2018年5月31日木曜日

PBTの話(38) 「銀だこ」曲線


http://www.snatchfx.com/archives/2702
このところ、EJUでも重要な経済分野を教えている。
ところで、ミッドバレーの3F(日本なら4Fにあたる)にある「銀だこ」という日系のたこやき屋が、木曜の昼だけ、1個RM1で販売している。F40Aの学生がそれを見つけてきて、毎木曜日は、昼休みになると、大勢で銀だこに向かっている。(笑)8個もあれば、ランチとしては十分である。(普段はもっともっと価格は高い。)

このことを使って、需要曲線、供給曲線を教えると、極めて理解しやすいようだ。消費者側(需要)としては、1個=RM1と安い故に需要が増える。(クラスの30%ほどが購入する。凄い。)生産者側(供給)の方も、RM1ではもうけはほとんどないはずだ。普段は価格を上げてもうけを増やそうとする。こういう当然のケースをモデルとして示したのが需要曲線・供給曲線というわけだ。

この銀だこは、極めて有効な実際の教材となっている。ありがたい存在だ。と、いうわけで、私も授業の空いた5限目に買いに行ってきた。私の注文は、ソースなし。マヨネーズなし。大嫌いな「花カツオ」なし。そのままでいい、自宅でソイソースをかけて食べると行ったら、スタッフがびっくりしていた。実は、これが最もシンプルでおいしいたこ焼きの食べ方である。明日、うちのクラスで教えてあげようかな。(笑)

2018年5月30日水曜日

マレーシア総選挙 10

これは4月号の表紙
Senyumという日本語のフリーペーパーがある。6月号に面白い記事が載っていた。ジャーナリストでは決して書けないような記事である。マレーシア在住で、中華系男性と結婚した日本人女性が書いている記事で、タイトルは「総選挙とフェイスブック」
2017年12月現在、マレーシアのフェイスブックの使用者は2200万人。約69%という普及率であるそうだ。(日本は55.8%)

筆者が印象的だったのは、総選挙の最終演説を、ナジブ氏はTV3で生放送、マハティール氏はフェイスブックのライブ配信で発表したことであるそうな。コメント欄には「え?TV3ってまだあるん?」「今時お茶の間に座ってテレビ?誰が見る?」「ナジブ氏は壁に向かって演説するに等しい」といったコメントが次々に寄せられたという。LINEでも、おもしろい投稿があふれていて、誹謗中傷やいわゆる炎上は極めて少なかったらしい。目には見えないけれど、身辺に同士を感じ、民衆は結束を固め、「よっしゃ選挙に行くぞ」という意識を深めたと思うと筆者は書いている。

最後のオチは、ナジブ氏が敗北後、「家族と休暇を取る」とフェイスブックで宣言。マハティール氏は、これに素早く反応し、ナジブ氏と家族を国外出国禁止のブラックリストに入れたのだった。最後まで、ナジブ氏はフェイスブックの力を侮っていたわけで、地団駄を踏んでいるに違いないと結んでいる。

…私は先日も書いたが、フェイスブックをやらない。しかし、アラブの春以来、SNSが持つ力はやはり凄いのであって、マレーシアでもそれが実証されたということなのだろう。CNNやロイターにはない、全く別の側面から総選挙を語った面白い記事であった。

2018年5月29日火曜日

男児救出のマリ青年に市民権

http://www.hazardlab.jp
/know/topics/detail/2/4
/24966.html
フランス・パリで、バルコニーから転落しそうになった男児を、スパイダーマンのように数秒で4階までよじ登って救出したマリ出身の青年が、大統領府で表彰され勲章を与えられ、市民権を得ることになったというニュースを読んで感動した。

しかも、パリ消防局は彼を採用したいとしている。まさにシンデレラ・ストーリーである。彼は数ヶ月前にパリに到着した不法移民であるそうだ。しかも、おそらくはラマダン中のムスリムであろうと思われる。私は、フランス政府やパリ支局の対応を強く支持したい。これを機に、フランス人の対ムスリムへの評価が少しでも変われば、さらに嬉しい。
https://www.cnn.co.jp/world/35119898.html

マレーシアにいると、外国人労働者の姿が多く目につく。MBMRでもバングラディシュの人々が清掃業務についているが、ある一人の青年が、他の人々が休憩中も、それこそ1日中清掃に汗を流している。そういう人々に光を当てること、また当たるような社会であることが重要だ。

マリの青年は、超人的な活躍を見せたが、超人的でなくとも、現状から這い上がろうと頑張っている人々がいる。いつか光が当たり、地道な努力を続ける移民や外国人労働者が幸福を摑むことを、私は彼の偉業にクロスして見てしまう。日本にいては、なかなか見えない視点かも、と思う。

ウェサックデー考

https://twitter.com/
zahid_hamidi/status/
861921250871881728
お釈迦さんの誕生日(ウェサック・デー/ハリ・ウェサック)である。日本では花祭りで、仏教徒が大多数なのにマイナーな扱いであるが、マレーシアでは、メジャーな扱いで国民の祝日である。このあたりの宗教行事に対する公平性は、マレーシアの大きな特徴である。(もちろん国教であるイスラム教の祝日が最も多い。)祝日であることは、他宗教であれ歓迎されているようで、信仰心の篤い人々も、それはそれ、休日は休日という感じで、喜んでいる。というわけで、私も今日は休みである。

今日の行事として有名なものとしては、先日行ったインド人街のスリランカの上座部寺院を起点にしたパレードがあるらしい。山車とかも出るようで、なかなか美しいとのこと。おそらく、マレーシアの人々は人種・宗教に関係なく見に行く人が多いと思う。さすがに、マレー系はラマダンなので、陽が沈んだらまずは食事だろうけど…。私もちょっと行きたいけれど、心待ちにしているカメラ(CanonG1Xm2)がまだ妻と共に日本にあるのと、人混みが苦手なことから遠慮しようと思う。
マレーシアのムスリムは意外に、偶像崇拝がどうのこうのとは、(内心はわからないが)めったに言わない。いちいち気にしていたら、KLを歩けないことも事実だ。

世界を見渡してみても、こういうシチェーションは、ほんと希なのではないだろうか。あらためて、マレーシアの人々の寛容性を称えたい。

2018年5月27日日曜日

妻帰国後 早くも頬がこけた。

妻が一時帰国の途についたのは水曜日の夜である。以来、食生活は大変化しており、早くも頬がこけていることが判明した。久々の単身生活で、妻の手料理がないとこんな風になるとは…。

