2020年3月17日火曜日

マレーシアの出入国制限措置考

https://blog.goo.ne.jp/jiten4u/e/8bb4a70df6138476428cedc9837e19da
16日夜、マレーシアでは新首相のTV演説で、18日から3月31日までマレーシアへの外国人の入国、マレーシア国民の出国の全面禁止を発表した。また全ての学校も休校、生活に欠かせない公共サービスの停止、企業活動でも、スーパー、コンビニ、銀行、医療施設など重要な施設を除いて閉鎖、イスラム教の宗教行事も軒並み延期とした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56871380X10C20A3000000/

たしかに急な措置である。ただ、急激に感染者が増えていることも確かである。混乱は避けられないだろうが、リスクを減らすためには有効な措置といえるだろう。

マレーシアは、民主主義国家であるが、開発独裁というスタイルは堅持している。政府のチカラはかなり大きい。温厚な国民性なので、混乱はあるだろうが暴動のおそれはないと思われる。日本語で知りうる情報はあまり多くないが、様々なことを私は考えている。

1.マレーシアの医療レベルは決して低くないので、大丈夫だ。しかも金持の国民は私立病院で、経済的に余裕のない国民も国立病院で十分医療を受けることができる体制になっている。問題は、外国人労働者であると私は思う。彼らへの対応も考えて欲しい。なぜなら、アメリカのように、貧しい人々が治療を受けたくても受けれないような制度の国は、こういう危機の際、極めて脆弱である。医療へのアクセスの良し悪しがリスク回避のカギとなるからだ。またマレーシアはデング熱などの発熱する感染症例が多い。デング熱はかなりやばい(致死率が高い)ので、皆病院に行く習慣がある。これは有利に働くはずだ。

2.記事にあるように、経済の急激な縮小でかなりの混乱が予想される。これらへの手厚い措置を行わないと、新政権はゆらぐ可能性が高い。マハティールが言うのと、ムヒディンが言うのでは、そのカリスマ性に大きな違いがある。先日エントリーしたが、中華系やインド系の閣僚数が激減しており、民族問題に発展する可能性も捨てきれないからだ。5.13のトラウマがあるので、暴動にはならないだろうが、マレーシアではマスコミがまともに活動しており、この動きによっては政権が動揺するおそれは十分にあると思われる。

3.2月27日~3月1日に行われたKLでの大規模なイスラム教集会が東南アジアのクラスターとなった可能性が高いらしい。これ以上の感染を防ぐために、金曜日の集団礼拝(男性のみマスジットに多人数が集まり礼拝する)は中止される可能性が高いのではないか。昨日エントリーしたように、宗教担当大臣は柔軟な法学者である。スルタン会議と協議して、その方向性を打ち出すだろうと私は思う。イスラム教が国教であるとはいえ、異教徒の中華系・インド系への配慮は必要だろうし、仏教・道教・ヒンドゥー教、シーク教などの集会も禁止することとの整合性が求められるからだ。
https://www.sankei.com/world/news/200317/wor2003170026-n1.html

4.近々来日する予定だった私の教え子たちには、大ショックであると思う。F42の国費生への渡航延期は、PBTのS校長先生よりメールをいただいていたので、知っている。学生たちもJPAからの連絡で知っているだろうが、23日に来日する予定だったD大のL君はさぞやがっかりしているだろう。すぐに激励のメールを送った。「愚痴を言っても始まらない。出来ることを着実に積み重ねるしかない。焦っても仕方がない。この際読むべき本を読んでおきなされ。」F42の国費生諸君にも同じことを伝えたい。
PBTも休校になっているはずだ。念密な日本語のカリキュラム編成をしているはずで、大変だ。先生方の苦悩を思うとつらい。が、仕方がない。

まさにヤスパースの限界状況だ。こんな時にこそ、自分の美学を貫き通したいものだ。

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