2018年6月17日日曜日

佐藤優 いま生きる「資本論」

私は、併読派で、日本のアマゾンに注文して手に入れた、小川さやか氏の「その日暮らしの人類学」(光文社新書)、佐藤優の「いま生きる資本論」(新潮文庫)を読んでいたのだけれど、今朝書評を書いた「マイモニデス物語」が横はいりしてきて、一気に読んでしまった。この2冊が、置き去りにされてしまうぐらいに、「マイモニデス物語」に熱中したので、意識がまだ少し中世の中東世界にある。(笑)

ところで、マルクスである。マルクスはユダヤ人でありながらユダヤ教を批判しているのは有名な話であるが、面白いことを佐藤優が、この本の中で書いている。ドイツ語で読むと、マルクスの書いた資本論第1巻と、エンゲルスが書いた第2巻以降では書き方や文体が全然違うそうだ。マルクスの書いた第1巻は本文に、延々と注釈がつく。これは、ユダヤ教のタルムードの書き方である。(タルムードの研究が終わるときが終末の時、神の目的が達成された時、というユダヤ教のタルムード学の影響下にあるということである。)ところが、第2巻以降は、役所の報告書のような、わかりやすい文書になっているらしい。(エンゲルスは、プロテスタントの信仰の篤い家庭に育っている。)

…やはり、マルクスは神を否定しても、ユダヤ人なのである。タルムードで知を磨いたひとりである。内田樹氏の書かれた著作に、レヴィナス氏のタルムード学の方法が載っていて、私にとっても属性がある。このマルクスのタルムード的文書の箇所を読んで、なるほどと膝を打ったのだった。

前述のように、この本は併読と言っても、まだまだ最初の方しか読んでいないのだけれど、十分にエントリーするだけの内容を持っているのだった。さて、そろそろ頭を現代に戻さなければ…。EJUが終わり、明日からは2ヶ月ぶりにPBT本校での授業開始である。

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