木曜日の食生活 朝:チキンラーメン 昼:桃太郎の天ぷらうどん 夜:レトルトのハヤシライス

金曜日の食生活 朝:(寝坊したので)不二家のクッキーのみ 昼:ミッドバレーの地下食堂で野菜中心のRM5の経済飯 夜:わさび茶漬け

土曜日の食生活 朝:チキンラーメン 昼:特になし 夜:レトルトのカレー+(作り置きの)粕汁+RM6の野菜サラダ 

日曜日の食生活 朝 ハッシュドポテトフライパン焼き+粕汁 昼:バター醤油ライス 夜:(自炊して)焼きそば

妻は、莫大なご飯や手料理の冷凍を準備してくれている。今日は、その中の焼きそば用の豚肉+イカを使って自炊した。今週は自炊らしい自炊はまだこの1回だけ。(笑)友人や同僚からは、奥さんがいないと、ガタッとパワーが落ちますね、と言われている。本当だから、言い返せない。

タマンデサ 深夜の謎の工事

この所、睡眠不足が続いている。最大の理由は、おそらく糖尿病からくる血流の悪さで足がツルからである。毎晩、2、3回はその痛みに目が覚める。マッサージしたり足湯を用意してくれた妻が帰国してからも、それは続いている。

昨晩は、特に外がうるさかった。どうやら工事をしているらしい。深夜までやっていたのは、一日中雨や雷が断続的に続いていたからか、ラマダンでゆっくりやり過ぎたか、それは解らないが、とにかく窓の下でガンガン音がしていた。(日本なら誰かが、110番しているだろうと思う。笑)

朝、見てみると、街灯のようなものが突然立っている。今確認しても、街灯ではないようだ。交通関係のレーダーなのだろうか?いずれ、謎をときたいと思っている。

2018年5月26日土曜日

マングリッシュは難儀である

http://www.fsticker.com/%E3%80%90line-sticker-list%E3%80%91download-hidden-stickers-characters-brown-cony/
このところ、電話で英語をしゃべらなければならないことが続いた。先日の財布カエル大事件の時も、そうだったし、昨日は、妻の注文しているバッテリーがまだ届いていなくて、スマホ屋さんから電話がかかってきた。綺麗な英語でも30%くらしいしか解らないのに、見事なマングリッシュ(マレーシア英語)である。中華系の人々の英語は、かなり中国語的なのでよけいわかりにくい。もちろん文法もちょっと簡略化されているらしい。私にとっては、どっちみち一緒だが…。

ところで、おそらくPBTの先生方の中で、最も私が英語が苦手なのだと思う。校長先生始め、外大出身者も多いし、だいたいマレーシアで暮らすのに英語は不可欠である。
そういう認識(私が英語に関しては最底辺であること。)が、例の財布大事件以来、MBMRの分校の職員室に蔓延していてる。(笑)

さてさて、ついに私の就労ビザができあがった(期限ぎりぎりだが、これで私は不法労働者ではなくなった)、というIさんからの連絡が夕方あって、お礼の電話をした時のことだ。(Iさんはマレー系なので、PBTでは唯一日本語が通じない。いつも英語だ。)
「Iサン、サンキュー、ベリーマッチ。アイム、グラッド。」と私。「いえいえ、とんでもない。礼には及びません。先生のパスポートは私が預かっていますが、何時取りに来られますか?(とIさんが言っているように聞こえた。)」「アイ、ウィル ゲット マンデー、ウェン ミーティング。」と私。「わかりました。全く問題ないですよ(とIさんが言った感じ)」と、電話を切ったら、一斉に先生方が、「通じてましたよ」「先生の英語、たいしたもんですよ」と絶賛の嵐だった。

…ただし、上から目線だけど…。(笑)

2018年5月24日木曜日

ラマダーンと妻の一時帰国

妻の飛行機がフィリピンを過ぎた頃、連絡がついた
16日からマレーシアは、ラマダーン(断食月)に入った。
昨日は妻が一時帰国する日であった。ここで大きな問題があった。と、いうのも私と妻の就労ビザ・家族ビザの取得が遅れていたのだ。これは、マレー系のPBTの担当者の長期入院によるものであって仕方がないことであった。(こういう役所関係の仕事はマレー系の人々の仕事であるそうな。)就労ビザが切れるとまずい。退院してきた担当者が鋭意努力して、期限が近い先生から処理していた。やっと私の番になって、妻の帰国に合わせて役所にOKをもらったというので、前日に妻のパスポートを航空券の予約コピーと共に手渡した。「出来ましたよ」というので本校舎に取りに行ったら、家族ビザが貼ってない。担当者は青くなった。役所の手違いのようだ。結局、校長に書いて頂いたPBTからのレターと申請書類、領収書などを添付して証明できるようにしてくれた。がっかりしている担当者に「ラマダーンだから。」と笑わせたのだった。ラマダーンの時は、どうしてもムスリム人々の仕事の効率性が下がる。

妻は、とりあえずパスポートとイミグレを通過できる書類を手に入れた。もう一つの問題は、妻のスマホのバッテリーが、昨日今日にかけて大きくふくらんでいることだった。気圧が低いと爆発する畏れもある。それで、空港に直接行かず、まずはバッテリーの買い換えということになった。しかし、ミッドバレーの店では、バッテリーは取り寄せということで、泣く泣く何も持たずに帰国することになったのだった。今回は深夜便である。早めに搭乗手続きをとった妻を見送った後、私は翌日(つまり今日である)も仕事なので、タクシーで帰ることにした。(この時点で私はかなり疲れていたのだと思う。血糖値の高い還暦のおじさんである。)

KLIA2ではタクシーチケットを行き先を告げ料を支払うシステムである。私にあてがわれたのは変わったタクシーだった。天井がヒョウ柄のいかにもヤンキー風で、長髪のマレー系の運転手だったのだ。片言の英語でお互いに会話して、とにかく自宅にたどり着いたのだが、KLIA2 TEKSIと書かれた赤い車体を見送った後、妙におしりが軽い。財布を車中に置き忘れたことに気づいた。大パニックである。(現金の他にクレジットカードや銀行のカードなど全てが入っている!)

