2017年7月21日金曜日

IBTの話(110) 欧州地誌

EUの歴史とユーロ制の学習は、EJUでも重要度が高い。ところで、EUは、ヨーロッパ合衆国を究極の目標としているわけだが、アメリカと違い言語も文化も民族も多種多様である。地誌的な理解も必要なので、欧州地誌のパワーポイント教材をつくってみた。イギリス・アイルランドそしてマルタという英語圏からスタートして、北欧(その中でフィンランドの異質性)、フィンランドに繋がってエストニアからのバルト三国、さらに社会主義つながりで東ヨーロッパ諸国、南下してギリシア・アルバニアと旧ユーゴ諸国、クロアチア・スロベニアのカトリックとの繋がりで、イタリアなど南欧諸国、そしてフランスとベネルクス三国、最後にスイス・リヒテンシュタイン、オーストリア、ドイツと結んだ。およそ各国3枚ずつの画像を挿入した。

途中様々な逸話を挿入している。そもそもアニメ好きの学生が多いので、有名なアニメや映画の元になった画像も入れた。魔女の宅急便のクロアチア、アナと雪の女王のノルウェイなどである。意外にマレーシアではムーミンはマイナーな存在であった。(笑)地誌では、行きたくなったとか、面白い事実の気づきとか、各人の属性を何より大切にしたいのである。各国の建築様式の変化も脳裏に焼き付かせたいと思う。イギリス風、北欧風、社会主義風、中世ヨーロッパの残る街並み、南欧、そしてフランス風、ドイツ風、それぞれ違う面白さがヨーロッパにはある。意外な話も挿入した。アルバニアのトーチカ、平和に見える永世中立国スイスの自立した軍事態勢、フィン人やマジャール人などの非ヨーロッパ系の存在などなど…。

限られた時間内で精一杯地誌を紹介した。そうなると、やはり宗教的な問題が生産性に繋がってくることがわかる。プリントの国名の次の欄には一人あたりのGNIの数値を入れておいた。また隣国とのスピルオーバーもヨーロッパでは特徴的である。フィンランドとエストニア、イタリアとスロベニア…。EUに入るのには、それなりの経済的な発展が必要で、GNIの低い国はまだ参加できていないことを明確にしておいた。まあ、ノルウェイやスイスなどの独自のアイデンティティを持つ故にEU不参加の国もあるのだが…。その辺にも触れておいた。国際関係学の妙味である。

ヨーロッパ合衆国への道はかなり険しい。様々な違いを乗り越える必要があることを学生たちもよく理解したはずだと思う。

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