サヘルの村で、ソルガム用の鍬を魅せるガイドのオマーン |
中でも、本来ブルキナでやるはずのワークショップがテロの発生で出来なくなって、セネガルに移行する話など、実に大変だったであろうと推察する。話が詳細であればあるほど緊迫感があって、読み物としても、大変面白い。コラムとしても俊逸であった。…ちょっと上から目線の言い方になりましたがが、荒熊さん、スミマセン。
さらに、コラムに町さんの名前が登場していた。町さんは私にとってはNGO「緑のサヘル」のスタッフで、ブルキナのひつじと山羊の見分け方を教えて頂いた好青年である。その町さんについて京大の大学院生と記されていた。すでに院生だったのか、私との出会いの後に京大に進まれたのかは不明だが、もしアフリカ地域研究だったら、さらに私と縁が深い。もう長いこと、京大の市民講座に行っていない。(そういえば、荒熊さんとも地球研時代に市民講座でお会いしたことがある。)町さん、実に懐かしいなあと思った次第。
ちょっとだけ、荒熊さんの奥さんの話が出てくる。マラリアにかかった荒熊さんが、日本でプリンを食べる話だ。こそっと、コラムの最後に書かれている。この本は、こういうディテールに凝っているので嬉しい。
ブルキナ情報も実に素晴らしい。特に歴史の部分は、なかなか専門的な内容なので、大いに勉強になった。
最後にあとがきの事。この本は荒熊さんのブログを定期的に読んでいたT氏が、「ブログを本にまとめてみないか?」というお誘いから始まったとのこと。羨ましいかぎり。そのブログとは私のリンク集にある「赤提灯~俺とアフリカとドラゴンズ~」である。私は古くからの読者である。…私にも「青天の霹靂」が来ないかな。(笑)
荒熊さん、実に面白かったです。ありがとうございました。アフリカに興味のある方に、お勧めの1冊と、自信を持って勧めます。
追記:関西大学のVISAが最も遅かった。いよいよ正真正銘、ラストとなったK君が渡日した。すでにメールで科目登録は済んでいるとのことで安心したが…。グッドラックやで。
書評、拝読いたしました!2日にわたる長編書評、ありがとうございました。
返信削除この本は、オビを書いてくれた高野秀行さんが「人類学者がここまでぶっちゃけちゃっていいの」とおっしゃるほど包み隠さず書きました。かなり開き直って書いた上、「学術書」ではないので、誰がどんな風に読んでくれるのか、本を世に出した後は(厳しい批判を恐れるわけでもなく)反応を楽しんでいます。アフリカに興味を持った方、ブルキナファソってどんなところだろうと思った方、あとは、研究者ってどんなことやってる人だろうと思った方など、アフリカの食以外にも読んでいただければ、と思っています。
この本の作りに気づいていただけるのは、内容以上にとても嬉しいです。
この本の構成や配置は、シリーズエディターの歴史学者、寺田匡宏さん、編集を担当してくれた上瀬奈緒子さんがいなければ成り立ちませんでした。「凝った」本にしていただいた上、しかも、遊び心満載なんです。実は本の中に出てくる挿絵は、「プリンの主」によるものですし、さらにシリーズのロゴはうちの息子の足形という、家族総出演にしていただきました。プロの仕事である上、こんな温かな雰囲気の本にしていただけたのは、この本の編集のチームならでは、だと思っています。