少し落ち着いて、チケットを見た。英語でよくわからないが、これが唯一の手がかりである。同じコンドに住む英語の達者な友人に頼み、このチケットにある電話番号に電話してもらった。ワッツアップで、チケットも写真で送ってもらった。少し落ち着いて考えると、変わったタクシーだったし、その様子も連絡してもらった。すると、運転手が解り、電話番号もわかったのだ。しかし留守電。凄い英語で留守電に録音した。明日(いや日付は変わっていたが)があるし、とりあえずクレジットカードだけ紛失処置をして寝た。このところ、血糖値が高いのか、毎晩足がつる。妻に足湯をしてもらったりマッサージをしてもらってもつる。ましてこんなストレスの中、熟睡できるほど私は大物ではない。当然ひどく足もつったし、よく眠れないままだった。

ところで今はラマダーンである。かのヤンキー運転手もムスリムである。意外にちゃらちゃらしている方が信仰心が強いことを、私はブルキナファソで見てきた。7:30の夜明け前に食事をするはずだから、逆算して6:20頃に電話した。すると、彼が電話に出てくれた。だが、お互いに英語がまずいので意思疎通が難しい。とにかく、財布の件を語り、大阪の日本人、タマンデサと言うと、わかってくれたようだ。学校からもう一度連絡すると約束して電話を切った。その直後、男性からまた英語の電話がかかってきた。彼のボスらしい。私の電話番号は彼しか知らないので、きっと報告したのだ。彼の英語もほとんどわからなかったけれど、なんとか解決しそうな気がした。

学校に、今度は女性から電話がかかってきた。これまたマングリッシュで全然わからない。K先生が代わってくれて、彼が財布をMBMRまで持ってきてくれるということが解った。電話の女性は彼のワイフだったようだ。そして1時間目の授業が終わり、約束の10:30の少し前に、彼が来てくれて財布を受け取れたという次第。ラマダーン中だし、信仰篤い彼は善を成してくれたわけだ。お礼を渡して、握手して別れたのだった。マレーシアではこういう落とした財布が見つかることは珍しいらしい。
妻の姉に旅かえるのクッションを昨夜買った。http://i.meet-i.com/?p=211551
…旅カエル。妻カエル。財布もカエル。ラマダーン。

2018年5月22日火曜日

米式ナンバープレート導入

日本の自動車のナンバープレートが、アメリカ式に各地方の図柄入りになるようだ。何でもかんでもアメリカナイズすることが良いとは思わないが、自動車のナンバープレートについては、かなり以前からそうなってほしいと思ってきた。やっと、やるのかい-!という感じなのだが、寄付金付きはカラーで、寄付金なしはモノクロだとか、やることがなんとなく、みみっちいと思うのは私だけだろうか。
https://response.jp/article/2018/05/22/309959.html

ところで、みみっちいと言えば、アメフトである。危機管理学部のあるN大の危機管理は誰がどう見てもみみっちい。今日、反則を犯した選手本人が会見し、醜さが見事に露呈したようだ。相手校の大学名もちゃんと言えないような監督の指示で、彼の人生が狂ってはたまらない。ここは先のある身、正義を貫いて、自己の責任を全うしてほしい。みみっちいモノクロの人生を送る必要はない。

2018年5月20日日曜日

マレーシア総選挙 9

2018年5月10日朝 MBMR職員室からKl中心街を望む
今回のマレーシア総選挙について、現地の人々の行動について書かれたWEB記事が出ていた。このレポートは、かなり正鵠を射ているのではないかと思われる。
https://toyokeizai.net/articles/-/220820

与党への様々な不満が溜まっていたことは大きいが、三民族あわせてのマレーシア人という国民国家的な思考がかなり浸透してきていると見ることは可能だ。
もちろん、民族間の軋轢はあるといった方が良いが、中華系・インド系も「ブミプトラ政策で忍従を強いられながらも、上手く適応する術を身につけており、マレー系の腐敗した前政権への碇から新たな方向性を模索していて、他の民族とも協力しようという機運が高まっている。」と、私も感じるところがある。(「 」内の文はこの記事からの要旨)

「ブミプトラ政策を直ちになくすことは、安定上望ましくない。それは誰よりも非マレー人が知っている。」多くの現地の人々の声を元に作成された、このレポートの結論である。

WhatsAppを入れる。

私は、スマホがあまり好きではない。バスの中でも町中でも、スマホをいじっている人が多くて、少しばかり違和感がある。だから、あまりスマホに詳しくないし、使い方も下手くそなままである。
昨年は必要性に迫られてLINEを入れて、なんとか使えるようになったけれど、マレーシアでは、LINEより「WhatsApp」の方がはるかに一般的らしい。

我がPBTの連絡網は、そういうわけで「WhatsApp」であるが、私のスマホには入っていなかった。と、いうより、3Gしかないので、入らなかったと言って良い。先日の総選挙の連絡も私には入ってこなかった。(というより入ってきようがなかった。笑)さすがに、これはまずい。スマホのG数を増やしてでも、「WhatsApp」が使えるようにしなければ、と腹をくくった。G数を増やすために、トップアップ(私のスマホは最低限仕様で、しかもプリぺードで通話料金を支払っている。毎月RM30だけである。)に今日行ったついでに、8Gに増やしてきた。メモリーカードなどを挿入して、複雑で、しかも高くつくと思ったら、スタッフのスマホで情報を送信して、私のスマホをちょっといじっただけで、8Gになった。料金はRM50弱。なーんだという感じである。こんなに簡単で安くつくなら、もっとはやくやればよかったと後悔した。

G数が2倍以上になったので、もっといろんなアプリを入れることが出来そうだが、当分邪魔くさいので、「WhatsApp」以外は、そのままにしておこうと思っている。スマホ嫌いは、そんなに簡単に直りそうはない。(笑)

2018年5月19日土曜日

中東の微妙な状況について

http://polandball.wikia.com/wiki/Iran-Israel_proxy_conflict
イスラエルが、シリア領内のイラクの革命防衛隊からロケット攻撃を受けたとして、これに対し大規模な空爆を行った。この件について、私が最も信頼する現地発の「オリーブ山だより」は沈黙を守ったままであるので、他のWEB記事を紹介・要約したい。「イスラエルのシリア空爆とロシアの役割」である。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12849

シリア内戦において、アサド側につき、共同戦線をはってきたのが、ロシアとイランである。アサド政権は独力で内戦を終結にはもっていけない。ロシアの軍事プレゼンスが不可欠なのだが、ロシアは東ウクライナにすでに陸上兵力を展開するという状況を作っており、財政上も国民感情の上からも、空軍はまだしも、シリアに陸上兵力を展開することは難しい。したがって、陸上兵力の主力であるイランの協力は不可欠である。

一方で、ロシアはイスラエルとの関係は悪くない。イスラエルがイランへの脅威を持っていることには理解を示しているし、石油価格面で底支えを共にしているサウジアラビアが、イスラエルよりもイランに敵対している関係で、イラン一辺倒の姿勢をとるわけにはいかないようだ。ロシアは極めて複雑な中東外交を迫られているといえる。

