2017年7月11日火曜日

IBTの話(105) イラン革命考

総合科目の公民分野では、引き続き日本の経済史をやっている。イラン革命による第二次石油危機の話が出てくる。このイラン革命、マレーシアの学生には、WWⅡ以後近代国家たらんとしたパーレビ王朝が、資本主義を育成するにつれ経済格差がどうしても拡大したことをまず語っている。このあたりの資本主義の本質を私の教え子は理解してくれている。自由と平等は二律背反していることも十分理解しているわけだ。

近代国家の形成に当たっては、資本主義・民主主義・国民国家の三本柱があるが、パーレビは開発独裁で親米的な資本主義化を急ぎすぎたのだろう。これに対してイスラムは極めて平等主義だ。イスラム回帰の運動=反政府活動・反米運動が、貧困層から沸き上がるのは道理である。

その是非はともかく、こういう社会構造的な理解の上で、イラン革命を理解するべきだと、マレーシアに来てからの私は考えている。

マレーシアは近代国家であるとともにイスラム国家である。この止揚はマレー系が6割の人口を占めつつも、経済の主導権は残る4割の中華系とインド系が握っているという絶妙なバランスの上で行われている。ムスリムのマレー系の学生はもちろん、中華系の学生もこのマレーシアの社会構造から見たイラン革命はよく理解できるようだ。

近代国家とイスラムのせめぎ合い。私にとってもこの1年あまりの経験と学びは大きいと改めて思う。

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