2019年10月6日日曜日

三崎で「地域経済学」考

今朝も妻と散歩に出かけた。健康のためにも三崎を歩いて知ろうというわけだ。今朝は裏の山の方に登ってみた。三崎を一望できるところまで農道を登った。ミカンを収穫する際のモノレール(発動機付きのトロッコのような設備)の存在は知っていたが、現物を目の前で見たのは初めてだ。
フェリーが入ってきた。三崎港と大分県の佐賀関を70分で結んでいる。平常1日16便。1時間ごとに三崎港を出るというダイヤだ。(7時30分~23時30分発:ただし13:30は平常なし。臨時便がある時は6時30分発や13:30分発も。)かなり便利なフェリーである。三崎の産業は、ミカン栽培を中心とした農業とサバ・アジなどの漁業、そしてこのフェリー発着と佐田岬観光であるといってよい。

こちらに来て、過疎化や高齢化という問題が大きく圧し掛かっていることを実感した。未咲輝塾の生徒のAO対策に関連して、地域経済学について興味を抱いた。そこで、ちょっと、厚生労働省や愛媛県の統計資料を調べてみた。愛媛県全体で見て、高齢化比率(65歳以上人口比)は国内で(秋田・高知・島根・山口・和歌山・徳島・山形に次いで)8番目である。(ちなみに香川県は13位、四国全体の高齢化の状況はかなり厳しい。)さて、愛媛県内で、伊方町はどうなのだろう。実は41.7%(平成27年度統計)で、県内で3番目に高齢化が進んでいる地域なのであった。

次に市町村別総生産と所得を見てみる。伊方町は総生産は488億3700万円(平成28年度統計)で15位(県内市町数は20)、県総生産の1%を占めている。総所得は232億5700万円で県内16位、0.6%を占める。ただし1人あたりの所得は、248.5万円で14位となっている。高齢化と総生産や所得といった経済指標との相関性については、総計資料を眺めていて、おそらくは大きな影響があるだろうと推測される。
地域経済学という学問はミクロ経済学のひとつであるので、各地域の現状の把握、問題点の抽出、その解決策の考察を行うはずだ。それぞれの地域が抱える問題を、人口動向、産業構造、雇用状況などの視点からも見ると思われる。このような客観的な統計資料とともに、そこに暮らす人々の数値で測れない部分も考慮して地域経済学が成立しているのではないかと思う。というのが、これまで開発経済学を主体に学んできた私の地域経済学考になるわけだ。いかに持続可能な開発を進めていくか、というスタンスは全く同じだ。

過疎化、高齢化をいかに乗り越えるか?実に難しい課題である。昨日、道の駅を回って、地域の高齢者が(どのような形態であるかはわからないが)雇用されている姿を見た。そこでは、生産性重視といった企業のセオリーより雇用創出が重視されるだろう。
近くのミニスーパーの総菜が豊富なことを、妻は「売れ残った野菜などを使って総菜としておそらく販売しているはず。単独世帯なら、総菜を買う方が安くつくから。」と推測していた。なるほど。需要の少ない三崎で、そういうカタチで需要を再生産している可能性がある。愛媛県の資料によると、(同居や施設に入っていない)高齢者単独世帯は伊方町で733名(28年度統計)もおられる。こういった問題も考える必要があるわけだ。

私は、ユネスコスクールを作るために三崎に来た。ここでは、環境、人権、平和、異文化理解、そして南北問題といったESDの柱以上に切実な課題がある。それは地域活性化であり、過疎化・高齢化・雇用創出への対策である。文部科学省のユネスコスクール申請にあたって、文部科学省がこのような地域社会への学校の関わりを重視して取り入れているのがよく理解できた次第。さあ、明日からAO対策を始める。まずはSDGsから三崎を読み解く、というところから始めようかと考えている。

0 件のコメント:

コメントを投稿