dydo-matsuri.com/archive/2018/misaki/

2019年10月8日火曜日

地域おこし協力隊の初仕事

移住ツアーの説明会の後、ちょっと夕日と風車を撮ってみた
地域経済学を、2人の生徒に毎日講じているが、過疎化の解決策として移住を推進するという方策がある。伊方町もそれを推進していて、今日からのお祭りに合わせて移住ツアーをするらしい。私も地域おこし協力隊の一員であるので、移住を考えている人たちに少し話をして欲しいというメールが町役場から来た。というわけで、H先生とツアーの方々が集まる場所へ向かった。

面白かったのは最初に行われた学芸員のTさんの伊方町の紹介である。佐田岬半島は、九州と四国を結ぶ最短ルートであるが、人間だけでなく、渡り鳥も利用するそうで、渡り(鳥)街道との別名もあるらしい。それだけいろんな鳥を見ることができるとのこと。私はバードウォッチャーではないけれど、変わった鳴き声を聞くと空を見上げてしまう。思わず伊方町に、いいね!をあげたくなる話だった。また、世界トップクラスの海釜(かいふ)が佐田岬と佐賀関の間の豊予海峡にあるそうだ。深度は400mもあるらしい。その海釜のおかげで、海流の流れが速く、また水温も低くなり良い漁場(関サバ・関アジで有名)になっているというわけだ。
http://www.pipi.jp/~exa/kodai/kaimei/kaimen.html
先日妻と食事に行った亀が池温泉の池はラグーン(潟湖)だということ、佐田岬半島の最も狭い地域(塩成堀切)に昔、運河を掘ろうとした話があったということも教えてもらった。伊方町は、なかなか面白い地域なのだ。

移住ツアーの方々に、住んで2週間、私なりの伊方町への想いを伝えさせていただいた。子育てには絶対良いと思うというのが、今の私の想いである。多少は不便だが、自然が豊かで、人が良く、地域を思う気持ちが育つと思う。今日もAO対策の講義をしていたが、故郷をなんとかしたいという志を持ち、真剣に学ぶ彼女らを見ていてそう思ったのだ。

突然三崎の祭りが始まった

朝5時過ぎに、太鼓の音で目が覚めた。近くの人に後で聞いたら、子供たちや青年がグループをつくって各地区を回るらしい。この画像は、我が教職員住宅に、最初の青年の太鼓グループの次に来た小学生のグループ。何やら歌っていた。神楽かなあ。

「三崎は漁師の町なので、祭りも朝が早いのとちゃうか。」とは妻の言。とにかく、突然、三崎の祭りが始まったのだった。あまりの想定外の事態に我が夫婦は完全に起こされたのだった。

三崎支所の6時のアザーンが鳴ったが、また上の道で太鼓の音がする。それに合わせて何かが踊っているような感じ。マレーシアの中国系の人々の旧正月のライオンダンスのような雰囲気を醸し出している。

追記:子供たちが歌っていたのは、相撲甚句であるという。後で学芸員のTさんに教えていただいた。

2019年10月7日月曜日

未咲輝塾 プレゼン大会

今週はなかなか忙しい。今日からAO入試対策が始まった。今日は愛媛県庁の資料を元に読み解く練習から。明日はいよいよ伊方町・三崎をSDGsから見る段階に入る。その後、塾のイベント「第1回プレゼン大会」が開かれた。1年生男子が3名、3年生女子(彼女の発案らしい)が1名、さらに理科の若手のY先生と塾講師3名が参加した。結局、1年生の男子生徒が優勝。3年生の女子がユニーク賞を獲得した。制限時間は5分。私は少しオーバーしてしまい、事実上失格になった。(笑)内容やわかりやすさは本気だが、商品も用意されており賞を忌避するつもりだったので、予定通りの"Das ist Dit"である。

