2018年3月16日金曜日

タンタルとリチウムのお話

http://10mtv.jp/pc/column/article
.php?column_article_id=284
この1年で最も高騰した金属はタンタルらしい。タンタルというのは、携帯電話などのコンデンサーなどに使われるレアメタルで、私も国際理解教育のワークショップで知っている。その主要産地が内戦が続くコンゴ民主共和国、それとルワンダあたりで、いわゆる紛争鉱物である。この紛争鉱物については、そのレント(利益)がテロ組織を助長するという意味で使われてきたが、WEB記事ではその欺瞞を暴いている。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12206

この記事では、タンタルの精錬には中国が深く関わっていることも記されているが、一方で、先月27日に、日本の企業がドイツ企業からタンタルの高純度製品化事業を買い取ったとのニュース。なかなか日本企業も頑張っているようだ。
アカタマ塩湖
http://www.tabinodaiziten.com/South_America/superb-view-of-chile/atacama-desert2.html
次にリチウムの話。EV(電気自動車)の製造コストの半分がリチウム電池らしい。記事の筆者はEVが地球を壊すと警告している。このリチウム、2種類の方法で得られるそうだ。文系の私としては実に興味深い。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12132
そのひとつが塩湖かん水である。かん水とは要するに海水(のような湖水)のことらしい。チリのアタカマ湖(きっと砂漠が近くにあるはずだ。)は、多くのリチウム成分を含んでいて、これを濃縮して製造するようだ。まあ、海水から塩を取り出すような感じだが、極めて高度な技術(ボイラーや電力を使うようである。)で濃縮し、結晶化するという記事を発見した。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/swsj/66/1/66_8/_pdf
http://mric.jogmec.go.jp/kouenkai_index/2009/briefing_090730_6.pdf

で、このリチウム、塩湖から取り出すわけだが、チリのアタカマ湖、ボリビアの有名なウユニ湖やアルゼンチンの南米三国(ABC)の国境沿いに100近く存在している。PDFを読んだだけで大変な作業だと想像がつく。ましてこのあたりは高度4000m超のアンデス山中にある。中国でもこのかん水からリチウムを取るべく開発が進んでいるらしいが、チベット高原であるらしい。うーん、厳しい。

もう一つの方法は、スポジュメンという鉱石(最もリチウムを含有している鉱石)からとれるらしい。(他にも含む鉱石もあるがこの鉱石が最も一般的だとのこと)これを硫酸と反応させて、ソーダ灰によって炭酸リチウムを抽出し、この炭酸リチウムを遠心分離器にかけたり、熱水で洗浄したり、乾燥機で水分を飛ばしたりして製品化するのだという。このスポジュメン鉱石からリチウムを作っているのは、現在ではノースカロライナ州くらいらしい。鉱業は基本的にビジネスとして成り立つか否かが命である。コストが高くてもいいのなら、多くの場所で開発が進むだろうが、なかなかそうはいかない。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shigentosozai1953/100/1152/100_1152_115/_pdf

リチウムを作るのは、どちらの方法もかなり大変そうだ。しかもエネルギーを莫大に使うことがよくわかった。石油を使用しないEVのリチウム電池の生産は、莫大な石油と二次エネルギーとしての電力を消費するわけだ。しかも、EVの需要がいくら増大しても、リチウム電池の供給はおいそれと追いつかないこともよくわかった次第。これなら、たしかに筆者が言うようにガソリン車を走らせる方が、極めてマシだと思われる。

…このエントリーは、国際資源学部に行くM君と、2人のPBTの先輩OB・OGに贈りたい。面白い学問ではないか。しかもこれらのビジネスに携わるというのも…。

0 件のコメント:

コメントを投稿