2019年10月10日木曜日

久しぶりにマレーシアの事。

https://www.picbear.org/media/B23QU9ug88l
こちらに来て、ひたすら伊方町や三崎のことをエントリーしてきた。ここらで、世界に目を向けておきたい。当然ながらアフリカやマレーシアのことが気になるし、中東情勢も緊迫している。まずは、マレーシアのことをエントリーする。F42の国際関係志望学生や、PBTの関係OB・BGの学生に贈りたい。

先日マハティール首相が、混乱する香港情勢に触れ、香港総督は辞任すべきであると述べたというニュースが流れた。要するに、マレーシアは香港の民主化勢力を応援しているというスタンスを明確にしたわけだ。マレーシアにとって、混迷する世界情勢の中でも香港の騒乱を最も気にかけている。改めて香港の人々と資本の受け入れ先としてマレーシアがありますよと示したと言える。ブミプトラの国是からは、マレーシアにとって中華系の生産年齢人口が増加することは望ましいことではない。特に大陸の中華系の人々には大きなリスクを感じているはずだ。しかし、香港や台湾などの中華系については、民主主義的を十分理解していること、しかも彼らの持つ資本は魅力的なのではないだろうか。痛しかゆしというところなのだが、この辺の外交術はさすが老練なマハティール首相だと言わざるを得ない。
https://jp.reuters.com/article/hongkong-protests-malaysia-idJPKBN1WJ0R7

同時に、マレーシアを拠点とする企業に対しての優遇措置を打ち出している。中国や香港から移転を考えている企業に対し、マレーシアへの移転を促そうというわけだ。マレーシアの四下半期の景気指数も回復しているようで、香港情勢を心配しながら、自国の経済発展につなげようとしているのではないだろうか。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-malaysiamalaysia-idJPKBN1WN0XF
https://www.nna.jp/news/show/1960001

もう一つ。前回の総選挙直前に、フェイクニュース対策法をナジブ政権が成立させた。当時の政権に不利なニュースをフェイクだと認定し、マスコミが流さないようにするという趣旨の悪法で、デモクレイジー(一応民主主義的だが開発独裁に有利な施策)の一種だが、これが廃止された。面白いのは、下院(一般人の選挙で議員は選ばれる)が可決後、上院(各州のスルタンや州政府が任命/下院とは違い旧ナジブ政権側の議員が多い)では否決され、下院で再可決したとのこと。マレーシア連邦憲法を読むと、圧倒的に下院が優越なのである。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50821000Z01C19A0000000/

さて香港はどこに行くのだろう。これはマレーシアにとっても大きな関心事である。日本では、民主主義の危機、あるいは大陸の政治情勢の大きな変化という視点で捉えられているが、マレーシアではかなり視点が違うように思われる。PBTの学生諸君はどう考えるのだろうか。

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