2021年9月4日土曜日

東大の地理を解くⅠ

前期試験の地理の問題を解くシリーズ、いよいよ東大である。東大は、大問は3つ。それぞれ設問A・Bと2つあり、さらにそれらの小問の合計22問になる。地図、統計資料(表やグラフ)を読み解く問題が多く、当然記述式問題が中心で難解なものも多い。

大問1は、設問Aが環境問題と気候、設問Bが地形に関する問題である。気候の問題は、共通テスト対策の地理レベルをかなり上回ったものとなっている。上の画像の地図は、地球温暖化により平均気温が3℃以上上昇する地域と降水量が20%以上増加さらに5%以上減少すると予想される地域を表している。(1)の問題は、3℃以上増加する地域について、陸と海にどのような影響があると考えられるか、「航路・資源・地盤・生態系」の4語を使い、60字で記述するという問題。偶然ながら、京大の北極海の問題と似ている。北極海航路、石油天然ガスの資源開発、地盤についてはETやDの地域の永久凍土が沈下すること、さらにホッキョクグマ等の生態系破壊のことを記することになると思う。

(2)の問題は、4つの雨温図を示し、そのうち、降水量が20%以上増加さらに5%以上減少する地域を選択する問題である。雨温図から、AはAf、BはAw、CはCfa、DはCsであることがわかる。(これはそんなに難しくない。)この気候区分と地図上の降水量が20%以上増加とかぶるのは、Aw:すなわちB、5%以上減少する地域とかぶるのは、Cs:すなわちDになる。ケッペンの気候区分の世界的分布が頭に入っていないと解けない。いい問題だ。(3)は降水量が5%以上減少する地域でどんな災害が起こりやすくなるか20字で記述。当然水資源の枯渇による干ばつや山火事の増加が考えられる。砂漠化は現在BS(ステップ気候)で起こっているが、Csにまで拡大する可能性は薄いだろうと思う。

*注 Af:熱帯雨林気候 Aw:サバナ気候 Cfa:温帯湿潤気候 Cs:地中海性気候

(4)は二酸化炭素排出量の多い上位6か国のグラフと1次エネルギー(発電に使用する資源:石油や石炭など)の比率グラフをもとに、上位6か国の中国とアメリカ以外の国(インド・EU・日本・ロシア)を読み取る問題。3位は、EUはイギリスも含む28か国、4位はインド、5位はロシア、6位が日本である。資料を読み解くポイントは、インドが石炭がアメリカ以上に多いこと、ロシアが天然ガスが多いこと、EUが原子力が多いことで、よく見るとヒントがグラフに隠されていた。(笑)(5)は、上図のグラフを元に、中国とアメリカの一次エネルギー供給の特徴、それに対する政策的対応を60字で「需要・シェール・太陽光発電」を使って記す問題。これもそんなに難しくはない。中国の石炭需要は国内産だけではまかなえておらず豪州などからの輸入も行われている事、アメリカではシェール革命によってガスの供給が増えている事、両国とも太陽光発電等にも政策的に力を入れていることなどを書けばいいのではないだろうか。

設問Bは、ガンジス川河口とチェサピーク湾(アメリカ東部)の問題。(1)まずは地形の名称。これは秒殺問題。三角州とリアス式海岸である。(2)この両地形の相違の理由を30字で、「河谷・土砂」の2語を使って記す問題。これも難しくはない。(3)チェサピーク湾について、主要な漁業の形態名、その発達した理由、その持続を脅かす環境問題について40字で記す問題。これも難しくない。養殖、入江で波が静かなこと、工場や都市の水質汚染を書けばいいと思う。

これでまだ大問1が終ったところ。先日記したけれど、東大は地歴2科目である。東大生になるにはどれほどの勉強が必要か思い知らされる。

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