2020年7月9日木曜日

米中冷戦下のアフリカ

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20095
今、中国が孤立しつつあるという感覚が強いが、アフリカ諸国は中国についているとアメリカが非難していることに、6月11日の英ファイナンシャル・タイムズが、アフリカの実情を無視したアメリカの批判は誤りであると論じたらしい。この記事のタイトルは、「コロナ禍でも着実にアフリカを従属させていく中国」である。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20095

この中国のアフリカへの支援については、開発経済学の世界では様々に論じられてきた。西側先進国のように、民主化や人権問題などの改善要求などせず、あるいはPRSP(貧困削減戦略文書)を出させたりすることもなく、どんどんインフラ設備を建設していくのだが、現地の雇用をせず、中国人労働者を引き連れての支援事業であった。おそらくアフリカの多くの一般の人々は中国にあまり良い印象を持っていないはずだが、権力層は違うと思う。アフリカのエリート層と一般の人々の感覚は、様々な面でかなりの格差があることを私は見てきた。

とはいえ、誰が彼らを責めることができるだろうかと私は思う。アフリカ諸国は意外にしたたかである。これまで欧米諸国や旧ソ連などにもいいように利用されてきた。その不信感から中国の様々な支援を受け入れ、うわべだけでも中国を支持している状況は、むしろ当然に思える。この記事のタイトルにある従属という語彙には、不快感を感じる。

日本の国際協力は、以前までそのスタンスは正義そのものであった。以前までと書いたのは、最近日本の国益優先の色が濃くなってきたことが挙げられるからだ。同時に、正義=最善ではないということを、最近私は痛感することがあったので、余計にそう思うのかもしれない。

記事は、アメリカのアフリカ批判を批判しているのだが、米中冷戦にアフリカを巻き込まないでほしい、というのがアフリカ諸国の本音だろうと私も思う。

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