2020年5月4日月曜日

バラモン教 の反宗教改革

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出口治明氏の「哲学と宗教全史」を読んでいて、非常に面白い学説が載っていたのでエントリーしておきたい。

ヒンドゥー教では、牛は聖獣である。シバ神が乗るナンディは有名(画像参照)だし、ヒンドゥー教徒は牛肉を食べない。
このことは、仏教やジャイナ教に対するバラモン教の反宗教改革的な動きに起因するらしい。(注:反宗教会改革とは、ルターやカルヴァンなどの宗教改革に対し、カトリックが対応を迫られて、アジアや南米など世界布教に転じたことを指す。)

仏教やジャイナ教が生まれた頃、ヒンドゥー教の前身であるバラモン教では、バラモンの権威に疑問符が付き始めていた。このころのインド都市部では、農民や商人のブルジョワジーが台頭していた。牛はそのころトラクターとしての価値が高かったが、バラモン教はその牛を生贄として多数欲した。神への生贄というテーゼにはなかなか逆らえない。
そこに不殺生を唱える仏教とジャイナ教が登場したので、ブルジョワジーたちは飛びついた。バラモンがやってきても「私は仏教徒故、殺生を禁じられており牛は渡せない」と言えるからである。
バラモン教は、都市を追われた形になり地方へ行く。そこで土着的な宗教観を取り入れて大衆化していく。これがバラモン教の反宗教改革で、やがてヒンドゥー教となり「牛を殺すな」という声の強さから牛を食べなくなり、やがて聖獣化したという学説が有力だという。

…ちょっと宗教社会学的で実に面白いではないか。仏教やジャイナ教の不殺生と言う教義がヒンドゥー教を形成せしめたわけだ。

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