2017年9月28日木曜日

アベノミクスは正しいのか?

IBTの学生に経済学を教えるに当たって、社会科学は法則性を追求するけれど、いろんな視点があり、これが正解だというものはない、これとこれが正しそうだ、というくらいである。自然科学のような絶対的正解というものはない。ましてや、経済学の基盤には、損得だけで動く「経済人」がいかに行動するかというモデルケースが語られるにすぎないことを、まず教えることにしている。

もちろん、EJUで出題される経済の問題は、現在の経済学的常識の基礎である。したがって、コレに対する異説を教えるには早すぎる。せめてEJUが終わってからかな、と思う。このところ、そういう経済学の本を2冊読んだ。私は、文学部の出身で、エコノミストではないし、その是非の判断はつかないが、アベノミクス(批判する側からはアホノミクスと呼ばれている)を牽引するリフレ派の経済学は、たしかに少しヤバそうな気がする。

そのうちの1冊は、小幡績氏の「リフレはやばい」という本(ディスカヴァー携書/15年1月)である。日本人会の無人古本コーナーで見つけて先日完読した。要するに、アベノミクスのめざすところ「インフレを起こす」ということ事態が無理な話である。「円安」より「円高」の方がよい。デフレは=不況ではない。日銀の独立性を政府は日銀法の改正で支配下に置いてしまった。このまま行くと国債の価値が下がり、日本経済は破綻する。というのが、主な主張である。

かなり新鮮であった。前述のように、経済学の正義というものは一筋縄ではない。こういう考え方があるというのを知っておくことは大事だと思う。

今日、衆議院が解散した。様々な憶測が流れているが、こういうアベノミクスの是非を真正面から取り上げる気は政治家にはないようだ。それ以前に民進党は保身に走った。捨て身の合流・野党再編と見る向きもあるが、ポピュリズム的にしか私には見えないのだが…。

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