2020年3月16日月曜日

マレーシアの新内閣考

マレーシアのムヒディン新首相が組閣した。副首相は置かず、国際貿易大臣、防衛大臣、公共事業大臣、教育大臣を上級閣僚としたうえで、31人の大臣・38人の副大臣を選んだ。

…これまでは、首相、副首相、教育相という順だったはずだ。この上級閣僚は首相を補佐する役割をするという。

この閣僚については、起訴や係争中の者はいないそうだ。(つまりナジブ前首相とその一味は入っていないということだ。)大臣ポストは、ムヒディン新首相の政党PPBMから10人、前ナジブ政権・与党だったUMNOから9人、PAS(全マレーシア・イスラーム党)から3人、さらに友党であるGPS(サラワク州政党連合)から4人となっている。

今回の組閣の特徴は、大臣の6割がPPBMとUMNOであること、プミプトラ(土地の人:ムスリムのマレー系+サラワク州の非ムスリム)が9割を占めることだ。ここまで中華系・インド系が少ない内閣は初めてではないか。

財務大臣には民間からCIMB銀行のCEO(マレー系の名前である。)が、首相府大臣(宗教担当)に、連邦直轄地(KL・プトラジャヤ、ラブアン島)の宗教指導者が就任した。この2人は、国会議員ではなかったので、上院議員になるとのこと。(上院議員は国王や州からの推薦でなれる。憲法では議員でないと閣僚にはなれない故。)この連邦直轄地の宗教指導者は、意外に柔軟な人のようで、2007年に、ムスリムが他の宗教を賛美する意図がない限り「メリークリスマス」という時候の挨拶としてカードやメールなどを出してもいいというファトワを出している。PASとのバランスをとるためかもしれない。

現在のマレーシア経済は、株価が下がり、リンギ安になっている。これは世界的なパンデミクスの影響もあるので、マレーシアだけの問題とは言えないないが、この大ピンチに新内閣がどう動くか?「裏切り内閣」などと、あまり評判が良くない故に、政治状況の不安定さが拡大すれば、外国資本がさらに流出する恐れもある。

原油価格の低下は、マレーシアの財政を直撃する。半民半官の世界第2位の民族資本石油会社であるペトロナスの政府向けの配当が減るからだ。歳入減の中、効果的な有効需要をどう打ち出すか?この内閣の上級閣僚に国際貿易、公共事業といった大臣を置いたことにその意気込みを感じるが、果たして…。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/03/63f0f138b2275327.html
http://www.malaysia-navi.jp/news/?mode=d&i=7018

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