2018年3月8日木曜日

内田樹「平成が終わる」

内田先生のブログに「平成が終わる」と題された2つの文章が載っている。いつもながら、その視点のキレに感動する。是非とも全ての教え子諸君に読んで欲しいと思う。

特に(2)の文章の中にある「国家主権をカネで買い戻す」という国家戦略が、バブル崩壊によって不可能になり、致命的な傷を日本人に残したという主張は、凄いと思う。日本の戦後史を振り返ると、吉田茂以来「対米従属を通じての対米自立」で有ることは確かだ。沖縄返還までの道筋はまさにそうである。

内田先生の言われる、その後の経済発展の中で、日本人は経済力で宗主国を圧倒し、晴れて主権国家に立ち戻るという物語を自ら夢想したというのはどうか。私は半分そうであると思うが、半分は見事にアメリカに載せられ国富を吸い取られたとも思う。
それは、「マネー敗戦」(吉川元忠著/文春新書・平成10年発行)という本(これもまた日本人会の無人古本コーナーでRM1で手に入れたもの。笑)に詳しい。レーガン政権下で、強いアメリカ・強いドルを求めたアメリカの貿易赤字と財政赤字は惨憺たるものだったが、それを支えたのは、大蔵省(現財務省)主導で米国債を買いあさった機関投資家である、と。(引用がかなりの長文になるので、超簡単に言うとこうなる。)莫大な国富を日本はアメリカを支えるために(結果的に)投げ捨てたのだ。ニクソンのドルショック以来、基軸通貨である米ドルは金本位の兌換を停止した。変動相場制に移行した後も、ドルの価値は米政府(具体的にはFRB)が握っている。まさに打ち出の小槌で、いかに貿易赤字が出ようと、経常収支は黒に変えることが可能なのだ。今や、アメリカは財とサービスだけではなく金融による国富の方が大きい。

内田先生の言われる現在の日本が、対米従属そのものが自己目的化し、抑制を失って暴走し始めたというのは、そういうドルによる構造的暴力下にある現実を我々が日本人が知ってしまったからだと思う。私が日本を51番目の州と時折嘲笑せざるを得ないのは、アホノミクスやあの12点の男の言うがママに北朝鮮政策に乗っているだけではない。もっと根本的なトコロだと思う。私は第9条をカタチだけ改正したところで自立できるとは到底思わない。

今回の鉄鋼とアルミの関税の話もそうだ。貿易収支云々のマクロ経済的な話に見えて、実はペンシルベニア州の補選のためだという、見事にミクロ経済的な話だった。それに全世界が魚棹させられている。誰がどう考えても、デメリットが大きすぎる。EUもかなり頭に来ているし、そもそもの標的である中国も先鋭化している。ここにきてカナダとメキシコ、あるいは日本は除外などと言う噂も出ているが、なんとも馬鹿げた経済戦略だ。こんな話にホイホイと乗せられているようでは…。まさに内田先生の言われるとおりであると私は思うのだ。
http://blog.tatsuru.com/2018/03/07_0630.php

0 件のコメント:

コメントを投稿