好きな人物がテーマだったので、「山岡鉄舟」にした。マレーシアでF42の学生に武士道を説いたが、もっぱらゾロの話で盛り上がったことを最初に述べた。PBT最後の日に学生からプレゼントされたゾロの人形も披露した。いつも彼は私の新居の机上にある。
武士道は生き方であるとともに死に方でもある。山岡鉄舟の死の美学は他の追随を許さない。結跏趺坐のまま(西郷に頼まれ10年間明治天皇の侍従として仕えた)皇居に向かい絶命したのだ。そんな話をプレゼンしたのだった。なかなか楽しいイベントだった。

2019年10月6日日曜日

三崎で「地域経済学」考

今朝も妻と散歩に出かけた。健康のためにも三崎を歩いて知ろうというわけだ。今朝は裏の山の方に登ってみた。三崎を一望できるところまで農道を登った。ミカンを収穫する際のモノレール(発動機付きのトロッコのような設備)の存在は知っていたが、現物を目の前で見たのは初めてだ。
フェリーが入ってきた。三崎港と大分県の佐賀関を70分で結んでいる。平常1日16便。1時間ごとに三崎港を出るというダイヤだ。(7時30分~23時30分発:ただし13:30は平常なし。臨時便がある時は6時30分発や13:30分発も。)かなり便利なフェリーである。三崎の産業は、ミカン栽培を中心とした農業とサバ・アジなどの漁業、そしてこのフェリー発着と佐田岬観光であるといってよい。

こちらに来て、過疎化や高齢化という問題が大きく圧し掛かっていることを実感した。未咲輝塾の生徒のAO対策に関連して、地域経済学について興味を抱いた。そこで、ちょっと、厚生労働省や愛媛県の統計資料を調べてみた。愛媛県全体で見て、高齢化比率(65歳以上人口比)は国内で(秋田・高知・島根・山口・和歌山・徳島・山形に次いで)8番目である。(ちなみに香川県は13位、四国全体の高齢化の状況はかなり厳しい。)さて、愛媛県内で、伊方町はどうなのだろう。実は41.7%(平成27年度統計)で、県内で3番目に高齢化が進んでいる地域なのであった。

次に市町村別総生産と所得を見てみる。伊方町は総生産は488億3700万円(平成28年度統計)で15位(県内市町数は20)、県総生産の1%を占めている。総所得は232億5700万円で県内16位、0.6%を占める。ただし1人あたりの所得は、248.5万円で14位となっている。高齢化と総生産や所得といった経済指標との相関性については、総計資料を眺めていて、おそらくは大きな影響があるだろうと推測される。
地域経済学という学問はミクロ経済学のひとつであるので、各地域の現状の把握、問題点の抽出、その解決策の考察を行うはずだ。それぞれの地域が抱える問題を、人口動向、産業構造、雇用状況などの視点からも見ると思われる。このような客観的な統計資料とともに、そこに暮らす人々の数値で測れない部分も考慮して地域経済学が成立しているのではないかと思う。というのが、これまで開発経済学を主体に学んできた私の地域経済学考になるわけだ。いかに持続可能な開発を進めていくか、というスタンスは全く同じだ。

過疎化、高齢化をいかに乗り越えるか?実に難しい課題である。昨日、道の駅を回って、地域の高齢者が(どのような形態であるかはわからないが)雇用されている姿を見た。そこでは、生産性重視といった企業のセオリーより雇用創出が重視されるだろう。
近くのミニスーパーの総菜が豊富なことを、妻は「売れ残った野菜などを使って総菜としておそらく販売しているはず。単独世帯なら、総菜を買う方が安くつくから。」と推測していた。なるほど。需要の少ない三崎で、そういうカタチで需要を再生産している可能性がある。愛媛県の資料によると、(同居や施設に入っていない)高齢者単独世帯は伊方町で733名(28年度統計)もおられる。こういった問題も考える必要があるわけだ。

私は、ユネスコスクールを作るために三崎に来た。ここでは、環境、人権、平和、異文化理解、そして南北問題といったESDの柱以上に切実な課題がある。それは地域活性化であり、過疎化・高齢化・雇用創出への対策である。文部科学省のユネスコスクール申請にあたって、文部科学省がこのような地域社会への学校の関わりを重視して取り入れているのがよく理解できた次第。さあ、明日からAO対策を始める。まずはSDGsから三崎を読み解く、というところから始めようかと考えている。