2017年7月9日日曜日

新世界遺産 宗像大社

http://waction.org/?p=4070
日本の世界遺産がまたひとつ誕生した。福岡県の宗像(むなかた)大社と沖の島を中心にした8カ所である。地元の方にもは誠に申し訳ないのだが、私は宗教学の徒でもあるのだが、日本神道には造詣が深いとは言えない。正直言うと初めて知ったのであった。で、さっそく調べてみた。

この宗像という名前は古事記に「胸形」として記され、古来大陸との海上交通の守り神とされてきた。(現在は陸上も含めた交通安全全体の神とされている。)ご神体は、「貴(むち)」の尊称を持っている、伊勢神宮の天照大神、出雲大社の大国主命と並ぶ「宗像三女神」である。この女神は天照大神の娘とされている。沖の島にある沖津宮(おきつぐう)には田心姫(たきりひめ)神、筑前大島にある中津宮(なかつぐう)には、湍津姫(たぎつひめ)神、九州本土の宗像市にある辺津宮(へつぐう)には市杵島姫(いちきしま)神の、三女神である。

この中でも、沖津宮=沖の島は、島自体がご神体で、男子禁制(女神を祭っているので女性が上陸すると神が嫉妬するといういわれがあったらしい)、上陸するのにも禊ぎが必要だという。考古学的には、島から多くの国宝が出土している。それだけ信仰が厚かったわけだ。

…私が宗教学の徒でありながら、神道を無意識的に避けてきたのは、読みがなに不慣れだからと思う。古事記や日本書紀は、どうも苦手だ。(笑)

…今回の世界遺産認定では、沖の島だけが認定される可能性があったらしい。宗像大社としては三女神は一体であるとして説得したらしいがなかなか理解されなかったという。前回の富士山もそうだが、ユネスコ側の専門家は、かなり欧米的な価値観が強いと私などは感じる。世界遺産の分布を見ると、ヨーロッパにかなりの数が認定されていて、アジア・アフリカなどは比較的少ない。そもそもエジプトの遺跡保護の必要性から世界遺産は始まったが、エジプト文明の評価は実はヨーロッパ趣味的であると思う。ヨーロッパ各地にも、美術館などを中心に(エジプトの塔である)オベリスクがたくさんある。

…結局、今回は認定委員会の委員国の意見での逆転登録となったらしい。ちなみに今回の委員国を調べてみた。議長国のポーランド、副議長国が韓国、さらにインドネシア、カザフスタン、フィリピン、ベトナム、クウェート、チュニジア、レバノン、アンゴラ、タンザニア、ジンバブエ、ブルキナファソ、ポルトガル、アゼルバイジャン、クロアチア、トルコ、フィンランド、ペルー、キューバ、ジャマイカの21ヶ国である。おそらく日本政府も各国に働きかけをしたのだろうと思われる。比較的日本の意を汲んでくれそうな国が多い。

…最後に、今回の認定は、ポーランドのクラクフで行われたとのこと。クラクフはアウシュビッツ収容所の近くの街。悲しい歴史とは別に、中世の香りが残る美しい街だ。是非再訪したいと思う街である。…アイ・ラブ・クラクフ。

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