イスラエルのシリア空爆の前日は、ロシアの対独戦勝記念日で大規模な軍事パレードを行った。メインゲストは、なんとネタニヤフだったのだという。プーチンも多くの時間をこのイスラエル首相と過ごしたと伝えられ、翌日の空爆について突っ込んだ協議が行われた可能性が高い。ロシアは空爆を容認し、この情報はシリアとイランには伝えていないようで、ロシアの対空防衛システムも作動しなかった。

ロシアにイスラエルとイランの仲裁役を期待する声もあるが、かなり難しい。現在、アメリカがイラン核合意から離脱、経済制裁を再開し、大使館の移転など完全にイスラエル側についている中で、シリアやサウジとの関係も考えながら、ロシアも悩むところだろう。

…ところで、以前、イスラエルがスーダンに空爆を行ったことがある。(2012年10月)この時、単にスーダンの軍事工場(イランが、ここでガザに送る弾道ミサイルを製造していたらしいと英紙が報道)を破壊するだけではなく、F15が発進したイスラエル南部の基地から、スーダンのハルツームまでとイラン中部までの距離がほぼ同じであることから、イラン攻撃(特に核施設)の可能性を示唆したものという報道がなされたことがある。おそらく、イスラエルには、すでに十分なシミレーションが出来ていると思われる。イスラエルはそういう国だし、自己防衛のためには、あらゆる手段をとるだろう。

…一方で、自国のシェール革命で、中東の石油に価値を見いださなくなったアメリカは、中間選挙での得票増というミクロな利益のために、中東に於ける様々な先人のマクロな労苦を次々と消し去っているようだ。先日も国務省の重要な位置を占める有能な官僚が、イラン合意離脱後に辞任した。12点男の元から、どんどんと優秀な頭脳が去っているのだ。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10195.php

…第五次中東戦争は起こるのか?正直なところ、確率は低いと思うが、ありえない話ではないと私は思う。最近の国際状況は、理性や理念という物差しで測れないからだ。

2018年5月17日木曜日

京都精華大学にアフリカ人学長

http://www.kyoto-seika.ac.jp/info/info/pr/2017/09/26/46493/
京都精華大学は、マンガ学科があるユニークな芸術系大学である。叡電沿線で環境も良い。PBTのF36の学生も在学している大学だ。この京都精華大学にマリ出身のウスビ・サコ氏が4月1日就任したという記事が載っていた。なかなか読み応えのある記事であった。
https://toyokeizai.net/articles/-/220085

ウスビ・サコは、有名なベナンのゾマホン氏(1964年生まれ/1987年中国留学/1994年来日)と、経歴的に似通っている。1966年生まれ/高校卒業後(1984年頃?)中国留学/1991年来日。両者とも中国経由で日本に来ている。フランス語圏の西アフリカ諸国は当時中国へ留学するルートがあったのかもしれない。

ウスビ・サコ氏の記事の中で、中国留学時代の苦難の留学状況が語られている。おそらくゾマホン氏も同様の経験を積んだのかもしれない。(彼はそのよう苦難を、私の知る限り語っていないが…。)この中国での辛酸は意外な事実であった。

重要なことは、ウズビ・サコ氏は、京大で研鑽を積んだ正統派の建築学の学者であり、日本人と同じ土俵で力を発揮し、常勤講師から学長まで上り詰めたことだ。アフリカ人だからという理由で学長に選出されたのではない、ということである。

いやあ、快挙である。私はアフリカウォッチャーの一人として、アフリカの人々の才能や力量を再確認すると共に、氏のこれまでの努力に対し、祝意を捧げたいと思う。

2018年5月16日水曜日

宮田珠己を久しぶりに読む。

宮田珠己の「ときどき意味もなくずんずん歩く」を日本人会の無人古本コーナーで見つけて、今読んでいる。宮田氏は、私が愛読していた「旅行人」に寄稿していた作家で、その独特の文章の再構成力に私はいつも戦いている。

このエッセイを読んでいて、台湾で、台湾の人向けの携帯用日本語会話集の話が出てくる。「新親人類流行日語」副題が「日本語でラブラブ」という親人類にさらに新がついた若者ことばの会話集らしい。

例文にいきなり「ほっておくと陰気になります」
これは、たまごっちの事であった。

「彼と私は、二人とも象です」
これは動物占いの話であった。

などと、変わった例文が出てきて、朝からバスの中で笑いをこらえていたのだった。

実は、F40Aの教室には、S先生の残した日本語の本が何冊かあって学級文庫みたいになっているのだが、私もこれにプラスしようかなと思うのだが、この本はあまりに日本語表現がフツーではないので置けないなあ、などとも思った次第。(笑)

2018年5月15日火曜日

マレーシア総選挙 8

マハティール政権が動き出した。PBTの卒業生が、読んでおくべき日本語のWEBニュースがあるのでいくつか紹介しておきたい。

1つ目は、アジア諸国にもたらす政治と経済にもたらす示唆
https://seijipress.jp/asiaworld/137490-14/

2つ目は、マレーシアと中国の蜜月関係にNOを突き付けたとする記事
www.zakzak.co.jp/soc/news/180515/soc1805150005-n2.html

3つ目は、野党連合の経済政策と「マレーシア経済の行方」
https://moneyforward.com/media/career/59486/

4つ目はマハティール政権がナジブ政権の責任追及を急ぐ理由
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3053280015052018FF1000/

様々なスタンスから、新政権について書かれている。好意的であれ、批判的であれ、様々な視点をからの記事が出てくる。こういう日本の言論の自由こそは、民主主義の基礎であるといえるわけだ。
今日、政治分野の授業で日本国憲法に入り、そんな話をしていたのだった。絶好の教材でもある。

2018年5月14日月曜日

在以米大使館レセ出席国

エルサレムへのアメリカ大使館移転が現実のものとなった。私は、イスラエルの味方でもパレスチナの味方でもない中立の立場だが、この件は全く馬鹿げていると思う。これまでも、アメリカは、イスラエルロビーや福音派の影響もあって、エレサレムはイスラエルの首都だと言ってきた。口だけでそういうのは、まだ良い。歴代の米政権が、大使館移行を実行に移さなかったのは、その無意味さを認識してきたからに相違ない。おそらくは、この現実的な移転によって、多くのパレスチナ人が抗議に走り、石を投げ、そしてイスラエル軍に殺されるだろう。中間選挙の票集めのため、パレスチナ人が多数死ぬことを厭わない大統領が出現してしまったから起こった馬鹿げた行為だ。アメリカの良識はまさに地に墜ちたと言わざるを得ない。

