2019年4月5日金曜日

マレーシア連邦憲法を読む 14

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第7部は<財政規定>である。第96条から第112条まで。面白いのは、マレーシア憲法では、予算という訳語が使われていない。日本で言う歳入は「統合基金」(連邦と州それぞれ)と訳されている(第97条1)。イスラム教の歳入であるザカート、フィトラー、バイトゥマルの規定もあって、州法、直轄区は連邦法の下にある(第97条3)。予算にあたるのは、支出法案と訳されており、前述の統合基金より支出される(第100条)。当然ながら補正予算=支出法案も認められている(第101条)。年度財政報告を行うのは最高元首で、日本で言う年度末に行われるが、かなり細かい規定である(第99条)。少し意外に思ったのは、第98条(3)の支出の説明の中で、「債務とは利子、減債基金支払、債務の返済あるいは…。(後略)」とあったことだ。イスラム教が国教とはいえ、近代国民国家である。利子の支払いはグローバル・スタンダードなのであるから、当然と言えば当然であるが…。また連邦国家として、国家財政評議会が設置されている(第108条)。ここで州の財政との調整が図られる。州への交付金(日本で言う地方交付税交付金に近い)は、人頭交付で算定するが、人口減があっても前年度の90%を下回らないことを保障している(109条)。また、各州は、当該州に産出する錫(ちょっと時代を感じてしまう。)あるいはそれ以外の鉱物に関わる輸出税の10%を州税(日本で言う地方税)を得るという規定がある(第110条)。また財政においても、サバ州・サラワク州への特別規定が112条のABCDと最後に書かれている。半島部が、この2州にはかなり気を使っているのがよくわかる。

第8部は<選挙>で、第113条から第120条まであるが、連邦も州も小選挙区制をとること(第116条・第117条)くらいが重要であると思われるが、以下割愛。

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