2020年7月31日金曜日

追悼 李登輝は台湾の周恩来

https://talk.ltn.com.tw/article/breakingnews/1426787
李登輝氏と魁!男塾の江田島平八塾長が似ているということで、塾長に扮した時の画像
李登輝氏逝去の報が昨日流れた。中国の世界的孤立が進み、国内でも、疫病や大洪水、さらに来るべき食糧危機などで中国共産党への批判が高まっているこの時、台湾の偉大な巨星が逝った。

改めて、李登輝氏のウィキを読んでみた。台湾には、長く本省人と外省人に大きく大別できるが、李登輝氏は客家系の本省人である。一時はかなりマルクスを読み込み、共産党にも関わっていたこと、結局農業経済のテクノクラートとして国民党に入党し、蒋経国の後を継いで総統になっている。蒋経国は父蒋介石の長男。彼もソ連に留学しトロツキーに心酔いた過去があるらしい。この辺の2人の思想遍歴も面白い。

歴史にもしはないが、中国共産党が毛沢東ではなく周恩来の中国であれば蒋経国ももちろん李登輝も、忌憚のない意見が交わされたような気がする。私は、歴史を顧みて、蒋介石は、権力志向の強いヒールだと思っているが、この2人は違う。最晩年の蒋経国は長年台湾を抑圧してきた戒厳令を解除し、権力の世襲を否定し、李登輝の民主化の道を引いている。李登輝はその状況を最大限に生かし、台湾の民主化を推進した。おそらく、国民党とか民進党とかいう党の利益より、台湾、そして中国の国益をも重視した人だと思う。

それに比して、周恩来亡き後の中国は台湾への強硬な態度を取った。その中でも李登輝は公人として度々いう事が変化した。私は、公人としての李登輝の発言は、その時その時の現実的な対応だと思う。彼自身はぶれていない。

政治家と言うのは、聖人君子ではない。だが、公人であるべきだ。時には嘘も必要。策謀も必要。だが、それは全て国益のため、ルソーで言う一般意思を貫く志。ポピュリズムではない。私は李登輝から学ぶべきは。こういう政治家のあるべきスタンスだと思う。これは、私が敬愛するマハティール氏にも通ずるところがある。

巨星堕つ。公人であることを貫き、しかも現実主義者の李登輝氏は台湾の周恩来だったと思うのだ。ご冥福を祈りたい。

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