WEBで、そのレセプションに参加する在以(以はイスラエルの漢字1字表記)大使のリストが発表された。本国から要人を送る国はない模様である。(当たり前だと思うが…。)ブログに参加国を記録しておきたい。
http://blogos.com/article/296946/

アルバニア、アンゴラ、オーストリア、カメルーン、コンゴ、コンゴ民主共和国、コートジボワール、チェコ、ドミニカ、エルサルバドル、エチオピア、ジョージア(旧クルジア)、グアテマラ、ホンジュラス、ハンガリー、ケニア、マケドニア、ナイジェリア、ミャンマー、パナマ、ペルー、フィリピン、ルーマニア、ルワンダ、セルビア、南スーダン、タイ、ウクライナ、ベトナム、パラグアイ、タンザニア、ザンビア。

中南米は、やはり米国の影響下にあることを強く印象づけるとともに、非イスラムのアフリカ諸国が目立つ。西ヨーロッパの先進国は不参加、カナダ・メキシコも不参加、ロシア、中国、インド、ブラジルも不参加。軍事的な関係が強い、オーストラリア・NZも不参加。もちろん日本も不参加。

イスラエルに大使館をおく国は82ヶ国あるらしいが、米国を入れて33ヶ国しか参加しないわけだ。これが、国益(主にアメリカとの関係強化)より、平和と良識を選んだ国際世論であると言えまいか。

2018年5月13日日曜日

JICA 資源の絆

秋田大学の国際資源学部に学ぶK君からメールが来た。こうして、時々卒業生からメールを貰うのは本当に嬉しい。なんでも、JICAの資源の絆プロジェクトについて調べているとの事。私がその辺に詳しい事を思い出してくれたようで、一昨年つくった「留学生のためのアフリカ開発経済学テキストV7.02 」をGメールで送った次第。(調べてみたら、Gメールは25MBまで送付できるようだ。)

JICAの資源の絆プロジェクトは、持続可能な開発を目差す途上国と、日本の鉱産資源専門家の絆を深め、レンティア国家(資源の利益が大きな収益となっている国)の罠に陥らないよう、スキル面での人材育成と、レント(収益)をいかに国家の開発に活かすかという政策面での人材育成をめざそうとするプロジェクトであるといえる。
このブログでも何度かエントリーしたが、途上国では、資源のレントがデモクレイジーに発展する可能性が高い。結局、資源は先進国の開発業者と権力者のモノと成ってしまい、多くの国民に還元されないのである。日本の技術や鉱産資源政策のノウハウが、途上国の発展に寄与させようという、このプロジェクト、若干日本の国益とも絡んでいるとはいえ、なかなか素晴らしい取り組みだと思った次第。こういう取り組みの存在を教えてくれたK君に感謝である。

2018年5月12日土曜日

Koiyaki (コイ焼き)

総選挙後の4連休。野党が勝ったので、いわゆる暴動のような事件は全く聞かない。妻が、今月下旬に一時帰国するので、インドの石けんをお土産にすると言い出した。知人から貰ったインドの石けんがお気に入りで、先日もインド人街で買い求めた。

650番のバスに乗ってインド人街へ。(インド関係の)大型店では、RM4強。「前回買った店ではもっと安かったと思う。」というわけで、少し裏通りにある小型店へ。(と、いってもインド関係のモノは大抵揃っている。「リンガ」まで売っていてビックリした。)こっちでは、RM4弱。10個買うとなると差は大きい。(笑)

その後、セントラルステーション方面に向かい、ペナン料理のレストランで昼食を取った。ニューセントラルと呼ばれるモールは、一部しか知らない。少し食後の散歩で歩いてみた。ここのフードコートはなかなか洒落ていて、しかも美味しそうだ。次はここで食べようか、という話になった。最後に、変な店を見つけた。

「コイ焼き」…「タイ焼き」ではなく、「鯉」である。よく見ると、ソフトクリームのコーンの部分がタイ焼き風になっている。看板にはジャパニーズ・プレミアムとあるが、少なくとも私は日本で見たことがない。写真を撮らせて貰ったが、(私は日本人だが)「We don't have KOIYAKI in JAPAN.」と言ったら、大笑いしてくれた。次に来た時は、コイ焼きを食べてみようと思う。

2018年5月11日金曜日

ケニアのダム決壊に思う。

ナクル湖(2003年撮影)
ケニアでダムが決壊し、多くの死傷者と避難民が出た模様である。場所を確認して驚いた。リフトバレー州の州都ナクル近郊であるという。
https://www.cnn.co.jp/world/35118974.html

リフトバレー州という名は、アフリカ大陸を南北に縦断する大地溝帯を意味している。いくつかの構造湖がある。ナクル湖もそのひとつであり、フラミンゴの生息地として有名な世界自然遺産の1つであり国立公園でもある。2003年のJICAのケニア行では、私もこの地を訪問している。

そのナクルが大変なことになっているわけだ。その理由は豪雨であるらしい。地球温暖化の影響を受けやすいのは、やはり途上国で、脆弱なインフラがその犠牲を増やすことになってしまう。口で言うのはたやすいが、そう簡単なことではない。

開発政策は、生き物であるといってよい。経済的な側面が大きいし、政治的な問題で左右されることも多い。ケニアもまた、様々な開発計画を持ち、様々な国が協力している。この決壊したダムが、どのようにして造られたのか、その主目的(治水なのか、発電なのか、農業用水か等)も含め、いまのところ明らかではないので、何とも言えない。とにもかくにも、日本政府は、出来る限りのことをしていただきたいと思う次第である。
…JICAケニア事務所の皆さん、頑張って下さい。

マレーシア総選挙 7

総選挙の翌日(昨日10日)に、マハティール氏は国王のもと、首相就任宣誓式を行ったそうだ。日本の感覚(特別国会の招集/両院の首相指名選挙/首相による国務大臣の指名・任命・組閣/天皇のもとでの首相任命・国務大臣認証式)からすれば、すごいスピードである。国会で指名を受けたという確認は現時点ではとれていない。選挙結果が全てなのだろうか。未だ不明。

さて上記の地図は、WEBで見つけた選挙結果の地図である。KLでは、11選挙区で野党が10議席を獲得した。首都機能のあるプトラジャヤは与党のみ1議席。(ここは公務員が多いし、与党に投票することになっているらしい。)KLの周囲にあるセランゴール州は22議席中、与党2議席/野党20議席だった。都市部(ジョホール州やペナン州、マラッカ州など)は、当然野党が強い。マレー系の多い東部でも野党が善戦したことがわかる。(地図中の白い部分は与野党伯仲状態を示している。)
http://ge14.says.com/

