2012年8月14日火曜日

ガリラヤ湖畔を旅するⅠ

【イスラエル-(超)多文化共生(強制)の地を覗く-その18
エレサレムからパレスチナ自治区との境ぞいに北に3時間ほどバスに乗ると、ティベリアというガリラヤ湖畔の都市に出る。息子に言わせれば「イスラエルの熱海」らしい。近くに温泉もあり中心街の道の両側に拡がるアーケードなどの感じや丘に広がる感じなど、言い当てて妙である。イスラエル旅の後半は、家族4人の3泊4日の北部イスラエルへの旅である。ホテルに旅装を解いた後、我々はツファットという小さな街へ向かった。路線バスで1時間程度である。乾燥した山々をぐんぐん登っていく。ツファットは、息子のイチオシの街で、超正統派の街であり、カバラの総本山であり、芸術家の街でもある。
たしかに超正統派だらけである。ただエレサレムの超正統派とは少し感じが違う。おだやかなのだ。死海バス事件以来、妻は超正統派に悪印象を持っている。(8月13日付ブログ/エレサレム近郊へ行くⅠ参照)ところが鋭い感性を持つ彼女は、その辺を指摘した。息子も、小さなシナゴーグから出てきたばかりの超正統派女性に、英語で言うところの「May I help you?」をヘブライ語で言われたらしい。普通、シナゴーグから出てきたばかりというのは超正統派はこちらから声をかけても口をきかないものらしい。「奇跡に近い出来事である。」と言っていた。明らかにエレサレムの超正統派とは違うのだ。息子は「近くに軽い食事ができるところはないですか。」と、ヘブライ語かイディッシュ語(超正統派はヘブライ語を聖書の聖なる言語と考えていて宗教行事のみに使い、日常会話はドイツ語の交じったイディッシュ語を使う。)で聞いたらしい。おかげで、近道を教えてもらったのだった。
カバラのギャラリー
ピザ屋さんなのに、手を洗うところがあり例の二つの取っ手のコップが置いてある。おお。さすが超正統派の街。(きっと探せばエレサレムのレストランにもあったと思うが。)
このツファットの街は、旧市街っぽくて、ものすごく絵になる街である。NHKの『世界ふれあい街歩き』の世界である。あちこちに小さなシナゴーグやギャラリーがある。カバラのギャラリーも見つけた。中ではチベット仏教のマンダラのようなものを描いていた。大家さんも勉強しているというカバラとは、ユダヤ教の神秘主義思想のことである。『イスラエル人とは何か?』によると、ここはユダヤ教の四大聖地のひとつで春には、ラグ・バオメルという祭りがあり、カバラの中心的な書物の著者とされるラビ・シモンの墓に一万人以上のユダヤ教徒が集まるらしい。ミズラヒムの人々が多いらしいが、アシュケナジの超正統派を始め様々な宗派の善男善女が集まり、ユダヤ人のウッドストックみたいになるらしい。なるほど。
息子は一度来たことがあるらしく、アート街や青い街と呼ばれる界隈を案内してくれた。ホントいい街である。かなり気に行ったぞ。
広場で一休みしていたら、こんなところにも一見してアラブ人と思われる2人組がいた。彼らの仕事は狭い道しかない広場のゴミBOXから、清掃車が入れる道まで坂を昇降してゴミを運ぶことらしい。「キツイ仕事やなあ。」と私が感慨にふせっていたら、横に座っていた妻が口の中に入れていたアイスコーヒーをプファーッと吹き出した。「何してんねん。」と怒ると、妻は笑い転げている。超正統派の子供が、変なおもちゃの眼鏡をかけて近寄ってきたのを見て、思わず笑ってしまったらしい。おかげで私はえらい目にあったが、おだやかな超正統派に加えてお茶目な超正統派の子供までいるのが、この街の最大の魅力かもしれない。

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