ところで、マハティール氏は経済政策にまず重点を置くと宣誓式後の記者会見で語っている。生活費の上昇が国民の不満としてかなり挙げられている。消費税を廃止しつつ、累進課税を強めて、インフレ抑制策をとるのだろう。
さらに「抑圧的な法律」を廃止すると宣言した。「フェイクニュース対策法」といった評判の悪い法律を無効にしていくだろう。
http://www.afpbb.com/articles/-/3174206?cx_part=latest_article

…その流れの中で、マスメディアへの規制を徐々にゆるめていくと私は思っている。民主主義のひとつのキーワードは言論の自由であるからだ。2020年に先進国入り(おそらくはOECD加盟)を目差すためには、開発独裁のイメージの払拭が問われると思う。

…ただ、マレーシアには、未だ触れない方が良いことがある。まずは、宗教。イスラム教、仏教・道教、ヒンドゥー教、キリスト教などの多宗教が混在するイスラム国家という枠組みを守るためには、宗教問題については言論の自由は、公共の福祉という観点から制限が加えられる必要性がある。もうひとつは、ブミプトラ政策の問題である。これを継続するか否かはマレーシアにとっては大問題であるし、その是非を論議することは、政治的な不安定性を招きかねない。とはいえ、これまでの開発独裁と深く関わっている問題であり、国論を二分する可能性を秘めていることに間違いはない。さて、どこまでが許容範囲となるのだろうか。

野党政権樹立を受けて、リンギ安となっている。経済的には、少しばかり混乱も起こりえると私は思う。特に中国との関係性が、これまでよりは薄まる可能性が高い。このための変動は避けられないと思われる。

2018年5月10日木曜日

マレーシア総選挙 6

野党が勝ったので、木金土日と4日連続休みになったので嬉しいが、仕事の方も滞ってしまう。テキストやプリント類を取りに、いつもの時間帯のバスで登校してきた。

するとバス停でTさんと会った。野党支持派の彼は大変喜んでいて、これからまたセントラルステーションから列車に乗ってペナンに帰るのだという。リュックにはバドミントンのラケットがあったりして…。

道路はかなり空いている。いつもの日曜以上だ。みんな夜遅くまで選挙速報を見ていたのだろうか?今朝は初めてカートに乗って出勤した。いつもは、少しでも早く16階の鍵をあけるために、近道を歩いて出勤するのだが。カートのスタッフも今日は暇そうだ。MBMRにも、当然ながらPBTの学生の姿はない。

段取りを終えて、ミッドバレーからバスに乗った。顔見知りの運転手で、「どうした?今日は休みだよ。」と言ってくれていたようだ。なまりがきつい英語なので、そう感じたと言った方がいいかもしれない。説明するだけの語彙力がないので、笑ってすませた。

帰宅すると、妻が、「公式発表があって、今日と明日が休みになったで。」と教えてくれた。…そんな総選挙直後の朝であった。

マレーシア総選挙 5

http://www.shimotsuke.co.jp
/news/domestic/main/news
/20180510/01000641
マレーシア総選挙は、野党連合が勝利したというニュースが飛び込んできた。最も早かったのは、F40Aの学生代表のA君からのLINEである。「先生!えらいことになりました!明日はは休みになります。報告以上」+スタンプは、ブラウンの”サクラサク”(0:15)もちろん、私は寝ていたのだが…。朝WEBで確認したが、当然間違いはないようだ。さっそく、「ありがとう」と返信した。昨日、22:00頃、TVでローカルのニュースをつけてみたが、よく映らなかったし、マレーシア語なので全くわからなかった。LIVEで結果を知るのは完全に諦めたのだった。

AFP通信のWEBによると、222議席中、115議席を野党がとり、過半数を超えたとのこと。マハティール元首相は、ナジブ首相の対立候補として出馬し、勝利したという。マハティール氏は、ナジブ氏自身が設立した政府系投資会社「ワン・マレーシア・ディベロップメント(1MDB)」をめぐる不正疑惑の責任追及の方針を示していたが、勝利後の会見で「我々は復讐を求めているのではない。望むのは法の支配の回復だ。」と語ったそうだ。
http://www.afpbb.com/articles/-/3174030?pid=20106367

…「法の支配の回復」という言葉に私は感銘を受けた。この言葉の意味は、私の教え子であるPBTの文系学生には、よく理解できるところだろうと思う。

…というわけで、今日明日と休みになったのだが、私には未だに重大な疑念がある。この選挙の結果が出た瞬間に、一気に権力の委譲が行われたことになるからだ。マレーシアの法については、私は全くの無知だが、法的に国全体を休日とするという施策は、おそらく首相の行政命令なのだと推測できる。総選挙、さらに選挙結果が出た時点でも依然、権力は空白のままではないのか?マレーシアは議院内閣制であるから、下院の指名、さらに国王の任命などというプロセスが必要な気がする。たとえ、そうなることが100%間違いないとしても、一瞬にして権力が委譲し、行政命令が出るというのは、やはり不思議だ。この点をマレーシアに長く暮らしてきたPBTの先生方に聞いてみたが、回答は「そういうもの」であるらしい。全く法的な説明はなされないままだった。(笑)マレーシア、不思議の国である。

2018年5月9日水曜日

マレーシア総選挙 4

妻と近くのスーパーへ買い物に出かけた。カメラ(妻のニコン)ももっていたので、今日の選挙日を記録しておこうと思った。とはいえ、我が街タマンデサは、普段の休日そのものである。

公立の学校が投票所になっているそうで、駐車が多く、停滞が激しいとのハナシが出ている。今回の選挙は92才のマハティール元首相が出馬していることもあって、何が起こるかわからないらしい。様々なところから注意喚起が届いている。
日本と違って、投票するには、有権者登録が必要で、しかも故郷でしか投票できない。バス友の中国系のTさんは、「(昨日の夜に)故郷のペナンに帰る。」と言っていた。当然ながら、飛行機やバス、鉄道などの長距離交通機関は大混雑になるらしい。
妻が、妙な誤解をしていた。野党の候補のポスターの旗の横に×が書かれているので、これは与党のポスターだと思っていたらしい。イヤイヤイヤ、マレーシアでは○の代わりに×を書き入れるのだそうだ。ちょうど、授業で最高裁判所裁判官の国民審査の話の中で、日本では、ダメだと思う裁判官に×を書くのだと教えたが、みんな意外そうな顔をしていた。(笑)こういう違いも面白いと思う。
さて、スーパーからの帰路、選挙があるという啓蒙の横断幕を発見した。だが、良く見てみると、野党の横断幕だった。最下段の中国語の意味は、日本人でも十分に解る。あまりにストレートすぎて、びっくりしたのだった。

マレーシア総選挙 3

いよいよ、総選挙当日(休日)である。グーグルのロゴも総選挙。昨日、かなりくわしい日本語の記事(下記WEB参照)が登場した。タイ、カンボジア、インドネシアなども政府監視団を送ってきているそうだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53034

また、こんなニュースも飛び込んできた。(下記WEB参照)妻が言うに、選挙が近づくにつれ、スマホが繋がりにくくなってきたし、なにかと選挙広告がでるとのこと。私はあまりスマホを使わないのでよくわからないが…。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53012

2018年5月8日火曜日

星野ルネ氏の漫画にイイネ!

妻がまたまたWEBを紹介してくれた。星野ルネ氏という、日本人の父とカメルーン人の母の間に生まれた33才の男性の漫画である。タレントという肩書きもあったけど、日本にいないので、その活躍は知らない。

だが、希有な視点で書かれた漫画は実に興味深い。私もファンになってしまった。こういう漫画にコメントはいらないと思う。
https://www.huffingtonpost.jp/2018/05/06/camerooncomic_a_23428402/

2018年5月7日月曜日

PBTの話(37) 翻訳という仕事

N君という学生と、翻訳業について今日、立ち話をしていた。彼女はすでにマレーシアの大学で中国思想を学んだ才媛である。彼女の志は、F38のI君やK君と同じ「翻訳」である。日本語と中国語の狭間で生きることを志している。
私の日本の教え子も日本語と英語の狭間で頑張っている。彼女たちの多くはメーカーや商社に入り、専門的な製品や契約書などの翻訳をしているはずだ。

中国語の文章を日本語に翻訳することは、ほぼ学者の世界かもしれない。日本にはそういう学者諸氏がたくさんおられる。また日本語の文章を中国語に翻訳することを生業にしている人もいるだろう。いずれにせよ、現在の中国本土のスタンスからして、なんでも自由に翻訳するということは難しそうな気がする。そんなハナシをしていたのだった。

ところで、日本語における中国の人名は音読みなので、桃文元の「海瑞罷官を評す」を例に取ったのだが、ヨウブンゲンではN君には全く通じない。あたりまえであるが、なかなか大変なのである。

ところで、今日は月曜日。職員連絡会があって本校に出向いた。いつものように、無人古本コーナーを覗いたら、パキスタン人の詩集があった。もちろん日本語訳である。パキスタンだから、ウルドゥー語だろうか。これも翻訳なわけで、なんとなく手にとって気に入ったので、RM1を入れてきた。「ムーサーの一撃」という詩集である。ムーサーとは日本ではモーゼのことである。なんとなく題名に惹かれたのだ。

2018年5月6日日曜日

PBTの話(36) Sturm und drang

Sturm und drang:日本語では「疾風怒濤」と訳すのだが、私がこの言葉に初めて出会ったのは中3、北杜夫の「ドクトルマンボウ青春記」である。青年心理学では、青年期の特徴を示す言葉でもある。理性的判断より感情的な側面が強く出てしまい、アイデンティティの確立がなかなか出来ないような状況になることである、と私は理解している。

先日、T先生から、我がF40Aの学生諸君の作文を見せて貰った。学生理解のためにと、いうわけだ。作文のテーマは、「私の長所と短所」である。いずれ、大学の志望動機や面接指導のための伏線でもある。

全体を通して、マレーシアの学生は、親の意見というか教育方針に忠実で、他人に迷惑をかけない、時間を守ると言った基本的な生き方を学んでいることがわかった。エゴグラムで言うとCPが高いわけだ。しかしながら、中・高の人間関係では、友人がそうでなかったりして、大いに苛立っており、友人関係に不安を抱いてる学生が多かった。彼らは、ある意味でエリートなのかもしれない。まあ、PBTに学び、日本留学をめざして、地獄ような宿題をやり抜く志があるのだから、選ばれし者のような気がする。しかも、意外に自分に自信がないらしい。と、いうのが私の感想。

そこで、少しばかり「ペルソナ」のハナシをしてみた。さすが選ばれし者で、ペルソナを知っている学生が数人いた。ギリシア演劇の仮面であり、パーソナリティーの語源となっている。私は、学生時代にSさんの仮面を被り、教師になってからも仮面を被り続けて、今やそれは自分のものとなっている、そんなハナシをしたのだった。青年期は、悩み、苦しむのが当然であって…と、今日のタイトルの「Sturm und drang」が出てきたのであった。これ以上は説明すると、日本の大学で心理学をやりたいと言われては困るので止めたが…。(私は心理学を専門に学ぶことは留学生にとっては、かなり日本語的に難題と考えている。日本の法律を学ぶのも同じ理由である。しかも心理学は院にまで進まねば、専門家とはいえないので、余計忌避するよう指導している。どうしてもやりたかったら、社会学部や文学部で他の学問を主として学びながら、心理学もかじったら…。と言っている。)

担任としては、これからさらに、学生諸君のこういった悩みも聞いていってあげないといけないな、と思っている。自信を持ちすぎるのは困るが、ないのも困る。(笑)

2018年5月5日土曜日

マレーシア総選挙 2

http://www.malaysia-magazine.com/news/30585.html
マレーシア総選挙は、加熱しているようである。と、いっても毎日のように旗やポスターが増えてくのが目につくくらい。日本みたいに選挙カーによる遊説はないので、静かだ。とはいえ、大きな看板ポスターに刃物傷があったり、旗が抜かれていたり、夜中にいろいろとあるようだ。

日本語のWEB記事でもマレーシア総選挙の扱いが増えてきた。マレーシアの総選挙の結果次第では、中国とマレーシア、さらに東南アジアの関係に大きな影響をあたえるし、GDPでは先進国入り目前ながら、開発独裁の弊害について論評する記事もある。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00471804
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10091.php
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3012116003052018FF8000/
http://www.malaysia-magazine.com/news/30585.html

…私自身は、社会科教師として、日本以外の選挙をじっくり見るのは始めてなのでちょっと高揚している。アメリカの中間選挙時に渡米した経験はあるが、自宅の芝生の庭に民主党や共和党の看板を立てたりして、かなり自分の政治的立場を主張していたように思う。こっちでは、そういう傾向は極めて少ないが、コンドのベランダに野党の旗を掲げていたり、同じ旗を掲げた自家用車を昨日1軒と1台だけ見た。政治集会には、参加する予定はないが、かなり白熱したものらしい。地元のTVニュースを見たいのだが、こんな時、マレーシア語ができたら、いやせめて英語でも堪能ならと思うのである。

2018年5月4日金曜日

イチローとTOKIO

https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/201805040000638.html
イチローの現役選手としての勇姿を今季は見れなくなった。マリナーズの会長特別補佐という奇妙な役職に就くことになったからである。練習しながらサポートするという希な存在になる。私はまだまだイチローはやれると思うし、来季に一縷の望みを持っている。是非とも大谷や田中、ダルビッシュ、前田などと対戦するところを見たい。

マリナーズのGMは、イチローを「ダライラマのような存在」と言った。みんなが教えを請いに行くという存在の意味だという。松阪大輔は、「米国を経験した人間として言うと、球団からああいうカタチでサポートをお願いされるいうのは本当に凄いこと」とコメントした。まさにそうなのだろう。イチローにしかできない事をやってほしいものだ。
https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/201805040000638.html

ところで、山口達也も、TOKIOが5人そろって何かをすることも見れなくなった。日本のTVは全く見ていないのだが、WEB上でも大騒ぎになっている。この件で何もを言うつもりはないのだが、私の大好きな野球選手と、長年見てきてた鉄腕ダッシュを構成する大好きなグループがほぼ同じ時期に、微妙な立場にたたされていることは間違いないわけで…。

なにかしら、言葉に出来ない感傷がある次第。

2018年5月3日木曜日

PBTの話(35) MBMRのスタッフ

分校があるMBMRビルを望む
MBMRの分校に移って、そろそろ1ヶ月になる。こちらは日本人会と違いオフィスビルなので、様々な人々が行き交いしている。こちらにもセキュリティがいて、彼らはマレー系の人々である。常に愛想良くしてくれる。

一方で、清掃スタッフも朝から夕方まで頑張ってくれている。床やガラスを常に美しくしていないとならないようで、モップやぞうきんをもって黙々と働いている。今日、顔見知りになったスタッフと話してみた。聞くとやはりというか、バングラディシュの人だった。日本人会もそうだが、こういう仕事はバングラディシュの人が多い。

私も英語は堪能ではないし、彼はそれ以上に英語が話せそうになかったので、わかったのはそれだけである。マレーシアにいると、そういう外交人労働者に遭遇することが多い。ブミプトラ政策で、マレー系が優遇されているというが、それはやはり一部で、中華系の人々や一部のインド系の人々がビジネスで成功していることは一目瞭然である。MBMRはそういうビジネスにかかわる人々の通う場所である。おそらく大学出の彼らにとって、清掃のスタッフは目にとめる存在ではないようである。

アメリカにおける白人のヒスパニックやアフリカンとの差異もそうだったし、ケニアでも白人とインド系は特別な存在だった。マレーシアでも、MBMRにいるとそれが明確である。日本人会は特別な場所のようだが、それでも日本人がトップに立っていて、他を見下しているような感覚は無きにもアラズである。

そういう階級的な風景に、いつまでたっても慣れない私がいる。いや、慣れることに恐怖すら覚えるのだ。

2018年5月2日水曜日

「深夜特急6」を再読す。

深夜特急の6を読んでいる。南ヨーロッパ編である。イタリアのローマで、沢木耕太郎はバチカンの「ピエタ」に感動している。他のルネサンスの傑作と言われる作品も、ピエタから見るとそれ以下にしか見えないと何度も記している。

再読しているからこそわかることもある。これまで私は「ピエタ」をよく認識していなかったが、世界史を教え、ルネサンスを教える段になって、ようやくその姿を目に浮かべることが出来るようになった。私は、当然「ピエタ」の実物を見ていないのだが、それほどに美しいものなのだろうと、なんとなく感じるに過ぎない。実物是非とも見てみたいな。

後半に、スペインの悪口を言う在西1年半の日本人商社マンの話が出てくる。それを聞きながら、沢木は「他国のことをわかるのだろうか。」という気になる。それは、タイで出会った日本人ビジネスマンが「ほんとうにわかっているのは、わからないということだけかもしれないな。」と言った時のことを思い出すのだ。状況はどんどん変化していくし、データなんかは1年で古びてしまう。それに経験というやつは常に一面的…。

今日は、バスの中で読んでいて、なるほどと思った。マレーシアに2年いて、何かわかったような気になっていたような気がするが、本当のところ何もわかっていないのだと思う。経験は一面的なものである。だが、わかっていないから知りたいのである。それでいいのかもしれない。

2018年5月1日火曜日

マレーシア総選挙

与党の垂れ幕 
5月9日に、マレーシアの下院総選挙があるそうで、街は、与野党の旗と候補者の看板が溢れている。与党の青い旗は、すでに一ヶ月前くらいから、どどどっと登場し、一週間前くらいから、これに負けじと野党の旗も並んでいる。我がタマンデサでは、野党の旗のほうが多くなったように感じる。ちなみにタマンデサを含む選挙区では、中国系の女性候補同士の争いになっているようだ。
道を埋め尽くす野党の旗
南国新聞などの日系のフリーペーパーくらいしか読んでいない私には、与野党の政策の違いはあまりわからないし、WEBで読む日系のニュースでは、その勢力は伯仲しているようで、勝敗の予想は、まだまだついていないのが現状ある。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018042800421&g=int

社会の教師としては、結果もだが、その選挙プロセスなどにもなかなか興味があるところである。面白いのは、妻がスマホで無料ゲームをやっていると、時折与党のCMが入る。妻も最初は何かわからなかったらしい。当然マレーシア語だし。プロパガンダの方法が超現代的ですごいなと思う。(笑)

ところで、野党は9日の選挙に勝利したら、10・11日と休日にすると発表したらしい。与党も10日を休みにするのでは、という憶測も乱れ飛んでいる。
PBTでも、その対策(特に時間割の件)におわれることになった。私としては、6月のEJUのこともあるし、授業時間確保の意味からも、休日になってもらうのは困るのだが、マレーシアという国、意外にこういう休日が多い。

学生に聞くと、インドネシアとのナショナルチーム同士の公式試合で勝ったので、翌日が急に休日になったことがあるらしい。近くは、昨年、東南アジアのスポーツ大会で開催国として総合優勝したので急に休日になった。日本ではあり得ない話だが、実に面白い。総選挙も巻き込んで、休日が取りざたされるのも凄いハナシではあると思う。ちなみに今日は、メーデーで国民の祝日である。